マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
佐藤さんの初ゼリフが『もけっ! もけもけッ!!』になってしまうとは……この海のリ〇クの目をもってしても読めなかった……!!

あっ、迷宮兄弟も登場していました。



第103話 立ちはだかる迷宮

 

 

 折角の神のカード奪取のチャンスを逃してしまった光の仮面は苛立ち気に思案する。

 

――コイツらに三幻神のキラーカード、《生贄封じの仮面》は必要ないんだな!

 

 その言葉通り、『オシリスの天空竜』を取り戻す為に投入していたカードをデュエル前にデッキから外していた光の仮面――闇の仮面も同様の処置を既に行っていた。

 

 

 そしてタッグ形式のバトルロイヤルルールでの最初のターンプレイヤーとなった光の仮面は「すぐに終わらせてやる」とデッキに手をかける。

 

「最初はオレのターンだかんな! ドロー!」

 

 引いたカードを見た光の仮面は仮面の裏側に取り付けられた小さなマイクで闇の仮面に小声でコッソリと通信を試みる。

 

『相棒、手札の調子はどうだ? 俺が魔法カード《手札抹殺》を使っても問題は?』

 

『いや、問題ないぞ!』

 

 すぐさま返ってきた闇の仮面の言葉に満足する光の仮面。

 

 だが、タッグ形式のデュエルでタッグパートナーとの相談は明確なルール違反である――だからこそコソコソと隠しているのだが。

 

「オレは魔法カード《手札抹殺》を発動! 互いは手札を全て捨て、捨てた枚数だけドローだかんな!」

 

「 「 手札入れ替えのカードか!? 」 」

 

 声を揃えて驚く迷宮兄弟に光の仮面は相手のキーカードを墓地に落とせそうだとほくそ笑む。

 

「そうだ! そしてこのデュエルは『バトルロイヤルルール』! よって《手札抹殺》の効果は全てのプレイヤーに及ぶかんな!」

 

 バトルロイヤルルールゆえの特殊な裁定を光の仮面は説明しつつ、4人のデュエリストは手札を入れ替えていく。

 

「そして魔法カード《予想 GUY(ガイ)》を発動だかんな! オレのフィールドにモンスターがいないとき、デッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚! 来いっ! 《仮面呪術師カースド・ギュラ》!!」

 

 小さなスパークと共に地面からスルリと現れたのは金の細工の入った仮面を付けたまじない師。

 

 だがその身体は淡い青の人間味のない肌。そして足はなく、亡霊のような装いでゆらゆら腕を揺らし、親指を下につき下ろす仕草を見せる。

 

《仮面呪術師カースド・ギュラ》

星4 闇属性 悪魔族

攻1500 守 800

 

「そして魔法カード《黙する死者》を発動! 墓地の通常モンスターを蘇生するかんな! 甦れ、《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》!!」

 

 身体の中央の「C」の文字が特徴的な鉱石のような甲殻の蟹が横歩きで光の仮面の足元に歩み寄る。

 

化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》

星2 炎属性 水族

攻 700 守1400

 

「《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》はデュアルモンスター! フィールド・墓地では通常モンスターとして扱い、フィールドで再度召喚されることで効果モンスターになるかんな!」

 

 薄黄色の身体を元気いっぱいに伸ばす《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》だったが――

 

「《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》を再召喚! これでコイツの効果が使えるかんな!」

 

 その全身は銀色に輝き、より硬度を増した姿となった。

 

「《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》の効果発動! 1ターンに1度、オレのメインフェイズにデッキからデュアルモンスターを1体墓地に送って、デッキからデュアルモンスターを1体サーチするかんな!!」

 

 《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》は2つのハサミで器用に地面を掘って行き――

 

「デッキから《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》を墓地に送り、デッキから《進化合獣(しんかごうじゅう)ダイオーキシン》を手札に加えるかんな!!」

 

 その穴に落ちていくのは黒い毛を持つ青い悪魔の召喚師、《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》。

 

 そして《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》を足場に光の仮面の手札に跳躍したのは様々な生物を繋ぎ合わせたキメラのような悪魔、《進化合獣(しんかごうじゅう)ダイオーキシン》。

 

「更に魔法カード《トレード・イン》を発動だかんな! 手札のレベル8、《進化合獣(しんかごうじゅう)ダイオーキシン》を捨て、2枚ドロー!」

 

 だが手札に舞い戻ったのも束の間、《進化合獣(しんかごうじゅう)ダイオーキシン》はすぐさま《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》の後を追う結果に――周囲に悲し気な声が木霊する。

 

「此処で2枚目の魔法カード《黙する死者》を発動! 墓地の通常モンスターを守備表示で蘇生するかんな! 来なぁ! 禁忌の術師! 《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》!」

 

 今度こそフィールドに現れた《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》は左手の人の頭蓋骨が先端についた杖を地面に打ち付け、長い尾を揺らしながら右手を天に突き上げる。

 

魔族召喚師(デビルズ・サモナー)

星6 闇属性 魔法使い族

攻2400 守2000

 

