【大空】と【白夜叉】のミッドチルダの出会い~改~   作:ただの名のないジャンプファン

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お久しぶりです。
更新が遅くなり申し訳ありません。
何だかんだとグダグダしていたら平成が終わりもう令和になっているとは...しかも令和2年であと1ヶ月で今年もも終えるなんて
いや〜時間が経つのはあっという間なのですなぁ。
というわけで更新です。


標的91 明日の方向

 

 

「うっ‥‥こ、ここは‥‥?」

 

目が覚めると私が見たのは、見知らぬ天井だった。

 

どうやら、ここはどうやらドクターの研究所じゃない様だ。

 

それに他のナンバーズたちの姿もない。

 

寝起きは意識がはっきりしてないため、眠る前の事がぼんやりとしている。

 

まるで靄がかかっているみたいだ。

 

それになんだか体がとても重い。

 

全身が鉛みたいで手を動かすのも一苦労だ。

 

いったい私はどうしたんだろう。

 

あぁそうだ‥‥。

 

思い出した。

 

私は負けたんだ。

 

身に余る力を無理やり自分のものにしてもなお負けてしまった。

 

しかも、魔導師ではない人間相手に‥‥

 

また負けてしまったんだ。

 

負けてしまった‥‥でも、不思議と不快感はない気がする。

 

最初負けた時はあんなにも悔しくて憤慨したのに今のこの気持ちはなんだろう‥‥?

 

叫んでぶつけて、怒って、そして泣いて受け止めてもらった。

 

そしてその時の事を思い出すと胸がざわつく。

 

本当になんなのだ?私は戦闘機人だ‥‥。

 

戦う為の人型の兵器で、この体も心もドクター道具として作られた計画の礎となるために生きてきた。

 

それなのにあいつは私の事を 『人』 と言った‥‥兵器である筈の私を‥‥

 

あいつに向けた怒りも、作られた体も私がどういう存在か知ってもなおあいつは私をただの 『人』 と言ったんだ。

 

そして彼の持つ剣で私の怒りを真っ二つにした。

 

そのせいで今の私はわからない。

 

私自身の事なのに‥‥

 

私はどう在りたいんだ?

 

人なの?それとも兵器である戦闘機人なの?

 

戦う以外に一体どんな選択肢があるというの?

 

この私に‥‥

 

人なのか兵器なのか存在があやふやな私に‥‥

 

「おっ、起きたのか?」

 

そんな時、部屋に私を負かしたあの男‥‥山本武が入ってきた。

 

相変わらずのほほんとした顔で私を見てくる。

 

「.....」

 

「ん?どうした?どこか具合でも悪いのか?」

 

抜けているのか?

 

それともこれがこの男の素なのか?

 

私にはわからないがさっきまで殺し合いをしていた相手にかける言葉ではない事ぐらい私でもわかる。

 

紅桜が私の一部から離れて少し自分を取り戻しているけど、こういう風に見られたら私はどうすればいいかわからない。

 

怒れば良いのか?

 

それとも悔しがればいいのか?

 

「別に‥‥」

 

どういう態度を取ればいいのか分からなかったので、私は素っ気なく彼から顔をそむけた。

 

「そっか、何かあんなら言ってくれよ。一応絶対安静ってことらしいからな」

 

「治療してくれたの?」

 

「俺がしたんじゃないけどな」

 

「私を何でここに連れてきたの?」

 

「だって怪我酷かったし」

 

「私は貴方たちの敵よ」

 

「あぁ知っている」

 

「なら何故?」

 

「怪我をしている奴はほっとけねぇよ。うちのボスはそういう奴だからな。だから俺もそうしているだけだ。」

 

「ふん、甘いわね」

 

「あぁよく言われるよ」

 

「‥‥貴方はよくバカって言われるでしょう?」

 

「おう!」

 

「何がそんなに嬉しいのかよくわからないけど貴方考えなかったの?」

 

「ん?」

 

恍けているのか?

 

それともふざけているのか?

 

山本は首を傾げて私を見る。

 

だけどすぐに彼の目付きが変わった。

 

なぜなら少しだけ私が殺気を飛ばしたからだ。

 

この殺気に気がつけると言うのは流石と言うべきだが、やっぱり何だかんだ言ってまだ私を警戒している。

 

ここにいるのは私と彼だけ、この状況も軟禁と考えるのが妥当か?

