とある科学の元魔術師   作:珠風船

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 初めての小説の投稿です。これから頑張っていきます!!

 原作をまだ9巻ぐらいまでしか読んでいないのでいたらぬ場所もあると思います。


 ではどうぞ


第1章:序章~魔術から科学へ~
第1交差:僕の仕事は患者を治すことだよ


 

 

 『学園都市』

 

 

 日本の東京西部を中心として神奈川・山梨・埼玉にまたがる円形の巨大都市。その総面積は東京都の3分の1の大きさを誇り、街の外周部は高さ5m・厚さ3mの壁で囲まれており外部とは完全に隔離されている。

 

 人口は約230万人。驚くことにその約8割は学生なのだ。学生といってもその幅は広く、中学生に高校生・大学生はもちろん、幼稚園児や小学生まで含まれる。また学生たちは一様に親元を離れ寮暮らしまたは、一人暮らしをしているのだ。

 

 学園都市はあらゆる教育機関・研究組織の集合体であり、外部より20~30年進んだ最先端科学技術が研究・運用されている科学の街である。学園都市には23の学区があり、その中には学生が多く住む学区や宇宙開発が進む学区などそれぞれの特色を備えている。

 

 そんな学園都市最大の特徴は超能力開発である。脳を人為的に開発することで漫画や小説に出てくる登場人物のような能力を使えるようになるのだ。

 

 とにかく学園都市とは現在の常識から考えれば色々とブッ飛んだ街なのだ。

 

 

 この物語はそんな学園都市のとある第七学区のとある病院から始まる。

 

 

 

  ◆

 

 

 

「ふぅ、ようやく安定してきたみたいだね?」

 

 そんな声が病室に響き渡る。彼の名は冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)。容姿はカエルに似ている初老の男性でその顔故に威厳に欠ける。しかし、医者としての腕は世界でもトップクラス。どんな病気や怪我でも治してしまう名医である。

 

 彼がいるのは病院の集中治療室。その部屋の中央にはベットが1つ。ベッドの周りは点滴や心電図モニタなどの仰々しい装置に囲まれている。

 

 眠っているのは1人の少女。しかしパッと見ただけではとてもではないが少女には見えない。頬は痩け、髪の毛はまるで老人のような白髪でボサボサである。明らかな栄養失調で、体には骨と皮しかない。生きているのか死んでいるのかも微妙なところだ。さらに右腕のあるべき場所には肘から先がなかった。体中には包帯が巻かれている。が、包帯を取れば痛々しい傷が現れるだろう。外見はヨーロッパ系の白人のようだ。歳は10歳くらいだろうか。

 

「全く、どうすればこんな状態になるのかな?」

 

 そう思うのは当然である。今の日本でこんな状態になるなんてまずありえない。たとえスラムに暮らしていたとしてもここまでにはならないだろう。いや、こんな状態なら普通死ぬ。少女が生きていられたのはまさに奇跡だ。

 

「この子はこの街の人間かな? それとも……、うん?」

 

 彼がそんなことを考えているとバタバタという足音が近づいてくる。「バンッ」という大きな音とともに1つしかないドアが勢いよく開いた。

 

「はぁはぁ……せ、先生大変です!!」

 

 入って来たのは一人のナース。赤い髪のショートヘアが特徴的なナース服を着た女性で、顔は世間一般で美人と言われるであろうレベルだ。彼女の名前は桐船 梓(きりふね あずさ)。今年からこの病院に勤めている新人ナースである。

 

 新人ナースといっても、もともとは研究者だった彼女は昔とある事情で冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)の世話になったことがあり、彼との付き合いはそれなりにあった。

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は息を切らしながら入ってきた彼女を見ると

 

「病室でうるさくするのはやめて欲しいね、ナースになったからにはナースとしての自覚を持つべきだと思うね、桐船クン?」

 

「す、すいません。き、緊急の要件でしたので。……この子ですよね。昨日の夜に病院の前に倒れていた子は。改めて見てもひどい状態ですよね。今でも生きてるのが不思議なくらい……。どんな状態なんですか?」

 

「重度の栄養失調に貧血、筋肉断裂、骨折、腕の損傷、火傷、挙げたらキリがないがひどいものだよ。まあ、今のところは安定しているからね? 時間はかかるけど完治はすると思うよ?」

 

「よかったぁ。昨日この子を見つけた時からずっと心配だったんです。とにかく助かってよかったです。」

 

 そう言うと桐船の表情は緊張したものから安堵の表情に変わる。そして彼女の言うとおり、少女を見つけたのは桐船なのだ。昨日、仕事が終わり家に帰ろうとした時にボロボロの少女を見つけたのである。

 

「とは言っても安心はできないし、まだ問題があってね? IDを調べてはみたんだけど存在しないようでね? 学園都市の一般人でないことは確かだよ」

 