「そしてフィールド魔法《化合電界(スパーク・フィールド)》を発動!」

 

 フィールドに電磁波のような磁場が波打ち空を覆っていく。

 

「コイツの効果でオレは通常召喚に加えてメインフェイズに1度、デュアルモンスター1体を召喚できる! 《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》を再召喚!!」

 

 《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》の背後から青いオーラが立ち上る。

 

「これで《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》の効果が使えるぜ! コイツは手札・墓地の悪魔族モンスターを1体呼び出すことが出来るかんな!!」

 

 その青いオーラは光の仮面のフィールドに降り立ち――

 

「オレは墓地の《魔犬オクトロス》を呼び出すかんな!」

 

 小さな身体に似合わぬ2本の角が生えた巨大な頭を持った黒い犬がそこから歩み出る。その黒い身体には赤い人の骨を描いたような文様が浮かんでいた。

 

 しかし、その恐ろし気な外見で尻尾をブンブンと嬉しそうに振っている為、どこか間が抜けた雰囲気がデュエリスト間で流れる。

 

《魔犬オクトロス》

星3 闇属性 悪魔族

攻 800 守 800

 

「そんでもって魔法カード《トランスターン》を発動! 《魔犬オクトロス》を墓地に送って同じ属性・種族でレベルが1つ高いモンスターをデッキから呼ぶかんな!」

 

 その《魔犬オクトロス》の口から黒い泥のようなものが零れ、その全身を覆っていく。

 

「来ぉいッ! 《メルキド四面獣(しめんじゅう)》!!」

 

 やがてその泥を吹き飛ばす様に回転しながら現れたのは駒のような身体の四方に4つの仮面を付けた悪魔――その4つの仮面はそれぞれ別々の表情を浮かべ、異なる感情の声を上げている――って、うるせぇ。

 

《メルキド四面獣(しめんじゅう)

星4 闇属性 悪魔族

攻1500 守1200

 

「此処でフィールドから墓地に送られた《魔犬オクトロス》の効果でデッキからレベル8の悪魔族モンスターを1体手札に加えるかんな! 《仮面魔獣デス・ガーディウス》を手札に!」

 

 《魔犬オクトロス》の地の底に響くような遠吠えが木霊し、やがて光の仮面の手札に禍々しいオーラが集まっていく。

 

「そして《仮面呪術師カースド・ギュラ》と《メルキド四面獣(しめんじゅう)》のどちらかを含むオレのフィールドのモンスターを2体リリースしてコイツは呼び出せる!!」

 

 《仮面呪術師カースド・ギュラ》と《メルキド四面獣(しめんじゅう)》の仮面から亡者の呻き声のような叫びが木霊する。そして2体の身体はボロボロと崩れていき――

 

「このデュエル、さっさと終わらせるかんな! 舞い降りろ! 《仮面魔獣デス・ガーディウス》!!」

 

 2体の贄を喰って降り立ったのは巨大な身体を持った仮面の異形。その縦に長い頭が両肩にもそれぞれ伸びており、その手足は骨のような甲殻で覆われ、その先には鋭利な爪が伸びていた。

 

 そしてその身体の中央には拘束された人間のようなものが苦し気に呻き声を上げる。

 

《仮面魔獣デス・ガーディウス》

星8 闇属性 悪魔族

攻3300 守2500

 

「にゅふふははははははは! どうだ! どうだ! この圧倒的な力は!!」

 

 1ターン目から自身の切り札を呼び出した光の仮面は高らかに笑う。

 

「 「 攻撃力3000オーバーのモンスターだと!? 」 」

 

 声を揃えて驚きを見せる迷宮兄弟の姿に光の仮面は満足気だ。

 

 しかしそんな満足気な光の仮面に闇の仮面からの通信が入る。

 

『俺は次のターンでフィールド魔法を発動したい。お前はどうだ?』

 

『問題ないぜ、相棒!』

 

 そんな闇の仮面の要請を快く引き受けた光の仮面は動き出す。

 

「此処で墓地の魔法カード《シャッフル・リボーン》を除外して効果を発動! オレのフィールドのカードを1枚デッキに戻すことで1枚ドロー出来る!」

 

 フィールドを覆う電磁場が揺らいでいく。

 

「フィールド魔法《化合電界(スパーク・フィールド)》をデッキに戻し、1枚ドローだかんな!」

 

 そして光の仮面の手札に集まっていった。

 

「カードを2枚セットして、ターンエンドだかんな! 《シャッフル・リボーン》の効果でこのエンド時に手札を除外する必要があるが――オレの手札は0! 意味ないかんな!」

 

 

 

 1ターン目からいきなり切り札クラスのカードを呼び出した光の仮面を警戒するように次のターンプレイヤー、迷宮、弟は内心で一人ごちる。

 

――《仮面魔獣デス・ガーディウス》……なんと恐ろし気なモンスターよ。さらに《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》がいる限り何度でも蘇る訳か……厄介な!

