雪が降りそうな日
達生はおもちゃ屋に来ていた。
うーん……どれにしようか?
達生は店内のおもちゃを見て回る。
何故、おもちゃ屋に来ているのか?
その理由は
12月24日
この日は年が越す前の大事な行事がある日
そう。今日はクリスマス。
小学生以下の子供はサンタさんにお願いしてプレゼントをもらったり、夜に人々は外に行ってイルミネーションを見たりするイベント的な日だ。
とうの昔の自分もサンタさんにお願いしてたことを思い出す。
だが、よくよく考えればサンタがいないことに気がついたのは中学生の時
達生は昔のことを思い出し少し笑ってしまう。
高校生は冬休みに入っていて、学校がない。
だが、夏休みと違って、冬休みは短い。年が越すと、言っている間に休みが終わってしまう。
あぁ…冬休みも夏休みぐらいあればいいのに
そんなことを思っている場合ではない。今日はこまるちゃんのクリスマスプレゼントを買いに来たはずだ。
こまるちゃんは多分小学生だと思うので、クリスマスプレゼントを買ってプレゼントしようと思い、おもちゃを探していた達生。
何、買ってあげたら喜ぶかな?
こまるちゃんは多分小学生。小学生が喜びそうな物と言えば
達生はある物を見る。それはゲームだった。
いやいや、こまるちゃん女の子じゃん。女の子がゲーム欲しいなんて滅多に聞いたことないよ。
確か、俺が子供の時に欲しかったものは、ポケモンのゲームだったような。初めてDSのソフトになったポケモンのゲーム。
名前は
そうだ!!ダイヤモンド.パールだ
昔のことを思い出した達生。
いやいや、そんな事はどうでもいいよ。
ゲームコーナーを通りすぎて、ぬいぐるみコーナーに入る。
やっぱり、女の子はぬいぐるみかな?
ぬいぐるみを見ると、いろんな種類のぬいぐるみがあり、選びがいがありそうだ。
動物のぬいぐるみ、キャラクターのぬいぐるみ、人のぬいぐるみ。どれにしようか
達生はそこで立ち止まり、考えていると
一人の女の子がぬいぐるみコーナーに入ってきた。
その女の子は何と…
きりえちゃんだった。
「あ…あっ…達生くん。こんにちは」
きりえちゃんが声をかけるまで、ずっとぬいぐるみを見て考えていた達生。名前を呼ばれるまで、きりえちゃんの存在に気がつかなかった。
「うおっ!?きりえちゃん!?」
びっくりしたぁ
いきなり、挨拶をされたので、達生は驚いてしまった。
「大丈夫ですか…?」
きりえちゃんは心配してくれているようだ。
「うん。大丈夫。ちょっと考え事しててね」
「考え事?」
きりえちゃんは疑問に思っているようだ。
きりえちゃんなら話しても大丈夫か。ちょっと恥ずかしいけど
「今日クリスマスやん。それで、こまるちゃんにクリスマスプレゼントしようかなと」
達生は少し恥ずかしがりながらもきりえちゃんに話した。
すると、きりえちゃんは
「た…達生くんも!?」
きりえちゃんは少し驚いている。
うん?何で驚いているだ?
「わ…私も師匠にプレゼントを買おうと…」
きりえちゃんは顔を赤くし、恥ずかしがりながらも話してくれた。
「あっ、きりえちゃんもプレゼントを買いに来たんだ」
なるほど。きりえちゃんも考えは同じということか
「……達生くんは師匠へのプレゼント決まったんですか?」
きりえちゃんは達生に問いかける。
現状……まだ決まっていない。
「まだ…。ぬいぐるみにしようとは考えているけど」
達生は困った顔をしながら答える。
「そうなんですね。私もぬいぐるみにしようと……」
きりえちゃんもぬいぐるみをプレゼントしようとしているんだ。
………!
達生は何かひらめいた。
そうだ!きりえちゃんもぬいぐるみをプレゼントしようとしているのなら、割りかんして2人でプレゼントすれば良いのではないだろうか?
ちょっと話してみよ。
達生はきりえちゃんに話してみることにした。
「きりえちゃん。2人でこまるちゃんにプレゼントしない?」
うーん。きりえちゃんO.K.してくれるかな?