「……っ。じゃあ、この子は……この街の科学者たちの実験動物(モルモット)だったと?」

 

 桐船が言うように、この街の科学者の中には世間で言う狂科学者(マッドサイエンティスト)と呼ばれる人体実験などを当然の如くやってのける人間も存在する。彼女はそんな人間が大嫌いだった。研究者をやめたのもそんな人間を嫌悪したこと、そしてとある事件が原因だった。

 

「一概にそうとは言えないけどね? 外部の人間という可能性もあるし」

 

「外部の人間ですか……? どうやってこの街に?」

 

 学園都市に外の人間が侵入するのは常識的に不可能だ。なぜなら外周部は壁に囲まれており、外部の人間が入るにはそれなりの手続きがいる。手続きなしでこの街にいることは普通ではありえない。

 

「さあ? それを調べるのは僕の仕事ではない。僕の仕事は患者を助けることだしね?」

 

「そう……ですか」

 

 桐船は納得いかない声を出すがこればかりは仕方がない。また、その声には心配するような雰囲気も含まれており、彼女は少女のことがかなり気になっているようだ。

 

「それよりも……」

 

「何ですか?」

 

「さっき言っていた緊急の要件とは何かな?」

 

「……えっ? …………あ、忘れてた」

 

 どうやら彼女は少しばかり天然のようだ。少女の方に気を取られるがあまり本来の用事を忘れてしまっていた。

 

「……ドジっ子美人ナースはそれなりに需要があるとは思うけど今はよして欲しいね。急患なのかな?」

 

「び、美人だなんて照れちゃいますよ。……はっ! す、すいません。なんでも先生の古くからの友人だっていう人から電話があって。すぐに先生に代わるようにと」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)にジト目で見られても、彼女はかなりのマイペースで表情をコロコロ変えて対応する。

 

「何だって?」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)はひどく驚いたような声を出した。普段は表情をあまり表に出さない彼でも驚きの表情を出す。連絡してきた人物の心当たりはただ一人。しかも連絡してきたのはただの一般人ではない。

 

(このタイミングでアレイスターからの連絡とは……。偶然……ではないか)

 

 彼は昨日保護されたばかりのボロボロの少女を見ながらそう考えていた。アレイスターが連絡をとってくることは、そうそうあることではない。偶然にしてはあまりにも出来すぎていたので、彼はアレイスターがこの少女について何か知っていることを確信する。

 

「先生?どうかしたんですか?」

 

 急に黙ってしまった冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)を心配するように桐船は声をかける。

 

「うん?すまないね、すぐ行くよ」

 

(とにかく……アレイスターに聞けば何かわかるかな?)

 

 彼はそう考えながら病室を出てると自分の部屋へと戻っていく。誰もいなくなった病室には少女の今にも消えそうなわずかな呼吸音、そして規則的な電子音だけが響いていた。

 

 

 

  ◆

 

 

 

 ここは冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)が勤める病院と同じ第七学区に存在する通称『窓のないビル』。その名の通りビルには窓もなく、そしてドアもない。そんな不思議な建物に住んでいるのはただ一人。その名もアレイスター=クロウリー。学園都市統括理事長である。

 

 緑色の手術衣を着て、赤い液体に満たされた巨大な円筒器に逆さまで浸かっている彼は、男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見えるという、彼の住むビル以上に不思議な格好をしている人物である。

 

 そんな奇妙すぎる格好をしている彼は冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)にかけた電話の返事を待つ間、先日学園都市に侵入してきた少女について考えていた。

 

「まさかあれが本当に生きて学園都市にたどり着くとはな。まったくなんという生命力だ。いや、驚くべき執念というべきか。ふふっ、なんとも面白いものだ」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)の予想通り彼は少女の身の上を知っているようだ。彼はまるで新しいおもちゃを見つけた子供のような楽しそうな声を出す。

 

「それにしても遅いな。今は患者を診ている時間ではないはずだが」

 

 アレイスターは学園都市中にネットワークを張り巡らしているので冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)のスケジュールも把握している。彼が学園都市内で知らないことなどほとんどない。それゆえに電話にはすぐ出るだろうと思っていた。

 

 そんな全知全能ともいえる彼の予測を崩したのは一人のドジっ子美人ナースだということまでは、さすがの彼でも把握できなかったようだ。

 

「もしもし? 少し待たせてしまったようだね、アレイスター?」

 

「やっと出たか冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)。急患というわけではないようだが」

 

 ようやく電話に出た冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)に対してアレイスターは少し不満があるように言う。それは電話越しであってもよくわかるものだった。

 

「すまないね。こっちにも色々あるんだ」

 

「まあ、いいだろう。今話したいことはそんなことではないからな」

 

