マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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パラドックスVS 遊戯・十代・遊星 戦――後編です。疲れた……


前回のあらすじ
クリボー「クリッ!?(出番を失った気がする……)」

E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネオス「こっちに……こっちに来るんだ……」

N(ネオスペーシアン)・アクア・ドルフィン「仲良く……ワクワクしよう……」

ジャンク・ガードナー「止めろォオオオ!」



第137話 時を超えた絆

 

 

 《Sin トゥルース・ドラゴン》の連撃に耐えた遊戯・十代・遊星。

 

 そして次のターンプレイヤーである遊星が光を取り戻した瞳でカードを引くが――

 

「《スターダスト・ドラゴン》を守ってくれた遊戯さんの想い、無駄にはしません! 俺のターン! ドロー!」

 

「この遊星のスタンバイフェイズで俺の発動した永続魔法《未来融合-フューチャー・フュージョン》の2度目のスタンバイフェイズだ!!」

 

そんな遊星に対し、十代は援護を行う――空に《融合》の渦が逆巻く。

 

「1度目のスタンバイフェイズで公開した融合モンスターを融合召喚するぜ! さぁ、今こそ出番だぜ!! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》!!」 

 

 やがて空に浮かぶ渦から降り立ったのは浅黒い肌をした筋肉質な身体をしめ縄を歌舞伎役者のような装いで巻き、錫杖を構えるヒーロー。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》

星6 闇属性 戦士族

攻1900 守1800

 

「そして特殊召喚された《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》の効果を発動! 相手フィールドのモンスター1体を破壊し、相手の墓地のモンスター1体を相手フィールドに蘇生させる!!」

 

 長く赤い髪を揺らしながら錫杖を揺らして音を鳴らす《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》。

 

「当然、破壊するのは《Sin トゥルース・ドラゴン》! 蘇生させるのは攻撃力が0の《Sin パラレルギア》だ! シャドウ・ストライク!!」

 

 やがてその錫杖が《Sin トゥルース・ドラゴン》に向けられ、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》の身体に描かれた墨の文様が錫杖から放たれた。

 

 《Sin トゥルース・ドラゴン》の身体に纏わりつく墨の文様が脈動し、その身体を締めあげるが――

 

「無駄だ! 墓地の《復活の福音》を除外することで、破壊されるドラゴン族の身代わりとする!!」

 

 巨大な翼をはためかせ、その巨体を宙に浮かし回転した《Sin トゥルース・ドラゴン》によって墨の文様は打ち払われてしまった。

 

「コイツも躱されちまったか~済まねぇ、遊星――援護できなかった」

 

「いえ、最高の援護です! 十代さん!」

 

 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》の効果が躱されたことを悔やむ十代だが、遊星は先程の攻撃能力を持つモンスターがいなかった状況に比べれば、と感謝の意を示す。

 

 これにて条件は整ったと。

 

「十代さん! 貴方のヒーローの力、貸して貰います!!」

 

「おう!」

 

 遊星の頼みに勿論だと返す十代。そして――

 

「魔法カード《融合》を発動! 俺の《スターダスト・ドラゴン》と十代さんの戦士族! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》を融合!!」

 

 遊星の相棒たるシグナーのドラゴンと十代のヒーローが背中合わせに天へと飛翔し――

 

「集いし想いが新たな可能性の扉を開く! 光差す道となれ!」

 

 その二つの姿は混ざりあい、青き光を紡ぎ渦と化す。

 

「融合召喚! 顕現せよ――《波動竜騎士(はどうりゅうきし) ドラゴエクィテス》!!」

 

 やがて渦から飛び出したのは竜の翼を持つ青い鎧で全身を包み、竜の頭のような兜で素顔が伺えぬ竜の騎士の姿。

 

 その手に持つ巨大なランスを横薙ぎに払いながら翼を広げ、周囲に疾風を起こす。

 

波動竜騎士(はどうりゅうきし) ドラゴエクィテス》

星10 風属性 ドラゴン族

攻3200 守2000

 

「更に《ジャンク・シンクロン》を召喚し、効果発動!」

 

 再び現れた橙色のアーマーを身に纏った小さな戦士、《ジャンク・シンクロン》が《波動竜騎士(はどうりゅうきし) ドラゴエクィテス》の隣におずおずと並び――

 

《ジャンク・シンクロン》

星3 闇属性 戦士族

攻1300 守 500

 

「墓地のレベル2以下のモンスター1体――《チューニング・サポーター》を復活させる!」

 

 更にその《ジャンク・シンクロン》の背に乗った中華なべを被った小さなロボット、《チューニング・サポーター》がその背から「よっ」と飛び降り、中華なべの位置を調整する。

 

《チューニング・サポーター》

星1 光属性 機械族

攻 100 守 300

 

「そしてレベル1、《チューニング・サポーター》に! レベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング!!」

 

 そして3つの光の輪に1つの星が潜り――

 

「集いし星が、勝利を掴む一手となる! 光さす道となれ! シンクロ召喚! 掴み取れ、《アームズ・エイド》!!」

 

 やがて光の先から現れたのは、黒い手甲の先に鋭い赤い爪が付いた機械の腕がひとりでに浮かぶ

 