「ふ……2人で!?」
きりえちゃんは顔を赤くする。
「ごめんね。やっぱり、別々でプレゼントした方が良いよね?」
うーん。やっぱり、ダメかな?
「い……いえ。2人でも大丈夫ですよ。いや……わ…私は2人でプレゼントしたいです…」
え?これってO.K.って言うことだよね?
きりえちゃんはO.K.してくれた。
「ありがとう。じゃあどれにしよう」
達生はきりえちゃんにお礼を言って、本題の何をプレゼントするかを考える事にした。
女の子のきりえちゃんもいれば、考え方は広がるはずだ。
「そうですね……し…師匠が喜びそうな物……」
きりえちゃんも考える。
男の俺には難しいなぁ
男の俺が考える事は難しいことだった。
その時、きりえちゃんはある物を見つける。
「これなんか、どうでしょうか……」
きりえちゃんが指差したのは、タコがサンタの帽子を被ったぬいぐるみだった。商品名はタコサンタと書かれている。
うん。こういう感じのぬいぐるみ良いかも。季節感も出てるし
「うん。良いかも」
値段を見ると
2人なら普通に買えるぬいぐるみだった。高額な商品でもないため、こまるちゃんに渡しやすい。
「じゃあ、これにしましょう」
プレゼントはタコサンタに決定して、2人でプレゼントを買った。
レジでお会計をしている時
元気が良いおばあちゃん店員の方が
「おや?カップルかい。チョコレートをプレゼントしないとね」
え!?カップル……!?
達生が戸惑っていると
「い…いえ。わ…私達、か…カップルではありません」
きりえちゃんが慌てておばあちゃんに言う。
達生はレジに貼ってあった、チラシを見ると
〈 ☆クリスマスの日限定☆
カップルまたはご家族の場合
チョコレートをプレゼントします。 〉
と書かれている。
なるほど。それでか…
「おや?そうなんかい。でもサービスでプレゼント」
おばあちゃん店員が2人にチョコレートを渡した。
あはは……恥ずかし……
2人は顔を赤くしながら、チョコレートをもらった。
外を出ると、雪が降っていた。
おもちゃ屋に入った時は雪は降っていなかった。
「雪降ってるね…」
雪……うぅ……これから寒くなるな
「雪……し…しまった!!」
きりえちゃんは慌てている。
どうしたんだ?
「どうしたの?」
達生が問いかけると、きりえちゃんは
「傘持ってくるの……忘れてしまって……」
きりえちゃんは傘を持ってくるのを忘れたらしい。
えっ、マジか。それは大変だな。どうしようか
「今日渡すのやめて、明日に渡す?」
達生が問いかけると
「いえ……今日渡さないと……今日来た意味が……」
そうだよね。クリスマスに渡さないと意味がないよね
うーん。それならどうしようか
運悪く、近くには傘を売っていそうな店はない。ある傘は一つ、そうとなればあれしかないか
恥ずいなぁ……
達生は恥ずかしがりながらも聞いてみることにした。
「も…もしっ、きりえちゃんが良ければ、狭いけど…傘の中に入っても良いよ。風邪引くのもあれだし……」
うぅ……やっぱり、恥ずかし。やっぱり、聞くんじゃなかった。俺にはハードル高すぎ
達生は聞いたことを後悔した。
きりえちゃんの反応は
「達生くんが良ければ…す……すみませんが入れて欲しいです……」
きりえちゃんは顔を赤くしながら、言った。
え!?入るの!?最終手段だったんだけど
「まぁ、風邪引くぐらいなら……入っても良いよ」
達生は照れながらも言う。
「ありがとうございます」
きりえちゃんは顔が赤いままお礼をする。
うぅ……女の子を傘の中に入れるなんて、どこの青春ドラマの世界だよ!