 

あくまで傷つけないようにしているのは、私が数少ない希少な戦闘機人の素体なのだから‥‥研究材料の一つだからだろうか?

 

「私は貴方たちと敵対している者‥戦える限り今後も戦うかもしれないのよ」

 

心中で私は思う。

 

多分、目が覚めて彼を見た時から彼が私を助けた理由なんてのはわかっていた。

 

私が頭の中でごちゃごちゃ考えるよりシンプルな理由で私を助けたんだろう。

 

でもそれを私自身が素直に受け入れられなかった。

 

この私を利用したいからだ。

 

作られてから今までこの私を作ってくれたドクターの目的の遂行を使命として、今まで生きてきた。

 

私が生きるのには何か理由がいるんだ。

 

だってこの身は利用されるためだけの道具なんだから‥‥

 

「はぁ~‥‥そりゃ!」

 

バチン!

 

私は急に目の前に立った山本に額を指ではじかれた。

 

地味に痛い。

 

「痛い」

 

ジト目で彼を睨む。

 

「はっはっはっ、俺のデコピンは結構効くからな」

 

にししと笑顔を向けてくるがなぜここで笑顔を浮かべるのかが私にはよくわからなかった。

 

「どうだ、これでごちゃついた頭の中少しはすっきりしたか?」

 

「えっ?」

 

「難しく考えすぎたってあんまりいい事ねぇよ。負けた直後で踏ん切りがついたかもしれないけど、お前みたいなのは少しリラックスしている方がいいと思うぞ」

 

「ずいぶんと簡単に言ってくれるわね。そんな風に出来れば苦労はないわよ」

 

「ん?そんなに難しいことか?」

 

「言ったでしょう。私は道具として‥兵器として産まれて生きてきた。私に心はなく意思は他人に従属している。だから私にはわからない、私はどうするべきなのか?どう生きればいいのか?」

 

「‥‥」

 

情けない、その一言が私の頭を過ぎる。

 

これではまるで幼い子供のようなものだ。

 

自分の事なのに自分で決めることも出来ない。

 

そう言う面では私は機械なのかもしれない。

 

でも、私の葛藤する心はそれすらも受け入れられないようだ。

 

自分で自覚しても、こうなった原因を作り上げ彼のせいにして、敵である彼に決定を委ねようとしている。

 

「‥一つ聞いていいか?」

 

「なに?」

 

「今、生きたいって思うか?」

 

「‥‥わからないわ」

 

ただ今少しふと思った。

 

だけどこれを言葉にしてしまっていいだろうか?

 

道具としての言葉ならまだしも、だけどこの言葉は今まで私の中にいなかった私の言葉。

 

それを言うのが少し怖い。

 

だって‥‥

 

「‥‥死にたくないって‥‥思っている」

 

「ふっ、そっか」

 

私は自分の中に悲しいって気持ちがあるのを知った。

 

死への恐怖がある事を知った。

 

私は涙を流せることがわかった。

 

私にも優しく接してくれる人がいることがわかった。

 

道具にはいらない気遣いで道具としてでは見つけられない世界。

 

でも何も感じない訳では無い。

 

暖かいのは心地がいいし、優しいのは存外悪くないってのがわかった。

 

わかってしまったのに、わかった直後で死ぬなんて勿体ない。

 

今はそう思う。

 

「わかった。少し待ってな、もう少し落ち着いたらゆっくり話そうぜ」

 

「戦いはまだ続いていたの?」

 

「あぁ」

 

今一瞬彼の雰囲気が変わった。

 

彼の脳裏が戦いという言葉で、普段の彼から戦闘態勢の彼に切り替わったんだろう。

 

そしてそれだけで戦場の情景がわかる。

 

まだ彼らにとって油断ならない状況ということ、それはこちら側の優勢というふうに一見見ることが出来るが、果たしてそれはどうだろうか。

 

「外の様子を聞いていい?」

 

「ん?もう少し待っていてくれ‥‥ん?今、連絡が入った」

 

私達戦闘機人は、ドクターを含めたナンバーズ間にある念波が繋がっているお互いの位置や連絡のやり取り等他にもいろいろとできることがあるが今重要なのは生存しているかどうかだ。

 

ノーヴェやディエチ達はすぐに感じられたのだが、肝心のドクターを感じることができなかった。

 

ドクターを感じられない‥‥それはナンバーズにとって一番深刻なのは問題だ。

 

私達は主人あってこそ存在して、主人を守り主人に変わり戦う。

 

私達の誇りと言ってもいい。

 

その存在が今は感じられない。

 

ノーヴェ達ならもう少し詳しく知っているのだろうか?

