【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~ 作:ただの名のないジャンプファン
「次ぎに会う時は‥‥」
「4人で、外で会おうね!!」
「ああ、勿論だ!!」
「当たり前だろう!!」
ゆりかごの中で、銀時とヴィータの2人と分かれたなのは。
3人の任務はゆりかごの停止、ないし高度上昇の停滞。
スカリエッティ一味に囚われているヴィヴィオの救出と保護。
そして、ゆりかご内にいるかもしれないスカリエッティ及び敵の戦闘機人、スカリエッティの協力者の確保である。
その為に最も有効な方法として考えられるのは2つ。
動力源である駆動炉を破壊するか、ゆりかご起動の鍵であるヴィヴィオを救出して保護すること。
このどちらか一方を果たせば、ゆりかごは止まるかもしれないし、両方果たさねばゆりかごは止まらないかもしれない。
だが、なのは達はゆりかごの内部構造を知らなかった。
3人で固まって行動していては時間が足りない。
かと言って、3人の後に続く突入隊の編成には時間がかかる為、援軍を此処でのんびりと待つわけにもいかない。
そこで、なのは達は3つに分かれた通路をそれぞれ分かれて探すことにした。
ヴィヴィオは王座の間に居る。
そして、船の構造上、機関室は艦尾に有る筈だ。
そして、このゆりかごにはヴィヴィオの他にスカリエッティと戦闘機人、彼の協力者が潜んでいる可能性が極めて高い。
当然、妨害するためのガジェットや罠の存在も考慮しなければならない。
1人がそれぞれ1つの目標を達する為にそれぞれの眼前にある通路を進んだ。
なのはが通路を進んでいくと、大きな踊り場の様な所へと出た。
(踊り場?いや、違う‥‥此処は‥‥)
なのはが辺りを見回していると、
「っ!?」
なのはの上からシグナムのデバイス、レヴァンティンに似た剣型のデバイスを持った例の新型ガジェットがなのはを突き殺そうと迫って来た。
咄嗟の判断でなのははその場から飛びのいて新型ガジェットの突きを躱す。
すると、そこへ間髪入れずに今度はフェイトのデバイス、バルディッシュを模した新型ガジェットが襲い掛かる。
鎌型のハーケンフォームを持った新型ガジェットは横薙ぎの攻撃をする。
なのはは、しゃがんでその横薙ぎの攻撃を躱す。
シグナム、フェイトのデバイスを模した新型ガジェットが居たのだから、当然あの時、確認された機体‥自分(なのは)のレイジングハートとヴィータのグラーフアイゼンに似たデバイスを持っている機体も居る。
しゃがんだなのはを潰そうとグラーフアイゼンを持った機体がグラーフアイゼンを高く持ち上げ、一気に振り下ろしてくる。
「くっ」
なのはは、床を転がりグラーフアイゼンの一撃を躱し体制を整えようとすると遠距離からレイジングハートを持った新型がディバインバスターを撃ってくる。
新型のディバインバスターを飛んで躱すなのは。
「此処はやっぱり、闘技場」
「その通りですわ、管理局のエースさん」
なのはが呟いた瞬間、モニターが出現し其処にはクアットロが映る。
「戦闘機人‥ナンバーズ」
なのははクアットロがマントの下に纏っているボディースーツから彼女もナンバーズの1人だと判断する。
「初めまして、管理局のエースさん。私はナンバーズⅣ、クアットロと申します」
丁寧な言葉なのだが、その口調はなんだか人を見下し、小馬鹿にしている感が含まれている。
そして、そこはかとなくスバルの声に似ている気がした。
(こういう場合、スカリエッティ本人が出てくると思っていたんだけど‥‥まさか、スカリエッティはゆりかごには居ない!?それじゃあ、今どこに‥‥もしかして、スカリエッティはアジトの方に‥‥フェイトちゃんの方に居るの!?)
