………マジで?
この物語は実にありきたりだ。
何故なら冒頭からして古典的だからである。
第一話 しめ縄はきちんと締めよう
― 命綱?意味あるわけないじゃん プークスクス ―
俺は生まれも育ちも日本の生粋の日本男児だ。
俺と歳を同じくする双子の妹様も同じく。
だが少しだけ、俺たち兄妹は
日本人には、と言うか人類には使えない力が使える。
少し語弊があるか、人類にも機械や薬品を使用する事で
何時かは使えるようになるかもしれない。
俺たちはそれを生身で、かつ呼吸をするように使える
ただそれだけだ。
俺は異常なほどに『刃物に好かれている』
正確には『切れ味のあるものに好かれている』だ。
このおぞましくも幸運な体質、最初に違和感を覚えたのは
小学3年生のゴールデンウィーク2日目のお昼過ぎ。
忘れもしない、その日、太陽がカンカンに照りつけ
ジッとしている事に飽きていた俺は自転車で外に飛び出した。
何の気なしに堤防沿いを移動していると
不意に首の当たりで触れる感覚がし、俺は自転車を止めて確かめた。
俺の首には張り詰められたピアノ線が食い込んでいた。
皆さんは『首なしライダー』という怪談を聞いたことがあるだろうか?
首を無くした暴走族の亡霊が首を求めてバイクを乗り回すと言ったものだが
希に暴走族対策に張られたピアノ線が原因とされるものがある。
糸というものは脆く感じるが、意外にも切れ味がある
普通の刺繍糸でも消しゴムを切断するくらいは出来るはずだ。
その中でもピアノ線は鋭利で
ある程度速度があれば人体でさえ切断する事が可能という。
後日、その近辺で中学生数人が自首したと聞いたが
恐らくは実行犯たちだろう。
こうしてあわや首を無くす少年の俺は無事だったわけだ。
これだけならただ『運が良かっただけ』で済ませるのだが
その後も、今この時点まで一切の切り傷刺し傷を負うことは無かった。
両親からドン引きされながらも実験した結果
1、ありとあらゆる『切り傷』と『刺し傷』を受けない
2、事故の場合は刃物がダメージを与えない様に
回避したり切れ味を最小限に落とし
攻撃の場合は刃物が折れ、場合によっては相手に刺さる
3、刃物を持てば剣の達人、とまではいかないが
全ての刃物は持った瞬間、例えボロボロのペーパーナイフでさえ
新品に変わり、非常に頑丈で、純度の低い鉄程度なら
バターの様に切断してしまう程の切れ味を持つ
以上の事が分かり俺の体は異常だと悟った。
この体質が髪の毛にも存在するため
ロクに散髪にも行けず髪の毛は伸び放題
運動したほうが髪の毛は伸びにくいらしいから出来るだけ運動し
それでも伸びきった時は妹様に何とかしてもらった。
以上が一見普通の高校2年生こと新妻月代(にいづま さかき)
つまり俺のプロフィール、そして次が高校1年生で
俺の妹様こと新妻月代(にいづま つくよ)のプロフィール。
こっちは簡単、妹様は本人曰く『魔法少女』なのだ。
最初は痛い電波発言かと思っていたが
目の前で指先から白い光弾を出されたときはビビった。
妹は小学5年生から中学に入るまでの2年間
俺と家族の知らないところで
ありがちに魔法少女のマスコットと出会い
ありがちに同じ境遇の魔法少女たちと力を合わせて
ありがちな闇の魔法少女たちからありがちに地球を守っていたらしい。
体質以外一般人の俺からすれば理解不能な話だが
既に闇の魔法少女たちは浄化されて元通り。
役目を終えたマスコットも星に帰り。
一応は一件落着した、らしい。
なら何でお前まだ魔法使えるんだよ?
って話になったが、何でもマスコットがしたのは
あくまで、キッカケ作りと、ある程度の魔力譲渡であって…。
つまりまぁ、妹様は生まれつき魔法少女の才能があったんだとか。
本当、人生って予想外なことばかりだよな。
妹様の使える魔法は『万能属性』
分かりやすく言うと『地球に優しい核の炎』
他の魔法少女の『炎』や『水』、『雷』とかに比べ
『威力が隔絶して高く、且つ破壊以外に使い道のない属性』
おいマスコット、何でよりにもよってこいつを選んだ。
闇の魔法少女がどれくらいやばいか知らないけど
こんなのオーバーキル所かコイツが地球滅ぼしかねんぞ。
とは言うものの地球は魔法少女が魔力を蓄えるための
大気中に漂う物質『魔素』とかいうものが多くなく。
少なくともそれを際限なく放出する闇の魔法少女がいない今は
全力でも精々、街一つを消滅させるのがやっとらしい。
冗談のつもりだったのに、全盛期はマジで地球滅亡の危機だったのか。
それに制御の訓練はマスコットに嫌というほどやらされた様で
今ではその精密性を用いて俺の散髪をしてくれたりする。
序でに言うと最近2年ほど遅い中二病を発症してこの街がやばい。
で、だ 自己紹介も終わったことだし現実に戻ろう。
ここからは急ピッチだ。この速さについてこれるかな?
「珍しく妹様がオシャレをしたいと言い出たので
それならばと一緒に近くのデパートまで買いに行った」
「俺の知ってるオシャレと違ったのはさておき
買い物も終わって家に帰ろうとするとあら不思議。
俺の前を腕組みながら歩いていた妹様が忽然と姿を消した」
「居なくなった場所を調べてみると、妹様がいた場所には
渦巻いている黒い穴が開いていた」
「持っていた携帯で写真を取った後、よく見てみると
だんだん穴が小さくなって行くではないか」
「これはゆっくりしていられないと思った俺は
後の事なんか考えずに、穴へ飛び込んだ」
「訂正、買い物袋に入っていたしめ縄を腰と
近くにあった電柱に巻きつけて穴に飛び込んだ」
「暫く『不思議な国のアリス状態』を楽しんでいると
急にドサッと尻餅を付いたような感覚を覚えた」
「目を開けると其処には見慣れた妹様
そして見慣れないオッサンと甲冑着た屈強なガチムチたちが居た」
「オッサンは俺を見てたいそう驚いて、ガチムチたちに命令。
直様屈強なガチムチたちに連行されて今は冷たい独房の中、かな?」
「ハハッ」
独特の鳴き方をするネズミが俺の手の中で鳴く、可愛いやつめ
見た所ドブネズミじゃなさそうだけどなんだコイツ?
「コマギレニシテヤル!」「怖い事言わないでくれよ」
腰に目をやると、途中でちぎれてしまったしめ縄が目に入った。
流石に100均で買った奴じゃ無理があったか。
それにしても月が二つもあるとか…ここは何処なんだろうか?
次回『俺の妹様の魔法で地球がやばい』
自分の夢日記を読んでたら思いついただけの小説です。
次回予告は信用してはいけないと思います。