戦国†恋姫~織田の美丈夫~   作:玄猫

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※ 前回更新は昨日の22時29分となっております。
  間隔が短いのでご注意ください。

今回の幕間は短めになっております。
甘々成分が多めですので、苦手な方はご注意ください!


幕間
幕間1 織田家の問題児


「なぁ新介~」

「何よ、小平太」

 

 刀を研いでいた新介にゴロゴロしながら小平太が声をかける。

 

「蘭丸さまってさ、久遠さまのこと好きだよな」

「そうね。大好きじゃないかしら」

 

 興味なさそうに刀をいじる新介。

 

「いやいや、蘭丸さまの久遠さま好きは異常だって!」

「何よ、久遠さまだって立派な殿様なんだから、蘭丸さまが惚れ込むのもおかしくないでしょ」

「ん~、そうだけどさぁ。なんていうか、どうやったらあそこまで好きになれるのかなーって」

「あれ、新介さんに小平太さん。何の話ですか-?」

 

 洗濯物を取り込んだのだろうか、手に服の入った籠を持ったひよ子が通りかかる。

 

「あ、ひよー。いや、蘭丸さまって久遠さまのことが好きじゃん。なんであんなに好きなのかなって」

「う~ん、そうですねぇ。前に蘭丸さまに久遠さまのどこが好きか聞いたら数分間ずーっと語り続けてましたよ」

 

 苦笑いを浮かべながらひよ子が言う。蘭丸の久遠好きは筋金入りらしい。

 

「でもさ、蘭丸さまってああ見えて男じゃん?久遠さまのこと異性としてどう思ってるんだろうなぁ」

「!……異性として……?」

 

 今まで大して反応を見せなかった新介が何故か反応する。

 

「ん、うん。久遠さまがどう思っているのかも分かんないけどさ。蘭丸さまが男としてどう思っているのか気にならない?」

「言われてみればどうなんでしょうね」

 

 うーんと首を傾げながらひよ子が考える。

 

 

「むぅ、また婚姻の誘いか……」

 

 壬月から差し出された文を鬱陶しそうに放る久遠。

 

「……殿、お気持ちは分かりますが、一応目を通していただくべきかと」

「いらん。訳からずな男と婚姻などする気はない」

「はぁ……そうは申しますが、殿も何れは……」

「えぇい、今はその気はないと言っておる!」

 

 眉間を押さえながら壬月はため息をつく。また代わりに断りの文を……麦穂に書いてもらうしかないかと。この件に関しては蘭丸を間には挟めない。それは久遠の意志であり……織田家の総意でもあった。

 

 

「織田三郎信長殿にお取次ぎ願いたい!」

「信長さまに何用でしょうか」

「……なんだ娘。女中に用はないぞ」

 

 蘭丸に一瞬見惚れた伝令の武士は咳払いを一つすると、蘭丸に言い放つ。

 

「私は織田三郎信長さまに仕える小姓、森成利と申します。ご挨拶が遅れて申し訳ありません」

 

 明らかに失礼な物言いの使者に対して丁寧に返答する。

 

「お、おぉ、これはこれは。かの有名な成利どのでしたか。いやはや、お噂以上の美しさ、某勘違いをしてしまいました」

「いえ、慣れておりますので。……それで、信長さまに御用とは?」

「はい、出来ることならば直接と思っておりましたが……成利どのであれば問題ありますまい。……恐れながら我が主は織田三郎信長殿と婚姻を結びたい、と」

 

 使者の言葉にピクリと蘭丸の眉が動く。それはあまりに微かな変化で恐らく家族や久遠などでしか気付けないものである。

 

「……く、久遠さまと、ですか……?」

 

 表には出していないが、蘭丸が動揺しているのが分かる。

 

「えぇ。織田と我らが手を結べば天下も夢ではありませぬ。共に天下を……」

「失礼ですが」

 

 微笑みを浮かべた蘭丸が口を開く。

 

 

 ……織田家が本当に恐れている事態はすぐ目の前まで来ていた。

 

 

「し、失礼するっ!!まさかこんなに無礼なことを言われるとは思っても見なかったっ!!」

 

 壬月が久遠のもとを辞して門の傍を通りかかったとき、大声が耳に入ってきた。何事かと足早に見に行くと、そこにはどこかからの使者らしき姿と蘭丸の姿が。一瞬唖然とした壬月であったが、すぐに状況を察し。

 

「さ、三若っ!」

「「「はいっ!!」」」

「すぐに今走り去った使者を連れ戻せ!」

 

 三若が奔っていったのを見て久遠のときと同じくこめかみを押さえて蘭丸へと歩み寄る。

 

「あー……蘭丸。なんとなく予想はついているが、先ほどの男は何者だ?」

「はい、恐れ多くも久遠さまと婚姻を結びたいと、そう言っておられましたので少し質問をしただけなのですが……」

 

