鉄血のオルフェンズ 黒狼   作:妖牙

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 前回の投降から、かなりの時間が経ってしまい申し訳ありませんでした。相変わらずのお粗末な内容ではありますが、読んで頂ければ幸いです。

 注意・今回のお話では、原作(厳密に言えば原作外伝)ブレイクの要素があります。苦手な方はご注意下さい。


第四話

第四話胎動 

 

 雲一つない青空、正に快晴と呼んで良い程の天候だ。そんな青空の下を、俺は親父と共に車で移動していた。勿論、『いい天気だからピクニックにでも行こうか』とか思って外に出てきた訳ではない。当然色々と目的があっての外出なのだ。

 

 まあ、その目的が結局のところ私用だから、仕事とかみたいな大した理由でもないんだがな。

 

「『別荘』に運び込まれたってことは、もう動かせるってことで良いんだよな?」

 

 今朝方届いた知らせについて親父にもう一度確認を取る。『別荘』というのは文字通り『ラインベルガー家』が保有している別荘地の一つのことなんだが、今俺達が目指している所は他の別荘地に比べると特殊な設備が揃っている所謂『関係者以外立ち入り禁止』の場所だ。勿論、疚しいことをしている訳じゃないからそこは安心してほしい。

 

 まあ、そんな場所だから『ラインベルガー家』では敢えて隠語を使って表現している。

 

「ああ、動かす分には問題ないらしい。只、もう暫くは調整が必要だそうだ。」

 

「もう暫くはお預けかあ・・・。」

 

 親父からの言葉を聞いてテンションが幾らか下がってしまう。そりゃそうだ、漸く夢が叶うかと思ったらまだお預けなのだと言われてしまったのだから。

 

 まあ、もう暫くの我慢だと言い聞かせて何とかテンションを持ち直す。

 

「そんな声を出さないでくれ。こっちも急ピッチで用意しているんだ。」

 

 落ち込んでしまった俺を見た親父は、本当に申し訳なさそうな顔をしながら言葉をかけてくる。

 

「ごめん親父。我儘ばっかり言ってさ。」

 

 親父が奔走してくれているのは知っているし、親父の頼みで沢山の人達が動いてくれているのも知っている。何よりもこれは俺自身が言い出した我儘なのだ。だから親父が謝るのはお門違いなのだ。

 

 親父に謝らせてしまったこと、そして自分の我儘で振り回してしまっていることに対して頭を下げる。

 

「良いんだよレオ。滅多に我儘を言わないお前が言ってくれた我儘なんだ、何があっても叶えてみせるよ。」

 

 頭を下げた俺に対して、とても優しい声でそう言ってくれる親父。全く、本当に良い親父殿だよ。

 

「有難う、親父。」

 

「ハハハ!感謝しているのなら、早くアンジェちゃんと結婚して孫を見せておくれ。」

 

 ・・・調子にさえ乗らなければ本当に良い親父なんだがな。まあでも、親父の言葉はそのうち実現させるつもりだ。いい加減覚悟を決めなきゃな。

 

 尤も、親父には最後まで内緒だがな!(ゲス顔)

 

「ハハハ!運転手さん、このポンコツ降ろして貰っても良いですか?」

 

「レオ!?あれ、車減速してない?もしかして本当に降ろしちゃう感じなの!?運転手さん、何その笑顔!?マジなのぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 そんな感じで親父と会話しながら俺達の乗った車は目的地へと向かっていった。因みに親父は降ろされませんでした。それと親父がこうやって弄られるのはもう我が家ではお約束みたいなものだから気にしないでもらいたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、元気そうだな。」

 

 目的地である『別荘』に到着し、車から降りた俺は閉ざされた門の前で立ち続けている青年に片手を上げながら声をかける。

 

 俺の姿に気付いた青年は笑顔を浮かべながらこっちに視線を向けてくる。その後、俺の後ろの方へと視線を向けると今度は会釈をしている。後ろからは親父が俺に遅れてやって来て、二人で肩を並べながら『別荘』の大きな門の前へと立つことになる。

 

 今目の前にあるのは、確かに我が家が保有する『別荘』だ。尤も、貴族がバカンスの為に訪れるような洒落た館ではなく、工業関連の企業が保有していても可笑しくはない規模の工場だが。

 

