【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~   作:ただの名のないジャンプファン

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皆様お久しぶりです。
えぇ、久しぶりに投稿するのですが令和初所か今年初となったこと誠に申し訳ございません。
それでもお気に入りを外さなかった人達のために私顔を上げられずにまた更新させてもらえ、そして読んで頂く皆様に大変深い感謝を心に留めながらまたお付き合いさせていただければという所存であります。


えぇ、何が言いたいかと言うと





更新です。


標的90 お札って1万と千円の人が有名すぎて5千円の人を知らないことが多い

 

 

ミッドにおける戦況は急変した‥‥

状況事態は誰もが思いもよらない方向へと向かい、管理局もスカリエッティ一味だけの戦いではない。

これは管理局側、そしてスカリエッティ側も予期していない事態で、現状は、様々な思惑やかける想いが渦巻いていた戦争‥‥ミッドはまさに阿鼻叫喚の地獄の様な戦場となっていた。

小さい命、家族、仲間、悦楽、人命をかけて守ると誓ったもの、自分の存在意義、人それぞれに戦う動機があった。

正義には正義の‥悪には悪の譲れない信念が明確にあった。

それを鴉は何食わぬ顔で啄んだ。

ほくそ笑みながら上から見下して、満身創痍になり、死に体となった所を鴉は餌を漁るかの様に突如、舞い降りてきた。

鴉は一言だけ鳴く‥‥

 

全てをよこせと‥‥

 

天から突如、舞い降りた鴉の瞳には捕食するものしか映ってない。

領分も言い分も関係ない。

それは全て我らのものだと言ってくる。

 

(まずった、予想以上にこの人らタチ悪いわ。)

 

「我々はこの世界に交渉に来たのですよ。我らの世界の星々には無かった魔力技術‥それを用いて発展したこの世界の文明、科学と魔法の融合したこの技術は我らも目から鱗が落ちる思いでしたよ。我らも宇宙の交通の成功により目覚しい発展をしましたが、いやはや世界は広いものだ。」

 

天導衆は、この世の全てを見てきた筈だったが、ミッドを始めとする管理世界の存在はまさに寝耳に水であったが、それはこれまで誰も見たことのない秘宝を発見した様な感覚だった。

 

「我々は、どのような交渉手段を用いれば良いか悩んでいたところ、我らの世界の犯罪者がここのマッドサイエンティストと手を組んで粗相を犯していると聞いて、これは我らの問題でもあり貴女方の問題でもある。故に共に協力し対等な立場の同盟を築かせてもらおうと思いましてね。」

 

「成程、話はわかりました。確かに今は猫の手も借りたい思いでしたので援軍には感謝します。でも1つ疑問があります。」

 

「何でしょう?」

 

「何故このタイミングなのですか?出れるならもう少し早くでも良かったんとちゃいますか?」

 

息を抑えよう、憤るな。

怒りを見せたら相手に隙を見せたと同じようなものだ。

彼らは感情を手に取るように転がし弄ぶ。

はやては天導衆を見る。

そして認める、彼らは仮にも管理局よりも多くの宇宙をまとめあげた人たちだ。

陸だの海だのと、ちょっとした派閥争いに躍起になっている管理局の幹部とは違う。

その口で、その手で、多くの星々を弄してきた。

自分が今から交渉で挑むのは宇宙という代名詞がつく大きな組織のトップなのだ。

そう決意を改め、はやてはその両眼で敵を見た。

 

「あの船‥我らが追いかけているあの船が思ったよりも巨大でなこちらは其方らに表から攻めてもらい裏から奇襲を起越すつもりだったからだ。我らはお互い手の内を知らぬ者同士‥‥その様な二つが手を組むなら役割分担が1番良い手であろう。」

 

正面に座する天導衆がはやてに答えた。

天導衆の主張を言い直したらこうだ。

『敵の敵は味方』ということ、そして利害だけ一致している勢力同士なら、お互いの領分を侵略せずに敵を殺す1番好ましい手である。

 

