仮面ライダーウィザード ~Magic Girl Showtime~ 作:マルス主任
アニメ本編はもはや殺戮パーティーと化してますね(笑)
ルーラは物陰に隠れてウィザードとファントムの戦いを見ていた。
先ほど突然襲いかかってきたファントム。自分ではどうにもならなかった槍による強襲攻撃を、闘牛士の如く避け続け、一瞬の隙をついて素早く剣撃を入れていくウィザード。
自分にも何か出来る事は無いか…そう考えたルーラは、ウィザードに連携の合図を送る。
「ウィザード!そいつの動きを止めて!」
「おっ、分かった。任せろ!」
バインド、プリーズ!
バインドの魔法を放ったウィザードは、ファントムを拘束する。
「フン、こんなもので俺を拘束しても、5秒程しか持たぬだろう」
「悪いな、どうやら5秒持てば十分らしい…!」
「ルーラの名の下に命ずる。武器を捨てて身動きをとるな!」
そう、ルーラの魔法は目の前の相手に何でも言うことを聞かせられる能力。
自身の杖、王笏を相手に向けながら魔法の行使を宣言することで、魔法を発動させられる。
発動には時間がかかるため、テクニカルな魔法ではあるが、その威力は強力である。
「うおっ、槍が…何故動けない…!本当に魔法の力で…!」
「そのまさかさ。俺達魔法使いなんでね」
「何でもいいわ。ウィザード、後はあなたが倒しなさい!」
「OK。さぁ、フィナーレだ!」
チョーイイネ!サンダー!サイコー!
ウィザードは動けないファントムを上空から魔方陣で包み、必殺魔法、サンダーを直撃させた。
サンダーの雷撃を避けることも出来ずにまともに受けたファントムは、叫び声を上げながら爆散した。
「無念…!ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「…ふぃー」
戦いを終えたウィザードにルーラが声をかけた。
「ウィザード。今回は申し訳なかったわ。それと、あなたと少し話がしたい」
「分かった。俺は別に構わないよ」
「それなら助かるわ。人通りの無いところでも行きましょう」
そう言ったルーラは、ウィザードと共に公園に向かい、ベンチに座って話を始めた。
「ウィザード、あなたの力が借りたい。少しだけ協力してくれないかしら」
「はぁ。俺は何をすればいいんだ?」
「明日、私達はスノーホワイトを襲撃するわ。キャンディーを奪う為にね」
「その為にも、あなたに少しの時間でも良いからラ・ピュセルの注意を引いて欲しいの」
ルーラから告げられたのは衝撃の言葉だった。ウィザードはただ黙って聞いていたが、納得出来ずに反対の言葉を発した。
「…悪いが、それには協力出来ない」
「俺はキャンディー集めなら幾らでも手伝う。でも他人から奪うような事は俺はしない。もし、その作戦を本当にするなら、俺は絶対止める」
「…そう。分かったわ」
「なぁ、そんな事は止めて、キャンディー集めはしないのか?」
「…しないわ。」
「キャンディー集めだったら俺も手伝うよ。お前らがそんな事するぐらいなら、キャンディー集めぐらい手伝えるさ」
「そう?そんなに言ってくれるのなら…」
「じゃあ、明日の9時にここに集まれるか?」
「えぇ、あなたが良いのなら」
「分かった。じゃあ明日の9時にここで会おう」
「また明日」
その言葉で会話は終わり、明日またここで集まるという約束が作られたが、これはルーラの嘘であった。
ルーラの作戦に反対したウィザードは、必ず止めに来る。そう感じたルーラはウィザードをここに誘導し、その間に決着をつけるというものであった。
ウィザードには悪いが、これも生き残る為である。
これが、ルーラの答えであった。
その頃、王結寺には帰ったはずのルーラ以外の4人が再び集まっていた。
