機竜使いの異世界訪問記   作:水や氷系統が好きな人

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Episode 3 休み時間

IS学園、入学初日2時限目まで終わった時、学園史上初の男子生徒2名は2人ともそれぞれの難題にぶつかっていた。

 

 

 

これは、マズイ、授業が難しすぎる、エグすぎる…

 

 

一夏の目の前に積まれた、一夏にとっては難解すぎる文字の羅列が書かれているだけの教材は、入学前にもらった参考書を電話帳と間違えて棄ててしまった一夏を助けてくれはしなかった。

 

基本、IS学園に入学してくる生徒というのは、入学試験でものすごい倍率を勝ち抜いてくる優等生、エリートなのである。一夏のように普通に学校に通い、普通に定期考査のための勉強をし、普通の高校に進学することを目的としてこなかった生徒達である。当然のように、授業の予習などは完璧にしてくる。今までの授業で分かったことは、このクラスで一夏は今現在ぶっちぎりの学力最下位王の座を手にしていることだった。そして、山田先生による放課後の補講が行われることも確定してしまった。

 

 

千冬姉に恥をかかせない位にはなんねぇとな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでこうなっちゃったのかな……

 

 

ルクスとフィルフィの二人を含めたこの世界の事を知っているメンバーは、ルクスとフィルフィがこの世界にくる前に束からISについての知識と、クロエからこの世界における一般常識を教えてもらっていたため、勉強面において他のクラスメイトに遅れるような事はしていなかった。

 

けれど、ルクスはフィルフィの爆弾発言を聞いたクラスの女の子達からの質問攻めに合い、IS学園での生活一日目、授業最初のコマを終了した時点で、この先の生活が思いやられる事態に早くもこの世界から逃げ出したい衝動にかられていた。どうやら、どの世界でも女の子にとって恋というものは何よりもおいしい食べ物らしく、時が経つにつれてネズミ算並のスピードで、ルクスという『世界で二番目の男性IS操縦者』が現れたこと、そしてその人物と共に結婚相手も編入してきたという事が広まってしまった。ルクスの周りに集まってきた女の子達は、先程の休み時間の間、途切れることなく次から次へとフィルフィとの関係を質問してきた。当然、その中には答えられない質問もあったりするので、ルクスはうまく誤魔化したり、この世界に来るにあたり束によって(ルクスが知らない間に)作られていた設定を使ってなんとか遣り繰りしていた。

 

ちなみに束の作った設定を大まかに説明すると、ルクスとフィルフィは二人とも幼い頃に親が事故や病気で亡くなっていて、共に日本のとある田舎にある孤児院で育ち、その後IS企業の社長に引き取られた事になっていて、ルクスが束から渡された書類をよく見てみるとなぜかクロエがルクスの姉という設定も入っていた。

 

 

束さん、最初の設定しかあってないんですけど!

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は織斑一夏、一夏って呼んでくれ。これからよろしくな、ルクス。それと、フィルフィだったっけ?よろしくな」

 

「あぁ、うん。こちらこそよろしくね、一夏」

 

「…よろしく」

 

2コマ目の授業が終わるチャイムが鳴ると、過去の経験上、熱が止むまでは女の子達からの質問攻めは終わらないと察して、覚悟を決めていたルクスの所に誰よりも先に一夏がやって来た。

 

どうやら一夏はこの空間の誰よりも、同じ男であるルクスと話がしたかったようである。すでにクラスメイトや他のクラス、学年から生徒が集まってきていたが、集まってきた女子生徒達も男子二人の会話が気になるのか近付いてはこなかった。

 

 

「あ、そうだ。ルクスとフィルフィって幼馴染みなんだよな?」

 

「うん、そうだけど?」

 

「あそこに座ってる髪がポニーテールのやつ、今日久し振りに再会した俺の幼馴染みなんだ。名前は箒っていうんだけど、箒とも仲良くしてやってくれないか?」

 

「うん、もちろんだよ」

 

「おーい、箒。箒もこっちにこいよ」

 

一夏がルクスから返事をもらうと、教室のはじっこの席で一人で座っていた箒に声をかけた。

 

「なんだ」

 

「いや、ルクスもルクスの幼馴染みのフィルフィと一緒にいるんだしさ、箒もこっちにきて話そうぜ」

 

「ふん、別にわたしはいい」

 

箒は一夏に幼馴染み扱いされたことが気に入らなかったのか、一夏をギロリと睨み付けるとぷいっと顔を背けた。

 

「おーい、箒。どうしたんだ?」

 

「……」

 

箒はどうやら一夏の事を無視することに決め込んだのか、むすっとした顔のまま一夏の方を振り向かなかった。

 

 

「えーと、一夏?箒っていつもあんな感じなの?」

 

ルクスは箒の姉である束の異次元のハイテンションに比べて、彼女の妹である箒の性格に僅かながらも驚いていた。

 

「まぁな。俺的にはもう少し…」

 

