とある科学の元魔術師   作:珠風船

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それでも私はがんばります。

では5話です。どうぞ~( ´ ▽ ` )


第4交差:お姉さまと呼びなさい!

「ようこそ、学園都市へ」

 

 ミラが魔術を捨てる覚悟を決め、学園都市で生きていくことが決定したあとの二人の会話はあっさりと終わった。

 

「彼女はこれから学園都市で生きることを決めたわけだが、冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)、あとのことは任せてもいいな?」

 

「まぁ、僕がどう答えようとやらせるつもりだろう。任せるといいよ。患者に必要なことがあるなら僕はなんでもやるからね?」

 

「頼むよ。それじゃあ、おだいじに女神の祝福(ジャンヌブレス)

 

「……はい」

 

 ミラがそう言うと電話が切れてモニターが暗くなる。それを確認すると彼女は会話が終わったことで緊張の糸が切れたようにベッドに倒れ込んだ。もはや精神的にギリギリだったのだろう。

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)の声に反応しているのはアレイスターと話をするよりも圧倒的に気が楽だったから。アレイスターとの会話はある種の荒療治だったようだ。

 

「お疲れ様、と言うべきなのかな? それより、ひとつ聞いていいかい?」

 

「……?」

 

「君がさっきの会話で言っていたような医療技術を持っているなら、なんで自分の体を治さないんだい?」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は疑問に思っていた。さっきまでの会話から鑑みるに彼女の医療技術は世界でもトップクラスなのだろう。それこそ自分に並ぶかそれ以上の。それならば自分の傷なんてすぐに治せてもおかしくはない。しかし彼女が魔術を使わなかったのは意外な理由だった。

 

「……ぁ……ぅ……あ、あの、そ、それは……」

 

「?」

 

「あの人……き、桐船さんに……ぁ、甘えたくて」

 

 ミラが顔を赤くさせて恥ずかしそうに言うと、ドアの外でガシャンという大きな音がする。すると桐船が恐ろしいほどの勢いをつけて部屋に飛び込んできた。どうやら彼女は会話を盗み聞きをしていたようだ。

 

「ミッラちゃーーん!! 可愛すぎるよー。何この子? お持ち帰りしてもいいよね? いいよな!? いいですよねっ!? 三段活用!」

 

「きゃあ、」

 

 ミラに飛びついた桐船は勢いよく彼女に頬ずりをしている。そのテンションは恐ろしい程高く、ミラは意識が半分飛んでいた。しかし、二人がじゃれているのを見る冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)の表情はかなり厳しいものだった。

 

「まさかとは思うけど……盗み聞きなんてしてないよね?」

 

「ギクッ、まさか~、そんなわけナイデスヨ?」

 

「下手な嘘はつかないでくれるかな? ……これからは気をつけることだよ。君はこの街のことを何も知らないわけではないだろう。君の場合は特に、だ」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は普段は出さないような厳しい声を出す。もしも桐船が聞いた内容が極秘機密レベルだった場合、彼女は有無を言わさずに殺されてしまっただろう。アレイスターが電話の相手だったことを考えると、さっきまでの会話もかなり危うかったと冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は考えていた。アレイスターとは学園都市においてそれ度までに強い力を持っている。

 

「?」

 

「……申し訳ありませんでした」

 

 ミラには話の内容がうまく理解できないようだった。が、さすがの桐船も自分のしたことを理解したようだ。彼女しては珍しく反省している。それを見た冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は少し安心したようで普段の雰囲気に戻って話を続ける。

 

「それじゃあ、退院した後の君の生活だけど、」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)はミラを見てから桐船を見て言葉を続けていく。

 

「君が彼女の面倒を見てくれるかい、桐船クン?」

 

「「……はい?」」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)が言った言葉を聞いて二人の声がハモる。桐船はともかくとしても、普段は無表情だったミラも口を開けて驚いていた。

 

「えーと、先生。それはミラちゃんと同棲してもよろしいとおっしゃるのでありますか?」

 