 

少し聞いてよう。

 

幸い彼も連絡中だ。

 

私が目を瞑り念話にふけていても気が付かないだろう。

 

『ノーヴェ』

 

『...』

 

『ノーヴェ!!』

 

『ん?その声はディードか!?』

 

『えぇ‥‥』

 

『念話が通じるってことは、どうやら生きてんだな!?』

 

『えぇ‥‥体が少し重たく感じけど特に問題は無い』

 

『そっか、今どこにいる?』

 

『‥‥敵に負けて捕虜にされているところ』

 

『敵って!?どんなやつだ!?』

 

ノーヴェが慌てた様子で聞いてくる。

 

『管理局よ。他に誰かいるの?』

 

私達は管理局と戦って来たのだから、捕虜になるとしたら、管理局以外どこの勢力に捕虜となると言うのだろうか?

 

『そっか‥‥管理局の連中か?ならまだよかった』

 

ノーヴェの事だから、『あれだけ大口叩いたくせに管理局の捕虜になるなんて情けない奴だ』 くらいの罵倒は覚悟していたが、何故かノーヴェはホッとした様な感じだ。

 

『その言い方、戦場では他の敵が現れたの?』

 

『あぁ、よくわかんねぇ編み笠集団が突如蛆虫のようにわいてきてな』

 

『ナンバーズは皆戦っているの?』

 

『皆ってわけじゃねぇな。つーか戦っているのは私ぐらいだし』

 

『皆は?』

 

『ナンバーズの死亡報告は一人‥‥ドゥーエ姉だが、少なくともチンク姉やウェンディ、オットー、ディエチは管理局と戦って負けてその後拘束された』

 

『そう、では貴女は今後どうするの?ナンバーズの皆を取り返すために管理局戦うつもり?』

 

『あぁ?急にどうしたんだ?悪いが今は少し先の与太話に付き合えねぇんだが』

 

『答えて、今貴女は一人で戦っているの?』

 

『......』

 

『そう、今聞いた情報を纏めてまさかとは思ったけど』

 

『私は今管理局に手を貸している。いや助けてもらっている』

 

『意外だったわね。貴方が管理局に手を貸すなんて』

 

『私自身もそう思う』

 

『ドクターを裏切る気?』

 

『そう捉えちまうよな』

 

『貴方の口から聞かせて、私達の創造主を裏切るの?』

 

『あぁ、今後は私の意思で戦っている』

 

『そう、わかった』

 

『なんだ?私を殺しにくるか?裏切り者の私を‥‥』

 

『......いえ』

 

『は?』

 

『裏切り者を始末なんてそんなベタな展開があるとでも?』

 

『そりゃあ、まぁ‥‥だって管理局と敵対していたドクターに与していたんだし。そういうのが暗黙のルールなんじゃねぇかと‥‥』

 

『嫌よ、貴女を殺すなんて絶対』

 

『ディード‥‥お前‥‥』

 

『めんどくさそうだし』

 

『あぁ!?』

 

『それに、私も裏切り者だし』

 

『は?ってお前まさか!?』

 

『ねぇ、ノーヴェ。私達は人間だと思う?』

 

『ん~どうだろうなぁ~人間とは根本的に生まれは違うし、かと言って私達のベースは人間の遺伝子だ』

 

『私は少し揺れている。武器としての存在のはずなのに、私自身がそれを拒み始めている人間がいや人に憧れを抱き始めている‥‥のかも‥‥』

 

『あっそ、まぁ今は詳しく聞かねぇことにする。こっちは今、忙しいんでな』

 

『貴女こそどうなの?管理局に負けて改心したんでしょう?』

 

『はぁ!?誰が改心なんかするかよ!?お前はどうだか知らないが私はノーヴェだ!!ナンバーズの戦闘機人だし、多分今後も戦う事はやめらんねぇだろうが私は私だ。人であり戦闘機人でもある今までもこれからもな‥‥』

 

『そういう所は敵わないな』

 