《アームズ・エイド》

星4 光属性 機械族

攻1800 守1200

 

「シンクロ素材として墓地に送られた《チューニング・サポーター》の効果で俺はカードを1枚ドロー!」

 

 カードを引いた遊星は《Sin トゥルース・ドラゴン》を打倒する為、力を結集すべく声を張る。

 

「此処で《アームズ・エイド》の効果発動! このカードは俺のモンスターの装備カードとすることが出来、その攻撃力を1000ポイントアップさせる!! 《アームズ・エイド》を《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》に装備!!」

 

 手に持ったランスを天高く放り投げた《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》の腕に装着される《アームズ・エイド》。

 

 やがてその赤い爪を力強く開き、時間差で落ちてきたランスを握って構えた――やがてランスに赤い光が灯る。

 

《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》

攻3200 → 4200

 

「遊星! コイツも使え! 墓地の罠カード《スキル・サクセサー》を除外し、効果発動!モンスター1体の攻撃力を800アップする!!」

 

 そんな闇遊戯の言葉と共に《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》のランスの赤い輝きは増していき――

 

《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》

攻4200 → 攻5000

 

 《Sin トゥルース・ドラゴン》に迫る攻撃力を得た。

 

「ありがとうございます、遊戯さん!」

 

 闇遊戯に感謝を送った遊星は《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》に視線を送り、対する《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》も小さく頷く。

 

「此処で《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》の効果発動! 墓地のドラゴン族シンクロモンスター1体を除外し、ターンの終わりまでそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る!!」

 

 ランスを地面に突き立てた《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》。

 

「俺は墓地の《閃珖竜スターダスト》を除外し、その力はドラゴエクィテスに受け継がれる!!」

 

 やがてそのランスに蓄積されていた赤いエネルギーがドラゴンのように変化していく。

 

《波動竜騎士ドラゴエクィテス》 → 《閃珖竜スターダスト》

 

「さらに《閃珖竜 スターダスト》の効果を使って《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》を守る!! 波動音壁(ソニック・バリア)!!」

 

 《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》がランスを掲げると共に赤いドラゴンのオーラがその身を包んでいき――

 

「バトル!! 《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》で《Sin トゥルース・ドラゴン》を攻撃!!スパイラル・ジャベリン!!」

 

 ランスを前方に押し出し《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》は《Sin トゥルース・ドラゴン》から放たれるブレスを切り裂きながら迫る。

 

「そして《アームズ・エイド》を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し、墓地に送った時! その破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!!」

 

 やがて《Sin トゥルース・ドラゴン》に深々と突き刺さったランスからその内に蓄積されたエネルギーが暴発し、巨大な爆発となって2体のモンスターを襲う。

 

 だが《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》の身は《閃珖竜 スターダスト》から受け継いだ力に守られ、爆風に乗って青い翼を広げ、空を舞う。

 

 これでパラドックスは5000ポイントの効果ダメージを受ける――リバースカードのないパラドックスに防ぐ術は存在しない。

 

 

 

 

 筈だった。

 

「無駄だ!」

 

「《Sin トゥルース・ドラゴン》が!?」

 

 爆炎の中から無傷の《Sin トゥルース・ドラゴン》が翼を広げ、怒りを示す様に唸り声を上げる。

 

「私は墓地の永続魔法《幻影死槍(ファントム・デススピア)》を除外することで闇属性モンスターの破壊を免れた――よって《アームズ・エイド》の効果は発動しない!」

 

 幾度となくパラドックスが行っていた手札入れ替えの際に墓地に送られたカードが《Sin トゥルース・ドラゴン》に、パラドックスに不死の力を与え続ける。

 

 未だパラドックスの墓地に眠る身代わりとなるカードがなくなるまで、不死の力が途切れることはない。

 

「くっ、これでも倒れないのか!? ……俺はカードを2枚セットしてターン……エンド」

 

 機皇帝たちに対抗する為に遊星が手にした《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》ですら届き得ぬパラドックスの壁に悔し気にターンを終える遊星。

 

「エンドフェイズに《ユベル》さんの維持コストとして自身のモンスター1体をリリースする――俺は《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》をリリース……」

 

『済まないね、遊星』

 

 その奥の手たる《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》も、今の状況では《ユベル》に後を託すことしか出来ない。

 

「いえ、今の俺では次の十代さんに繋ぐことしか……」

 

 維持コストに対し、軽く手を上げて遊星に言葉を送るユベルだが、遊星の胸中は晴れない。

 

 

 そして対するパラドックスのターンだが――

 

「私のターン、ドロー! ふっ、そのまま《ユベル》の効果で身を守るつもりのようだが――そうはさせんよ」

 

 手札のないパラドックスが引いたカードを見やり、笑みを浮かべる――引くべきカードは引き当てたと。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

『ふふん、ボクの力を前に防戦一方のようだね』

 

 結果的にすぐさまターンを終えたパラドックスを挑発気に笑うユベルだが、パラドックスの瞳にブレはない。

 

 

 悔し気な遊星に十代は楽し気な笑みを浮かべ、デッキに手をかける。

 

「後は任せな、遊星! まだまだこっからだぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

「この瞬間、永続罠《生贄封じの仮面》を発動! これでキミたちは《ユベル》を維持することは叶わない!」

 