「同棲とは言ってないんだけどね? 君はさっき彼女をお持ち帰りしたいと言ってたし、さっき聞いてたのなら知っていると思うけど彼女には戸籍もないしね。

 

 まぁ、保護者、といったところかな? それに君は彼女と似たような子を預かっていただろう。もちろん、その子の同意もなければ成立しないけど」

 

「わ、私は大歓迎です!! う~ん。あの子が納得するかどうか。あ、でもミラちゃんと同棲かぁ。ミラちゃんと同棲。ミラちゃんと同棲~♪」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)がいう言葉を聞いた桐船はあまりの嬉しさに大はしゃぎして歌いだした。そんな桐船を見る冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)の目は不審者を見る目になっていた。一方のミラはというと

 

「君はどうかな? ……なんだか貞操の危機かもしれないんだが」

 

「……いいんですか? 桐船さん」

 

「当たり前じゃない! ミラちゃんだったら大歓迎よ。それにあの子だって私が納得させるわ!」

 

「そうじゃなくて、」

 

「?」

 

「私はこの街のことを何も知りません……。それに私は科学なんて知らずに魔術を使っていた人間です。……迷惑をかけることはあっても感謝されるようなことは何も。……だから私は、」

 

「ねぇ、ミラちゃん。一つ言ってもいいかしら?」

 

「……?」

 

「バカなの? 今のこと、あなたは本気で言ってる?」

 

 桐船にはミラの言ったことが許せなかった。怒鳴るように言った彼女の言葉にはどこか諭すような、慰めるようなそんな雰囲気が漂っている。しかしミラにはそれは伝わらず、怒られたと感じ取ってしまっていた。

 

「!?」

 

「私にはね、魔術なんてよく分からないし、ミラちゃんがここに来るまで何をしていたかなんて知らない。ましてやミラちゃんが何を抱えているのか知るわけもない。でもね、」

 

 桐船はそこまで言うと一度言葉を切って、ミラを正面からそっと抱きしめる。それはまるで赤子を抱きしめる母親のようだ。さらに抱きしめながら優しく頭を撫でる。

 

「?」

 

「私は一人ぼっちのあなたを見捨てられるほど自分を冷徹だと思ってないわ。世の中には一人が好きな人もいる。それでもね、一人でいることに耐えられる人はどこにもいないのよ。

 

 私になら迷惑かけても、いっぱい甘えても構わない。だからね、あなたは一人ぼっちになっちゃダメなのよ。たとえあなたが嫌だって言っても私はあなたを一人にはしないわ」

 

 ミラの頭をゆっくり撫でながら、叱るように、諭すように、慰めるように言う桐船には普段の彼女の雰囲気はどこにもない。桐船の言葉を聞くミラは目に涙を浮かべている。それほどまでにミラにとって今の桐船は暖かかった。

 

「……グズッ……はい、……桐船……さん」

 

「それでよろしい! ほら、何泣いてるの。せっかくの可愛い顔が台無しよ。あ、それと他人行儀で気持ち悪いから私のことを桐船さんって呼ぶのは禁止! これから私のことを呼ぶときは、」

 

 ここで桐船は一旦言葉を切り、ミラを放す。そして、

 

 

「梓お姉さまと呼びなさい!」

 

 

 さっきまでのシリアスな空気が一変した。冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は頭を抑えて盛大なため息を吐くが、桐船の目は子供のようにキラキラしている。

 

「……はい? ……お姉さま?」

 

「そう! 実は憧れてたのよ、やっぱり女に生まれたからには一度くらいこんなふうに呼ばれてみたいじゃない。あなたならわかるでしょ。うちの居候なんて名前も呼んでくれないの」

 

 桐船の言葉を聞いたミラは完全に固まっていた。気づけば涙も消えていた。

 

 そんな彼女をよそにさっきまでの母親オーラが吹っ飛んでいつもどおりに戻った桐船は、手の指を気持ち悪く動かしてミラを押し倒そうとする、なんかかなり危ない人になっていた。

 

 この状態を打破するために動いたのは、今まで空気と化していた冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)だ。

 

