【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~   作:ただの名のないジャンプファン

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やっとゆりかごの目覚めに移行できます。


標的71 母強しではなく女が強いのだ!

 

 

~sideはやて~

 

 

病院にてツナ達の無事を確認した炎真は、はやてにこの事を伝えた。

はやては、炎真の報告を聞き、胸をなで下ろしていた。

今回の襲撃では、殉職者も多数出た為、自分の部隊から殉職者を出さなかった事は部隊長として不幸中の幸いな報告だった。

だが、隊舎は半壊し、ヴィヴィオは敵に連れ去られ、師匠ともいうべき、ゲンヤの娘のギンガは行方知れず。

この報告ははやてに少なからずの衝撃を与えた。

 

「エンマ‥‥」

 

「はい」

 

「この後、ちょっと付き合ってや」

 

「はい?」

 

はやての誘いに炎真は首を傾げた。

そしてその日の夕方、はやては炎真を連れて本局へと赴くと、通路にてレジアスの娘でもあり、彼の第一秘書を務めているオーリスの姿を見つけ、はやては彼女に声をかけた。

 

「オーリス三佐」

 

「八神二佐、それとその少年は誰です?」

 

はやての隣に立つ炎真は管理局の制服を身に纏っていないので、オーリスが不審がるのも無理はなかった。

公開陳述会の会場である地上本部ビルが襲撃対象になった事で次はこの本局が狙われるのではないかと本局の警備も強化されて建物内はピリピリした空気が張り詰めている。

 

「私の隊に所属する民間協力者です。それより、オーリス三佐。お時間よろしいでしょうか?三佐にお伺いしたい事がありますので」

 

「これから会議ですのでこちらから時間が出来ましたらその時にご連絡します。」

 

「‥‥わかりました」

 

素っ気ない態度をとり、オーリスは会議室へと向かっていった。

 

「‥‥」

 

はやてとオーリスのやり取りを炎真は見ていたが、彼女の言う『時間が出来ましたら』という発言を疑問視した。

本当にはやてに費やす時間をオーリスは作るのだろうか?という疑問を‥‥

それははやても同じだった。

 

だが‥‥

 

オーリスははやての時間を割くことはないと思っていたが、意外にもオーリスはちゃんとはやての為に時間を割き、はやての話を聞いた。

いや、これはもしかしたら、今後はやてが自分に付き纏うかもしれないと予測し、さっさと要件を済ませてしまおうと言う魂胆だったのかもしれない。

何はともあれ、はやてはオーリスにスカリエッティの協力者にオーリスの父であり、地上本部本部長のレジアス中将が関係しているのではと話を切り出した。

レジアスは戦闘機人、人造魔導師の研究・製造をかつて、局の戦力と人材補強のために採用しようとしたものの人道的・倫理的観点からそれを中止された経験がある。

だが、戦闘機人、人造魔導師の研究・製造‥そこにうってつけなのがスカリエッティだった。

彼は歪んだテロリズム思想に染まってなければ本物と言ってもいいほどの天才だ。

はやては、レジアスは秘密裏にスカリエッティと協力し、『陸』の人員不足を解消するためにこの計画を進めていたのではないかと言う事でオーリスに直に尋ねる。

だが、それでも何ら動揺しないオーリスは、はやての推理をくだらない妄想と決めつける。

 

「貴女は入局10年目でしたか?」

 

「はい」

 

「中将は40年です。10年前貴女が自分の命を‥「今はそんな事どうでもいい!!」

 

「「!?」」

 

ずっとはやてについてきていた少年口も開かずじっとしていて何か言いたそうな目をしていた。

 

「エンマ」

 

「はぁはぁ、はやての過去が今回の事件に関係あるんですか?僕達は今回の事件を解決したくてここに来たんです。関係の無い話で逸らさないでください!!」

 

「年上に対しての口の聞き方を知らないのですか?まったく、この前の銀髪の方と言い‥‥貴方こそ関係無いのでは?二佐は本局に一般市民を連れてきて何がしたいんです?」

 

「...僕の友達は...今回の事件の首謀者によって殺されかけて、ついさっきまで目を覚まさなかったんですよ!それにもう1人はまだ目を覚まさず、集中治療室の中で治療中です!!」

 

「...それが?」

 