 しかしパラドックスの背後に浮かび上がる「封」の文字が額に浮かぶ不気味な仮面が3人の希望を断つように《ユベル》を見下ろす。

 

 これで《ユベル》の守りに頼ることは叶わない。

 

 だが十代の瞳は何処までも真っ直ぐだった。

 

「なら俺は遊星の残したセットカード――罠カード《ゴブリンのやりくり上手》を2枚とも発動! 墓地の同名カードの数+1枚のカードをドローし、手札を1枚戻す!」

 

 闇遊戯の墓地から飛び出したゴブリンが十代にコッソリと紙幣を渡す――へそくりらしい。

 

「更にチェーンして手札の速攻魔法《非常食》を発動! 2枚の罠カード《ゴブリンのやりくり上手》と無意味に残った永続魔法《未来融合-フューチャー・フュージョン》を墓地に送り、送った分だけライフを1000回復!」

 

 だがその紙幣は非常食へと換金させられる――十代は花より団子なタイプ。紙幣より菓子の類の方がいい。

 

「よって俺たちのライフは3000ポイント回復するぜ!」

 

 そうして一気にライフを初期近くまで回復させる。

 

遊戯・十代・遊星LP:500 → 3500

 

「そして次に《ゴブリンのやりくり上手》の効果がそれぞれ適用! 墓地には遊戯さんが残してくれた《ゴブリンのやりくり上手》を合わせて4枚! よって5枚ずつ、計10枚ドローして、1枚ずつ――2枚のカードをデッキに戻し、シャッフル!」

 

 希望を託す莫大なドローによって十代の手に舞い込んだのは――

 

「よっしゃあ! 魔法カード《融合回収(フュージョン・リカバリー)》を発動! 墓地の融合と融合召喚に使用したモンスター、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) バーストレディ》を手札に!」

 

 十代の呼びかけに墓地から《E・HERO(エレメンタルヒーロー) バーストレディ》が炎を纏いながら舞い戻り――

 

「更に魔法カード《闇の量産工場》を発動! 墓地の通常モンスター2体、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェザーマン》と《E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》を回収!」

 

 その後に続くように《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェザーマン》と《E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》が十代の手札に集う。

 

 此処から繋がるのは当然――

 

「そして回収した魔法カード《融合》を発動!」

 

「キミの今の手札で融合召喚出来るモンスターは――《E・HERO(エレメンタルヒーロー)プラズマヴァイスマン》か!」

 

 十代の手札と墓地のカードから融合先を予測するパラドックス。

 

「だが数度の効果破壊を繰り返そうとも、我が《Sin トゥルース・ドラゴン》を敗れるなどとは――」

 

 パラドックスが語るように《E・HERO(エレメンタルヒーロー)プラズマヴァイスマン》は手札を1枚捨てることで相手の攻撃表示モンスターを破壊する効果を持つ。

 

 その効果にターン制限がないとはいえ、「捨てる手札の枚数」という間接的な制限がある以上、パラドックスの墓地の身代わり効果を持つ数多のカードの盾を超えるには些か不足だ。

 

「手札の《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェザーマン》と《E・HERO(エレメンタルヒーロー) バーストレディ》を手札融合!」

 

 だがそんなパラドックスの予想を裏切り、融合されるのは最初のターンで十代が融合した面々と同じ顔触れ。

 

「バカな!? 2体目のフレイム・ウィングマンなど……」

 

 その言葉が示しているように十代はエクストラデッキに同名モンスターを複数枚詰むタイプのデュエリストではない為、あり得ないようなものでも見るように十代を眺めるパラドックス。

 

「これが俺のマイフェイバリット HERO(ヒーロー)のもう一つの姿! 来い! 不屈のヒーロー! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェニックスガイ》!!」

 

 しかし融合召喚されたのは赤と黒の二色の身体を持つ緑の翼と赤い尾が生えた竜戦士のようなヒーロー。

 

 とはいえ、名前は「フェニックス」と不死鳥染みているが。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェニックスガイ》

星6 炎属性 戦士族

攻2100 守1200

 

「フェ、フェニックスガイ……だと!?」

 

 これもまたパラドックスが知る本来の歴史では十代が使用していないカードゆえにその動揺は計り知れない――そろそろ慣れよう。

 

 そんな驚きを見せるパラドックスに笑みを浮かべた十代は楽しそうに語る。

 

「知らないのか、パラドックス! ――E・HERO(エレメンタルヒーロー)には複数の可能性が眠っているんだぜ!」

 

『昔のキミも知らなかったじゃないか』

 

「そ、それは言わないでくれよ、ユベル……」

 

 しかしユベルからの無情のツッコミによって思わずガクリと肩を落とす十代。

 

「おのれ、神崎 (うつほ)ォ……歴史にこれ程までの歪みを……!!」

 

 とはいえ、対するパラドックスは神崎への怒りで忙しかったが。

 

 やがて十代はデュエルに戻る。

 

「気を取り直して、2枚目の魔法カード《融合》を発動! 俺はフィールドの《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェニックスガイ》と、手札の《E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》を融合!!」

 

 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェニックスガイ》に雷の力が落ち、その身を光で包んでいく。