てっきりスカリエッティ本人が出てくるのかと思ったなのはであったが、出てきたのはスカリエッティ本人ではなく、ナンバーズの1人‥その事からなのはの脳裏には、スカリエッティはゆりかごには居ないのではないかと言う憶測が出る。
「何の用?今、忙しんだけど?」
なのははクアットロを無視して4機の新型ガジェットを睨みつける。
「人が挨拶をしたにもかかわらず、随分と失礼な方ね、これだから管理局の人間は傲慢なのよ」
「テロリストである貴女に敬意を表する必要はないと思うけど?」
「そうですか‥まぁ、貴女が陛下にもそして私にも辿り着くことはないでしょうけどね。その新型は貴女達管理局のエースのコピー‥もちろんデバイスだけでなく、動きもそして、耐久性も貴女上回る性能となっていますわ。前回倒した試作型とは大違いの実力を有しておりますの。精々頑張って下さいな」
そう言ってクアットロはモニターを閉じた。
クアットロが言うには今、なのはの目の前の新型は前回よりもパワーアップしているとの事だ。
なのはにとって状況はミラーマッチの他にフェイト、シグナム、ヴィータの3人を一度に相手をしている事になる。
(これはちょっとヤバいかもね‥‥)
なのはは引き攣った笑みを浮かべる。
そして、頬からは一筋の冷や汗が流れた。
例え、なのはがそんな事を思っても相手のガジェットは攻撃を止めることは無い。
レヴァンティンを持った機体が炎の斬撃を飛ばしてきたのでそれを横に飛んで躱すと、バルディッシュを持った機体が鎌から戦斧の状態に変更して振り下ろして来る。
なのははバク転をして下がりバルディッシュを持つ機体もまた追うように振り回してきた。
(くっ、隙が無くてなかなか攻撃に移れない)
収束砲のチャージをする時間も与えず、それどころかシューター1つ生成させる時間も隙も与えない新型ガジェットの攻撃。
すると突然バルディッシュを持つ機体はなのはから距離をとるとチャージを完了した。レイジングハートを持った機体の砲撃がなのはめがけて飛んできた。
「プロテクション!!」
咄嗟にシールドを張りガードするもきつい。
模倣されてもやはり自分の砲撃、プロテクションがいつまで持つか...だが以外にも砲撃は早く終わり不信感すらも抱くなのは。
しかし、不信感など抱いている暇もない。
「っ!?」
急に後ろからグラーフアイゼンを持つ機体がグラーフアイゼンを振りかざし、なのははそれを喰らってしまい壁に激突する。
「あぅ!!」
飛ばされた衝撃で壁にめり込んで身動きがとれない状態に陥ってしまうなのは。
何とかそこから這い出ようとするも変な形で挟まったのかそれともグラーフアイゼンの攻撃が予想よりも重くダメージをもらい体が動かないのか分からないがその場から出られない。
バルディッシュを持つ機体が追い討ちをかけようと蹴りを入れてきてレヴァンティンを持つ機体も剣を斜め上から振り下ろしてくる。
絶体絶命のピンチであるが、なのはは諦める事無く、
「ショートバスター!!」
溜める時間を極力無くした収束砲撃でレヴァンティンを持つ機体を吹っ飛ばすがダメージはそこまで無いようだ。
だが、回避する必要が無く魔法弾を生成する時間が出来た。
それから桃色の光の球体である魔法弾を4、5個生成し、その内1つを残してバルディッシュを持つ機体へと攻撃した。
残り1つは自分の直ぐ下である部分の壁を破壊して脱出そこから宙に浮き自分と同じ機体に向かっていく。途中グラーフアイゼンが攻撃してくるも空中戦では空のエースの方に軍配がある様だ。
「そんなの当たんないよ」
空中戦でギリギリまで引き付け紙一重で躱した。杖であるレイジングハートを棒状の武器として扱い本家には劣るが見事な剣戟と言える裁きで攻撃している。
(やっぱり、連携の時はスカリエッティのプログラムで動くけど1人の時は私よりの動きだ)
どうやらこのガジェットの連携はオリジナルであるが1人の時は本人のデータで動くらしい。
(こういう場合、私なら!!)
