ミウラとグレートアイザーは広大な草原を駆け、グレートアイザーは何発もの光弾を放ち、それを回避するようにミウラは彼の周囲を走っていた。
「ふん。人間如きがまだ抗うか!」
「抗います!!何度だって!!」
ミウラは足を止めたと思うと、一気にカーブし、グレートアイザーへと近づいた。
「はあああああああ!!」
グレートアイザーに一撃の蹴りを放つが、それはグレートアイザーの手によって防がれた。
「っ。」
「この程度か?」
グレートアイザーはミウラを地面へと叩きつけ、そのまま蹴飛ばした。
「ぐぁあああっ。」
鈍い声が響いた。倒れこむミウラにグレートアイザーはゆっくりと近づいた。
「人は愚かだ。幾つもの罪を重ね、挙句には罪人を英雄と呼ぶようにまでなるのだからな。」
立ち上がろうとするミウラをもう一回蹴飛ばすと、グレートアイザーはその黄金の輝きを見せつけるかのようにまた一歩とミウラへと近づいていく。
「貴様らに存在価値などない。我らのように優れたものが生き残るべきなのだ。」
「そんなこと・・・ない!!」
"Ignition"
ミウラのデバイスである「スターセイバー」の音声と共に、ミウラは脚部に魔力を纏わせ一気に推進力を増し加速。そしてグレートアイザーの後ろへと回った。
「僕たちは無意味な存在なんかじゃない・・・。生命の価値は皆同じです!!」
構えるミウラを見て、グレートアイザーは大きくため息ついた。
「貴様ら人間はいつもそうだ。生命の価値は同じ。そんな愚かなことがあるわけなかろう・・・!!」
「同じです!!」
ミウラは周囲に魔法陣を展開し、グレートアイザーにふっと笑いかけた。
「僕が証明してみせます。人も動物も全て等しく大切なんだって!」
グレートアイザーが構えるのを見た瞬間、ミウラは加速をつけ一気にグレートアイザーへと向かっていった。
大型のバイクを走らせ、ライタは目的地へと向かっていた。バイクはもう使い込んでいるのか音はグルルと鈍いエンジン音を鳴らしていた。
「朱崎からか。」
ライタは通信を開くと、朱崎の焦りの目が見えた。しかし、落ち着いたばかりなのか少しふぅ。と息継ぎをした。
「ライタ、今回の案件はだいぶ厄介なことになったみたいだ。」
「と、言いますと?」
疑問符を浮かべるライタを見ると朱崎は一つのデータを飛ばした。
「恐らく奴の目的はクロス・オブ・ファイアで敵を生み出しこの地を滅ぼすことではない。」
ライタの疑問符はまだ続いた。そして朱崎の話はまだ続いた。
「奴の目的はクロス・オブ・ファイアでこれまで吸収したライダー達の罪を背負うことだ。」
ライタは驚きの顔を隠せなかった。
「そんなことしたらアイツが闇に堕ちちゃうじゃねえか!!」
ライタはふと冷静になり、ハッとした。
「まさかその力で・・・」
朱崎は頷いた。
「あぁ、誰も見たことがない景色、「仮面ライダーへの進化」を奴は望んでる。」
そんなことをして何になる?ライタは一瞬そんな疑問が浮かんだがそれどころではない。
「んなことさせてたまるかよ!!」
「あっ、ちょっ、ライタ!!」
ライタは通信を切ると、エンジンを一気に吹かせてさっきよりも更に速いスピードで砂地を駆けていくのだった。
朱崎はモニターを見ながらうーん。と頭を抱えた。
「奴は罪の塊、つまり倒せば奴の計画は進んで行く・・・。」
朱崎が空を見上げると、そこに着いた葉月、そして流が目を合わせた。
「どうしたんですか?」
「えっ?あぁ、何でも。」
朱崎は葉月の言葉に空返事のように返した。冷静でいなければ・・・。彼ら子供達の目の前で絶望の姿なんて見せられない。絶対に。
ミウラは加速をつけ、一気にグレートアイザーへと近づくと、腹めがけて一直線に蹴りを入れた。
「そんなもので!!」
グレートアイザーはそれを受け止めた。その瞬間、ミウラは体を翻し、一気に魔力を込めた足でグレートアイザーを蹴飛ばした。
「くっ・・・!!」
「まだまだ!!」
もう一撃加えようとしたその瞬間だった。
「ふん!!」
「くっ・・・!!」
何発もの光弾がミウラへと直撃し、ミウラは地面に転がり込んだ。
「貴様はやはりここで終わるべきだ・・・。」
グレートアイザーはみるみる巨大化し、ミウラの何倍、何千倍もの大きさへと進化していく。
「あ・・・あぁ。」
その大きさにミウラはただ呆然とするしかなかった。足は恐怖からか震えが止まらず動くことすらままならない。
「ふん。」
「っ!!?」
気付いた瞬間、ミウラはグレートアイザーから放たれた光線により、体を仮面ライダーゴーストのアイテムである「眼魂」へと姿が変わり体内へと取り込まれていった。
「遅かったか・・・。」
一人の男がそこへとバイクを置き、グレートアイザーへと走ってくる。
「貴様、ガンバライダーか。」
「あぁ、そうだよ!変身!」
"Ganba driver stand by ready"
ICカードを装填すると、姿が変わりガンバライダーとなった。
「ガンバライダーホープ、これよりミッションを開始する!!」
仮面ライダーゴーストの武器である「ガンガンセイバー」を構え、巨大なグレートアイザーへと走っていった。
「貴様・・・その容姿。」
似ている・・・、自らを倒した仮面ライダーゴースト「天空寺タケル」に。
