前回のあらすじ
演説はデュエリストの嗜み
海馬ランドUSAのジャングルゾーンにて2人のデュエリストの闘志がぶつけられる中、解説兼進行役を任された野坂ミホはマイク片手にヒートアップする会場の雰囲気を更に盛り上げんと声を張る。
「さぁさぁさぁ、遂に始まったデュエルキング――そう! 世界最強を決める大会ワールドグランプリ! 此処、Gブロックの実況は私! 自分で言うのもあれですが、人気急上昇中の野坂ミホがお送り――」
「NoooooOOOO! 舞さぁぁああああん!!」
のだが、緑、黄、赤の三色のゴリラ――もとい、バブーンたちの三位一体の拳が強かに打ちつけられたことによって弾き飛ばされるマグナムの断末魔が野坂ミホの声を遮った。
そうして一方的に愛する人の名前を叫び倒れたマグナムは土煙が晴れた先にて、まるで宇宙人の自爆攻撃を受けたようにヤム――もとい、身体を丸めるようにうずくまっている。
「あーあーっと! 私の名乗りを余所に、決まったー!! ハリウッドスター、マグナム選手は奮闘するも、マイコ・カトウ選手の大量展開の前に敗れた~~!!」
そうして鮮やかな出オチを披露したマグナムが「初戦敗退」という、どう考えても孔雀舞との婚約が果たせない現実にさめざめと心の中で涙を流す中、海馬ランドUSAの各アトラクションにて続々と歓声が上がっていく。
まだまだワールドグランプリは始まったばかりだ。
ところ変わって、海馬ランドUSAの大型の観覧車のあるエリアにて響 紅葉がプロ用の赤を基調にしたコートのようなコスチュームにてデュエルに挑んでいた。
そんな彼のフィールドには黒茶色の甲殻の如きアーマーで全身を覆い、大地を揺るがしかねん程の巨腕を誇る大地のエレメンタルを持つヒーロー、《
《
星6 地属性 戦士族
攻2200 守2600
緑の装甲と、黄色いリングで装飾された黒いマントで半身を隠す様に覆った風のエレメンタルを持つヒーロー、《
《
星8 風属性 戦士族
攻2800 守2200
そんな2体のヒーローの連撃によってフィールドのモンスターを失った紅葉の対戦相手、カードプロフェッサーの1人、メンド・シーノは頭のターバン越しにこめかみを指でトンと叩いた後、鼻で笑う。
「ハン……安モンのわりには中々やるみてぇだが、ビギナーズラックも此処までだ! 俺は魔法カード《天啓の
既に自身の手札には眼前の若造を屠る準備が出来ているのだと示す様にメンド・シーノの頭上で鐘の音が響き――
「そして魔法カード《融合》発動! 手札の《ギガプラント》と《炎妖蝶ウィルプス》――この2体のデュアルモンスターを手札融合!」
その音色に引き寄せられたように巨大なツタの身体を持ち、赤い花を顔とする《ギガプラント》と、炎の羽を揺らす妖しき蝶《炎妖蝶ウィルプス》が溶けあうように混ざり合う。
「万物に秘められた本性を暴き出せ! 融合召喚! 《超合魔獣ラプテノス》!!」
そうして鐘の音が響く頭上からドロリと生れ落ちるのは幾重もの生物を継ぎ接いだような歪なドラゴン。
何者かすら分からぬ翼を広げ、誰の物とも知れぬ頭を天に向け、誰でもない喉から耳障りな産声を漏らす。
《超合魔獣ラプテノス》 守備表示
星8 光属性 ドラゴン族
攻2200 守2200
「《超合魔獣ラプテノス》がフィールドに存在する限り、フィールドのデュアルモンスターはもう一度召喚された状態――デュアル召喚された状態となる!」
その《超合魔獣ラプテノス》の本質はデュアル――二側面を持つモンスターたちの個性の開放。この歪なドラゴンの前ではあらゆるデュアルモンスターたちが、本来の自己を取り戻す。
「まだだ! 永続罠《デュアル・アブレーション》を発動! コイツの効果で1ターンに1度、デッキからデュアルモンスター1体をデュアル召喚された状態で特殊召喚する! もっともラプテノスのお陰でさして意味はねぇがなぁ!」
やがて大地を砕き、緑の影が急成長するように這い出し――
「来いッ、《ギガプラント》!」
幾重ものツタが中央で固まって幹と化した巨大な食虫植物が赤い花から大口を開けつつ、デュアルの真の力を示すように身体の至る場所から鋭利な茎を伸ばす。
《ギガプラント》 攻撃表示
星6 地属性 植物族
攻2400 守1200
「デュアル召喚されている《ギガプラント》の効果発動! 1ターンに1度、手札・墓地から植物族か昆虫族モンスターを特殊召喚する! 俺は手札の昆虫族、《デスサイズ・キラー》を特殊召喚!!」
そして《ギガプラント》の身体が蠢き、その胴体部分となった幹の内側が脈動し、赤い花の大口から新たな生命が産み落とされた。
「さぁ、メシの時間だ! 底なしの捕食者! 《デスサイズ・キラー》!!」
身体を覆う、薄い膜を引きちぎりながら姿を現すのは大鎌を持った巨大なカマキリの化け物、《デスサイズ・キラー》は威嚇するように2体のHEROに向けてチキキと音を鳴らす。
《デスサイズ・キラー》 攻撃表示
星8 風属性 昆虫族
攻2300 守1600
しかし、その攻撃力は2300――レベル8の最上級モンスターにしては少々心もとない数値。
「まだだ! 墓地の《
それをよそに赤い薔薇をアクセントにしたドレスを纏う長いブロンドの髪を揺らす女性が一輪の薔薇をフィールドに投げ入れると、それを養分とするかの如く、大地から新たな《ギガプラント》が顔を覗かせる。
《ギガプラント》 2体目 攻撃表示
星6 地属性 植物族
攻2400 守1200
「《デスサイズ・キラー》の効果発動! 自分フィールドの昆虫族モンスターをリリースし、攻撃力をこのターンのエンドフェイズまで500アップさせる!」
だが、《デスサイズ・キラー》の力は共食いにこそある。食えば食う程に力を際限なく高めていく、まさに味方殺しの死神。
「だけど、キミのフィールドに他の昆虫族はいないみたいだね」
そんな響 紅葉の一言をメンド・シーノは嘲笑う。既に仕込みは済んでいるのだと。
