「……なんでこうなったかなぁ」
「ボクが知るかよ」
壁にもたれ掛かって溜め息混じりに呟くと、レイちゃんにそう返された。俺たちは今、体育倉庫に閉じ込められているのだ。さっきの授業に使った用具を俺たち2人で片付けていたら強風が吹いて扉が閉まったのが原因だ。ここの扉、建てつけが悪い所為なのか内側からはなかなか開かないし、今日はここの用具を使う部活ないって聞いたしで、詰んだ。今頃教室ではHR中かな。誰か気付いてくれないかな。
レイちゃんはやる事がなくて暇なのか、マットを1枚広げてその上に寝転んでいる。無防備すぎて心配になる。
「みやびーん、暇ー」
「暇ならそのまま腹筋でもしたら?」
もちろん、レイちゃんがそんなことするわけなく、片手を伸ばしてるかと思えばボフボフとマットを叩き始める。何をやってるんだと思ったけど、自分の隣を叩いているから、どうやら俺で暇潰しをするつもりらしい。俺はどうやってここを開けようか考えているっていうのに。
しかし、無理矢理開けようとして壊したりしたら迷惑だし放置し過ぎてイライラ度MAXになったレイちゃんを相手にするのもきつい。だから仕方なくレイちゃんの相手をするしかない。
「ほら、もっとこっち来いよ」
「何をするつもりか解らないからいやだ」
「みやびんの癖に生意気な」
ペシペシと叩いてくる手を払いのけて頰をつついてると、急に腕を掴まれて引っ張られる。完全に油断してた俺はそのままレイちゃんの胸元に倒れこむ形になった。その際に踏ん張ろうとした右手にレイちゃんの胸をしっかり触った感触が。女の子の胸って、柔らかいんだとこの時初めて知った。あといい匂いがした。男としてはこのままというのも悪くはないと思うけど、俺とレイちゃんはそういった関係じゃないし早く退かないと後が怖いのですぐさま起き上がる。というか飛び退いて土下座してた。
「ごめんレイちゃん!」
「………」
レイちゃんは何も言ってこないけど、これは絶対に怒ってる。無言の圧力って怖い。顔上げれない。あとこれの所為で今後どんな無理難題押し付けられるか解らないから怖い。
それからどれくらい経ったか解らない(体感時間は10分くらい)けど、レイちゃんはいまだ何も言ってこないから顔を上げてみる。すると、レイちゃんは顔を赤くして自分の胸に手を当ててた。あと何かぶつぶつ呟いてた。
「触られた揉まれた小さいから絶対がっかりされたいや別に喜ばれたかったわけじゃないしそもそもミヤビンにどう思われたかは重要じゃないし」
「……レイちゃん?おーい、レイちゃーん」
よく解らないけどこのまま放置しててもあれだから声をかけてみたらこっちに気付いたレイちゃんは指をさして、
「言っとくけどボクは70近くはあるからな!?」
「いきなり何の話?」
「うるさい!いいからさっさとそこ開けて帰るぞ!」
何が70近くあるのかよく解らなかったけど、それには触れず扉をがんがん叩いてるレイちゃんを手伝う為、扉を力任せに押してみる。それとほぼ同時に、
「おらっ」
レイちゃんが扉に蹴りを入れる。するとガタンッと音を立てて扉が開いた。開いたけど、ノブを持たずに押してた俺はその所為でバランスを崩して前のめりに倒れてしまう。うぇっ、口の中に砂入った、ぺっぺっ。
とりあえず、なんとか体育倉庫から出られたわけで。伸びをしながら上を向けば、空はもうだいぶ赤く染まってる、というか若干濃紺色だから、結構長い間閉じ込められてたってことになる。冬も近いとここまで暗くなるんだなと思いながら、俺達は走って(レイちゃんは俺の背に乗って)教室に向かった。着替える時間とかないだろうから、今日はこのまま帰るか。
あの後教室で荷物を回収して職員室で先生に事情を説明してようやく家に帰ってこれた。時間も遅かったし、そこそこ長い間閉じ込められてたからか、レイちゃんは精神的に参ってたみたいだったから家まで送り届ける羽目になったしで、着替えとかもすることなくベッドにダイブした。布団気持ちいい……。
「うぁー……疲れた……。今日はもう何もしたくない……」
でもさすがに風呂には入らなきゃ……。汗臭いかもしれないし。あ、明日って服装点検だったっけ。早めに寝ておかなきゃ、風紀委員が遅刻なんて笑い者だし……。
こうして今日も、どたばたして1日が終る。今回は建てつけの悪いあの扉が全部悪い。はぁ、久しぶりにゆっくりしたい……。
お久しぶりすぎです、クロウズです。2年以上も空いてしまいました。
ちょくちょく書いてはいたのですが、この2年間に引っ越しやら転職やら入院やらで忙しかったのですorz。今はある程度落ち着いてるので更新速度あげたいなーと思ってます。
一応、次回からは高等部編になると思います。まぁ、それより先にもう2つの方を更新するかもですが。
今日はこの辺で。命、燃やすぜっ!