 不思議そうに小首をかしげる蘭丸。……またか、と壬月は思いながらどうしたものかと思案する。壬月の苦労はまだ増えるようだ。

 

 

「お蘭、また使者を追い返してくれたそうだな!」

 

 満面の笑みで蘭丸に言うのは勿論久遠だ。今日も今日とて蘭丸は久遠の屋敷に泊まりだ。

 

「申し訳ありません。ただ普通に質問してただけのつもりだったのですが……」

 

 少し困ったような表情で蘭丸が言うと結菜が苦笑いを浮かべながら二人の前に膳を並べていく。

 

「蘭ちゃん、また壬月に怒られるわよ」

「はい、怒られてしまいました。……ですが、久遠さまに相応しい相手なのかどうかを見極めるのも私の仕事ですから」

「うむ、お蘭に任せておけば大丈夫だな」

「……まぁ、久遠と蘭ちゃんがそれでいいのならいいんだけど」

 

 意味深なことを言いながら結菜も自分の膳を置き座る。

 

「蘭ちゃんは久遠のこと異性としてどう思ってるのかしら?」

「……異性として、ですか?」

「そうよ。久遠のことを慕ってるっていうのは分かるんだけど、蘭ちゃんも男じゃない?」

「く、久遠さまはとても魅力的で、あの……」

 

 頬を染め、もじもじとする姿は女子のそれである。

 

「な、何か我まで照れるな……」

「あら、いいじゃない。異性としても久遠のこと好きって言ってくれてるみたいだし」

「う、うむ。お蘭、わ、我もその、好きだぞ?」

「あ、ありがとうございますっ!!」

「はいはい、ご馳走様。……で、蘭ちゃん。私は?」

「勿論大好きです!」

「ふふ、ありがと。でもやっぱり久遠にはかなわないかぁ」

「ふふん、我とお蘭であるからな!」

 

 

「……うん、きっと蘭丸さんは久遠さまを異性としても好きだと思います!」

 

 一時考え込んでいたひよ子が言う。

 

「そうだよなぁ。……久遠さまも蘭丸さまのこと好きだろうし……ってことは、いつかは蘭丸さまって織田家のお殿様になるのかも!?」

「何馬鹿なこといってんのよ。そんなこと言ってるの誰かに聞かれたら怒られるわよ」

「えー……でもさ、そうなったらもしかするとボクたちも大出世するかも!?」

「も、もし蘭丸さんに求められたら……」

 

 ボソリとひよ子が呟くのを聞いた新介と小平太が顔を赤くする。

 

「そそそ、そんなことあるわけないでしょ!?ひよったら変なことばっかり!」

「ごご、ごめんなさい!」

「……へへ」

「ちょっと小平太!何変な想像してるの!?」

 

 きゃいきゃいと騒ぐ三人。

 

「あら、どうしました?なにやら楽しそうですね」

「っ!?ら、蘭丸さん!?」

「どうしたの、ひよ。そんなに慌てて」

 

 そこに現れたのはたくさんの野菜をはじめとした食材を持った蘭丸と転子。

 

「ら、蘭丸さま!そのような荷物私が……」

「ふふ、いいんですよ。ころと二人で買出しにいったらおまけを沢山頂いてしまいまして」

「あはは、私もびっくりしました」

 

 蘭丸と転子が笑いあいながらそういう。ひよ子たちはぽかんとした表情で二人を見る。

 

「?どうかした、ひよ」

「い、いやぁ、なんでもないよ!」

「おかしなひよ。蘭丸さん、早く昼餉の準備をしましょう」

「そうですね。出来たら呼びますからすぐに食べられるようにしておいてくださいね」

「「「はぁい」」」

 

 蘭丸と転子が立ち去った後、しばしの沈黙が続く。

 

「なぁ、ひよ。もしかしてさ、ころって意外な伏兵だったりする?」

「あはは……二人で任務に行ってからすっごく仲良くなってますよねぇ」

「……むぅ」

 

 苦笑いのひよ子と少し悔しそうな新介。そんな二人を見て小平太はため息をつく。

 

「蘭丸さまみたいな人のことを人誑しっていうのかなぁ」

 

 

「剣丞~、これ運んでくれる~?」

「了解!……って、何で俺が一発屋手伝ってるんだよ」

「それはボクの台詞だよ!」

「アンタたちがいくら言っても騒ぐからでしょ!いいからちゃっちゃと働く!それにしても剣丞は結構筋がいいねぇ」

「う~……後は剣丞くんに任せて雛は帰ろうかな~……とか思っちゃったり……」

「犬子も……」

「何か言ったかしら?」

「「「「いえっ!!」」」」

「宜しい。……まったく、あんたらは……」

 

 もう一人の人誑しもしっかりと三若やきよと親交を深めていたりする。




剣丞隊の中では詩乃、転子が好きな作者です(ぉぃ
本編だとひよ子と転子はセット扱いでしたからねぇ……

転子、可愛いと思うんだけどなぁ……


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