 

「不屈のヒーローは更なる高みへ! 融合召喚! 来いっ! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》!!」

 

 やがて光を解き放ち現れたのは緑の身体に白いアーマーで頭と手足を覆った《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェニックスガイ》の新たな姿。

 

 その背の巨大な機械の翼を広げ、パラドックスと対峙する。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》

星8 炎属性 戦士族

攻2500 守2100

 

 しかしそんな切り札クラスのヒーローを呼び出したにも関わらず十代は止まらない。

 

「まだまだァ! 魔法カード《ミラクル・フュージョン》を発動! フィールド・墓地のモンスターを除外して融合召喚するぜ!」

 

 新たに発動された一枚は墓地に眠るヒーローに新たな可能性を与えるカード。

 

「俺は墓地の《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フレイム・ウィングマン》と、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》を除外して墓地融合!!」

 

 ヒーローの頭文字「H」の文字の元、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フレイム・ウィングマン》に《E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》の力が加わり、更なる高みへと至るべく2つの影が1つに渦巻いていく。

 

「融合召喚!! フレイム・ウィングマンを更なる次元へ! 来いっ! 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》!!」

 

 新たな力を得て空に飛び立つのは白い装甲に身を包んだニューヒーロー。

 

 その背には光り輝く白い翼が広がり、かつて竜の顎があった右腕には黄金の手甲が光る。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》

星8 光属性 戦士族

攻2500 守2100

 

 2体の光り輝くヒーローが立ち並ぶ中、十代はここぞとばかりにカードを切る。

 

「そして俺は手札を1枚捨て、装備魔法《閃光の双剣-トライス》を《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》に装備! 攻撃力が500下がるけど、2回攻撃が可能になるぜ!」

 

 空から地面に交差するように突き刺さった二振りの剣をその手に取る《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェニックスガイ》。

 

 その剣は「閃光」の名に恥じぬ輝きを見せ、「シャイニング」――光の化身であるヒーローを主と認めた。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》

攻2500 → 攻2000

 

「さらに魔法カード《手札抹殺》を発動! 全てのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた分だけドローだ! 俺は1枚捨てて、1枚ドロー!」

 

 これで全ての準備は整ったとばかりに十代は楽しそうに笑う。

 

「そして2体のシャイニング・ヒーローたちは散っていったヒーローの想いを継ぎ、墓地の『E・HERO(エレメンタルヒーロー)』の数×300ポイント攻撃力を上げるぜ!」

 

 散っていったヒーローの意思が《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》と《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》の翼に宿り、眩いばかりの光を放ち始め――

 

「俺の墓地の『E・HERO(エレメンタルヒーロー)』はバーストレディ、フェザーマン、バブルマン、ワイルドマン、ネクロダークマン、ネクロイド・シャーマン、テンペスター、フェニックスガイ、エッジマン、プリズマーの合計10体!」

 

「墓地のカードの数が合わない……《閃光の双剣-トライス》と《手札抹殺》の時か!?」

 

 パラドックスの声を肯定するように2体のシャイニング・ヒーローの翼の光は全身に広がっていく。

 

「その通りだぜ! よって2体のシャイニング・ヒーローたちの攻撃力は3000ポイントアップ!!」

 

 やがて右腕に力を集め、誇るように握りしめ、パラドックスに向けて突きつける《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》

攻2500 → 攻5500

 

 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》もまた、両の手の《閃光の双剣-トライス》をパラドックスに向けて構える。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》

攻2000 → 攻5000

 

「バトル! シャイニング・フェニックスガイで《Sin トゥルース・ドラゴン》を攻撃だ! 輝け、終局の光! シャイニング・フィニッシュ!!」

 

 《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》が振り下ろした《閃光の双剣-トライス》の斬撃と、《Sin トゥルース・ドラゴン》のブレスが互いにぶつかり合い、拮抗を見せる。

 

 だがその二つの攻撃は当然、逃げ場を失う様に交錯し、それぞれに襲い掛かる。

 

「墓地の2枚目の魔法カード《復活の福音》を除外! これで《Sin トゥルース・ドラゴン》は破壊されない!!」

 

 その攻撃から《Sin トゥルース・ドラゴン》を守るように竜の石像が盾となり――

 

「こっちもだ! シャイニング・フェニックスガイはフェニックスガイの『戦闘で破壊されない』効果を受け継いでいるぜ!」

 

 迫る竜のブレスを《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》は切り払う。

 

「そして装備魔法《閃光の双剣-トライス》で2回目の攻撃だ!」

 

 そしてすぐさま《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》は《閃光の双剣-トライス》を振るい追撃に移った。

 

「墓地の3枚目の《復活の福音》を除外! 《Sin トゥルース・ドラゴン》は破壊させん!」

 

 その斬撃から再び竜の石像を身代わりとし、己を守る《Sin トゥルース・ドラゴン》。

 

 しかし十代の追撃は止まらない。

 

「だったらもう一撃だ! シャイニング・フレア・ウィングマンで《Sin トゥルース・ドラゴン》を攻撃! 究極の輝きを放て! シャイニング・シュートォ!!」

 

