コロナとハート・ロイミュードは距離を取り合いながら、激しい射撃戦を繰り広げていた。
「答えてください!!あなたたちの目的は何ですか!?」
「答える必要など・・・ない!」
ハートはコロナの攻撃を弾き返し、一気にコロナへと近づいた。
「っ!?」
「はぁ!!」
コロナは吹き飛ばされ、そのまま岩壁に打ち付けられた。
「でも・・・!!」
コロナは魔法陣を開き、その魔法陣は周囲から岩石を吸い取るように集めた。
「これが私の錬成武術-マイスト・アーツ-。叩いて砕け!!ゴライアス!!」
その詠唱と共に地面からはハートの何倍もの大きさの巨人がハートの前に立ちはだかった。
「ほぉ、面白い・・・!!」
「答えないなら何度も問うだけです!!ロケットパンチ!!」
ゴライアスは腕を回転させ、回転した腕はハートの方向へと一直線に飛んだ。
「っ!!」
「なっ!?」
コロナは目の前の景色に衝撃を受けた。回転し力を増したゴライアスのパンチはハートの両手により止められていたのだ。ハートはそのまま雄叫びを上げ、コロナへと投げ返した。
「きゃあああああああ!!」
砕けたゴライアスと共にコロナの悲鳴が聞こえた。そしてハートは自らの手の汚れを落とすように手を叩いた。
「どうした?その程度では俺を倒せないぞ?」
近づいていった瞬間、足には魔法陣が描かれた。
「なっ!!?」
「ロック・・・バインド。」
身体中を岩の鎖がハートに纏わり付いた。その隙を見るようにゆっくりと立ち上がった。
「何故リョウヘイさんはあぁなったんですか?知ってるんですよね?」
ハートへとゆっくり近づいていく。ハートはゆっくりとバインドを砕いていった。
「奴は純粋な男だった。そう、少女二人を救うために自らを犠牲にするほどな!!」
ハートはゆっくりコロナを持ち上げ、そのまま握り潰す勢いでコロナを強く持ち上げた。
「ぐぅぅうあああ!!」
叫び狂うコロナをよそにハートは話を続けていく。
「だがもし、彼女たちがガンバライダーとして、兵器として徴兵されていれば彼はどんな思いだろうな?」
「!!?」
倒れこむコロナをそっと下ろした。
「まさか・・・。」
ハートはコロナに一撃の鉄拳を落とした。その一撃は重く、コロナをそのまま叩きつけるほどだった。
「彼が守ろうとしたものを今一度考えてみるのだな。」
ハートはゆっくりと歩いていった。
城島 流はバイクを走らせるとともに自らの好きなジャズの音楽を垂れ流していた。
「おん?」
通信を開くと、そこに映っていたのは朱崎だった。
「クロス・オブ・ファイアの進行度はどうなってる?」
「えっ?ちょっと待ってなよ・・・?」
唐突の質問に朱崎は困惑したようにデータを開いた。
「だいぶ進行してる・・・。早めに片付けないと厳しいな。」
ふーん。と流はデータを見た。残り二人といえど進行度が遅くなることはなさそうだった。
「で、どしたの団長さん。」
「団長って呼び方いつからだよ・・・。まあいいけど。」
朱崎は一息つくと話を始めた。
「君の敵はハート・ロイミュード。君にとっては因縁にもなるだろう。」
「グローバル・フリーズ。か。」
流もまたロイミュードたちが起こした事件「グローバル・フリーズの事件に巻き込まれ、若いながら生き残った一人でもあった。
「ロイミュードは潰す。任せな。」
朱崎に軽く手を振ると、手を振り返されそのまま通信は途切れた。
「さあて、暴れるとしよう。」
そのまま流はバイクを走らせ、目的地へと駆けて行った。
通信を切った朱崎は顎に手を当て、考えるような仕草を見せた。
「何かがおかしい・・・。」
リオがそのデータを見ると、おかしいことは明らかだった。
「もしかしてこれって敵を倒すことが遅くする条件じゃないんじゃ・・・?」
リオの言葉にハッとするように朱崎は顔を上げ、そして隣にいた鞍馬と目を合わせた。
「まさか・・・?」
「だがそうなればフーカちゃんとリョウヘイに頼るだけになるじゃないか。」
