光すら微かしか入らない廃墟。そんなところでヴィヴィオとグレムリンファントムは戦いを繰り広げていた。
「はぁ!!」
「フフフ・・・。」
嘲笑うような笑みを見せるグレムリンとは対照的にヴィヴィオは何発もの攻撃をグレムリンへとぶつける。しかし・・・。
「当たらない・・・!!」
ヴィヴィオの攻撃は与えるどころか全て回避され、自分が体力に蝕まれるような状態だった。
「ふーん、これで終わり?じゃあ!!」
「っ!!」
ヴィヴィオが気付けば空中に飛ばされ、地面へと叩きつけられていた。それにその攻撃は一撃どころではなかった。
「高速・・・移動?」
ヴィヴィオは辺りを見渡すもグレムリンの姿はない。そしてまたダメージが与えられていく。
「うぐっ・・・。」
ヴィヴィオが膝をついた時、グレムリンは首の骨を鳴らすような仕草を見せながらヴィヴィオを笑った。
「僕の能力は「時間干渉」。つまりは速度なんかじゃ到底見えないものさ。」
「時間・・・干渉?」
聞きなれない言葉にヴィヴィオは動揺が隠せなかった。そしてその隙を突くようにグレムリンは再び時間干渉を開始した。
「うわああああああ!!」
地面に叩きつけられ、ヴィヴィオはもう起き上がる力すら得られなかった。
「立っ・・・て。」
グレムリンは大きく笑いヴィヴィオへと近づいた。
「所詮君に守れるものなんてなかったんだよ。人間も、そして愛する者もね。」
「!!」
ヴィヴィオは倒れ込み、そのまま起き上がることはなかった。自らの手を見ると、歪んだヒビのようなものがヴィヴィオの全身に纏わりついていた。
「さあ、絶望しろ。そしてファントムを生み出せ。」
ヴィヴィオはそのまま起き上がることなく、身体中のヒビとともに絶望に堕ちた。
青い鎧を纏ったベルトの戦士「ガンバライダーブラット」は遠くから戦地を見つめていた。向かえる時間としてはあと一分と言ったところだろうか。
「ん?」
ガンバドライバーの通信を開くとそこには二人の男がモニターを見ていた。
「あぁ、ヒサキさんとノゾムさんか。」
彼らはガンバライダーアイザこと「彼方ヒサキ」とガンバライダーブラストこと「黒羽ノゾム」だった。
「そちらの調子はどうだい?」
「あぁ、順調ですよ。もう少しでポイントに着きます。」
ノゾムとヒサキは少し笑みをこぼしたところでまた真剣な眼差しへと変わった。
「今回は君の初陣だ。君にもしものことがあれば・・・」
ノゾムの言葉をブラットは首を振る形で否定した。そして彼女は笑顔で答えてみせた。
「こんなところで負けたらチヒロ・・・いや、カナデに助けられたこの命が泣く。だから絶対にこんなところでは負けない。」
二人は自信ありげな表情を見てか少し安心したように見えた。そしてサムズアップをした後、ブラットは通信を切った。
「さぁ、ガンバライダーブラット「葉月怜」の初陣だ!!」
そう言い、ブラットは戦地へと羽根を羽撃かせた。
通信を切られたヒサキはその場を去ろうとした。
「ところでさ」
そう言われるとヒサキはノゾムの目を見た。
「チヒロ・・・いや、奏?って誰?」
ヒサキは困った表情をして一言
「そんなこと、俺が知るか。」
そう言い、ノゾムの元を去っていった。
「ふーん。」
ノゾムは大きなあくびを一つかますと、再びパソコンと向き合っていった。
グレムリンは高笑いしながら絶望したヴィヴィオへと近づいた。
「さよなら。悲劇のお姫様!」
持っていた武器「ハーメルンケイン」でヴィヴィオを突き刺そうとしたその時だった。グレムリンへと何発もの射撃が飛んだ。その攻撃は全て綺麗にハーメルンケインの刃先へと直撃した。
「誰だ?」
グレムリンの目の前にいたのは青いガンバライダーだった。
