リンネとロードバロンは見つめ合い動くことはなかった。
その地帯の砂けむりは舞い散り、まるで二人の間を裂くようだった。
「どうした?来ないのか?」
挑発するようにロードバロンはそう言うが、リンネは動くことはなかった。
「教えてもらえませんか?あなたたちの目的を。」
「理由などあるものか。」
リンネの質問に間髪入れずにロードバロンはそう返した。そして自らの武器である「グロンバリャム」を引き抜いた。
「俺は俺の強さを証明する。ただそれだけだ・・・!!」
一つため息をつくと、リンネもまた魔法陣を開いた。
「力だけが強さじゃない・・・。あなたにそれを見せます!!」
リンネは魔力で加速をつけると、一気にロードバロンへと近づき、拳を振るった。
「!!?」
「どうした?その程度か?」
ロードバロンはその拳を受け止めるとリンネを投げ飛ばし、砂地に叩きつけた。
「うぐっ・・・。」
ロードバロンは冷ややかにリンネへと近づき、腕を掴んだ。
「お前の強さとは何だ?その力で何を守ろうとする?」
「私・・・はぁ!!」
ロードバロンの横腹を蹴飛ばし、手を離した瞬間リンネは後ろへと体を翻した。
「私は一人じゃないって知った・・・。だから戦えるんです!!」
ロードバロンは二秒ほど止まったと思うと小さく笑い始めた。
「何がおかしいんですか!?」
リンネの問いに笑いを止め、ロードバロンは話し始めた。
「貴様に似た男がいた。その男は愛する者を守るために世界や自分の命すら捨てようとした。」
「なっ・・・?」
ロードバロンはグロンバリャムをリンネに向ける。
「貴様は何を賭ける?守るとはそういうことだ。」
「私は・・・。」
リンネは立ち止まり考えたがすぐに答えなどでなかった。
「その程度の覚悟では力など得られない!」
ロードバロンは手から波動を出すと、リンネはそれに操られるように吹き飛ばされた。
「本当に守りたいものがあるのなら、お前も強くなれ。」
ロードバロンはグロンバリャムを戻し、彼女へ背を向けた。
アメショーは自らの愛機である「トライドベンター」を使い、目的地へと向かっていた。
「ん?」
ガンバドライバーの通信を開くと、そこに映っていたのは朱崎だった。
「どうしたにゃ?」
「ちょっとお話ししたい人がいるみたいなんでね、通信を使わせてもらった。」
アメショーは疑問符を頭に浮かべるも、朱崎はすぐに回線を切り替えた。そこに映っていたのは一人の女性だった。
「どうも。フロンティアジムというところでリンネ・ベルリネッタのコーチをしています。ジル・ストーラと申します。」
「GRZ社所属のアメショーって言うにゃ。よろしく!」
アメショーの軽い感じとは真逆のようにジルは少し寂しげなトーンでアメショーへと話した。
「リンネは本当に強い子です。でも、至らないことだらけだと思います。だから・・・」
「人間って皆そうでしょ?」
アメショーの言葉にジルは一瞬戸惑いの顔を見せた。
「不完全で情けなくて弱い。だから助け合って強く生きていくもんじゃないの?」
ジルは小さく頷いた。思い返せばこれまでのリンネもそして自分もまさしくそうで支え合っていた。
「リンネを・・・頼みます!」
ジルの言葉にアメショーは肉球のようなポーズで返し、回線を閉じた。
「さあて、野良猫の力ってやつを見せてやりますかな!」
もう一度エンジンを掛けると獅子は動き出し、その道を駆けていった。
ジルはモニターを閉じると、外を見つめた。
「リンネ・・・。」
何かあってはならないってずっと思っていた。辛い思いをさせまいと・・・。
ロードバロンが去ろうとしたその時、リンネはゆっくりと立ち上がった。
「私は勇気をもらった。憎しみや悲しみじゃないもっと強く輝く感情を!だから私は戦う。」
ロードバロンはゆっくりとグロンバリャムを抜いた。
「ならば、お前の強さを俺に見せてみろ!」
リンネは再び加速をつけると、グロンバリャムへと拳をぶつけた。
「ぐっ・・・!!」
ロードバロンは一歩退き、リンネの一撃ごとに後ろへと退いていく。
「はあああああああ!!!」
「ぐっ・・・はぁ!!」
グロンバリャムでリンネを吹き飛ばすと、一太刀の刃がリンネを斬った。
「はああああああ!!」
「あ・・・あぁ。」
ふらつくリンネに何発も太刀は斬り裂く。グロンバリャムで斬り裂かれた跡は緑色の傷へと変わっていく。
「これで・・・終わりだ。」
剣を振り翳したその瞬間、一台のバイクがロードバロンを轢いていった。
「ぐっ・・・、誰だ貴様は?」
銀を纏った戦士は軽く笑ってみせた。
「ガンバライダーアメショー。さあ、キャットファイトといこうぜ?」
ロードバロンはグロンバリャムを構えると、アメショーは仮面ライダータイガの武器である「デストクロー」を召喚し、ロードバロンへと走っていった。
「はああああああ!!」
お互いの武器がぶつかり合い、その場の砂は飛び散った。お互いに退き合うも、再び足を前に向けた。
「アーマードライダーだったあんたがどうしてこうなるかなぁ!?」
「俺は強さを求めた。それだけのことだ!!」
お互いにぶつかり合う、そして先に攻撃を当てたのはアメショーだった。
「はぁ!!」
「ぐっ。」
腹にデストクローが直撃し、そしてアメショーは前へと出た。