「心配いらねぇよ! 俺は永続罠《DNA改造手術》を発動! 俺は『昆虫族』を宣言! これでフィールドのモンスターは全て『昆虫族』だ!!」
やがてその宣言と共に、フィールドの《デスサイズ・キラー》を除く全てのモンスターから、昆虫の足や羽、眼球がそれぞれの身体を突き破るように生え始め、不気味さすら醸し始める。
《超合魔獣ラプテノス》
ドラゴン族 → 昆虫族
《ギガプラント》×2
植物族 → 昆虫族
《
戦士族 → 昆虫族
《
戦士族 → 昆虫族
「もう分かるよなァ?」
「これは……!」
「さぁ、『メシの時間』だ《デスサイズ・キラー》!!」
挑発気なメンド・シーノの声に紅葉が僅かに目を見開くと共に《デスサイズ・キラー》の大鎌がギロチンの如く振り上げられる。その行く先は――
「俺は効果を使用した《ギガプラント》を《デスサイズ・キラー》で墓地に送ってパワーアップ!」
己が同胞たる《ギガプラント》。そのツタの身体を大鎌で引き裂き、横に開いた顎からグチャリ、グチャリと捕食していく。
「そして呼んだばかりの《ギガプラント》の効果を発動! 墓地から新たな《ギガプラント》が復活!」
だが、捕食された《ギガプラント》はもう一方の《ギガプラント》によって復活され――
「そしてそしてェ! 効果を使用した《ギガプラント》を《デスサイズ・キラー》で墓地に送ってパワーアップ!」
力を使い果たした《ギガプラント》は先程の焼き増しのように《デスサイズ・キラー》に捕食される。
「そしてそしてそしてェ! 呼んだばかりの《ギガプラント》の効果を発動! 墓地から新たな《ギガプラント》が復活!」
しかし、捕食された《ギガプラント》によって復活させられた元気いっぱいの《ギガプラント》はまたまた同胞の《ギガプラント》を己が力で再生させる。
「無限ループ……!!」
そう、これは2体の《ギガプラント》がお互いを蘇生させ続ける無限ループ。
これにより交互に2体の《ギガプラント》を捕食し続ける《デスサイズ・キラー》は文字通り、際限なくその攻撃力を高めていく。
だが、此処で審判員として両者の間に立っていた磯野が手をピシッと上げながら、メンド・シーノへ声をかけた。
「メンド・シーノ選手! このループを続ける場合、大会進行の観点から計算可能である倍率の数値を宣言し、過程を省略して頂く規定となっております!」
これはワールドグランプリの参加人数の多さゆえの処置。
純粋な大会進行の妨げにならない為や、世界中の観戦者たちへの配慮などなど――早い話が色んな大人の事情が絡んだゆえのものである。
「なら、∞――って言いてぇところだが、計算可能な数値か……じゃぁ53億だ」
そんな舞台裏にメンド・シーノはサラッとトンでもない数値を宣言した。
「だっハッハッハ! これで《デスサイズ・キラー》の攻撃力は53億とんで2300だ!」
そうして高笑いするメンド・シーノの声に呼応するように《デスサイズ・キラー》はベキベキと身体中から異音を上げつつ膨れ上がっていく。
やがて地の底を震わせるような雄叫びを上げる《デスサイズ・キラー》の身体は海馬ランドUSAのアトラクションの中でもかなりの高さを誇る観覧車が小さく見える程、巨大化した。
間近に迫った捕食者の姿に観覧車に乗る観戦者たちも息を呑む。
《デスサイズ・キラー》
攻2300 → 攻53億2300
2体の敵――否、エサを見下ろす《デスサイズ・キラー》。そして見上げるHERO。
「……超大型
「口の減らねぇ奴だ――売り出し中のプロだかなんだか知らねぇが、所詮は安モン! この一撃でお前のプロ人生諸共吹っ飛ばしてやるぜ!!」
そんな構図にポツリと漏らした響 紅葉の言葉など意に介さずメンド・シーノは勝負を決めにかかる。
――《カタパルト・タートル》が呼べりゃぁ良かったんだが、こいつに搦め手なんざ必要ねぇ!
「《デスサイズ・キラー》!!
見上げる程に巨大化した《デスサイズ・キラー》が空を覆い隠す様に大鎌を振りかぶる。
その眼下の影の中にいる2体のヒーローなど《デスサイズ・キラー》から見れば無力な虫けらも同然。
「生憎だけど、此処で負ければ姉さんに顔見せできなくてね――ボクは速攻魔法《クリボーを呼ぶ笛》を発動! デッキから《ハネクリボー》を特殊召喚!」
『クリー! ――クリリッ!?』
頭上から全てを叩き潰す大鎌が振り下ろされる前に現れたのはゆるふわ毛玉に天使の羽が生えた《ハネクリボー》。
そんな愛らしい身体から突如として本人が驚きの声を上げる程に虫の手足や触覚が生えるが、ファンシーさは健在である。
《ハネクリボー》 守備表示
星1 光属性 天使族 → 昆虫族
攻 300 守 200
「今更、なに呼ぼうがテメェのHEROがお陀仏になることに変わりはねぇんだよォ!!」
だとしても、死神の超巨大な大鎌は止まることなく、
「更に罠カード《デストラクト・ポーション》を発動! 自分フィールドのモンスターを破壊し、その数値分ライフを回復する! 頼むぜ、相棒! 《ハネクリボー》を破壊!」
『クリリーッ!!』
その前に《ハネクリボー》の気合の入った声と共に響 紅葉の前にうっらと光が集まり――
響 紅葉LP:4000 → 4300
その光を叩き潰すように振り下ろされた《デスサイズ・キラー》の圧倒的な質量による一撃によって激震が走るフィールド。
そこには巨大なクレーターにて奇跡的に残った《
響 紅葉LP:4300
「フィールドで破壊された《ハネクリボー》の効果! このターン、ボクのバトルダメージを全て0にする!」
だが、響 紅葉への衝撃は彼の前でグルグル目を回す《ハネクリボー》によって受け止められていた。
「チッ、んな安モンカードに……!」
「助かったぜ、相棒!」
『ク……クリィ……』
そうして未だグワングワンと揺れる頭を余所に《ハネクリボー》は響 紅葉とハイタッチした後、粒子となって消えていく。これにて窮地は脱した。
「これでキミの《デスサイズ・キラー》の攻撃力はこのターンの終わりに失われる!」
