スカイリムの世界にクラス転移したと思ったら憑依転生だった。   作:如月 怜鬼

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ある人は言った。
「完全主義では、何もできない」と。
書き直したいけどひとまず簡潔だけでも目指して動きます。ヤルゾー

それにしても前回の投稿から2年近くも経過してるんですね……、元号変わってますし。
そんなわけで遅筆ですがどうにかがんばりますのでよろしくお願いします。

三日坊主だけは嫌だな……。


第26話『マッドクラブと鍋と吸血鬼―2』

 愛しのマッドクラブを求めて早数百メートル。沼が大量に見えてきた。

 あれ? ここまでホワイトランの平原って広かったか?

 今ここでこの平原は無限に続くといわれても納得してしまいそうな広さで辟易してしまう。

 ここをまっすぐ進んだらロリクステッドがあるんだろうが……、本当にどこまで続くんだこれ。

 

 俺は汚れを厭うこともなく沼の中へと入っていく。足ぐらいなら靴を脱いでおいて、後で洗えばいい。

 マッドクラブの攻撃? あたるわけないじゃないですかやだー。

 

「……見つけた」

 

 カサカサと動く灰色の岩。これがマッドクラブだ。

 大分ごついが蟹は蟹。大丈夫、中身はやわらかいはずだ。

 流石にリアルとなった今では殺してしまうと食べにくい状態になるので生きたまま捕獲する。やはり手が人間にとって一番有能なツールだと実感する。

 

 3匹の蟹を捕まえた俺はホワイトラン要塞近くを流れる川へと向かう。そこで泥をきれいに洗い落とし、水をくみ上げ鍋に入れる。

 あらかじめ用意しておいた薪に火をつけ、そこの上に鍋をかける。

 蟹はゆでる前に締めなくてはならない。

 生きたままゆでると手足が切り離されるのだと祖母に聞いたりしたことがある。

 冷凍締めというのもあるので、今回はそれにしようと思う。うん、魔法って便利だね。

 

 マッドクラブは重かったが、不思議とそこまで重さを感じなかった。流石、異世界補正。

 

「これはこれは、あの時のお嬢さんじゃないですか」

 

 丁度近くを歩いていたのか見知った男が声をかけてくる。帝国軍兵士の装いをしているパトロール。あれ、コイツの名前何だったっけ?

 姿や声とかなら覚えているんだけども、なぜか名前だけが出てこない。

 

「……久しぶり、ガイル?」

「ガルス、だ」

 

 あーそう言えばそんな名前だったか。

 なーぜーかー、懐かしい気がする。なんでだろうか。

 

「ところで、嬢ちゃんは何やってんだ?」

「見ての通り」

 

 俺は冷たくガルスを突き放し、蟹をゆでるのを再開する。

 あー、これまだ泥が取れ切れてなかったか……。汁とかは飲めそうにないな……。

 

「これって、マッドクラブを煮てるのか?」

 

 苦笑いになりつつ言う。

 蟹はおいしいからね。俺が食べたくなったんだ。仕方ないだろ。

 

「……ん、泥を取るのに失敗した」

 

 湯が茶っぽく濁った汁を見て俺は落胆する。凍らせて上手く取れたと思ったんだけどな……。何が悪かったんだろ。

 コイツでも解剖したらわかるかな。二匹目と三匹目の蟹を見てそう考える。

 

「なあ」

「なに」

 

 よくわからんが聞いて来るガイル。

 

「コイツって、煮たらうまいか?」

 

 知らんわ、これから食って確かめるところなんですが。

 

「食べる?」

「いいのか?」

 

 ガルスの返事に頷くと何故かガッツポーズをしている。

 暫く様子を見ているとマッドクラブは赤くゆであがり、思ったよりも綺麗に仕上がった。

 

「ほー、赤くなるんだな」

「食べたことない?」

「蒸したやつしかな」

 

 そう言えば蒸した料理があったか。マッドクラブだもんな。そりゃ泥は食べたくない。

 

「はい、どうぞ」

「うぉ、あちちっ」

 

 俺はマッドクラブの足をもぎとるとガルスになげる。

 ゆでたばかりのモノは流石に熱かったようだ。やりすぎたかと思ったがスカイリムならちょうどいいくらいだろう。

 

「悪くないな」

 

 ガルスが率直な感想を言う。俺的には塩味がほしいところだ。

 そっと鞄から塩の容器を手繰り寄せて食べかけの脚に掛ける。……うん、確かに悪くない。

 

「塩か、いいな。俺にもくれよ」

「図々しいから断る、……くふ」

 

 ガルスの表情が絶望に染まる。あまりに面白かったので吹き出す。

 

「面白くないだろ!? 塩くらい分けてくれてもいいだろぉ?」

「仕方ない」

 

 パラパラと塩を掛けてやると勇んで食べ始める。

 

「塩があると結構いけるな! 蒸さなくていい分手間もかからないし、雪で代用できそうなのがいい感じだな」

 

 ……雪、それを溶かして使うという手もあるのか。なるほど、参考になる。

 

「おっし、ごちそうさん」

「もう行くの?」

「ん? 残ってほしいか?」

 

 図らずも上目遣いになったようで盛大に勘違いされた。いい笑顔で言ってくるもんだから尚の事質が悪い。

 丁重にお断りしてやると残念そうにしてた。こっちは遠慮したいまであるんだが向こうはそうでもないらしい。

 

「さて、私も出発する」

「出発? どこにだ?」

 

 どこに? そうだな……、星霜の書でも取りに向かおうかな?

 さしあたっては……。

 

「ペイル地方ね」

「ペイルか……。大してみるものはないと思うぞ? あってもドゥーマーの遺跡ぐらいだろう。あそこはややこしい勢力関係だからな……」

 

 元より観光のつもりでもないので十分だ。運が良ければ闇の一党に会えるかもしれないがあまり首を突っ込んで事をややこしくしたりはしたくない。安全に、うん。安全に。

 俺はガルスに別れを告げると歩みをペイル地方へと向けるのであった。




にゅう……、地の文が気に入らぬがどんどん書いていくぞ……!
それを超え、書きたいものを書き上げて……、創作者足りえるのだ……!

そんなわけで区切りがつくところまでしっかり書きます。
打ち切り風ルートを目指すのだ。たぶん書きたいものが加わってくるけど気にしない!

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