『ふん、
なんで我(われ)が
追撃なんぞやらねばならんのだ?』
「それは、
貴方が余計な戦場を拡張、
皇国軍、
クレースト軍、クラースヌイ軍、
この三つ巴状態での
余計な戦場拡大は、
“大飢饉を抱える我が国”では
御法度だと、閣下から、
厳命されてますよね?」
『わかっておる、が、
奴らの港は
小さいとは言え、豊富な漁場がある、
関税はふっかけられ、
莫大な金銭が行き交う、
ならば、
金銭的な負担を減らせると思い、
エフェメール国を墜とし、
我が領地とし、
少しでも食料を本国へ送れると、
そう思っての進撃なのだ。』
「ですが、
大半の船を破壊され、
漁業を再開するにも、
運搬する為の資材も、
全く足りていません、
エフェメール国の市民は大半が老人、
若者達はムスクス公益国へ避難、
労働力を確保する上で、
追撃、若者を捉えよ、と、
閣下から
直命を受けたのではないですか?」
『ぬぅ、わかっておる、
しかし、なんだ?
奴らは戦の基本を知らぬのか?』
「さぁ?エフェメール軍はここ最近、
大きな戦争に参加していませんし、
元々が小国、
恐るるに足りませんでしょう、
ましてや敗走を続けている以上、
精神的に、体力的に疲れている筈です、
“正面から突破”できましょうぞ。」
『おぅ!我らの王道、真骨頂!!
中央突破こそが我ら帝国軍の花道だ!!
全軍突撃じゃ!!』
「御意!!」
▽
『配置の状況はっ!?』
『もうまもなくっ!!』
「まさか、
10人で街道が封鎖出来るなんて、
その分、
丘側に重装甲兵を配置でき、
丘を下ってくるであろう、
強襲部隊にある程度対処出来ます。」
『そうなのか?
しかし、向こうは乗ってくるかな?』
「来なきゃ困ります、
両方から挟撃されたら、
“全滅”するしかないですからね。」
『ぷっ!随分軽く言うね!!
あははははははっ!?』
「それじゃぁ、
手、握ってもらえますか?」
『ん?構わんぞ?』
『すまない。』
「いえ、でも、
弓を射るぐらいには力はあります、
“下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる”
とある書物に書かれていた言葉です。」
『てっぽう?まぁ、
数撃てば当たるはわかるな、
1本2本ならともかく、
100、200は盾と魔法ぐらいしか
防ぎようがないからなぁ、
逃げたいなら、構わんぞ?』
「ここに居る時点で、
“退路なんてない”
背水の陣って奴ですよ。」
『確かに、後ろは水ではないが、
逃げ惑う市民がいる、
逃げるわけにはいかんな。』
「だから、逃げません、
てか、逃げてもお腹が空いて、
行き倒れしますよww」
『あはははははっ!?
ひぃ~ははははっ!?
行き倒れっ!?あはははっ!?
行き倒れか!!あはははははっ!?』
「流石に傷つきます。」
『いやいやいや、失敬失敬、
くくくく・・・、
んっ!んっ!!
だが、少しばかり、
緊張も解けた、礼を言う。』
「へ?」
『なにせ、私も、
“初陣のようなもんだ”
気にするなっ!!』
「胃が痛い。」
『ん?』
「いえ・・・来ます、
地響きがこんなに通るなんて、
実戦にでて初めてわかる空気ですね。」
『同感だ、
だが、生き延びるのだろう?』
「もちろん、何も知らずに
死にたくはありませんから。」
▽
敵襲~っ!!
帝国軍だ!!突っ込んで来るぞ~っ!!
「よし、
有志隊!!金属片をばら撒け!!
騎馬隊を足止めだ!!」
『旗をあげよ!!始まるぞ!!』
おぉおおおおおおっ!!
▽
『続け~っ!!』
「ゲイト隊長!!尾根の方で何かが!!」
『構わん!!突っ込め~っ!!』
おぉおおおおおっ!!!
▽
『帝国軍、進撃速度緩めません!!
突っ込んできます!!』
『よしっ!
このまま「駄目ですっ!!」
今度はなんだっ!?』
「有志隊へ命令!!
尾根へ上り、挟撃を阻止せよ!!」
『なにっ!?今しがた、
突っ込んでくると、
お前が言ったばかりだぞ!!』
「いいですから早くっ!!
有志隊は尾根を死守!!
騎馬隊は全速力で帝国背後へ回れ!!
魔術師を潰し!!そのまま反転っ!!
帝国軍を挟撃!!中央突破しつつ、
本体と合流!!