『お前はどうすんだ?もう少し休むのか?』

 

『いいえ』

 

『そうか‥‥ディード、死ぬんじゃねぇぞ』

 

『貴女ね、ノーヴェ‥‥』

 

念話はここまで、ノーヴェのおかげで少し迷いが晴れた気がする。

 

気が楽になるとさっきよりも体が軽い感じがする。

 

それにだいぶ休んだから気力も回復した。

 

「ねぇ‥‥」

 

「おっ、どうした?」

 

「連絡はすんだのかしら?」

 

「あぁ、すまねぁが暫く俺はここを離れなきゃならねぇ。悪ぃな、俺がいなくても大人しくしといてくれよ」

 

「謝罪はいらない。でもその代わりお願いがある」

 

「お願い?それも悪いけど後にして‥‥」

 

「いいえ、今じゃないとだめ、というか意味がないわ」

 

「‥‥OK、何が願いなんだ?」

 

「私を貴方と一緒に戦場に連れて行って‥‥山本武」

 

ディードの目を見る山本。

 

その時のディードの目はついさっき、戦ってきた時と違い、まだ迷いがあるものの湧きだした清水のように澄んでいた。

 

 

~said銀時~

 

 

剣客はその存在自体が剝きだしの刃だ。

 

人の中に紛れていようともその独特な雰囲気を隠す鞘はなく、触れてしまった全てを断ち切り、侍となったものは主人のもと一本の刀として粉骨砕身の思いで折れるまで主人の敵を切り裂いていく。

 

だが今、ここにいる二本の刀は守るべき主人を失い納めてくれる者が居なくなった刀はその刀身を晒し続けた。

 

方や失った物の大きさに心が押しつぶされてしまい、その憎しみの矛先が一本の刀ではどうしようもない所に向いてしまった。

 

しかし、その刀はただ闇雲にぶつかり粉々に粉砕したわけでも‥ましてや諦めもしなかった。

 

刀は待った。

 

どんな物にも脆いところがある。刀は見つかるまで待ち続けた。

 

ただ待ち続けただけではなくその刀身を鍛え続けて、いつか届くであろう心の臓をいつでも貫けるようにするために。

 

方や心を失い拠り所がなくなってしまい、持ち主を失った刀はふらふらと世界を彷徨った。

 

雨に降られ風に吹かれ刀身は錆び付き斬れる物も斬れなくなった。

 

刃は零れ落ちて錆だらけになり果ててしまいそれでもこの世界にい続けた。

 

天地振動雷鳴が如く天災のような困難に巻き込まれても折れることのなかったその刀は誰もが認めるこの世で最も硬い鉄となっていた。

 

ボロボロの刃は敵を前にして、錆だらけの峰は常に仲間の前に立っていた。

 

今その二本の刀はぶつかり合っている。

 

狂気と信念鍛えてくれた思いは違うが、何者にも負けないまでとなった刀同士で粉々になるまでぶつかり合うつもりだ。

 

折れては行けない。

 

折れるわけにはいかない。

 

例えそれでもまた大事なものを失うことになったとしても、もう彼らは止まることがないだろう。

 

既に覚悟は決まっている。あの船の上でもう戻らないとわかったから、彼は自分がやるべき事を悟ったのだ。

 

 

銀時と高杉がぶつかり合っているのは、ゆりかごのとある一室、銀時がヴィヴィオと戦った部屋よりは一回り小さく彼らがこの部屋にたどり着いた道しか帰り道がない。

 

床は所々血が飛び散り赤く染まり、血が溜まっている所は刀で斬られた痛々しい跡が残っている。

 

この空間は完全に支配されていた。

 

どうやっても第三者が介入できる余地が見当たらず、この死闘は例え神であっても止めることはできないだろう。

 

殺気が充満して呼吸をするのも苦しいような空間で銀時と高杉は殺しあっている。

 

もう既に両者血まみれで刀を持つ手も握れるのが不思議なくらい手も斬られた跡がある。

 

見る人が見ればゾッとするだろう。

 

まるでゾンビのようにどれだけダメージを受けても屍のような身体に鞭を打ち相手だけを見て死に物狂いで戦い続けていた。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁァァァ!!」

 

侍の激しい剣戟は美しい火花が飛び散り、高々しく金属音が耳に叩きつけられ、部屋全体に鳴り響いている。

 

