マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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長くなったので2話に分けました――城之内克也VSダイナソー竜崎 前編です

前回のあらすじ
キース復活ッッッ!! ハワード復活ッッッ!!

牛尾、友情教への入門資格を得る



第14話 関西の血

 城之内と竜崎が距離を取って向かい合い試作型デュエルディスクを構える。

 

 竜崎は最初の対戦相手が町内大会程度のデュエリストだという情報から自身の勝利を確信していた。

 

「初戦の相手はお前か……この勝負もろたで!」

 

「言ってな! 俺は勝つ!! 静香の前でカッコ悪いとこ見せられるかよ!」

 

「「デュエル!!」」

 

「俺の先行! ドロー! 俺は手札から《凡骨の意地》を発動! さらに《タイガー・アックス》を召喚! カードを2枚セットしターンエンドだ!」

 

 カードをセットし投げられた試作型デュエルディスクから斧を持った虎の獣戦士が現れ。何時でも動けるように左右にフットワークを踏む。

 

《タイガー・アックス》

星4 地属性 獣戦士族

攻1300 守1100

 

 

 

「ほな行くで! ワイのターン。ドローや! ワイは《レスキューラビット》を召喚!」

 

《レスキューラビット》

星4 地属性 獣族

攻 300 守 100

 

 現れたのは恐竜ではなく安全帽にゴーグル、さらに無線機を首からぶら下げた可愛らしい兎。

 その兎は《タイガー・アックス》の眼光に怯えている。

 

 その姿を見た城之内は

 

「恐竜じゃねぇのかよ!」

 

 見事なツッコミを披露した。

 

 その見事なツッコミに関西出身の竜崎は感激しつつ、その礼とばかりにこのカードの恐ろしさを披露する。

 

「可愛さに惑わされたらアカンでぇ――《レスキューラビット》の効果発動! フィールドのこのカードを除外してデッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚するで! 《二頭を持つキング・レックス》2頭を特殊召喚やぁ!」

 

 怯える《レスキューラビット》が震える前足で無線機をアワアワと操作し、連絡が取れたのを確認すると脱兎の如く――兎なのだが――逃げ出した。

 

 逃げ出した先からティラノサウルスのような体に紫の体表、2枚の翼に2つの頭を持つ恐竜が相手を威嚇するように喉を鳴らしフィールドに降り立つ。

 

《二頭を持つキング・レックス》×2

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

 ドヤ顔で何かを待つ竜崎、だがMr.クロケッツによる「これ以上は遅延行為とみなす」との警告に城之内に失望を覚えつつデュエルを続ける。

 

 

「……魔法カード《馬の骨の対価》、自分フィールド上の効果モンスター以外のモンスター《二頭を持つキング・レックス》1体を墓地へ送って2枚ドローや……」

 

 フィールドの《二頭を持つキング・レックス》が光の粒子となり残った骨の一部がドローカードとなる。

 

「ワイは永続魔法《ブランチ》を2枚発動、さらにフィールド魔法《遠心分離フィールド》を発動……ハァ、お前にはガッカリやで城之内――ちょっとは見どころあると思たんやけどな……」

 

 そして手札のカードを1枚取り出し竜崎は宣言する。

 

「このカードでサクッと終わらしたる! 魔法カード《融合》発動や! フィールドの《二頭を持つキング・レックス》と手札の《屍を貪る竜》を融合!」

 

 そう言って竜崎は《融合》のカードを発動する。

 

 フィールドの《二頭を持つキング・レックス》と黒い体を持つ《屍を貪る竜》が混じり合う。

 

 

「融合召喚! その巨体で全てを薙ぎ倒せ! 《ブラキオレイドス》!!」

 

 ブラキオサウルスに似た姿を持った青い体表を持つ《ブラキオレイドス》が大地を踏みしめ揺らす。その揺れに《タイガー・アックス》はバランスを崩しつつも持ち前の俊敏さで立て直した。

 

《ブラキオレイドス》

星6 水属性 恐竜族

攻2200 守2000

 

 

「でけぇ……」

 

 文字通り大型モンスターの出現に驚くも城之内の余裕は崩れない。セットしたカードを見つめ、ニシシと笑う――分かりやすい男だった。

 

「バトルや! そんなちっこい虎なんぞ踏み潰したれっ!!」

 

 《ブラキオレイドス》がその巨体を振りかざし《タイガー・アックス》に迫るもその姿が突如として消える。

 

「ドッカーン! 罠カード発動! 《串刺しの落とし穴》!」

 

