the Garden of demons   作:ユート・リアクト

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悪魔の境界  中編

 

 

『しゃ、喋ったぁ!?』

 品がないと分かっていたけど、私こと両儀式は思わず叫んでいた。我ながら健康的だと思う。

 幹也と鮮花はもちろん、見ればトウコでさえ度肝を抜かれた様子だった。琥珀色の瞳が、まるで幽霊でも目撃したかのように見開かれている。

「聞いての通りだが? 口を利けぬという自己紹介など、したかの?」

「そうじゃ。したかの?」

 ダンボール箱のなかに入った、二振りの剣。

 不気味な人の顔を象った、その柄の部分が流暢な人語で話しかけてくる。

 これだからトウコの言うことは信じられない。これのどこが、物言わぬ低級悪魔のなれの果てなんだか。

 年季の入った口調には、知性がある。私が倒してきたザコ悪魔とは格が違う存在だ。それは認めなければならない……こいつらの声が、こないだ幹也のアパートで観た、あるアニメの登場人物に似ているところが気になりつつも。

(歌がド下手なガキ大将と、とんがり頭の金持ち息子の声に、そっくりだ)

「えーと……君たちは?」

 そんなことを考えていた私をよそに、幹也が声をかける。

 邪悪な悪魔が姿を変えたという二振りの剣に対して、だ。

「ほら、君たちの言うとおり、自己紹介がまだだったよね。僕は黒桐幹也って言うんだけど、君たちは? 名前とかあるのかな?」

 ……こいつのこういう無防備なところが、私は怖い。たしかに相手を知るために会話は必要かもしれないけどさ。

 相手は人間に害為す存在なんだから、もう少し警戒してかかれよ、ばか幹也。

「悪魔を相手に名乗りを上げるか、うかつな小僧め。それで我らが名乗り返すとでも思うたか」

「兄者の言うとおりじゃ。弁えよ、人間」

「力無き者に教えてやるほど、我らの名は安くはないぞ」

 自らの偉大さを誇示するような、高圧的な物言いに、むしろ鮮花のほうが逆上する。

「兄さんに向かって、なんて口の利き方!」

 目をつり上げた鮮花が、片割れに『兄者』と呼ばれている赤い剣に手を伸ばす。

 地獄の炎を連想させる色をした剣を、恐れてもいない。こいつのこういう怖いもの知らずなところが、私は嫌いじゃなかった。少なくとも幹也の無防備さよりは攻撃的で、私の性格に通じるものがある。

「待て、鮮花!」

 赤い剣の柄を掴んだ鮮花を見て、それまで黙していたトウコが慌てて声をあげる。

 制止の声は、しかしあと少しだけ遅かった。

「悪魔のくせに生意気よ、へし折ってやるわ!」

 床に叩きつける気だろうか。鮮花は細腕に似合わぬ力強さで、赤い剣を高々と振り上げた。

 振り上げて、しまった。

 そうしてダンボール箱から取り出された魔性の刀身が、事務所の空気に触れた瞬間、

 

 

 ずるり、と。

 世界が反転した……そんな感覚に、私たちは襲われた。

 

 

