リョウヘイがミッドチルダに暮らし始めて一週間が経とうとしていた。
「おはよう。」
リョウヘイは肩に乗ったウラカンを手に乗せて降ろした。彼の前には髪が異常に乱れたフーカがいた。
「はい・・・。おはようございます・・・。」
リョウヘイは後ろに立ち、手に櫛を持った。
「はーい髪とくぞー。」
「おーす。」
これはノーヴェからの提案だった。彼女の傷が癒えるまで・・・ということらしいのだが、リョウヘイも満更でもないらしく、どこか嬉しそうだった。
リョウヘイはフーカの髪を梳いていく。フーカがやってない・・・というわけではないのだが、フーカ自身も面倒くさいらしくそこはリョウヘイに頼っている。
「なんか・・・懐かしいです。」
「どうした急に?」
フーカは少し寂しそうに鏡を見つめた。
「昔、こっちの世界のリョウヘイによく髪をこうして梳いててもらっとったんです。」
「フーカ・・・。」
リョウヘイはフーカを見つめた。彼女にとってはどこか辛いものだったのだろう。
「あー、すいません。ワシの勝手な事情です!」
フーカは少し焦るようにリョウヘイに言った。リョウヘイは思い出すように笑顔を見せた。
「あぁ、全然!髪、終わったぞ。」
「押忍!」
フーカはウラカンを乗せリョウヘイの方を向いた。
「じゃあ、行ってきます。」
「あぁ、いってらっしゃい。」
リョウヘイはフーカをドアの前まで見送った。その後姿をノーヴェが見ていた。
「ホント仲良しだな二人とも。」
「見てたんですか。」
リョウヘイは笑いながらノーヴェの方を向いた。
「あぁ、兄妹みたいだったよ。」
ノーヴェは少しにやけながらそう言った。
「でも、過去聞いちゃったら何とかしてやりたいな・・・。」
「ちょっとの間、お兄ちゃんになってやってくれ。」
ノーヴェは笑顔でリョウヘイにそう言った。リョウヘイはそれにこたえるように、少しぎこちなく、でも確実に笑ってみせた。
あれは、とある暑い夏のことだった。この日はリョウヘイが孤児院を出る日でもあった。
「悪いな。こんな暑い日に。」
「構わん。お前の出る日じゃろうに。」
申し訳なさそうに言うリョウヘイにフーカはそう言った。
「私たちが送りたい。って言ったわけですし。」
リンネも同じくそう言った。
「今日で・・・ほんとに最後なんじゃな。」
「さみしくなるね・・・。」
二人の寂しそうな表情をリョウヘイは呆れ顔で見つめた。
「ったく、いずれ会えるさ。形は違えどな。」
リョウヘイは二人の頭を撫でた。二人は少し笑顔を取り戻して小さく頷いた。
「あっ、そうだ!」
リンネは懐から小さな箱を取り出した。そこからは小さな光が漏れていた。
「これは?」
「ワシらが作ったネックレスじゃ!よく出来てるつもりじゃ!」
フーカは自慢げにそう言った。ネックレスはきれいな紫の光を帯びていた。
「ありがとう。大事にするよ。」
フーカとリンネはリョウヘイの言葉にホッと安堵の息を漏らした。
「そろそろ時間ですね。」
「あぁ、だな。」
リョウヘイはフーカたちに背中を向けて歩こうとした。
「リョウヘイ!!」
フーカの言葉にリョウヘイは振り返った。彼の表情はどこか寂しそうにも見えた。
「ありがとう!!」
「あぁ!!」
リョウヘイは親指を突き上げ彼女たちの元を去っていく。そしてその景色はどんどん歪んでいく。
「・・・夢か。」
リョウヘイが目覚めたのはもう昼過ぎだった。彼が見ていたのはあの日の懐かしい記憶の一部分だった。
「リョウヘイ。」
ノアはリョウヘイの元へと歩いてきた。彼の手には小さな地図を持っていた。
「ここならすべての計画が上手くいく。」
リョウヘイは地図を持ち、不敵な笑みを浮かべた。
「明後日に計画を始める。その際にクロス・オブ・ファイアを使うぞ。」
ノアは首を縦に振った。彼の手にもまたガンバドライバーを持っていた。
フーカは練習場でひたすらサンドバックを殴り続けていた。
「はぁ!!」
彼女の手にともる青い魔力の光はサンドバックを瞬く間に吹き飛ばし、振り子のようにサンドバックを揺らし続けた。
「やってますね。」
そこに来たのはリョウヘイとアインハルト、そしてユミナだった。彼女は学生服を着たまま更衣室へと足を運んだ。
「リョウヘイさん。質問良いですか?」
あぁ。とリョウヘイは普段のように返した。
「違う世界とはいえ、自分と戦う事って怖くないんですか?」
「まぁ、俺は一回それを経験してるから何とも思わないかな。」
フーカは疑問符が浮かんだ。彼女の思考回路では到底追いつけるものではなかった。
「俺は本物の俺を殺して本物へとなった。」
「えっ・・・。」
発言の一つ一つがフーカには追い付けるものではなかった。彼が自分自身を殺したなんて想像すらできなかった。
「でも、それすら超える必要があるんだ。何もかもに負けないために。」
リョウヘイのどこか自信にあふれた顔は疑問を感じたフーカの曇り顔さえも晴れにしてしまうほどだった。
「じゃあ、練習を重ねないと。ですね。」
そうアインハルトは言った。さっきとは変わって、練習用のジャージ姿だった
「あぁ。だな。」
リョウヘイは小さくつぶやいた。
「フーカ。」
リョウヘイの呼び声にフーカは振り向いた。
「リョウヘイに勝ちたいか?」
フーカは頷いた。その眼には炎に勝るほどの熱を帯びていた。
「なら、お前に伝授するよ。「仮面ライダー」の戦い方を。」
「じゃあ私たちからはリョウヘイに教えるよ。「ミッドチルダ」の戦い方を。」
そう言ったのはノーヴェだった。彼女の手には小さなデバイスが乗っていた。
作者:てなわけで更新でございますv
ハルにゃん:随分と長い時間が空きましたね。
作者:まぁ・・・時間が取れなかったんよ
ハルにゃん:でも、今回で少しミッドクロスとの関連性が見えましたね
作者:これからこの過去がどう活きていくか。だね
ヴィヴィオ:本編も終了してますし、あとは描くだけですね!!
作者:あぁ、ですな
ヴィヴィオ:では次回も
全員:リリカルマジカル頑張ります!!