 よく見るとフィールドに穴が開いておりその穴の中には大きな鉄杭が並んでいる。《ブラキオレイドス》はその穴に落ち、穴の中の鉄杭に自身の重さで串刺しになっていた。

 

「このカードの効果でこのターンに召喚・特殊召喚され、攻撃宣言した相手モンスターを破壊し、その元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与えるぜ!」

 

ダイナソー竜崎LP:4000 → 2900

 

「どうした竜崎! こんな単純なトラップにハマルようじゃあ……全国大会準優勝者もたいしたことはねえなあ!」

 

 挑発する城之内に竜崎は想定済みだと笑う。

 

「やっぱりトラップやったか! 甘いで城之内! ワイの恐竜はそんなヤワやないで! フィールド上の《ブランチ》2枚と《遠心分離フィールド》の効果発動や!」

 

 その宣言と共に地面に2つの亀裂が入り、さらにその後ろに緑と黒の渦が渦巻く。

 

「《ブランチ》の効果により融合モンスターである《ブラキオレイドス》がフィールド上で破壊された時、自分の墓地に存在する《ブラキオレイドス》の融合に使った融合素材モンスター1体を特殊召喚できるで!」

 

 地面の2つの亀裂が大きくなる。

 

「《ブランチ》は2枚あるから2体復活や! 戻ってこい! 《二頭を持つキング・レックス》、《屍を貪る竜》!!」

 

 亀裂の入った地面から紫と黒の2頭の恐竜がその姿を現した。

 

《二頭を持つキング・レックス》

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

《屍を貪る竜》

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

「まだやで! さらに《遠心分離フィールド》の効果で融合モンスターがカードの効果で破壊された時、その融合モンスターに記されている融合素材モンスター1体を自分の墓地から特殊召喚するで! 来い! もう1頭の《二頭を持つキング・レックス》!!」

 

 緑と黒の渦からもう1頭の《二頭を持つキング・レックス》が現れ、3体の恐竜が散っていった同胞の思いをくみ取り、その鳴き声を合わせる。

 

《二頭を持つキング・レックス》

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

「まだバトルは終わってへんでぇ! 《屍を貪る竜》で《タイガー・アックス》に攻撃!」

 

《タイガー・アックス》が斧を振るうも《屍を貪る竜》の強靱な牙と顎で噛み砕かれ、砕けた斧を呆然と見つめる《タイガー・アックス》もその牙の餌食となった。

 

「うおぉわっ!」

 

城之内LP:4000 → 3700

 

「まだや! 2頭の《二頭を持つキング・レックス》で城之内にダイレクトアタックや!」

 

 

 迫る2頭の恐竜に遊戯も思わず叫ぶ。

 

「まずい! この攻撃が通ったら城之内君のライフは!」

 

 

「わぁっと! タンマタンマ! 速攻魔法《スケープ・ゴート》! 《羊トークン》4体を守備表示で特殊召喚する!」

 

 慌てる城之内のフィールドに赤・青・黄・ピンクの色の4匹の丸い羊が現れ、城之内の代わりに2頭の《二頭を持つキング・レックス》の攻撃を受け、悲痛な声と共に踏み潰される。

 

《羊トークン》×4

星1 地属性 獣族

攻0 守0

 

 黄・ピンクの《羊トークン》が破壊された。

 

 残された赤・青の《羊トークン》は仲間がやられたにも拘らずその表情に変化はない。その「いつものことさ……」と言いたげな瞳に言い得ぬ恐ろしささえ感じる。

 

「チッ! 防がれてもうたか! ならワイはカードを1枚伏せてターンエンドや」

 

 

 

 あわや大ダメージの事態であった城之内はそれを防げたことに安堵しつつカードを引く。

 

「あぶねぇとこだったぜ……俺のターンだ。ドロー! この瞬間! 永続魔法《凡骨の意地》を発動! ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そいつを相手に見せてもう1枚ドローだ! 通常モンスターの《アックス・レイダー》だ! もう1枚ドロー!」

 

 友からもらったカードで増えた手札を見つめ城之内は思案する。

 

「俺は手札から魔法カード《右手に盾を左手に剣を》発動! このカードで発動時にフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの元々の攻撃力と元々の守備力を、

エンドフェイズ時まで入れ替えるぜ!」

 

《二頭を持つキング・レックス》×2

攻1600 守1200

攻1200 守1600

 

《屍を貪る竜》

攻1600 守1200

攻1200 守1600

 