 

「1ターン目からこれ程の布陣を引くとは――こやつら、やりおる!」

 

「しっかりするのだ、弟よ! 如何なる相手だろうとも、我らの力を合わせれば恐れることはない!」

 

 そんなどこか弱気な迷宮、弟の言葉に迷宮、兄は発破をかける――タッグ形式のデュエルは自分たちの十八番ではないかと。

 

「すまぬ、兄者! 少し弱気になっていたようだ! 我らのコンビネーション、奴らに見せつけてやらねば! 私のターン、ドロー! 私は《おもちゃ箱》を召喚!!」

 

 赤いリボンでラッピングされた白い箱がフィールドにちょこんと落ちる。

 

 その箱の中には様々なぬいぐるみが所狭しと並んでいた。

 

《おもちゃ箱》

星1 光属性 機械族

攻 0 守 0

 

「更に魔法カード《二重召喚(デュアルサモン)》を発動! このターン、2度の通常召喚が可能になる!! 《カオスエンドマスター》を召喚!!」

 

 次に降り立つのは白い装束で全身を包んだ白い天使の羽を持つ戦士。その戦士は拳を握り、臨戦態勢を取る。

 

《カオスエンドマスター》

星3 光属性 戦士族

攻1500 守1000

 

「此処でカードを2枚セットし、魔法カード《命削りの宝札》を発動! 私は手札が3枚になるようにドローする!!」

 

 新たに補充されたカードに迷宮、弟はニヤリと頬を緩める――良いカードが引けたようだ。

 

「そして新たに3枚のカードをセットし、ターンエンド! このエンドフェイズ時に《命削りの宝札》の効果で手札を全て捨てねばならんが、今の私の手札は0だ!」

 

 2体のモンスターに加えて5枚のセットカードで守りを固めた迷宮、弟は悪くない立ち上がりだと自信ありげに腕を組む。

 

「大きな口を聞いた割に雑魚を並べ、守りを固めただけとはな!」

 

 だが闇の仮面は迷宮、弟を挑発するかのように嘲笑うが――

 

「そのような挑発に乗りはせぬ、『バトルロイヤルルール』では全てのプレイヤーが最初のターンを終えるまで攻撃はできん――守りを固めるのは当然と言うもの……なぁ兄者!」

 

「勿論だ、弟よ!」

 

 迷宮兄弟の息の合った返しに逆にイラっとする闇の仮面。

 

 

「減らず口を! 俺のターン、ドロー!」

 

 そしてイライラしたままデッキからカードを引き抜く。

 

「俺は魔法カード《儀式の下準備》を発動! デッキの儀式魔法《仮面魔獣の儀式》を選び、そこに記された儀式モンスターをデッキ・墓地から選ぶ――《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》を選択!」

 

 黒い鳥が闇の仮面の肩に止まり、羽を広げて迷宮兄弟の2人を威嚇する。

 

「そしてその2枚を手札に加える!!」

 

 やがてその口元の2枚のカードを闇の仮面に渡した後は満足気に飛び去って行った。

 

「此処でフィールド魔法《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》を発動!」

 

 フィールド全体が白い教会へと姿を変えていく――闇の仮面の「闇」の文字にそぐわない景色だ。

 

「早速その効果を使わせて貰うぞ! 《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》は1ターンに1度、手札の魔法カードを捨て、デッキから儀式魔法を手札に加える!」

 

 墓地に送られるのは仮面に巨大な足の生えた台座――儀式魔法《仮面魔獣の儀式》。

 

「俺は先程手札に加えた儀式魔法《仮面魔獣の儀式》を墓地に送り、デッキから儀式魔法《高等儀式術》を手札に加える!!」

 

 やがて《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》の祝福の鐘が鳴ると共に闇の仮面への手札に加わるのは石碑に刻まれた魔法陣。

 

「手札に加えた儀式魔法《高等儀式術》を発動! レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるようにデッキから通常モンスターを墓地に送り、手札の儀式モンスターを儀式召喚する!!」

 

 その魔法陣に一際大きなイカズチが落ちて周囲を照らし、さらに大地を揺らす。

 

「俺はデッキからレベル4の通常モンスター《シャイン・アビス》を2体墓地に送り、儀式召喚!!」

 

 そして魔法陣に贄として丸い青い脚部の機械仕掛けの天使が2体浮かび上がり――

 

「ブルーアイズすら超えた力を見せよ! レベル8! 《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》!!」

 

 呼び起こされたのは異形の二脚を持った魔獣――かつて魔導士であったのか、その手には杖が握られている。

 

 しかし今やその身体の至る個所に禍々しい仮面が融合し、邪悪な化生の姿で知性など感じさせない声で咆える。

 

《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》

星8 闇属性 悪魔族

攻3200 守1800

 

「さらにフィールド魔法《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》のもう一つの効果を発動! 墓地の魔法カードを任意の枚数デッキに戻し、その数と同じレベルの光属性・天使族モンスターを墓地から蘇生させる!」

 

 《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》から讃美歌のようなメロディが流れていく――だが周囲にいるのはグロテスクな異形が大半の為、ムードもへったくれもないが。