この鬼気迫る殺し合いでは守るという行為すらしない。

 

体を貫かれれば貫き返し、足が切られようなら相手の手を切り裂きお互い致命傷と言える傷はいくつもあるなかで命を晒しながら命を奪い合っている。

 

まるで肉にしか目が入っていない獣の様な‥‥いや、獣では手緩い、獣は凶暴ながらも最終的には自らの命を優先して行動するが、彼らは生き抜くなど二の次だ。

 

獣よりも憐れで愚かな哀しい、自分よりも大切だからこそ自分よりも相手の為に命を懸けて戦っている。

 

血で滑り落ちそうな刀をギュッと握りしめて、足に力を注ぎ込んで立ち上がる。

 

曇りそうな視野を振り払って刮目して前の高杉は銀時を‥‥銀時は高過ぎを見続ける。

 

アイツが止まらねぇのに何で先に俺が止まるんだよ。まだやれるまだ戦い続けられる。

 

「銀時ィィィィィィー!!」

 

「高杉ィィー!!」

 

心の叫び声が雄叫びのようにあがる。

 

それと同時に刀同士ぶつかりある。

 

両社拮抗する力で一歩も引かずに押し切ろうとするが刃が相手の心臓を貫くことができない。銀時は高杉よりも早く次の攻撃に移る。

 

刀を引かせて突く。

 

高杉は、自分の刀を縦に持ち、突きを逸らす。

 

逸らされたことにより銀時の攻撃は意味がなくなり突きに威力を与えた勢いが返って銀時を無防備にした。

 

自分を護る刀を引くよりも高杉は自分の腰に差している鞘を銀時の顎を打ち上げる。

 

「ぐぅっ‥‥」

 

「ふひ」

 

銀時の隙を見つけた高杉は犬歯をぎらつかせて笑みを浮かべる。

 

顎は人体の司令塔である脳に一番衝撃を与える部位、そこをとても強く打ってしまったら一般人でも例え訓練された兵士でもぐらついてしまう。

 

だが銀時はこの隙以上の隙を見せることなく反撃をした。

 

すぐさま回し蹴りを腹にきめて洞爺湖を引き足に力を入れて地面を蹴り飛ばして先程以上の突きを繰り出す。

 

ズガガガガアン!ズドーン!!

 

銀時は攻撃で高杉は壁に追いやり激突した。

 

二人の姿を隠すほど大きな土煙が立ちこもる。

 

だが次の瞬間二人の大きな振りかぶる刀の動きで土煙は吹き飛んでまた激しい剣劇が始まった。

 

今不利なのは壁にまで追いやられている高杉の方、刀を振るには力がいる、特に刀の殺し合いでは大きく体を動かさねばならないその為に体を動かせる位の空間が必要だ。

 

銀時は上手く立ちまわる。高杉に窮屈な思いをさせながら、この有利はできるだけ継続させたい。銀時は高杉の剣筋と共に足元にも注意を払う、例えば斬りあいのさなか足が横に抜けようものなら斬りあいの中地面に警告をするように亀裂をつける。

 

「ふ、随分せこい戦いをするようになったなぁ~その目の通り、性根も腐り切ったか?銀時」

 

「はっ、巧妙って言ってほしいもんだぜ」

 

「巧妙何てそんなこと言われるほど頭よくねぇだろう?テメェはよぉ~」

 

相も変わらずの皮肉ヤローだった。

 

ああ言えばこう言う俺達はそんな関係だった。

 

それでお互い喧嘩腰を引かずに拳を出して殴るだの蹴り飛ばすだの同期の攘夷志士たちに随分迷惑をかけた。

 

高杉は昔から変わってない。

 

真っ直ぐだ。

 

一点先の道しか見てねぇ、だからわからない。

 

「おい高杉、お前は何でこの世界に喧嘩を売った?この世界には幕府も天人もねぇ~俺やお前の事情にこの世界には関係はねぇだろう?」

 

「関係ない事はねぇよ。」

 

「何?」

 

「俺をこの世界に送ったのは天導衆の連中だ」

 

「な、何だと?」

 

高杉の告白に銀時は一瞬思考が停止する。

 

天導衆‥‥警察庁、真選組の幹部が知っているように幕府を‥‥いや、自分たちの地球を影から支配している天人の総称‥‥

 

管理局で言うと最高評議会と同じような連中だ。

 

その連中が高杉達をこの世界に送りこんだ?

