二人の少女は川沿いで男達とにらみ合っていた。一人は男たちを睨み、もう一人の少女は怯えるように少女の後ろにいた。
「孤児のくせに調子乗ってんじゃねぇぞ!」
男は少女の胸ぐらをつかみ、一撃の蹴りを入れた。少女は痛みに耐えるように歯を食いしばり、さらに蹴った男を睨みつけた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
怯えていた少女は小さな声で男達へと謝った。しかし、睨んでいた少女は睨みを強め、
「ワシらは帰らねばならんのじゃ。早くどかんか!!」
胸ぐらをつかまれた少女は、その体勢から顔面へと強烈なアッパーを決めた。男はのけぞり倒れこんだ。
「テメェこの野郎!!」
周囲にいた男たちは少女たちへと殴り掛かった。睨んでいた少女は怯える少女を守るように必死に攻撃を受けた。それしか出来なかった。
「フーちゃん・・・。」
「大丈夫じゃ・・・お前はワシが守る。」
少女たちが倒れそうになったその時だった。
「おーい、子供虐めてんじゃねぇよ。情けない。
「誰だテメェ・・・。」
男たちは声の方向に首を向けた。そこにいたのは一人の少年だった。少年は少女と男の間に立ち、男を一撃、蹴りで吹き飛ばした。吹き飛ばされた男をかばうように周囲の男たちは後ろへと退き、逃げていった。
「ったく、ケンカすんなって言ったろ?」
少女の頭にげんこつが落ちた。少女は痛そうにして自分の頭を撫でた。
「待って!フーちゃんは・・・」
怯えていた少女が話そうとしたとき、少女は話さなくていい。と言わんばかりに少し大きな声を出した。
「仕方ないじゃろ!喧嘩を撃ったのは向こうじゃ。」
はいはい。と少年は少女二人と手をつないだ。少女二人は、少ししょげたように下を向いた。
「でも、リンネを守ってあげてたのは分かる。ありがとな。フーカ。」
「礼なんか良い。今日の晩飯は何じゃ?リョウヘイ。」
リョウヘイは分からない。と顔を見せた。フーカとリンネはそれを見てクスッと笑っていた。これももう、フーカたちにとっては何年も前の懐かしい記憶である。
ミッドチルダ中部にある「ナカジマジム」。ここでフーカ・レヴェントンはアルバイトをしている。
「襲撃事件・・・か。」
フーカは新聞を読みながら、不安そうに声を漏らした。ミッドチルダ内での格闘協議会「DSAA」の15歳未満、U-15のワールドランク2位の彼女にしてみれば不安しかないのも無理もない。
「狙われてるのは全員競技選手だしのぉ・・・」
「フーカ。」
はい。とフーカはバックヤードから走っていった。そこにいたのは自分の師でもあるアインハルト・ストラトスと会長のノーヴェ・ナカジマだった。アインハルトは腕に傷を負ったのか、腕には布がまかれていた。
「ハルさん!!」
フーカはすぐに気づき、アインハルトへと駆け寄った。
「不覚を取りました・・・。」
アインハルトは傷を見つめ言った。ノーヴェは少し気難しそうにフーカを見た。
「アインハルトさえもこうだ。フーカ、気を付けろ。」
「押忍。」
フーカはアインハルトを見つめた。元チャンピオンであるアインハルトすら凌駕する敵、それに姿は人の者ではないという。不安な表情を浮かべるフーカにノーヴェは肩を優しくたたいた。
「大丈夫だ。今は警察の人も動いてくれてる。」
「ですよね。会長。」
フーカが安堵の息を置いたその時、一人の男がジムへと入ってきた。男はスーツを着て、ノーヴェへと近寄った。
「ノーヴェ・ナカジマさんでよろしいですか。」
男の言葉にノーヴェは戸惑いながら頷いた。
「私はミッドチルダ警察の泊進ノ介と申します。少しお話があるのですが。」
「分かりました。」
ノーヴェは進ノ介をこちらへ。というように手を伸ばした。フーカはその後姿を見つめていた。
「フーカ・・・気を付けてください。」
アインハルトはゆっくりと立ち上がり、フーカを見た。
「ハルさんがやられるほどの敵って・・・。」
アインハルトはうなずいた。
「あの力は確実にミッドにないものです。」
フーカは耳を疑った。
「ミッドの力でないとなると・・・?」
アインハルトは傷を見た。痛みが伝わるほどのものだった。
「何がどうなっとるんじゃ・・・。」
フーカは天井を見つめた。何が何なのやら・・・。
進ノ介はノーヴェの会長室でノーヴェから話を聞いていた。
「なるほど。あなたの生徒さんが昨日襲われた・・・と。」
ノーヴェは首を縦に振り、話を始めた。
「彼女の話を聞くと、妙なんですよ。」
「妙?」
「アインハルトの話を聞くと、襲われたのは昆虫のような複眼に角が生えていたって言うんです。」
進ノ介はハッとしたような表情を浮かべて、ノーヴェはそれを察するように話をつづけた。
「そうなんです。彼女が見たのは恐らく[仮面ライダー]だと思うんです。」
進ノ介は渋い表情を浮かべた。その証拠もないため何とも言えないのだ。
「そりゃ、そうじゃないのが一番いいんですけど・・・。」
ノーヴェは少し下を向いた。進ノ介は横に首を振った。
「俺たちはそんなことしないです。」
「俺・・・たち?」
進ノ介は少し冷静になって焦るように頭を押さえた。ノーヴェは必死にカバーすしようと近づいたその時だった。
「会長!!」
入ってきたのはフーカだった。ノーヴェと進ノ介は驚いて、同時にフーカの方を向いた。
「フーカ。ノックぐらいしろって・・・」
「それどころじゃないんです!リンネが・・・。」
進ノ介とノーヴェが一斉に立ち上がった。そしてフーカを連れて急いで外へと行くのだった。
ユミナ「始まりましたね。」
作者「始まったね。」
ユミナ「今回はバトル描写すらなくて驚きです。」
作者「そりゃ書かないこともありますよえぇ。」
ユミナ「次からはバトル展開ありますよね!ねっ!」
作者「いやいやいや怖い怖い怖い!!!」