「そうですか‥‥」

 

はやては軽く相槌を打つ。

 

だけどこれは私らから見たら戦いをこちらに任せて美味しいところだけを持っていくとも言える。

現に今やっているのはいいとこ取りだ。

 

考えろ‥‥考えて、解決策を見つけろ‥‥

はやては、思考をフルに回転させて、考える。

今、彼等が入ってしまったら戦場は余計に混乱する。

もしくはもう既に混乱しているかもしれない。

彼等を一分一秒でも早くミッドから自分たちの世界へ帰さなあかん。

しかし、彼らと戦っても勝てない。

故に力で追い返すことはできない。

ならば、私がやらなあかん。

今こそ頭脳と話術‥‥思考をめぐり合わせる交渉で戦う時だ。

氷の様に冷たい空気と彼らの鋭い目線がはやてにずっしりと重圧をかける。

この緊張感に満ちた空気の中、ヒヤリとするぐらいギリギリな綱渡りの交渉に流石のはやても冷や汗が流れた。

圧倒的なまでの威圧感を放つ天導衆は本局の重鎮たちよりも重たく感じる。

彼らに比べたら、伝説の三提督やレジアス中将なんて、まさに若造やはなたれ小僧のレベルだ。

いや、これまで向かい合ったどんな人たちとも違う。

言い表せない異質な威圧感、360°の角度からも感じる視線が肌に緊張感を走らせ、彼らの発する言葉はまるで誘惑だ。

言葉、目線、仕草、雰囲気から常に死の香りを醸し出して、楽になろうと囁きかけてくる。

それはまさに麻薬の様な甘い囁きに感じる。

 

「戦いももうじき終わる。八神殿、機動六課の長よ、よくぞここまで戦い抜いた。若輩にして見事な采配だったよ、八神殿‥‥クックックッ‥‥」

 

これが宇宙を支配した支配者たちの姿‥‥あまりにも異質で、今まで機動六課を守るためにやってきた処世術や交渉術が非常識だったぐらいに通用しない。

低く反響する嗤い声、まるで私たちの全てを笑っているように聞こえてくる。

管理局の目指す姿はこんな異質な存在になることなのだろうか?

天導衆を見て、管理局が目指している方向性に疑問が浮かび上がるが、それはまた後で考えればいい。

今はこの局面を乗り切らなければならない。

 

彼らの態度は嘲笑、嘲り、侮蔑、卑屈かと自分でもそう思った。

格下だと自分で思い床のシミに視線を向けていた。

馬鹿だ、自分でもそう思う。

権力者の耳は都合よくできている。

権力者の頭は憎いほど姑息に回る。

下に見られている奴がどれだけ訴えても、彼らは耳を傾けないし目も向けない。

大義を名目にして弱者を黙らせる。善も悪も彼らが決めて彼らが線を引いてきた。

彼らが正義と言えばそれが全てが正義となり、彼らが対価を与えたと言えば与えたことになってしまう。

つまり交渉なんて最初から形だけだったのだ。

彼らは対談の場を設けはしたが、対談なんてする気はなかった。

ただ要求を伝えてのみこませ、何事もなく叶える力が彼らにはあるのだろう。

全くの無駄だった‥‥この対談もこの面会もこの席もここに来た足すらも無駄だったのだ。

管理局も長い歴史の中でこうしたことをしてきたのかもしれない。

 

 

 

 

炎真はゆりかごに潜入した銀時となのはとヴィータの三人を探すために一人でゆりかごに侵入した。

ゆりかごの内部はまるで迷路みたいで廊下を走っている今では方向感覚も狂って今自分が何処からどこに向かっているかがわからない。

しかもここを照らしている照明はチカチカと灯ったり消えたりしてゆりかごの電気系統に問題が生じたようで、艦内は結構薄暗く不気味で、まるで無人の廃病院の中にいるみたいな感覚となっていた。

