東方開眼鏡花水月   作:虎ゲノム

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初めまして、虎ゲノムと申します。
まず始めに稚拙な文と内容でお目汚しをさせていただくことをお詫び申し上げます。

※このSSは東方Projectの二次創作小説です。キャラの著しい崩壊、作者の個人的趣味が含まれておりますので、そういうそれが嫌な方は後ろ向いて逃げてください※

お暇なときにでもチラッと読んでいただければ幸いですので、どうかよろしくお願い致します。
それでは、どうぞ!


第1話 眼鏡

季節の変わり目というのは往々にして憂きものだ。

特に冬はものの出し入れが多い。

まして僕のように道具屋を営んでいるならば、置いてある商品も相まって大仕事だ。何せ冬に氷かき器だの扇風機とかいう羽根を回して風を送る装置だのを置いておくと、客のニーズに沿えないからね。

 

「これでよし……と」

 

ここは香霖堂。幻想郷は魔法の森の近くにある道具屋だ。そしてその店主である僕は来るべき冬に向け売り物の入れ替えを行っている。

数時間も続けたところ、衣替えも一段落した。そろそろ一服しよう、そう思った矢先――

 

「おーい香霖!香霖いるかー?いるよな?入るぜ!」

 

僕には森近霖之助という名前がある。にも関わらず香霖という名で僕を呼ぶ者は一人しかいない。

 

「おいおい、入ってから言うことじゃないぞ…魔理沙」

 

既に店内にいる騒がしい少女に声をかける。彼女は魔理沙。名字は霧雨。僕がかつて商人修行の際に世話になったお店の一人娘で、職業―と呼べるかはわからないが―は魔法使いだ。

 

と、いつものように僕の中で説明口調のもう一人の僕がペラペラと喋っているが、このお話は僕と魔理沙のほのぼのなかよしこよし物語などではない。もっと大きな事件が…え?何も起きてないじゃないかって?まあ見てなよ。僕の勘はよく当たる。

とにかく、ここで何か喋らなければお話が終わる。

 

「で、いったい何のよ…」

 

「これを見てくれ!」

 

僕が訊き終わらないうちに魔理沙が何かを眼前に突き出してきた。ふむ、わざわざ訊くまでもなかったみたいだ。

 

「これは……ベルトかい…?」

 

ベルト…一般的に衣服、特に履き物がずり落ちないよう留めておく物だ。ただ、今僕の目の前にあるこれは…

 

「ベルトにしては…ゴツゴツしすぎだな…」

 

率直な感想を述べる。

 

「だろ?表で拾ったんだよ。面白いから持ってきたんだ!霊夢にも見せたんだが、あいつまるで興味を示さないんだぜ?」

 

「そうか、災難だったね」

 

適当に返事をする。そうさ、僕だって興味はない。

僕の気のない一言を聞くと魔理沙は冷徹だのひきこもりだのと喚き始めたが、特に気にすることもなく冷静に紅茶を淹れる。もちろん一人分。

 

「香霖が興味を持ってくれなかったら、私はただのごみ拾いになっちまうんだぜ!」

 

いつもしていることだってごみ拾いみたいなものじゃないか…辛うじてその一言は飲み込む。

 

「あーもう!こうなったらさな…ん?」

 

「どうしたんだい、魔理……!」

 

僕たちはただならぬ気配に押し黙る。その邪悪な気配は僕でさえも感じとることができたのだ。日々異変に関わっている魔理沙なら気が付いて然るべし。

言ったろう?僕の勘は当たるんだ。

 

「様子、見てくるぜ!」

 

魔理沙が威勢よく飛び出す。

 

「気を付けるんだぞ」

 

よくあるやり取りだが、今回は何か違うものを感じる。

…あまりよくない意味で。

 

 

 

 

 

 

 

やはり悪い予感というのは当たるもので、半刻もせずに魔理沙が帰ってきた。それも独りで。

……霊夢は一緒じゃないのだろうか…?