「用とはうちの病院にいるあの子だね? 君はあの子について何か知っているのかな?」

 

「察しがよくて助かるよ。君もわかっているとは思うがあれはこの街の人間ではない」

 

 やはりか、そう冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は心の中で思う。彼はそう思いながら会話を進める。

 

「それでは外の人間ということになるのかな?」

 

「ああ、そうだな。あれはとある組織の裏切り者でね。学園都市の外周部付近で組織の追っ手にやられたようだ。あれだけの傷を負っていたんからな。追っ手は死んだと思っただろう」

 

「なんだか釈然としないね? 君がこんな小さなことに興味を持つなんて。まだ何か事情があるんじゃないかな?」

 

「ふふふ、確かにそうだな。あれはもともと魔術サイドの人間でね。生きていることが向こう側(魔術サイド)に伝わると色々と不味いんだ。……言わんとすることは分かるかな?」

 

 魔術とは科学とはまったく逆の存在、所謂オカルトというべきものだ。魔術サイドである少女が科学サイドにいるのはいろいろと問題がある。なぜなら基本的にその二つは相容れない、というかお互いを陥れようとしているのが現状だ。

 

 おまけに少女はとある組織の裏切り者なのだ。科学サイドが裏切り者である少女を匿っていると知れば、魔術サイドは黙っていないだろう。最悪の場合、戦争ということにもなりかねない。

 

「僕に患者を見放せと? 僕がそれを承諾すると思っているのかい?」

 

 彼の医者としての信念は何があっても患者を見捨てない。たとえ世界一の大量殺人鬼でも彼は迷わず治療するだろう。自分の身が危険にさらされようと患者を見捨てないのだ。これが彼が冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)とまで呼ばれる所以の1つである。

 

「そう怒らないでくれ。冗談だよ。今のあの子に何かするつもりはないさ」

 

「そういった冗談は控えて欲しいね。……だいたい彼女を生かすことで君に何のメリットがあるんだい? そろそろ何を企んでいるか話して欲しいね」

 

 昔からアレイスターのことを知っている彼は少し怒ったようにそう言う。彼はアレイスター=クロウリーという人間が善意で他人を助けるような人間でないことを知っている。それ故に彼はアレイスターが何か企んでいるのだろうと考えていた。

 

「それは君に言うことではないさ。とにかく今日連絡を入れた理由はアポを取るため、とでも思ってくれればいい」

 

「君にそんな常識があったとは思わなかったよ。とにかく、たとえ君であっても僕の患者に手を出すことは許さないからね」

 

「わかっているさ。じゃあ次はあの子の目が覚めたら連絡するよ。ああ、ちなみにあれは幼いながらも聖女に例えられ、聖女の祝福(ジャンヌブレス)と呼ばれていた魔術師。名前はミラジェーン=ヴィクトリア。君と同じく医者だ。それじゃあ、伝えるべきことは伝えたよ、冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)

 

 そう言うとアレイスター=クロウリーは一方的に電話を切る。切られた冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)はというと

 

「やれやれ、まったくアレイスターには困ったものだね。聖女の祝福(ジャンヌブレス)か。……例え君の過去になにがあったとしても、僕の仕事は患者を治すことだよ」

 

 アレイスターに対しては呆れたような声を出しつつも決意を込めた声を出す冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は病室で眠っている少女のことを考える。思考を続けていると部屋のドアがノックされる。

 

「先生。患者さんですよ。なんでも建物から落ちてきた植木鉢にジャストミートしたみたいで。10歳ぐらいの男の子です。なんとも不幸な子ですね」

 

 そう言いながら桐船が冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)を呼びに来た。患者はかなり不幸な人物のようだ。

 

「ああ、わかったよ。今行くからね?」

 

 そう言うと冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は部屋を出て患者の元へ行く。そして、彼は昨日助けた少女のことを考えながらも目の前の患者に意識を向ける。

 

 

 

  ◆

 

 

 

 一方こちらは『窓のないビル』。電話を切ったアレイスターはというと

 

「ふふっ、わが友はいつまでも変わらないようだ。それよりあれには色々と使い道がある。せいぜい私の役にたってもらうとしよう。それに私のプランに不可欠な鍵でもあるわけだしな」

 

 そう呟くと彼はすぐに別のことに意識を向ける。まるで少女のことなど既に眼中にないかのように。

 

 

 少女が目覚めたのはその日から半月ほどたってから。

 

 これは幻想殺し(イマジンブレイカー)と呼ばれる右手を持つ少年と、10万3000冊の魔道書を持ち禁書目録と呼ばれる少女が出会う5年前の夏の出来事。後に科学と魔術が交差するきっかけになる出来事でもあった。




 違和感バリバリですまた、訂正・感想等があればよろしくお願いします。

読んでいただきありがとうございました!!
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