朱崎は鞍馬の意見を聞き、再び考える仕草へと戻った。何かがおかしい。どこの歯車が狂っているのか、それは彼らでさえも闇の中だ。
歩き去ろうとしたハートを止めるようにコロナは叫んだ。
「まだ勝負は・・・!!」
ハートは後ろを向き、ゆっくり立ち上がる少女へと視線を向けた。
「終わっていません・・・!!」
立ち上がったコロナを見てハートは軽い息のような笑いが溢れた。
「お前は俺を楽しませてくれそうだ・・・。そう、俺の友のようにな!!」
コロナは大きな一息をついて、全身に魔力を纏わせた。
「使いたくはなかった・・・。怖い・・・、でも!!」
纏った魔力がどんどん強まり、コロナの黄色い魔力がオーラのように身体の周囲から出ていた。
「ネフィルム・フィスト!!」
「面白い!!はあああああ!!」
ハートが攻撃をした瞬間、身体が勝手に動くようにハートの攻撃を回避した。
「なっ・・・!?」
「はぁ!!」
コロナの拳からはノーヴェの技であるスタンナックルが発動され、そのままハートを吹き飛ばした。
「ほぉ・・・。面白い力を持っているな・・・!!」
コロナはそのまま加速をつけ、一気に近づいた。
「ライダーキック・・・!!」
それと同時にハートも加速をつけ拳を振るうが、それに反応するようにそのままジャンプし、仮面ライダージョーカーの技である「ライダーキック」を発動し、そのままハートを蹴飛ばした。
「ぐはっ・・・!!」
「はぁ・・・。」
少しふらつくコロナを見て、ハートは呆れるような声を出した。
「身体への負担はやはり大きいようだな・・・。そんな幼さで自分さえも犠牲にするとは・・・!!」
コロナは立ち上がろうとするが、膝が痛み立つことすらままならなかった。
「やっぱり、ライダーの技はつらかったかなぁ・・・。なら!!」
全身に更に強い魔力を纏わせ、オーラはどんどん強まっていく。
「ネフィルム・フィスト・・・フルコントロールモード!!」
ハートは俯き、拳を強く握った。
「君のような若い戦士がそこまで無茶するなど・・・!!」
コロナは先ほどよりも眼光を強め、ハートを睨んだ。
「倒します。何としてでも!!」
「手伝うぜ?」
ハートとコロナがその声の先を見ると、青年がバイクから降りてこちらへと歩いてくる。彼の胸ポケットからは大音量の音楽が流れていた。
「なあ?良いリズムだろ?ジャズってのはやっぱ良いもんだ。」
ハートはその青年のベルトを見て一瞬で察することができた。
「お前、ガンバライダーか。」
青年は軽く笑い、ハートを指差した。
「正解。お前を倒しにきたわけ。」
ハートは拳を構え、少し笑ってみせた。
「面白い。ならば俺の知ってる仮面ライダーより楽しませてもらおう!」
青年はガンバドライバーにICカードを装填した。
「変身。」
青年の周囲には雷撃が走り、そのまま変身した。
「ガンバライダーEXE・・・飛ばしてくぜ・・・!!」
ハートにコロナとEXEが同時に殴りかかると、ハートはお互いの攻撃を防ぎ、先にコロナを投げ飛ばした。
「うっ・・・!!」
「大丈夫か!?」
EXEは身体を翻し、ハートの拳を蹴飛ばした。そしてすぐさまコロナの元へと向かっていった。
「大・・・丈・・・夫・・・です。」
コロナはボロボロになった身体を無理やり立たせるように立ち上がった。
「その力は魔力を軸にして、自らを操り人形のようにする形で出力しているのだろう?」
ハートの言葉にコロナは軽く頷いた。ネフィルム・フィストは魔力を糸にしたマリオネットのような状態。無茶をしすぎたコロナに負担がくることなど想像は容易だった。
「今すぐ解け!俺が戦う!」
コロナは軽く首を振った。
「まだやれます・・・。まだ・・・やれ・・・。」
コロナはそのまま倒れこんだ。先ほどまでコロナを纏っていた魔力は消え、指先さえ動かない状態だった。
「ったく、無茶するからこうなるんだよ・・・。」
ゆっくりとコロナを地面に置き、EXEはハートの方向を向いた。
