前回のあらすじ
ウォール・シャドウ「走れ走れー! 迷路の出口に向かってよー!」
化合獣カーボン・クラブ「(泣)」
女邪神ヌヴィア「デッキに採用されているということは――後半こそが我が独壇場に違いない!」
迷宮、弟が光の仮面の布陣を崩したデュエルの真っただ中にて――
そんな迷宮兄弟とグールズの仮面コンビのデュエルに何処からか2人の人影がそのデュエルの様子を窺っていた。
「おお! やってる、やってる! ケッケケケケ!」
そう不敵に笑うのはカードプロフェッサーの一人、左右に尖った針のような髪が伸びる少年、クラマス・オースラーが手を望遠鏡に組みながら見下ろし、
「だッハッハッハ! なッ! 俺の言った通りだろ――こんな騒ぎの中でデュエルしてる奴らはグールズくらいなもんだってよ!」
そんなクラマス・オースラーのとなりで豪快に笑う男も同じくカードプロフェッサーの一人、頭にターバンを巻いた盗賊風の衣服の男、メンド・シーノ。
メンド・シーノは遊戯と接触したデシューツ・ルーから伝達された情報を元に一儲けしようと画策していた次第だった。
そんなメンド・シーノの提案に乗ったクラマス・オースラーはガッツポーズを取りながら降って湧いた幸運、「ツキ」を確認するように現状を眺める。
「ナイスな読みだな! しかもちょうど2人いるから分け前はピッタリ! コイツは『ツイてる』ぜ!!」
「それだけじゃねぇぞ、クラマス! あいつらは『名持ち』だ! そこらへんの安モンのグールズ共とは賞金の桁が違う! タンマリ金が入るぜ! だッハッハッハ!」
そのクラマス・オースラーの言葉通り、今回の依頼、「グールズ狩り」では狩ったグールズによって得られる賞金は違う。
下級構成員は大した額にはならない――と言ってもそれなりに貰えるのだが、グールズの特記戦力「レアハンター」の中の選りすぐりたる「名持ち」の値段は文字通り桁が違う。
その桁の違いは「名持ち」の実力ゆえの危険性の高さからだが。
「だが先約が同業者かよ……これはツイてねェ……おーい、ハゲのおっさん2人ー! 早いとこ負けて俺らにそいつらを譲ってくれよー!」
そんな調子のいいことを迷宮兄弟に投げかけるクラマス・オースラーの声に現在、デュエルにてターンプレイヤーである闇の仮面は額に青筋を立てて怒りをあらわにする。
「奴ら……言いたい放題に言いやがって!」
あくまで自分たちを獲物=金としか見ていないような言葉ゆえの怒りだ。ゆえに迷宮兄弟を下した後で奴らも纏めて葬ってやると意気込みながらカードを引き抜く。
本来の目的――遊戯の足止めを忘れている模様。
「俺のターン! ドロー!! そしてスタンバイフェイズに永続魔法《カードトレーダー》の効果で手札を1枚デッキに戻し、新たにドロー!」
そして《カードトレーダー》の効果で引き直した手札を眺め、迷宮兄弟のフィールドを眺める。
――タッグ形式のデュエルでは弱い方から潰すのが定石……奴らの内、どちらを先に仕留めるか……
迷宮、兄の「魔神」モンスターは使い切りとはいえ厄介な効果を持つ。だが迷宮、弟のフィールドのリバースカードが多く迂闊には責められない。
――守備力の高い《ウォール・シャドウ》が攻撃表示……罠か……
迷宮、弟の側は明らかに罠を張っている気配が漂っていた。そんな悩める闇の仮面に光の仮面からの通信が届く。
『焦るな相棒、オレのとっておきのリバースカードがある――これでヤツの罠から相棒を守れるかんな』
『フッ……そうか! なら最大の一撃を叩きつけてやるとしよう!』
パートナーの頼もしい援護の旨の言葉を聞いた闇の仮面は今の己に出来うる最大の力を出すべく動き出す。
「俺は2枚目の魔法カード《儀式の下準備》を発動! 今度は儀式魔法《ゼラの儀式》とそれに記された儀式モンスター《ゼラ》を手札に加える!」
再び闇の仮面の肩に止まった黒い鳥が2枚のカードを託し、禍々しい鳴き声を上げた後、空へと帰っていった。
「此処でフィールド魔法《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》の効果で手札の魔法カード、儀式魔法《ゼラの儀式》を捨て、デッキから儀式魔法――《高等儀式術》を手札に加える!」
だがその黒い鳥は《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》の鐘に頭をぶつけ、意図せず教会の鐘を鳴らす。
「そして儀式魔法《高等儀式術》を発動! デッキからレベル4の《ホーリー・ドール》2体を墓地に送り、そのレベルの合計――レベル8の儀式モンスターを手札から呼び出す!!」
人形の上半身に青紫色のローブを被せた不気味な姿の魔術師、《ホーリー・ドール》が2体、その手に持つ杖を交差させ、闇となってうごめく。
やがてその闇は玉座に座った戦士を覆っていき、その闇が晴れた先にあったのは――
「儀式召喚!! 邪悪な魔族が王! 《ゼラ》!!」
黒い身体に全身を水色の骨格で覆われた悪魔、《ゼラ》が紫のマントを翻し、玉座からゆっくりと歩み出た。
その顔は魔獣の様に犬歯が伸び、その手足は強靭な爪が伸びる。
《ゼラ》
星8 闇属性 悪魔族
攻2800 守2300
「さらにフィールド魔法《祝福の教会-リチューアル・チャーチ》のもう一つの効果を発動し、墓地の儀式魔法《高等儀式術》・《仮面魔獣の儀式》・《ゼラの儀式》と魔法カード《儀式の下準備》の計4枚をデッキに戻し――」
《ゼラ》の生誕を祝うかの様におどろおどろしい音色が教会から響く。
「その数と同じレベルの光属性・天使族の――2体目の《シャイン・アビス》を墓地から特殊召喚!!」
そんな教会から響く音色に呼び寄せられたのは人形が如き天使、《シャイン・アビス》。
