現場へとたどり着いた朱崎はタブレットからそれぞれの戦闘状況を見ていた。
「なるほどね・・・。」
朱崎は敵を見て一抹の不安を覚えた。贋作とはいえ、かつて仮面ライダーを打ち負かした強敵ばかりだ。もしこれで誰かが命を落とそうものなら・・・。
「一人来ないとはいえ、呑気だねぇ。あんたは。」
「・・・ジャズ聴いてるお前もそこそこだと思うよ?」
そこへと話しかけたのは城島だった。朱崎の言葉に返すこともなく城島は朱崎のタブレットを覗くように見た。
「アメショー君ももうくる。それまではちょっとした作戦会議さ。」
城島はそれを聞いてないかのように大きなあくびをして朱崎の横を通り過ぎた。
城島と朱崎の会話を遠くで聞くものもいた。
「呑気だよねぇ。あいつも。」
「マイペースなのが良いところだから、良いんじゃないかな?」
そう話していたのは鞍馬とライタだった。二十歳を超える二人は他よりも落ち着いた雰囲気だった。ライタは優しい言葉を使うも、自らの真剣な眼差しを捨てることはなかった。
「まぁ、心配しなくてもリーダーは何とかしてくれるさ。」
「・・・だと良いんだが。」
心配そうなライタをよそに、鞍馬は青く茂った草の上に寝転んだ。
そこへ、朱崎へと一人の少年が話しかけた。
「ちょっと質問いいか?」
「どうしたの?結城くん。」
朱崎は結城へと目を向けた。彼の冷徹な眼差しは少女へと向けられた。
「アイツ、誰なんだ?」
少女は独り空を眺めていた。朱崎は少女の方を向いた。少女は持つだけで重そうな本を静かに読んでいた。
「あー、彼女は怜ちゃん。ガンバライダー歴半年の超美少女。根は良い子なんだよ?」
少女は目の色を変え朱崎へとダッシュで近づき、仮面ライダー顔負けの鋭い蹴りをお見舞いした。
「だーかーらあああああああ!!僕の名前は葉月です!!あと美女は余計です!!」
「もう君に戦闘を教えた時点で怜ちゃんだったし良くないかな?」
腰を抑えながら立つ朱崎を追撃するように蹴ろうとするも、それは朱崎によって避けられた。
「良いわけないでしょ気持ち悪い!!あんたは僕の彼氏か!!」
「ボクっ娘は嫌いじゃないよ?」
すっとぼけたような声で言った朱崎にもう一撃加えようとした時、結城が言葉で制した。
「取り敢えず、俺が見る限り、格下であることには間違いなさそうだな。」
その言葉に葉月は少し誇らしげに返した。
「まっ、弱い犬ほど良く吠えるもんだからね。格の違いを教えてあげるよ。」
その言葉に結城も腹が立ったのか、葉月を睨みつけた。
「はいはい、内輪揉めはそこで終わりだお二人さん。」
そこにレフェリーストップを入れたのはライタだった。それをふと見て朱崎は空を見つめる。
「まだ来なさそうなのか?最後の一人は。」
そう声をかけたのは鞍馬だった。それに対して朱崎は小さく頷く。
「まだ来なさそうだ。・・・アメショーくん、まだ来ないかなぁ。」
後ろが騒がしい中、朱崎と鞍馬は冷静沈着にモニターを見るのだった。
ウィザードとドライブは肩を並べて銃撃で敵を引き寄せなかった。
「こいつらどこまで湧くんだよ!!」
「焦んなよドライブ。クールにいこうぜ?」
「あっ、ちょっ、おまっ・・・。」
焦るドライブをよそにウィザードは走り出し、ヴィクターの背へとついた。
「お嬢さん。俺と踊らないかい?」
ヴィクターはウィザードを見て鼻で笑った。
「ならその気にさせてちょうだい?」
「おぉお嬢様気質か。嫌いじゃないよ。」
\\チョーイイネ!サンダー!サイコー!!//
「百式 神雷!!」
二人の稲妻は瞬く間に敵も焦がし消し去った。
「やるじゃない。」
「そっちもね。」
一方でドライブはエルスのバインドで捕獲した敵を次々に切り裂いていった。
「あんた凄えな!」
ハリーの言葉にドライブは少し得意げに笑ってみせた。
