【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~   作:ただの名のないジャンプファン

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標的69 想いの拳

~sideベルカ地区 某山間部 スカリエッティのアジト~

 

朧からの管理下から離れたギンガはスカリエッティ、そして彼が生み出した数の子達と共にこの後、行われるフェスティバルまでスカリエッティのアジトで生活する事になった。

 

「それじゃあ、ファーストの面倒はノーヴェ、君に見てもらおうか?」

 

「は?」

 

模擬戦の後、スカリエッティのこの一言にノーヴェは唖然とした。

だが、少しずつ時間が経ち、彼の言葉の意味を理解していくと、

 

「はぁぁぁぁー!?ちょっと、ドクター!!なんで、アタシがこんな奴の面倒を見なきゃならないのさ!!他の奴にやらせてくれよ!!」

 

ノ―ヴェはスカリエッティの言葉に異議を唱えた。

相手は元管理局員‥つまり、敵対者で今は紅桜の力で彼女本人の感情と意識を封じ込めているが、その様子があまりにも無口、無表情で気味が悪い。

そんな奴の面倒を見ろと言う。

そんなの真っ平御免だ。

 

「ノーヴェ、貴女はドクターの言う事がきけないの!?」

 

ウーノがノ―ヴェに対して注意するが、

 

「嫌なモノは嫌だ!!そんなに言うならウーノ姉がやってよ!!ウーノ姉、ちょっとファーストに声が似ているし、丁度いいじゃん!!」

 

ノ―ヴェは、はっきりと明確に自らの意思を示す。

 

「見苦しいぞ、ノーヴェ。お前はファーストと戦って負けたのだ。勝者の世話をするのは敗者たるお前の役目だぞ!!」

 

トーレは先程の模擬戦の結果を引き合いにしてノ―ヴェにギンガの面倒を見ろと言う。

 

「うぅ~‥‥チンク姉‥‥」

 

「トーレの言う事も最もだ」

 

敬愛するチンクからもそう言われ、ノーヴェは自分の味方はこの場に居ないと知り、渋々ギンガの面倒を見る事にした。

ウェンディやセイン、ディエチでは、自分同様年上組に勝てるわけがない。

 

そして、ここ数日、ノーヴェはファーストとウェンディと行動を共にしたのだが、ノーヴェは能天気で楽天的なウェンディとほぼ機械的に命令に従うだけファーストに少々イライラしていた。

 

「おい、ファースト。お前、もう少し言動には気を使えよ。それじゃあ、お前完全に機械だぞ!!」

 

ノーヴェがいくら怒鳴り声を上げても、ファーストから返って来る返事は決まって、

 

「かしこまりました。以後気を付けます」

 

の一言だけである。

しかも表情は変えずに‥‥

 

「ちっ」

 

何の変化もないファーストの態度に対して、

 

(コイツ、学習能力ないのかよ、これじゃあマジで新型ガジェットの最新版じゃねぇか)

 

ノ―ヴェは心の中で毒づく。

姿形は自分達と同じ筈なのに、中身は完全にガジェットとほぼ同じ‥‥こんな奴と四六時中行動を共にしなければならないと思うと、ノーヴェのストレス数値はドンドン上っていく。

 

「もう仕方ねぇっスよ。今のファーストはアタシらとちょっと違う状態なんッスから」

 

「フン、それならまだ洗脳していた方が良かったぜ」

 

確かにウェンディの言う通り、今のギンガは洗脳とはちょっと異なる状態であるため、微妙な立場と言うか状態であった。

 

「全く、ある程度自分で判断してもらわねぇーとこっちが困るんだよ。アタシが最初から全部教えねぇといけないからな」

 

ノ―ヴェは実にめんどうそうに顔をしかめるのだった。

 

 

~side スカリエッティのアジト 温水洗浄施設~

 

スカリエッティのアジトの中にある温水洗浄施設‥つまり風呂では、セインとディエチの2人が入浴していた。

 

「ふぅ~一汗かいた後の温水洗浄は最高だね」

 

「まったく~」

 

何ともおっさんっぽい台詞を吐く2人である。

そこへ、

 

「ひゃっほーおじゃまするッス!!」

 

「ちょ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ウェンディがノ―ヴェを抱きかかえて湯船の中にダイブしてきた。

 

「ん?仲良しコンビか?」

 

ウェンディとノーヴェが飛び込んだことにより、お湯が跳ね、ソレを浴びたディエチが迷惑そうに顔をしかめる。

一方、セインは少し離れた所に居た為、難を逃れていた。

 

「テメェ、ウェンディ!!何しやがる!!」

 

ウェンディに抱きかかえられ、湯船に強制ダイブさせられたノ―ヴェが怒鳴る。

 

「ノーヴェはファーストの面倒でストレスが溜まって居た様だったから気分転換させてあげたんじゃないッスか、アタシに感謝するッスよ、ノーヴェ」

 

「うるせぇ!!あんまし調子に乗っているとジャンクにすんぞ!!テメェ!!」

 

此処最近ストレスがたまり続けているせいかノーヴェはご機嫌斜めであった。

はたして彼女の胃は大丈夫だろうか?