その《シャイン・アビス》は《凶暴化の仮面》を装備した同族をジロジロと眺めつつ闇の仮面のフィールドに並び立つ。
《シャイン・アビス》
星4 光属性 天使族
攻1600 守1800
「バトル!! 《凶暴化の仮面》を装備した《シャイン・アビス》で《ウォール・シャドウ》を攻撃だ!!」
《凶暴化の仮面》が禍々しいオーラを放ち《シャイン・アビス》の手元に集まっていき、迷宮の壁の中へと潜む《ウォール・シャドウ》に向かって放たれた。
「そうはさせん! ダメージ計算前に罠カード《
効果モンスターである《ウォール・シャドウ》の守備力は3000
《シャイン・アビス》は通常モンスターの為、罠カード《
よってパワーバランスは逆転する。
「返り討ちにしろ! 《ウォール・シャドウ》!!」
罠カード《
――筈だったが、エネルギー弾に《ウォール・シャドウ》の爪が接触した段階でエネルギー弾は爆ぜ、《ウォール・シャドウ》を消し飛ばした。
「なにっ!?」
迷宮、弟LP:3000 → 2000
何故自身のライフが削れたのかが理解できない迷宮、弟は驚愕に目を見開く。だがそんな姿をあざけ笑う声が響く。
「にゅふふははははははは! 残念だったな! オレはカウンター罠《魔宮の賄賂》を発動させて貰ったかんな! これで相手の発動した魔法・罠カードの発動を無効にして破壊!」
そう言い放つ光の仮面の背後には御代官風の男が腕を振り切っていた後のポーズで固まっている。
迷宮、弟のフィールドに突き刺さる小判を見るに小判を投げた後のようだ。
「つまりお前の罠カード《
その小判は迷宮、弟の罠カード《
「迷宮の罠を突破したということか!?」
「そういうこった! お詫びと言っちゃなんだが、カウンター罠《魔宮の賄賂》の効果でお前はカードを1枚ドローしな! どうせお前の次のターンは回ってこないだろうがなァ!!」
自身の張った罠を突破された迷宮、弟の悔し気な顔でドローする姿に光の仮面は得意気だ。
更に光の仮面の言葉通り迷宮、弟の次のターンは3人のプレイヤーの後――かなり先であることも迷宮、弟の焦燥感を駆り立てる。
「くっ……」
そんな迷宮、弟の姿に闇の仮面は此処ぞと拳を握った。
――これでヤツの本命の罠は消えた!! 今こそ好機!!
「助かったぞ! 光の仮面! 次はコイツだ! 《ゼラ》で《カオスエンドマスター》を攻撃! デビルズ・クロー!!」
《ゼラ》がマントを揺らしながら、大爪を振り上げ《カオスエンドマスター》を引き裂かんと迫る。
だがそれより先に迷宮、弟は声を張り上げた。
「これ以上、好き勝手はさせぬ! その攻撃宣言時に罠カード《地縛霊の誘い》を発動!その攻撃の対象は此方で選ぶことが出来る!!」
地面から亡霊の腕が《カオスエンドマスター》を守るように立ちはだかり、《ゼラ》へと殺到していく。
「そしてこのデュエルは『バトルロイヤルルール』! 攻撃対象を移すのは他2人とて可能!」
亡霊の腕によって動きを封じられた《ゼラ》は苛立ち気に暴れるが拘束が解けることはない。
「なんだと!? まさか俺たちのモンスターで仲間割れさせる気か!?」
闇の仮面の焦った声が響く。
それもその筈光の仮面のフィールドには攻撃力3300の《仮面魔獣デス・ガーディウス》がいる――攻撃力2800の《ゼラ》では太刀打ち出来ない。
「否だ! 兄者、頼む! 私は《ゼラ》の攻撃を兄者の《水魔神-スーガ》へと変更!!」
しかし迷宮、弟の狙いは別にあった。
亡霊の腕に操られた《ゼラ》は《水魔神-スーガ》にその大爪を向ける。
「任されたぞ、弟よ!! 《水魔神-スーガ》の効果を発動! ダメージ計算時に攻撃を仕掛けた相手モンスターの攻撃力を0にする!」
そして迷宮、兄はすぐさまその意図を読み取り三魔神の力を発揮させる。
「水魔神、
《ゼラ》の大爪が《水魔神-スーガ》に届くよりも早く水の障壁が地面からせり上がり《ゼラ》の足を止め、その力を奪っていく。
《ゼラ》
攻2800 → 攻 0
「これでパワーバランスは逆転した! 反撃せよ、《水魔神-スーガ》! 流・水・波!!」
その迷宮、兄の言葉に《水魔神-スーガ》が生み出した水の衝撃は鉄砲水として姿を変え《ゼラ》を吹き飛ばし、近くの建物に衝突。
やがて《ゼラ》は力なく倒れ伏した。
「これでおぬしのライフは風前の灯火よ!」
「さすがは兄者!!」
この戦闘で闇の仮面が受けるダメージは2500。迷宮、弟の罠カード《破壊指輪》でのダメージも加えれば、闇の仮面のライフは500と僅か。
闇の仮面LP:3000
――の筈だった。
「 「 なにっ!? 」 」
全くの無傷の闇の仮面のライフに驚愕の面持ちで声を上げる迷宮兄弟に闇の仮面はニヤリと得意気な笑みを浮かべる。
「そう易々と貴様らの策には嵌まらん! 俺は罠カード《攻撃の無敵化》を発動していた!このカードのモンスターの破壊から守る効果と俺へのダメージを0にする効果の内、後者を選ばせて貰ったのだ!」
咄嗟にダメージを無効化した闇の仮面――だがそれだけではない。
「よって俺のライフは無傷! さらに《水魔神-スーガ》の効果は1度のみ! 次はない!」
その闇の仮面の言葉通り、迷宮、兄が操る「三魔神」たちには攻撃された際に相手の攻撃力を0にする共通効果があるが、それは「フィールド上に存在する限り1度」との制約が入る。
ゆえに今のままでは「攻撃力が高めのモンスター」程度までその脅威度は落ちる。
「さぁ、《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》! これでヤツのモンスターは案山子同然だ!《水魔神-スーガ》を攻撃しろ!!」
「しまった!?」
《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》が声にならぬ雄叫びを上げながら、その異形の足で地響きを鳴らしながら走る。