相手の攻撃を躱してレイジングハートを上下回転させて人の顎ともとれる部分を叩き上げ、
「そして、彼ならきっとこうする!!」
相手を掴みすぐ後ろまで来ていたグラーフアイゼンを持つ機体に投げつけ、振り下ろそうとしているハンマーを代わりに受けさせた。
なのははすぐ上まで飛んでグラーフアイゼンを持つ機体そして自分のコピーとも言える機体を一直線に狙える所まで飛んで
「ディバインバスター!!」
自分の得意砲撃を雷のように落とし両者を襲う。
レイジングハートを持つ機体は完全に破壊され、多少残ると思われたグラーフアイゼンを持つ機体はレイジングハートを持った機体の爆発に飲み込まれ機能停止となった。
予想以上の爆発の規模だったはこれは以前銀時にしたように最悪は巻き込み心中するつもりなのだろう。
「!!?」
安心するのはまだ速い、2機落としてもまだ2機残っている。しかもそっちは完全に近接型でスピードもある単調な攻撃はしてこないし組まれれば厄介だろう。
レヴァンティンを持った機体が攻撃してくる、なのははガードするも後ろから二刀流となったバルディッシュを持った機体が攻撃してくる。
先程のようなことはまず無理だ。
よって、
「プロテクション」
シールドで攻撃を受け止めていた。
(一瞬の勝負)
ガードしたシールドと杖で攻撃を弾き飛ばしてスピードをあげて距離を取り離れるもバルディッシュを持った機体のスピードよりは遅くすぐに追いつかれてしまう。
(やっぱりフェイトちゃんをコピーした機体だけあって速い)
レイジングハートの杖先をバルディッシュを持った機体に向けて、
「アクセルシューター...シュート!!」
魔法弾で牽制を入れるもあまり効果は見えない。すぐに追いつき、回転加えて突撃してくる。大きな範囲である為に直後は躱すことができずに擦る。
「っ!?」
その隙にバルディッシュを持った機体は距離を縮めレヴァンティンを持った機体がチェーンで両者を覆う。
(まさかっ!?)
2人を巻き付けた後、バルディッシュを持った機体は自爆するつもりなのだろうか?
まったく特攻精神も甚だしい。
だが、そうやすやすと自爆させる訳にはいかないし、巻き込まれる訳にはいかない。
なのはは上に飛ぶが下からアッパーの様に振り上げたバルディッシュを持った機体の攻撃を喰ってしまう。
(フェイク!?)
どうやら先程の攻撃はフェイクで本命はバルディッシュを持った機体の攻撃を当てレヴァンティンを持った機体でなのは1人を巻き付けてしまう事のようだ。
なのははまんまと策に嵌り鎖に巻き付けられ身動きがとれない様になってしまう。
(なりふり構っていちゃ、ここで落とされちゃう.....)