暗くて同じような道に炎真はどうやってなのはたちを探そうかを考えるがあまりいい案は浮かばない。

はやてたちの様に、魔法が使えたら念話でどこに居るのかなど現状をすぐに理解して、上手く見つけられるかもしれないが、あいにくと自分にはそんな力はなく、リボーンの様にすごく頭が回る訳でもない。

だからこそ炎真は走ってなのはたちを見つけるしか方法がない。

せめてもの手段で、炎真は大声で呼びかけながら気配を探っている。

しかし、いくら名前を叫んでも返しは聞こえてこないし、探し人であるなのはたちの姿も見えない。

 

「銀さーん!なのはさーん!ヴィータ!!」

 

通路の奥から返ってくるのは自分が出した声のこだまが返ってくるだけだ。

それでも諦めずに声を張って通路に轟かす。

そんな時に視界の端に炎真は大きな光を見つけることが出来た。

今、自分が走っている廊下よりもクリーンに光が灯り、広がる空間が見えた。

ようやく通路じゃないものが見つけることができた。

その部屋に出るとそこには激しい戦闘痕を見つけることが出来た。

欠片しか残っていないガジェットの残骸と天井、壁、そして床全てに焼痕みたいなものがある。

これはこの狭い部屋で空中戦が行われた形跡であり、故にここで戦ったのは魔導師ではない銀時では無い。

そしてヴィータならガジェットはこんなふうに壊れはしないだろう。

ヴィータなら破壊痕は大きくて荒々しく残骸はプレス機で潰されたように残されているはずだ。

彼女の武器であるハンマーはたたきつぶすものだ。

これまでヴィータの戦い方を見てきたからこそ、そう断言できる。

これはどちらかと言うとかき消した感じだ‥‥それも圧倒的な力で消し飛ばした。

ならば、ここで戦ったのは、なのはしか考えられない。

なのはの砲撃魔法の後なのだろう。

しかし、此処になのはの姿はない。

それならば、彼女はこの先を通ったのは間違いない。

他に何かここに手掛かりがないかと辺りを見たら炎真は唖然とした。

 

これもなのはがやったのだろうか?

 

壁に大きな穴が空いている。

もしかしてここから壁をぶち抜いたのか?

いくらあの人でも‥‥いや、あの人だからこそ、やりかねない。

 

「もし、なのはさんが、これを自分からやったのならここを進んだに違いない。」

 

炎真は穴の中に飛び込んだ。

そして拳に赤い炎をともして穴の中を突き進む。

廊下よりも暗くどこに繋がっているかもわからない穴はそこまで長くなかった。階数を三階降りてからまた廊下に出てさっきよりも大きな部屋に出た。

 

そしてまた大きな部屋に出た。

この場所はなのはがクアットロと戦ったあの部屋だ。

その部屋ならクアットロがやっていたこと、全部の部屋の状況をみることが出来てそれを動画としてみることができる。

上手くいけば船内の地図を手に入れることだってできるだろう。

 

「えっと‥‥ここは‥‥」

 

部屋には何か空間ウィンドウみたいなのが中に浮かんでそこに迷路が映っていた。

 

「これはまさか、ゆりかごの地図!?」

 

炎真は食いつくように空間ウィンドウを見た。

これさえあれば自分が今いる位置だけでなくなのはたちを見つけるのも今よりももっとスムーズに見つけることが出来るだろう。

更に言えば出口だってわかるはずだ。

だけど炎真は地図を見るのを僅か3秒で止めた。

顔を引き攣らせて大きなため息もつく。

 

「僕、地図の見方がわからないんだった‥‥」

 

地図の見方もわからず、方向感覚も全く信頼できない中で地図の読み方も全くわからない。

ここにもし他の誰かがいたのならばなのはたちの居場所だってすぐにわかったかもしれないのだけれど‥‥

こうしている間にも状況は刻一刻と時が進んでいる。

一刻も早くなのはたちの無事を確認してこの船から脱出したい。

この焦る気持ちが炎真の心をかき乱し、冷静さを失わせる。

 