 

「おい、けんかすんなよー」

 

セインはノーヴェとウェンディのやり取りを見て笑っているが、ディエチは静かに入浴していたのに、騒がしくされてはた迷惑なのか、2人を仲裁する。

 

「あれ?ノ―ヴェ、ファーストは?」

 

此処でセインはノーヴェが世話をする事になったギンガこと、ファーストが居ない事に気づいて彼女の行方を尋ねる。

 

「あん?アイツはまだ、着替えているよ。まったく、あんな面倒くさい服なんてモノを押し付けやがってあの白髪野郎」

 

ファーストは数の子達が着ているボディースーツと違って黒い着物袴を着ているので、着替えに戸惑っている様子。

そこへ、

 

「相変わらず騒がしいな」

 

チンクと着替え終えたファーストが入って来る。

 

「チンク姉‥だってこのバカが‥‥」

 

ノ―ヴェは騒がしくした原因はウェンディにあると説明するが、

 

「妹を捕まえてバカはないだろう。お前も姉と言う立場なのだぞ」

 

「う、うん‥‥」

 

チンクに怒られてシュンとするノーヴェ。

そこへ、シャンプーやボディーソープの詰め替えにオットーがやって来た。

 

「オットーは入らないんッスか?」

 

ウェンディがオットーに風呂に入らないのかと尋ねるとオットーは、

 

「僕は後で‥‥集団洗浄は苦手です」

 

と、後で入ると言ってきた。

 

「そうなの?」

 

「ちゃんと入らないとばっちぃよ」

 

「ご心配なく、後でちゃんとディードと入りますので」

 

やる事をやってオットーは浴場から出て行こうとする。

そんな中、

 

「そーいえばさーオットーは」

 

「なんでしょう?」

 

セインがオットーに声をかける。

 

「前から気になっていたんだけど、オットーってアタシらと同じ、女性体なの?」

 

セインはオットーに女なのかと聞いてきた。

今現在、オットーが女だと知るのはスカリエッティ陣営の中ではスカリエッティとウーノ、クアットロぐらいなので、オットーの本当の性別を知らない数の子達からすれば、もし、オットーが男性体とすれば、今自分達は異性に裸を見られている事になり、ちょっと恥ずかしかった。

現にノーヴェは顔を赤くして湯船の中に沈んでいる。

 

「‥‥秘密です」

 

「えー!!何で!?」

 

「クアットロ姉様が秘密にするようにと言っていたので」

 

「おのれ、あの駄眼鏡め」

 

「略してメガ姉ッスね」

 

「では、これで」

 

オットーは今度こそ、浴室から出て行った。

 

「双子のディードは間違いなく女性体ッスよね」

 

ウェンディはオットーの双子の妹、ディードの姿を思い浮かべる。

ボディースーツ故に主張する彼女の二つの山は間違いなくディードが女性である事の照明であった。

 

「ファーストも間違いなく女性体ッスね」

 

続いてウェンディはファーストに絡み、彼女の胸を揉む。

と言うか、今のファーストは裸なのだから男か女かなんて一目でわかる。

 

「‥‥はい」

 

紅桜に意識を奪われていてもファーストは自分が女性と言う事は認識している様だった。

 

「ノーヴェの言う通りやっぱ表情が固いっスね。もっと普通に喋って欲しいッス」

 

「‥‥了解しました‥では‥‥貴女の事はあまり尊敬しない事にします。とりあえず、胸部接触の中止を求めます」

 

「うっ‥‥」

 

機械的な言葉と無表情のファーストにウェンディは失敗かと思い、彼女の胸から手をどけた。

だが、彼女は自らの行動で新参者のファーストから信頼を失った様だった。

 

 

一方、その頃‥‥

 

~side神威~

 

ベルカ某所の山岳部で月を見上げながらいつもとは違う雰囲気を彼は醸し出していた。

そこへ‥‥

 

「やっと見つけた‥‥」

 

「ん?」

 