「さあ、てめえの相手はこの俺だ。来い!」
ハートはハッと笑い、構えなおした。
「良いだろう。お前の相手はこの俺だ。」
お互いの拳がぶつかり、お互いが吹き飛ぶように後ろに下がった。
「ならばこれならどうだ?」
"Trial"
EXEは仮面ライダーアクセルの力である「トライアルメモリ」の力を使い、目にも留まらぬ速さでハートへと攻撃を仕掛けた。
「こちらにも手はあるぞ?」
ハートは全体のスピードを遅める「超重加速現象」を発動したが、EXEの動きが変わることはなかった。
「俺たちはガンバライダー、そんくらいの対策は出来てるっての!!」
ハートは小さく笑い、EXEへと拳をぶつけた。
「やはり俺を楽しませてくれる・・・。仮面ライダーも、ガンバライダーも!!」
砂が止まって見える。細かい砂が星のように輝き、彼らの戦いを引き立てるかのようだった。
ドライブとジークは背を合わせ、敵を順調に倒しつつあった。
「やるな。」
「まあ、チャンピオンやしこれくらいはなぁ。」
そう会話していると、ドライブへと通信が飛んできた。
「朱崎か。」
朱崎からの通信を開くと、彼は急ぐようにドライブに告げた。
「ドライブ、そいつらも奴が呼び出したボス級怪人もおそらく囮だ!クロス・オブ・ファイアの破壊を優先しよう!」
ドライブは横に首を振った。
「それはきっとリョウヘイたちが成し遂げる。俺たちは俺たちの出来ることをする。」
「だから君も君のできることをするんだ。」
朱崎は進之介とクリムの言葉にうーん。と頭を掻き、一呼吸置いた。
「よし、分かった!そちらは任せる!」
話してる最中、ドライブの身体が光となっていく。白い光はまるで彼を送るようだった。
「ライダーメモリが呼応してる。行かなきゃいけないのか。」
「進之介?」
朱崎との通信を切ると、ドライブはゆっくりと空を見上げた。
それを呆れるように見ていたジークはドライブの背中をドンっと叩いた。
「行ってき。ここはウチらで引き受ける。」
ドライブは首を縦に振り、親指を立てたのち光となった。
「んじゃあ、いくか!ジーク!」
「せやねハリー。走り抜けるで!」
二人は一気に加速をつけ、敵へと走って行った。
コロナは身体を立てようとするも、身体が動くことはなかった。目の前は真っ暗でまるで自分が死んでしまったようだった。
「もう・・・ダメなのかな?」
これまで修行してくれたオットーや師匠達、そして弱かった自分を格闘技の道に導いてくれたヴィヴィオやリオ、そしてアインハルトやフーカといった自らと闘い高め合ったライバルたちの顔が浮かぶ。浮かんでくるたび心に刺さるようだった。
「私・・・何もできなかった。」
涙ぐむコロナを持ち上げるようにコロナの肩に人のぬくもりを感じた。
「えっ・・・?」
見ると、そこに立っていたのは進之介だった。
「お前は諦められるのか?」
「泊さん・・・。」
「本当にお前のギアはそこで止まれるのか?」
進之介の言葉に自然と手に力が入った。諦められない。諦めたくない気持ちが湧き上がるようだった。
「私・・・まだ走れますか?」
まるでこれまでとは違うようだった。コロナの目は強く、鋭く睨む戦士の目だった。
「あぁ・・・、お前は「まだ」走れるんだ。トップギアで走って来い!」
コロナは頷くと、自らのデバイスである「ブランゼル」を強く握った。
「いくよ・・・、ブランゼル!!」
"Yes, master"
ゆっくり立ち上がり少女は男の横を過ぎていく。ありがとう。そう呟いて・・・。
EXEとハートは息もつかせぬ攻防を繰り広げていた。周囲の砂は美しく飛び散り、まるで彼らを絵画のように映していた。
「コイツ・・・!!」
「やはり仮面ライダー・・・、俺を楽しませてくれる!!」
EXEは仮面ライダー轟鬼が使用していた「音撃弦・烈雷」を召喚し、ハートの腹に突き刺した。
「くっ・・・。」
「音撃斬!雷電激震!!」
烈雷からはギターのビートと共にハートに雷撃が流れていく。その音は刻まれるごとに大きくなっていく。