自分の友達が傷ついた事実を炎真は必死な思いで伝えたのだが、オーリスはまるで興味が無いと言う様子。

 

「っ!!?」

 

オーリスの平然としている態度と言葉に怒りを燃やす炎真。

 

「避難勧告はちゃんと出していました。怪我をしたのはそれに従わなかった貴方の友達の行動が悪いんでしょう?そうなったのは自己責任です。此方側には一切の責任はありません」

 

オーリスのこの言葉に炎真はついに我慢の限界か手を挙げようとすると

 

「彼の友達は彼同様、私の隊の民間協力者であり、もう1人は“陸”の‥‥108部隊の民間協力者です」

 

オーリスは改めて炎真を見ると確かに資料に載っていた。だがあの写真ではいかにも気弱そうだったのに雰囲気がまるで違う。

 

「これは失礼、ですがルールはルール、調査をしたいのなら調査許可証か特別令状を持ってきてください。話はこれまでです。」

 

と歩いていくオーリスの後ろ姿を見つめている2人だが、すぐにはやては、

 

「ええ、近いうちに必ず、貴方のお父様の裏の顔を表にさらしてみせます」

 

そう言い残した。

そして帰る途中で‥‥

 

「...ごめん‥はやて」

 

「ん?どないしたん?エンマ」

 

「その‥‥つい熱くなって‥‥もし、あの時、彼女を殴っていれば、はやてにとんでもない迷惑をかけたよね?」

 

「あぁ、何やその事かいな」

 

何時ものはやてに戻り、

 

「別にええよ、友達がそんな事言われたらそら普通は腹が立つやろう?それに下のしでかした失敗の責任をとるのが上に立つ責任者の仕事や」

 

「はやて」

 

「と言いたいけど、六課の責任者として少し説教せなあかんな」

 

「はい」

 

言い返すことができない炎真。

 

「ポケットから手ぇ出して」

 

「え」

 

「いいから」

 

「.....」

 

「はぁ」

 

強情な炎真にため息を吐き、はやては炎真の手を引っ張り出して、

 

「痛っ!?」

 

手を見るとやはり‥‥

 

「はは‥‥」

 

笑って誤魔化すが手は包帯で巻かれていて隙間から血が滲み出ていた。

 

「この前、無理にシノビの結界を壊した時の傷やな?」

 

「.....」

 

炎真は気まずそうにはやてから視線を逸らす。

 

「そうやな!!」

 

「はい‥‥そうです‥‥」

 

はやてが怒鳴るとびっくりして炎真もつい声を上げてしまった。

 

「六課の責任者として、隊員が怪我してんのを見過ごす事は出来ひん」

 

「うん」

 

「エンマはこれから病院に行って包帯巻き直してからツナ君達の様子を見てきて」

 

「わかった」

 

「エンマ」

 

「どうしたの?」

 

「私達の世界の為に今回エンマも皆も大怪我した。でも、今の私らの戦力じゃあの人らを捕えられへん、だから今度も力を貸してくれへんか?」

 

「僕とはやての仲でしょう?」

 

何の迷いもなく炎真ははやてにそう告げる。

 

「なら、早く手ぇ治してな、これから思いっきりこき使う予定やさかい」

 

微笑むはやてのスマイル顔頼み事はとてつもなくえげつない。

 

「え!?」

 

「ほら、早ょう行きなさい!!」

 

そして動きの止まっている炎真をまた怒鳴り、

 

「は、はい!!」

 

走って行く炎真の背中を見てそして自分も振り向き小声で

 

「ありがと」

 

と誰にも聞かれることなく呟くはやてだった。

 

 

~sideスカリエッティ~

 

薄暗くもその黄緑色が周りを照らし微かに見えたのは台の上で喚く少女、それを見ながら怪しげな笑みを零す白衣を着た男性と青いボディースーツに眼鏡をかけた女性それに全く興味がなく煙管を咥え、紫煙を吐いている男性が居た。

 

「さて、始めようか」

 

「本当にそんなガキが役に立つのか?」

 

煙管を咥えた男が懐疑的な言葉で白衣の男に問う。

 

「ん、君は彼女がただの子供に見えるのかい?」

 

「それ以外に見えねぇよ」

 

「ん~ドクターそんな戯言ほっといて早く進めましょう」

 