「はぁ、桐船クン。僕は君の天然には慣れてきたと思っていたんだが間違いだったかな? 相変わらず君には驚かされるよ?」

 

「なっっ、私のどこが天然なんですか。私はいつだって真面目で、真剣で、誠実です! そんな風に言われるなんて心外なんですけどっ!」

 

 冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)が言った言葉を撤回させようと、桐船は冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)に文句を言っていたが、彼女自身に天然の自覚なんてものはどこにもない。

 

 その一方で二人のやり取り(正確には桐船の一方的な文句)を聞いていたミラはというと、

 

「……ぷっっ、あはは、あははははっ、」

 

 自分でも気づかないうちに笑ってしまっていた。そしてこれは彼女が学園都市に来てから初めての笑い声だった。

 

「あっ、ミラちゃん、なんで笑ってるのよ! ほら、あなたからも先生に言って! 私は天然じゃないんだって!」

 

「あっははは、ご、ごめんなさい。おっ、お腹痛くてっっ。あははっ」

 

「ミラちゃん!」

 

 

 そんな二人のやりとりを見て、冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)はどこか安心したように言う。

 

「……どうやら僕はここにいてもお邪魔のようだね?それじゃあ、桐船クン。あとは任せたよ?」

 

 そう言うと彼は病室から出ていくことで、病室にいるのはミラと桐船だけになった。ここで最初に言葉を発したのはミラだ。

 

「あの、これからお世話になってもいいですか、きりふ……あ、梓さん!」

 

「むぅぅぅ、お姉さまとは呼んでくれないのね……。でもまぁ、いいかっ! これからよろしくねっ、ミラちゃん!」

 

「はいっ!」

 

 そう言って二人は笑い合う。つい昨日まで表情を表に出すことがなかったミラの笑顔は光り輝いていた。

 

 

 

  ◆

 

 

 

(そういえば、一緒に住んでる子ってどんな子なんですか?)

 

(う~ん、そうね~。一言で言えば……ガキ大将みたいな子かしら?)

 

(ガ、ガキ大将ですか?)

 

(うんうん。自分勝手で、わがままで、聞き分けがなくて、意地っ張りで、偉そうで、偏屈で、自己中で、可愛げがなくて、生意気で、自分勝手で、あ、あと超能力者(レベル5)なのよ)

 

(だ、大丈夫なんですか? それと超能力者(レベル5)って?)

 

(あっ、ミラちゃんはそういう詳しいことはまだ知らないんだよね。レベルっていうのは0~5まであって、数字が多いほどすごいのよ。つまり超能力者(レベル5)っていうのは、この街で一番すごい能力者のこと。それで今はこの街で6人しかいないの。たとえるとすれば、サッカーとかのスター選手みたいなものかしら)

 

(へぇ、すごいんですね。でもなんでそんなすごい人と住んでるんですか?)

 

(そんなすごいこともないのよ。とにかく生意気な子なの。子供らしい子供って言えば聞こえはいいんだけど、ミラちゃんとは大違いよ。今度ミラちゃんの爪の垢でも飲ませてやろうかしら。……そうねぇ、なんで一緒に住んでるのか聞かれると困るんだけど、まぁ、いろいろあったのよ)

 

(いろいろですか。けど、会うのが楽しみだな。この街に来て初めてのお友達になれればいいのに)

 

(どうかしらね。……うんっ?)

 

(桐船ぇぇ! いい加減仕事しろォォォ!! いつまでサボってんだァァァァァ!!!)

 

(あ、やべ。仕事忘れてた。すいまっせーん。今行っきまーす。あっ、ミラちゃん。明日からリハビリ始まるからね~。それじゃあバイバ~イ)

 

(えー、それって結構大事なことじゃ……。う~ん。まぁ、とにかく、梓さん。お仕事がんばってくださいね!)




さてはて、同居人を誰にするか?

自分の中での該当者は約4名、それともオリキャラにするか?

それともそんなこと無視して原作へ飛ぶべきか。

・・・ガンバリマス。


では、ありがとうございました~( ´ ▽ ` )ノ
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