「ブラスター1起動」
この声と共に壁に足をつけて止まりなのはを巻いていた鎖は切り裂かれ...と言うより砕け落ちた様に近いそれから残った鎖を持ち今度はなのはがグルングルンと回りバルディッシュを持った機体へとぶつけて、
「エクセリオンバスター!!」
さっきの何倍もの威力の砲撃が2つの機体を巻き込むと、2機の新型は跡形もなく消し飛ばした。
「ハァ・・・・ハァ‥ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥か、勝った‥‥」
なのはは、息を切らしながら改めて新型ガジェットを倒した事を確認した。
ヴィヴィオの救出、ナンバーズ、スカリエッティの関係者の逮捕の前にガジェット如きで此処までのダメージと魔力消費をするなんてあまりにも予想外だった。
この戦いは自分達が予想していたよりも結構厳しいものになるかもしれない。
しかし、此処で立ち止まる訳にはいかない。
なのはは、息を整えて再び通路の先を目指した。
~side獄寺~
激しい気流の荒波に飲み込まれる赤い炎。
獄寺とシノビの戦いはシノビの方が押している。
獄寺のよく使うフレイムアローは大きな風波に穴を開けられず更には周りのビルが獄寺の行動を制限している。
「くっ」
(何つぅ風だ、幾ら建物が多く集中しているからってこれじゃ近づくのも‥‥)
この風も獄寺が苦戦の1つだ。
向い風が荒波の如く身体に纏わりつき自分を前に進ませてくれない。
ただでさえ前の傷が治りきっていないので身体も不安定で吹き飛ばされないのがやっとだ。
「よう、そこがお前の墓場でいいのかい?」
「っ!?」
「遅い!」
フレイムアローを向けた瞬間にシノビの常備している包帯の様な拘束具に巻かれてビルに叩きつけられる。
更に追い討ちでクナイを投げつける。
「無駄だぜ、そんぐらいの力じゃあ、俺はビクともしないぞ」
拘束具から感じる力加減で獄寺が一体何をしたいのかをシノビには手に取るようにわかる。
おおかた、自分を武器事縛っているコレを外しかわしてカウンター、獄寺の武器は見るからに中長距離射程の武器だ。
ならば‥‥
「狙い定まる前にやればいいぃ!」
漁師の一本釣りの様に引き投げ飛ばそうとしたが、獲物の体重が全く感じられなかった。
それもそのはず拘束具の先は切断されもう既に獄寺はいなく代わりにダイナマイトが付けられていた。
「っ!?」
ダイナマイトが爆発し飲み込まれる。
「ちっ、あのバカの情報を頼りにすんのは癪だが、何とか助かった‥‥」
シノビの投げたクナイの内、幾つかは刺さったが1本だけキャッチしてそれを使い、切り裂き先端にダイナマイトを取り付けた。
これが致命傷になる訳でも、場が好転する訳でもないことは獄寺自身がよくわかっている。
それに腹が立つことにアイツは...
「おいおい、質量兵器を禁止にしてんのはお前らの方だろう?そんなお前が犯罪者の前で規則を破っていいのかよ」
「るせェ、テメェの拘束具もバインドの類いじゃなくて質量兵器じゃねぇのかよ?てめぇの世界のルールも守れないのかよ」
「ルールを守っていちゃ悪人名乗れないだろう?それに、ルールと記録は破る為に存在するんだぜ」
「けっ、悪人の自覚はちゃんとあんのかよ」
シノビはふわりと宙を舞いビルの上に立つ。
「善人じゃない事ぐらいの自覚はちゃんとあるぜ、何故なら‥‥」
シノビはそう言い指を鳴らすと歪が生まれる様な音が上から地に伝わり、ビルが揺れ崩れていく。
「な!?」
「こういったこと平気でするからなぁ!!」
ビルが崩れていくもシノビは宙に浮き続けしたから瓦解するビルに埋もれていく光景を上から見下ろしていた。
「いやぁ、すまないな。ついつい焦ってしまって大人気なかったな。でも、期待外れだなぁ~嵐の守護者がこれぐらいでやられちまうとは.......」
突如、赤く光り瓦礫が灰燼と化した。
「へぇ~やっぱりこれだからやめられねぇんだよ。悪人ってのは‥‥」
「形態変化、Gのアーチェリー。柔な石ころ程度じゃ止めらんねぇぜ。忍者モドキがぁ!!」
獄寺はアーチェリーをシノビに向けて風を切り裂きシノビを貫こうとする。
だが軽々とかわして余裕な笑みを浮かべる、まるで傲慢な鷹の如き笑いは獄寺に緊張を張り詰めさせ構え直す。
「ガトリングアロー!!」
無数の連射弾を放ちシノビを襲う。
威力を貯めようと弦を引き絞り狙いをつける。
その様子も目に入ったシノビは焦る様子もなく受け止めるのか風を両手に巻き付かせて、
(威力を抑えて数で勝負、まぁ風に負ける位なら狙いをつけさせない。捉えたら大技か...まぁ仕込みもなさそうだし威力もどれ位か俺にはわかんねぇし...力比べも悪くねえが...)