「遅かったか!」

「……え、え?」

 歯噛みするトウコの目には、いつもの余裕がない。

 露骨に変質した事務所の空気に、鮮花は怒りも失念して戸惑っている。

 まるで怪物の胃袋のなかにいるような、えも言われぬ不安と圧迫感。窓を開けてもいないのに、どこからともなく生温かい風が吹き、腐臭まで漂ってくる。

 私はいつでも幹也を庇える位置で、緊張に身を引きしめた。

「結界がまるごと切られたか……これは大変なことになったぞ、式。私の影響下から逃れ、下の階のモノが溢れだしてしまった」

 トウコの言葉に、私は絶句するよりなかった。

 うんまあ、これはアレだな。いわゆる〝最悪の事態〟ってやつだ。

「私が式に頼んで人知れず悪魔を始末していたという話はしたな、鮮花?」

 事情を理解できず、目を白黒させるばかりの愛弟子に説明をするトウコ。

 心無し、その声は厳しい。気丈なはずの鮮花が、まるで母親に叱られる子供のように肩を小さくしている。

「式に倒されて実体を保てなくなり、ガス状になった悪魔を、私は封印して下の階に管理していたんだ。凄まじい魔力を持った、それこそ魔具のような強力な武器による攻撃でなければ、奴らを魔界に送り返すことはできないからな。もちろん霊格のない通常兵器でも悪魔を倒すことは可能だが、それは依り代という肉体の代替品がなくなり、悪魔がすごすごと引き返すしか他になくなるまで攻撃するという、徹底的な破壊だ。それだけ周囲に及ぼす被害も大きい。実力の高いデビルハンターほど、報酬以上の損害賠償をこしらえることが多々あるのは、そのためだな。だが私は、できるだけ奴らの痕跡を残さずに始末をつけたかった。下手に目立ちすぎると『協会』の追手にも見つかってしまうしな。だからこそ悪魔を封印して管理するという、あまりやりたくなかった方法を取るしかなかった」

 気持ちを落ち着けるためだろうか。

 トウコは、こんなときだというのに普段と変わらない調子で煙草を取り出し、火を点けた。

「だが、私の結界が消失したことによって封印も破られ、下の階のモノが一斉に解き放たれてしまった。私の工房なら肉体の代替品となる依り代も、腐るほどあるからな。つまり奴らは身支度を整え、いつでもパーティーを始められるというわけだ」

「そ、そんな……それじゃ悪魔が、事務所の外に繰り出して街の人たちを襲うってことですか!?」

 顔を蒼くした鮮花の叫びは、ほとんど泣き声に近い。

 事態のヤバさを理解した以上、無理もない話だけどな。

「あぁ、まだその心配はしなくていい。私の結界が消失した直後に、奴らが結界を張り直している。自分たちを閉じ込めた腹いせに、まずは私たちを殺すつもりだ。この悪意ある結界は、さしずめ檻といったところか。狩りをするときの常套手段だからな、獲物を逃げられないようにするのは……まるで怪物の胃袋のなかにいるような圧迫感も、そのせいだな」

 とりあえず、いきなり悪魔が街を襲う、なんてことはないみたいだが、だからといって全くありがたい話でもない。逃げ場ナシの限定的な空間で悪魔どもと殺し合い、か……嫌いなシチュエーションじゃないが、さすがの私も危ないかもな、こいつは。

「本当、大変なことになってしまった……私の結界をまるごと切り開くなんて、そう起こり得ることじゃないんだがね。だが、口を利かぬはずの魔具が口を利き、低級悪魔にはない知性まで持ち合わせていた……この時点でもう、嫌な予感はしていたんだ」

 トウコは、そう言って結界を破壊した張本人……鮮花がその手に持つ、湾曲した赤い剣に詰め寄った。

「歴史を積み重ねた武器は、それだけで魔術に対抗する神秘になる――答えろ悪魔。貴様、一体どんな年代物の概念だ」

 トウコは決して大声で怒鳴ったわけじゃない。

 だが橙色の魔術師の声には、答えをはぐらかすことを許さない、有無を言わせぬ迫力があった。弟子としてトウコという魔術師の本性を知る鮮花が、ごくりと喉を鳴らしている。

 だが赤い剣は、まるで意に介した様子もなく、ただ質問されたから答えるような気軽さで口を開いた。

「我ら兄弟を打ち破った、かの魔剣士により『塔』の門番を命じられたのが、そうさなあ……たしか二千年前のことだったと思うが、そのときには既に高位悪魔として存在していた。我らが誕生した起源など、今となってはもう、思い出せぬほど遠い昔の話よ」