 

「儀式魔法《高等儀式術》、魔法カード《儀式の下準備》と《貪欲な壺》、《馬の骨の対価》をデッキに戻し、レベル4の《シャイン・アビス》を蘇生!!」

 

 先程儀式の贄となった《シャイン・アビス》が白い上半身を伸ばし、青い球体の脚部で浮かびながら、黄金に輝く翼を広げた。

 

《シャイン・アビス》

星4 光属性 天使族

攻1600 守1800

 

「最後に永続魔法《カードトレーダー》を発動し、カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

 

 余力を十分に残してターンを終えた闇の仮面に最後のターンプレイヤー、迷宮、兄は挑戦気にフッと笑う。

 

 

「此方の大男も中々の手練れ――相手にとって不足無し!! 私のターン、ドロー! ほう……」

 

 迷宮、兄は引いた手札を見て小さく鼻を鳴らす――良いカードを引いたようだ。

 

「だが、まずは私の墓地に《堕天使マリー》がいるとき! その効果で私のスタンバイフェイズにライフを200回復する! おぬしの《手札抹殺》、ありがたく利用させて貰ったぞ!」

 

 そう光の仮面を挑発する迷宮、兄の背後に浮かぶ白を基調としたワンピースらしき服装の2本の角が頭に見える黒い悪魔……もとい、堕天使は黒い羽を広げて暗い光を迷宮、兄に向けて放つ。

 

迷宮、兄LP:4000 → 4200

 

「そして魔法カード《七星の宝刀》を発動し、手札のレベル7、《風魔神(ふうましん)-ヒューガ》を除外して、2枚ドロー!」

 

 緑の丸いボディに「風」と書かれた紋章がトレードマークの《風魔神(ふうましん)-ヒューガ》がその丸いボディから左右に伸びる腕で黄金に輝く刀を天に掲げ満足気に消えていく。

 

「そして永続魔法《星邪(せいじゃ)神喰(しんしょく)》を発動し――」

 

 フィールドに光と闇の気配が広がって行く。

 

「私の墓地の《幻獣機(げんじゅうき)ブルーインパラス》の効果を発動! 私のフィールドのモンスターがいない時、墓地のこのカードを除外することで『幻獣機トークン』を特殊召喚する!」

 

 白と青のカラーリングの戦闘機が迷宮、兄のフィールドを通り過ぎ、その後に淡く光る同じ形の幻影――『幻獣機トークン』がフワフワと漂っていた。

 

『幻獣機トークン』

星3 風属性 機械族

攻 0  守 0

 

 此処まで、光の仮面が発動した魔法カード《手札抹殺》を上手く利用していた迷宮、兄。そしてここだと手を掲げる。

 

「この瞬間、永続魔法《星邪(せいじゃ)神喰(しんしょく)》の効果を適用!」

 

 大空にて相反するエネルギーがうごめき始める。

 

「1ターンに1度、私の墓地のモンスターが除外されたとき、デッキからそのカードと異なる属性のモンスター1体を墓地に送る!」

 

 先程飛び去って行った《幻獣機(げんじゅうき)ブルーインパラス》が再び迷宮、兄の頭上を飛び――

 

「除外された《幻獣機(げんじゅうき)ブルーインパラス》は風属性! よって光属性の《雷魔神(らいましん)-サンガ》をデッキから墓地に送らせて貰うぞ!」

 

 そして天から落下するのは巨大な生物の上半身を思わせるくすんだオレンジの身体を持ち、ちょうど顔の辺りに「雷」の文字の紋章が見える《雷魔神(らいましん)-サンガ》。

 

 その落下速度を落とさぬまま、迷宮、兄に手を振りながら流れるように墓地へと消えて行った。

 

「更に私の墓地の《アマリリース》を除外して、その効果も使わせて貰おう! それによりこのターンモンスターを召喚する際のリリースを1体減らすことが出来る!!」

 

 迷宮、兄のフィールドに薄っすらと現れた花瓶に添えられた一輪のつぼみがそっと花開く。

 

「私は2体のリリースが必要な最上級モンスターを《アマリリース》の効果で1体のリリースでアドバンス召喚する!」

 

 そしてその花、《アマリリース》は淡く輝き光と消え――

 

「『幻獣機トークン』をリリースし、現れろ! 三魔神が一体! 水の化身! 《水魔神(すいましん)-スーガ》!!」

 

 巨大な水柱と共に現れたのは額に「水」の紋章が光る蒼いローブで顔以外を覆い隠した水の魔神。

 

 そのローブから僅かに垣間見える巨大な足でズシンと地面に降り立った。

 

水魔神(すいましん)-スーガ》

星7 水属性 水族

攻2500 守2400

 

「さらに手札を1枚捨てて、装備魔法《D(ディファレント)D(ディメンション)R(リバイバル)》を発動! 除外されたモンスターを1体特殊召喚する!」

 

 異次元から2本の緑の腕が伸び、空間を引き裂く。

 

「帰還せよ! 三魔神が一体! 風の化身! 《風魔神(ふうましん)-ヒューガ》!!」

 