 

「……気を付けろと言ったろう?」

 

そう言ってため息をつきながらボロボロになった黒いスカートの修繕を進める。

 

「うう…いや、それより香霖!徳の高ぁ~い魔法使いとしての見地から、私の考えを言わせてもらうぜ!」

 

「聞くだけ聞くよ」

 

「じゃ話すぜ。こりゃ異変だ。それもドでかい。」

 

「だろうね。でも、霊夢と魔理沙が解決するんだろう?いつものように」

 

「問題はそこなんだよ!私は出て行ってすぐに気配の正体にたどり着いたんだが、霊夢のやついつまで経っても…なんだ!?」

 

魔理沙が言い切らないうちにバゴォオン、と戸口で轟音が鳴り響いた。

音の鳴った方向に視線を移した僕はそこで初めて動揺を隠しきれなくなった。

香霖堂の入り口に黒く蠢く顔の、人の形をした“何か”が立っていたのだ。

 

「あいつだ!あいつだよ香霖!あいつにやられたんだ!」

 

いじめっ子のことを親に言い付けるような口調で魔理沙が騒いでいる。

僕はさりげなく魔理沙をかばうようにその“何か”と対峙する。

 

「…香霖堂に何の用だい」

 

僕の問いかけは虚しく空に響いた。

どうやら話の通じる相手ではなさそうだ。

 

ほんの少しの沈黙のあとそいつはその“眼”で魔理沙を一瞥すると、踵を返してゆらゆらと出ていった…

……と思ったのは甘かったようだ。

そいつは顔から生えた触手のようなものを伸ばし店の外から魔理沙を捕まえてしまったのだ!

 

まずい

そう思って咄嗟に店を飛び出すが、僕には手の打ちようがない。

 

「香霖ぃぃぃぃぃん!!……おい!おい見てないで助けろよおい香霖!おいっ!!女の子がさらわれてるんだぜっ!」

 

「しかし僕は弾幕は……」

 

いや、そうも言っていられない。

しかし僕事実として弾幕を撃てない…というより撃たないのだ。大人が女の子の遊びに首を突っ込めばそれはもう“ごっこ”ではなくなる。だからこそ、弾幕の研究はしてこなかった。

 

「でもとにかくやるしかない…!」

 

そう言い自らを鼓舞して弾を撃つも、弾幕にすらなっていないその光弾は宙を貫く。何度撃っても結果は同じだった。黒いそいつはいとも容易く僕の弾を避けてしまう。

ひたすらにスタミナだけを消耗していく。

 

…万事休す。そう思ったときだった 。

 

――霖之助さん!ベルトを使って!――

 

声が聞こえた。誰のものかはわからない。が、僕は反射的に店に飛び込み、魔理沙が持ってきたベルトを掴んでベルトの記憶を探る。

物の記憶を読み取ることで名前と用途がわかる…それが僕の能力だ。

 

「………仕方ないな」

 

こうなったらやるしかない。

僕は大急ぎでベルトを巻くと、右腰部分についているバックルを開き、中の青いボタンを押す。

 

「……行くぞッ!」

 

覚悟はできている。

 

「眼んッ………」

 

パチパチとイナズマが弾ける。

 

「鏡ぅッ!!」

 

僕の正義の心が青い炎となって燃え上がる!

 

「とうッ!!!」

 

叫びながら店の外へと飛び出すと、僕の装いは先程までとはまるで違うものとなっていた。青と金を基調とするナウいスーツ。ギンギラギンに輝く鋭い眼鏡。僕は変身したのだ。

となると……することはひとつ!

 

カッコよく名乗って敵を威嚇するんだ!

 

僕がやらなきゃ誰がやる!

闘わなければ生き残れない!

見ててください、僕の…変身!

君の罪を数えろ!

ショウタイムだ!

命、燃やすぜ!

ノークーリングオフでクリアーしてやるぜ!

 

色々とキメ台詞が浮かぶが、稲妻のように研ぎ澄まされた僕のキラッキラな感性がひとつのマンモスカッコいい台詞を弾き出す!