 過去を懐かしむような声で、赤い剣は語る。

 ポロリ、と。トウコの唇から、火を点けたばかりだというのに煙草が落ちる。その両肩が、なにか度し難いものにでも遭遇したかのように、わなわなと震えていた。

「二千年以上は存在する概念だと……ふ、ふざけるなッ! 何でそんなものが、タダも同然の値段で市場に出回る……!?」

 不条理に抗議するかのような仕草で、トウコが声を荒げる。この女がここまで感情的になるのも珍しいな、と思っていると、不意に異変が起きた。

 部屋の片隅の空間に、ぼんやりと蜃気楼のような影が立ち現れる。それが次第に人のようなカタチを備えると、いきなり私たちに向かって飛びかかってきた。

 飢えた捕食獣のように動く、塵から生まれた黒い影――それは漆黒のトーガに身を包み、死神の大鎌を携えた、おとぎ話に語られる通りの悪魔の姿だった。

「幹也、危ないっ!」

 鮮花の緊迫した声。

 この場で最も仕留めやすい獲物を理解している悪魔は、まっすぐに幹也を狙って大鎌を振り下ろしていた。鮮花が兄を守るように割って入ろうとするが、間に合わない。だが私は、いつでも幹也を庇える位置にいた。

 私はナイフを取り出し、悪魔を睨みつけた。……塗り潰されたかのように幾重にも絡み合った、死という黒い線が視える。ここまで殺しやすい存在も珍しい……生きているのかさえ不確定な、まっとうな生き物じゃないのだから、当然か。

 死そのものな黒い影に、さっとナイフを滑り込ませる。狙いなどつけていない。それで構わなかった。こいつら相手じゃ、どこもかしこも死が潜在していて、急所を外すほうが難しいくらいだ。

「死の塊が、オレの前に立つんじゃない」

 私がナイフを引き抜くと、音をたてて黒い影が崩れ去る。跡形もない消滅。砂を寄り集めた肉体が、死という繋ぎ目を切断された結果だ。灰は灰に――塵は塵に帰る。

「ほう、直死の魔眼か」

「器物に憑りつくしかない、綻びだらけの低級悪魔には天敵とも言える能力だな」

 双子の剣が、ひと目見ただけで私の力を看破する。なるほど、伊達に二千年以上も生きていない、ってことか。

 だが感心してる場合じゃなかった。見れば、事務所内のあちこちから黒い影が出現しつつある。

 ただでさえ狭苦しい事務所の中、徒党を組んだ悪魔どもを前にするプレッシャーは、並々ならぬものがあった。

「下がってろ、コクトー」

 私は幹也を壁際まで押しのけ、前方の悪魔に切りかかる。

「し、式ばっかり美味しいところを持っていかせないわ!」

 赤い剣を手放した鮮花の、なぜか焦った声。

 鮮花は空いた右手に革製の手袋をはめ、その右手を引きつけるように構えた。

 ダン、という踏み込みから撃ち出された右のボディ・アッパーが、悪魔を直撃する。

「AzoLto――!」 

 短い詠唱とともに燃え上がる、人のカタチをした黒い影。

 そうして火だるまとなった悪魔は吹き飛び、派手な音をたてて書棚に激突した。

 ドサドサッ、と大量の本が散らかった床にぶちまけられる。

「お、おいおい! ちょっと待て、おまえたち。私の事務所で暴れ回るな!」

「言ってる場合じゃないだろ!」

 組手の要領で私が投げ飛ばした悪魔が、トウコの事務机に落下する。

 ベキベキィ、と木材がへし折れる音。

「ぬぉっ! わ、私のデスクが真っ二つに!? あの黒檀の机、まだ借金が残っていたんだぞ!」

 トウコの似合わない悲鳴を聞いて、私と鮮花は、たぶん気を良くしてしまったんだろう。

 蒼崎橙子という人物は、常からして他人をからかって愉しむ癖のある、たいへん困ったやつだ。

 普段の腹いせに、あえて事務所内に被害が出るような立ち回りで暴れる、私と鮮花。

 応接用のソファが舞い上がり、うず高く積まれたブラウン管のテレビの山が崩落する。

「ああああああああ」

 悲鳴とともに頭を抱えるトウコを見て、私は戦闘中だというのに吹きだしそうになった。

 鮮花も笑いを堪えるのに必死な様子である。以前、他人の不幸は蜜の味という話を聞いたことがあるけれど、あの話は本当だったようだ。腹筋が引きつりそうで戦闘に集中できやしない。それでも私と鮮花は、着実の悪魔を倒していったが。

 だというのに敵の数が減らない。空間の歪みから無限に現れては、こちらに向かってくる。

「えぇい、次から次へと!」

 焦れた鮮花が声を荒げる。

 私も埒があかないと感じていた。敵の数は減るどころか、むしろ増えているようですらある。

 ここで生まれる疑問――悪魔にもピンからキリまで、様々な種類が存在するという――例えばの話、後方支援に特化した悪魔がいるとしたら?