 やがて異次元から這い出たのは緑の球体状の身体に左右から太い腕が伸びた風の魔神。

 

 その球体状の身体の中央には黄金で縁取られた「風」の紋章が浮かぶ。

 

風魔神(ふうましん)-ヒューガ》

星7 風属性 魔法使い族

攻2400 守2200

 

「カードを2枚セットしてターンエンド! さぁ、どこからでもかかって来るがいい!」

 

 

 最上級モンスターである三魔神の2体を展開した迷宮、兄は光の仮面と闇の仮面に向けて手を前に出し、指をクイッと動かす。

 

 

 迷宮、兄の「かかってこい」との言葉通り、これで全てのプレイヤーの最初のターンが回った。

 

 その為、「バトルロイヤルルール」の規定により、次の光の仮面のターンからバトルフェイズが解禁される。

 

「言われなくても直ぐに終わらせてやるかんな! オレのターン! ドロー! このターンから攻撃が可能だかんな! さっさと片付けさせて貰うぜ!」

 

 そんな光の仮面の強気の言葉に反して彼は引いたカードを視界に収めるが、眉をひそめる――状況に即したカードではなかったようだ。

 

「……《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》の効果発動!」

 

 《化合獣(かごうじゅう)カーボン・クラブ》が地面に両のハサミを突き刺し、ガサゴソと何やら探す。

 

「デッキのデュアルモンスター、《シャドウ・ダイバー》を墓地に送り、デッキのデュアルモンスター、《インフィニティ・ダーク》を手札に加えるかんな!!」

 

 そして長い影を伸ばす黒い人影、《シャドウ・ダイバー》を地面深くに押し込み、黒いアーマーで全身を隠すように覆った《インフィニティ・ダーク》が黒いマントを背に揺らし、光の仮面の手札に飛び立つ。

 

「此処で《インフィニティ・ダーク》を通常召喚!!」

 

 そしてそのまま光の仮面の手札を離れ、天高く跳躍し、フィールドに膝を突いて降り立つ――その背のマントが風によってフワリとはためいた。

 

《インフィニティ・ダーク》

星4 闇属性 悪魔族

攻1500 守1200

 

「前のターンにセットしておいた魔法カード《馬の骨の対価》を発動させて貰うかんな!」

 

 やがてスッと立ち上がった《インフィニティ・ダーク》は腕を組むが、その足元に穴が空く。

 

「《インフィニティ・ダーク》はデュアルモンスター! フィールド・墓地では通常モンスター扱い! 《馬の骨の対価》の条件は満たしているかんな! 2枚ドロー!!」

 

 そして「あっ」と言う間もなく、その決めポーズのまま奈落へと消えていった――その犠牲は光の仮面の手札となって受け継がれる。

 

「よし! これなら! 《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》の効果を発動! 1ターンに1度、墓地の『悪魔族』1体を呼び出すかんな!」

 

 フィールドの《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》がその杖を地面に打ち鳴らすと、その隣に魔法陣が浮かび上がる。

 

「召喚術により蘇れ! 進化の終着点! 《進化合獣ダイオーキシン》!!」

 

 その魔法陣から呼び出されたのは

 

 赤い身体に黄色い蟹のハサミの腕を持ち、背中にはその蟹の足がびっしりと生え、草食獣の二足で立つ牛の角を持った魔獣、否、キメラ――《進化合獣ダイオーキシン》が生誕の雄叫びを上げる。

 

《進化合獣ダイオーキシン》

星8 闇属性 悪魔族

攻2800 守 200

 

「バトルだかんな!」

 

 最上級モンスター2体を以て迷宮兄弟を一気に攻め崩そうと動き出す光の仮面だったが――

 

「待って貰おう! そのバトルの前に罠カード《破壊指輪》を発動させて貰うぞ!」

 

 そんな迷宮、弟の声が響き、ダイヤの代わりに導火線に火が付いた爆弾をはめ込まれた指輪が迷宮、弟のフィールドに飛来する。

 

「その効果により私のフィールドの自身のモンスター、《おもちゃ箱》を破壊し、互いのプレイヤー、このバトルロイヤルルールの場合は全てのプレイヤーに1000のダメージを与える!!」

 

 その危険極まりない指輪、《破壊指輪》は《おもちゃ箱》の中に投入され爆発――周囲に多くのぬいぐるみがはじけ飛ぶ。

 

 その爆発の衝撃を受ける4人のデュエリストたち。

 

光の仮面LP:4000 → 3000

闇の仮面LP:4000 → 3000

 

迷宮、弟LP:4000 → 3000

迷宮、兄LP:4200 → 3200

 

 敵味方問わずの一撃にそれぞれのライフが4分の1程削られる。

 

「この程度のダメージ! 屁でもないかんな!」

 

 思わぬダメージに苛立ちを見せるもそう挑発する光の仮面。だが迷宮、弟の動きは止まらない。

 

「それだけではない! 破壊され、墓地へ送られた《おもちゃ箱》の効果を発動!!」

 

