Fleet Girls Collection KanColle Original Story 遠い海の向こうで   作:さと(仮)

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お久しぶりです
今回で過去編は終了となります。今回もお楽しみ頂けると幸いです

今回は轟沈を連想させる表現があります。苦手な方はお戻りください

それではあとがきでお会いしましょう


喪失

「それでは、行ってきますね」

「ああ、被弾には気を付けてな」

その日も通商破壊妨害の為に、そして新人だった時雨の監督として綾波は出撃した。事前偵察の情報によると、作戦区域に強力な水上艦艇の反応は無いとのことだった。その為、綾波は対潜兵装を装備していった――

 

ドンッ!!

爆雷独特のくぐもった爆破音が響く。

数秒後、海面には黒く濁った液体が浮いてきた。敵潜水艦の重油だ

「やった!」

時雨の声が上がる。この日は時雨の初出撃だった。初出撃で戦果を挙げたので、喜びもひとしおだろう。声からはそんな時雨の感情が滲み出る様だった。

「やりましたね、時雨さん」

隣で見ていた綾波も嬉しそうだ。

 

この後もさしたる問題もなく、作戦は遂行されるものと思われていた……

 

異変があったの4時も過ぎた頃だろうか。気付いたのは時雨だった。

「ん……あれは……?」

「どうしましたか?」

「いや、向こうで何か光った気がして……気のせいかな?」

すかさず、綾波が双眼鏡を取り出して確認する。

「人型……見た事ないフードを被っていますね…顔がよく見えないです……」

一瞬、敵味方の判別に困った綾波。思えば、この一瞬の逡巡が命運を決めてしまったのだろう。いや、もしかしたら、出会ってしまったこと自体が既に運命だったのかもしれない。

顔をあげた。

蒼白く、死人の様な顔。

深海棲艦だ。

見た事のない個体、新種の様だ。そしてソレはフードの下で、

 

嗤っていた。

 

「…………!!!???」

綾波は直感的に感じた。アレはヤバい。

「時雨さん、逃げますよ!」

「えっ!?どうしたんだい急に!?」

「アレがなんなのかまだわかりません。でもアレは危ない。そんな気がするんです。ひとまず逃げますよ」

「わ、分かった…!」

未確認個体(イレギュラー)。何の兆候もなく現れた新種。どうして誰も迎撃しなかったのかはわからないが、とにかく一度立て直さないといけない。

とにかく一度基地に報告を。そう思って通信機を出したが、様子がおかしい。

「司令官!こちら綾波、応答してください、司令官!!」

通信機がうんともすんとも言わない。何故このタイミングで……

だが、答えはすぐにわかった

 

ザザッ、ザーーーーーー……、…………、………!

「何か……聞こえる……」

…………!!□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□!!

何を言っているのかはわからない、だが何をされているのかはすぐにわかった。

「ジャミングされている……」

「!?」

 

ジャミング。先の戦争の時にも使われ、深海棲艦が今まで使ってこなかった技術。知識こそあれど、本当に使われるとは想定されていなかった。しかし、無線機の様子を見るに明らかに妨害を受けている。このままでは……

「敵襲!!」

時雨が叫んだ。見ると上空で敵機が急降下体制に入っていた。

「避けてください!」

今回、機銃はない。普段なら撃ち落としていたものの、今回はそれが出来ない。綾波は、避けきれることを祈るほかなかった。

 

ズドォォォォォォォォォン!!!

 

巨大な水柱が立つ。戦艦級の砲撃だ。しかし、敵艦艇はあれ一体、となると考えられるのは……

「まさか、航空戦艦!?」

日本の、それも扶桑型と伊勢型の二種類にのみ与えらられた特殊な艦種。それが今私達の目の前にいる。分が悪いどころか、状況は絶望的だった。

「うわっ!!」

時雨の近くに至近弾があったようだ。このままでは、いずれやられる。そう考えた綾波は一つの決断をする。

「時雨さん、二手に分かれましょう」

「えっ!?」

「このまま固まっていてはいずれ両方やられます。私が主砲であいつの注意を引くので時雨さんはその内に全速で離脱して下さい。妨害圏外に出たら、手持ちの無線機で基地に応援を要請してするのです」

「でもそれじゃあ、綾波が危険じゃないか!!」

「危険は承知です。でも、このままでは共倒れです。それに、多少回避には自信があるのですよ?」

「……わかった、じゃあ、一度分かれよう」

時雨は、後にこの決断を深く後悔する事になる……

 

「では、煙幕を張ります。気を付けてくださいね」

「綾波も、気を付けて」

煙幕が張られ、二人は別れた。煙幕の向こうに消える時雨を見送って、綾波は一人気合いを入れる。

時雨を、そして基地を守る為に……

「ここは、通しません!」

 

基地への航路を急いだ。僕は燃料も気にせずただただ全速力で航行し続けた。

「提督!提督!!」

無線機に声を掛けることも忘れなかった。一分一秒が過ぎ去っていくのがもどかしかった。

永遠に通じないのかと思える程の時間が過ぎた後、ようやく反応があった。

「………………み………なみ………しろ、綾波!!」

「提督!」

「その声は……時雨か、これは一体どうしたんだ!?」

「僕にもまだ良くわかってないんだ……それより提督!!綾波が!!」

「綾波がどうしたんだ!?」

「二人だと危ないからって一人で敵を引きつけに行ったんだ!!」

「何だと!?わかった、時雨は一度帰ってきなさい。綾波はこちらから救援を送る」

「わかったよ、提督」

 

結果として、綾波は発見出来なかった。敵艦隊も撤退しており、大本営は敵新型ー後に戦艦レ級と分類されたー

と相討ちになったと判断した。その後一週間にわたり時雨を中心に昼夜を問わず捜索活動が行われたが、発見出来なかった。大本営は綾波をMIA(作戦行動中行方不明)と認定、除籍した。基地には、新しい綾波が交代要員として送られることになった。

 

「僕のせいだ……僕の……」

時雨には大きな心の傷が残った。元々の時雨の真面目な気質と相まって、自責の念に囚われていた。仲間も、提督も時雨を励ましたが、回復には数ヶ月を要した。結果として、時雨は作戦行動が可能なまでに回復するが、時雨の心の内は見透す事が出来なかった……

 

一方、提督も自分を責めていた。提督という立場上、表面的には極めて普通に過ごしているつもりでいたが、多くの艦娘は、提督について気付いていた。しかし、気丈に振舞おうとしている提督に対して、誰一人として声をかけられなかった。深く落ち込んでいる時雨を回復させるという共通の目標に誰もが縋り付いていた。基地は危うい均衡を保っていたのだった……

 

そして今……全てが再び動き出す……

 

to be continued…

 




いかがだったでしょうか?今回はかなり重い話になってしまいました……
そして綾波提督の皆さんごめんなさい

次回もお楽しみ頂けると幸いです

P.S.
捷一号作戦(後編)が始まりましたね、お互い頑張りましょう
尚武蔵大爆死にて資源カツカツマン

P.P.S.
前編はクリアしたです。涼月お迎えしました
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