「所詮は売り出し中の安モン……浅いんだよォ!! 罠カード《
そう、響 紅葉の言う様に《デスサイズ・キラー》の効果による自身への強化はそのターンのエンドフェイズまでしか保たない。
しかし、そんな制限を如何にかするのがデュエリストの腕の見せどころ。
《デスサイズ・キラー》 攻撃表示
攻53億2300 守1600
↓
攻1600 守53億2300
《ギガプラント》 守備表示
攻2400 守1200
↓
攻1200 守2400
《
攻2200 守2600
↓
攻2600 守2200
「ターンの終わりに戻るのは『攻撃力』……!」
「その通り! これで53億の力が失われることはねぇ! カードを3枚セットしてターンエンド!!」
ズシンと大地にどっしりと着地した《デスサイズ・キラー》の内には圧倒的なまでのエネルギーが蓄積されている。
そうして響 紅葉のターンが回るが、その視線は相手のセットカードに注がれる。どう考えても《デスサイズ・キラー》を援護する為のものであることは明白。
「ならボクのターン、ドロー! 手始めに魔法カード《ギャラクシー・サイクロン》を発動! フィールドにセットされた魔法・罠カードを1枚破壊する! 右のセットカードを破壊!」
「お見通しなんだよ! 2枚目の罠カード《
なればと、白銀の竜巻がメンド・シーノのセットカードの1枚を呑み込むが、先んじて発動されてしまい――
大地を砕き揺らしながら立ち上がった《デスサイズ・キラー》が己が内にあふれ出すエネルギーを攻撃性に変化させるかのように雄叫びを上げた。
《デスサイズ・キラー》 攻撃表示
攻1600 守53億2300
↓
攻53億2300 守1600
《ギガプラント》 守備表示
攻1200 守2400
↓
攻2400 守1200
《
攻2600 守2200
↓
攻2200 守2600
「デュエルキングが操る神だか、何だか知らねぇが――上から叩いちまえば等しく潰れちまう安モンなんだよ! だっハッハッハ!」
これで永続的に《デスサイズ・キラー》の攻撃力は53億越えで固定される。文字通り、神のカードであっても届き得ない数値。とはいえ、神の効果による効果破壊は防げないが。
「ならボクは魔法カード《融合》を発動!」
しかし、どれ程の相手であろうともHEROの心が折れることはない。そしてまた響 紅葉の心も同様である。
「手札の水属性モンスター、《
フィールドに鎮座する《
「現れろ、氷結の支配者!! 《
やがて水の卵が一瞬にして凍り付くと共に弾けた先には白銀の鎧を纏う氷のHEROが白いマントをはためかせながら腕を組み佇んでいた。
《
星8 水属性 戦士族
攻2500 守2000
「更に魔法カード《ミラクル・フュージョン》を発動! 墓地の《
そして墓地にて先程の水のHERO《
「プラネットが1体! 命溢れる星の力を呼び覚ませ! 《
そうして空より降り立つのは穢れなき純白のHERO。額と両肩の海を思わせるアーマーと、身体の中心の赤いコアが鮮烈な輝きを放つ。
《
星8 地属性 戦士族
攻2500 守2000
だが、此処で《
「あ、あれはー!!」
「シ、知ッテイルノカ、ペンギン伯爵!!」
「勿論だペン! あれはI2社のデザイナー『フェニックス』氏が太陽系の惑星をモチーフに生み出した10枚のカード――『プラネットシリーズ』の1枚だペン!」
「ナ、ナンダッテー!」
「しかもフェニックス氏のたっての願いで普通のパックに投入された文字通り、幻の一品だペン!」
隣のラッビーのオーバーリアクション気味な小気味のいい相打ちにもの凄く安易な語尾で《
「ぐふふ、流石はペンギン伯爵! 博識ですねぇ」
これにはその隣にいたBIGの《ペンギン・ナイトメア》の人こと大瀧さんも満足そうだ。でも安易な語尾でのキャラ付けはどうかと思うザウルス。
そんな降って湧いた情報にメンド・シーノは僅かに警戒の色を見せるが――
「レアもんを持ってるみてぇだが、攻撃力が毛ほども足りちゃいねぇぜ!」
「此処でジ・アースの効果! このカードはフィールドの『HERO《ヒーロー》』をリリースし、その力――攻撃力を受け継ぐ! アブソルート
《
身体から立ち上がる炎を見れば、まさに彼の語るように「
《
攻2500 → 攻5000
「攻撃力を上げてきたか――だが、たった5000! 53億には逆立ちしたって届かねぇなぁ!!」
「この瞬間、アブソルート
しかし此処で力を全て託したことで崩れかけている《
「
砕けたと共に吹き荒れる絶対零度の冷気の暴風がメンド・シーノのフィールドの
《超合魔獣ラプテノス》、2体の《ギガプラント》。そして《デスサイズ・キラー》を氷河の世界へ誘う。
ぺキリぺキリとその身を凍らせ、断末魔すら上げることなく4体のモンスターの命を奪っていく。
「どれ程の攻撃力を有していようとも――」
「無駄ァ!」
だが、そんな絶対零度の暴風を自慢の大鎌で切り裂いた《デスサイズ・キラー》が大質量の一撃が氷河の時代を終わらせる。
やがて《
「――なっ!?」
「発動していた永続罠《ディメンション・ガーディアン》により、俺の《デスサイズ・キラー》は破壊されねぇ!! 安モンの考えることなんざ見え透いてるんだよ!」
己がエースHEROの一撃すら躱してみせたメンド・シーノだが、響 紅葉が視線で射貫く残るリバースカードは後1枚。
「なら、魔法カード《ブーギー・トラップ》を発動! ボクは手札を2枚捨て、墓地の罠カード――永続罠《大捕り物》をセット! この効果でセットしたカードはそのターンに発動できる!」
その1枚が何なのかによって響 紅葉が取るべき手は大きく変わるが――
「永続罠《大捕り物》発動! 相手フィールドの表側表示モンスター1体のコントロールを得る!!」
「だが、そいつで奪ったモンスターは効果の発動はおろか、攻撃にすら参加できねぇ筈だ!」
――次のターンでソイツを破壊すりゃぁ、コントロールは戻る。所詮は安モンのその場しのぎでしかねぇ!