(落ち着け‥落ち着くんだ‥‥ここで焦れば見えてくるモノも見えてこないぞ‥‥)

 

乱れた心を整えるために、自分の目的であるなのはたちを一心不乱に探した。

近くに浮いてあるパソコンのキーボードのようなものを適当にいじりまくった。

カタカタとタッピング音が聞こえるので、いかにもコンピューターに達者な様に見えるがシステム構造何て全く理解していない。

しかし、それが今回偶然な奇跡を生んだ。

炎真は気が付かなかったが、ゆりかご内の全扉がオープンになった。

クアットロが銀時とヴィヴィオを戦わせる様に組まれた状態だったのを完全に解除したのだ。

因みに当の本人はそのことに全く気が付いていない。

 

 

 

カツン、カツン

 

 

 

 

~said獄寺~

 

 

「だァァくっそ!!逃げられた!この編み笠野郎たちのせいで!!クソッタレが果てやがれ!!」

 

戦場は第三者の混入により混乱し始めていた。

魔導士たちは念話を使えるので多分ティアナたちは情報共有ができているだろうが、獄寺は連絡をする手段をもっていない。

耳につけている無線機は「ザザザー」という雑音しか聞こえてこない。

 

「シノビをかるく倒してカッコよく10代目に合流するつもりだったのによぉ~。」

 

乱戦になるや、その人の数にまぎれたのかいつの間にか姿が見えなくなっていた。

探したくても今目の前にいるわけのわからない編み笠の集団に邪魔されてしまい追うに追いかけられなくなってしまった。

しかも、編み笠たちもただの雑魚とは一線を引く強さであった。

無駄のない走り方、一級品な剣筋、一糸乱れのない動き、素人が放つことのできない不穏感が獄寺に警戒心を抱かせる。

既に何人も何人も束になってきていい加減うんざりしていた。

ダイナマイトで倒しても、建物を壊して行く道を塞いでも何をしてもコイツ等は次々とゴキブリの様に湧いてくる。

このまま一々相手にして馬鹿みたいに付き合うのは得策じゃない。

それでは先に獄寺の方が参ってしまう。

シノビとの戦闘での疲労のうえにあの奇襲事件での神威にやられた傷口がまた開くかわからない状態なのだ。

それだけではない、獄寺のバトルスタイルはあくまで中長距離の武器を駆使した戦い方で、遮蔽物のある所が得意なのだが、今獄寺が走っているのは街のド真ん中の大通りである。

特に何もない日だと車が何台も走っている広い道で遮蔽物のないところは獄寺が苦手なバトルフィールドである。

それにダイナマイトだって本数には限りがある。

 

だが、苦手だ、何だ、言っていられる状況ではないし、獄寺だって機動六課の中ではまだ修羅場をかいくぐってきた穂である。

こういった場合の機転もよく働く。

まずは撒くにしても、自分の得意なフィールドにおびき出すにしてもこんなに数がいたのでは数につぶされてしまう。

そのためにまずは足並みを崩す為に牽制をしかけているのだが

 

「ちっ、さっきから気持ち悪い奴らだぜ。」

 

獄寺が気持ち悪いと指摘するのも無理はない、幾らか攻撃をしてわかった彼らには個人個人の意思といったものまるで感じられない。

まるであの集団で一つの意思を共有しているように見えてくる。

その片鱗を見せているのが彼らの統率力である。

どんなことをしても乱れないで追いかけてくる。

それはもうチームワークとか足並みが揃っているといったレベルじゃない。

まるで例の人型ガジェットを大量に相手にしているみたいだ。

だが、連中は服装と動きからして人間‥‥しかもなのはたちの様に魔法を一切使用していないことから非魔導師だと判断できる。

それこそ、カリオ○トロの城に出てきた暗殺者軍団や故郷の歴史に登場した忍びと呼ばれる陰の存在‥‥

連中の動きは、例えば獄寺がダイナマイトを投げ込む敬遠で投げ込んだだけのダイナマイトに対して、ただ躱すだけでなく爆風を計算された無駄のない躱し方、更に煙と目の前に言う奴らを囮にして上から仕掛けてくる。