 爆破された《おもちゃ箱》から散らばったぬいぐるみのグズグズになった身体が迷宮、弟のフィールドに引き寄せられる。

 

「私はデッキから攻撃力または守備力が0のカード名が異なる通常モンスターを2体、表側守備表示で特殊召喚できる!!」

 

 それらの塊はやがて2つに別れ、そこから――

 

「私はデッキから攻撃力が0の《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》と《千年の盾》を特殊召喚!!」

 

 入り組んだ迷宮の壁が迷宮、弟のフィールドに現れ、侵入者たる相手モンスターを阻み、

 

迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》

星5 地属性 岩石族

攻 0 守3000

 

 その迷宮の入り口と思しき場所には金で縁取られたウジャトの瞳が中央にある赤い盾が何者も寄せ付けぬように鎮座する。

 

《千年の盾》

星5 地属性 戦士族

攻 0 守3000

 

「守備力3000のモンスターが2体も!?」

 

 あの《青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)》の攻撃すら寄せ付けぬ程の守りに驚愕する光の仮面。

 

 その守りを辛うじて突破できる攻撃力3300《仮面魔獣デス・ガーディウス》がいるも、どちらか一体は今のままでは倒しきれない。

 

 面倒な守りだと軽く舌を打つ光の仮面。

 

「フッ……だが安心するがいい、《おもちゃ箱》の効果で呼び出されたカードは次の私のエンドフェイズ時に破壊される」

 

「……くっ、バトルを続行するかんな!!」

 

 しかし余裕ありげな迷宮、弟の言葉に光の仮面はそう言いながら内心でごちる。

 

――勝手にお陀仏する壁専門のモンスターなんて眼中にないかんな! オレが狙うのは!

 

「《水魔神-スーガ》をやっちまうかんな! 行けっ! 《仮面魔獣デス・ガーディウス》!! ダーク・デストラクション!!」

 

 《仮面魔獣デス・ガーディウス》の両の手の鋭利な爪が迷宮、兄の操る《水魔神-スーガ》に振り上げられる。

 

「甘いな! 《水魔神-スーガ》はフィールド上に存在するとき1度! 相手に攻撃されたダメージ計算時にその相手モンスターの攻撃力を0にすることが出来るのだ!」

 

 だが《水魔神-スーガ》の足元に水が集まっていき、その水は壁となってせり上が――

 

「甘いのはお前だかんな! オレは《仮面魔獣デス・ガーディウス》の攻撃宣言時に罠カード《ブレイクスルー・スキル》を発動させて貰ったかんな!」

 

――ることはなかった。霧散した水が周囲を濡らす。

 

「これで《水魔神-スーガ》の効果はターンの終わりまで無効! そのままお陀仏だかんな!!」

 

 やがて《仮面魔獣デス・ガーディウス》の両の爪が《水魔神-スーガ》を切り裂く。

 

 

 

 こともなく、迷宮の壁がせり上がって《仮面魔獣デス・ガーディウス》と《水魔神-スーガ》を分断する。

 

「な、なんだ!? これは一体どういうことだかんな!」

 

 突如としてせり上がった迷宮の壁こと《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》を驚き、見上げる光の仮面に迷宮、弟の声が響く。

 

「フッフッフ……甘いのはやはり其方の方だ! 私は罠カード《仁王立ち》を発動させて貰った! これで我が《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》の守備力が2倍に!」

 

 せり上がり、強度を増した己が存在を誇るように《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》の周囲で地鳴りが響く。

 

迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》

守3000 → 守6000

 

「守備力6000だと!?」

 

 その圧倒的過ぎる守備力におののく闇の仮面。

 

「もっとも、このターンの終わりにその守備力は0になるがな……」

 

 そしてそう注釈を入れる迷宮、弟に光の仮面は声を張る。

 

「落ち着け、相棒! だとしてもそれでどうやって《仮面魔獣デス・ガーディウス》の一撃を邪魔しやがったんだ!!」

 

「フッ……それは墓地の罠カード《仁王立ち》を除外することで、このターンおぬしは此方が選択したモンスターしか攻撃できなくなったゆえよ……」

 

 そうい言い切った迷宮、弟はチラと迷宮、兄に目線を送り、2人で鏡合わせの様に動き――

 

「 「 さぁ、我ら自慢の難攻不落のこの迷宮! ぬしらはどう挑む! 」 」

 

 2人で左右対称になるように決めポーズを取った迷宮兄弟。

 

 

 この状況では戦闘の巻き戻しが発生する為、《仮面魔獣デス・ガーディウス》はこの迷宮に挑むか否かの選択が突き付けられる。

 

 光の仮面が取った選択は――

 

「チィッ! だったら攻撃はキャンセルだかんな!」

 

「 「 我らが迷宮の前に臆したか! 」 」

 

 バトルの放棄。その光の仮面の姿に迷宮兄弟は声を揃えて挑発をかける。

 

 悔し気に歯ぎしりする光の仮面――迷宮兄弟の息の合った挑発は中々に効いているようだ。

 