メンド・シーノの内と外の言葉を余所に超巨大になった《デスサイズ・キラー》が超巨大な網で捕縛され、《
これでメンド・シーノのモンスターは全て処理した。後はダイレクトアタックによるチェックメイトのみ。
「ジアースの効果を再び使わせて貰うよ!
「何ッ!? そいつの効果は『HERO』モンスターにしか使えねぇ話の筈!?」
だが、響 紅葉のデュエルは更に一歩先を行く。
「知らないのかい? 誰の心にもHEROの鼓動は宿っているのさ! 魔法カード《ヒーローマスク》発動!!」
身体に絡まった網を相手にもがく《デスサイズ・キラー》の顔へと装着されるのはお祭りで売られているような「HERO」のお面。
「このカードはデッキからHEROを墓地に送ることで、ボクのフィールドのモンスター1体を墓地に送ったHEROと同名モンスターとして扱う! 《
その仮面を付けた瞬間、《デスサイズ・キラー》の心に正義の心が宿ったことで大鎌を捨て去り、《
《デスサイズ・キラー》 → 《
「そしてHEROの力はジ・アースに受け継がれる!!
そうして《デスサイズ・キラー》――いや、デスサイズ・HEROの内に秘められた莫大なエネルギーが《
《
攻5000 → 攻53億7300
「これでフィニッシュだ! 行け、ジ・アース!
やがて命脈する炎の翼の力で空から襲来し、背中の出っ張りから引き抜いた2本のビームソードがメンド・シーノをX字に切り裂く。
「――馬鹿が! その攻撃時、罠カード《ドレインシールド》を発動! 攻撃を無効にし、その攻撃力分、俺のライフを回復する!!
だが、その攻撃は半透明な壁によって遮られ、2本の剣のエネルギーがどんどん吸収されていき――
メンド・シーノLP:1200 → 53億8500
「だーっハッハッハ! どうよ! これで俺のライフも脅威の50億越え! まともな方法じゃ削り切れやしねぇぜ!」
そして《
普通にデュエルしていてはとてもではないが削り切れる量ではない。
「次のターンの心配は無用さ」
「あん?」
しかし何事にも例外は必ず存在する。
赤から、黄金へと変化させた輝きを放つ《
《
攻53億7300 → 攻106億14600
「………………はァ!? こ、こ、攻撃力100億越え!?」
「ジ・アースの攻撃が無効になったことで、速攻魔法《ダブル・アップ・チャンス》を発動させて貰ったよ」
天に向けて振りかぶられる極大の光の剣は――
「それによりジ・アースの攻撃力を倍にしてもう1度攻撃できる!!」
「そ、そんなふざけたことが――」
「終わりだ!
「ぐぁあぁぁあぁああああぁああああッ!!??」
裁きの光となって振り下ろされ、無防備なメンド・シーノを襲った。
メンド・シーノLP:53億8500 → → → 0
眩き輝く斬撃が消えていき、デュエル終了のブザーが鳴り響く中、解説席のラッビーはガッツポーズしながら宣言する。
「今日モ スバラシキ デュエル ヲ 見セテモラッタゾ!」
「僕たちに出来るのは盛大な拍手を送ることだペン!」
「ぐふふ、その通りです! 素晴らしきデュエルを称えるとしましょう!」
そうしてラッビー、ペンギン伯爵、ペンギン好きのおじさん――の三者三様の言葉と共に観客たちが喝采を響かせた。
そんなイロモノ感溢れる解説者たちが担当したデュエル場を上階より眺める影が一つ。
「ふむ、マアトの羽を間近にしても反応はなし。プラネットシリーズ自体に影響する様子もなし。デザイナー、フェニックスには元々イマジネーション――構想があったとみるべきか」
そこには頑張って威厳を出すように座すダーツの姿。考えを纏めるように小声で零した言葉を見るに中の人的に注目の一戦だった模様。
ただ、「デュエルの内容」ではなく、「使用されたカードやその背景」に意識が向けられている辺り、デュエリストらしからぬものであろう。
「ふぅん、どうした――プラネットシリーズがそうも気になるか」
しかし、此処で空席を挟んだ向かい側から響いた海馬の声にダーツは中の人から飛び出そうな素っ頓狂な声を気合で押し込みつつ、努めて平静に振る舞うのみ。
「……興味深いデュエルだったものでね。しかし海馬 瀬人――キミもペガサス・J・クロフォードのように気になる試合でも見に行ったらどうだい?」
「いらん心配だ。遊戯が俺以外のデュリストに負ける訳がなかろう」
やがて軽快なジョークでも投げかけるようなダーツに海馬は唯々鋭い眼光を返すのみ。ゆえに返答代わりにダーツは薄く笑みを浮かべる。とはいえ――
――いや、そうではなく、そんなにジッと睨まれると息が詰まるのですが…………中身、バレてないよね?