「そして《アックス・レイダー》を召喚! こいつは《右手に盾を左手に剣を》を受けてねぇぜ!」

 

《アックス・レイダー》

星4 地属性 戦士族

攻1700 守1150

 

 

 城之内の珍しい頭脳プレー?に観客席の仲間も声援を送る。

 

 

「上手いぞ! 城之内君! これでダイナソー竜崎に与えるダメージがアップだ!」

 

「その調子よー! 城之内!」

 

「デカいのかましてやりな!!」

 

 

 その声に城之内は答え攻撃するモンスターを指さす。

 

「おうよ! バトルだ! 《屍を貪る竜》を攻撃! 疾風斬り!」

 

 盛り上がる筋肉を躍動させ《アックス・レイダー》がその斧を振るう。《屍を貪る竜》が先程と同じように噛み砕こうとする。

 

 だが《アックス・レイダー》の巧みな斧さばきにより上顎から頭を両断され絶命した。

 

 

「くっ! やられてもうたか!」

 

ダイナソー竜崎LP:2900 → 2400

 

 

「これで《ブラキオレイドス》を融合召喚できねぇだろ! ターンエンドだ! この瞬間《右手に盾を左手に剣を》の効果が切れるぜ!」

 

《二頭を持つキング・レックス》×2

攻1200 守1600

攻1600 守1200

 

 

「なんで城之内はあんなこと言ってんだ? 同じカードは3枚まで入れられんだから関係ねぇだろ?」

 

 城之内の言葉に本田が疑問を浮かべ、その問いに遊戯が答える。

 

「たぶんダイナソー竜崎のデッキは《ブラキオレイドス》が破壊されてもさっきの《ブランチ》みたいなカードで何度でも《ブラキオレイドス》を融合できるデッキ。」

 

 遊戯は竜崎の手札を指さす。

 

「だけど今のダイナソー竜崎の手札は0――次のターン融合を引いても融合素材が揃わないから融合できないんだ」

 

「なんかよくわからねえけど城之内が押してるってことだな! いいぞー! 城之内そのままやっちまえー!」

 

 遊戯の説明に全てを理解することを放棄した本田をよそに竜崎は遊戯の見識の高さに驚く。

 

「ワイのデッキを1回のデュエルでそこまで見抜くとはさすがはあの海馬を倒した遊戯やな! せやけどワイのデッキはその程度じゃ止まらへんで!」

 

 その言葉と共にセットカードを発動する。

 

「城之内のエンドフェイズに罠カード《融合準備(フュージョン・リザーブ)》を発動や! エクストラデッキの融合モンスター1体を見せ、そいつにカード名が記されている融合素材モンスター1体をデッキから手札に加えるで!」

 

 竜崎の背後に《ブラキオレイドス》のカードが浮かび上がる。

 

「ワイは《ブラキオレイドス》を見せて《屍を貪る竜》を手札に加えるで!」

 

「クソッ! これで次のターン《融合》を引かれたら――」

 

 思惑が外れたことに動揺する城之内にさらに竜崎が追い打ちをかけるように言い放つ。

 

「そんな心配はせんでええで! まだ《融合準備》の効果は終っとらん! さらに自分の墓地の《融合》を1枚を手札に加えれるんや!」

 

 

「このままじゃまたあのモンスターが……」

 

「頑張ってー! お兄ちゃーん!」

 

城之内のピンチに杏子が言葉をこぼすも静香は「兄はこの程度では屈しない」と声援を送る。

 

 

「どんどんいくで! ワイのターン。ドローや! 当然魔法カード《融合》を発動や! 融合召喚! 転生し再びその巨躯を躍らし、刃向う奴を踏み潰せ! 《ブラキオレイドス》!!」

 

 再びその巨体を躍らせる《ブラキオレイドス》が念入りに大地を踏み荒し状態を確認する――落とし穴はないようだ。

 

《ブラキオレイドス》

星6 水属性 恐竜族

攻2200 守2000

 

「もういっちょや! 《二頭を持つキング・レックス》をリリースし、アドバンス召喚! その身を持って全てを切り裂け! 《剣竜(ソード・ドラゴン)》!!」

 

 ステゴサウルスに似た姿を持った恐竜が姿を現す。だが背中の放熱板や尻尾の先が鋭利な剣となっており、その剣は獲物を求めて鈍く輝いていた。

 

《剣竜》

星6 地属性 恐竜族

攻1750 守2030

 