 もうお分かり頂けるだろう。そうここは『ラインベルガー家』が保有している事業の中でも、重工業を担当する部門が使用している工場施設なのだ。え?保有している事業ってどういうことだって?ああ、説明してなかったね。元々『ラインベルガー家』は商家の家系だったのさ。貴族としてはまだまだペーペーだが、商家としてみればその歴史は何と200年間も続いているという老舗なのだ。因みに創業は厄祭戦から約数十年程経った頃らしい。何とも逞しいご先祖様だ。

 

 とまあ、そんな我が家である。老舗である以上保有している事業は多く、更に追加された事業もあるのだ。だからこうして重工業事業とか、その事業で使う施設を保有していても可笑しくはないのさ。多分。

 

 商家の家系なのに貴族になれるの?とか思われるだろうが、まあそこは色々あったのさ。主に親父の前の当主、つまりは俺の爺様が色々と根回しをしたからなんだ。だから俺にも詳しいことは分からん。

 

 まあ、そんな訳で我が家はこんな施設を保有しているのさ。

 

「はい、お陰様でこの通りです。」

 

 俺のかけた声に門番をしていた青年が笑みを湛えながら反応を示してくれる。彼とはそれなりに面識があるからこうして話しかけているのだ。

 

「そりゃあ何よりだ。それで、『アレ』はどうなってる?」

 

「既に運び込まれています。奥の方にありますよ。」

 

 お目当ての物が今どうなっているのかについて尋ねると、それに嫌そうな顔をせずに答えてくれる青年。事務的にって感じじゃない態度で接してくれるのが嬉しく感じられる。

 

「そうか、分かった。教えてくれてありがとな。」

 

「お役に立てたのなら何よりです。」

 

 教えてくれたことに礼を言うと、笑顔を浮かべながらそう言ってくれる。そして、無線機で何処かに連絡を入れている。

 

 青年が無線機での通信を切った直後、目の前の門がゆっくりと開いていく。

 

「んじゃ行こうぜ親父。」

 

「ああ。」

 

 門が開ききったのを確認した後、青年に手を上げて挨拶をした後、親父と共に門の中へと足を運び始める。この門の先にあるお目当ての物に心を躍らせながら、施設の奥を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、来たか!待っていたぞ!」

 

「お久しぶりです、叔父さん。」

 

 お目当ての物があるという施設に到着すると、黒髪の男性から声をかけられる。顔立ちは親父と似通っているが、親父よりも男らしく体格もがっしりとしている。親父が気立ての良い紳士なら、彼は職人気質の漢といったイメージだろう。

 

「相変わらずそうだなぁ、クラウス。」

 

「兄貴もな!」

 

 そして親父の言葉に嬉しそうに反応する男性。心なしか親父の声も嬉しそうだ。

 

 ここまでの一連の遣り取りを見て分かったと思うが、今目の前に居るのは俺の親父の弟である『クラウス・ラインベルガー』だ。仕事とかには厳しい人ではあるが、それ以上に面倒見が良く非常に頼りになる人だ。因みに親父との兄弟仲は頗る良好である。どれ位良好かっていうと、人目を憚らずに抱き合うくらいだ。一応言っておくが、断じて二人にそっちの気はないから安心して欲しい。

 

「それで、頼んでいたものは?」

 

「おう!もう外装はバッチリだ!後はソフトウェア関連だな!」

 

 親父が尋ねると、叔父さんは自信に満ちた表情を浮かべながらそう言った。

 

「ウォーレン家の人達はいないんですか?」

 

「ああ、向こうはもう引き上げたぞ。データも十分取ったらしいし、何より特殊装備の整備ももう完了したようだからな。」

 

 俺が叔父さんに質問すると、叔父さんからはそんな答えが返ってくる。え?『ウォーレン家』ってどういうことだって?ふふ、聞いて驚け。俺が居るこの世界では、『ウォーレン家』は取り潰しに遭っていないんだ。つまり、俺が介入しました。

 

 いや、最初は見知らぬ振りをしようかなと思ったんだけどね?既に親父が『ウォーレン家』と接触を図っちゃっててさ、しかも俺もウォーレン卿がどんな人なのか知っちゃったからこれはもう見捨てられないなと思って動いた訳さ。まあ、『ヴィル・クラーセン』が気に食わなかったっていうのもあるが。