その会話の内容はとても恐ろしいものだった。
「作戦はこれ。私が鉄塔に行ったとき、スノーホワイトのキャンディーをスノーホワイト、ラ・ピュセル、ルーラ以外の全員に配る。そうすればルーラは最下位。そこで一気に叩く」
「うわぁお、スイムちゃん外道」
「マジ外道」
「いや、これはルーラの教えを守るためにやること」
「ルーラの教えを守るためには、ルーラ自身を倒すことも必要」
「ルーラは私が片付けるから、たまとピーキーエンジェルズはラ・ピュセルの陽動をお願い」
「OKリーダー!」
「任せてリーダー!」
「…う、うん…スイムちゃん」
次の日、ルーラ達の作戦当日。
「ピーキーエンジェルズとたまから連絡が来たわ。そろそろ作戦開始よ」
ルーラはスイムスイムと共に待機をしていた。
そもそも作戦とは、ピーキーエンジェルズ、たまがスノーホワイト襲撃の邪魔になるラ・ピュセルの陽動を行い、
スノーホワイトが一人の隙をついてキャンディーを奪いに行くというものだ。
「スイムスイム…そろそろよ」
「…うん。」
その頃、まだ何も知らないスノーホワイト、ラ・ピュセルは、鉄塔で二人で話していた。
「そうちゃん、今日もお疲れ様」
「そうちゃんはやめろって…でも、お疲れ様」
「ねぇ、今日の結果発表、一緒に見よう。私、怖くて…」
「いいよ。こっちも全く怖くないわけじゃないし」
「ありがとう。ラ・ピュセル」
「こちらこそ、スノーホワイト」
「ヒューヒュー!お似合いだねぇ!」
「超クール!」
急に聞こえた声に二人は驚き、ラ・ピュセルは剣を構えた。
突然二人の前に現れたのは、ピーキーエンジェルズだった。
「ピーキーエンジェルズ。どういうつもりだ」
「へへへっ、気になるならついておいで、ラ・ピュセル!」
ピーキーエンジェルズは、そう言い残し、誘導場所の方向へ逃げていった。
「お、おい!待て!スノーホワイト。君は絶対ここから動かないで!」
ラ・ピュセルもピーキーエンジェルズを追っていってしまった。
ルーラ達の作戦通りである。
一人になり、少し不安なスノーホワイトであったが、今度はそこへルーラとスイムスイムが訪れた。
「えっ!な、何?」
「あなたのキャンディーを頂くわ」
そう言うルーラは、杖をスノーホワイトへ向け、魔法を発動した。
「ルーラの名の下に命ずる。身動きをとるな」
「ま、待って!何でこんなこと…」
その魔法が発動し、スノーホワイトは動けなくなってしまった。
今すぐにでも逃げたいスノーホワイトだったが、動けずにただルーラ達の計画を見守るしか無かった。
その間にスイムスイムはスノーホワイトのマジカルフォンから自分やルーラのマジカルフォンへキャンディーを移動させ始めた。
ルーラは魔法発動のポーズのまま、スイムスイムが移動を終わらせるのをじっと待っていた。
ピーキーエンジェルズ達から陽動成功という連絡以降何も連絡が無いのが多少気になっていたが、今はこれが終わるのを待つしかない。
だが、短気なルーラは苛立ちを抑えられなくなってきた。
「スイムスイム!まだなの!?この態勢疲れるんだけど!」
「…もう少し」
「くそっ!早くなさい!」
「終わった…」
スイムスイムのその一言を聞き、ルーラは魔法を解除した。
一方スノーホワイトは魔法を解除されたものの、地面に膝を付いて動かなかった。
「ふぅ、撤退よ。3馬鹿は向こうで合流すればいいわ」
「…了解」
ルーラとスイムスイムはすぐに撤退していった。
残されたスノーホワイトの下にラ・ピュセルが帰って来た。
「あ、そうちゃん…ってその傷は?」
ラ・ピュセルの腕や体には何ヵ所か傷が出来ていた。
「何ともないよ。ちょっと擦り傷をね…でもそんなことよりも…」
「スノーホワイト、守りきれなくてすまない。君の騎士だと言うのに…」