「バトルや! 《ブラキオレイドス》! 《アックス・レイダー》を薙ぎ倒したれ!」

 

 《ブラキオレイドス》がその巨体を振り回し、尻尾による一撃を《アックス・レイダー》に叩きつける。

 

 いなそうとする《アックス・レイダー》だがその巨体から繰り出されるパワーに身体ごと吹き飛ばされ、その身を散らす。

 

「ぐわぁあっ!」

 

城之内LP:3700 → 3200

 

「クソッ! 《アックス・レイダー》が……」

 

「もう一撃や! 《剣竜》で《羊トークン》を攻撃! 竜尾剣!」

 

 青い《羊トークン》が《剣竜》の尻尾の剣で真っ二つにされる。そして最後の1匹となった赤い《羊トークン》が「遂におれ一人になっちまったか…。後は時間の問題だな」とでも言いたげにニヒルに鳴く。

 

「ワイはこれでターンエンドや! どうや! 城之内! ワイの恐竜デッキのパワーは!」

 

 

順調にデュエルを進める竜崎は城之内に挑発しかえす。だが城之内の闘志は衰えはしない。

 

「へっ! 大したこたぁねぇよ――俺のターンドロー! 永続魔法《凡骨の意地》を発動! 今引いた通常モンスターの《ガルーザス》を見せもう1枚ドロー!」

 

 城之内のフィールドには《羊トークン》が1体のみ、このままでは次の竜崎のターン次第では敗北もあり得る。ゆえに城之内はこのターン攻勢に出なければならない。

 

「よっしゃ! 俺は《簡易融合(インスタントフュージョン)》を発動! 1000LPを払ってレベル5以下の融合モンスターを融合召喚扱いでエクストラデッキから特殊召喚するぜ! 融合召喚!」

 

城之内LP:3200 → 2200

 

 「FUSION」と書かれたカップ麺が小さな爆発と共に現れる。

 

「炎纏いし剣士よ その熱き心を その身に示せ! 出てこいっ! 《炎の剣士》!!」

 

 「FUSION」と書かれたカップ麺の容器の蓋がめくれ、そこから炎が噴き出す。

 

 その後、炎が「炎」の文字を持つ大剣により2つに割られ、青い衣と赤き鎧を身に纏った熱き戦士が姿を現す。

 

《炎の剣士》

星5 炎属性 戦士族

攻1800 守1600

 

「攻撃力1800か……せやけど《簡易融合》で呼んだ奴は攻撃できへんし、エンドフェイズに破壊されたはず! そいつだけやとワイの恐竜軍団には届かへんで!」

 

 《融合》を使う竜崎には《簡易融合》の欠点は馴染み深いものであった。ゆえに城之内の次の手を待つ。

 

「慌てんなよ! テメェのデカいペットちゃんを倒すカードはついさっき手札に舞い込んだぜ! 俺は《炎の剣士》をリリースし、アドバンス召喚! 竜の力でその斧を振るえ! 《ガルーザス》!」

 

 「えっ! これで終わり?」と城之内を見る《炎の剣士》が光の粒子となって消え、竜の咢を煌めかせ手に持つ斧を振るい周囲に風を起こす。その姿は文字通り「龍戦士」であった。

 

《ガルーザス》

星5 炎属性 獣戦士族

攻1800 守1500

 

「いっけー! 《ガルーザス》! 《剣竜》をぶった切れ! 瞬殺五連続斬り!」

 

 《ガルーザス》の斧が《剣竜》の尻尾の剣と打ち合い火花を散らす。

 

 尻尾の剣を破壊されるも背中の放熱板の剣で応戦するも残り4連撃の内の3連の斧が《剣竜》の剣を根こそぎ奪っていた。最後の1振りを防ぐ手段などなかった。

 

「《剣竜》がっ!」

 

ダイナソー竜崎LP:2400 → 2350

 

「《剣竜》……撃破! 俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

 

「よくもワイの《剣竜》を……ワイのターンドロー!」

 

 竜崎はドローしたカードを見つめ苛立つ、望んでいたカードではなかったようだ。

 

「チッ! ワイは《ブラキオレイドス》で《ガルーザス》を攻撃や! 《剣竜》のカタキとったるで~」

 

 主人の命を受け《ブラキオレイドス》はその巨体で仇を引き潰そうと突進をかける。だが《ガルーザス》の姿が突如して視界から消える。

 

「《ガルーザス》が消えおった! どこ行ったんや!」

 

 手品のように消えた《ガルーザス》を探す竜崎。そんな竜崎に城之内は得意げに種明かしする。

 