「くっ・・・はぁ!!」
「っそだろ!!?」
ハートは烈雷を殴り飛ばし、そのままEXEに近づいた。
「これで終わりだぁ!!」
EXEが防ごうとしたその刹那、ハートの周囲には岩石で作られた鎖が巻かれていた。
「なっ・・・!?」
ハートが目を向けると、そこには立ち上がり先ほどよりも鋭い目付きでハートを睨むコロナがいた。
「私は・・・負けてません!!」
EXEはハートから離れ、コロナの元へと近づいた。
「お怪我は大丈夫なのかい?お嬢さん。」
「もちろんです!」
ハートがロックバインドを砕いたと同時にコロナはEXEの方を向いた。
「ひとっ走り、付き合ってください!」
EXEはふふっ、と少し笑った。きっと彼女も「彼」に感化されたと思うと笑みが溢れたのだ。
「あぁ、エンジン吹かすぜ!!」
二人はハートの方を向き、一斉に走り出した。
「良いだろう。お前達の力で俺を楽しませろ!!」
ハートもまた走り出した。コロナは一気にジャンプし、ハートの後ろへと回った。
「叩いて砕け!ゴライアス!!」
コロナはゴライアスを召喚し、一気にゴライアスを回転させた。
「無駄なことを・・・!!」
ハートが近づこうとするも、彼の視界にはEXEの姿がなかった。そしてゴライアスが起こした砂埃で周囲の視界も狭まっていた。
「ここだぜ?」
"キック・サンダー・マッハ・・・ライトニングソニック"
EXEは仮面ライダーブレイドの技である「ライトニングソニック」を撃ち込み、ハートを退かせた。
「っ!!」
その一撃は雷のようにハートに撃ち込まれ、電撃が走るように彼の体は麻痺していた。
「んじゃあ、バーストチェンジっと!!」
ICカードを反転させバーストチェンジすると、彼の体に仮面ライダードライブの愛車である「トライドロン」が体に宿り、アーマーとして彼の足に組み込まれた。
「いくよ!ブランゼル!!」
"Yes."
ブランゼルとコロナに呼応するようにゴライアスは腕をハートの方向に向けた。
「トライドロップ!!」
仮面ライダードライブの技である「トライドロップ」を発動し、赤い波動と共にハートへと一撃の蹴りを与えた。ハートもそれを防ごうとするも、その力に負け後ろへと押し出された。
「くっ・・・!!」
ハートがよろめきながら後ろを見ると、ゴライアスが回転させた腕を彼へと向けていた。
「パンチ・ブラスト!ドリルクラッシャーパンチ!!」
回転した腕はそのままハートへと飛び、ハートはそれを両手で防いだ。
「ぐっああああああああああああああ!!!」
ハートは最後の力を振り絞るようにコロナへと投げ返した。砂煙の中、倒れゆくゴライアスの姿は見えた。
「これで終わ・・・」
その砂煙の中、ゴライアスの腕を纏ったコロナがハートへと突撃してきた。
「これが本当の最後!!」
ハートはそのコロナの一撃を受け、そのまま沈んでいく地面と共に倒れこんだ。
「はぁ・・・はぁ。」
「終わったな嬢ちゃん。」
肩を叩くEXEに目を一瞬向けたのち、ハートへと近づいた。
「リョウヘイさんは・・・、フーカさんやリンネさんを巻き込まないために自らの強化。つまり「身体の改造」を選んだんですか?」
ハートは笑いながらコロナを見た。
「そこまでの思考に行き着くとはさすがだ。だが、彼が選んだのは「人体改造」ではない。」
「えっ・・・?」
困惑するコロナとEXEにハートは言い残すように言った。
「一つだけ言える。もう彼は「人間」ではない・・・。」
ハートは消え去り、そのまま砂のように宙へと舞った。
「人間じゃないってどういう・・・。」
「そうか・・・、だから奴はガンバライダーに・・・!!」
EXEはコロナをおぶって、バイクに跨った。
「えっ?どうしたんですか!?」
EXEは変身解除し、コロナに告げた。
「奴は人でない。つまり奴の狙いは・・・!!」
バイクを走らせ、すぐさま朱崎たちのいるクロス・オブ・ファイアの元へと向かうのだった。