獄寺はそれを、身を屈めて回転して躱した。

俗に言う緊急回避というやつだ。

そこから建物の隙間に逃げ込んで粘着物で角にダイナマイトをくっつけて爆破して道を封じた。

 

「ふぅ~ようやく、撒けたか?」

 

と、思ったら次の曲がり角で両側からまた来た。

 

「またかよ!?おい!!」

 

右も左も行けなくなりましたので真ん中を突っ切った。

細い道の為にあの大所帯は二列にまで絞れたのはよかった。

このまま振り切れたら楽なのだがそううまくはいかない。

編み笠の一人が短刀を投げてきた。

その狙いは獄寺の足、足にダメージを与えて速度を落とそうという狙いだ。

一本目は腿を掠めた。

 

「これ以上当たるかよ、ミニボム。」

 

だが投げる様子を見た時に、すぐ様火薬量の少ない小さなダイナマイトを背中に当てて爆風で加速する。

それと同時に爆風で短刀を吹き飛ばした。

そしてまた角まで来たので道なりに曲がったのだが、

 

「なっ!?ここで行き止まりかよ!!」

 

右も左も行き止まり前には自分よりも数メートル高い壁があった。

手や足を引っ掛けられる所も見当たらない。

ジャンプして飛び越えられそうだがさっきのが、チクチクと来て難しい。

来た道を戻ろうと思ったが、その道からはさっきの編み笠達がいる‥‥と言うよりもう目の前にいた。

 

「追い詰めたぞ、小僧」

 

「あぁ~クソッタレが!!」

 

獄寺は今の状況を理解した。

後ろは壁、正面からは撒いても、撒いてもキリがない気味が悪い編み笠集団たち。

もはや、ここはもう笑うしかない。

この絶望的な状況に「へへへ‥‥」と力のない笑いが口からこぼれてきた。

壁を背にして膝を崩して座り込んだ。

これが絶望‥‥

これが死と言う感覚なのかと否が応でも実感させられる。

 

「一応聞くぜ、見逃すって選択肢はあるか?」

 

相手からは当然、返事は返ってこなかった。

代わりに真正面の奴が黙って手を上げる。

殺る合図だ。

ダッと連中は動き出し獄寺の命を狩りに来た。

 

 

 

 

シャン

 

 

 

 

壁の上からも、刃をむき出しにして獄寺の死角となっている壁の向こう側からの刺客達、奴らはどんな獲物にも油断はしない。

『窮鼠猫を噛む』という言葉がある。

追い詰められた獲物こそ真に油断してはならない瞬間だ。

これは狩りの鉄則であり、これを疎かにしている者なんてのは半人前も良いところだ。

彼らは正しかった‥‥仕留めるための算段、獄寺の追いつめ方、ジワジワと追い詰めて心を削り取るやり方、逃げても、逃げても逃げきれないというのを頭に染み込ませて諦めさせる。

そして最後の最後まで手を抜かない。

 

間違いはなかった、なかったのだがまだ甘い。

ボンゴレファミリー嵐の守護者の命を取るものとしてはこれだけじゃ足りない。

 

「ロケットボム!」

 

獄寺は真上と正面の敵を爆破させた。

獄寺自身は身を低くして自分の頭を守った。

それから爆風が消えないうちに壁を越えた。

 

「エアーボム」

 