傘をさして、狭いけど2人で歩く
きりえちゃんとの距離はもう1メートルもない
ドクン、ドクン、ドクン
心臓が飛び出そうだ
女の子にこんなことをするのは、達生にとって、初めてだった。
2人とも、恥ずかしく、無言のまま。こまるちゃんの家に向かった。
うぅ……気まずい
こまるちゃんの家が見える所まで歩くと
前方から眼鏡をかけたサンタ衣装の大人が歩いてきた。
その人はタイヘイさんだった。
タイヘイさんにこんなこと見られたらまずい…
そう思った時には遅く、タイヘイさんに見られていた。
「……あっ……きりえちゃん。達生くん。どうしたの?」
タイヘイさんは傘の中に2人いることに驚いているようだ。
「え……えーと……この状況はけして恋人とかではなく…」
達生はタイヘイさんに説明する。
「そ……そうなんです。わ…私が傘を忘れて…」
きりえちゃんも自分なりに説明している。
「いや、まだ「どうしたの?」しか聞いてないけど」
タイヘイさんはあははと笑っている
あっ、焦っていた。
達生ときりえちゃんは照れている。
「あっ、今日はこまるちゃんにクリスマスプレゼントしようと」
達生はタイヘイさんの問いにやっと答える。
「こまるにプレゼント?ありがとう2人とも。こまる喜ぶよ」
タイヘイさんはお礼を言う。
「じゃあ。外も寒いし、早く家に行こうか」
外は寒い。早く家に入りたい。何よりも、きりえちゃんが傘の中に入っていることが恥ずかしい
タイヘイさんと一緒にこまるちゃんの家に向かった。
アパートにつくと
雪がついた傘をバタバタして、雪を落とした。
それから、2階に上がり、こまるちゃんの家の前に立つ。
タイヘイさんがインターホンを鳴らす。
ピンポーン
扉を開くと
そこにはトナカイコスプレのこまるちゃんがいた。
「お兄ちゃん!!きりえちゃん!!達生くん!!」
こまるは3人が来てくれたことが嬉しいようだ。
「あれ?約束したんじゃないのか?さっきそこで会ったんだけど」
タイヘイはこまるに聞く。
し…しまった。約束してなかった。
「ああの…いやぁ…」
きりえちゃんが何とか話そうとしている。プレゼントはきりえちゃんが渡すことになっている。
「達生くんと一緒に、し…師匠にプレゼントを買ってきたので……」
きりえちゃんは袋に入った。タコサンタを見せる。
「 ! 」
「こまるちゃん。2人からのクリスマスプレゼントだよ」
達生はこまるちゃんに言う。
喜んでくれるかな?
こまるちゃんは袋を開ける。そこには、タコサンタがある。
「タコサンタ。ありがとう。こまる大事にする」
こまるちゃんは笑顔でお礼を言った。
良かった。喜んでくれて。
きりえちゃんを見ると、きりえちゃんも嬉しそうにしてた。
「た…タイヘイさんはなんでサンタの衣装なんですか?」
タイヘイさんに会った時から思っていた、疑問を聞いてみる。
「いや…同僚と買いに行ったんだけど、どうせだから着て帰れって」
タイヘイさんは戸惑いながら答える。
「そうなんですね。似合ってますよ」
達生は微笑みながら言う。
本当のサンタみたい
「あっ!!し…師匠。今日トナカイなんですね!!」
本当だ。こまるちゃん、トナカイ衣装だ。こまるちゃんも似合っている。
「あ……本当だ。こまるちゃんも似合っているよ」
達生はこまるちゃんに言うと、
「ぬへへ。そうだよ!」
こまるちゃんは笑顔で言ってくれた。
「2人とも、家でくつろいでいってよ」
タイヘイさんは2人に言う。
外はまだ雪が降っていて、寒い。
雪が止むまで家にいようかな
「じゃあ。お邪魔しますね」
「わ……私も……お邪魔します。」
2人とも、こまるの家でくつろぐことにした。
くつろいでから、数時間後
外は暗くなっており、雪も止んでいた。
「そろそろ帰りますね」
「…私もそろそろ」
2人とも帰ることにした。
「また…いつでも来てね」
タイヘイさんは2人に言う。
「ばいばい。きりえちゃん。達生くん」
こまるちゃんは挨拶をする。
挨拶を返して、外に出る。
辺りは真っ暗
冬になると、こんなにも真っ暗になるんだ。
「き…今日は傘ありがとうございました」
きりえちゃんはお礼を言う。
「ううん。こちらこそ…プレゼント選びありがとう」
こっちもプレゼント選びでお世話になったし
お互いに助け合いができて良かった。
2人はお別れをして、達生は寒かったので、走って家に帰ったのだった。