「こんなことも出来るぞ。」
\\タイヤコウカーン!マックスフレア!//
ドライブは炎をまとい、剣にもその暑さを纏わせた。
「凄えけど負けらんねぇぜ!!」
「あぁ、ひとっ走りつき合えよ!!」
\\フルスロットル!マックスフレア!//
「俺式!一撃必殺パンチ!!」
二人の打撃は敵を打ち抜き爆砕させた。
「やるじゃないか!ふたりとも。」
「ナイスドライブ!良い運転だった!」
「おう!・・・ってええええええええええええ!!?」
二人は喋るベルトの前に出す言葉もなかったのだった。
ユミナはそこら中にいる敵から逃げ回ることを繰り返していた。
「うぅ・・・。どこに逃げれば良いの・・・?」
裏道に入った時、微かではあるが嫌な音がした。
「えっ?これってもしかして・・・。」
嫌な予感は的中していた。そこら中からモンスターがわんさかと出てきた。
「きゃああああああああああ!!!」
彼女の叫び声を聞くものはいない。終わった。その刹那だった。
\\Clock Over//
その音声と共に敵は消し飛び、目の前には白いガンバライダーだけがいた。
「えっ・・・?」
\\Clock Up//
また戦士は加速を始め、瞬く間に消えていった。
「何だったの・・・?今の?」
ユミナはその正体がわからぬまま、前へと進むのだった。
朱崎は遠くを見つめていると、走ってくる影が見えた。それがアメショーであることは明らかだった。
「猫の登場かな?」
「遅れてごめんごめーん!」
朱崎の言葉をすっ飛ばして謝るも、その言葉の軽さから反省の意が見えることはなかった。
「・・・訳だけ聞こうか?」
少しトーンを落とす鞍馬とは対照的にアメショーは嬉しそうに話す。
「あのね!スッゴイ可愛い女の子いたの!んで助けてたらこんな時間!」
「ったく、お前ってやつは・・・。」
あまりのマイペースさに言葉を失う鞍馬。しかし葉月は見たこともないほど引いた目でアメショーを見た。
「えぇ・・・。それって穀粒しなんじゃ・・・。って痛い痛い!!」
「こーら紅一点。男にそんなこと言うもんじゃないよ。」
ライタは明らかに口が滑った葉月の頬を容赦なく引っ張った。彼女は離そうとするも、ライタが離すことはなかった。
「穀潰しって何?」
「あんたは知らなくて良い言葉さ。」
アメショーは近くにいた城島に聞くも、意味の言いづらさに城島は言葉を濁した。
「んじゃあ、作戦の説明をしていくぞ。」
朱崎は大きな声で周囲の目線を集めた。さっきとは打って変わり、真剣な表情で皆を見つめた。
「今回のミッションはクロス・オブ・ファイアとガンバライダークロスの計画の阻止だ。相手は贋作で二対一。とはいえ、 ラスボスクラスの強さだ。気をつけて取り掛かるように。」
朱崎は一度呼吸を抑えてから話を続ける。
「今回のミッションはガンバライジング社としてではなく、ガンバライダー、そして一人の人間として戦うことになる。だから敢えて言う・・・。死ぬなよ。」
全員がそれに敬礼したのを見計らい、声を出す
「総員。指定の位置へと向かえ!」
全員が動き出した。しかし、葉月は少しだけ、空を眺めた。
「面倒臭がり屋の君がこのミッションに参加するとは思ってもなかったよ。」
そう声をかけたのは朱崎が変身したガンバライダー「セイオウ」だった。
「ロードやチヒロのダチだって聞いたからね。あいつには貸し借りがある。」
ふーん。とセイオウが空返事をする。
「んじゃあ、借金は減らさなきゃね。」
葉月は軽く頷き、ガンバドライバーを装填した。
[Ganba driver stand by ready.]
「変身!」
葉月は青を体に纏い、ガンバライダー「ブラット」へと姿を変えた。そしてセイオウとともに大空へと羽ばたいて行った。