沢田綱吉のファミリーが命を諦めるなんてことは無い。

特に山本や獄寺がツナの悲しむことは絶対にしない。

たとえ勝利のためであっても仲間の命を犠牲にした勝利を望まない。だから彼らはどんな状況でも命を優先して行動する。

編み笠集団、奈落達の落ち度は彼らの命に対する執念を侮ったことだ。

 

「くそっ、足をやったのはミスったな‥‥」

 

服の袖を引きちぎり傷に巻く。

 

「こいつら一体何だったんだ?‥‥どうみても、これまでの連中とは違うぞ‥‥」

 

これまでの相手‥‥ガジェットやスカリエッティ側の刺客ではない。

 

「どうやら流れが変わったらしいな、早く10代目に合流しねぇと、こりゃあ、取返しのつかないことになりそうだぜ。」

 

まずは仲間と合流して情報の共有をする。

そしてツナかはやてにどうするかの方針を決めてもらう。

今の状況で単独行動は自殺行為だ。

相手から狙ってくださいっていう札をぶら下げている様なものだ。

魔力を感じることは出来ないが、炎エネルギーなら感じられる。

ツナはわからないが山本なら結構近い。

ティアナやスバル、神楽や新八はどうしているのだろうか?

魔導師は魔力を感じることが出来るっぽいが、普通の人間である神楽たちにはそれがない。

 

「まずは山本と合流して、そんで神楽たちを迎えに‥‥」

 

壁に体を預けながら歩く。

思った以上にダメージが体に蓄積しているらしい。

アドレナリンがまだ流れているが、体自体は休みたいと言っているみたいで足が鉄でもぶら下げているかのように重い。

だけど休むなんてできるわけが無い。

今も仲間たちは戦っているのだ。

傷つき血を流して顔を歪まして戦っているかもしれない。

そう思うだけで彼のプライドが彼を奮い立たせる。

動かないなら痛覚を刺激して体を起こす。

 

 

 

起きろ!!まだ戦いは終わっていない!!

まだまだこれからだへばっている暇なんてねぇぞ!!

 

 

 

自分の身体に鞭を打ち、渇を入れて、獄寺はまた戦場へ向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ‥‥っ!?マジかよ!?」

 

路地を出るとそこにはまた絶望が広がっていた。

 

鴉の目はまだ獲物を見ていた。

まだ奴らの視野からは外れていなかった。鴉の視野とても広くどこまでも遠くを見据えている。羽は悠々と空を飛び鳴き声を響かせる。

 

「おい、その恰好‥‥今、ミッドチルダでその服装が流行っている‥‥って訳じゃないよな?」

 

編み笠と黒服に錫杖の仕込み刀の集団が右を見ても左を見ても奴らはいた。

自分は完全に包囲されている。

一体何人位いるんだ?コイツ等‥‥ただの戦場に潜り込んだ第三の勢力にしては大きすぎる。

こんな連中が兵隊として存在している組織があるのなら既にはやてが目を付けないはずがない。

 

「ふぅ、考えるのは一先ず後だ。とりあえず果てな!2倍ボム」

 

あいつらの事はこの危機を脱してから考えるとして、どうやって抜けようか?

右中心に突破口を開こうとする。

こんな状況、一人で切り抜けられるわけが無い。

ならば何をする?

どうやって生き残る?

術や策はあるのか?

そいつは実行可能なのか?

成功の可能性は低い、成功しても生存率は限りなく低い。

 

「でもまぁ、それしか方法がねぇからなぁ‥‥やってやらぁ!」

 

その方法とは、山本との合流である。

山本の炎の属性である雨属性には沈静させる特性がある。

以前、代理戦争の序盤でやったことだが、その効果でアイツらの足を鈍らせてその間に逃げ切るか、もしくはもう一手をうつ。

 

「ちっ、瓜形態変化!」

 

スモーキンボムはダイナマイト装備から装備を変えた。

 

「Gのアーチェリー。」

 