メガネの女性がまるで焦らされた彼女が彼氏に甘える時のような声で話しかける

 

「まぁ待ちたまえ、クアットロ、少し昔話したって変わらないさ」

 

と作業を進めながら話し始める。

 

「いいかい、この子は普通の子じゃない、彼女は違う人物の遺伝子で生まれたクローン、クローン人間なのさ」

 

「ふぅ~だから?」

 

紫煙と共にまるで吐き捨てるような言葉使い、

 

「クローンだろうが何だろうが俺には、親鳥から離れ迷子と気づいた小鳥にしか見えねぇよ」

 

不機嫌そうな声で話す高杉に違和感を感じたのか、

 

「あっら、以外~高杉さん、貴方はそんな小鳥に同情するような人なの?」

 

クアットロが挑発する様な口調で高杉に問う。

 

「別に、俺がキレてるのは、そのガキの為に俺達を囮に使った事だ。今回手を貸したのは今の何倍もの戦力を手に入るって、それと最初にこうも言ったな‥‥」

 

「約束が違えた場合私の命はない...まぁ待ちたまえ話は最後まで聞くものだよ。君は彼女をいつものおもちゃ(実験体)と思っている様だ。そんなに急ぐんじゃない、焦って大局をひっくり返させることなんてよくある方だ。だから手を収めなさい...クアットロ」

 

スカリエッティの視線の先には先程とは打って変わって怪訝な表情で高杉を睨みながら手を向けたクアットロを沈めるように声をかける。

 

「君と彼はどうも相性が悪い」

 

「あ~ら、心外、ドクター。私がこんな奴に負けるとでも、試しても良いならすぐにコイツの首を撥ねますよ」

 

「負けているさ、もう、彼は怒っているものの冷静さをかけてない、だが君はもう冷静さを失っている、自信過剰な性格は良いけど傲慢とも取れるその性格は直した方がいい、一体誰に似たんだか」

 

「ごじょ~だんを」

 

また笑顔を取り繕うクアットロ。

 

「で、さっさと話を進めろ」

 

「おっと失礼‥えっと‥‥何処まで話したか.....そうそう、ではこの子は誰のクローンかという事だったね‥‥」

 

白衣の男こと、スカリエッティは、再び高杉に台の上の少女の正体について高杉に説明をした。

 

 

~side六課陣~

 

襲撃により半壊した六課の隊舎は司令部としては機能するには難しい状態となった。そこで、はやては、本局の艦船ドックから退役し、廃艦処分される寸前のL級巡航艦アースラを急遽現役復帰させ、其処に司令部を置いた。

はやてが本局へ行ったのはオーリスに話を聞くのと、アースラを引き取りに行ったのだった。

 

スカリエッティが高杉にヴィヴィオの正体を教えているその頃、同時刻に同じ様に不信感を抱いた者が六課にいた。

 

「はやて、ちょっといいか?」

 

「リボーン君?どないしたん?」

 

「少々気になった点があってな、話...いいか?」

 

「別にええけど」

 

2人は外に出て、周囲に誰もいない事を確認した後、リボーンが口を開いた。

 

「それで、リボーン君、話ってなんや?」

 

「1つは警告だ」

 

「警告?」

 

「俺達の仲間の1人が今も目を覚まさない」

 

「それはエンマから話は聞いとるで」

 

リボーンは雲雀の事を話した。

雲雀がどれ位強いのかをそれを聞いたはやては‥‥

 

「なんや?それはそこまで強いって言う警告?」

 

雲雀が少々性格等に問題があっても今はゲンヤの所でバイトとして所属しているなら、戦力として十分期待できるではないかと思うはやて。

しかし、リボーンの警告ははやてが予想していたモノとは違った。

 

「いや、注意するのは雲雀自身ではなく、雲雀をやった奴の事だ」

 

「どういうことや?」

 

「雲雀の傷を確認した。そして俺は妙な違和感‥いや、親近感を感じだ。今ある情報を照らしても、雲雀をやった奴はこれまでの情報で該当する奴はいなかった。しかも厄介な事に恐らくソイツは猛毒を使う殺しのプロだ」

 

「その根拠は?」

 

以下にリボーンの推測が当てになることでもそこまで自信げに言い切る証拠は、

 

「同業者の俺が言うんだ間違いない」

 