急に後から声をかけられ後ろを振り向くと、其処には‥‥

 

「何だ?お前か?」

 

トレディが立っていた。

 

「何‥しているの?」

 

「別に‥でも、こうして月を見ていると、月を見て大猿に変化する戦闘民族と戦いたいなって思っているだけさ‥‥居ねぇかな?そんな奴等‥‥」

 

「?」

 

神威の冗談があまりわからないトレディは首を傾げている。

 

「そんな連中本当にいるの?」

 

「いたら面白いじゃん。どっちが本物の戦闘民族かはっきりできるし」

 

と神威は立ち上がりその場を去ろうとすると、

 

「あっ、待って‥貴方に話があるの‥‥」

 

トレディが神威に声をかけて、呼び止める。

しかし‥‥

 

「...いやだよ、俺は興味無いし、お前と話す事なんて何もないから」

 

そう言ってトレディの話を聞こうともせず、歩き出した。

それでもトレディは神威に声をかけた。

 

「この戦いが終わったら私と一緒に暮らさない?」

 

神威はトレディの言葉を聞き、ピタッとたち止まり振り向くと、

 

「それってもしかして、愛の告白ってやつ?」

 

普段浮かべている仮面の様な笑みを浮かべながらトレディに尋ねる。

 

「受け止め方は貴方の好きにすればいい、私と貴方は兄妹であり同一人物でもあり、娘でもある‥‥」

 

「違う‥‥」

 

神威はボソッと呟く。

 

「それなら‥‥」

 

トレディは尚も神威に言葉をかけ続ける。

神威の「違う」とう言葉にトレディは、「神威は自分の事を他人と思っている。それなら‥‥」と思い、意を決した様に彼に言い放つ。

 

「貴方の子供を私が孕む」

 

「っ!?」

 

なんとトレディは神威との間に子供を作りたいと言う。

その時の彼女の顔は、戦闘機人ではなく、1人の女の顔をしていた。

だが、神威はトレディの言葉を聞き、ピクッと反応しただけで何も言わないし、それ以上のリアクションはとらない。

それでもトレディは神威に語り続ける。

 

「私と貴方の血を引いていたら、きっと強い子供が生まれる。貴方が私と同じ考えを持っていることは知っている。だから、私を‥‥」

 

トレディが神威に自らを『抱いて』と言う前に、

 

「うるさいよ」

 

神威はトレディに傘の先を向けて、彼女の言葉を遮った。

しかし、今のトレディの言葉は戦闘機人らしくない発言であり、もしスカリエッティが聞いていたら、卒倒するか「新しい研究テーマだ」と言って興奮するかのどちらかだろう。

何しろ彼女は数の子達の中でも今まで抱かない感情を今、抱いている。

彼女は自分が戦闘機人であることを忘れ、1人の女として彼に抱かれたい、彼との間に子供を設けたいと願っている。

だが‥‥

 

「いい加減、その口を閉じないと殺しちゃうよ‥‥たとえ、お前でもな‥‥」

 

いつもの彼ならば仮面の笑顔で言うおきまりのこのセリフだが、今の神威の顔は全く笑顔ではなく殺気を放出しまくって威嚇する肉食動物の顔だった。

それは普段よりも彼が怒っているからだ。

 

「別に俺の子供が欲しいなら作ってもいい...だけど、俺はお前やそいつを殺してでも上に行く。」

 

「‥‥」

 

(そうだ、俺はあんな男とは違う)

 

神威の脳裏には自分の前に立ちはだかる大きな壁ともいうべき、最強を掲げたあの男が写る。

 

「いいか、夜兎って言うのはそういう奴らのことを言うんだ。お前のその腑抜けた考えがあるんならお前は俺どころか夜兎ですらない。少しでも夜兎の血が流れているならそれに恥じない事だ。」

 

神威はそう言うが、彼の言葉にトレディは全てを納得する事が出来ず、

 

「.....それは、貴方が男だから」

 

トレディが震える声で、神威に反論する。

 

「ん?」

 

「貴方は夜兎の男だから、そう言える‥‥でも、私は夜兎の女‥‥強い雄と交わり、強い子供を後世に残したい!!それが夜兎の女の本能!!私はその本能に従っているだけ!!言葉でわからないと言うのなら、力で分からせる!!」

 

トレディは背後から飛び神威に殴りかかろうとしてきた。神威はそれに気付いて躱してそれから、

 

「そう、それでいいんだ。生まれ方はちょっと違ってもお前も夜兎なんだから余計な事は考えるな。お前は自分が1番だと証明するために動けばいいんだ。」

 

トレディの拳をかわしながら神威が喋って神威も反撃に移り、

 

ドン!

