セカイにヘイワはおとずれなぁあい!! 作:ガジガジムシ
ここは魔王キャッスル。魔王の部屋の入り口。魔王の"部屋"というが、実際は地下まで続く地層が続くのみで、部屋という部屋ではない。更にその部屋と部屋自体も"リセット"したり、数刻前の状態に戻す事が出来る。まさに、魔法の部屋、とでもいうのだろうか。
その入り口という名の魔王の寝室に、一人の男が入ってくる。紫色のオールバックのような髪型に黒いオーバーコートのような物を羽織る、何処か弱そうな青年。つまる所"魔王"である。
彼は部屋に繋がるドアを横切り、バルコニーへと移動する。そして息を大きく吸い込んで、
「せかいに平和はおとずれなぁあい!!」
と一人で叫んだ。大声を出した後の彼はとても清々しいほどの笑顔である。
「んん……やはりいい響きだ。1日一回、この時間帯に世界の中心でナアイ!! と叫ぶ。コレが魔王、コウフクとケンコーのヒケ……」
魔王が視線をずらした先には細長い台座、その上には「押すなよ? 押すなよ⁉︎」という文字が書かれたボタンが。魔王は近づいて行った。
「やや! こんな所にスイッチが! なんだか前にも似た展開がありましたけど、ダイジョブなんでしょうか。チョサクケンとかデジャヴとか、ガイコウモンダイとか……」
一瞬だけ考える素ぶりを見せるが、すぐに押す事を決意する。さすが魔王、テキトウだ。
「ま、押せばなんとかなるんじゃね? それ、ぽティっとな!!」
……ゴゴゴゴ——ッ!!
世界が揺れ始めた。
「ん、んん? あ、あれれれ??? え……えぇぇえええ!!?」
世界が変わったぞ!! おめでとう、マオウ!!
「ちょ、ちょっとテロップさん! なに変な事言ってるんですか! そんな事言われても困りますよ! 私、ムスメへのタンジョウビプレゼント買ってないんですよ!」
そんな事言われても知らん。頑張ってくれ。
「むむむ……ムスメの為にも早く帰らねばならん……。どうすれば……お⁉︎」
その時、魔王に電撃が走った。何か、懐かしい感じがする、とマオウ。周囲を探して見ると……いた。
「あ! この見事でマガマガしいツルハシは⁉︎ も、もしや貴方様はこの私とちょくちょく世界をセイフクしている破壊神様では—⁉︎」
——はい。
「やはりそうでしたか。
「それにしても、世界セイフク。懐かしいですな……あの時は何もかもが楽しかった——」
マオウは顔を一瞬だけ暗くして、
「あの頃はまだ、ジャンボニジリゴケも美味しかった……。あの頃はまだ、****もいなかった……。あの頃はまだ、じゃしんもニートには……いや、そういえばなっていましたね。バリバリコ◯ラがぶ飲みしてました」
気を取直して! と一言、気持ちを入れ直した。
「それでは破壊神様! 早速また世界をセイフクしていきましょう!」
——いいえ。
「ええ⁉︎ ちょ⁉︎ マジで!!?」
そんなマオウの悲鳴が魔王キャッスルに響いたとか、響かないとか。