「不快だ・・・。貴様をも可能性を望むか!!」
目のところまで飛び上がり、ガンガンセイバーをアローモードへと変えた。
「あぁ何度だって信じてやる!!どんな絶望の状況でもな!!」
ガンガンセイバーのアローモードから矢をを何発も放つもグレートアイザーには全く効かない。
「ふん!」
大きな手はホープをなぎ払おうとするも、ホープはそれを回避し何発も矢を放つ。
「だから、お前もここで倒す!!」
何発も放ち、次第にグレートアイザーへのダメージも広がっていった。
「図になるな!!」
グレートアイザーは何発もの光弾を落とすも、ホープはそれを避け、さらに距離を詰めていく。
青い光の中、ミウラは目覚めた。
「ここ・・・は?」
海の中のような綺麗な青い景色にミウラは周囲を見渡した。
「僕は・・・。」
こんな無様な負け方をしたら、師匠であるヴィータやシグナム、そしてその主である八神はやては何と言うだろうか。怒るだろうか。それとも悲しむだろうか。どちらにせよミウラにとっては辛い結末ばかりだった。
「僕は・・・また。」
弱かった自分、それを変えてくれた師匠達。そんな大切な人たちの期待や希望を裏切ってしまうと思うと涙が溢れ止まらなくなっていた。
「諦めるにはまだ早いんじゃないかな?」
涙ぐむミウラの前にいたのは一人の青年だった。青年はミウラの手をそっと握ると、空間の天を見上げた。
「たとえどんな困難な状況でも人は命を燃やし続けた。」
ミウラも青年と同じく天を見上げた。
「君の・・・君の魂はまだ燃え尽きてないはずだよ?」
ミウラはそっと青年を見つめた。青年はずっと天を見続けている。
「僕に・・・出来ること・・・。」
"Yes."
「スターセイバー・・・?」
ミウラはスターセイバーを見ると、これまでに見たことないほどの輝きを放っているように見えた。
それを見た青年はそっとミウラの背中を押した。ミウラはその押された背中の力にふと落とされるように前へと足を出した。
「まだ僕に出来ることがあるなら・・・なら!!」
ミウラは走り出した。それを見送るように青年は彼女を見続けていた。
ホープはグレートアイザーに何発もの矢を射て、グレートアイザーもそれを防ぐように矢を弾いていた。
「ちっ・・・。」
ホープが舌打ちすると、グレートアイザーは何発もの光弾をホープはへと放った。
「おっと!!?」
光弾を避け、ホープはそれに負けじと何発も矢を放つ。
「こいつしつこいんだよ!!」
矢に一気にエネルギーを溜め、一気に放った。
「ストームレインアロー!!」
何発もの矢がグレートアイザーへと直撃した。グレートアイザーはふん。と体勢を立て直した。
「愚かな・・・なっ!!?」
「えっ・・・?」
ホープは唖然として見ていた。グレートアイザーの腹が割れ、その割れた部分からミウラが飛び出て来たのだ。ミウラは何十メートルもある場所から飛び降り、スッと地面に降り立った。
「何モンだよマジで・・・。」
眼魂にされた状態から人に戻るなど通常ありえない。だがそれが目の前で起こっている。もうホープには何が何やら。
「大丈夫ですか?」
ミウラの焦るような声にホープはさらに頭を悩ませた。何故こんなあどけない子供がこんな奇跡を起こせたのだろうか。
「あ・・・あぁ。君こそ大丈夫か?」
「はい!」
間髪入れずにミウラは返した。もう何が起こっているのか全く理解できなかった。
「おのれぇ・・・!!」
グレートアイザーは人型に戻り、割れた腹を抑えながらミウラ達へと手を向けた。
「いくよ・・・スターセイバー!!」
"Yes."
「おっと最初から本気モードか。だったら・・・。」
ミウラのアーマーが少しずつ開き、そこからは彼女の持つ魔力が溢れ出していた。それを見たホープはICカードを反転させた。
「抜剣!!」
「バーストチェンジ!!」
ミウラは抜剣を発動するとその魔力が外へと押し出され、周りの草を巻き込むように風と衝撃を起こした。そしてホープは周囲に羽が舞い、後ろには∞"無限大"の文字が描かれていた。
「一気に行くぜ!!」
「はい!!」
二人は同時にジャンプした。
「ゴッド・オメガドライブ!!」
「抜剣・星煌刃!!」
二人の同時に放たれた蹴りはグレートアイザーを貫き、そのままグレートアイザーは彼らの背で爆破した。
「やったな!」
「はい!!」
二人はハイタッチすると、グレートアイザーの高笑いが聞こえた。
「何がおかしい!?」
「ふん、これで揃ったのだ。主人が望んだもの、罪の証・・・。」
「罪の・・・証?」
困惑するミウラをよそにホープはまさか。とグレートアイザーを見た。
「ふふふ・・・はははははははは!!!」
「待て!!」
高笑いするグレートアイザーは彼の問答を聞くことなく砂となって消え去った。
「それってどういう・・・?」
「やっぱり朱崎はビンゴだったって話か・・・!!」
ライタはすぐさま変身解除しバイクに跨った。そして乗れ。とミウラを手招いた。
「どういうことなんですか!?」
「・・・奴は世界を背負おうとしてる。自らを犠牲にな。」
ミウラにはその意図もその言葉の持つ重みさえ実感することはなかった。ライタはそんなミウラをよそにバイクを全速力で走らせるのだった。