 

トレディと拳をぶつけながら力比べに持っていくとトレディは神威の腕を掴んで投げ飛ばして神威が投げ飛ばされて地面に激突して、

 

「ガハッ!」

 

トレディはすかさず飛び込んで来たので神威は転がりそれを躱す。

 

ズドーン!

 

トレディの攻撃で土煙が風と共に舞い。神威の姿を一瞬見失ってまた目で追っている最中に横から腹にかけて手刀が入り、

 

「ぐっ」

 

回し蹴りと流れる動作で続く神威だがトレディも負けていない。ガードはできなかったが吹き飛ばずにその場で耐えてIsを発動して神威の足を凍らせる。

神威は少し驚くがその程度という態度で自分の足を見て一旦下がり、

 

「へぇ~それがあの科学者につけてもらった能力の本性か?」

 

「そう、相手の熱を奪って自分のモノにする。これと夜兎の力があれば誰にだって勝てる...貴方にもね‥自分が最強と言うのであれば、私を倒して見せろ!!」

 

「それは楽しみだな‥お前が無様な姿で地面に横たわる姿を見るのがさぁ!!」

 

「私は負けない!!絶対に勝って貴方を手に入れてみせる!!」

 

余裕の笑みを崩さない神威、またトレディから飛び出して神威もまたそれを避け続ける。

 

「何故?」

 

「ん?」

 

「攻撃をしてこない!!私をバカにしているの!?」

 

凍らしてから1度も攻撃移ろうとしないそれどころか腕を組んでいた。

 

「...確かに共通するものはあるなって思っている。お前は攻撃しているだけだから気付いてないでしょう。お前はあれに改造されているんだろうけど、軸は俺、体勢も、特徴、癖までも、殆ど俺と同じ」

 

神威はトレディの足を引っ掛けて倒す。そして腹を踏みつけて

 

「ぐはっ!」

 

「今のままじゃ勝てないよ。」

 

「くっ、言ってくれる!!」

 

凍っている方の足を攻撃しようとするが神威はジャンプする。

 

「ならこれはどう?」

 

手を神威に向けて、

 

「IS発動アンジュレーション・フォー!!」

 

巨大な火炎が神威に向かって放出される。

 

「ふふ」

 

神威はその炎を見て少し口角が上がり腰の傘に手をやるとそれを取り出して

 

「はァァ!!」

 

大振り1発の風と衝撃で火炎を消し飛ばして、

 

「きゃぁぁっ!!」

 

あまりの風に驚く

神威はそれをもう一回行いトレディの動きを抑えトレディを押さえつけている間に

 

「これが本当の夜兎の力だ。」

 

殴り飛ばす。

 

「ぐっ‥‥」

 

「これで分かっただろう?夜兎の力が‥‥夜兎の本質が‥‥」

 

(俺はあの男とは違う‥守るべき者、子供や家族なんて重荷を背負っても邪魔なだけだ‥‥そんなものを背負っちゃあ最強になんてなれない‥‥家族を持てば必ずそいつを不幸にする‥‥この俺がいい例だ)

 

トレディを倒し、何処かへと去ろうとする神威。

だが、

 

「ま、待て‥‥私はまだ、負けていない‥‥」

 

トレディが起き上がる。

 

「‥‥まだやるのか?お前も懲りない奴だねぇ~」

 

「自分が1番(最強)だと証明する‥‥そして‥‥海賊は狙った獲物は絶対に逃さない!!」

 

「それは海賊じゃなくて怪盗だ」

 

神威は呆れながらトレディにつっこむ。

 

「そんなのどちらでも関係ない!!私が貴方を手に入れると言ったのだから、それは絶対だ!!」

 

トレディはなりふり構わず神威に殴り掛かる。

神威はもはや、攻撃をするまでもないと躱してばかり。

 

「お前、やっぱり私をバカにしているのか!?」

 

「そんなんじゃないよ、もう、お前に攻撃をする必要がないだけさ」

 

「何を言って‥‥うっ‥‥」

 

神威から受けたダメージは後からトレディの身体に来て、彼女はガクッと膝をつく。

 

「くっ‥‥」

 

「無理をするな‥‥それ以上やると、子供を孕む前にお前の身体がイカれちまうぞ。まぁ、お前は女にしてはよく戦った方だよ、俺のバカ妹にも見習わせてやりたいぐらいにね」

 

「‥‥」

 

「それじゃあね」

 

神威は片手をあげて、トレディに別れの挨拶を言うと、その場を後にしようとする。

 

(諦めてたまるか!!此処まで来て諦めてたまるか!!)