何処までも小心者なダーツのガワの中身からすれば、海馬の眼光は些か以上に厳しいものだったが。
またまたところ変わって、ゴーストリックのお化け屋敷エリアにて、美女と野獣と言うべき絵面の二人がデュエルに興じていた。
その野獣側――「闇」の文字の書かれた丸い縁のない帽子の大柄な男、闇のプレイヤーキラーは自身がカードをドローした後、スタンバイフェイズにて自身のフィールドの4体のモンスターを誇るように効果を発動させる。
「このスタンバイフェイズ、《闇晦ましの城》の効果で、俺のフィールドのアンデット族モンスターの攻・守は更に200ポイントアップ――当然、永続罠《DNA改造手術》によりアンデット族となった俺の4体全てのモンスターが更にパワーアップだ」
所有者と同じく「闇」と書かれた浮遊リングによって闇の只中に浮かぶ土色の魔城から漏れ出た闇の瘴気が悪魔族――ではなく、アンデット族となったしもべたちに力を与える。
《闇晦ましの城》 守備表示
星4闇属性 悪魔族 → アンデット族
攻 1320 守2330
↓
攻1520 守備2530
何処かエイリアンを思わせる口以外存在しない頭部を持つ闇色の甲殻を持った大きな悪魔が「己こそが覇王だ」と言わんばかりに腕を天に振り上げ、
《闇魔界の覇王》 攻撃表示
星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族
攻2400 守1530
↓
攻2600 守2130
コアとなる青い宝玉を抱えるように体となる紫色の触手が伸びる悪魔が、左右の殆ど枠組みだけの黒い翼で場違い感ゆえか、身を小さくするように屈む。
《ティンダングル・エンジェル》 守備表示
星4 闇属性 悪魔族 → アンデット族
攻 900 守2200
↓
攻1100 守2400
目玉が一つの王冠を被った巨大なカボチャの化け物が裂けて広がった大口を広げながら、手足代わりの緑のツタで身体を支えていた。
《ゴースト王-パンプキング-》 攻撃表示
星6 闇属性 アンデット族
攻2300 守2500
↓
攻2500 守2700
「そして同じくスタンバイフェイズに《ゴースト王-パンプキング-》は自身の効果で攻・守をまた100ポイント上昇させる」
だが、そんなカボチャの化け物、《ゴースト王-パンプキング-》は前のターンから着々とその身体を大きく育てている。《闇晦ましの城》から放たれる瘴気が良い栄養となるのだろう。
《ゴースト王-パンプキング-》
攻2500 守2700
↓
攻2600 守2800
そうして僅かずつではあるが、着実にパワーを上げていく闇のプレイヤーキラーのしもべたちに美女と野獣の美女の方、孔雀舞の顔には僅かに焦りが見え始めていた。
「この強化も2回目……そうやって永続的にパワーアップしていくつもり?」
「安心するんだな。この効果は4回目のスタンバイフェイズで最後になる――つまり、後400ポイントしか上昇しない。嬉しい情報だろう?」
「随分と控えめなのね」
自身の心の内を隠すように軽い調子を見せる孔雀舞だが、毎ターン200ポイントずつパワーアップしていくモンスターたちの地味な面倒臭さよりも、眼前の闇のプレイヤーキラーにこそ警戒心を向ける。
――カードパワーは問題じゃないわ。問題なのは、これらのカードを意のままに操るコイツの腕そのもの。
正直な話、闇のプレイヤーキラーの使うカードは時代遅れも甚だしい程の低パワーだが、使い手の腕一つで此処まで化けるとは孔雀舞の想定外だった。
今の今までまるで自分のデュエルをさせて貰えない――厄介だと彼女は内心で舌を巻く。
「フッフッフ、その余裕がいつまで続くかな――俺は魔法カード《トランスターン》を発動! 《ティンダングル・エンジェル》を墓地に送り、同属性・種族でレベルの一つ高いモンスターをデッキから呼び出す!」
そんな孔雀舞の胸中を読み取ったのか、意気揚々と1枚のカードを発動させた闇のプレイヤーキラーによって《ティンダングル・エンジェル》の頭上の《闇晦ましの城》から闇が落ち――
「そして《ティンダングル・エンジェル》は墓地で永続罠《DNA改造手術》の効果から逃れ『悪魔族』に戻る。つまり――」
その闇にくるまれた後、内側の何かが暴れるように脈動した後、《ティンダングル・エンジェル》を覆っていた闇が周囲に飛び散った。
「デッキよりレベル5の悪魔族を呼び出す! 顕現せよ、秤を乱す悪意! 《ダーク・キメラ》!」
だが、そこにいる筈の《ティンダングル・エンジェル》はなく、代わりに竜人を思わせる特徴を持った鍵爪の悪魔が身体に残った闇を払い、黄土色の鱗を覗かせる。
《ダーク・キメラ》 攻撃表示
星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族
攻1610 守1460
「さらに墓地の《ヘルウェイ・パトロール》を除外し、手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスターを特殊召喚する――出でよ、闇の城の守護者! 《メタル・ガーディアン》!」
バイク乗りの悪魔、《ヘルウェイ・パトロール》の誘導により一歩足と両手合わせて3つの車輪で進み出るのは鈍く光る重厚な鉄色の装甲を持つ機械の悪魔。
《メタル・ガーディアン》 守備表示
星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族
攻1150 守2150
「此処で魔法カード《馬の骨の対価》を発動。折角呼んだところ少々悪いが、通常モンスター《メタル・ガーディアン》を墓地に送り、2枚ドローさせて貰おうか」
だが、そのまま《ヘルウェイ・パトロール》の誘導の元、機械の悪魔、《メタル・ガーディアン》は何処かへと走り去って行った。きっと今日は非番だったのだろう。
「くくく、来たぞ――此処でリバースカードオープン、罠カード《早すぎた帰還》を発動。手札を1枚除外し、除外されたモンスター1体を裏守備表示でセットする」
そうしてシフト交代を果たした闇のプレイヤーキラーの手札の1枚が発動させた罠カードによって次元へと飛ばされ――
「手札の《カードを狩る死神》を除外し、今除外した《カードを狩る死神》を裏守備表示でセットだ」
飛ばされたカードが先程と同じように戻ってきた。とはいえ、裏守備表示なのでその正体は微妙に不明のままだが。
「そして永続罠《星遺物の傀儡》の効果を発動! 自分フィールドに裏守備表示でセットしたモンスターを表側の攻撃表示・守備表示にする! 攻撃表示に変更だ!」
しかしシフトの時間だと強引に表側攻撃表示にされた黒いローブで全身を覆った謎の人物が身の丈程の鎌を片手に現れ、空中でフワフワと浮かんでいた。
《カードを狩る死神》 裏守備表示 → 攻撃表示
星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族
攻1380 守1930
「《カードを狩る死神》のリバース効果で相手の罠カード1枚を破壊する! セットしていれば確認した後、罠カードであれば破壊だ!! 中央のセットカードを切り裂け!!」
が、ユラリとローブを揺らした《カードを狩る死神》は一気に孔雀舞の守備モンスターの飛び越え、鎌をセットカードに振り下ろした。
だが接触したカードからガキンと金属質な音が響き、その反動で腕が痺れたのかブルブルと身体を震えさせる《カードの死神》――勢いよく振り下ろし過ぎたようだ。
「セットしていたカードは……永続罠《銀幕の
とはいえ、セットカードである永続罠がガラスの砕けるような音ともに破壊された光景に《カードを狩る死神》は満足気にクルリと宙を一回転した後、闇のプレイヤーキラーの元へ戻った。
「これで反撃の芽は潰した! バトルといこう! 闇の進軍だ!! 《ゴースト王-パンプキング-》! 《ハーピィ・チャネラー》を叩き潰せ!」
強力な罠カードを破壊したことで、今が好機だと孔雀舞の2体のモンスターに攻勢をかける。
やがて《ゴースト王-パンプキング-》のツタの鞭が、その1体である黒い羽根の髪を左右に結ったハーピィ――《ハーピィ・チャネラー》が持つ杖を奪い取り、「返せ」とぴょんぴょん飛び跳ねる元々の所有者の頭にゴツンと振り下ろされた。ツタの使い方が違うだろ!