獄寺は矢を構えながら飛び上がる。

電柱、ビルの窓から隣のビルを駆け抜ける。

身の軽さを活かしながら空へ登る。

だが八咫烏の本当の狩場は地上じゃない空だ。

鴉の一部が獄寺よりも更に上から奇襲を仕掛けてくる。

 

「チクショ!!」

 

獄寺のGのアーチェリーの機能は、弦を長く引けば引くほど炎が溜まり威力が増す。

獄寺は奴らの上をとると同時に時間を稼いでいた。

ここで迎え撃つために矢を放っては溜めた力がなくなってしまう。

だがここで何もせずに切り抜けられるとは思わない。

 

「フレイム「クロスファイアーシュート!!」」

 

八発の魔法弾が獄寺を襲っていた鴉たちをなぎ倒した。

 

「獄寺ァ!」

 

気を失った鴉たちを踏み台にして、獄寺は矢を放つ体制を整えた。

深紅の矢を下に向け炎を迸らせる。

 

「嵐+雷」

 

バチバチとまるで帯電しているかのような炎の矢を獄寺は今、放った。

 

「フレイムサンダーアロー!!」

 

嵐からの雷の鉄槌は地面を裂き、邪魔な鴉たちを一掃した。

獄寺が地面に足を着いた時にはあんなに居た鴉たちは一切なく、直ぐに煙から二つの影が飛び出した。

鴉たちはそれを見逃さずに執念深く追いかける。

煙で何も見えないかそれでも足並みを崩すことは無く影を追いかけて行った。

 

「行ったかな?」

 

「もう少し、様子を見ようぜ。」

 

今、獄寺は廃墟の中に入っている。

獄寺は大技を放ったあと直ぐに手を引っ張られて建物内に引きずり込まれた。

奴らが獄寺たちだと思ったのは、幻覚による影である。

獄寺の仲間でこんなことが出来る人は一人しかいない。

 

「それにしても間一髪だったわね。」

 

「‥‥まっ、助かった。今回は素直に礼を言うぜ、ティアナ。」

 

「あいつらが魔導師じゃないおかげね。バレずに済んだわ。」

 

ティアナの使うフェイク・シルエットは魔力で紡がれた幻影に過ぎない。

その為に幻覚に強いものや戦いの経験が多い者にはあまり騙すことは出来ない。

だが、奈落には効いたようだ。

彼らは殺しのプロであっても魔力というものに触れたことがない。

その為に今回はティアナの幻術に引っ掛かったのだろう。

 

「まぁ、そんなことは後回しにして、お礼の前に『ごめん』は?」

 

「は?」

 

獄寺はティアナの言うことが理解できなかった。

何故、自分はティアナに礼を言うのは兎も角、謝らなければならないのだろうか?

その理由をティアナはちゃんと話す。

 

「貴方、今頃病院にいるはずでしょう?‥‥なんでこんな所に?い・る・の・か・な?‥かな?」

 

命の危険はまだ脱してなかった。

この世には怒らせてはいけない者たちがいる。

それは男性と女性の異性間の関係が築かれた時代からある常識である。

 

女だ!!

男は女の怒りには勝てない。

 

「ま、まぁ、そんなことは置いて‥「置けると思っているの?」‥‥ど、どうすればいいんだよ?」

 

「まぁ、アンタの言う通り、今はいいわ。後で引きずっても病院に縛り付けるから。罰はその時にしてもらうから、せいぜい覚悟しておきなさい」

 

「わーったよ。んで状況は?」

 

「とりあえず、スバルたちと合流しましょう。山本もそこに一緒にいるわ。ツナとフェイトさんはまだ分からずじまいで、そっちにはエリオがフリードで向かっている。炎真はゆりかごに侵入して、なのはさんたちを迎えに行っているわ。」

 

「あの、編み笠たちは一体なんだ?あのサイコ野郎の仲間か?」

 

「知らないわ。なにせ、突然現れたんだもの。ただはやてさんが奴らの拠点っぽい船に向かったらしいけど‥‥」

 