その先にいるのは《水魔神-スーガ》――やがて《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》は杖を持たない腕を振りかぶる――って、杖は使わねぇのかよ。
だが《水魔神-スーガ》は微動だにしない。そして迷宮、兄の声が響く。
「――などと言うと思ったか! 私は罠カード《シフトチェンジ》を発動! 私のモンスターが攻撃された時! その攻撃対象を私のフィールドの別のモンスターが受ける!!」
その迷宮、兄の声と共に《水魔神-スーガ》へと向かう《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》の前に割り込む影。
「《風魔神-ヒューガ》を攻撃するがいい!!」
その影は《風魔神-ヒューガ》。
しかし《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》は邪魔だと言わんばかりにその拳を《風魔神-ヒューガ》に向けて振り下ろした。
「そして《風魔神-ヒューガ》も《水魔神-スーガ》と同じ能力を持っておる!!」
だが《風魔神-ヒューガ》の口から風が吐き出され――
「風魔神、
それは暴風の壁となって《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》の身体を切り裂いていく。
《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》
攻3200 → 攻 0
「同胞と同じ末路を辿るがいい! やれっ! 《風魔神-ヒューガ》! 魔・風・波!!」
やがて動きの鈍った《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》は《風魔神-ヒューガ》の放ったカマイタチに切り裂かれ、断末魔と共に仮面が地面に落ち、砕けた。
「バカな!?」
己の最強のしもべを失い狼狽える闇の仮面の姿に迷宮、兄は得意気に鼻を鳴らす。
「どうした! それで終わりか!!」
「くっ……俺はバトルを終了して――」
そう言って闇の仮面は悔し気にバトルを終えるが、それより先に迷宮、弟が追い打ちをかけるかの様に声を張る。
「待って貰おうか! 兄者だけに手間は取らせん! 私は罠カード《
迷宮、弟のフィールドにロープ状のものが現れ――
「その効果により、このカードと同じ縦列のカード1枚を破壊する! バトルロイヤルルールではおぬし達どちらでも狙えるが――今、条件を満たすのは闇の仮面の縦列! よって《凶暴化の仮面》を装備した《シャイン・アビス》を破壊!!」
それらは《凶暴化の仮面》を装備した《シャイン・アビス》に絡みつく。
「なにぃ!?」
驚く闇の仮面を余所に身体に絡まるそれを嫌がった《シャイン・アビス》が強引に引っ張るが、その先にあったのは木箱に詰められた爆薬。
その爆薬は引き寄せられるままに《シャイン・アビス》へと衝突し爆発――断末魔と思しき声と共に《シャイン・アビス》は炎の中に消えた。
「くそぉっ! 俺のモンスターが!?」
「相棒、大丈夫か!」
これで闇の仮面のフィールドには装備魔法のない2体目の《シャイン・アビス》だけだ。それゆえに光の仮面が心配気に声を上げるが――
「大丈夫な訳があるか! 俺はお前が攻撃しろと言ったから攻撃したのに……結果、この有様だ!」
「何! オレのせいにする気か! お前だって見抜けなかったクセに!」
「うるさい!」
責任の所在を互いに押し付け合い、仲間割れする仮面コンビ。
「見ろ、兄者! 奴らにはタッグデュエルの『いろは』が見えておらぬらしい!」
「全くだ、弟よ! タッグデュエルの
そんな仮面コンビに迷宮兄弟はワザとらしくヤレヤレと肩をすくめる。
やがて見苦しい言い争いを終えた闇の仮面は焦る内心を隠しつつ思案する。
――このままではヤツらのモンスターの攻撃を防ぎきれん……こうなったら相棒には頼らん。自分の身は自分だけで守る!
「俺は装備魔法《契約の履行》を発動! 自身のライフを800払い、墓地の儀式モンスターを1体蘇生してこのカードを装備する!」
フィールドに契約書がひとりでに浮かび、文字が羅列されていく。
闇の仮面LP:3000 → 2200
やがて闇の仮面のライフの支払いを確認すると契約書は炎が猛り、燃え始め、塵へと消えた。
「再び舞い戻れ! 《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》!!」
その猛る炎から這い出たのは《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》。先程に不覚を取ったことに怒りを示す様に腕を広げ、怨嗟の雄叫びを上げる。
《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》
星8 闇属性 悪魔族
攻3200 守1800
「更に永続魔法《絶対魔法禁止区域》を発動! このカードがある限りフィールド上の表側の全ての効果モンスター以外のモンスターは魔法の効果を受けん!!」
通常モンスターの《シャイン・アビス》と
儀式モンスターではあるが、「効果を持たない」《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》の全身が薄っすらと白い膜のようなバリアで包まれた。
「これでターンエンドだ!!」
自軍のモンスターにのみ魔法耐性を与え、ターンを終える闇の仮面だが、このタイミングで待ったが入る――迷宮、兄の声だ。