「ねぇ?ここがどんな場所か知ってる?何年も仲良しだった二人の王が激突し、そして一人の王が箱舟としてこの地を救った伝説の場所。」
グレムリンは高笑いしながら鉾を向けた。
「知ってるとも。この娘がそのゆりかごのクローンであることもね!」
"Hyper clock up"
「賢者の石を持つ僕に勝てるわけ・・・!?」
グレムリンが時間干渉を始めた。しかし、なぜかそこには動く青いガンバライダーがいた。
「どうしたの?」
青いガンバライダーは仮面ライダーアクセルの武器である「エンジンブレード」と仮面ライダードライブの武器である「ハンドル剣」を召喚し、グレムリンの胴体へと刃をぶつけた。
「ぐっ!?」
グレムリンはハーメルンケインを振るうも、華麗かつ正確な蹴り技はグレムリンの顔面を蹴飛ばした。
「その攻撃方法・・・!!」
そう、この蹴り技はかつてグレムリンを倒した指輪の魔法使い「仮面ライダーウィザード」と同じ戦い方だった。
「お前・・・誰だ?」
"Clock over"
時間干渉が切れると、青いガンバライダーは誇らしげに笑う。
「僕はガンバライダーブラット。君を狩るものさ。」
ウィザードとドライブは街に蔓延る怪人たちを何体も切り裂いていた。
「ん?」
ウィザードの持つ「インフィニティリング」が呼応し、空へと飛び去っていった。
「ライダーメモリが反応している・・・?」
ドライブがそう言うと、ウィザードは光となっていった。
「そうか。誰かが絶望してるんだな。」
ドライブはウィザードのその言葉を聞くと、任せろ。と言うようにウィザードの肩を叩いた。
「あぁ、俺は行くよ。ここは任せたぜドライブ!」
ウィザードがそう言い、光として消えると、そこに来たのはヴィクトリーアだった。
「任されましたわね。」
ドライブは軽く頷く。
「行くぜ皆!ひとっ走りつきあえよ!!」
「OK!Start your engine!!」
そう言うと、ドライブとヴィクトーリアは走り出した。
ヴィヴィオが目を覚ますと、そこには二人の人が立っていた。片方はヴィヴィオに、片方は男性であるもののアインハルトにどこか似ていた。
「まさか・・・これって・・・。」
目の前にいたのは聖王オリヴィエ、そして覇王イングバルトだった。
「私が見てるのは・・・?」
オリヴィエが去ろうとした時、クラウスは彼女を止めた。
「オリヴィエ!まだ決着は・・・」
「着きました。既に。」
ズタボロのクラウスは倒れ込み、その場から動くことはなかった。
「そんな・・・こんな・・・。」
言葉が出なかった。これが自分を生み出したオリジナルの選んだ末路であるなら尚更であろう。
「変えられなかった・・・。何も・・・。」
ひび割れて行く世界に一人の青年が声をかける。
「本当に君が望んだ結末か?」
ヴィヴィオが振り向くと、そこにいたのは一人の青年だった。彼の腰にはベルトが装填されていた。
「あなたは・・・?」
「お節介な魔法使いさ。それより・・・。」
青年はオリヴィエの方を向き、ひびに触れていく。
「君にはまだ未来があるんじゃないのか?」
「・・・えっ?」
ヴィヴィオは唖然とした。目の前の情景とはまるで噛み合わないような言葉だった。
「確かに彼女はその道を選んだ。だけど、君は守れるものをずっと守り抜く力があるんじゃないか?」
ヴィヴィオは手を見つめる。そこには虹色の魔力が再び光り始めていた。
「私・・・、もう一度だけ戦ってみます。守るために。」
青年は少し笑みを浮かべ言葉を返した。
「もし、希望が見えなくなった時は前を向きな。そこに答えはある。」
ヴィヴィオは一礼し、そのまま青年の横を駆けていく。青年もまたそれを見送るように手を振った。
ブラットとグレムリンは互いの武器を使い、激しい攻防を繰り広げていた。