 

 それで、俺が具体的に何をしたのかといえば、俺は只『ヴィル・クラーセン』がやっている(やろうとしている)ことを調べるように親父を誘導しただけだ。えっ?そんなので歴史変わるの?とか思った貴方。変わっちゃったんだ。(白目)

 

 いや~、その頃の親父は親バカだったから俺の言葉に甘かったんだ。だから、『アイツ嫌な感じがする~。』とか言ってみたら、『ハハハ!ならパパが成敗してあげよう!』とか言ってたからさそれなりに動いてくれるかなと思ってたら、元々親父も『ヴィル・クラーセン』が気に食わなかったらしく徹底的に殺っちゃったんだ。(誤字に非ず)

 

 事実を知っていくごとにまあ凄い形相になりながら怒りのオーラを漂わせてさ、『コイツは俺が叩き潰してやる・・・!』って言ってたんだ。親父が自分のことを『俺』って言ってたのをその時初めて聞いたよ。そのギャップとプレッシャーに思わず漏らしそうになったわ。

 

 んでまあ、その後は怒涛の勢いで話が進んでいってな。気が付けば『ウォーレン家』は何事も無かったかのように存続していたのさ。ん?『ヴィル・クラーセン』がどうなったのかって?それは察してくれ。

 

 親父の有能さと怒らせたときの恐ろしさを実感させられた良い機会だった。因みに調査は俺自身でもそれなりにやっていたから、親父が動いてくれなくても何とかするつもりだった。まあ、その調査も無駄になってしまった訳だが、結果オーライだから気にしない。

 

 従って、『ウォルコ・ウォーレン』は記憶チップを埋め込んだりもしていないし、『ガンダム・アスタロト』がアングラな市場に流されるなんて事態にも陥っていない。そこら辺が原作とは違う所かな。

 

 ――――――そういえば、どっかの複合企業の銀行部門で代表をやっていたという人間が、自分のやっていた汚職がバレて検挙されたらしいが、まあそんなことはどうでもいいか。

 

 とまあそんな訳で、『ウォーレン家』と『ラインベルガー家』はそれなりの交流を持っているのだ。

 

「まあ、そんなことは置いておこう。こっちに来てくれ。」

 

 叔父さんは親指で奥の方を指さした後、その方向へと足を進め始める。俺と親父もそれに倣って足を進める。奥の方へと進むにつれて、少しづつ巨大な人型が見えてきた。

 

 気が付けば走っていた。俺よりも前の方に居た叔父さんをあっさりと追い越し、お目当ての物の全貌が良く見える位置で足を止める。

 

 特徴的なアンテナ、人間の目のように二つ付けられたツインアイタイプのメインカメラ、胴体部分の装甲の隙間からでも確認できる専用設計された二つのエイハブ・リアクター。

 

 装甲は俺に合わせてか黒に染められているが間違いない。これこそまさしく――――――――

 

「――――――――――ガンダム!」

 

 そう、あの画面越しに見詰め続けてきたあの『ガンダム』なのだ。何時か乗ってみたいと思っていた、でも叶うことは決してないのだと諦めるしかなかった。そんな夢が今目の前に立っている。『ガンダム・フレーム』そのものは何度か目にする機会はあった。だが、動かしたことは今まで全くない。しかし、今目の前にあるのは俺専用に用意された物。つまり、これを自分が動かせるのだ。この事実に興奮せずにいられる訳がない!

 

「ハハッ!アハハハハハッ!」

 

 歓喜の余り、両腕を広げハンガーに固定されているガンダムを見上げながら笑ってしまう。傍から見れば狂人みたいだが、こればっかりは仕方があるまい。

 

「その様子だと、気に入って貰えたようだね。」

 

「ああ!最高の気分だ!」

 

 嬉しそうに俺に話しかけてくる親父に、こっちも喜びを包み隠さないまま返事を返す。

 

「見ての通り外装は完璧だ。只、レオの要望にあった機体制御用のOSがもう少し時間がかかる。動かせるのはそれからだな。」

 

 因みにこの機体、俺の要望で他の機体とは少し異なるOSを組み込む予定だ。まあ、どんなものなのかは実際に動かしてみてからのお楽しみということで。特殊装備もその時だな。

 

「今月中には動かせるんですよね?」

 

