季節は6月を越して、7月の終わり頃…
小中高の学生は夏休みに突入した感じだ。だが、社会人に夏休みなどはない。学生が休みの日も社会人は自分の仕事と目をあわせる。社会人が毎日働いているから、経済が通常通り動き、世の中が成り立っている。
日差しが強い中、タイヘイは外を歩いていた。額には、汗をびっしょりかいている。耳からには、呪文のような、ミーンミーンミーーンという蝉の鳴き声。
「あつい……」
いつもより、暑い。この暑さは以上だ。
気温を確かめると
何と 38℃だった。
早く帰りたい。
タイヘイの願いは叶わなかった。
一方、土間家では
達生ときりえとこまるが遊んでいた。今日は3人で遊ぶ予定だったようだ。家の中はひんやりしていた。
何故かというと、クーラーの設定温度が19℃であったからである。
本当は、もう少し上げてもいいと思うけど
だが、このひんやり感は、一度体験するとやめられない。
まぁいいか
「いや~~~~~夏だね」
「もう夏ですね、師匠」
「もう夏かぁ……」
3人とも、夏が来たことに、改めて思う。
いやぁ、高校生活が始まって、女の子と友達ができるとは、思わなかったな。
そう、きりえさんと初めて会った日から、すっかり、こまるさんと一緒に友達になった感じである。初めの頃は、怖いイメージしかなかったけど、実際会ってみれば、そんなことはなかった。
人は見かけによらず とはこのことである。
「やっぱり夏はエアコンの効いた部屋で、「ぼくなつ」に限るね、きりえちゃん、達生くん」
「ですねー」
「「ぼくなつ」は夏にするゲームの中で、王道だね」
そう、「ぼくなつ」は夏になってからするのが、一番楽しいような気がする。「どうもり」もいいけどね。
そうだ。
達生はあることに、気がついた。友達に、さんをつけるのは、恥ずかしいような気がする。今までは、友達ではなかったので、さんをつけていたが、もう友達になってしまったとなると
ちょっと2人で話してみようかな?
達生は話すタイミングを探すことにした。
「師匠と達生さん!カルピスのおかわり作りますね!」
きりえさんはグラスを持って立っている。
やっぱり、さんはおかしいかな
「あ!こまる7:3でお願い!」
よし、今言ってみよう。
「僕は8:2でお願いします。それと2人ちょっといい?」
「どうしたの?」
こまるさんは何かな?と思いながら、聞いてくる
「名前呼ぶとき、さん付じゃなくて、ちゃん付けでもいいかな?」
「なんだそんなこと。こまるは大丈夫だよ。こまるも最初から、くん付けで呼んでたし。」
「私も……そのことについて気になっていましたが……私も大丈夫です。私も達生さんのこと、くんで呼んでも大丈夫でしょうか?」
どうやら、きりえちゃんも気になっていたらしい。やっぱり、気になるよね。
「もちろん、いいよ。きりえちゃん」
普通にさん付けより、ちゃん付けの方が良い。話せて良かった。
「では、カルピス作ってきますね」
きりえちゃんは台所へ、シュタタタタと歩いていった。その時、こまるは思った。
『ぬふふふ、きりえちゃんが来るようになってからうまるの快適生活に拍車がかかりますのう』
うまるは笑ってしまった。
その表情をちらっと見ていた達生は
なんか楽しそうだな、こまるちゃん
そんなことを思っていた。
「いよし、きりえちゃん、達生くん!!もっと夏をエンジョイしていこう!!」
「はい!」
「うむ!」
まだまだ、遊びは始まったばかりだった
数十分後
チリーン
風鈴の涼やかな音が聞こえる。
夏!!
こまるちゃんは浮き輪に座りながら、サングラスをして、カルピスをストローで飲んでいる。
きりえちゃんはにこにこしながら、うちわで、ぱたぱたとこまるちゃんをあおいでいる。
僕はというと
快適すぎて涼しさで、心が安らいでいる。
達生は思った
今、外の世界を生きている人達は何をしているのだろう?
今日の気温は35℃を超えるとニュースで見ました。
この家にいる者は、今、涼しい部屋で、快適ライフを送っています。
すると、ZZZzz
音のする方向に、二人とも向くと、そこにはこまるちゃんがすんやり眠っていた。
「……あれ?師匠」
きりえちゃんがこまるちゃんに近づくと
「ウフフ……快適で寝ちゃったんだ.…」
ニコニコしながら、きりえちゃんは言った。
「そうみたいだね……」
こまるちゃん。寝ちゃったのか。まぁ、こんな快適の中だと、眠くなるのも当然かな?僕も眠いって言ったら眠いし。
「サングラスつけたままですよ」
きりえちゃんはサングラスを取ると、こまるちゃんはむにゃむにゃ、言っている。
寝顔がカワイイ。
「ぬおおおおおーーッ!!カワイイーーッ!!」
うむ、カワイイな。同意見だよ。きりえちゃん。
「なにこの可愛い生き物!!たまらん!!」
『カメラでとっておきたい……!!』
「はっ!!達生くんは」
きりえちゃんは達生を見ると安心していた。
「達生くんも寝ていて良かった。今の所を見られたりでもしたら…」
達生は寝ていた。
他人から見ると寝ているように見える。だが、本人は寝ているふりをしながら、きりえちゃんの様子をうかがっていた。何故寝ているふりをしているかと言うと、何となく寝ているふりをするべきだと、思ってしまったからである。
起きるのも、面倒なので、このまま様子を見ることにした。
そして、きりえちゃんは本当の目的を思い出す。
「そうだ……携帯のカメラで」
携帯のカメラを取りに行こうとした、その時、きりえちゃんのスカートがこまるちゃんにぐいっ と引っ張られる。
「え……」
こまるはぶらーんとしながら、きりえちゃんのスカートの袖を手で掴んでいる。達生(寝ながら)ときりえちゃんは ?と思いながら、こまるちゃんを見ていた。
「……あれ?師匠……?起きてる?」
ズルズル……
スカートを引っ張りながら、顔は地面に伏せている。後ろ姿しか見えない。
その時、よじよじときりえちゃんの体にのぼってきた。
『の……のぼってきたぁあーーっ!!』
きりえちゃんは興奮している。
どうしたんだろう?達生は2人の様子を見ることにした。
「しっ師匠!?いったいどうしたんですか!?新しいアトラクションですか!?」
こまるちゃんはぶーんぶーんときりえちゃんにしがみついている。
きりえちゃんはこまるちゃんを見ると、ズギューーン、倒れてしまった。どうしたんだ?と思いながらも、そこで達生の意識は夢の中に吸い込まれていってしまった。
夏休みが入ったので、昨日の夜遅くまでゲームに熱中していたからである。
きりえは思った
『師匠の寝顔があんなに可愛いとは……』
……ああ.…………
これが.…………
幸せなんですね……
そこで、きりえの意識は途絶えた。
数時間後
3人ともぐっすりと眠っている。
そこに、タイヘイが帰ってきた。
「ただいまー」
返事がないことに、タイヘイは疑問に思いながら、クーラーがついていた部屋に入る。タイヘイは!!と思いながら、エアコンのリモコンを即取り、設定温度を見たとき、ムカッときた。
停止ボタンを押した。 ピッ 停止
数分後
「「「あっつ!!」」」
3人とも同じタイミングで起きて、同じ言葉を言った。
それに対して、タイヘイは
「おはよう……」
帰りに道、切絵は師匠の寝顔を思い出す
何度思い出しても可愛い
3人の夏休みはまだまだ始まったばかりである。