「久々に買い物にでも行くかい?」
妖精さんは突然こんなことを言い出した。
「まあ最近日雇いの仕事やって懐も少し暖かいからいいかもね。女だからって、なかなか土木作業の仕事はもらえなかったから実際に重りを持ち上げてようやく信じてもらえたけど」
「本当は君が軍にいるのが一番お金に困らないと思うんだけどね。まあそんなこと君は絶対にしないだろうけど」
「そりゃそうよ、だって私の使い魔は軍に殺されたんだから」
忘れもしない。脱走を企てて疲労が溜りに溜まった体に鞭打って基地から逃げたときに、あいつらに追いかけられて私は撃たれた。その時に私の使い魔は私を庇って死んだ。その時は結局激昂してあいつらを血祭りにあげて体を引きずりながら逃げたんだけど、一息ついたらもうわんわん泣いた。自分の半身を失った喪失感と、未熟な自分と軍への恨みとでごちゃごちゃになった。
今ではもうその気持ちも私の奥底に沈んでいて、二度と出てくることはない。妖精さんに頼んでそうしてもらった。逃げかもしれないけど、ネウロイと戦うのにそんなことを思いながらではすぐに死ぬ。
まあ、そんなことはどうでもよい。
「で、何買いに行くの?」
「特に何も。所謂冷やかし、ウィンドウショッピングでもしたらいいんじゃないかと思ってね」
「まあ必要なものは妖精さんがだいたい作ってくれるし、わざわざ買いに行く必要もないか。でも、それなら行かなくてもいいかな。ここ数日はネウロイともやりあってないし、そんなに息抜きしてたら腑抜けちゃうから」
「そうかい?ならそうするよ。まあここら辺は自然はあるし、どうせ何もすることがないなら散歩でもすればいいんじゃないかな。それともWW2の再現VRでもやってみるかい?」
「それじゃあそのVRをやろうかな」
「なら其処にある機械を説明書通りにやればいいよ、それじゃあ自分はF22のメンテナンスでもしようかな」
そう言って、妖精さんはRaptorのメンテナンスに入った。
それじゃあ、知識にはあるけれども、実際には体験したことのないWW2、この世界のあったかもしれないIFを体験してみよっと。
「アメ公やばい」
体験を終えて出てきた言葉がそれだった。
「アメ公の物量やばい、それ以上にあの原爆やばい」
原爆とかなあにそれえ状態。
扶桑の、いや大日本帝国の広島と長崎に落とされたたった2発の爆弾。
ウン十万という人が死んだ。
あれはあってはならない。
存在してはいけない兵器。
でも、それと同じくらいの威力の兵器は私も持っている。
実際に被害を見て、ようやくおぞましいものを持っていると実感したくらいの、凄すぎて実感が沸かないという、途方もなく想像がつかない威力のもの。
戦略級魔導核融合兵器。
妖精さんがちょこちょこと私から魔力を採集して、つもりに積もった魔力をさらに増幅させて、重水素化リチウムを核融合させ、核爆発を起こす兵器らしい。
どこからそんなものの材料を持ってきたのかとか、何でそんなものを作ったのかつっこみたいことは沢山ある。まあ妖精さんだからで全て方がついてしまうけど。
まあ、アレは決して使わないだろう。
使った時の影響が、あまりにも大き過ぎるから。