ここまで生き延びたんだ!!
根性見せろ!!解体した戦車を糧に!!
防壁を崩すな!!重装甲兵!!
耐えろ!!来るぞぉおっ!!」
『!?』
▽
『あんな防壁!!蹴散らっ!?』
突如として馬が悲鳴を上げる。
「ゲイト隊長!!辺り一面に金属片がっ!?」
『なにぃっ!?』
しまったっ!?これでは馬が進撃できんっ!?
『総員馬を降りて進撃せよ!!』
▽
『騎馬隊から次々と降りてきます!!』
「弓兵!!今だ!!放てぇえっ!!」
▽
「なっ!?」
『盾を上に構えよっ!!来るぞぉっ!!』
▽
『尾根より伝令!!強襲隊と交戦!!
死守に全力を注ぐ!!です!!』
『なんだとっ!?』
「投石隊はまだ戻ってこないのかっ!?」
『早馬はまだかっ!?』
『伝令!!投石隊帰投!!
尾根の有志隊と合流!!
死守するそうですっ!!』
「順調過ぎるっ!?
重装甲兵!!後退!!
より狭い街道で帝国を迎撃する!!」
『下がるだとっ!?なぜだっ!?』
「いいですかっ!!
確実!!絶対は!!
戦場に当てはまらない!!
それすらもわからないんですかっ!?」
『ならば!!
なにを心配しておるっ!!』
「疲労です!!
ここまでの行軍で補給もなく、
精神も休められない!!
長時間の迎撃戦は危険なんです!!
だからこそ!!
交代で重装甲兵を回し、
歩兵は2対1を厳命!!
決して、
“一騎打ち”を
考えないでください!!」
『ぐっ!?しかし、
向こうがそれを「駄目です!!」』
「言いましたよね!!
卑怯のへったくれもない!!
勝たなければ!!
生き残れない!!そして!!
追撃を諦めさせる事が!!
この戦闘での第一です!!
それが嫌なら、
“一人で討ち死にしてください!!”」
『貴様っ!?』
「全兵士へ伝令!!
歩兵は2対1!!
重装甲兵は3回耐えたら前後交代!!
5歩ずつ下がれ!!
弓兵は重装甲兵の前に矢を集中!!
帝国兵の死体で街道を埋め!
進軍を遅れさせよ!!
尾根の有志隊!投石隊の状況知らせ!!
早馬!!騎馬隊の誰かでも構わん!!
常に状況を変化させ!!
帝国の判断を狂わせろ!!
急げぇえええっ!!」
▽
『ぬぅううっ!!
なんたる屈辱!!』
「隊長!!尾根からの救援要請です!!」
『なにぃっ!?』
「ゲイト殿、
これは、不味いですよ。」
『うぬぬぬぬ。』
「緊急伝!!
後方にエフェメール軍が!!」
『なっ!?』
▽
『敵襲~っ!!』
「蹴散らせっ!!狙いは魔術師のみ!!
駆け抜けよっ!!」
『不味いぞっ!?
伝令はいないのかっ!?
魔術師が狙われてるぞ!!』
「邪魔する奴は貫け!!蹴散らせ!!
切り伏せろ!!
エフェメール軍の意地を見せるのだ!!」
▽
『伝令!!
奇襲成功!!後方は大混乱です!!』
『よし!!』
「甘い!!魔術師の殲滅!!
それが終わるまでは帰ってくるな!!
尾根の情報はどうした!!」
『正気かっ!?』
『は!!
尾根は投石隊、有志隊の死力に付き、
押し返しつつあり!!
まもなく!
再占拠可能と報告があります!!』
「ならば、
歩兵30ずつを尾根へ派遣!!
街道内にいる帝国兵へ
“尾根を駆け下り、
挟撃を仕掛けよ!!”
重装甲兵は、
デルタ形態から、
凹(おう)形態へ!!
歩兵援軍!有志隊!
投石隊の三隊にて
挟撃を仕掛けよ!!」
『はっ!!
タイミングはいかがなさいますか!!』
「火矢はあるか!!」
『ここに!!』
「歩兵!!一気に尾根を再占拠!!
それと同時に
尾根を駆け下り帝国を挟撃!!
退路を断て!!
狭い街道なら、戦えるだろう!!
存分に戦え!!帝国の機動力は
“動けるから有効なのだ!!”
動けない敵はただの的だ!!
怒り狂え!!ただただ!!
目の前の敵を切り伏せるのだ!!」
あぁあああああああっ!!
『なんなんだコイツは!?
本当に!?何者なんだっ!?』