リボーンは所謂「刑事の勘」「主婦の勘」と似たような勘と言う理由だった。

そして、両者は三秒ほど見つめ合い、

 

「...ふぅ~未確認の猛毒使いの殺しのプロ、確かに厄介やな」

 

はやてはリボーンの言う謎の猛毒使いの殺し屋の存在も視野に入れた。

 

「もう1つはお前も気付いているんだろ?ヴィヴィオの事だ。」

 

「!!?」

 

はやては驚くもすぐにやはりという顔になった。

 

「スバルの姉貴ならわかるが、ここまで派手にやらかす奴らが小娘一人を攫ったって言うのは妙だ。」

 

リボーンは半壊した隊舎を見ながら、何故ヴィヴィオは攫われたのかその疑問点をはやてに言う。

スバルの姉、ギンガならまだ使い道がある。

陸のお偉いさんの娘、そして何より管理局の情報を豊富に持っている人物だ。敵の情報を得るため攫って情報を奪う。

または、何かしらの交渉の材料にする為の人質としては、十分である。

だが年端のいかないヴィヴィオにはそれが無い。

せいぜい人質としての盾となるぐらいのメリットしかないが、その盾の役割もギンガで十分こと足りる筈だ。

まさか、誘拐して身代金を要求なんてせこい真似をこれだけの被害を出しておいて連中がするはずがない。

 

「じゃあ、何でヴィヴィオを攫ったか?それは何かヴィヴィオに特別な事情か力があるからだ」

 

とここでリボーンは資料を取り出して

 

「ここにはこんな技術があるんだな『プロジェクトF』」

 

「っ!!?」

 

以前、スバルがリボーンに自分の正体を伝えた時、スバルは「自分は母(クイント)のクローン体をベースに作られた戦闘機人」と言ったので、リボーンはミッドのクローン技術について密かに調べた。

その結果、ヒットしたのが、『プロジェクトF』だった。

 

「こっから先を言うつもりは無い、だが、せめて親には教えたいからな」

 

リボーンの言葉にはやては

 

「...はァ」

 

ため息をはいて

 

「ヴィヴィオは普通の子供や」

 

「あぁ」

 

「これを前提に聞いてほしい」

 

「わかったぞ」

 

「ヴィヴィオを最初に預けた病院での検査によると、魔力とかもあまり変わらん、ただ一つ気になったのは元になったその遺伝子‥‥」

 

「遺伝子?」

 

はやての言葉にリボーンは目を細め、怪訝な表情となった。

 

 

場面は戻り、六課の敷地内からスカリエッティのアジトへと移る。

 

 

「この子の本当の親と呼べる者は、はるか昔まだここが今よりも酷い戦場だった時代」

 

スカリエッティの話を聞いている高杉。

 

「古代ベルカ戦争、」

 

「古代?」

 

「ベルカ戦争?」

 

リボーンとはやての話に戻り

 

「兵器技術が発展して別世界をも領土に加えようとして起きた戦争、ベルカという国が無くなり戦争は終戦したけど暫くは人も住めん状態だったとか、ヴィヴィオの遺伝子はその時代それもだいぶ高貴な人の奴やと思うねん」

 

はやて達の話は此処で終わるもスカリエッティsideでは、

 

「彼女の本当の母親は聖王オリヴィエ、古代ベルカ時代の王の1人さ」

 

スカリエッティは高杉にヴィヴィオの正体を告げた。

 

「王‥だと?この小娘がか?」

 

高杉はまたもや懐疑的にヴィヴィオを見る。

 

「そうとも、正確に言えば彼女は聖王オリヴィエの娘でもあり、オリヴィエ本人でもある」

 

「どういう事だ?」

 

「私は以前、聖王教会から聖王の聖骸布を私の娘の1人に盗ませた‥‥その聖骸布には聖王の髪の毛が付着していた。その髪の毛からDNA‥つまり、遺伝子情報を抜き取り、クローン再生をした。そして生まれてきたのがこの子と言う訳さ」

 

「で?その王とやらは強かったのか?」

 

「勿論だとも。ただ強いのは王個人ではなく、王が有していた兵器‥‥聖王の『ゆりかご』さ、そしてそのゆりかごは聖王がいなければ動かない‥‥」

 

「成程、ソイツは動かす為の始動キーか‥‥」

 