手の風を抑えて脚に風が発生する。
「疾風」
爆風のように疾走、更に空中地上関係なく駆け抜けていた。
狙いが定まらず先手の攻撃も軽く躱される。
「マジかよ!?こんな事も出来るのかよ!?」
「風にとっては場所関係ねぇんだよ。どんな場所も吹くし肌は感じられるが目には止まらねぇ。向かう敵は抑えつけ従う相手は優しく押し出す‥これが風だ。そして、風は俺自身でなんだよぉ!!」
シノビが獄寺の背後に回り、獄寺も思わず向くがそこにはもういなかった。
その時にはもうシノビは再び獄寺の背面に回って彼を背面から殴る。
獄寺の周りにまく旋風みたいに吹いている。
「お前は嵐みたいな奴なんだろうが、風そのものである俺には敵わねぇ...なぜなら嵐を起こすのも風だからだぁ!!」
したから地面突き抜けて、
「暴風圧上昇!!」
鉛のハンマーに叩き上げられた衝撃が獄寺の全身を襲い空中に吹っ飛ばされるが獄寺はまだ弦を離してなかった。
「瓜!!」
篭手にいる瓜が炎を放出して空中で回転して方向転換する。
「トルネードフレイムアロー!!!」
獄寺も負けずと赤い炎の大竜巻が周りを巻き込んでシノビの風を貫き風穴を開ける。
獄寺は爆風をクッションにして地面に降り立つ。キッとシノビのいた所を見据える。
「これでちったァ風向きも変わっただろう?」
「そいつはどうかな?そういやお前達の世界には『身代わりの術』って言うのがあるのだろう?」
「それを言うなら、『変わり身の術』だ!!」
「ん?そうだっけ?まぁいい兎に角、俺は仮にもシノビと名乗ってんだ...」
自慢げに話すシノビに獄寺は「まさか」と驚き煙が晴れるとそこには
「‥‥何で石の人形なんだよ!?そこは普通、木を使う所だろうがぁ!?」
そこにあったのは人の形をした石。
手足もしっかり彫られており目とかのパーツは無いものの顔もある無駄に手の込んだ石人形であった。
しかし持ち運ぶには重くて不便そうだった。
「『何で』ってお前、普通木なんて常備してないだろう?重たいし、アニメじゃねぇんだからいつでもどこでも木でやれる訳ないだろうがぁ!!」
「いや、石を常備している方がおかしいだろう!?大体、木よりも石の方が重たいだろうが!!それとも何か!?此処(ミッド)の石は地球のモノよりも軽いのか!?全部、軽石なのか!?」
シノビの言動に獄寺は、つい戦闘を忘れいつも山本に絡むみたいにツッコンでしまう。そんな獄寺にシノビも緊張の糸を切らしたのか吹き出して大笑いした。
「ハハハハハ、何言ってんだよお前。その石はさっきその辺で拾ったヤツだよ。それはお前を翻弄(遊んでた)していた時にクナイで彫って作ったんだよ。おかげで1本刃が悪くなっちまったがな、ハハハハハ‥‥」
獄寺は何かすごく腹が立った。
コイツの言い分を含めてコイツ自身もそうだが必死にあのスピードを攻略しようと頭を使っていた時にそんなものを作る余裕を与えていた自分自身に物凄く腹が立った。
「このヤロウ!!」
苛立つ獄寺は3本の弓矢をシノビに放つが普通に避けられた。
「さ~て、そろそろ大詰めだな。嵐の守護者」
シノビは勝利を確信したのかニヤッと思わず口元を緩めた。
その頃、ゆりかごの中では‥‥
~Sideヴィータ~
「くそっ、なげぇ通路だな、一体何処まで続くんだ?コレ?」
ヴィータが選んだ通路はなのは同様、下層に続く通路であったのだが、いつの間にかゆりかごの艦首から艦尾方向へと続く通路になっていた。
ただ此処までの間、トラップの類や敵の戦闘機人、ガジェット、スカリエッティの協力者の誰とも接触しなかった事にヴィータは不気味さを感じていた。
此処までトラップも敵の誰とも出会わないのは何かの罠か?