そして目を回しフラフラと千鳥足で一回りした後、バタンと倒れた《ハーピィ・チャネラー》。
「くっ……《ハーピィ・チャネラー》が……!」
孔雀舞LP:4340 → 3140
一応、攻撃表示だった為、ダメージは中々無視できない。
「だとしても! アタシのハーピィが破壊された時、永続魔法《魅惑の
しかし倒れた《ハーピィ・チャネラー》を映す鏡から抜け出す様に現れた紫髪の何処か使い手に似て強気な部分が垣間見える視線をした《ハーピィ・パフューマー》が腕から伸びる緑の翼を交差させ、肌が死人のような土色に変わろうとも主を守らんと立ちはだかる。
《ハーピィ・パフューマー》 守備表示
星4 風属性 鳥獣族 → アンデット族
攻1400 守1300
だが、それだけではない。
「このカードを呼び出した時、デッキから《ハーピィ・レディ三姉妹》のカード名が記された魔法・罠カードを手札に加えるわ! そしてアタシのフィールドにレベル5以上の『ハーピィ』がいれば、その枚数を2枚にできる!」
「貴様のフィールドにはレベル7の《ハーピィズペット
「その通りよ! よって魔法カード《万華鏡-華麗なる分身-》と同じく魔法カード《トライアングル・
登場時に舞い散った羽根の2つが孔雀舞の希望となって降り注ぐ。
「だが闇の進軍は止まらん! 《カードを狩る死神》よ! パフューマーを切り裂け!」
だとしても、その貧弱なステータスでは同じく貧弱なステータスの《カードを狩る死神》の鎌のフルスイングは止められない。
そして手からすっぽ抜けた鎌の棒の部分が《ハーピィ・パフューマー》の頭にカコーンと炸裂し、仲間の後を追うことになった。
「くっ……! でも守備表示! アタシへのダメージはないわ!」
「だとしても仲間のハーピィが消えたことでペット
そうしてコソコソと鎌を回収する《カードを狩る死神》を余所に仲間のハーピィがいなくなったことでテンションダウンした孔雀舞の最後の砦たる薄桃色のドラゴンは寂し気に「クゥ」と鳴く。
《ハーピィズペット
攻2300 守2800
↓
攻2000 守2500
が、《闇魔界の覇王》のかめはめ――もとい、両手首を合わせて開いた手から放たれた闇のエネルギー波が《ハーピィズペット
「さぁ、道は開けた! 《ダーク・キメラ》でダイレクトアタック!!」
最後は《ダーク・キメラ》の無駄にスタイリッシュな連続バク転からの跳躍による頭上からの鍵爪が孔雀舞を襲った。
「ぅあぁぁぁっ!?」
孔雀舞LP:3140 → 1530
「俺はカードを1枚セットし、ターンエンドだ。さぁ、我が闇の前では全てが無力なのだと思う存分、噛み締めるがいい!」
やがてターンを終えた闇のプレイヤーキラーに対し、孔雀舞の手札は6枚と大変多いが、形勢を一気に逆転させるにはあと一歩及ばない。
「アタシのターン……」
――此処であのカードを引かないと、この先にアタシの勝機はない……
多少のアドバンテージを盛り返す術があったとしても、そんな小手先の技が眼の前の
根無し草だった孔雀舞にとって此処までの大舞台の経験はない。いや、大半のデュエリストにとってこの規模は未知数だろう。ゆえの不安。ゆえの焦燥。
だが、そんな時に脳裏に過るのは個人的にもっとも注目しているデュエリストの顔。「アイツなら」――そう考えた時、なんだかプレッシャーを感じている自身が急に馬鹿らしくなる。
「……ふっ、そうよね。俯くなんてらしくないわ――ドロー!!」
何時だって良い意味悪い意味合わせて、子供のように全力で、考え無しで、自分にないものを、失ってしまったものを思い出させてくれる彼女にとっての青空。
「アタシは《ハーピィ・オラクル》を召喚!!」
そして吹っ切れた孔雀舞の手札から現れるのは青空のように澄んだ水色の髪を後ろで纏めた丸形の天体模型を眺める黒い翼を持つハーピィ。
《ハーピィ・オラクル》 攻撃表示
星4 風属性 鳥獣族 → アンデット族
/攻1300/守1400
「このカードの召喚・特殊召喚時に効果を発動! このターンのエンドフェイズ時にアタシの墓地から《ハーピィ・レディ三姉妹》のカード名が記されたカードを1枚手札に加える」
「ほう、それで魔法カード《ハーピィ・レディ -鳳凰の陣-》を回収する気か。だが、次のターンで発動するには3体のハーピィが必要になる――果たして、その時、3体ものハーピィを展開する力が残っているかな?」
そんな《ハーピィ・オラクル》が授けるのは未来の可能性。彼女が彼から貰ったもの。
「お生憎様――次のターンなんて、アタシも待つ気はないわ!」
だが残念。彼女は少々せっかちだ。未来の可能性など待ってなどいられない。自分の手で先んじて掴みに行く。
「魔法カード《万華鏡-華麗なる分身-》を3枚発動!」
「――3枚同時発動だと!?」
ゆえに《ハーピィ・オラクル》によって合わせられた鏡で暗闇の中の光を集め、キラキラと世界を彩り――
「地獄のハーレムを体感させて上げるわ――来なさい、《ハーピィ・レディ三姉妹》たち!!」
闇の世界から光を引き連れ現れるのは孔雀舞にとってのフェイバリットカード。
赤い長髪、橙のウェーブがかった前髪、青い箒頭の三者三様のハーピィ・レディたちが、それぞれ3体ずつ空から舞い降り、孔雀舞を鼓舞するようにフィールド内を埋め尽くす。
《ハーピィ・レディ三姉妹》×3 攻撃表示
星6 風属性 鳥獣族 → アンデット族
攻1950 守2100