 

トレディはその思いだけで、笑う膝に喝を入れ、立ち上がり、神威に渾身のタックルをする。

そして、

 

(届け!!)

 

トレディは神威を引き留める為、必死に手を伸ばす。

当然、彼女の行動は、神威はとっくに察しているが、今のトレディに自分を倒すだけの力は残っていない。

それは彼女にダメージを与えた神威自身が一番に理解していた。

故に何のリアクションもとらず、平然と歩いていた。

だが、彼にも予想外のことがあった。

それは、トレディの腕が神威の背中の服の裾に達した事だった。

ガシッと服の裾を掴まれた神威は振り返る。

其処には、倒れながらも必死に自分の服の裾を掴むトレディの姿。

神威は今のトレディの姿を、彼女の目を知っている。

今、この場で必死に裾を掴んでいるのは昔の自分だ‥‥

去って行く親父の背中をただ黙って見つめているだけしか出来なかった昔の‥‥弱虫の頃の自分の姿だった。

 

「かむ‥い‥‥」

 

トレディはまるで捨てられた仔犬の様な目で神威を見る。

そして神威はそんなトレディの様子を黙って見つめる。

 

「‥‥」

 

(そうだ、俺はあの男とは違う‥‥あんな奴とは‥‥)

 

自分と親父とは違う。

その思いが神威を動かし、彼の口を動かした。

 

「はぁ~ほんと、しつこいなぁ、君は‥‥」

 

「だ、だって‥‥」

 

「そんなに俺との間に子供が欲しいのか?俺に抱かれたいのか?」

 

「‥‥」

 

トレディは無言のまま首を縦に振る。

 

「ふん、いいだろう‥‥ただし‥‥お前を抱くのはお前が俺を倒してからだ」

 

「‥‥」

 

「お前が俺を倒す事ができたら。子作りでもなんでもしてやるよ」

 

「ほ、本当?」

 

「ああ‥だから、今は‥‥」

 

ドスッ

 

「ゆっくり寝ろ‥‥」

 

ドサッ

 

神威はトレディの首筋に手刀を入れ、彼女の意識を刈り取った。

 

 

「うっ‥‥うーん‥‥」

 

トレディが目を覚ますと、辺りは既に夜が明け始め、太陽が昇り始めていた。

 

「神威!?」

 

トレディが慌てて起き上がり、辺りを見回すと、そこに神威の姿はなく、

 

「あっ‥これは、神威の‥‥」

 

彼の上着が自分に掛けられていた。

 

「神威‥‥絶対にお前を倒してみせる」

 

纏っているボディースーツの上から彼の上着を羽織り、昇って来る朝日にトレディは打倒神威を誓ったのであった。

 

その後、トレディは自分のマイホームであるスカリエッティのアジトへと戻った。

アジトへと戻ったトレディを見て、他の数の子達は、

 

「なぁ、トレディの奴、何か変じゃないか?」

 

「ん?何処が変なんッスか?」

 

「いや、その‥‥身体つきとかじゃなくて‥‥纏っている雰囲気が‥‥」

 

「そおッスか?」

 

「わからんのなら、ウェンディはまだまだ修行不足だ」

 

「そんな!?酷いッス!!」

 

「確かにトレディはなんだか、一皮むけたように思える」

 

「無断外泊したこの数日、トレディに一体何があったんだ?」

 

数の子達はトレディの姿を見て首を傾げた。

 

 

「ここ数日、無断外泊をして一体何処へ行っていたのかね?」

 

トレディは帰ってきた早々、スカリエッティにお説教される羽目になった。

どうやら、彼女はスカリエッティや他の数の子達に無断で外に出て神威を探していた様である。

 

「探しモノを探しに‥‥」

 

「探し物って、今君が着ているその上着かい?」

 

「ううん、違う」

 

「そうかい、それで、探し物は見つかったのかね?」

 

「見つかったけど、この手をすり抜けて逃げていきました」

 

「‥‥」

 

「でも‥‥」

 

「でも?」

 

「でも、この戦いが終わったら、今度こそ、逃さない。この手できっちりと掴んでやる!!」

 

「この戦いが終わった後で‥か‥‥ならば、この戦いを終わらせるためにも君の力が必要だよ、トレディ」

 

「はい」

 

スカリエッティの言葉にトレディは力強く頷くのであった。

 

 

 

・・・・続く




ではまた次回。

因みに現在のギンガの服装はBLEACHのルキアと思い下さい。
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