--あれは、とある冬のことだった。--
リンネがこの孤児院を離れると言う話が出て二週間が経とうとしていた。
「もう時期お前も離れるんかぁ・・・。」
「大丈夫だよ。またフーちゃんとも遊べるもん。」
寂しそうに空を見上げたフーカにリンネはそう返した。
「リョウヘイも元気にしとるじゃろうか・・・。」
フーカの言葉にリンネも頷いた。彼がいなくなってから約半年ほどが経ち、それから顔を合わせることもない。
「きっとどこかで会えるよ!!」
リンネの言葉にフーカは小さく頷いた。
「何じゃ?」
最初に気づいたのはフーカだった。外からか分からないが、煙の匂いがしたのだ。普段ないことにフーカは小さな危機を感じ取った。
「リンネ!来い!」
「フーちゃん!?」
死なせるわけにはいかない。その事でフーカは頭が真っ白だった。リンネや皆を死なせるわけには・・・。
「目標を確認。これより排除する。」
「お前らか・・・。院をこんな風にしたのは!!」
男は武装をしており、まるで兵士のように硬く大きな武器を持っていた。
「フーちゃん・・・。」
涙ぐむリンネを背に置き、フーカは確信した。ここで自分は死ぬだろう。それでも・・・。
「大丈夫じゃ・・・。お前はワシが守る。」
男の引き金が引かれていく。咄嗟の判断すら出てこなかった。ここで終わる・・・。そう感じた時だった。
[バナナスカッシュ]
その音声と共に黄色に輝く一つの槍が男を貫いた。男は壁に打ち付けられ、そのまま倒れ込んだ。
「やはり弱者などこんなものか。」
「待ってください!!」
男が歩いていく様にリンネが呼び止めた。男は立ち止まり、二人の方を向いた。
「私、リンネ・ベルリネッタって言います!助けてくれてありがとうございました!!」
「えっと・・・、フーカ・レヴェントンって言います!ありがとうございました!」
男は少しほくそ笑み彼女たちへと近づいた。纏った黄色の鎧は、騎士とも言える西洋の鎧にも見える。
「俺の名は駆紋戒斗。仮面ライダーだ。フーカ、リンネ。お前たちは強くなれ。」
「仮面・・・ライダー?」
フーカたちの疑問に答える事なく鎧の騎士は去っていく。去り際に男は呟いた。
「強くなった末に、俺に勝ってみせろ。」
フーカとリンネは戒斗の背中を見送り、外へと走っていくのだった。
フーカは重く暗い表情で話を続けた。
「彼の言う仮面ライダーがリョウヘイと同じと思うと・・・。」
「それで言い出せなかったわけね・・・。」
そう言い、歩いてきたのはジルだった。ジルは空いてたリンネの隣の椅子に座った。
「駆紋戒斗・・・ってことはバロンか。」
「知ってるんですか?」
リョウヘイにリンネは問いかける。
「あぁ、俺の仲間が一緒のチームだったからな。」
「朱崎勇気・・・か。」
進之介はリョウヘイの言葉にそう答えた。
「んじゃあ、その人に協力を仰がなあかんねぇ。」
「いや、協力はもう仰いでる。」
リョウヘイ以外の全員は絶句した。
「何で言わないんだよそう言うことを!!」
進之介の問い詰めに彼は冷たい表情で返した。
「誰も聞かなかったからだ。」
全員の凍り具合にリョウヘイは頭に疑問符を浮かべた。ただ事実を述べただけなんだが・・・。どうしたものかとリョウヘイは少し皆と目を背けた。
GRZ社では、朱崎勇気があらゆる所へと電話していた。
「え?ダメかい?あーー、分かった!」
彼は自らの電話帳を見つめた。もうとっくに100は超えるであろうガンバライダーに連絡を取っていた。
「忙しそうだね〜。」
そう呑気に入ってきたのは仮面ライダーウィザード。操真晴人だった。
「そりゃなぁ・・・。今回のヤマは大事だからな。」
「で、何人集められてる?」
晴人は彼のリストを覗き込んだ。現在彼の元には6人のガンバライダーが募っていた。
「俺からも伝手を渡ろうか?」
頼むよ。と小さく勇気は呟いた。晴人は彼にサムズアップをした後、部屋を去って行った。
「ったく、完全に檀の尻拭いじゃねぇかよ・・・。」
勇気は真っ黒な天井を見つめた。尻拭いをしてる自分がどうにも気いらない。そう思いながらも、仲間もいることから後には引けなくなっていたのだった。