「そうだよ‥では、そろそろ戴冠の儀式を行うことにしよう‥‥」

 

スカリエッティが近くのデスクに置かれていた箱を持ち、鍵のような部分を操作して開く。開かれた箱の中に入っているのは赤い結晶体‥‥レリック‥‥。

赤く輝くソレは、中空に浮かびながら妖しい光を放つ。

まるで、レリック自体が意志を持っているかのように‥‥

 

「――――っ!? イヤアアアアアアアッッ!!」

 

レリックの結晶体を見た瞬間、今までにも増してヴィヴィオが激しく暴れ、叫び声を上げる。

彼女は本能的に察したのだ。

あの怪しげな赤い光を放つ物体が自分という存在を脅かす物だと。

だからこそ彼女は必死になって叫び、逃げ出そうともがく。

だが、体は強力なバインドで縛られており、声を上げてももがいてもそれは何の意味もない。

 

スカリエッティがレリックの結晶体をその手に持ち、

 

「聖王の器に今、王の証を譲り渡す……」

 

レリック結晶体を持ったスカリエッティがヴィヴィオに近づくと、レリックはまるで主の身体に自分を戻せと主張するかのように、その輝きを増していく。

 

そして‥‥

 

「さあ、ヴィヴィオ‥‥今こそ、君は、私の最高傑作となるんだよ」

 

狂気的な笑みを浮かべたまま、手に持ったレリックをヴィヴィオの胸へと下ろした。

その瞬間、レリックは歓喜するような輝きを放ちながら、彼女の胸の中へと吸い込まれていく。その時、ヴィヴィオの体中を激痛が駆け抜け、スカリエッティのアジトにヴィヴィオの絶叫が木霊した。

 

 

~side六課~

 

月夜の晩、今日も輝く月とは対照的に黒ずんだ箇所が目立つ破壊された六課の隊舎。崩落する危険もあり、誰も寄り付かないような廃墟と化した機動六課の隊舎には「keep out」の黄色いテープが張られ人は入ってこない。

そんな中、1人の男が何かを見ながら、

 

「すまねぇ」

 

壊れた廃材を殴り続けていた。

 

「約束したのに、約束しちまったのに、俺は...俺は‥‥俺はまた守れなかった‥‥」

 

殴り続ける拳からは赤い液体がポタポタと流れ落ちている。

だが、彼は止めようとしない。

 

「くそっ、待っていろよ、今行くからな」

 

一体どれくらい殴ったのか分からない。

だが、彼は拳が血で赤くなってもそれを痛がる様子も治療する様子もなく、何処かへと向かおうとする。

その時、

 

「こんな時間に何処行くんだ?銀時」

 

突然後ろから声をかけられ、銀時が振り向くとそこにリボーンが立っていた。

 

「...別に‥‥此処がもう気に入らなくなったか出ていくだけだ。」

 

銀時が此処に協力する時言った条件だ。

気に入らないなら出ていくと‥‥

リボーンの横を通り過ぎ、何処かへと歩いて行く銀時をリボーンは振り向かずに、

 

「ほぉ~新八と神楽を置いてか?」

 

ポツリと呟く。

リボーンのこの問いに銀時の足はピタッと止まる。

 

「短い付き合いだがな、これでもお前の考えていることぐらい予想がつく。」

 

「ふん、それは見当違いだぜ、マフィアの大先生。あいつらは此処が気に入っている様だから残していくだけだ‥‥俺の所(万事屋)とは違って、此処(機動六課)ならちゃんと給料(バイト料)は出るし、3食の飯も出る。アイツらが此処を出て行く要素はねぇだろう?」

 

リボーンにまるで吐き捨てるかのように新八と神楽を置いていく理由を話しまた歩き出す銀時。

 

「別にお前の過去を詮索する気はねぇが‥‥俺から1つ言える事は‥‥」

 

リボーンは思いっきりジャンプし、銀時の頭に

 

ゴン!