 

天導衆は異世界ともいえるこのミッドチルダすら地球の様な植民地にするつもりなのだろうか?

 

いや、天導衆と高杉は本来ならば相容れぬ存在の筈だ。

 

ならば、どうやって?

 

どうして、天導衆は高杉をこの世界に送り込んだ?

 

ギギギとなる刀と刀の音がするぐらい拮抗している中、銀時は天導衆と高杉の関係が分からず力が一瞬緩んだ。

 

殺し合いの最中、相手から目をそらしてしまうのは完全な悪手だ。

 

拮抗が破れ、高杉に自身の刀を弾かれまた腹に隙ができた。

 

「殺し合いの最中で、気ィ抜いてんじゃねぇぞ!!銀時ィィィィィィ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ブシャァ

 

 

 

 

二匹の凶獣が戦っている部屋に血しぶきが立つ。

 

 

~saidなのは~

 

銀時達が走り去った部屋にはなのはとヴィヴィオがいる。

 

ヴィヴィオは疲労が大きく、なのははこれまでの戦いで大きく負傷してしまいその場から動けずにいた。

 

傷がなければいち早くこの船からヴィヴィオを早めに脱出させたい所だが、この傷のせいで足腰に力が入らずに立てずにいる。

 

その為に今は魔力の回復を待っていた、傷が直ぐにふさぐものではないが魔力は徐々に回復していく。

 

魔力が回復し次第直ぐ飛んで脱出したいのだが

 

「ママ、大丈夫?」

 

「うん大丈夫だよ。」

 

壁に寄りかかる母を純粋に心配する娘。

 

この美しい絆はようやく取り戻せた大切なモノ‥‥とても固くダイヤモンドの様に絢爛なつながりはキャンパスには留めきれない。

 

思いやり、優しさ、一途、純粋他にも様々な温情が詰まっている。

 

「私よりも銀さんが‥‥」

 

「パパが心配?」

 

「えっ?…う、うん。心配だよ」

 

「大丈夫!パパは強いから絶対帰ってくるからさ!!」

 

ヴィヴィオなりの励ましなのだろうが、きっとヴィヴィオはなのは以上にあの銀髪のサムライの事を信じているのだろう。

 

「ありがとう。」

 

なのははヴィヴィオの頭の頭を撫でて、ヴィヴィオは気持ちよさを表す様に目を細めてなのはの手の上に両手を重ねた。

 

ヴィヴィオのこの表情がどれだけなのはと銀時の心にどれだけの癒しになってきた。

 

この笑顔を失いかけた時ある種誓いのようなものを心に建てた。

 

それは自分達の心を照らしてくれる太陽を曇らせないこと、ヴィヴィオには今まで以上の心労をかけさせたくない。

 

だからこそ、心に一つ不安がよぎる。

 

高杉晋助、銀時の旧友であり今死闘をしている人物その人である。

 

新八が言うには昔新八たちの世界で起きた戦争の仲間だったらしいのだが、彼と対峙した時の銀時には明らかにそれ以上を感じさせる何かがある気がした。

 

銀時は過去の事を話そうとしない。

 

それとなく聞いてみようとしたのだが簡単にはぐらかされしまった。

 

多分彼が話したくない過去に高杉が深く介入しているのだと今は思う。

 

坂田銀時と高杉晋助の間に一体何があったかをなのはは知らない。

 

高杉の事もよく知らないが銀時という人物ならよく知っている。

 

銀時は性根が曲がっていて、いつもけだるげで、それでいて何事にもやる気のない人だけど、周りをよく見てフォローに回り誰かを気遣ったりもする。

 

普段は死んだ魚のような目をしているくせに何でそんなに人のことがよくわかるのか正確に言うと人の心の奥を剝き出しにして本心を露わにさせる。

 

それでいて何より優しいのだ。本人に言えば速攻で否定しそうだが、彼は本心から話したことなら、その人の助けになるような事をする。

 

話を聞いて寄り添って一緒に歩いてその人が呆れるぐらい彼は寄り添ってしまう性質がある。

 

その点が銀時の美点でなのはが惹かれた一つであり今回ではそれが裏目に出そうなのだ。

 

高杉の過去もそして過去から募った恨みも銀時は理解しているのだろう、だからこそ1人で彼はその全てを受け止めて応えようとしかねない。自分の命も問わずに...