 翼を広げながら光り輝く拳を振り上げて《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》は対する《Sin トゥルース・ドラゴン》に飛び掛かる。

 

「シャイニング・フレア・ウィングマンはフレイム・ウィングマンの力を受け継いでいるぜ! よって破壊したモンスターの攻撃力分の効果ダメージを与える!!」

 

 《Sin トゥルース・ドラゴン》のブレスをものともせず、その拳を黄金のドラゴンに打ち据える《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》。

 

 

 だが咆哮を上げながら巨大な翼を盾とした《Sin トゥルース・ドラゴン》に阻まれ、パラドックスを仕留めるには届かない。

 

「まだだァ! 墓地の2枚目の永続魔法《幻影死槍(ファントム・デススピア)》を除外! これで《Sin トゥルース・ドラゴン》は無傷!」

 

「ダメかー! だけどダメージは受けて貰うぜ!」

 

パラドックスLP:2350 → 1850

 

 幾度、その身に牙を突き立てられようとも《Sin トゥルース・ドラゴン》は倒れない。

 

「ぐっ……だとしても、私は倒れる訳にはいかない! 未来を救わねばならないのだから!!」

 

 それは一体化しているパラドックスの不屈の闘志がそうさせるようにも見えた。

 

「負けられないのは俺も同じさ! バトルを終了して魔法カード《HERO(ヒーロー)の遺産》を発動!」

 

 だが十代にも譲れないものがある。

 

 散っていったヒーローたちの武具が十代を助けるように集まっていく。

 

「コイツは俺の墓地の『HERO(ヒーロー)』モンスターを融合素材とする融合モンスター2体をエクストラデッキに戻して新たに3枚のカードをドローするカード――」

 

 墓地のヒーローから託されたのは腕に装着する銃と、錫杖。

 

「よって俺は対象となる融合モンスターの《E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロイド・シャーマン》と《E・HERO(エレメンタルヒーロー) テンペスター》をエクストラデッキに戻して新たに3枚のカードをドロー!」

 

 2体のヒーローの無念をくみ取り十代はデッキからカードを引き抜き――

 

「墓地のヒーローが減ったことで、2体のシャイニング・ヒーローたちの攻撃力が下がるぜ!」

 

 ヒーローの無念が解消されたゆえか、闘志が幾分か収まりを見せ、背中の翼の輝きが収まる2体のシャイニング・ヒーローたち。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》

攻5500 → 攻4900

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》

攻5000 → 攻4400

 

「そんでもって、今引いた3枚のカードを全て伏せてターンエンドだ! 《ユベル》の維持コストは払えねぇから自壊しちまうぜ――ゴメンな、ユベル」

 

『なぁに、構わないさ――でも分かってるよね?』

 

 無為に墓地に送られるユベルだが、その表情に悲観はない。ただ言葉なく「後は任せた」と返すだけだ。

 

「おう、分かってるよ!」

 

 そんなユベルに任せろと、太陽のように笑う十代。

 

 その2人のやり取りに、パラドックスはポツリと苛立ち気に声を漏らす。

 

「何故、この状況で笑っていられる……」

 

 このデュエルが始まってから十代は終始、笑顔だった。

 

 互いのギリギリの攻防の中であっても、時に悔し気に、時に自信ありげに笑みを浮かべ。

 

 苦難を前にしても、強気に笑い。

 

 敵味方問わずエース格のモンスターが呼ばれる度に楽し気に笑う。

 

 そんな十代の姿がパラドックスには唯々不可解だった。「状況を理解しているのか?」とすら思う。

 

 だが十代のスタンスはブレない。

 

「いや、『お前スッゲー強いな!』って思ってさ――どうせならこんな命懸けのデュエルじゃなくて、もっと普通にデュエルしたかったぜ!」

 

「自分たちの命が懸かっているというのに悠長な……」

 

「何だよ――強いヤツとのデュエルはワクワクする! それだけじゃダメなのかよ?」

 

 デュエルに対して、何処までも純粋で真っすぐな想いがパラドックスの心に突き刺さる。

 

「くっ……私のターン! ドロー!!」

 

 自身の心に燻る想いにフタをしながらパラドックスは戦う――先に抱いた感情に流されてはならないと。

 

「キミの《ユベル》が消えた今! このカードはもう必要あるまい! 私は魔法カード《マジック・プランター》を発動! 永続罠《生贄封じの仮面》を墓地に送り新たに2枚のカードをドロー!」

 

 宙に浮かぶ《生贄封じの仮面》が砕ける中、パラドックスは2枚のカードを見やり、己が切札に新たな力を付与する。

 

「装備魔法《孤毒(こどく)(つるぎ)》を《Sin トゥルース・ドラゴン》に装備!」

 

 そして《Sin トゥルース・ドラゴン》の、パラドックスの身体をあらゆる存在を拒絶するような禍々しいオーラが覆う。

 

「このカードを装備したモンスターの元々の攻撃力・守備力は相手モンスターと戦闘する際のダメージ計算時のみ倍になる!!」

 

「実質、攻撃力1万だと!?」

 

 装備するだけで攻撃力が無条件で倍化する強力な効果に驚愕に目を見開く遊星。

 

「当然デメリットもある――私のフィールドに装備モンスター以外のモンスターが存在すれば、このカードは墓地に送られてしまうデメリットがな」

 