「はああああ!!!」
何発も爪をぶつける。そして、ロードバロンもそれに翻弄されるように攻撃を食い続けた。
「だが、奴はもう戻れない。よほどの強さでない限りな。」
アメショーが後ろを向くと、身体が植物に侵食されていくリンネの姿があった。
「てめぇ・・・!!」
アメショーの攻撃をロードバロンは受け止めた。
「強者だけが生き残る。それがこの世界だ!」
お互いのキックが腹に直撃し、お互いに仰け反った。
「お前の強さ。見せてみろ!!」
ロードバロンはアメショーへと剣を向け走り出した。
リンネは眼を開けると身体が植物になっていっていた。
「フーちゃん・・・。ごめん。」
守りたかったもの。そして返したかったもの。何もしてやれなかった。フーカに対する負の念ばかりが身体を重くしていった。
「コーチ。皆・・・。ごめんなさい・・・!!」
その場で涙が止まらなくなった。またあの時と同じように泣くことしか出来ない自分が情けなかった。戦えない。変わることなんてできなかった自分に対しての思いが崩れるように出てきた。
「本当にそれであんたは諦めきれんのか?」
リンネが顔を上げると、そこにいたのは銀色の鎧を纏った青年だった。
「・・・あなたは?」
「俺は・・・、そうだな。宇宙の神様。ってとこかな?」
苦笑いをしながら青年は答えた。金色の髪をした青年は再び問いかける。
「あんたは今、願いたいものがある。見捨てたくなくて守りたい人がいる。違うか?」
リンネは小さく頷いた。
「だったら、後はあんたが変わるんだ。「変身」だよ。」
「・・・私は変われますか?諦めず誰かを守れる私に。」
青年は自信ありげに首を縦に振った。それを見ると、リンネはゆっくりと立ち上がった。
「ありがとうございます。私に出来ることを探してみます!」
「あぁ、いつかの世界で会おうぜ。」
鎧を纏った青年は黄金の光とともに、消え去っていった。そしてリンネもまたゆっくりと光の先へと歩いていった。
ロードバロンとアメショーは激しい攻防を繰り広げていた。
「やるな。」
「そっちこそ!!」
アメショーは仮面ライダーオーズの武器である「トラクロー」を召喚すると、そこに描かれた円がロードバロンへと向かっていく。
「ガッシュクロス!!」
ロードバロンはそれを波動で防ぐも、お互いに後ろに吹き飛ばされる。
「いってぇ!!」
「くっ・・・。」
お互いに攻撃を避けながらも、隙を伺っていた。
「時間切れだ。」
ロードバロンはゆっくりとリンネに近づいた。その植物は完全に純白の少女を包み込んでいた。
「やめろ!!」
「はああああああ!!」
振り翳したその瞬間だった。植物を貫き、一つの拳がロードバロンへと直撃した。その一撃は淀みなく、純粋な光を纏った一撃だった。
「がはぁ・・・。」
砂は空中へと吹き飛び、その一帯を砂のないただの陸地に変えてしまうほどその一撃は純粋な力、そして想いが与えた力だった。
「何・・・が?」
アメショーが呆然とする中、リンネはゆっくりと立ち上がった。
「ここからが本当のバトルです。圧倒してみせます。」
立ち上がるロードバロンはアメショーとリンネに刃を向けた。
「面白い。貴様らの強さ、俺に見せてみろ!!」
アメショーはリンネの肩を叩いた。
「あぁ、猫をナメると痛い目に遭うぜ!」
リンネとアメショーは同時に走り出し、お互いに逆方向へと走り出した。
「来い!」
そう言うとアメショーは仮面ライダービーストの武器である「ミラージュマグナム」を召喚し、ロードバロンに射撃を加えていく。
「ふん!」
ロードバロンは波動をアメショーに向け、射撃を防いでいく。
「っ!?」
「はぁ!!」
リンネの後ろ回し蹴りはロードバロンに直撃し、ロードバロンは倒れこむようにその場に膝をついた。
「一気に決めます。」
「オーケー!バーストチェンジ!!」
そう言い、アメショーはICカードを反転させ、バーストチェンジすると、虹色の光が脚に宿った。
「無類キック!!」
虹を纏ったその蹴りはロードバロンへ直撃し、後ろへと吹き飛ばした。
「やあああああああああああ!!」
リンネの淀みのない一撃はロードバロンを貫き、空中に飛んだ後、地面に叩きつけられた。
「やったー!!」
ハイタッチを求めるアメショーをよそに、リンネはゆっくりとロードバロンに近づいた。
「教えてください。何が目的なんですか?「駆紋戒斗」さん。」
そう聞かれると、ロードバロンはゆっくりと立ち上がった。
「俺は俺の強さを証明するだけだ。」
リンネは寂しそうな眼で戒斗を抱きしめた。その怪物となった体でも、確かに人の温もりを感じた。
「答えてください。なんで・・・何であの時私たちを助けたんですか?」
消えていく体でロードバロンはリンネを突き飛ばした。そして、一瞬だけ人の姿へと返っていく。
「強くなったな。リンネ。」
「戒斗さん!!」
手を伸ばすもそれは届かず、灰となって戦士は消えていった。
「答えてよ・・・。答えてよおおおおおお!!」
リンネは大きく叫び、その灰に向かって大きく叫び続けた。
「どうして・・・、どうしてなの!!」
アメショーは泣き続けるリンネを慰めるように肩を抱きしめ、そのまま二人は暫く動くことはなかった。