 

(銀さん...無事でいてね。)

 

 

~side銀時~

 

銀時からできた一瞬の隙をついての高杉の突き‥‥体を貫く威力を纏った突き。

 

あまりの威力に銀時は壁まで衝突して土煙が立ち込める。

 

「ぐぐぐっ‥‥」

 

「ふふ、はは。」

 

これには、銀時も致命傷を受けたと思ったが銀時は既のところで高杉の刀を握りしめて内臓までは届かなかった。

 

たがその傷からはどくどくと血が流れ落ちて高杉の刀にまで侵食していた。

 

銀時は歯を食いしばりながら痛みに耐えて呻き声のように高杉に先程の事を聞いた。

 

「うぅ、高杉...何で天導衆がお前をここに‥‥?」

 

「ここに来る前に幕府のある拠点を潰しに行ってなぁ、そいつは天導衆も関わっての極秘実験場。春雨のコネを使っても何の実験場かは知ることができなくってな。表向きは小規模な武器量産工場だからその施設とその武器だったんだがな。」

 

高杉がそこで見たのは明らかに小規模というには必要以上の設備と莫大な実験データを含んでいたコンピューターそこには攘夷戦争前からそこが稼働していたらしく、長い間あることについて研究していた。

 

「今地球にあるターミナルはその過程で産まれたってのも書いてあったな。」

 

「ターミナルが!?」

 

ターミナルとは地球の宇宙交易の港のようなものだ。

 

地球人と天人の繋がりを深くして侍達から誇りも名誉も奪い去った、まさに攘夷志士にとって敗戦の象徴であるターミナル。

 

ターミナルを簡単に説明すると莫大のエネルギーで船を宇宙に飛ばす施設である。

 

宇宙から飛来した船もここを目印にして地球に着陸をする。

 

 

ただそれだけの施設だ。

 

 

「教えといてやるよ、銀時。重要なのは転送。奴ら天導衆は地球に来る前から次元転移について研究をしていて今奴らはその技術を完成させた。わかるか銀時奴らの計画は今始まった。」

 

「高杉、テメェ何でそれを俺に言った?お前はどこを見てんだ!?どこに剣を向けてんだ!?」

 

「ふ、何言ってんだ?俺の眼前に映ってんのはあの時から何一つ変わっていねぇよ。」

 

高杉晋助は虚ろな目で過去を見ていた。

 

「鬼兵隊がどうなったのかもわかんねぇ。俺はこうして生きているが奴らはもう死んじまっているかもしれねぇ。不甲斐ねぇ大将のせいで俺が踏み越えた屍の一つになっているかもしれねぇ。けど絶対犬死にはさせない。あいつらはいつまでもどこでも俺の為に尽くしてくれた、なら俺は‥‥」

 

目は一つ閉じたが耳はよく聞こえる。

 

世界は勝ち組共のいいように作られている。

 

負け犬たちは媚びるか死ぬかの選択しかない、そんなの嫌だ!

 

惨めな選択しかできない世界は間違っている。

 

 

「奴らの叫びを届かせる!!」

 

勝者よ!!聞け!!敗者の絶叫を!!

 

負け犬の遠吠えを!!

 

お前たちの作り上げた世界には綻びがある。

 

その綻びに目を向けないからお前達は崩れ落ちるんだ。

 

「俺はなぁ~ただ壊すだけだ。この腐った世界を‥‥幕府も天人も異世界も全てだ!!」

 

高杉晋助とは無念の上に立つ英雄、空虚な十年間でも彼が失った物は埋まることはなく肥大に彼の喪失感は狂気を宿した。

 

そんな彼の元に集まったのが世の中で散りばめられた暴力の残骸、残骸は一つに集まり統制を得て、鬼となった腐った者ども穿つ鬼どもの集団鬼兵隊。

 

どこにいてもどんな世界でも高杉晋助は変わらない。

 

腐ったものをその刀でたたっ斬り、世界の全てを崩すまで彼は止まらない。

 

宇宙一のはみ出しもの彼は、同じはみ出し者を従えて世界に喧嘩を売った。

 

 

「どんな世界でも変わんねぇ根性の曲がったはみ出し者はいるもんだ。それは腐りきった権力者がきったねぇ尻で座ってやがるからだ。スカリエッティ、シノビ、神威、白蘭こいつらと共に俺は全てを討つ。邪魔する奴らは全員叩っ斬ってやる!」

 

そうして高杉は、鞘を引っ張り銀時の顎を叩き上げる。

 

ダメージに怯んだ銀時から高杉は自分の刀を引き抜き直ぐに首元を狙う。

 

キン!

