荒れた荒野でノーヴェとユートピア・ドーパントは激しい格闘戦を繰り広げていた。
「コイツ・・・!!」
ノーヴェはエアライナーを使って右へ左へと動き回り何発もの打撃を放つ。ユートピアは自らの杖を振るう。
「無駄です・・・。」
ユートピアの振るった杖の前にノーヴェの攻撃はダメージどころか攻撃さえ届かない。何発も放つも、その結果は同じであった。
「だったら何発でも放つまでだ!!」
「・・・愚かです。」
「っ!!?」
ノーヴェの攻撃を杖で受け止めたかと思うと、彼女の周囲には雷撃が走り、指を鳴らした合図とともにノーヴェへと襲い掛かった。
「っあああああああああ!!」
「あなたも・・・私の理想を否定するのですね。」
雷撃を食らうノーヴェに近づき、手を近づけたその瞬間だった。
「やっと・・・、この距離に入った。」
「なっ!!?」
ユートピアの反応はノーヴェに追いつかず、拳に雷を込めた「スタンナックル」をユートピアへと直撃させた。
「くっ・・・!!」
ノーヴェはジェットエッジのローラーでそのまま体を翻した。彼が使っていた杖は地面へと落とされていた。
「これでダメージが通るな!!」
「・・・私、残念です。」
ノーヴェはそのままジェットエッジで加速するも、ユートピアはそこから動こうとしなかった。そのまま加速していく。
「貰っ・・・!!?」
ユートピアの前で体が重くなり、何も動かない。無理に拳を前に出そうにも動いてくれないのだ。
「重力操作・・・!?」
ノーヴェの問いに答えることなくユートピアはノーヴェの顔面を掴み、そのまま持ち上げた。
「あなたも・・・希望を捨てさせます。」
「なに・・・を?」
ユートピアはノーヴェから吸い上げるようにエネルギーを自分へと回していく。そのエネルギーがユートピアへと流れていくのがノーヴェにも見えた。
「心が・・・消えて・・・」
ユートピアは生気を失っていくノーヴェへとその冷淡な声で告げる。
「あなたの生命エネルギー、「希望」をいただきます。」
その時だった。一撃の銃弾がユートピアへと直撃した。ユートピアはそれに反応するようにノーヴェを投げ捨てた。
「誰ですか?」
そこに立っていたのは一人の少年だった。少年はそれに答えることなく、腰にベルトを装填した。
「ガンバライダー・・・、私たちと同じ贋作物ですか。」
「あぁ・・・、「選ばれた人間」ということを除いてな。」
[GANBASYSTEMALLCLEAN]
その音とともにベルトへとICカードを差し込んだ。
「変身。」
[GANBASYSTEM ON!]
少年の体は炎に包まれ、消えた時にはガンバライダーへと姿を変えていた。
「俺はガンバライダーデュアル。選ばれしガンバライダーだ!」
ーーここはどこだろうーー
ノーヴェが目を開けた先は真っ暗な世界だった。そこに希望も絶望も見えない。
「私は一体・・・?」
目の前に見えるのはこれまで起こった出来事の数々だった。
「そうだ。私は・・・。」
走馬灯のように蘇っていく。ジェイル・スカリエッティと共にミッドチルダへのテロを仕掛けて絶望に陥れたこと、そしてその後を受け入れてくれた人たちのこと。
「でも、もう立てなさそうだな・・・。」
目の前の景色にはヴィヴィオやアインハルトをはじめとした門下生たち、そして自らの姉であるスバルやギンガ、そして他の姉や妹たちの姿が目を通り過ぎていく。
「ごめん・・・皆。私はここまでみたいだ。」
ノーヴェは倒れ込み目を瞑った。諦めきれない気持ちがどんどん消えていく。まるで心が消えていく感覚がした。そこに男の声が聞こえた。
「本当にそれでいいのか?」
「あんたらは・・・?」
彼女の目の前に現れたのは二人の男だった。片割れのゆるい服装とは違い、問いを投げた男は正装にハット帽を被っていた。
「一つの町のしがない探偵さ。」
「もう一度問う。お前はそれでいいのか?」
ノーヴェは諦めてような息を漏らした。
「もう立てないんだ。希望さえ見えない。」
ハット帽を被った男はノーヴェへと近づき話を始めた。
「俺にはわかる。お前はまだ立とうとしてる。この世界の皆を救いたいって感じるんだよ。その気持ちから逃げんじゃねぇ!」
ノーヴェは男の声に後ずさりした。そして何故か自然と足が動いた。
「君はJ.S事件から自分の罪を数えた。ならばやることは一つだろう?」
ノーヴェは小さく頷いた。
「ジェットエッジ。」
[Stand by.]