「そう言っていられるのも今の内だかんな! オレは装備魔法《凶暴化の仮面》を相棒の《シャイン・アビス》に装備!!」

 

 目元から化生の手が生えた不気味な仮面が闇の仮面の《シャイン・アビス》に装着される。

 

「これで装備モンスターの守備力を1000下げる代わりに、その攻撃力は1000アップするかんな!!」

 

 《凶暴化の仮面》を装着された《シャイン・アビス》は先程までの人形染みた挙動は鳴りを潜め、狂った叫びのような音を発した。

 

《シャイン・アビス》

星4 光属性 天使族

攻1600 守1800

攻2600 守 800

 

「カードを2枚セットしてターンエンドだかんな!」

 

 バトルロイヤルルールにより4人制のデュエルの為、通常のデュエルよりも自身に回ってくるターンのスパンは長い。

 

 さらに闇の仮面のターンは次の光の仮面のターンよりは先に回ってくる為、タッグパートナーである闇の仮面の援護へと回った光の仮面。

 

 そして光の仮面は迷宮、弟を指さし、咆える。

 

「このエンドフェイズにお前らご自慢の迷宮も罠カード《仁王立ち》のデメリットで、雑魚同然になるかんな!」

 

 突貫工事の影響か、一気に老朽化が進みボロボロになった《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》。

 

迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》

守6000 → 守 0

 

「だとしても我らが迷宮は崩れはせぬ!」

 

 しかし、迷宮、弟の言葉通り、決して崩れることはない――少なくとも次の迷宮、弟のターンの終わりまでは。

 

 そう拳を握る迷宮、弟に迷宮、兄の言葉が届く。

 

「助かったぞ、弟よ!」

 

 三魔神はフィールドに三種の魔神が揃うことで真の力が発揮されるモンスター。先程の攻防で《水魔神-スーガ》を失っていれば真の力は遠のいていたゆえに迷宮、兄は感謝を送る。

 

「何、兄者の助けとなれたのならば、この程度!」

 

 だがタッグ形式のデュエルではパートナー同士協力し合うのは当然だと迷宮、弟は親指を立てて誇らかに笑う。

 

「私のターン! ドロー!」

 

 そしてデッキからカードを引きぬき、迷宮、弟はセットカードの1枚に手をかざす。

 

「私は前のターンに伏せて置いた装備魔法《迷宮変化》を《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》に装備!」

 

 音を立てて《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》の迷宮が組み変わっていく。

 

 だがステータス的な変化はない。

 

「これは《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》専用の装備魔法――その力、とくと見るがいい!」

 

 しかしここからが本番だと迷宮、弟は高らかに宣言した。

 

「装備魔法《迷宮変化》を装備した《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》と《迷宮変化》自身をリリースすることでデッキから更なる迷宮を呼び覚ます!」

 

 《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》にて何らかの黒い影が目にも留まらぬ速さで壁の中を疾走し始める。

 

「構築せよ! 狩人うごめく迷宮! 《ウォール・シャドウ》!!」

 

 そして《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》の壁から音もなく這い出たのは《シャドウ・グール》の半身。

 

 これこそが影の狩人が迷宮に住み着いた姿、《ウォール・シャドウ》。

 

《ウォール・シャドウ》

星7 闇属性 戦士族

攻1600 守3000

 

「此処でセットしておいた魔法カード《馬の骨の対価》を発動! 《千年の盾》を墓地に送り、2枚ドロー!」

 

 《千年の盾》のウジャトの瞳が光を放ち天へと昇り、その光は迷宮、弟の元へと集まっていく。

 

「そして手札から装備魔法《最強の盾》を発動! このカードを装備したモンスターは攻撃表示の際は元々の守備力分の攻撃力を上げ、守備表示なら元々の攻撃力分だけ守備力を上げる!」

 

 さらに《千年の盾》の代わりにと飛来したどこか剣のような鋭さを持つ、黄金の縁の深紅の盾が地面に突き刺さる。

 

――このカードは《ウォール・シャドウ》に装備したいところだが、手札の数が少し不安か……

 

「私はこの装備魔法《最強の盾》を《カオスエンドマスター》に装備! 《カオスエンドマスター》は攻撃表示の為、その元々の守備力1000の分、攻撃力を上げる!」

 

 そして《カオスエンドマスター》は地面から《最強の盾》を引き抜き、大剣を振るうように構えた。

 

《カオスエンドマスター》

攻1500 → 攻2500

 

「バトル! 《カオスエンドマスター》で《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》を攻撃! 同胞を蘇らせる厄介な力! 潰させて貰おう!」

 

 光の仮面が操る《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》へと《最強の盾》を振りかぶる《カオスエンドマスター》。

 

 

 その光景に光の仮面は僅かに自身の伏せカードをチラと見るが――

 

――こんな雑魚にオレの伏せカードは使えないかんな!