リョウヘイは、空高くの星を見つめ小さな鼻歌を歌っていた。
「その歌、好きだよね。」
ノアはリョウヘイを覗き込むように見つめた。
「大切な人が教えてくれた歌さ。俺は好きだ。」
ふーん。とノアは彼の横に座り込んだ。彼も同じく空を見上げた。
「時間も見つかったよ。この時間なら奴らも呼び込める。」
そうか。とリョウヘイは流すように話を聞いた。
「いよいよか・・・。」
「これで世界が変われば万々歳だね。」
リョウヘイはネックレスを掌に乗せた。きっとフーカやリンネがこんなこと望んでいない。自らを殺す必要なんてない。そう言うだろう。
「俺は俺の悪を演じ切るよ。フーカ、リンネ。」
この夜が最後になる。リョウヘイは小さな確信を得て自分よりも大きな空へと手を伸ばすのだった。
リョウヘイが目覚めると、フーカは大きな声でリョウヘイを呼んだ。
「どうした・・・?」
リョウヘイが目をこすりながら言うとフーカはそれよりも大きな声で彼へと言った。
「大変です!!街が!」
リョウヘイは飛び起き、ガンバドライバーを手に取った。外を見ると、あらゆる世界の怪人たちが暴れまわっていた。
「どうなってんだよもう!!変身!」
「武装!!」
互いに武装形態となったフーカとリョウヘイは次々に敵をなぎ倒していく。
「遅かったな!!」
ノーヴェがリョウヘイの頭をこついた。拳につけたデバイス「ジェットエッジ」が彼の頭を大きく揺らした。
「どうなってんだ・・・。」
リョウヘイが背後の敵を攻撃したその刹那、遠くから三つの砲撃が彼へと飛ばされた。
「リョウヘイ!!」
リョウヘイは咄嗟に間に合わぬ回避をしようとしたその時だった。
「抜剣!飛燕!」
光弾はそのままの軌道を辿り、敵へと直撃した。
「ミウラ!!」
ノーヴェの言葉にミウラは小さな会釈をした。そしてリョウヘイの方を向いた。
「お話は伺ってます。共に戦いましょう!」
あぁ。とリョウヘイは返し、近くにいたコロナへと声をかけた。
「敵の位置とかって探せないか?」
「敵の位置ですか?うーん・・・。」
コロナは唐突なその言葉に頭を回した。そんな時だった。リョウヘイの元に通信が届いた。
「朱崎さん!!」
「ったく、さん付けはいいって。そんなことより、もう一人のクロスの場所が特定できた。」
朱崎から送られたデータの場所はコロナには覚えがあった。
「ここって・・・。」
ノーヴェがそれを見て驚いた。
「あぁ、オリヴィエとクラウス。つまりヴィヴィオとアインハルトの先代が最後に決闘した場所だ。」
リョウヘイは少し首を横に向けた。
「なぜ奴は敢えてここを・・・?」
ミウラとリオ、そしてヴィヴィオとアインハルト、リンネは一つに固まり彼女たちの元へときた。
「取り敢えずここを何とかしないと・・・!!」
アインハルトの言葉と同時に他方から、砲撃、そしてバインドが怪物たちを仕留めていく。
「ここはうちらに任せてや!」
ジークとこれまで戦った仲間たちがそこにはいた。
「世界の危機ともなりゃあ戦うしかねぇだろ!」
「正義の見せ所ですね。」
ハリー・トライベッカとエルス・タスミンは背中を合わせて敵へと攻撃を仕掛けていく。
「修道院の孤児関連なら黙って見過ごすわけにもいかないよね!」
「暗い過去を持ってる人を見過ごせない・・・。」
シャンテ・アピニオンとファビアクロゼルグもまた敵へと突撃していった。
「皆、サンキューな!」
リョウヘイたちが向かう先にはさらに多くの怪人たちが待ち構えていた。
「どうすれば・・・。」
ミウラの不安げな声は後方からの光弾と雷によって消されていった。
「最強三人組が相手やで!」
「あまり無茶しないようにね?ジーク。」
「私も皆と想いは同じだ。止めてきてくれ。」
ジークの横に並んでいたのは、ヴィクトーリア・ダールグリュンとミカヤ・シェベルだった。
「待たせるわけにもいかない!さっさと終わらせよう!!」
ノーヴェのその言葉に全員が頷き、ジェットエッジの魔法である「エアライナー」で作り出した道で、少女たちは決戦の地へと向かうのだった。