 

だがこれ以上は銀時も殺らせない。

 

銀時は洞爺湖で受け止めて、そのまま前進して高杉の目の前にまで走った。

 

「!?」

 

「ドオリャァァァアァ!!」

 

激しい勢いで、高杉に頭突きをかます銀時。

 

銀時の自慢の石頭は高杉の額から血を流させる。

 

「うぅ」

 

そのまま、銀時は高杉の腹を蹴り飛ばした。

 

「ぶほぉ!」

 

腹にめり込む威力の蹴りにもなんとか踏ん張りを聞かせて膝をつかずにいたのだが、威力を殺しきると逆に三歩後退り足から力がぬけたのか床に倒れ込んだ。

 

これは銀時には大きなチャンス。

 

これ程大きな隙を高杉は今後見せるのか、否ダメージが溜まれば溜まるほどアドレナリンを溢れ出させて激しい興奮状態になり、時間が経てば経つほど高杉晋助という男は厄介になるだろう。

 

今でも痛覚が通っているか微妙なラインなのにさらに時間が経てば本当に死体にならなければ彼は止まらない。

 

今この機こそ最大のチャンスなのだ。

 

「ぶふぉ。」

 

だけどそれは無理だった。

 

銀時もダメージが足にまで来ていたのか膝をついて血を吐き出す。

 

「はぁ‥‥はぁ‥‥」

 

激しい息遣い、酸素を取り込むのを一苦労な状態だ。

 

洞爺湖を杖のようにして体を支えながらどうにか立ち上がろうと力を再び込める。

 

「銀時」

 

「高杉ィ。」

 

血だらけで焦点の合ってない瞳をした二人。

 

それでも何故だろう。彼らの目はまるで獰猛で腹をすかした肉食獣ですら気圧されそうなぐらいの威圧感を放っていた。

 

そんな時、銀時はフッと口元が緩む。

 

「高杉、テメェは変わらねぇなぁ~だが、納得はした。お前が何で胡散臭い科学者どもと手を組んでこの世界で暴れているのは何も血迷ったわけじゃなかったんだな。」

 

高杉のこっちの世界での所業、前の世界ならば銀時にも思う所があり、互いの道を進み続けて筋がまかり通らなければその時は命をかけて戦おうと思っていた。

 

この世界での高杉の行いにはただ子供のように引っ掻き回しているだけだと思い銀時はそれをぶん殴って止めようと思った。

 

だが違った‥‥彼の行いは彼らの信念から歩ませた一歩だったのだ。

 

屍の無念、無力な叫び、高杉が動くにはそれだけで十分だ。どこにいても次元を超えても高杉は変わらない。

 

 

「半端な覚悟で俺の前に立つなよ銀時、家族ごっこの父親じゃここでは役不足だぜ。」

 

「高杉ィ、確かに俺がこの事件に首突っ込んだのは確かになのはやヴィヴィオのためだった。あいつらが武器を持つなら俺が先に相手をブッ倒す。あいつらがピンチになったら俺が誰よりも先に動く。共に生きる人の隣立ちその人を何があっても守り抜け」

 

「お前ェ」

 

『私はその為の剣を教えます。剣は人を殺し触れたもの切り捨ててしまうそれは変わることのない事実です。しかし人は変えることができる、なぜならば人はどこまでも成長する生き物ですから、学びなさい私の生徒達君達はこれから色々なものを吸収して心鍛えなさい。剣筋は心から成り立っています。人が優しければ剣もまた答えます。」

 

耳に胼胝ができるぐらい聞いた言葉で、二人の原点となった教えであり彼らの強い共通点となった教えである。

 

「俺とお前がどんな風に変わっちまっても昔あった事はなくなんねぇ。俺達の道が別れても歩いてきた道は変わんねぇんだよ。俺もお前も松下村塾で吉田松陽の弟子だ。」

 

銀時は高杉に宣言するかのように言い放った。

 




ではまた次回
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