 しかしパラドックスから語られるデメリット――それは1人になっても戦い続けるパラドックスの覚悟にも思えた。

 

「だが今、この瞬間には何も問題はない! 《Sin トゥルース・ドラゴン》! 遊城 十代の光を――シャイニング・フレア・ウィングマンを打ち払え!!」

 

 禍々しいオーラを身に纏う《Sin トゥルース・ドラゴン》から放たれるブレスは先程の比ではない。

 

 その巨大なブレスによる一撃が《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》諸共3人を滅殺せんと迫る。

 

「そうはいかねぇぜ! その攻撃宣言時、罠カード《立ちはだかる強敵》を発動! このターンの全ての攻撃を俺が選んだモンスターで受ける!」

 

 しかし十代の声にすぐさま《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》を庇う様に前に出る《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》。

 

 戦闘で破壊されない自身の効果を活かす時だと。

 

「頼むぜ! シャイニング・フェニックスガイ!!」

 

 その《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》の姿に頼もしさを覚える十代。

 

「だが装備魔法《孤毒(こどく)(つるぎ)》によって倍化する《Sin トゥルース・ドラゴン》の力によってどのみちキミのライフは尽きる!」

 

 しかしそんなヒーローの想いを打ち砕くように《Sin トゥルース・ドラゴン》は禍々しいオーラを纏いつつ、ブレスを発射し、超過ダメージによって十代たちを抹殺せんと動く。

 

《Sin トゥルース・ドラゴン》

攻5000 守5000

攻10000 守10000

 

 そんな《Sin トゥルース・ドラゴン》の圧倒的な攻撃力から放たれた一撃が5600ポイントものダメージとなって周囲を揺らすが――

 

 

 

 

遊戯・十代・遊星LP:3500 → 700

 

 十代たちのライフは僅かばかりに残った。

 

「チッ、最後のリバースカードの効果か……」

 

「ああ、俺は罠カード《ダメージ・ダイエット》を発動していたぜ……これでこのターン受ける全てのダメージを……半分に……!」

 

 即死クラスのダメージは防げども、発生した余波に傷つく遊戯・十代・遊星――だが決して倒れはしない。

 

 そして2体のシャイニング・ヒーローたちもまた健在だ。

 

「くっ……何故だ! 何故、倒れない!! ――カードを1枚セットし、ターンエンドだ!!」

 

 その3人の姿にパラドックスの心が揺れ動く。

 

 

 状況は未だパラドックスが優勢である。

 

「だとしても攻撃力は私の《Sin トゥルース・ドラゴン》には遠く及ばず!」

 

 だがパラドックスは己のアドバンテージを示す様に叫ぶ。

 

「未だ私の墓地には《Sin トゥルース・ドラゴン》の破壊を回避するカードが眠っている!」

 

 叫ばずにはいられなかった。

 

「キミたちの絶望的な状況は何一つ変わってなどいない!!」

 

 その心に巣食う感情を否定する為に。

 

 

 しかしそんな危機的な状況であっても闇遊戯は動じずデッキに手をかける。

 

「俺のターンだ! ドロー!!」

 

「何故だ! 何故、この絶望的な状況で諦めない! 何故、戦う!」

 

 迷いなくカードを引く闇遊戯の姿にパラドックスが思わず問いかけた言葉に闇遊戯は視線を合わせながら返す。

 

「簡単な話だぜ、パラドックス。それは俺が、俺たちが――」

 

「そうだぜ、パラドックス! 俺たちが――」

 

 十代も続くように返す。

 

「そう、俺たちが――」

 

 遊星も頷きながら続く。

 

 

 その答えなど決まり切っていた。それは――

 

「 「 「 デュエリストだからだ!! 」 」 」

 

 

 デュエリストは最後の最後まで、それが敗北の瞬間であっても、デュエルに向き合う人間なのだから。

 

 デュエルから背を向けるような真似など出来ない。

 

「墓地の《置換融合》を除外し、融合モンスター《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》をエクストラデッキに戻して更に1枚ドロー!」

 

 遊星の奥の手が闇遊戯の手に可能性を運ぶ。

 

「さらに魔法カード《アドバンス・ドロー》を発動! フィールドのレベル8以上のモンスター、《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》を墓地に送り、2枚ドロー!」

 

 己が身の光を遊戯に捧げる《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フェニックスガイ》。

 

 やがて役目を終えたように《閃光の双剣-トライス》が地面に落ち、砕ける。

 

「来たぜ! 魔法カード《黙する死者》を発動し、墓地の通常モンスター1体――《ブラック・マジシャン》を蘇生する!! 舞い戻れ、《ブラック・マジシャン》!!」

 

 舞い戻り、杖を構える黒き魔術師、《ブラック・マジシャン》が闇遊戯の元に馳せ参じ、その身を捧げ、

 

《ブラック・マジシャン》

星7 闇属性 魔法使い族

攻2500 守2100

 

「更に魔法カード《死者蘇生》を発動! 遊星! 君のスターダストの力! 貸して貰うぜ!!」

 

 遊星の相棒たるドラゴン、《スターダスト・ドラゴン》が闇遊戯に力を貸すべく舞い降りる。

 