「待って貰おうか! 私はそのエンドフェイズに墓地の《プリベントマト》を除外して効果発動! このターン私が受ける効果ダメージが0になる!!」
赤いアメフトのヘルメットを着用したトマトがキリリと顔を引き締めて迷宮、兄を守るべく立ち塞がるが効果ダメージは全くない為、《プリベントマト》は周囲をキョロキョロするばかり。
「アイツ……何を考えてやがるんだ?」
そんな光の仮面の呟きと共に《プリベントマト》は周囲を警戒しつつ帰っていった。
その思惑を明かすように迷宮、兄が声を張る。
「そして墓地のモンスター1体が除外されたことで永続魔法《星邪の神喰》の効果を使わせて貰おう! 除外された《プリベントマト》は地属性! よってそれ以外の属性の――闇属性《闇・道化師のペーテン》をデッキから墓地に送る!」
笑みを張り付けた仮面に紫の羽毛が伸びる大きな帽子を被った道化師風の装いの《闇・道化師のペーテン》が《プリベントマト》を跳び箱の様に飛び越えてスタコラサッサと墓地へ向かう。
「さらに墓地に送られた《闇・道化師のペーテン》の効果発動! このカードが墓地に送られた時、墓地のこのカードを除外することで手札・デッキから《闇・道化師のペーテン》1体を呼び出すことが出来るのだ!」
だが走り去る《闇・道化師のペーテン》の背中からもう一人の《闇・道化師のペーテン》がヌルリと這い出て迷宮、兄のフィールドでしゃがみ、帽子を取って一礼し、ケラケラと笑う。
《闇・道化師のペーテン》
星3 闇属性 魔法使い族
攻 500 守1200
「これが狙いか!?」
そんな光の仮面の言葉に迷宮、兄は満足気に頷きデッキに手をかける。
「左様――そして私のターン、ドロー! スタンバイフェイズに墓地の《堕天使マリー》の効果でライフを200回復!」
《堕天使マリー》の黒い羽が迷宮、兄のライフを僅かに癒す。
迷宮、兄LP:3200 → 3400
「そして墓地の《ADチェンジャー》を除外することでその効果を発動! フィールドのモンスター1体の表示形式を変更する!」
番長のような装いの青い肌の戦士が「 A 」と「 D 」の旗を持って走り出る。
「私は弟の《カオスエンドマスター》を守備表示に!!」
そして《ADチェンジャー》は《カオスエンドマスター》に向け「 A 」の旗を降ろし、「 D 」の旗を掲げた。
その意図を理解し、腕を交差してしゃがみAttack、攻撃表示からDefense、守備表示へと表示形式を変える《カオスエンドマスター》。
これで次の光の仮面のターンに攻撃されようとも迷宮、弟にはダメージは早々発生しない。
「ありがたい、兄者!」
「なぁに構いはせぬ」
ゆえに感謝を送る迷宮、弟――そして気にするなと手で制する迷宮、兄。
この2人の結束にわだかまりなどない。
「そして私の墓地のモンスターが除外されたことで永続魔法《星邪の神喰》の効果! 《ADチェンジャー》の光属性以外の――地属性の《ダンディライオン》をデッキから墓地に!!」
そして除外ゾーンへと消えていった《ADチェンジャー》に変わり、タンポポが2足で立つライオンのような姿をした《ダンディライオン》がガオーと腕を突き出し威嚇する。
「さらに墓地に送られた《ダンディライオン》の効果を発動! このカードが墓地に送られた際、私のフィールドに『綿毛トークン』を2体、特殊召喚する!」
だが《風魔神-ヒューガ》にヒューと息を吹きかけられると共に《ダンディライオン》は墓地へと飛ばされて行き、《ダンディライオン》の綿毛だけが残された。
『綿毛トークン』×2
星1 風属性 植物族
攻 0 守 0
「もっとも、『綿毛トークン』は特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のリリースには出来んがな」
穏やかな顔をした『綿毛トークン』と眉をひそめた『綿毛トークン』が仮面のコンビをそれぞれ見やる。
「だが大した問題ではない! 私は《闇・道化師のペーテン》をリリースして《光帝クライス》をアドバンス召喚!!」
《闇・道化師のペーテン》がキラキラと光へと変わり、やがてその光を糧に現れたのは光の帝、《光帝クライス》。
《光帝クライス》
星6 光属性 戦士族
攻2400 守1000
「そして召喚された《光帝クライス》の効果発動! フィールドのカードを2枚まで破壊し、その破壊したカードのコントローラーはその枚数分、ドローできる!」
その《光帝クライス》はマントを棚引かせながら左右の剛腕を握りしめ、腰だめに構える。
「マズイかんな! オレたちのモンスターが!?」
「私は自身の『綿毛トークン』2体を破壊! そして2枚ドロー!!」
光の仮面の心配を余所に《光帝クライス》の剛腕が振り下ろされたのは『綿毛トークン』の元。
まさか自分たちが狙われるとは思ってもみなかった『綿毛トークン』がギョっと目を見開いた後でギュッと目を閉じるが《光帝クライス》は容赦なく殴り飛ばした。
「なにっ!?」
そのプレイングの意図を推し量れない光の仮面が訝しむも、《光帝クライス》の効果で2枚のカードをドローした迷宮、兄の動きは止まらない。
「さらに墓地の魔法カード《シャッフル・リボーン》を除外して効果を発動! フィールドのカード1枚――《光帝クライス》をデッキに戻し、1枚ドロー!」
仕事は終えたとばかりに《光帝クライス》は額を腕で拭うような仕草と共にマントを翻し立ち去っていく。
その姿を空にて『綿毛トークン』がジトーと見ていたが、気に留めてはいない。
「よし! これならば! 私はセットしておいた永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動し、墓地の《
3枚に増やした手札を見て迷宮、兄は決断する。
