8話目
新学期というか新学年になり、ボクらは高等部に上がった。とは言っても、学校生活自体はこれまでとあまり変わってない。やっぱりミヤビンとは同じクラスだし、ちょくちょくサボったりしてるからその都度ミヤビンが追っかけてくるし。あぁでも、最近はミヤビンの説教が長くなってるかな。あとそういう時でもボクのことは東雲呼びのままだった。さすがにレイちゃん呼びは恥ずかしいから良かった。
あ、変わったことと言えば、ボクが一人暮らし始めたことかな。親には色々言いくるめて念願の一人暮らしを勝ち取った。ミヤビンとこの隣にだけど。隣が知り合いなら都合いいんだろうけどさ、相手ミヤビンだよ?学校とか無理矢理連れて行かれそうじゃね?折角の一人暮らしでも悠々自適とまではいかないかもしれないんだよねー。
「みやびーん、そろそろ帰ろうぜー」
「あー、悪い。この後風紀委員会あるんだ。先に帰っててくれ」
「えー…なんだよそれー」
家が隣になったから、ミヤビンにおぶさって連れて帰ってもらおうと思ってたらあっさり断られた。折角朝から出席したのに、なんで今日に限って風紀委員会あるんだよ。仕方ないから終るまで屋上にでもいようかなーと、教室を出る。
ここの屋上は基本鍵がかかってないからサボる際によく利用させてもらってる。高等部になってからはたまに先客がいるけど。日によっては2人くらい。あ、ミヤビンに委員会終ったら屋上に来いって言っておこっと。
放課後だからかグラウンドの方からは運動部の掛け声が色々聞こえて、ちょっとうるさい。ミヤビンを待ってる間は特にすることもないから、ベンチに座ってスマホをいじる。けどそれもすぐに止めて寝転がる。今日は晴れてるし風も吹いてるから目を閉じたらすぐにでも眠れそうだ。てか寝よう、ミヤビンなら起こしてくれるだろ。
「………んぇ?どこだここ?」
どれくらい時間が経ったのか、ぐっすりと寝てたボクは目を覚ましたら学校の屋上じゃなくて知らない部屋……じゃないな。見知った部屋にいた。視界の隅っこに某特撮ヒーローのポスターあったよ。あんなポスター貼ってある部屋なんて一つしかない、ここはミヤビンの部屋だ。きっと起こそうとしても全然起きなかったから仕方なくおぶって帰ってくれたんだろう。ボクん家じゃなくてこっちなのは、鍵がどこにあるか解らなかったとかそんなとこだろうね。
長居するのも悪いし、ミヤビンに軽く挨拶してから帰ろうと思ってリビングに行くと、妹ちゃんと喧嘩してた。何やってんだこいつら?
「あの女狐ばっかりずるい!私もお兄ちゃんのベッドで寝たい!」
「だからその呼び方止めろって言ってるだろ!いい加減にしないと本気で怒るぞ!?」
あー、妹ちゃんがいつも通りブラコン拗らせてんのか。別にボクとミヤビンはただの友達……いや、親友ってだけなのに。そう、ボクらは親友……うん、親友だ。自分で言っててもやもやとかしてないからな?
とりあえず帰る前にこの喧嘩は仲裁した方がいいな。原因ボクだけど。
「はいはい、2人ともその辺にしときなよー」
「あ、レイちゃんおはよ」
「あ、女狐!ここで会ったが百年目!」
「いい加減にしろ英梨!」
ボクが声を掛けると妹ちゃんは敵意剥き出しで睨んでくる。飼い主を盗られたペットみたいだなぁ。
「心配しなくても、ボクとミヤビンはただの親友だから。だからそんな睨まないで」
「男女の友情は成立しないの!私知ってるんだから!それにお兄ちゃんは私のこと好きって言ってくれるし私はお兄ちゃんが大好き!つまり両想い!イコール恋人!」
「とんでも理論やめな?」
大丈夫かよこの子。言ってることやばいの解ってるのかな。ミヤビンも大変だろうな、こんな様子だと。
この後も妹ちゃんのとんでも理論が出てくるけどその都度聞き流し、もとい受け流して隣の自分家に帰る。さっきまでぐっすり寝てたけど妹ちゃんの相手をして結構疲れた。ミヤビンが絡まなけりゃいい子なのになぁ。上のお兄さんの方には特に興味なさそうなのも謎だ。一体ミヤビンの何が妹ちゃんをあそこまで駆り立てるのか。そういえばさらっと聞き流したけど、妹ちゃんはミヤビンに好きって言ってもらってるだっけか。なんかそれって、
「ちょっと羨ましいなぁ…」
…………待って今ボクなんて言った?羨ましい?何が?ミヤビンに好きって言われるのが?…………。
「はぁ!?いやいやないないそんなわけないって!」
これじゃあまるでボクがミヤビンにそういう感情があるみたいじゃんか!ミヤビンは親友なんだぞ!?このままじゃ変なこと考えそうだから、お風呂に入って頭を冷やそう。……うぅ、なんだってこんな事になるんだよ。
お久しぶりです、クロウズです。待たせすぎて申し訳ありません。
今回から高等部編になりましたが、高等部ネタよりも木林兄妹の方がメインになってました。次回は学園内での光景を届けようかと思います。ついでにあっちの短編で書いたレイちゃんの目撃情報を加筆してお届けしましょうか。
今日はこの辺で。ここからが、ハイライトだ