だが、ルクスの質問に答えようとする一夏の言葉は振り向いた箒の一睨みによって封じられることになった。ルクスは束から個人的に箒と束との今現在の関係を聞かされていて、姉妹の仲直りの糸口探しを頼まれてるルクスにとっては、箒のこの性格は少なからずも痛手だった。

 

 

 

 

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「へ?」「どうしたの?」「くぅ……」

 

高圧的な声が一夏、ルクス、それと既にルクスの体に身を預けてお昼寝をしていたフィルフィの三人に向けて発せられた。一夏とルクスがその声のした方向を向くと、そこには金髪の貴族的な雰囲気の、『いかにも』今どきの女子というオーラを発している女子がたっていた。

 

「まぁ、なんですの!そのお返事は!それにあなたも何時まで寝ているんですの?このわたくしに話しかけられるというだけでもどれだけ光栄なことか分かっていないんですの?」

 

一夏たちの目の前にきて話しかけてきた女子にとって、男である一夏やルクスの友達に返すような返事や、話しかけられても未だに起きようとしないフィルフィの態度は気に入らなかったようで、その高圧的な口ぶりはさらにヒートアップしていった。

 

「え、俺、君が誰だか知らないし」

 

そして、さらに一夏は火に油を注いだ。

 

「このわたくし、セシリア・オルコットを知らない?イギリスの代表候補生にして、入試首席であるこのわたくしを!?」

 

「いや、知らないぞ。ルクスは知ってるか?」

 

「僕も知らないかな…」

 

ルクスは旧皇族として幼少期からこの手の人物を何度も目にし、話してもきたため、これ以上一夏が目の前にいる彼女をむだに刺激しないことを願った。

 

だが、そんなルクスの願いは叶うことはなかった。

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

「なんですの?」

 

「代表候補生ってなんだ?」

 

一夏の質問でセシリアの顔を真っ赤にしてしまい、ついでにこの休み時間の間一夏やルクスを見ていた女子数名もずっこけた。この質問にはルクスでさえ頭をおさえたくなった。

 

「あ、あなた本気でいってますの!?」

 

「おう。もちろん、本気だぞ」

 

セシリアは怒りを通り越して、一夏にたいして呆れ返っていた。

 

「代表候補生とは、ISの国家代表操縦者の候補生、エリートのことですわよ。あなた言葉から想像するとかできないのですか?ISを動かしているというから、少しは知性があるのではと思っていましたけど、わたくしが間違っていましたわ」

 

「今までISとは関わりなんてなかった俺にいきなり何かを期待されても困るんだが」

 

「ふん。でも、わたくしとても優秀で慈悲深いですから、あなたのような人でも泣いて助けを求めてきたら助けてさしあげることも考えてあげますわよ?わたくしは、入試で唯一教官を倒せたのですからね」

 

このセシリアの自らの慈悲深い発言には、聞いていた聴衆全員が心のなかでツッコミをいれた。

 

「うん?入試ってあれか?あのISを動かして動かすってやつか?」

 

「えぇ、そうですわよ。それ以外になにがあるというのですか?」

 

「それなら、俺も倒したぞ?」

 

ルクスは一夏の発言でこの空間の時間が一瞬止まったかのような錯覚に襲われた。

 

「な、な、何ですって!?教官を倒したのはわたくしだけだと聞いていますわよ!あなたも倒したというのですか!?」

 

次の瞬間、セシリアは一夏が教官を倒せていたこと、自分だけが教官を倒せたのではないことに対して驚きを隠せず、一夏をものすごい剣幕で問い詰めていた。

 

この時、ルクスは自身の神装機竜、バハムートの圧縮強化の神装『暴食(リロード・オン・ファイア)』を発動していなかったかどうか無意識ながらも確かめてしまった。

 

そんなルクスに次の瞬間、悲劇が起こった。

 

「さ、さっきから黙っていましたけど、あ、あなたはどうですの!」

 

「そうだった、ルクスはどうだったんだよ?」

 

「えっ!?なんで二人とも僕にも聞いちゃうの!?」

 

「いいから答えなさい!」

 

先程までルクスとフィルフィを放って二人で話していた一夏とセシリアが、ルクスの入試における戦闘の結果をルクスに問い詰めてきたのだ。セシリアに至っては完全に我を忘れていた。

 

「えーと、ほら、僕とフィルフィって編入生だから、そ、その入試は受けれてないんだ。」

 

「そ、そう。それなら、いいのですわ」

 

「まぁ、そうだよな」

 

ルクスの言い分にセシリアと一夏が納得したちょうどその時、次の授業が始まる合図のチャイムがなった。皆が一斉に席に戻っていくなか、セシリアは一夏に「次の休み時間に話がありますわ」といって戻っていった。

 

 

「ふぅ、助かったー」

 

「ふぁ~、ルーちゃん、おはよう」

 

フィルフィは可愛らしい欠伸をしながら、千冬が入ってくるとようやくお昼寝を終えた。




最弱無敗のバハムート11巻でついに、ドレイク型の修復機能が御披露目されてましたね。

ドレイク型の修復機能の詳細が気になっていたので良かった、良かった。


(装甲機竜にはISのような自動修復機能は備えられてありませんから。)

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