その決断の答えとして呼び出されたのは上半身に腕があるだけの異形の魔神。その身体の中心部には他の魔神たちと同じく紋章があり、「雷」の文字が浮かぶ。
《
星7 光属性 雷族
攻2600 守2200
「苦労して呼んだみたいだが、そいつらの攻撃力じゃ相棒とオレのモンスターには太刀打ちできないぜ! 《光帝クライス》の効果で破壊しとけば良かったのになぁ!」
《雷魔神-サンガ》の攻撃力を見て安堵しつつ挑発する光の仮面だったが、迷宮、兄は堪えた様子はない。
「フフフ……」
「おお、ついにあのカードが来たのか兄者!」
小さく笑う迷宮、兄の姿に迷宮、弟は確信する――三魔神が真の姿を見せるときが来たのだと。
「その通りだ、弟よ!! 今こそ三魔神の力を合わせるときだ!」
「頼むぞ、兄者!」
やがて迷宮兄弟は互いに拳を仮面コンビにそれぞれ向けるようなポーズを取りながら、まず迷宮、兄が声を張る。
「このカードは私のフィールドの《雷魔神-サンガ》・《風魔神-ヒューガ》・《水魔神-スーガ》をそれぞれ1体リリースすることで呼び出すことが出来る! まさに絶対的な力!」
そして迷宮兄弟は顔を見合わせた後、息を合わせて宣言する。
「 「 雷水風の三魔神よ! 今こそその力を合体させ、復活の雄叫びをあげよ! 」 」
その声に合わせて三魔神がそれぞれ空へと跳躍し――
「 「 ――出でよ!合体魔神!《ゲート・ガーディアン》!! 」 」
《雷魔神-サンガ》・《風魔神-ヒューガ》・《水魔神-スーガ》が串に刺した団子の様に重なり合う。
一番上は《雷魔神-サンガ》が両腕を広げ、
間に挟まれた《風魔神-ヒューガ》が自身の腕を後ろ手に畳み、
一番下は《水魔神-スーガ》が青い巨大な足をローブから出し、上の2体を支えた。
そんな具合にドッキングし、真なる姿を見せた《ゲート・ガーディアン》。乗っただけ――ゴホンッ、結束の力である。
《ゲート・ガーディアン》
星11 闇属性 戦士族
攻3750 守3400
しかし乗っただけといえども、そのパワーは合体前を遥かに凌ぐ。
「 「 攻撃力3750!? 」 」
その互いの切り札たるカードを凌ぐパワーにおののく仮面コンビ。
だが迷宮、兄の展開はまだ終わりではない。
「そして魔法カード《マジック・プランター》を発動! 無意味に残った永続罠――《リビングデッドの呼び声》を墓地に送り、新たに2枚ドロー!!」
新たに引いたカードの1枚を迷宮、兄はスッと引き抜きデュエルディスクに叩きつける。
「そしてライフを3000払うことで、その効果により手札から《
迷宮、兄LP:3400 → 400
迷宮、兄の大量のライフを糧に現れたのは青い肌に白い髭の仙人を超えた
青を基調とした法衣に身を包み赤いマフラーのような布を揺らしながらイカズチを模したマークが先についた杖を振るうと、その名に恥じぬ雷が唸る。
《
星7 光属性 雷族
攻2700 守2400
「バトルと行こうか!」
そう言葉にする迷宮、兄だったが、その胸中には迷いが見えた。
――さて、どちらを狙う……光の仮面を狙えば単純なライフ上の計算では倒せるが……《仮面魔獣デス・ガーディウス》の不気味な姿、何かある……
更に光の仮面にはリバースカードが1枚残る――ブラフではないことは迷宮、兄も感じ取っていた。
――ならば効果のないモンスターであることが確定している闇の仮面の方から狙わせて貰おう!
そう決断した迷宮、兄は自身の切り札へと目を向けた後、手をかざす。
「さぁ、《ゲート・ガーディアン》よ! 闇の仮面の《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》を打ち砕け!」
そして迷宮、弟も迷宮、兄に声を合わせ――
「 「 魔 神 衝 撃 波!! 」 」
《ゲート・ガーディアン》の
《雷魔神-サンガ》の部分がイカズチを降らし
《風魔神-ヒューガ》の部分が風でそのイカズチを纏め、
《水魔神-スーガ》の部分が水の力でそれらの攻撃を打ち出す。
そんな《ゲート・ガーディアン》の攻撃が迫る中、闇の仮面は内心で毒づく。
――このままじゃ 俺のフィールドがまたガラ空きに!? くそっ! お前のせいだぞ!
迷宮、兄の2体のモンスターの攻撃を受ければ辛うじてライフは残るが、自身のフィールドは魔法カードが残るのみで文字通りのがら空き。
さらに次の闇の仮面のターンが来るのは迷宮、兄の次の光の仮面のターンを挟み、迷宮、弟の後だ。
光の仮面の動き次第ではなんのガードもないまま迷宮、弟の攻撃を闇の仮面は受けることになる――マズイ状況であった。
だがそんな闇の仮面の耳に聞きなれた声が届く。
「させないかんな! 速攻魔法《
その声の主はタッグパートナーたる光の仮面。
「コイツの効果で墓地の装備魔法カード1枚を正しい対象になるようにフィールドのモンスターに装備する!! このターンの終わりに破壊されちまうがなぁ!」
光の仮面に残った最後のリバースカードが発動され――
「オレは墓地の装備魔法《レアゴールド・アーマー》を自分フィールドの《仮面魔獣デス・ガーディウス》に装備するかんな!」
《仮面魔獣デス・ガーディウス》の身体が金で縁取られた白銀の鎧で覆われた。
「だからどうした!!」
「こうするのさ! 装備魔法《レアゴールド・アーマー》がある限り、装備したモンスター以外のモンスターには攻撃できない!!」
やがて《仮面魔獣デス・ガーディウス》は闇の仮面に迫る《ゲート・ガーディアン》の一撃の前に躍り出てその一撃を腕を犠牲にして逸らす。
そして闇の仮面を守るように《仮面魔獣デス・ガーディウス》は《ゲート・ガーディアン》の前に立ち塞がった。
だが迷宮、兄の攻めは止まらない。再び指を差し示し、《ゲート・ガーディアン》へ攻撃を命じる。
「ならば――《ゲート・ガーディアン》よ! 《仮面魔獣デス・ガーディウス》を薙ぎ払え!!」
