ここ最近、東雲の様子がおかしい。教室とかでは目が合えばすぐにそっぽ向くし、いつもなら人をタクシー代わりにしてくるような状況でも頼んでこない、そんな日が週に何回かある。これはもしかして、ようやく真面目になってきたということか。いや、ないな。サボり、遅刻の頻度は相変わらず多いし。
「東雲に何かあったとか、誰か知らないか?」
「貴方が知らなかったら他の誰も知らないわよ」
「なんでだよ」
「雅が一番、東雲さんといるからじゃないか?」
学級委員の2人に訊ねてみても、こんな返答。親友だからって何でも知ってると思うなよ?いくらなんでも心境の変化とかまでは解らないし、そういう事を話してくるわけでもないし。
ちなみに当の東雲は風邪を引いてダウン。多分、風呂上がりに髪を乾かさなかったんだろう。一日中看病してやりたかったけど今日は風紀委員会があるから、仕方なく看病は母さんに頼んでいる。余計なこと言ったりして悪化させてないといいけど。
授業も終り、委員会も滞りなく済んだ帰り道。コンビニに寄ってスポドリとゼリーを買う。その途中でバイト帰りらしき戸村に捕まってしまった。
「やー、この間はありがとね。ミヤビンのお陰で盛り上がったよ」
「ミヤビン言うな。俺も興味あったし、いい体験になったから気にするな」
この間というのは、先週の土曜日にデパートの屋上でやってたヒーローショーの事だ。暇だし観ようと思っていたら舞台袖から顔を出した戸村と目が合い、急病で来れなくなったスーツアクターさんの代役を務めることになるという、嬉しくもとんでもない展開になった。
「にしても、やっぱりミヤビンは逸材だねぇ。スタッフさんも絶賛だったし」
「見様見真似でも何とかなって良かったよ。あとミヤビン言うな」
「えー、いいじゃんミヤビン。東雲ちゃんだって呼んでるんだし」
「その東雲専用の呼び方だっての」
「東雲ちゃんのこと好きすぎでしょ」
どういうわけか解らないが、東雲以外にミヤビン呼びされても全然しっくり来ない。だから戸村には何度も止めるよう言っているんだが、一向に話を聞かないので困ったものだ。
戸村との雑談もそこそこに、足早に帰宅して東雲の様子を見に寝室の方に行く。するとそこには、
「あ、お兄ちゃんお帰りなさい」
「んぁー?…ぉー、ミヤビンおかえりー」
母さんじゃなくて英梨がいた。え、なんで?この2人一緒にして母さんどっか行ったのか?英梨のやつ、東雲に噛み付いたりしてないよな?流石に病人相手にはしないよな?
一応話を聞いてみると、どうやら2人は休日によく会ったりしてるらしく、いがみ合い(というか英梨の一方的な敵意)は解消しているらしい。妹と親友が仲良くなってくれたことは素直に嬉しいけど、いつの間にそんなことになってたのか、まったく気付かなかった自分の鈍さを恥じたい。
「とりあえずこれ、ゼリーとスポドリ」
「ぁー、ありがと………」
「レイちゃん?」
「いや、えっと……」
「はいはい、お兄ちゃん。後は私が見てるから帰った帰った」
「えぇ……まぁいいけど。じゃあ、レイちゃんのことよろしく」
よく解らないけど、英梨に追い返されたので渋々隣である自宅に戻って着替える。一体どうしたんだろうか東雲は。顔が赤かったしまだ熱っぽかったのかもしれないな。
夕食と風呂も済ませて寝ようとしたところで、東雲から連絡が来た。曰く、さっきのはパジャマ姿を見られるのが恥ずかしかったかららしい。確かに初めて見たかもしれない。可愛かったぞと送れば、怒ったネコのスタンプを連打された。解せぬ。
どーも、こたつむらないクロウズです。
雅視点だとレイちゃんの出番少ない時があるようですね、新発見。以前、雅は普段からも東雲呼びになったみたいに書きましたが、2人きり、もしくは家族といればレイちゃん呼びです。その度レイちゃんは恥ずかしがってます。
次回は2年生になってます。こっちでも京ちゃんが出せますね。
今日はこの辺で。あちこち行ったけど、楽して助かる命がないのは、どこも一緒だな!