「そんなのいいよ…でも、キャンディー取られちゃった…」
「え!?そんな…」
そう言うラ・ピュセルはスノーホワイトのマジカルフォンを確認する。
しかし、5万あったキャンディーは全部ではなく、半分持っていかれただけで2万5000残っていた。
「でも、キャンディーは2万5000も残ってるよ」
スノーホワイトのキャンディー所持数はとんでもなく、2万5000も持っていれば十分ランキング上位陣でいられるはずである。
スノーホワイトのキャンディーを奪い、最下位にする。目的がそれでないなら、何のためにスノーホワイトのキャンディーを奪ったのか。その理由が分からない二人であった。
そんな二人の所へ、大急ぎでウィザードがやってきた。
「二人共!大丈夫か!」
「うん。私はケガしたけど、スノーホワイトは無事だ」
「そうか。良かった…」
ウィザードはその言葉に安堵したが、すぐに話を切り替える。
「所で二人共、ルーラがいつもどこにいるか知ってるか?」
「ルーラなら、王結寺っていう寺にいつもいるよ。でもキャンディーを取り返さなくても…」
「いいや、このままじゃルーラが死ぬ。それだけは絶対に避けたい」
「えっ!でもルーラはさっきスノーホワイトからキャンディーを…」
「ルーラは多分スイムスイム達に裏切られる」
「何だって!」
「時間が無い、場所教えてくれてありがとうな!」
そう言うと、ウィザードはバイクに乗って行ってしまった。
一方、王結寺には、作戦を終えたルーラ達が再び集まっていた。
「さて、作戦は終わったわ。後はランキング発表を待つだけ」
「これでスノーホワイトは脱落、そして死亡だね」
「そうだねーお姉ちゃんマジクール」
「少しは黙ってなさい。さぁ、ランキング発表の時間よ」
『みんな、お疲れ様だぽん。ランキング発表だぽん』
『今週も色々あったけど、最下位の発表だぽん』
『最下位は…』
『ルーラだったぽん』
『色々頑張ってたみたいだけど、残念ぽん』
この瞬間、ルーラの思考は完全に停止した。
何故だ、作戦は成功したはず。なのに何で自分が最下位に…
そんなことを考える内に、スイムスイムが自分の背後にやってきた。
「何で…どうして…」
「ルーラ、私はルーラのようにすごい人になりたい。でもその為にはルーラを殺さなければいけない…許して」
「ミナエル、剣になって」
「OK、新リーダー」
「ちょっと…スイムスイム…ミナエル…何を言って…」
怯むルーラに、スイムスイムはミナエルが変身した剣を突き付け、そのまま切り裂こうとする。はずだったが…
「ちょっと待ちな。そいつの処理は俺がやる」
突然聞こえたその声に、スイムスイムは後ろを振り向く。その瞬間、何かにスイムスイムは吹き飛ばされた。
「ルーラとやら、てめぇはもう魔力を失い、死ぬ。だったら、お前の魔力を無駄にしないように、俺が喰ってやるよ」
「一体何者!またファントム!」
「そうさ、俺はオーガ。さっさと喰ってやるから黙って死ね!」
なんと、ファントム・オーガがルーラの前に現れたのだ。しかし、勿論味方な訳もなく、襲いかかってくる勢いである。
ルーラにとって最大の危機が訪れた。
この場にはルーラの味方は1人もいない。スイムスイムに殺されるか、ファントムに喰われて殺されるか、或いは12時を過ぎて魔法少女の力を失って死ぬか。
ルーラの選択肢には、もう助かる未来は残されていない。
もし、スノーホワイトを襲わずに、ウィザードとの約束を守っていれば…
生まれて初めてルーラに後悔という思いが生まれた…。
というわけで9話でした。
ラ・ピュセルVSピーキーエンジェルズ&たまは次回以降に書かせて頂きます。
そして唐突に現れたオーガ。正体は某森の格闘家さんです(笑)
今回もご閲覧ありがとうございました!