やばい。鼓動がやばい。
え?何?僕何て言われるの?通行人が明日死刑執行される死刑囚を見るような目でこちらをチラチラ。やめてほんとやめて。
すると、女の人が口を開いた。
「ーーーさっきはごめんなさいね。私の勘違いだったわ。ところで、貴方の名前は?ーーーいけない。自分が先に名乗らないとね。私はリナイザ・フォーティルよ。よろしく」
ーーーリナイザ?あれれ、そんな名前、どこかで聞いたような。もしやと思い、質問してみる。
「僕は、ライト・マグデドールって言います。リナイザさんって、もしかしてネデリュセルク学園の生徒さんですか?」
「ライト。良い名前ね」
「ありがとうございます」
「…」
「…」
え?質問、答えてくれないの?仕方がないので、もう一度質問する。
「ネデリュセルク学園の生徒さんですか?どこかで聞いたような気がするんですけど」
「ええそうよ。ネデリュセルク学園の精鋭戦闘科を卒業したわ。首席でね」
首席!?ってなったが、一瞬で意識を戻した。
あ、これ、僕、とんでもない人に関わっちゃったんじゃない?ここは適当にそれっぽい事を言って、ささっと立ち去るぞ。
「首席!?す、すごいですね。でも、僕は第九十三位ですよ?なぜ「よろしく」なんて?」
「あれれ?聞いてなかった?私、貴方とパーティを組みたいのよ」
…え。
………え。
……………え?
…………………ゑ?
今までですますだったのも忘れて、リナイザさんに飛びかかっていた。今考えたらなんで僕ですますなの?
「え、それ本当!?あざっす!あざっす!圧倒的感謝!でもなんで僕なんかとパーティに!?」
「え、ええ。順を追って説明するわね」
そして、全てを分かりやすく教えてくれた。
僕のある「能力」を偶然目撃したこと。
僕という人間の持つ「能力」を調べ倒したこと。でも、それでも見つからなかったこと。
そして僕とリナイザさんの両方の友達を通して、僕にコンタクトを取ろうとしたこと。
コンタクトを取ろうとする最中に痴漢に会い、今に至ること。
「ーーー僕の「能力」、大したものじゃありませんよ?」
「いいのよそれでも。貴方がどうって事ないと思っていても、私にとっては大問題なのよ」
「分かりました。僕の「能力」はですね」
そう言って、そこら辺に転がっている石ころを拾い上げた。
それを、隅々まで観察する。
更に触った感覚や重さまで把握して。
最後に、眼を閉じて同じ物を想像する、と。
拳の中に、もう一つ、全く同じ石を創り上げた。