「そういえば、オレが倒した悪魔の中に、仲間を呼び寄せるやつがいたな」

「何でそんな大事なことを忘れてるのかしら、このうっかりさんは!」

 鮮花の罵倒ももっともだが、突破口を見つけたことで、また新たな問題点に気づく。

 後方支援という性質上、問題の悪魔は間違いなく戦線の最後列にいる。

 その場所は――伽藍の堂、三階。私とトウコが悪魔を封印していた、階下の魔術工房!

(だけど……)

 私は厳しい眼差しで前方を見た。まるで無限を見ているかのような、悪魔の群れ。

 階下に辿り着くためには、この包囲網を突破しなければならない。だが私は、幾重にも居並んでいる悪魔の密集度に、あらためて歯噛みする。くそ、ナイフじゃダメだ。単純に攻撃力が足りない。せめて、もう少しリーチのある長物がここにあれば……

 ないものねだりの弱気に付け込まれた、そのときだった。

 

 

「力が欲しいか?」

 

 

 正真正銘、本物の悪魔の囁きが、私の耳朶を打った。

 声のした方向を振り向く。見れば、鮮花の手放した赤い剣と、その片割れの白い剣とが宙に浮き上がり、こちらを見下ろしていた。

 畏怖と、どこか偉大ささえ感じる光景。

 幹也と鮮花はもちろん、私とトウコでさえ息を飲んで双子の剣を見上げる。

 悪魔に取り囲まれているという状況も、今は意中になかった。

「普通、人間に助力を申し出るような我らではないが」

「久方ぶりの出番じゃ。思う存分に暴れてみたい」

 壮絶な闘争を期待する、暗い声。

 こいつらやっぱり悪魔なんだ、と私は再確認した。こいつらの声がジャイ○ンとス○夫に似ていて、その風格を台無しにしてはいるが。

「それに、ただの小娘と思って見ていれば」

「うむ。なかなかに大きな闘気をしておる」

「その意気や良し。――シキにアザカ、といったな?」

「今この時だけ、お主らを仮初めの主人として認めよう」

 たしかに一点突破の強大な攻撃力が要り様だった私にとって、これは願ってもない申し出だった。

 だけど、さ……

「我が名はアグニ」

「我が名はルドラ」

 私は皮肉に肩をすくめるよりなかった。

「我らを手に取るがいい」

「我ら兄弟が力になろう!」

 幸運の女神さまが寄越したのが、まさか悪魔とはね。

「……あぁ、よろしく頼むぜ。だけど、あいにく二刀流の心得まではないんだ。オレが持つのは一本だけでいい」

「よかろう。汝がそれを望むなら」

 ルドラと名乗った白い剣が、そう言って飛来し、私の手に収まる。

 柄を握りしめた瞬間、私は脳の機能が切り替わるのを感じた。青竜刀のような形状に一抹の不安を覚えたが、どうやら日本刀でなくとも自己暗示による洗脳は有効らしい。これより両儀式は、ただ殺し合うためだけの肉体に変貌する。さしずめ私自身が、一振りの剣とでもいったところか。

「さて、と……待たせたな、おまえたち」

 気を取り直して私は悪魔どもに向き合う。

 部屋の出入り口までひしめく悪魔の数は、ざっと十三体……試し斬りには、ちょうどいい。

「いくぞ……!」

 私は右手のルドラに呼びかける。

 白い剣は猛々しい声で呼応した。

「我が力は風! 我が力の加護は汝を包み込み、逆らう者をすべて吹き飛ばす!」

 ルドラの力強さに背を押され、事務所の床を蹴りつける。

 すると身体が爆発的に加速して私自身が驚いた。冗談だろ。なんて速いんだ!