再度放たれる雷・風・水の混合攻撃に《仮面魔獣デス・ガーディウス》は立ち向かうも
雷の一撃に焼かれ、風の一撃に聞き刻まれ、水の一撃に風穴を開けられた《仮面魔獣デス・ガーディウス》は怨嗟の叫びと共に地に倒れ伏す。
「ぐぅうううううっ!!」
光の仮面LP:3000 → 2350
《仮面魔獣デス・ガーディウス》を屠った一撃の余波を受け、苦悶に満ちた声を上げる光の仮面だが闇の仮面の方を向き直り息も絶え絶えに声をかける。
「あ、相棒……大丈夫か……」
「お前……」
そんな光の仮面の心配気な声に闇の仮面は呆然と声を漏らす――それは先のターンでいがみ合っていたにも関わらず、自身の窮地を救ってくれた光の仮面に対する戸惑いゆえだった。
しかし光の仮面は気にした様子も見せずに力強く語る。
「安心しろ、相棒! このデュエル! 絶対に勝つかんな!」
先のターンの攻防で光の仮面は理解していた。
迷宮兄弟のコンビネーションに対抗するには闇の仮面との協力が不可欠だと――今はいがみ合っている場合ではない。
やがて《仮面魔獣デス・ガーディウス》が倒れた後に縦に切れ込みの入った赤い仮面の内側からおぞましいナニカが這い出ようとしている不気味な仮面が地面に残る。
「《仮面魔獣デス・ガーディウス》が墓地に送られたとき! デッキから《遺言の仮面》をフィールドのモンスターに装備するかんな!」
その不気味な仮面、《遺言の仮面》は《ゲート・ガーディアン》の雷の文字の部分に取り付く。そして不気味な呻き声を上げていた。
「ぬっ!? 《ゲート・ガーディアン》に奇怪な仮面が!?」
「デス・ガーディウスがその死に際に残した仮面の力を見るかんな!」
《遺言の仮面》の力に抗う様に《ゲート・ガーディアン》は身をよじらせるが――
「魔法カード《遺言の仮面》が《仮面魔獣デス・ガーディウス》の効果で装備された時、その復讐心により装備したモンスターをオレのしもべに出来るのだ!!」
やがてその動きはピタリと止まり、ゆっくりと光の仮面のフィールドに歩み出た。
「にゅふふははははははは! お前らが苦労して呼び出した切り札は貰ったかんな!」
そして迷宮兄弟に立ち塞がるように光の仮面のフィールドで獣のような雄叫びを上げ、その姿に光の仮面は愉悦に顔を歪める。
「くっ、我らの《ゲート・ガーディアン》が……ならば《
奥の手を失った迷宮、兄はせめてと指示を出し、《
《シャイン・アビス》は腕でガードしようとするもあっけなく貫かれ、雷の矢はその先の闇の仮面もついでとばかりに貫いた。
「ぐぉおおお!!」
闇の仮面LP:2200 → 1100
「私はカードを2枚セットして、ターンエンドだ……」
闇の仮面のライフを削れども奥の手たる《ゲート・ガーディアン》が敵の手に落ちたことを考えれば迷宮、兄は歯を食いしばるしかない。
迷宮、兄のライフは僅か400。《
光の仮面の身体を張った一手に迷宮、兄は一転して窮地に陥っていた。
一方の仮面コンビは相手の奥の手たる《ゲート・ガーディアン》を奪えたことで光明を見出す中で闇の仮面は光の仮面に声援を送る。
「相棒! 頼んだぞ!」
「任せろ! オレのターン、ドローだかんな! 良いカードを引いたぜ!」
そんな声援を受けカードを引いた光の仮面の手札はその引いたカード1枚――だがその1枚はこのまま攻めきれる可能性を秘めた1枚であった。
「魔法カード《死者蘇生》を発動! 墓地の《
魔法陣から浮かび上がるのは光の仮面のデッキのキーカード、悪魔のような外見の術師、《
「さらに《
やがて《
「もう1度出番だかんな! 《仮面魔獣デス・ガーディウス》!!」
その青い亡霊のような影は墓地から三つの仮面を持つ異形の悪魔、《仮面魔獣デス・ガーディウス》を引きずり出す。
そんな《仮面魔獣デス・ガーディウス》は次なる獲物を前に舌なめずりするようにその鋭利な爪を地面に奔らせていた。
《仮面魔獣デス・ガーディウス》
星8 闇属性 悪魔族
攻3300 守2500
「此処で墓地の罠カード《スキル・サクセサー》を除外して《
《
《
攻2400 → 攻3200
これで光の仮面のフィールドには攻撃力3000オーバーのモンスターが3体。一気に攻め切り勝ちを得ようと光の仮面は思案する。
――兄の方は相棒のターンよりも後……なら此処はセットカードのない弟を倒させてもらうぜ!
「行けっ! 《
狙いを次のターンプレイヤーである迷宮、弟に定めた光の仮面の指示に従い、《
その攻撃を躱せないと感じた《カオスエンドマスター》は手に持つ装備魔法《最強の盾》を背後に投げ、肩から伸びる翼で2体の亡霊を受け止めようとするも力及ばず吹き飛ばされた。
「だが兄者のお陰で《カオスエンドマスター》は守備表示! ダメージはない!!」
その言葉通り迷宮、弟の前には先程投げられた《最強の盾》が主なき今も、迷宮、弟を守るべく鎮座していた――しかしその《最強の盾》もやがては崩れる。
「だとしても、お前のフィールドはこれでガラ空きだかんな! 兄貴のカードで葬ってやるぜ! 行けっ! 《ゲート・ガーディアン》! 魔神衝撃波!!」
がら空きとなった迷宮、弟に光の仮面に奪われた迷宮、兄の《ゲート・ガーディアン》の雷・風・水の三撃が迫る。
いまや迷宮、弟にはモンスターはおろか伏せカードもない為、その攻撃に対して何もすることは出来ない。
「此処までか……!!」
ゆえに後を迷宮、兄に託し、瞳を静かに閉じる迷宮、弟――後は頼むと願いながら。
だが声が響いた。
「我が弟はやらせん! その攻撃宣言時、罠カード発動! 《
そんな迷宮、兄の声と共に《ゲート・ガーディアン》の足元から巨大な爆発が起き、フィールド全体を揺らす。
「これによりフィールドのもっとも高い攻撃力を持つモンスターを破壊する!」