《スターダスト・ドラゴン》

星8 風属性 ドラゴン族

攻2500 守2000

 

「そして魔法カード《融合》を発動!! 《ブラック・マジシャン》とドラゴン族モンスター《スターダスト・ドラゴン》を融合!!」

 

 そして闇遊戯の最後の手札が奇跡をもたらす。

 

「カードの精霊が力を貸してくれているのか!?」

 

 精霊の力を感知した十代の瞳がオッドアイに輝き、

 

「赤き龍の痣が!?」

 

 遊星の腕の赤き龍の痣が赤い光を放ち、

 

「黒き魔術師の力が眠れる伝説の竜の力を呼び覚ます! 融合召喚!!」

 

 闇遊戯の千年パズルが眩いまでの光を見せ、エクストラデッキが光り輝く。

 

 やがて飛翔した《スターダスト・ドラゴン》の隣を飛ぶ《ブラック・マジシャン》の姿は光と共に一つに重なり――

 

「招来せよ! 伝説の竜魔術師! 《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》!!」

 

 全身に魔術の文様の帯が光る《スターダスト・ドラゴン》の背に《ブラック・マジシャン》が騎士の如く佇む姿が降り立った。

 

呪符竜(アミュレット・ドラゴン)

星8 闇属性 ドラゴン族

攻2900 守2500

 

「《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》の効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時、自分・相手の墓地の魔法カードを任意の枚数除外する!!」

 

「なにっ!?」

 

 《スターダスト・ドラゴン》の身体を奔る魔術の文様が淡く光り、周囲に突風を起こして魔力の残照を巻き上げるが――

 

「だが好きにはさせん! チェーンしてリバーストラップ《貪欲な瓶》を発動! 墓地のカードを5枚デッキに戻し、1枚ドローする! これで5枚の魔法カードをデッキに戻す!」

 

 しかしそんな風の中、宝石をちりばめた欲深い顔を模した瓶が魔力の残照の一部を呑み込んでいく。

 

 やがてその大半は舞い上がる風が引き寄せていき、魔力の残照――墓地の魔法カードは《スターダスト・ドラゴン》の口へと吸い込まれて行った。

 

「だとしても、これで《Sin トゥルース・ドラゴン》の鉄壁の防御は打ち破られた!!」

 

 そう、これでパラドックスの墓地に身代わり効果を持つ魔法カードは存在しない。

 

「くっ!?」

 

「さらにこの効果で除外したカードの数だけ《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》の攻撃力は100アップする! 除外したのは21枚! よって2100ポイント攻撃力がアップ!!」

 

 やがて取り込んだ魔術の残照が《スターダスト・ドラゴン》とその背に佇む《ブラック・マジシャン》の魔力へと変換されていき――

 

呪符竜(アミュレット・ドラゴン)

攻2900 → 攻5000

 

 その力は《Sin トゥルース・ドラゴン》と互角になる程まで高まった。

 

「バトルだ! 《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》で《Sin トゥルース・ドラゴン》を攻撃!」

 

「血迷ったか!!」

 

 闇遊戯の攻撃宣言にそう返すパラドックス。

 

 例え《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》が《Sin トゥルース・ドラゴン》の攻撃力と互角のパワーを持ったとしても、《孤毒(こどく)(つるぎ)》が存在する限り、《Sin トゥルース・ドラゴン》の攻撃力は1万にまで上がる。

 

 互いのドラゴンのブレスと黒き魔術師の魔法がチャージされる。

 

 当然、このままなら返り討ちだが――

 

「十代! 今度は君のカードの力を借りるぜ!」

 

「はい、遊戯さん!!」

 

 闇遊戯の声に小さく頷いた十代は闇遊戯の声を揃えるように共に宣言する。

 

「 「 自身の融合モンスターがバトルする攻撃宣言時に速攻魔法《決闘融合(けっとうゆうごう)-バトル・フュージョン》を発動! 」 」

 

 《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》の周囲の白いオーラが立ち込める。

 

「俺の融合モンスターの攻撃力はバトルする相手モンスターの攻撃力分アップする! よって《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》の攻撃力は――」

 

 そう続けた闇遊戯の言葉と共に《スターダスト・ドラゴン》のチャージするブレスがより強大さを増し、《ブラック・マジシャン》の魔術により発生した魔力弾の数が倍に増える。

 

呪符竜(アミュレット・ドラゴン)

攻5000 → 攻10000

 

「攻撃力一万だとォ!?」

 

「さすがだぜ、遊戯さん――攻撃力が並んだ!」

 

 驚愕の声を漏らすパラドックスに対し、拳を握る十代。

 

 そして闇遊戯の宣言と共に――

 

「行けッ! 《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》! マジック・デストーション!!」

 

 《スターダスト・ドラゴン》と《ブラック・マジシャン》の合わせ技が螺旋を描きながら《Sin トゥルース・ドラゴン》に迫る。

 

「装備魔法《孤毒(こどく)(つるぎ)》の効果でモンスターとのバトルの間だけ《Sin トゥルース・ドラゴン》の攻守は倍になる!!」

 

 しかし《Sin トゥルース・ドラゴン》も負けてはいない。その身に宿った禍々しいオーラの全てをブレスに変換し、《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》の攻撃に向けて放つ。