「俺はこのカードを発動していたのさ! 罠カード《鎖付きブーメラン》をな! コイツの効果で《ガルーザス》の攻撃力は500アップだ! 返り討ちだぜ! 獣戦士(ガルーザス)斧閃斬(アックス・クラッシュ)!」

 

 《ガルーザス》の斧の柄の先から《鎖付きブーメラン》が伸びており、その鎖を《ブラキオレイドス》の首に巻きつけ跳躍していたのだ。

 

《ガルーザス》

攻1800 → 攻2300

 

 そして落下する速度を生かし勢いを殺さず急降下し《ブラキオレイドス》の首を刈り取った。

 

ダイナソー竜崎LP:2350 → 2250

 

「グッ! せやけど《ブランチ》の効果で《二頭を持つキング・レックス》と《屍を貪る竜》が帰還や!!」

 

《二頭を持つキング・レックス》

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

《屍を貪る竜》

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

 竜崎のメインアタッカーである紫と黒の恐竜がフィールドに戻る。

 

「ここはモンスターだけでも減らしとくで! 《二頭を持つキング・レックス》! 最後の《羊トークン》を攻撃や!」

 

 同胞の死を見送ってきた赤い《羊トークン》が「やっとみんなの元へ逝ける……」そんな思いを胸に《二頭を持つキング・レックス》に踏み潰される。

 

「クソッこんな使い方しとうなかったけど――速攻魔法《瞬間融合》発動や! 自身を供物に仲間の思いを呼び起こせ! 融合召喚! スマン! 《ブラキオレイドス》!」

 

 三度フィールドに現れる《ブラキオレイドス》。

 

 だが今までと違いその巨躯を小さく丸め慈愛に満ちた目で竜崎を見ていた。

 

 

 そんな竜崎のプレイングに疑問を持った本田が遊戯に疑問を投げかける。

 

「遊戯、なんであのヤロウは態々自分のモンスターを減らしたんだ? あのデケェの呼んでも城之内のモンスターにやられるだけじゃねぇか」

 

「それは多分……見てればわかるよ」

 

 その疑問に遊戯は答えず、すぐに判るとデュエルを見守る。

 

 カードを大切にする遊戯の心情ゆえに竜崎の気持ちを感じ取ったためであった。

 

 

「エンドフェイズに《瞬間融合》で呼んだ《ブラキオレイドス》は破壊される――せやけど無駄死にはさせへんで!」

 

 《ブラキオレイドス》が光の粒子となりフィールドに飛散し、墓地に眠る恐竜たちへの呼び水となった。

 

「《ブランチ》と《遠心分離フィールド》の効果で《二頭を持つキング・レックス》2頭と《屍を貪る竜》を守備表示で特殊召喚や! ターンエンド!!」

 

《二頭を持つキング・レックス》×2

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

《屍を貪る竜》

星4 地属性 恐竜族

攻1600 守1200

 

 

 

 形勢が不利と見るやすぐさまガードを固めた竜崎に城之内は歯噛みする。

 

「ガードを固めてきやがったか……俺のターンドロー! ッ!」

 

 引いたカードは《融合》であった。

 

 《時の魔術師》と《ベビードラゴン》を融合させ《千年竜(サウザンド・ドラゴン)》を呼び出したいと思う城之内だが手札に《ベビードラゴン》のカードはない。

 

 城之内の手札は今現在、攻め手に欠けていた。

 

「俺は《屍を貪る竜》を《ガルーザス》で攻撃だっ!」

 

 《ガルーザス》の掲げた斧に恐怖を覚える《屍を貪る竜》。先程の《アックス・レイダー》に上顎を切り飛ばされたのが堪えたらしい。

 

 それゆえに後ずさった後ろ足に鎖が巻きつき《ガルーザス》の竜の筋力で引き寄せられ、斧の5連撃が叩き込まれその身を6分割にされ破壊された。

 

 

 これは《ブラキオレイドス》への融合を防ぐための城之内の手であり、《屍を貪る竜》が憎くてやっている訳ではない。

 

「俺はこれでターンエンドだ……」

 

 折角の好機に攻めきれなかった城之内は悔しさと共にターンを終えた。

 

 




《ブラキオレイドス》を使う竜崎

竜崎が全財産かけて購入したカードより
攻撃力が高い恐竜族モンスターを採用出来ないゆえにスポットが当たった。

《エビルナイト・ドラゴン》? 知らない子ですね

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