フィールドにて最も攻撃力が高かったのはその足元が爆発した《ゲート・ガーディアン》。
そして《
「済まぬが消えて貰うぞ! 我らが《ゲート・ガーディアン》よ!!」
爆発の只中で身体が崩れていく《ゲート・ガーディアン》を沈痛な面持ちで見送る迷宮、兄――如何に自身のフェイバリットカードとはいえ弟には代えられない。
「チィッ! 折角奪った《ゲート・ガーディアン》を失うとは……邪魔しやがって!」
そう舌打ちを打つ光の仮面――だがまだ攻撃できるモンスターは残っている。
「なら《仮面魔獣デス・ガーディウス》! 今度こそ弟の方をやっちまえ! ダーク・デストラクション!!」
地面に爪を這わせ大地を削りながら迷宮、弟に迫る《仮面魔獣デス・ガーディウス》。
そして迷宮、弟を射程に捉えた《仮面魔獣デス・ガーディウス》は醜悪な雄叫びを上げなら獲物を狩るべく爪を振り上げた。
だがその爪を受け止めるものがいた。
それは先程破壊された筈の《ゲート・ガーディアン》。
《ゲート・ガーディアン》
星11 闇属性 戦士族
攻3750 守3400
「なにっ!? 何故弟のフィールドに《ゲート・ガーディアン》が!?」
驚きに目を見開く光の仮面に迷宮、兄は覚悟の籠った声を上げる。
「弟はやらせぬといった筈だ! 罠カード《ギブ
やがて《ゲート・ガーディアン》に腕で払いのけられた《仮面魔獣デス・ガーディウス》はそれに合わせて後ろに飛び、光の仮面のフィールドで苛立ち気に獣のように喉を鳴らす。
「これにより私の墓地のモンスターを相手フィールドに守備表示で特殊召喚し、私のフィールドのモンスター1体のレベルを呼び出したモンスターのレベルだけ上げたのだ!」
レベルが上がった影響か《
《
星7 → 星18
「くっ! このデュエルは『バトルロイヤルルール』――それを逆手に取ったのか……!!」
罠カード《ギブ
このカードは通常の1 VS 1のデュエルの際では相手――敵にモンスターを渡すカードだが、
バトルロイヤルルールの複数人でのデュエルでは「相手」フィールドであれば場所を問うことはない――つまり味方にモンスターを託すカードとしても機能する。
それを利用し迷宮、弟の窮地を救った迷宮、兄だったが、払った犠牲は多い。
これで光の仮面が迷宮、兄への攻撃を躊躇わせていたリバースカードは使い切ってしまった。
「そんなに死にたきゃ、お前からぶっ潰してやるかんな!! 《仮面魔獣デス・ガーディウス》! 兄貴の方を先にぶっ潰せッ!! 《
ゆえに光の仮面はターゲットを迷宮、兄へと切り替え、攻撃の巻き戻しで攻撃権が残っている《仮面魔獣デス・ガーディウス》がギョロリと《
《
そして守り手を失った迷宮、兄へともう片方の爪を振るった。
「グァアアアアアアッ!!」
迷宮、兄LP:400 → 0
「兄者ァッ!!」
その《仮面魔獣デス・ガーディウス》の一撃に吹き飛ばされる迷宮、兄の姿に迷宮、弟は駆けよろうとするも――
「弟よ、後は……頼んだぞ……」
そんな迷宮、兄の言葉に足を止める――その倒れ伏した迷宮、兄の姿は「デュエリストがデュエルを放棄するなど何事か」と迷宮、弟を叱責しているようにも見えた。
「オレはこれでターンエンド! エンド時に《
《
《
攻3200 → 攻2400
「へっ、手古摺らせやがって、だが後はお前だけだかんな! 直ぐに兄貴の後を追わせてやるぜ!」
「さぁ、貴様のラストターンだ!!」
タッグの片方が倒れれば単純に戦力は2分の1――その差ゆえに光の仮面は余裕気に挑発し、闇の仮面も見下す様に言葉を投げかける。
だが迷宮、弟にそんな挑発など届いてはいなかった。
「……よくも……よくも兄者を! 私のターン! ドロォオオオオ!!」
その身にあるのは「怒り」――それは仮面コンビに対するものもあるが、自身の不甲斐なさこそ迷宮、弟は憤りを感じていた。
タッグデュエルは「助け合い」。
ゆえに先程、迷宮、弟がするべきことは倒れた兄に駆け寄ることではない。
――兄者に託されたカードで奴らを倒し、勝利をもぎ取ることこそが兄者の望み!!
そんな迷宮、兄の望みを見落としかけた自身の不甲斐なさこそが迷宮、弟には許せない。
「兄者から託されたこの力! 無駄にはせぬ!!」
だがデュエルでのミスを取り返すのはデュエルでのみ――ゆえに迷宮、弟は目を見開き手札の1枚を切る。
「私は魔法カード《パワー・ボンド》を発動! これは機械族融合モンスター専用の融合カード!」
迷宮、兄が託してくれた1ターンが迷宮、弟にこのカードをもたらした。迷宮、弟の背後に渦が浮かび上がる。
「この効果によりフィールドの戦士族! 《ゲート・ガーディアン》と手札の《ユーフォロイド》を融合!!」
デフォルメされたUFOに顔の付いた《ユーフォロイド》が《ゲート・ガーディアン》と共に渦へと呑まれていく。
「融合召喚!! 我ら兄弟の結束の力!! 《ユーフォロイド・ファイター》!!」
そしてデフォルメ感がなくなった《ユーフォロイド》が宙に浮かぶ台座のような姿となり、その上に《ゲート・ガーディアン》がズシンと乗り込む。
またしても、上に乗っただけである。
《ユーフォロイド・ファイター》
星10 光属性 機械族
攻 ? 守 ?
しかし乗っただけといえども、そのパワーは合体前を遥かに凌ぎ、そして圧倒的なまでに強大なものとなる。
「《ユーフォロイド・ファイター》の元々の攻撃力・守備力は融合素材としたモンスター2体の合計の数値となる!!」
「なにっ!? それじゃあソイツの攻撃力は――」
「そう! ぬしらのモンスターを容易く超える4950!!」
《ユーフォロイド》に乗った《ゲート・ガーディアン》もとい《ユーフォロイド・ファイター》から周囲を吹き飛ばしかねない程の力の奔流が溢れ出る。
《ユーフォロイド・ファイター》
攻 ? 守 ?
