「はあ、また顔見られたろうなあ」
私は、昔の戦友の驚いたような顔を思い出しながら、またやらかしたことを憂鬱げに呟いた。
奥の手であるA10は戦場でもそこそこ有名らしく、きっと彼女ならわたしとすぐに結びつけてしまうだろう。
「とりあえず戻ろう」
そう言って、マスタングを装着すると、地表を這うようにして飛び立った。
「おかえり」
妖精さんは既にRaptorの修理を終えたらしく、こっちにむかってF22を寄越した。
「やっぱりこれがあると安心する」
「まあ、逃げ足の速さはそれが天下一品だからね、で、どうしたんだいこれは」
そういって、過負荷でエンジンがいかれそうなマスタングを見る。
「演習中の魔女たちに遭遇、これと交戦。マスタングではこれを迎撃するのは困難と判断し、A10とアヴェンジャーによって迎撃した。その後離脱に成功、帰還」
「きっと顔も見られたんだろうね」
「まあ、何回も見られてるから今更感も有るけどね」
「それもそうだね」
にゃははははと妖精さんは笑い、私は開き直る。
「そういえば昔の顔馴染みにもあったよ」
「さぞかし驚いたような顔をしていただろうね。なんせ、公式には射殺されたことになっているんだから」
「そういえばそんな風に軍は処理してたんだっけ」
すっかり忘れてたと私は言った。
そんなこと、はっきり言ってどうでもいいからだ。
路傍の石よりどうでもいいこと。
「ところで、君の顔馴染みさんとはだれだい?名前さえ教えてくれればどこに配属されているかぐらいはわかるよ?」
そう言われて、私は妖精さんに彼女の名前を伝えた。
「ああ、その子なら、たしかこの近くの基地に配属されていたはずだね」
「それじゃあ久々に会おうかな。彼女も、きっとこっちの情報は漏らさないだろうし、それにそんなに重要なものは話さないし。まさか此処の近くに配属されているとは思わなかったけど」
「まあ偶の息抜きにはいいと思うよ。それじゃあ明日はF22で行くといいよ。レーダーに見つからないで行けるからね」
「ん、そうする」
べつに、軍が嫌いだからといって、かつての仲間たちが嫌いというわけでもない。
むしろ、彼女たちには迷惑をかけてしまっただろうから、そのお詫びもしたいくらいだ。ただ、あの時はついていったら軍にまた拘束されるだろうから拒絶しだだけ。
さて、彼女への手土産は何がいいだろうか。
前に作ってもらった戦略級魔導式大量破壊兵器か、なにか服でも持っていってあげようか。
今日もまた疲れた。
ほんとうは息抜きに飛んだのに息抜きとはなんだったのか。
そのまま薬を飲んで、ふかふかの布団で寝た。
「それじゃあ行ってくるね」
「今回は余程のことがなければWEPまで炊かないでおくれよ。くすねてきた資源にも限りがあるんだから」
「善処する」
「正直君ならWEPを炊く事態になるなんてそうそうないとは思うんだけどねえ」
「油断はだめ、それで何人が死んでいったのか分からない」
「例えば侮って零戦相手に格闘戦をしかけたベテランのスピットとかね」
「あれは、まあ、あまりにもあれというか……」
「ま、そんなことは今はいっか。それじゃいってらっしゃい」
「ん、いってくる」
そうして、私はF22 Raptorを発進させ、音の壁を超えていった。
メモ書き程度のものをお読みくださりありがとうございます。