機竜使いの異世界訪問記 作:水や氷系統が好きな人
俺こと、織斑一夏は、ほんの少し前までほとんど普通のどこにでもいる、もうすぐ高校生になる中学生だった。唯一他の人と異なる点と言えば、姉の織斑千冬が世界最強の兵器、IS<インフィニット・ストラトス>の操縦者ということぐらいだった。
ところが、俺は何を血迷ったか気づいたら女子高に入学させられてしまっていた。本来なら、俺は普通に何事もなく、藍越学園にいく予定だったのだが。
回りを見回せば、女子、女子、女子…
後ろに二席ほど空いているようだが、この二つもきっと女子なのだろう…
しかも、たちの悪いことに席は教室の一番前のど真ん中。後ろからの女子の目線が俺一人に集まるような事になってしまっている。小学校で彼女が転校して以来、初めて再開できた幼馴染み、篠ノ乃 箒に視線を送れば、目を逸らされてしまった。
そして、後ろを見ないように気を付けようと前を見ると、緑色の髪の女の人が立っている。一応は副担任で、名前は山田摩耶というらしい。彼女に関して、子供が無理して大人の服を着ました、的なことは思っていても言わない方が良いのだろう。
「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね。」
「……」
ちなみに、彼女の挨拶は全員に無視されているようである…
なぜ、俺がこのようなことになっているかというと、それは二月の中旬に行われた高校入試の会場を間違え、挙げ句の果てに建物内で迷子になり、好奇心から触ってみた女しか扱えないと言われていた、ISを起動させてしまったからだ。
そもそも、藍越学園(これで『あいえつ』と読む)と、ここIS学園(これで『あいえす』と読む)名前が似すぎである。
さて、ここで少しISについて説明しておこう。
ISとは正式名称『インフィニット・ストラトス』、宇宙空間での活動を目的にして作られたマルチフォームスーツである。けれども、このISというのは、各国の思惑により『宇宙運用』から『兵器』、そして今は『スポーツ』へと役割が移ってきている。今は、飛行パワードスーツとなっている。
だが、そんないかにも万能そうなISにも一つの、そして世界を変えてしまった重大な欠陥がある。それは、男には反応しないということだ。ISが発表されて以来、この世のパワーバランスは一転し、女尊男卑となってしまった。
「…くん。織斑一夏くん」
「はっ、はい!?」
「あ、あの、大声出しちゃってごめんなさい。怒ってる?怒ってるよね。ごめんなさい。でも、次織斑君の番だから、自己紹介してもらえるかな?」
ぼんやりと考え事をしていると、突然大きな声で呼び掛けられた。いきなりのことで声が裏返ってしまった。回りの女子からのクスクス声がかなりのダメージとなって、襲ってくる。
「えーと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」
俺がなんとか自己紹介をしてみるが、クラスの女子からの『もっとしゃべって』というオーラが半端ない。だが、これ以上何をこの空間でしゃべったらいいんだ。箒に至っては、助け船を出そうという気すら無いようだ。とりあえず何か言おう…
「以上です!」
ずごごご…
クラスの女子達が示し会わせていたかのように、思いっきり倒れかけていた。
そして、俺も…
スパーン!
という音と共に頭に衝撃が走り、同時にその衝撃に普段どこで働いているのかも分からない姉のことが頭をよぎった。
恐る恐る振り向くと、そこにいたのは…
「ち、千冬姉!なんでここに!?」
黒のスーツに身を包んだ、我が実の姉、織斑千冬がそこにいた。
「さっさと座らんか。それから、学校では織斑先生だ」
千冬姉はそう言うと思いっきり、俺の頭を俺の席に押さえ付けた。
「山田君、挨拶を押し付けて済まなかったな。」
「いえいえ、クラスの副担任ですし。それよりも、あの事は?」
「あぁ、今さっき手続きが終わった所だ。」
千冬姉は俺が聞いたこともない声で山田先生を労っていた。そして、どこか真剣そうな、それでいてどこか煩わしそうな声色で話をしていた。
「さて諸君、私が織斑千冬。私の仕事は君たち初心者を一年で使い物になる操縦者にすることだ。私の言うことをよく聞き、よく理解しろ。分からない者には分かるまで教えてやる。逆らってもいいが私の言うことには、『はい』か『Yes』で答えろ。分かったな!」
なんという横暴な発言だ。これはまさしく暴君である。
だが…
「キャーーー!本物の千冬様よ!」
「私、千冬様に憧れて北九州から来ました!」
「あの千冬様にご指導いただけるなんて!」
「千冬様!結婚してください!」
千冬姉の独裁宣言が終わると、俺の後ろに座っているクラスの女子たちによる、窓を揺らしてしまうほどの大歓声が巻き起こった。当の本人はというと、頭を抱えて鬱陶しそうにしているが。
中には、そうとう危ない考えも持っている方もいらっしゃるようだが、ここでは触れないことにしておこう。
「で?お前は満足に挨拶も出来んのか?」
ヤベッ、千冬姉のお怒りが俺に向いてきた。
「いや、千冬姉、その…」
スパーン!という音と共に、再び千冬姉の不可避の出席簿アタックが飛んできた。世界最強の人の手にかかれば、出席簿すら凶器になりうるということを、いつか本人にも体験していただきたい。
「学校では織斑先生だ、分かったな」
「はい… 織斑先生…」
そして、このやり取りによって俺が千冬姉の弟だということがクラス中にしれわたってしまった。クラス中で囁かれているようである。
「さて、後ろに空いている二席について気になっている者もいるだろう。その二席に座るのは早速の編入生だ。今、廊下で待ってもらっている。」
千冬姉の言葉で、俺のことからその編入生へとクラス中の話題が変わった。いや、そもそも入学式の日に編入するなんてどんな事情があったんだ?
そうとう特殊なレアケースということか?いや、はたまた只の遅刻っていうことか?いや、そんなこと千冬姉が許すはずもないか。
じゃ、なんだ?
俺としては、出来れば話が出来る男子が来てほしいのだが。
まぁ、そんなこと有るわけもないか…
「さぁ、入れ」
「失礼します」
そして千冬姉が呼ぶと、その編入生二人が教室のなかに入ってきた。
次回はルクス視点から書いていこうかなと思っています。