ヴィータがそう警戒するのも無理はなかった。
やがて通って来た通路より広い場所へと出る。
其処には機械に覆われた巨大なクリスタルの様なモノが轟音を立てながら存在していた。
「もしかしてコイツが‥‥」
今、自分の眼前にある巨大なクリスタル‥これがヴィヴィオの他にゆりかごを動かしているもう1つの原動力、ゆりかごのコアではないだろうか?
このコアを壊せばゆりかごは止まるかもしれない。
だったら、自分がやるべきことはこのクリスタルを粉々に粉砕する事だ。
此処まで敵と会わなかった違和感を忘れ、ヴィータは眼前にあるコアの破壊を第一優先目標とした。
「最初から全力で行くぞ!!アイゼン!!」
「ヤー!!」
ヴィータは愛機、グラーフアイゼンのモードの中でも破壊力のある大槌状のギガントフォルムにして一気にゆりかごのコアであるクリスタルを粉々にしようとする。
しかし、
バチバチバチ‥‥
「ぐあっ!!」
ヴィータはコアに辿り着く前に何かで遮られる。
「くっ、バリアか‥‥」
重要な部分である筈のコアの周辺に戦闘機人もガジェットも警備していなかった事に不審を感じていたが、やはり最後の最後で防衛プログラムはちゃんと存在していた。
「ちっ、此処で諦める訳にはいかねぇんだよ!!」
ヴィータはコアを破壊するにはまず、コアを守るバリアの突破からやらなければならなかった。
ギガントフォルムのグラーフアイゼンを幾ら打ち付けてもバリアはうんともすんとも言わず、なかなか突破できない。
「くそっ、くそっ!!」
ヴィータがバリアを叩いてもバウンドするかのような衝撃がするだけでバリアは破れない。
「こうなりゃ‥‥アイゼン!!」
「ヤー!!」
ヴィータはグラーフアイゼンのモードの中でも切り札とも言えるツェアシュテールングスフォルムへと変更させる。
これは破壊力のあるギガントフォルムと貫通力のあるラケーテンフォルムを合わせ持った形状となっている。
「行くぜ!!」
ツェアシュテールングスフォルムのドリルの部分とバリアがぶつかり合い、火花が散る。
「アイゼン!!頑張れ!!」
「や、ヤー!!」
バリアの反動で吹き飛ばされそうになるが、ヴィータは必死にそれを堪え、前へ前へと進もうとする。
「鋼鉄の伯爵、そして鉄槌の騎士に破れないモノ、壊せないモノはないんだぁぁぁぁ!!」
アイゼンの後部からもロケットの様にブースターが全開で点火され勢いとパワーが増す。
しかし、流石ゆりかごのコアを守るバリア。
その強度も半端ではない。
やがて、ミシッと鈍い音がするかと思ったら、アイゼンのドリルの先端部に小さな罅が入り始めた。
(アイゼン‥‥くっ、もう少し‥‥もう少しだけ頑張ってくれ!!)
このままでは罅が広がりグラーフアイゼンが砕けてしまうかもしれない。
それでもヴィータは止める事無くグラーフアイゼンをバリアに打ち続ける。
「ぐっ‥‥うわぁぁぁぁぁぁぁー!!」
バリーン!!
パリーン!!
そして、グラーフアイゼンのドリルの先端部が砕けるのと同時にバリアも罅が入り、ガラスが割れるかのように砕けた。
「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥や、やったなぁ‥‥アイゼン」
「‥ヤー」
ドリルの先端部と大槌部分の一部は壊れたがグラーフアイゼン自体が壊れた訳ではない。
「さぁ、この落とし前はきっちりとつけてもらうぜ!!聖王のゆりかごさんよぉぉぉ!!」
ヴィータは残った大槌部分のグラーフアイゼンでゆりかごのコアを思いっきり叩いた。
守る手段が無くなったゆりかごのコアはグラーフアイゼンの一撃を受け、全体に罅が入る。
「もう一丁!!」
完全にコアを砕くことが出来ず、ヴィータはもう一撃コアに加える。
すると、コアに入った罅は大きくそして広がり、
やがて‥‥
バリーン!!