 

「へぶっ!!」

 

ズザザザァァ‥‥

 

げんこつを入れる。

そして地面に着地する。

 

「イッテェなぁ!!テメェ、いきなり何しやがる!?」

 

と吠えたが目の前にはリボーンが居た。

リボーンはそのまま銀時を睨み、

 

「半端な覚悟でダチの前や娘の前に立とうとすんじゃねぇ!!」

 

「っ!?」

 

(半端者が)

 

その時銀時の頭には勢いよくあるビジョンが流れ込む、何千何万と言われたことが何億何兆受けたであろう拳を‥‥

 

「お前のその道に背負う事から目を背けたお前に何が残る。ツナがやられたのはお前のせいじゃない。ヴィヴィオが攫われたのは決してお前だけのせいじゃないぞ。」

 

「そうだよ。」

 

また違う人物の声が聞こえた。

 

「やっと来たか、なのは」

 

「なのは‥‥ど、どうして此処に‥‥?」

 

銀時としてはなぜ、この場所に、このタイミングでなのはが来たのか分からなかった。

だが、その理由は直ぐに分かった。

 

「ありがと、リボーン君教えてくれて」

 

「テメェ、余計なことを‥‥」

 

どうやら、リボーンがなのはに銀時の姿を見つけた後、連絡してこの場になのはを呼び寄せ多様だ。

 

「娘と旦那の事は妻に任せるのが1番だからな」

 

「誰が旦那で妻だ!!誰が!!そもそも俺は結婚なんてしてねぇぞ!!」

 

リボーンの言葉に思わずツッコむ銀時。

 

「そ、そうだよ。リボーン君。私と銀さんはまだそんな関係じゃ‥‥」

 

「ほぉ~『まだ』ねぇ?つぅことは近々、お前達は交際の予定はある訳だな?」

 

「////」

 

なのはは銀時から視線を逸らし、ゴニョニョと言葉を濁らす。

そして、リボーンのツッコミにトマトの様に顔を真っ赤にするなのは。

 

「まぁ、後はお前達の問題だぞ。俺は知らん‥‥」

 

リボーンが言う表情は笑ってはいるが雰囲気がビリビリ伝わる。

リボーンがその場を立ち去ると、銀時となのはの2人がその場に取り残された。

 

「な、なぁ‥なのは‥‥」

 

銀時がなのはに話しかけた瞬間、

 

バチーン!

 

辺りに乾いた音が鳴り響く。

銀時はリボーンの拳骨に引き続き、今度はなのはからのビンタをくらったのだった。

 

「...」

 

だが銀時は何も言おうとしない。

 

「何で、何処かに行こうとしたの?私達を巻き込みたくないから?自分の友達の事にかかわらせたくないから?それに今まで姿を見せないで!!私がどれだけ心配したと思っているの!?」

 

「.....なのは」

 

「逃げないでよ、目を背けないでよ、言ったでしょ!!ここにいる間は私の事を‥‥私達のことを家族って思ってくれていいって!!」

 

大粒の涙を溢れさせながら銀時に訴えかける今まで色んな経験をしてきた銀時、なのははその事を全然知らないだけど、彼の優しさは、彼の今はわかる。

ずっと見てきたから、皆とはしゃいでいる時も、何かを守る背中にも彼は映し出される。ほんとは皆と笑いたい、皆と居たい、でも自分のことは教えない。

なぜ教えないかはもうわかった気がする。自分1人背負わないといけない業としているからだ。

でもだからこそ一緒にいたい、苦しまないで欲しい、いつからだろうそんな気持ちが淡い恋心に変わったのは...

なのに彼は話すどころか遠い所に行こうとした。なのはにとってはそれがどうしても許せない。

 

「あの子は絶対に死なない。だってあの子には(私達)がいるから私達は絶対死なない貴方がついているから貴方はもう何も失わない...だって...だって家族(私達)がいるから」

 

「...すまねぇな、また捨てる所だった。そうだな、ヴィヴィオは俺だけの問題じゃねぇ、俺達の問題だ。」

 

「銀さ/////」

 

銀時はなのはを抱き寄せて

 

「ありがとな、お前が居てくれて、お前達に会えて本当によかった。」

 

「銀さん‥‥」

 

なのはは銀時の温もりに抱かれ、そして彼の温もりを感じつつ、彼を抱きしめた。

 

「ふぅ~これで一件落着だな」

 

(だが、はやて辺りが居たらこのまま覗き見を続けたいシチュエーションだが、これ以上は無粋と言うモノだな)

 

その様子をリボーンは物陰からジッと見ていたが、もう問題ないだろうと判断すると、その場からひっそりと去って行った。

 

 

・・・・続く




ではまた次回
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