モンスターの数は4体だが、フィールドに並ぶ10体のハーピィ・レディの存在は敵対者からすればまさに「地獄のハーレム」であろう。
「そして魔法カード《トライアングル・
やがて《ハーピィ・レディ三姉妹》が3体で三角――トライアングルを作るような陣形をそれぞれとると、そのトライアングルの空間がバチバチとスパークし始め――
「更に相手の罠カードの発動を封じ、罠カードの効果も無効化する!!」
それが大きく輝いた瞬間、フィールドを覆っていた闇を、《DNA改造手術》の呪縛を切り裂き、空に雲一つない晴天をもたらした。
《ハーピィ・オラクル》
アンデット族 → 鳥獣族
《ハーピィ・レディ三姉妹》×3
アンデット族 → 鳥獣族
攻1950 → 攻2700
「くっ!? 闇が晴れ、俺のモンスターたちまでもが……!!」
そうして闇が晴れたゆえに元の姿に戻って行くハーピィたちと、闇の恩恵が失われ、忌むべき光の元に晒される悪魔たち。
《闇晦ましの城》
アンデット族 → 悪魔族
《闇魔界の覇王》
アンデット族 → 悪魔族
《ダーク・キメラ》
アンデット族 → 悪魔族
《カードを狩る死神》
アンデット族 → 悪魔族
「アタシのハーピィの翼は闇をも切り裂くのよ!」
そう、彼女に闇は似合わない。
彼女は、そして共に歩むハーピィたちが羽ばたくべき世界に、空に、闇の居場所は何処にもないのだ。
「そして鳥獣族に戻ったことでこのカードが使えるわ! 罠カード《ゴッドバードアタック》! フィールドの鳥獣族――《ハーピィ・オラクル》をリリースし、フィールドのカード2枚を破壊する!」
やがて、さんさんと輝く太陽の光が《ハーピィ・オラクル》を赤き情熱の炎で包み込み――
「《闇晦ましの城》と《ゴースト王-パンプキング-》を破壊!!」
「ぬぅううッ!?」
自軍を焼く炎の舞いに苦悶の声を漏らしつつ、自身のセットカードに悔し気な視線を一瞬向けた闇のプレイヤーキラーのキーカードであった2体のしもべたちが燃えていく。
その炎の中でボロボロと崩壊を始め、墜落する《闇晦ましの城》と、こんがり焼けて香ばしい匂いを放つ《ゴースト王-パンプキング-》――というか、焼きカボチャ。
「そして《ハーピィ・レディ三姉妹》‘sの攻撃! トライアングル・
そうして隊列の崩れた闇の軍勢が浮足立つ光景に放たれるのは《ハーピィ・レディ三姉妹》が放つ九位一体の三連撃。
放たれる「X」の文字状の波動は《ダーク・キメラ》を十字に切り裂き、生じた紫電が《カードを狩る死神》を断末魔の中で焼きつくし、
対抗して闇の波動を放った《闇魔界の覇王》の一撃すら押し返し――
闇のプレイヤーキラーLP:4000 → 1490
「ぐぅぉぉおおぉぉおおッ!? 俺の闇のしもべたちが全滅だとぉ!? ……だが、俺のライフは――――なっ!?」
己が闇の軍勢が一掃された事実に空に舞う九つの翼を忌まわし気に見やる闇のプレイヤーキラーだが、その内の三つの影が「別々」に降り立つ光景に大きく目を見開く。
その1体は赤い長髪をなびかせながら蠱惑気に笑い、
《ハーピィ・レディ
星4 風属性 鳥獣族
攻1300 守1400
↓
攻1600
2体目は橙のウェーブがかった前髪を掻き上げながらクスクスと笑みを浮かべ、
《ハーピィ・レディ
星4 風属性 鳥獣族
攻1300 守1400
↓
攻1600
3体目は青い箒頭を揺らしながらケラケラと嗤う。
《ハーピィ・レディ
星4 風属性 鳥獣族
攻1300 守1400
↓
攻1600
「なん……だと……!?」
「罠カード《華麗なるハーピィ・レディ》を発動させて貰ったわ。《ハーピィ・レディ三姉妹》をデッキに戻すことで、手札・デッキ・墓地からそれぞれ元々のカード名が異なる『ハーピィ』を特殊召喚できる」
新たに降り立った――いや、ペアを解消した3体のハーピィ・レディたち。
「言ったでしょ――地獄のハーレムを体感させて上げるって」
彼女たちは思わず後退った獲物の逃げ場を塞ぐように翼を広げ飛び立ち、左右と上空に分かれ――
「――
「ぐぬぁぁああぁあぁぁあッ!!」
三方向から繰り出された華麗なる3体の狩人の一撃が、闇の住人に断末魔を上げさせた。
闇のプレイヤーキラーLP:1490 → → → 0
そんなこんなでデュエルキングの座を奪い合うかの如く熾烈なデュエルが繰り広げられる中、待合室にて、らしからぬように行儀よく座る城之内が拳を握りつつ呟いた。
「もうじき俺の試合……くっそ~、心臓の音がうるせぇ」
そうして自身の胸に拳をぶつける城之内は己が内の緊張をほぐす様に独り言を続ける。
「最初のトーナメントは小分けにされるって話だから、俺は今日3回勝てば……最初のトーナメント突破……」
そう、ワールドグランプリではモクバが説明したように細かく8人ずつのトーナメントに分けられる。それは参加人数的な側面からなるものと、先の対戦カードを隠す側面など、色々事情があるが、城之内の緊張の根っこはそこではない。
「そんでもって、何日かかけて他の奴らの最初のトーナメントが全部終わったら、勝ち抜いたヤツの中からまた次のトーナメントが組まれる……牛尾の説明だとこんな感じだったよな」
やがて開会式終了後に近くを通りかかった牛尾に噛み砕いて説明して貰った内容を反芻する城之内の脳裏に映るのは――
「勝ち上がれば……」
――まさか、こんなに早く……
再戦を誓ったデュエリストの背中。自身がプロになってから挑む機会が得られると考えていただけに、城之内の心は猛るばかりだ。