「そりゃあな。早ければ今週中にでも動かせるようになる。」

 

 早ければ今週中にも動かせるようになるという言葉を聞いて、どうしようもなく胸が高鳴ってくる。ああ、早くこいつと一緒に駆け回りたいもんだよ。

 

 そう思いながらグッと拳を握り締めていると、ポケットの携帯端末から通知音が鳴り響いてきた。このメロディーは仕事先、つまりはギャラルホルンからの連絡であることを示している。

 

 しかも、これは滅多に鳴ることのない『然る御方』からの連絡であることを示すメロディーだ。つまり、厄介事であるのは間違いない。

 

「悪い親父、仕事先からだわ。」

 

「ん?そうか、分かった。」

 

 親父に一言だけ告げて、俺は出来る限り静かな場所へと移動する。どんよりとしている俺の心とは裏腹に、爛々と輝く太陽と美しい青空を見上げながら、携帯端末を操作し通話を開始した。

 

『――――――休暇中に済まないな、レオナルド。』

 

「そう思うのであれば、連絡を寄越さないで欲しいんですがねぇ・・・。」

 

 それなりに威圧感が感じられる渋い声が端末から俺の耳に入ってくる。余りにも能天気にも聞こえるその言葉に一瞬青筋が浮かびかけたが、何とか堪える。

 

「それでご用件は?まあ、貴方からの連絡ということは『セブンスターズ』絡みの案件なのは目に見えていますがね。」

 

 俺がそう呟くと、何が可笑しいと感じたのかは知らないが控えめな笑い声が聞こえてきた。解せぬ。

 

『相変わらず『鼻』が良いな。まあ、お察しの通りだ。近い内にお前には火星に飛んでもらうぞ。』

 

 アカン、その一言聞いただけで誰が絡んでいるのかハッキリと分かっちゃった。あの腹黒金髪野郎とガリガリめぇ・・・いつか絶対にしばき倒さなきゃ。(使命感)

 

「・・・了解致しました。詳細は後日お伺い致します。」

 

『ああ、細かい段取りが決まったら追って連絡する。』

 

 それだけ交わしたら、通話が切れた。やれやれ、何故俺はこんな無茶振りをさせられているんだろうか・・・。ギャラルホルンは何時からブラックになった・・・あっ、元から腐敗で真っ黒でしたね。(諦観)

 

「はぁ・・・取り敢えず色々と準備しておくか。」

 

 余りの無茶振りに目頭を軽く押さえながら、親父達の所へと足を運ぶことにする。通話が終了し、既に沈黙してしまった携帯端末の画面に写る先程まで会話をしていた人物の名前を凝視する。

 

「何で俺この人に捕まっちゃったんだろうなぁ・・・。」  

 

 その携帯端末の画面には、こう記されていた――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――ラスタル・エリオン、と。 

 

 




~今回登場した機体について~

『正体不明のガンダム・フレーム』
 『ラインベルガー家』が発掘したガンダム・フレームの内の一機。機体色は黒を基調としている。形式番号や名称、装備等といった詳細な情報については現時点では一切不明。だが、OSについては既存のMSに搭載されているものとは異なる物を使用する予定らしい。OSの開発にはレオナルドのアイディアが盛り込まれているとのこと。
 また、この機体固有の特殊装備が完全な状態で残されているらしいが詳細は不明。だが、この特殊装備の整備に『ウォーレン家』の人間が関わっていたようで、このことから『ウォーレン家』が保有している『ガンダム・アスタロト』とは何らかの関連性があるのではないかと思われる。





 今回のお話については意見が分かれると思いますが、何卒ご了承頂ければなと思います。まあ、その御蔭?なのか『月鋼』は見る影もなくなってしまいましたが・・・。

 色々と突っ込みどころは多いと思いますが、そこは温かい目で見て頂ければなと思います。

 最後の人名についてですが、詳細は次回に明かしたいと思います。尤も、この名前を聞いた時点で、既に主人公の所属を察した方もいらっしゃるとは思いますが・・・。

 謎のガンダム・フレームについてですが、いずれその詳細に触れていくのでそれまでお待ち下さい。分かってしまったという方がいらっしゃるかもしれませんが、感想欄等でネタバレなんかをしないで頂けると助かります。

 次回はいよいよ原作突入(の予定)です。
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