ノーヴェはもう一度武装形態になり目の前を向いた。
「ありがとう。私は前に進むよ。」
二人は頷いて、彼女の肩を叩いた。
「忘れんな。お前は絶対一人じゃねぇ。」
「必ず君へ追い風を送る誰かがいることを。」
ノーヴェは通り過ぎ様にジェットエッジを走らせ、風の中を駆け抜けていった。
デュアルとユートピアは激しい攻防を繰り広げていた。
[ゼンリン!フルスロットル!!]
「これでどうだ。」
幾多もの銃撃をユートピアは弾き返し、彼もまた目にも留まらぬスピードで走り出した。
「だったら・・・!!」
[アクセルベント]
デュアルもそれに対抗するように加速を始め、同じスピードで走り出した。
「あなたもまた邪魔するのですね・・・。」
それに無言で返すように仮面ライダーマッハの武器である「ゼンリンシューター」でユートピアの腹を突いた。
「当然だ。それが選ばれた者の役目だからな。」
吹き飛ばされたユートピアはノーヴェの頭を持ち上げ、デュアルへと向けた。
「この人、殺しますよ。」
「おい、いつまで寝てるつもりだ!!」
デュアルは怒りまじりに声を荒げた。その声に反応するようにノーヴェの手足が動いた。
「なっ・・・!!?」
「リボルバーブレイク。」
ノーヴェは片足に電撃を溜め、リボルバーブレイクをユートピアの腹へと撃ち込んだ。喰らったユートピアはそのまま倒れ込み、ゆっくりと立ち上がった。
「馬鹿な・・・。こんなことが・・・!!」
ノーヴェはすぐさまエアライナーを展開し、デュアルを乗せた。
「助かったよ。あんたが助けてなけりゃ絶望に落ちてた。」
「仕事の一環だ。勘違いするなよ。」
デュアルはエアライナーへと乗り走り出す。そしてそれを追うようにノーヴェも走り出した。
デュアルとノーヴェは同時に攻撃をぶつけていく。ユートピアは片方を防いでは片方から食らうことの繰り返しだった。
「ちっ!!」
ユートピアは何発もの炎をノーヴェとデュアルへと放った。
「下がれ。」
デュアルはノーヴェを後ろへと下げ、ゼンリンシューターの光弾を炎へとぶつけた。その煙の中をノーヴェは走っていく。
「っ!!」
「覇王!断空拳!!」
ユートピアが気付いた時にはもう遅かった。懐へと撃ち込んだ拳はユートピアに直撃し、そのまま岩壁に打ち付けた。
「くっ・・・!!まだだ・・・。」
ユートピアは雄叫びをあげ、周囲の土たちが浮いていく。そして周囲には風が取り巻いていた。
「バーストチェンジ。」
ICカードを裏返すと、デュアルは全身に風を纏い、空へと上がっていった。
「一気に決める!!」
ノーヴェもまたジェットエッジを走らせた。
「はあああああああああああ!!」
「ダブルプリズムエクストリーム!」
デュアルとユートピアは激しくぶつかり合うも、デュアルが押し勝ち、ユートピアは宙を舞った。
「リボルバーァァァァブレイク!!」
ノーヴェはそのまま宙に浮いたユートピアを地面へと叩き落とした。
「やったか?」
デュアルが煙の中を見ると、ユートピアは立ち上がり二人を見つめていた。
「あなたたちも・・・、私を・・・、愛することを罪と言うのか。」
ノーヴェは首を振った。
「愛することに罪なんてない。あんたが守ろうとした人もこの世界の一部なんだよ。きっとどこかであんたはそれが見えてなかったんじゃないかな?」
ユートピアは少し笑ってみせた。
「そうですか・・・。なら私の分も守ってください。愛した人が「いた」世界を。」
ユートピア・ドーパントは白い光に身を包み、消滅していった。そして空にはUSBメモリのようなものが街へと飛んだ。
「ダブルのライダーメモリ回収完了。」
デュアルはベルトを外し、そのまま倒れ込んだ。
「おい!!」
ノーヴェが抱きかかえると、少年はゆっくりと目を覚ました。
「あのぉ・・・、僕は一体何を?」
さっきよりも緩やかで頼りなさそうな声にノーヴェは少し笑みをこぼした。
「大丈夫だよ。何にも怖くなんかない。」
ノーヴェは弱々しげな少年を抱きかかえ、まだ戦っているであろう仲間の元へと足を急がせていく。