少年と少女の心のバグ   作:クロウズ

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5話目

 中学生活も慣れたら早いもので、気が付けば2学期になった。夏休み明けということで、生徒会役員と一緒に早速服装点検が行われる。

 

 

「そこの男子、ネクタイはちゃんと締めなさい」

「すんませーん」

「スカート短すぎです。規定の長さに戻して下さい」

「今日暑いですし、見逃してくれても」

「駄目です」

 

 

 長期休暇による休みボケの所為か、服装がだらしない生徒が多かった。もちろん、うちの委員長もだらしない格好だ。しかも今日はいつもよりだらしないような。しかも周りが注意しててもこの人終始無言な気もする。この人ほど服装点検で厳しい人いないのに。厳しいのにだらしないのもどうかと思うが。

 

 

「委員長、ボタン留めて下さ――委員長?」

「……………あ、何かいーました?」

「ボタンちゃんと留めて下さいって言ったんですけど、ちょっと失礼」

 

 

 反応も鈍かったから正面に立って委員長の額に自分の額を合わせる。すると結構熱が伝わってきた――熱っ。

 

 

「あらまぁ、大胆というかなんというか」

「そういうのいいっすから。委員長熱出てるんで保健室に連れて行きます」

「ウチはだいじょーぶですから……」

「さっきからふらついてる癖に何言ってんすか」

 

 

 服装点検は他の人達に任せて、有無を言わさず委員長を保健室まで運ぶ。あいにく先生は不在で、少しの間は俺が看ることになった。途中、サボり目的なのかレイちゃんがやってきて、俺を見るや否や逃げ出したからとっ捕まえた。

 

 

「まったく。なんで保健室に来たんだよレイちゃん」

「だからその呼び方止めろって。くそ、1限目サボろうと思ったのに」

「やっぱりか………はぁ」

「ん………不純いせーこーゆーはいただけねーですよ」

「そんなんじゃないっすから、委員長は寝てて下さい」

 

 

 委員長は軽い風邪程度だとは思うけど、38℃を少し超えてた。なのでスポーツドリンクを飲ませて冷えピタを貼っておいた。ついでに、レイちゃんに汗を拭かせた。それは男の俺には無理だし。その際レイちゃんは何かぶつぶつ言ってたけどあいにく俺には聞こえなかった。

 後は戻ってきた先生に任せて、俺達は教室に行く。レイちゃんは逃げ切れないと解って諦めてるのか、どこまでもダルそうな足取りだった。

 

 

「レイちゃん、授業サボる気だっただろ?」

「だからちゃん付け止めろって」

「これから授業サボる、もしくはサボろうとする度に一日レイちゃんって呼ぶから」

「なにその嫌がらせ。ボクに何か恨みでもあんのか?」

「別に?昔弄られまくったことなんか全然気にしてないぞ?」

「滅茶苦茶気にしてる奴のセリフだろそれ」

 

 

 レイちゃんはそんなこと言うが、本当に気にしてないし恨みなんてない。

 教室に着くと1限目の先生は既に来てたから急いで席に着いて教科書その他を引っ張り出した。と思ったら別の教科書で、肝心の1限目の教科書を忘れるという失態を犯してしまった。

 

 

「雅が忘れ物って珍しいな」

「風紀委員でしっかりしてるようで、休みボケはあったと」

 

 

 休み時間になると勇と良太郎がそう言ってくる。運動部の2人はこの夏に大会があったからだろう、日焼けで結構黒くなっている。そんな色黒野郎共の発言は少しぐさっときた。1学期の頃は忘れ物なんて1度もしなかったのに長期休暇明けの今日に限って忘れ物をするなんて。

 

 

「そこの3人。課題出してないの貴方たちだけよ?」

「あ、よう委員長おっす」

 

 

 2人にいじめられてるとクラス委員長の八束(やつか)由紀恵(ゆきえ)に課題の提出を急かされた。彼女は腰に手を当ててどこかむすっとしたような表情の、クラスでも特に真面目な生徒だ。絶対俺よりも真面目だ。とりあえずこの2人と同類にされたくはないからさっさと課題を出す。

 

 

「ほれ。しっかし、八束も苦労してるな」

「木林君ほどじゃないわよ」

 

 

 労おうと思って言ったら、そう返された。俺はそんなに苦労してるように見えるんだろうか。

 

 

「東雲さんの相手任せてるしね。不純異性交遊は駄目だけど」

「俺とレイちゃんはただの幼馴染だ。あと心読むな」

「解りやすく顔に出てたわよ?それじゃ」

 

 

 残りの2人からも回収するため、八束はそっちに向かう。それにしても、委員長といいさっきの八束といい、俺とレイちゃんはそう見えるんだろうか。別にそういうのじゃないってのに。

 今日は休み明けの登校日だったこともあり、授業は午前で終了。弁当忘れたって焦るところだった。内心結構焦ったけど。

 

 

「さて、帰ろっかレイちゃん」

「んぁー……おぶってって…………」

「お前さっきまで寝てたな……?」

 

 

 今まさに起きたと言わんばかりの寝ぼけ眼で机に突っ伏して動く気がなさそうなレイちゃん。駄目だこの幼馴染、何とかしないと。おぶって帰ろうとしたらしたで、誰かに見つかれば風紀委員が風紀乱してるだとか不純異性交遊だとか言われかねない(偏見)し、何よりこいつのぐーたらっぷりがさらに増す。初等部の頃はこんなのじゃなかったのに。とりあえず、

 

 

「叩き起こすか」

「体罰じゃねーか……ったく」

 

 

 仕方なさそうに、変な呻き声を上げながらレイちゃんは体を起こして席を立つ。最初からそうすればいいのに。ほんと、気まぐれな猫みたいというかなんというか。

 

 

「ん……ボクの顔に何か付いてる?」

「え?あ、いや……」

「じゃあなんで撫でてんだよ」

 

 

 気が付いたらレイちゃんの顎、というか頬の辺りを撫でてた。さっき猫みたいって思ってたからか。慌てて飛び退――こうとして机に腰をぶつける。勢いありすぎて痛い……!

 

 

「何やってんだか。ほら、帰るよ」

「お、おう……」

 

 

 先を行くレイちゃんの後を、未だ痛む腰をさすりながら追いかける。レイちゃんは隣に並んで俺を見上げて笑いかける。なんだろ、ちょっと可愛いと思ってしまった。

 

 

 

 

 なお、このやり取りが見られてたのか、後日快復した委員長に色々と問い詰められることになった。




 暑いですね、クロウズです。もうすぐ梅雨入りですねー。
 中学生になると、色々厳しくなりますよねー。ミヤビンは相変わらず幼馴染の世話をしてるだけですが周りから見ればそうではないので、誤解が生じます。そのまま修羅場になればいい。
 今回八束さんとこの由紀恵ちゃんが出ましたが、中学の頃聖櫻にいたかは知りません。ほんと知りたい。




 今日はこの辺で。宇宙、キターーー!!
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