↓
攻4950 守4950
「攻撃力4950だとぉ!? マズイかんな!?」
光の仮面は焦る中で必死に頭を働かせる。
仮面コンビがその圧倒的な攻撃力に対抗できるカードは今の段階では光の仮面の《仮面魔獣デス・ガーディウス》の効果で呼び出される《遺言の仮面》のみ。
だがその光の仮面のフィールドには攻撃力2400で攻撃表示の《
しかしそんな光の仮面の思考を断ち切るように迷宮、弟はそれだけではないと声を上げる。
「さらに魔法カード《パワー・ボンド》で呼び出されたモンスターはその元々の攻撃力が倍になる!!」
迷宮兄弟の結束の力が限界以上の力を引き出し《ユーフォロイド・ファイター》の周囲にイカズチが落ち、暴風が吹き荒れ、飛沫が舞う。
《ユーフォロイド・ファイター》
攻4950 → 攻9900
「だがこのエンドフェイズに私はこの効果でアップした数値分のダメージを受けるがな……」
「コイツ……捨て身か!!」
迷宮、弟の残りライフは2000――4950ものダメージを耐えきることは不可能。
それゆえの闇の仮面の言葉だったが、光の仮面は通信機で闇の仮面へと警告する。
『いや、相棒……奴の最後の手札は恐らくそのダメージを回避するものだ! 安心は出来ないかんな!』
光の仮面の言う通り迷宮、弟の手札はあと1枚残されている。油断は出来ない。
しかしその光の仮面の通信を聞いた闇の仮面の行動は早かった。
「なら俺を攻撃しろ! さもなくば次のターンで貴様を仕留めてくれる!」
「相棒!?」
まさかの自己犠牲の言葉に光の仮面は闇の仮面の方を向くが、通信機による声が光の仮面の耳元に響く。
『俺にはモンスターも手札もない! ならモンスターのいるお前が生き残った方が良い!』
「相棒……」
闇の仮面の戦術的な意味も込めた意見だったが、光の仮面はその内心を察したゆえに小さく呟く――これは先の借りを返す。否、タッグの
そんな闇の仮面の決意の籠った顔に光の仮面も言葉には出さず小さく頷いて返す。
「安心するが良い! ぬしらは纏めて葬ってくれる!!」
だがそんな迷宮、弟の声が両者の想いを断ち切るように響いた。
「 「 なにっ!? 」 」
仮面コンビの息の揃った驚愕を余所に迷宮、弟は最後のカードを切る。
「私は装備魔法《エアークラック・ストーム》を発動! このカードは機械族にのみ装備可能な装備魔法! 機械族の《ユーフォロイド・ファイター》に装備!!」
《ユーフォロイド・ファイター》の《ゲート・ガーディアン》の手の中に青い巨大なキャノン砲が装備される。
やがてそのキャノン砲、《エアークラック・ストーム》の背面から伸びる5枚の剣の様なパーツが傘の様に広がった中央からコードが伸び、《ユーフォロイド》部分に接続されエネルギーが循環していった。
「そして《エアークラック・ストーム》を装備したモンスターがバトルで相手モンスターを破壊した時! もう一度だけ続けて攻撃が出来る!!」
《エアークラック・ストーム》の内側に雷・風・水のエネルギーが蓄積され、混ざり合う。
「そ、そんな……」
「バ、バカな……」
《エアークラック・ストーム》の効果を理解したゆえに顔を絶望の色に染める仮面コンビ。
そして《ユーフォロイド・ファイター》の《ゲート・ガーディアン》部分は《エアークラック・ストーム》の砲身を居合切りの際の刀の様に構え――
「バトルだ!! 《ユーフォロイド・ファイター》で《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》を攻撃! そして返す刀で《仮面魔獣デス・ガーディウス》を攻撃ィ!!」
その迷宮、弟の声に合図に砲身から3つのエレメントエネルギーが螺旋のように捻じれ、その莫大なエネルギーの塊が巨大な剣と化す。
「神 魔 螺 旋 衝 撃 波!!」
やがて放った《ユーフォロイド・ファイター》の《ゲート・ガーディアン》部分が《エアークラック・ストーム》の砲身を闇の仮面から光の仮面へと薙ぎ払うように一閃。
何ら抵抗できずに両断された《仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー》と《仮面魔獣デス・ガーディウス》と共に、闇の仮面と光の仮面の両名もまた切り裂かれた。
「 「 ぐぁあああああああッ!! 」 」
闇の仮面LP:1100 → 0
光の仮面LP:2350 → 0
E・HERO テンペスター「《ユーフォロイド・ファイター》のカードに描かれているのはOCGカードと同じく私だぞ!」
~入りきらなかった人物紹介、その1~
メンド・シーノ
遊戯王Rに出演
カードプロフェッサーの一人。
頭にターバンを巻いた盗賊風の恰好の男。
相手を罵る際に「安モン」との表現を好んで使う。なお笑い方は豪快であり、「だっハハハハ」とかなり特徴的。
遊戯王Rにて城之内とデュエルし、敗北。
その際にチンピラ染みた粗暴さも見せるが、周到に罠を張っていたりとデュエルの腕前は決して低くはない。
ただ格下と思った相手を侮る悪癖があるだけである――ダメじゃねぇか。
カマキリをペットとして飼っている。遊戯王Rの単行本にて、楽し気に戯れている姿も
――今作では
遊戯王Rにて賞金をかなり気にする言動を見せていたことから「お金にがめつい」印象が強まった。
カードプロフェッサー内でギャンブルを始めた張本人。同じくカードプロフェッサーであるテッド・バニアスをよくカモっていた。
なおやり過ぎたゆえにその後、マイコ・カトウにガッツリ儲けを毟り取られた――その経験から若干大人しくなった模様。
その一件以降、マイコ・カトウに頭が上がらない。
~入りきらなかった人物紹介、その2~
クラマス・オースラー
遊戯王Rに出演
カードプロフェッサーの一人。
遊戯王Rにて登場したカードプロフェッサーの中で最年少。
その年でデュエル界の裏側に身を置くとは彼に一体何があったのやら……
左右に尖った針のような髪が伸びる形状記憶ヘアーを持つ。
遊戯王Rにて城之内とデュエルし、敗北。
作中にて自身の「運」の動向をかなり気にしている所作が見て取れた。
自身の運に関して「ツイてる!・ツイてねェ……」とよく一喜一憂している姿が見られる。
実力にムラっけがあるタイプのデュエリストなのかもしれない。
遊戯王Rの単行本にてカードプロフェッサーのミリタリー大好きカーク・ディクソンとラジコンで遊ぶ様子も。
カードプロフェッサー内でのアットホーム感が見て取れる――デュエル界の裏側を感じさせない光景である。
――今作では
トムより少し上程度の年齢(と思われる)にも関わらず、デュエル界の裏側に身を置く理由を考えた結果――
金銭的に困窮している様子も見られなかった為、単純にダーティな世界観への憧れからカードプロフェッサーの道へ進んだと考察。
カードプロフェッサー皆の弟分といった立ち位置。
デュエル界の裏側の深みに嵌まらぬように周囲が色々と目を光らせている。
なお当の本人はカードプロフェッサー内で満足している為、これ以上デュエル界の裏側の深みに陥ることはない。