 ルドラの与える風の加護は、重力のくびきを完全に断ち切っている。まるで翼を得たかのような速力……本来が身の軽い私との相性は、恐るべきものがあった。

 疾風そのものと化した私の踏み込みに、どんくさい悪魔どもが対抗できるはずもない。

 ルドラの剣先が、あり得ないスピードで大気を斬り裂く。

 幾重にも折り重なる包囲網の隙間を縫うようにして私が駆け抜けた直後に訪れる、真空にも似た静寂と、一瞬の空白。

 次の瞬間にはもう、悪魔どもの体表に出現する、いくつもの〝切れ目〟……その後の末路など、あえて語るまでもない。

「――やるな」

「当然だろ」

 憎まれ口を返す私は、しっかりと視た。

 私に斬られた瞬間、耳には聞こえぬ絶叫を残して消滅していった、異形の魂を。

 ――強力な武器を手に入れた。あとは地獄の亡者を、あるべき場所へ送り返そう。

「何してるんだ、鮮花。モタモタしてると置いてくぞ?」

 階下までの道は拓けたとはいえ、まだ根本の解決には至っていない。

 早くしないとまた増援が来る。仲間を呼び寄せられる前に食い止めなくっちゃな。

「待ってよ式! わたしまで離れたら、一体誰が幹也を守るっていうの?」

「む」

 確かに、それは盲点だった。

 いちおうトウコが事務所内に残るが、あいつは戦闘向きじゃない。幹也を任せるには一抹の不安がある。

 そんなことを考えている内に、また悪魔の一団が出現した。しかし……

「――あぁ、その点は心配しなくていいぞ」

 煙草の火で虚空に描かれた文字が、意味をなす。

 F(アンサズ)と。

「事務所をめちゃくちゃにされた私は、とても虫の居所が悪くてね――あまり趣味ではないが、ひと暴れしたい気分なんだ、これが」

 牙を剥くような笑みで嘯く魔術師の足元には、焼き尽くされた悪魔が数体、転がっている。

 かつて私が見たときとは比べものにならない火力……これなら安心して幹也を任せられる。

「この場は私が預かった。式と鮮花は下の階に行って、さっさと大元を叩いてこい」

 言われるまでもない。

 私はトウコに背を向け、勢いよく走りだした。

「ちょっと待ってよ! ああもう、ばか式! 待ってったらっ!」

 鮮花の声と慌ただしい足音。

 それに遅れて、事務所の騒音が聞こえてくる。

「ちょ、ちょっと橙子さん!? そんな見境なく攻撃しないで……って、うわわっ!? いま僕の服がジュッていったジュッて!」

「巻き込まれてくれるなよ、黒桐。今の私は手加減なんぞしてやれないからな!」

「手加減ナシは僕の安全を保障してからお願いしますっ! じ、事務所を荒らされて苛立つのは分かりますけど、だったらこれはリフォームのきっかけになったと思って前向きに考えれば……」

「おまえなあ、ただでさえ私は借金まみれなんだぞ! そんな金払えると思ってるのかああっ!?(泣)」

「うわーん! 橙子さんが泣いちゃったああっ!!(泣)」

 ……ちょっとトウコに対する腹いせが過ぎたらしい。

 とばっちりを受けた幹也の無事を祈りつつ、私は悪魔の溢れる階下へと急いだ。

 

 




 月の労働残業時間は安定して八十時間を超えるユート・リアクトです。転職するなら、おっぱぶがいいです(ぉぉ
 久しぶりに一ヶ月以内の更新ができました。前回の後書きで前編と後編の二部パートにすると言いましたが、長くなりそうだったので中編を差し込みました。全部で三部パート。これはまあ、楽しみが増えたと思って何卒ご了承くだせぇ<(_ _)>
 個人的な好みで、どうしても橙子を贔屓して描写してしまいがちですが、こんな橙子もアリ、と受け入れていただけたら幸いです。苦情や感想は随時、受け付けております。
 でわでわ。
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