「たった一人でかっ!?」

 

「えぇ。」

 

「なんつぅ無謀な‥‥」

 

ここまであの編み笠連中とやりあってきた獄寺だからこそ、連中の身体能力のレベルがすぐれていることを知っている。

非魔導師ながらも連中の戦闘能力はかなり高い。

そんな奴らの本拠地へ一人で行くなんて、いくらはやてが凄腕の魔導師でも無茶である。

 

「はやてさんのことだから何か作戦があるのだと思うけど‥‥」

 

「‥‥んで、お前はこれからどうすんだよ。」

 

「シグナムさんがまずは全員の合流を優先して欲しいって言っていた。それでその後にシャマルさんとザフィーラさんがいる医務拠点を確保してそこをメイン拠点に移すらしいわ。」

 

「俺は10代目を迎えに行くぞ。」

 

「わかっていたけど、やっぱりツナを優先するのね」

 

「ったりめぇだ。俺は10代目の右腕だからな!」

 

「ツナやフェイトさんたちはエリオが迎えに行ったわ。獄寺は私とこのまま山本たちと合流してザフィーラさんの元に行くの。」

 

「俺たちとテメェらとの協定は10代目が結んだもの。俺は10代目が無事に戻るっつうから10代目を守る為にテメェらに力を貸してんだ。つまり俺は10代目の為に動いている。10代目が危ねぇなら10代目を優先して助けに行く!」

 

「ダメよ。今の状況で独断行動は許さないわ!!第一危険よ!!私が来なかったら、貴方、あの編み笠連中に殺されていたのよ!?」

 

「なんで俺がテメェらの指示に従わねぇといけねぇんだよ!?俺は10代目の右腕だ!ティアナ、何か勘違いしていると思うから言うが、俺も10代目も山本も管理局に所属しているわけじゃない。俺たちはボンゴレファミリーだ!!ここまでの事態までなったんなら、俺は10代目の為に動くぞ!!」

 

獄寺は個人の感情を無視して言うのなら、あくまで元の世界に戻る為にツナがこの組織に力を貸すと言ったから獄寺はここで戦っている。

お互い利の上で関係を結んだみたいなものなのだ。

確かに個人的にはここに居心地の良さを感じている。ティアナやスバルだけではない銀時や神楽だって同じ鎌の飯を食べた仲って言われる位心を許している。

でも、それでも自分達のボスを助けられるかもしれないのに、助けに行かないなど右腕を名乗る身としてはプライドから許されない行いなのである。

 

「獄寺、貴方の気持ちは私もわかっているつもりよ。だから私が貴方を助けに来たんだから。貴方たちがあくまで民間協力者だってこともわかっている。だから信じて私たちが貴方たちを必ず元の世界に帰すから。」

 

ティアナは立ち上がりそして獄寺の手を引っ張った。

 

「私たちは仲間でしょう?機動六課は貴方たちを見捨てたりしない。はやてさんもシグナムさんも皆、誰一人かけることなく生き延びる為に戦っているのよ。」

 

「あぁ、クソ~‥‥」

 

獄寺は自分の髪をわしゃわしゃと乱暴に掻き乱した。

今、獄寺は認めたのだ。

ティアナの言ったことが正しいと10代目もそうすると、自分が焦ってティアナよりも近くのことしか見えていなかったのだと。

 

「訳分からん事態のせいで焦っていた。んで、スバルたちはどこにいやがる?さっさと合流して、その後、俺は10代目のところに行くからな」

 

「少し離れているから走るわよ。行ける?」

 

「なめんなよ、これぐらいどうってことねぇよ。」

 

「そう。じゃあ、行くわよ。足、引っ張らないでよね。」

 

「それはこっちのセリフだっつぅの」

 

獄寺とティアナはひとまず、スバルたちと合流するため、戦場となっている市街地を駆け出した。

 

 

 

・・・・続く




ではまた次回。
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