「ふん!!」
「はっ!!」
グレムリンはハーメルンケインを伸ばすも、ブラットはそれを弾き剣を向けた。
「もう無駄だよ。彼女は絶望から這い上がれない!」
「それは・・・どうかな!?」
ブラットはグレムリン蹴飛ばした。そしてグレムリンがブラットへ駆けようとしたその時だった。
「ディバイン・バスター!!」
「なっ!?」
何発もの光弾がグレムリンへと直撃した。グレムリンの眼前にいたのは絶望し、完全にダウンしていたヴィヴィオだった。
「何故だ!!?何故君が!?」
「私が、皆の希望になるって決めたからです!」
ブラットはヴィヴィオに駆け寄った。細い身体ではあるが、レッドとグリューンの眼は確実に聖王「オリヴィエ」の系譜を継いでいることに間違いはなさそうだ。
「えっと・・・あなたは?」
ヴィヴィオの質問にブラットは答える。
「ただのファンさ。あなたの御先祖様の。」
「図にぃ・・・乗るなぁ!!」
グレムリンが立ち上がると時間干渉を使った。
「っ!?」
「任せな。」
"メタル"
「なっ!?」
そう言うとブラットは仮面ライダーブレイドの力である「メタル」を発動し、ヴィヴィオにデータを飛ばした。そうすると、ヴィヴィオが鋼鉄化し、グレムリンのハーメルンケインをはじきかえした。
「んじゃあ、こっちの番だ。」
「ですね!はぁああ!!」
"Clock up"
クロックアップして止まったヴィヴィオが放った光弾たちをグレムリンの腹へと集中させた。そしてまた時は動き出した。
"Clock over"
「がああああああ!!」
中にあった賢者の石が叩き割れ、グレムリンが弱体化したのが目に見えた。
「決めましょう!」
ヴィヴィオがそう言うとブラットは軽く頷いた。
「バーストチェンジ!!」
ICカードを反転させバーストチェンジすると、全身がドラゴンのように羽、爪、そして龍のような足が装備された。
「いくよ!!」
「はい!!」
ブラットは空中へと舞い、回転しながらグレムリンの腹へと直撃した。
「インフィニティ!!エンド!!」
ドリルのように回転した龍はそのままグレムリン貫き、空へと飛び去った。そして間髪入れずにヴィヴィオがグレムリンへ近づいた。
「アクセルスマッシュ!!」
一撃、そして二撃、そして三撃と何発もの魔力を纏った拳がグレムリンに直撃した。そして、グレムリンが完全にダウンしたと思うと、その勢いのままグレムリンを殴り飛ばした。
「ガハァ・・・。」
倒れ込んだグレムリンにヴィヴィオは近づいていった。
「きっと、あなたも絶望だけじゃなかったと思うんです。希望とか光とかが見えてたと思います。だから、あなたの光や希望は持っていきます。未来のために。」
グレムリンは高笑いし、ヴィヴィオの方を向いた。
「へぇ・・・。じゃあ、僕が生まれ変わる時は安泰だね。こんな道も選ばなくて・・・良い・・・なんて。」
グレムリンはそう言い残すと、灰色の砂のようなものとなって消えていった。
「さあ、行こうか!王女様?」
変身を解いたブラットの陽気な言葉にヴィヴィオは片手を伸ばした。
「お名前聞いても良いですか?」
ヴィヴィオは中性的な少女にそう問いかけた。
「あぁ、まだ自己紹介がまだだっけ?僕はガンバライダーブラット。名前は葉月怜だ。」
「私、高町ヴィヴィオって言います!よろしくお願いします!」
笑顔でそういった後、ヴィヴィオはもう一つの問いを投げた。
「あの・・・聞きます?私の御先祖様のお話。」
「えっ?」
葉月はその場に座り込み、ヴィヴィオもまたそれを見て座り込んだ。
二人は気付かなかった。先ほど光となったウィザードのインフィニティリング、そしてもっと大きな光が、街へと向かっていったことを。