ある日の夜
今日は祖母が近くの老人会の人と外食をするため、家には達生一人しかいない。どこかで食べるようにとお金をもらっている。しかも3000円ほど貰っている。何故、ただの一食のためにそれほどもらったかと言うと
たまには良いもの食ってき
と言われたからである。ここ2年ほど豪華な物は食っていない。タイヘイさんの料理を食べることが多かったような気もする。
良いもの食ってこいって言われてもな…
今日いきなり、3000円を渡されてもどこで外食をすればいいのか、わからない。しかも…一人
ファミレス…?いやいや、一人じゃなかなかきつい。
寿司屋?今は魚を食いたい気分ではない。
コンビニ弁当?3000円ももらったのに?
寝る…?何でその発想にいった!?
悩んでもいっこうに決まらない。考えても考えても…
考えている内にこの前のことを思い出した。
1週間前のことだろうか…
部活が忙しくてゲームセンターに行けてなかったため、久しぶりにゲームセンターに行った時
ゲームセンターの近くに新しい焼肉屋さんが出来ていた。
しかも、看板には『安くて!美味しい!』と書かれていた。
焼肉…この頃?いや、ずいぶん食っていないな
焼肉…脂ののった肉をご飯と一緒に…
ペロリ
うーん!!絶対に美味しい。
よしっ決めた。今夜は焼肉にしよう。
そうして、ゲームセンターの近くの焼肉屋に向かった。
夜の7時頃
チャリをこいで、焼肉屋についた。まだ店が明るいところからまだ営業はしているようだ。チャリを止めて焼肉屋に入ろうとする。
一人焼肉…なかなか緊張する。
まず、一人で外食をすることすら、初めてだった。
しかも、前に焼肉屋に来たのはいつだろうか…
そんなことを悩みながら、店の入り口の前に立っていると
「すす…すみません。そこを通してもらえませ…」
「あっ…すすみません。」
いきなり、後ろから声をかけられたので、びっくりしてしまった。達生は素早く入り口の前からどいた。普通に店の入り口の前に立っていたら、他の人の迷惑だ。入るなら入る、入らないなら道を開ける。
もはや、俺は社会のルールを破ったに違いない。
いや、それは考えすぎか
恥ずかしくなり、その場を立ち去ろうとした時
「ああれっ?ももしかして、達生くん?」
うんっ?この声は…
「海老名ちゃん?」
店の前にいたのは、海老名ちゃんだった。何で海老名ちゃんに気がつかなったのだろうか。それは多分、店に入る緊張感といきなり、声をかけられたことの2つにより、海老名ちゃんと認識することはできなかったようだ。
「どうして、ここに?」
「えっ!どうしてって……たまには焼肉も良いかな…って」
「そ…そうなんだ。私も同じで…」
海老名ちゃんも焼肉を…
海老名ちゃんは俺みたいな訳あり一人焼肉ではなく、本当の一人焼肉をやりに来たのだろうか?
「もし、良かったら…一緒に…」
達生はもじもじしながらボソボソ言った。何か言うのがめっちゃ恥ずかしい。女の子にご飯を誘うのはこんなにハードルが高いのか…
達生はあまり、焼肉の焼き方などは知らない。この際、海老名ちゃんに焼肉について、教えてもらおうかなと思って誘ってみた。一人焼肉をやりに来たぐらいのレベルだから、焼肉についてはマスターしているはずだ。
だが、一番の誘った理由は一人で焼肉をすることが嫌だった。出来れば、一人よりも二人の方がいい。
「あっ…うん。一人よりも二人の方が食事は楽しいし…私も同じことを考えいたの…」
海老名ちゃんはO.K.を出してくれた。しかも、海老名ちゃんも同じことを考えていたらしい。
よかった…一緒に食事が出来て
もし、断られたら、俺は一体どうなっていただろうか
「じゃあ、師匠…今日はよろしくお願いします」
「そそんなっ…し師匠だなんて…」
そんなことを言いながら、二人で焼肉屋に入った。
店の中に入り、空いている座席に座る。この店は他の飲食店と違って、一つ一つの部屋に簾をしており、他の人に見られることはなく、食事ができるようになっている。いわばカラオケのような飲食店?的な感じだろうか
店員さんが水と焼肉のタレを入れる皿を持ってきて、テーブルに置き、下のガスのネジをいじって、部屋を出た。
こう言う時…何を頼めば良いのだろうか?
達生はお品書きを見る。
ハラミセット タンセット カルビセット
いろんな良く耳に聞く肉の名前が書かれている。
ここ最近肉を食べてはいない。出来れば、いろんな肉を食べたいのだが…
いろんな肉を詰め合わせた、正肉コースと書かれているメニューがあったが、結構なお金の高さだった。しかも、2人用と書かれていた。
これは…流石にきついな
そんなことを思っていながら、お品書きをめくっていると
まとめてセット
というメニューを見つけた。メニューの横には
『いろんなお肉を食べたい人のためのメニュー。カルビ、ハラミ、タン、有名なお肉を詰め合わせたセット』
それって…今の俺じゃん…!?
うん。これにしよう。即決した。
「海老名ちゃん。決まった?」
「うん。どれにしようか悩んだけど決まったよ」
そんな話をしていると、肉を焼く網の下に火がついた。
昔の頃は火がついただけで嬉しかったけ…
店員さんに注文をする。海老名ちゃんのメニューは正肉コースだったことにはめっちゃ驚いたけど…
肉が来るのをまだかな?まだかな?と待っている時に、達生はあることを思い出した。
海老名ちゃんに一つ聞きたいことがあったんだった。
2人の夜の焼肉が始まった。