コアが砕け散った。
「や、やった!!」
目的の1つであるゆりかごのコアを破壊した。
コアを破壊してもいきなりゆりかごが墜落する事はなかった。
あとはゆりかごがこのまま此処で停止するか、ゆっくり地表に降下するかのどちらかだろうと思ったヴィータ。
「後はヴィヴィオを助けるだけだな」
ヴィータがなのはか銀時の援軍に向かおうとした時、何かが作動する音がした。
「なんだ!?」
機関室の制御盤がコアの破壊と同時に作動し画面には、
『主動力破損、現状維持のため、補助動力を作動』
と表示された。
しかもそれはゆりかごが存在していた時代の古代ベルカ語ではなく、現代のミッド語と日本語の両方が表示されていた。
「古代ベルカ語じゃない‥‥表示されているのは日本語に現代ミッド語‥‥ってことはスカリエッティの仕業か‥‥!?」
ヴィータはゆりかごが停止しないのはスカリエッティがゆりかごに補助動力を追加装備したことだと判断した。
このままではせっかくコアを破壊してもゆりかごを止められない。
「くそっ、スカリエッティのヤロウ、いらねぇ手間をかけさせやがって」
ヴィータは毒を吐きながら制御盤のキーボートを叩いて補助動力の在処を探索する。
すると、ゆりかごの全体の艦内見取り図が表示される。
「コイツはもしかして、ゆりかごの艦内図か!?」
思わず手を止めて画面を見るヴィータ。
「よ、よし、コイツで補助動力の在り処を‥‥」
ヴィータが再びキーボートを操作して補助動力源の場所を検索する。
すると、すぐに場所が分かった。
「おしっ、此処だな」
ヴィータはゆりかごの艦内見取り図のデータを自分のデバイスに転送した後、
「そうだ、なのはの奴にも‥‥」
ヴィータは自分以外にもなのはのデバイスにゆりかごの見取り図のデータを転送した。
これならなのはもヴィヴィオの救出にやりやすいだろう。
だが、銀時はデバイスを持っていなかったので座標を送る事はできなかった。
なのはにゆりかごの見取り図のデータを転送したヴィータはゆりかごの補助動力がある区画へと向かった。
そして、補助動力源のある区画へと辿り着くと、
「な、なんだ‥‥?あれは‥‥!?」
ヴィータはゆりかごの補助動力を見て目を見開き、愕然とする。
ゆりかごの補助動力は大きな銀色の筒にコードが沢山ついた動力炉で、覗き窓のような所からは怪しげな緑の光が見える。
その光源が恐らく今、ゆりかごを動かしている原動力なのだろう。
だが、この補助動力は先程壊したゆりかごのコアなんかよりも禍々しいモノを感じる。
しかもこのエネルギー源からは一切魔力を感じない。
一体このエネルギーが何なのかを知りたいと思う反面、知ってはならないとヴィータの騎士としての本能がそう告げていた。
このエネルギー源が何なのかはわからないが、やることは変わらない。
ゆりかごを動かしているこの不気味なエネルギー源を破壊する事だ。
グラーフアイゼンを構え、この不気味な緑色の光を放つ動力炉を壊そうとした時、
「それを壊されると非常に困るのだがね‥‥」
ヴィータの背後から突如、声がした。
ほんのさっきまで人の気配なんてなかった。
勿論転移系の魔法の反応もない。
今、ヴィータの背後に居る人物は気配を一切断ち切り、ヴィータに気づかれる事無く、平然と彼女の背中を捕っていた。
「っ!?」
ヴィータが振り返ったその瞬間、
ブシュッ
「がっ‥‥」
ヴィータの身体中に痛みが走ると同時に彼女の意識は暗転した。
倒れたヴィータの姿を見て、彼女を倒したその人物は小さく口元を緩め、うっすらと笑みを浮かべていた。
・・・・続く