某月某日
とある事から、PCゲームを始める。
大きめのゴーグルの中にディスプレイを搭載、
頭から被り、USB接続し、
自分の向いている方向へ視界が移動、
約270度範囲を自分で見渡せる
手元にはUSBコントローラーで
攻撃、アイテム使用、錬成など、
RPGではありきたりの操作が可能
しかし、
サービスは長く続かず、
僅か半年で終了する事となった。
主人公は、
ログインしたまま
“寝落ち”
サービスが終了していた・・・筈だった。
やべ・・・寝落ち・・・え?
「時間・・・あれ?
ディスプレイ・・・?
え゛っ!?」
ゴーグルが無いっ!?
「嘘だろ・・・。」
兎に角装備品を確認する
「ノーマルプレート一式は、
着てる
バスターソードもある、
カイトシールドも、
げ・・・。」
本当にそれだけしかなかった。
「食料品やら、
回復アイテムやら、
追加スキルの回復魔法やら、
何にもない・・・。」
あの辺のアニメだと、
頭で浮かべたり、
コンソールはそのままだったりするけど。
「非常に不味い。」
第一に食料確保と、拠点確保か・・・
「太陽は?ぁ~。」
そこは設定のまんまなんだな、
“二つある”
「運が良いのか悪いのか、
街道っぽいのが見えるし。」
定番だと、誰かが襲われてたり、
な~んて・・・ないよな?
正直、戦える自信ないよ?
精々の分隊長程度レベルしかなかったし。
「っても、指示はコマンドだし、
ちゃんと指示出しなんてした事ないし・・・。」
ぶつくさ言いながら街道へ歩く。
「街灯は無し、か。」
往来があるのか、
そこだけ雑草が生えてなく、
足跡も様々確認できた。
「足先が向いてるのは?」
ごちゃごちゃしていたが、
かなりの数が。
「あっちか。」
見える範囲、緑の丘だらけ。
「確か、ゲームのままなら、
近い範囲で戦争中だったよう気が・・・。」
こんな格好でいったら、
敵と間違われて、
そこでアウトーだよな。
「なら、逆はぁ・・・。」
見なきゃよかったな。
いろんな馬車やら、
そこら辺の枝かなんかだろう、
杖がわりに歩って来る・・・。
一旦、雑木林へ隠れる。
「うぇ~・・・。」
雰囲気からしても、
敗残兵と敗戦国的な雰囲気ばりばり、
これは不味い。
「パターンで考えると、
あれだよなぁ~。」
戦勝国が追撃隊を出しているだろう、
このまま見逃して、
後から来る戦勝国の追撃隊に。
「無理~。」
言葉も通じるかわからんし、
誰も喋ってないし・・・。
「どうすべ?」
真面目にどうしよう・・・。
▽
見つかりました
そりゃぁ・・・見つかるよなぁ・・・。
「えっと・・・、とりあえず、
言葉通じてますか?」
『・・・貴様、何者だ?』
「よかったぁ~、言葉は通じる、
俺は・・・。」
あ、どうしよ・・・。
『見た事がない装備だな、
皇国軍ではないし、帝国軍でもない、
どこの装備だ?』
「え?ぁ~・・・、
試作型なようなもんです。」
『試作型?』
「はい、一応、
鍛冶屋をやってたんですけど、
いろいろ野盗やら、
どこかの軍だかに襲われて、
逃げてきた次第で・・・。」
通るかな?
『そうか、済まなかった、
我々はエフェメール国、
小さな海岸に位置する小さな国だ、
とは言え、今はただの敗残国、
僅かな軍勢と、
避難できた市民達を連れて、
内陸の交流国、
ムスクス公益国に向かっている道中だ、
どうだ?君も一緒に来るかい?』
「・・・そうですね、
なにせ、路銀、食料などなど、
みんな失いまして、
この装備だけが、俺の所持品です、
俺の名前は『言わない方が良い。』え?」
『今は、特に言わない方が良い、
みな、
“誰かのせいにしたくて”
たまらないのだ。』
「これだけ静かなのは、
その名前の持ち主に
“全てを擦り付けたい”ですね。」
『そうだ、
無事、ムスクス公益国に着いたら、
その時に聞かせてもらうよ。』
「わかりました、
微力ながら、随伴、
市民の護衛に参加します。」
『護衛・・・ふっ、
久しぶりに聞いたな護衛なんて。』
「隊長・・・さん?」
『ん?あぁ、私の事か、隊長で構わない、
どうした?』
「いえ、エフェメール国から、
どれだけのペースで、
ここに着いたのかな、と。」
『そうだな、
市民の休息も兼ねて、
10日は経っているな、
それが?』
「襲って来たのは、皇国軍?帝国軍?」
『帝国だ、宣戦布告も無く、
完全に奇襲され、逃げ堕ちて・・・。』
「彼らの進軍速度は、
この市民の何倍ですかっ!?
急がないと!!」
『どうした?どう言う事なのだ?』
「追撃が必ず来ます!
兎に角、市民を走らせ、
軍馬に荷物を持たせ、
機動力を確保してください!!」
『わ・・・わかった、
伝令!!伝令!!』
『はっ!!』
『急ぎ、軍馬を集め、
市民の重量物を運ばせろ!!
市民は走らせ、
ムスクス公益国へ急ぐんだ!!
残存兵に伝えろ!!
殿を勤め、帝国軍を迎え撃つぞ!!』
『軍馬をですかっ!?』
『そうだ!!
なりふり構っている場合ではない!!
急ぐんだ!!』
『りょっ!?了解!!』
「どうなる事やら。」
まぁ、気分と、気力と、
ここ、ハーメルンさんの、
許容範囲に収まる事を、
祈ってくれよ。
「ちょ、ひでぇな。」