 

「僕の眼鏡が煌めく限り…幻想郷に欠陥商品は流れない!愛と真実の商品をご提供するラブリーチャーミーな店主さん!バイナリィレンズ・Kッ!!!」

 

くぅ~っ!決まったッ!

今僕は正義の店主…もとい味方、バイナリィレンズ・Kだ。どうだい?最ッ高にイカすだろう!?

 

カッコいい名乗り口上の余韻もそこそこに、あらためて“何か”を睨み付ける。キラリ☆と輝く僕の眼鏡。

 

「香霖!……えっ、香霖?おい、何そ…え、何それ!?やめろよ香霖何だよその格好!?ダサいぜ!!」

 

魔理沙がぎゃあぎゃあ騒いでいるが今の僕には聞こえない。きっと僕のカッコよさにハートがズキュン☆なのだろう。

 

「おいそこの…えと…黒いお前!僕の知人に手を出すんじゃない!……ええと…やっつけるぞ!」

 

ここでようやくことの大きさに気が付いたおマヌケブラックが魔理沙を投げ飛ばした。危ないっ!

でも大丈夫。アノ子は魔女っ子魔理ちゃんだ。空を飛んじゃえば怪我なんてしないのサッ!

こうして僕は安心して黒いのと対決が可能になった。

 

僕は一足跳びで黒いのに接近しながらキックを放つ!

 

「とぁッ!!」

 

バキィッ!

うまくキックが決まったようだ。

黒いのは体制を建て直すと、逆上したように触手を僕に向けて伸ばす!

 

「通じないよッ!そぉらッ!」

 

スパーンッ!!

店から出たときに持ってきておいた僕の霧雨ソードでヤツの触手を切り刻む!

備えあれば憂いなしってね!剣、磨いておいてよかったよ!

ヤツが見せた一瞬のたじろぎを僕は見逃さなかった。

 

「クライマックスだ!!必☆殺!僕の僕による顧客のためスラ――――ッシュ!!!!」

 

そう叫び僕の霧雨ソードをベルトにかざし、イナズマを帯びた渾身の斬撃を喰らわせる!!!

 

「グァァァァア――――ッッッ!!!」

 

黒いのがこの世のものとは思えない断末魔と共に爆裂四散する。その爆風を背に、僕はバチバチと弾け輝く僕の霧雨ソードで「K」の字を宙に描き出すのだった……

 

ベルトを外すと僕はいつもの出で立ちに戻った。当然だ。戻らなければ困るのは僕だ。

それにしてもあの不思議な力や沸き上がるテンションは何だったのだろう…そう思っていると、魔理沙が駆け寄ってきた。

 

「香霖!すごいじゃないか香霖!あいつをあんなに簡単にやっつけるなんて、見直したぜ!」

 

「あ、あぁ…ありがとう」

 

そんなやり取りをしているうち、天から厳かな声が響いてきた。どうやら魔理沙にも聞こえているらしく、辺りを不思議そうに見渡しては何だぜ何だぜと騒いでいる。

 

―――喜んでいられるのも今のうちだぞ……小癪な店主よ……貴様の光など、我が軍勢の前では塵も同然…覚悟しておくがよいわ―――

 

おいおい、こりゃなんだ。ヒーローか?ヒーローなのか?僕が?

………まったく……面白いじゃないか!

 

「い……今までとはまるで違う異変に天地明察な大魔法使い様の私も流石にびっくりだぜ……。でも燃えてきたぜ!よし、香霖っ!私も協力するぜ!!正義の力で悪を討ち滅ぼすのだー!ってやつだぜ!」

 

魔理沙も意気込んでいる。

 

「あぁ…いい機会だ。軽い運動がてら、悪を相手に思い切り暴れるとしようか!」

 

 

 

こうして、イカしたヒーローバイナリィレンズ・Kと邪悪な“何か”との闘いが始まったのだった…!!




はい、ヒーローものでした
だっさいヒーローが書きたかった…!
ということで霖之助さんに犠牲になってもらいました。
今後どうなるかも決まっていない見きり発車もいいところな連載になりますが、もしも読んでいただけるのであれば今後もよろしくお願い致します!
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