 

 攻撃力が上がっていても下級モンスターである《カオスエンドマスター》相手にリバースカードを使わない選択をする光の仮面。

 

 迷宮、兄のフィールドに最上級モンスターでなおかつ厄介な効果を持つ2体の魔神がいることもその決断を後押しする。

 

 

 やがて《最強の盾》の一撃を自身の杖で受け止めていた《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》だったが、ついに愛用の杖はポキリと折れ、《カオスエンドマスター》が振り切った《最強の盾》の一閃に切り裂かれた。

 

「チッ! だが《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》は守備表示! ダメージはないかんな!」

 

「だとしても《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》が破壊されたことで、その術も解ける! 《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》の効果で蘇生された《進化合獣ダイオーキシン》にも消えて貰う!!」

 

 《魔族召喚師(デビルズ・サモナー)》がフィールドを離れたことで、召喚術の繋がりが消えた為に《進化合獣ダイオーキシン》は砂のように崩れ落ちてく。

 

 

 この戦闘による光の仮面にダメージはないが、立て続けに2体のモンスターを失ってしまった事実が重くのしかかる。

 

『大丈夫なのか!』

 

『安心しろ、相棒! この程度は想定内だかんな!』

 

 それゆえに心配気な闇の仮面の通信が光の仮面に届くが、光の仮面は苛立ちつつも努めて冷静に返す。

 

 

 そんな光の仮面を余所に《カオスエンドマスター》の白い翼が淡く輝きを放つ。

 

「さらに戦闘で相手モンスターを破壊し墓地に送ったことで、《カオスエンドマスター》の効果が発動される!」

 

 その輝きは迷宮、弟のフィールドに集っていき――

 

「我がデッキに眠るレベル5以上で攻撃力1600以下のモンスターを1体特殊召喚!! 再び現れろ! 2体目の《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》!!」

 

 再び《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》の迷宮の壁が地面からせり上がり迷宮、弟のフィールドを埋める。

 

《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》

星5 地属性 岩石族

攻 0 守3000

 

「まだ私のバトルは終わってはおらん――《ウォール・シャドウ》で《化合獣カーボン・クラブ》を攻撃だ! 迷宮の鎌鼬(かまいたち)!!」

 

 迷宮にチョイチョイと手招きする《ウォール・シャドウ》の姿に《化合獣カーボン・クラブ》はつい迷宮に足を踏み入れてしまう。

 

 やがて迷宮内で《ウォール・シャドウ》を見失った《化合獣カーボン・クラブ》がキョロキョロと辺りを見渡す背後から《ウォール・シャドウ》の爪の一撃が《化合獣カーボン・クラブ》を切り裂いた。

 

「どうだ! 我ら兄弟の力は!!」

 

「ハン! オレのモンスターを少しばかり倒した程度で調子に乗るなよ! オレには《仮面魔獣デス・ガーディウス》がいる! 何も問題はないかんな!」

 

 3体のモンスターを破壊した迷宮、弟の言葉に光の仮面は強気に返す――自身の切り札たる《仮面魔獣デス・ガーディウス》がいる限り、早々遅れは取らないと。

 

「ふっ、ならば更なる迷宮へと案内してやるとしよう――私はバトルを終了し、2枚目の魔法カード《馬の骨の対価》で《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》を墓地に送り2枚ドロー!」

 

 《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-》が地面へと沈んでいき、その際に迷宮の壁の一部が迷宮、弟の手札に舞い込んだ。

 

「カードを3枚セットして、ターンエンドだ!!」

 

 相手の切り札クラスのカードは倒せなかったが3体のモンスターを処理した迷宮、弟の姿に迷宮、兄は自慢げに鼻を鳴らす。

 

「見事だ、弟よ! さぁ、どうした! 我らをさっさと片付けるのではなかったのか!」

 

 

 そんな挑発の言葉に光の仮面と闇の仮面の苛立ちは募っていった。

 

 






今作での迷宮兄弟のデッキは役割を2つに分け、迷宮の部分は攻撃変更で再現してみました――混合は無理だったよ……(脱力)

そして――
「三魔神」と《迷宮壁(めいきゅうへき)-ラビリンス・ウォール-》を以外はいらない子に……(´;ω;`)ブワッ

彼らは犠牲になったのだ……

迷宮の魔戦車「かわいそうに……(キースの元から見下ろしつつ)」

ダンジョン・ワーム「おのれ……」

地雷蜘蛛(じらいグモ)「あっ、自分名蜘蛛さんとこに行くかもなんで」

地獄の魔物使い(モンスター・テイマー)「!?」


仮面コンビは通常モンスターorデュアルモンスターで合わせ――《仮面魔獣デス・ガーディウス》は光の仮面がブン獲っていきました。

特殊召喚に必要なモンスターは光の仮面が使用しているカードですし

そして――
通常モンスターorデュアルモンスターでない為、シナジーは薄いですが

デメリット効果の塊クイーンこと《()邪神ヌヴィア》は悪魔族な為、光の仮面のデッキならば呼び出すことはそう難しくない!

ただ原作で使っていたのは闇の仮面ですが(目そらし)
(闇の仮面のデッキで呼び出す? ハハッご冗談を)


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