 

《Sin トゥルース・ドラゴン》

攻5000 守5000

攻10000 守10000

 

 互いの全てをかけた攻撃がぶつかり合う中、互いの身体がピシリと音を立てると同時にぶつかり合う力が逃げ場を求めるように爆ぜた。

 

 

 その強大な爆発の衝撃が《Sin トゥルース・ドラゴン》と《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》を消し飛ばす。

 

 その衝撃に耐える遊戯・十代・遊星だったが、対するパラドックスは《Sin トゥルース・ドラゴン》と一体化していたゆえかダメージが大きい。

 

「ぐぁああああッ!!」

 

 だが《Sin トゥルース・ドラゴン》がその身が砕ける前にパラドックスを強制的に分離させ、パラドックスは地面を転がった。

 

 我が身に等しいモンスターの献身により、何とかその身が残ったパラドックスは震える膝を叱責しながら立ち上がる。

 

「……マズイ……このままではシャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃が――」

 

 まだデュエルは終わっていないのだから。

 

 

 だがそんなパラドックスを見下ろすのは――

 

 

 2人の遊戯の相棒たる黒き魔術師、《ブラック・マジシャン》が杖を構え、

 

《ブラック・マジシャン》

星7 闇属性 魔法使い族

攻2500 守2100

 

 そして遊星の相棒たるドラゴン、《スターダスト・ドラゴン》が翼を広げていた。

 

《スターダスト・ドラゴン》

星8 風属性 ドラゴン族

攻2500 守2000

 

「何故、その2体のモンスターが……」

 

 呆然と呟くパラドックスに闇遊戯は静かに語る。

 

「破壊された《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》には墓地の魔法使い族モンスター1体を呼び戻す力がある」

 

 その言葉と共に闇遊戯が手に持ち示していた《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》のカードが光の粒子となって文字通り、消えていく。

 

「そして融合モンスターである《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》が破壊されたことで、永続魔法《ブランチ》の効果により融合素材モンスターを復活させた」

 

 一見すれば効果の説明が語られただけだが、パラドックスの受けた衝撃は大きい。

 

「バ、バカな……」

 

 数多の攻撃を受け続けてきた彼らのエースが並び、パラドックスの周りには何者も存在しない。

 

 文字通り、パラドックスは1人だ。

 

 

「もう終わりにしよう、パラドックス」

 

「こんなことが……」

 

 静かに告げた闇遊戯にパラドックスは現実を受け止められないかの如く言葉を紡ぐことしか出来ない。

 

 

 

「《ブラック・マジシャン》!」

 

 遊戯の声に《ブラック・マジシャン》の杖から黒い魔力弾が形成されていき――

 

「シャイニング・フレア・ウイングマン!」

 

 十代の声に《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》の右拳に光が輝き――

 

「《スターダスト・ドラゴン》!」

 

 遊星の声に《スターダスト・ドラゴン》の口に星屑のブレスがチャージされていく。

 

 

 そんな3人のデュエリストと3体の相棒のモンスターの様相にパラドックスは納得した様相で呟く。

 

「そうか……」

 

 彼らの瞳に、身体に、心に宿る力の正体へパラドックスは理解が及び呟く。

 

 

 

 そんな中、《ブラック・マジシャン》が杖を天に向け、黒い魔力弾を掲げ、

 

 隣でその杖に向かって《E・HERO(エレメンタルヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマン》が右腕に輝く光を注ぎ、

 

 その光と闇が混ざり合ったエネルギーへと《スターダスト・ドラゴン》の星屑のブレスが混ざり合う。

 

「 「 「 ブラック・シャイニング・ソニック!! 」 」 」

 

 やがて遊戯・十代・遊星の声と共に三つの力が一つとなり、宇宙の如き輝きを放つ一撃がパラドックスに迫る中――

 

「これがキミたちの可能性か……」

 

 思わずそうポツリと零したパラドックスは満足気な顔で笑みを浮かべる。

 

 

 黒き魔術が、ヒーローの光の一撃が、ドラゴンのブレスがパラドックスの身を包み、焦がす。

 

 

 

 そんな圧倒的な力の奔流に呑まれるパラドックスは最後の力を振り絞って叫んだ。

 

「だが! キミたちは必ず後悔する! あの男を生かしたことをォオオオオ!!」

 

パラドックスLP:1850 → → → 0

 

 最後に今の今まで気配を消していた神崎に向けて怨嗟の声を上げながら、パラドックスの身体は破壊の奔流に呑まれていった。

 

 

 

 

 

 そのパラドックスの視線の先には変わらぬ笑みが浮かんでいた。

 

 






《ブランチ》の効果で蘇生できるのは『自分の墓地』だけなので、本当は《スターダスト・ドラゴン》は蘇生できませんが――

此処は千年パズルの力が《スターダスト・ドラゴン》を遊星の元(コントロール)に返したということで……(震え声)

デュエルの結果は変わりませんし(目そらし)



そしてエクストラ創造の第一号は《呪符竜(アミュレット・ドラゴン)》!

千年パズル、精霊の力、そして赤き龍の力で伝説の三竜の封印が一時的に解いたということで(小声)
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