「ん? おぉ! 城之内じゃねぇか!」
「――うぉッ!? って、梶木!? まさか俺の対戦相手ってお前か!?」
だが、通りがかった梶木からの声にその猛りは驚きとなって吐き出された。
「何を言うとるんじゃ? ワシのデュエルはもう終わっとるぜよ? モニター見とらんかったんか?」
「モニター? あっ、あれか」
「なんじゃ、緊張しとったか――肝の小さいヤツじゃのう!」
常日頃の城之内らしさのない姿にガハハと豪快に笑い飛ばす梶木だが、一方の城之内は笑われっぱなしは趣味ではないと拳を握る。
「う、うるせぇ! そうやって余裕ぶっこいてんのも今の内だぜ! 今度も俺が勝たせて貰うからな!」
「…………アッハッハッハ! そりゃ無理ぜよ、城之内!」
「なんだとぉ! 確かにお前も強くなったのかもしれねぇが、俺だってパワーアップしたんだぜ!!」
そうしてバトルシティではギリギリの勝負だったが、再戦の時は目にもの見せてやると返す城之内。
「ワシはもう負けてしもうたからの」
「強くなったとこを……え?」
しかし、既に此度の再戦の機会は消失している。
「いや~、世界は広いのぉ。まさか最初の試合で負けるとは……天狗になっとった気はなかったんじゃがなぁ」
やがて自身の敗北を何処か気まずそうに語る梶木だが、その両肩を城之内はガバッと掴んだ。
「お前ほどのデュエリストが!?」
「のらりくらりでいなされて――な具合で負けてしもうたんじゃ」
「相手は誰だったんだ!」
何処かまくし立てるように問い質す城之内。
梶木の実力は実際に闘った城之内が誰よりも知っている。だが、知っているがゆえに簡単に信じられない。
「ヘンテコな覆面した爺さんでな。確か……マスク……マスクなんとか……地属性モンスターを使っとった……岩石、岩……そう、ロックじゃ!」
そして梶木が城之内に揺さぶられながら己を敗ったデュエリストの名を思い出そうとするが、見た目のインパクトが先行し、中々名前が出てこない。
「『マスク・ザ・ロック』じゃ!」
「…………誰だ?」
しかし、ようやく出てきた名前も城之内にとって納得できるものではなかった。普通に聞いたこともない相手である。
とはいえ、城之内が知るのはトップクラスに有名なごく一部のデュエリストである為、そもそも判別可能な相手が少数なのだが。
「さぁの。聞いたことない名じゃったが、世界にはワシらが知らんような強ぇデュエリストがまだまだおるんじゃ。城之内、お前もワクワクするじゃろ!」
――梶木が……こんなに早く負けた?
そうして意気揚々と楽し気に語る梶木を余所に城之内の胸中にあるのは拭えぬ不安。
梶木が戦った謎のデュエリスト「マスク・ザ・ロック」は別のブロックだが、自分がこれから戦うことになるであろう対戦相手への警戒心が城之内の中で高まっていた。
そんな不安の只中でデュエルの舞台となるジェットコースターのコースが縦横無尽に立ち並ぶエリアに立つ城之内。
「まさか初戦の相手がお前だったとはな――竜崎!」
――普通に顔なじみかよ……やっぱ、ごちゃごちゃ考えるのは俺らしくねぇな!
しかしふたを開けてみれば、対戦相手は見知った顔だったゆえに余計な緊張がほぐれたのか普段の調子を取り戻していく城之内。
「デュエリストキングダムの時の俺とは一味も二味も違うぜ!」
「ぬかせ、城之内! ワイかて今まで遊んどった訳やない――進化したワイのダイナソーデッキで今度こそ蹴散らしたるわ!」
対する竜崎もペガサス島での一戦のリベンジをかけて燃えている様子。そこには互いに交錯する心地良い闘志が傍目にも十二分に見てとれる。
そうして二人のデュエリストがデュエルディスクを構えた後、刀を抜くようにデッキからカードの剣が抜かれた。
「 「 デュエル!! 」 」
浅からぬ因縁が今、紐解かれる。
―追記―2019・11・25
読者の皆様方からのご指摘から
罠カード《華麗なるハーピィ・レディ》でハーピィ・レディ
幾つか修正案を考えたのですが、どれもしっくりこなかったので
誠に申し訳ありませんが、このままにさせて頂きます<(_ _)>
デュエル結果自体は他のハーピィ・レディを呼んでも問題ないないので
OCG的な側面が気になる場合はお好きなハーピィ・レディで脳内変換してください。
タグにOCGと銘打っておいて本当に申し訳ないです……
罠カード《華麗なるハーピィ・レディ》で原作風にハーピィ・レディ
(ノД`)・゜・。
そして大会編ですが、進行の方はこんな感じで
テンポ良くするのって難しい(遠い目)
そして『マスク・ザ・ロック』……イッタイ、ナニモノナンダー(棒)
最後にザックリとデッキ紹介――マグナムとマイコ・カトウはさして変化ないので割愛
~今作でのメンド・シーノのデッキ~
彼のエースたる《デスサイズ・キラー》を最大限に活かす為に「デュアル植物族」化。
植物族デッキのお供、《ギガプラント》の隠された(訳でもないけど)効果により
昆虫族の《デスサイズ・キラー》も展開できちまうんだ!!
《超合魔獣ラプテノス》と《DNA改造手術》、そして《ギガプラント》たちによる無限ループで《デスサイズ・キラー》は無限にパワーアップするぜ!
パワーアップした後は作中のように強引に強化を持続したり、みんな大好き《カタパルト・タートル》で終末戦争したり、《神秘の中華なべ》でボイルだ!
ぶっちゃけ《デスサイズ・キラー》いれない方が強い事は内緒な!
~今作の響 紅葉のデッキ~
凡そは普通の「属性融合体のHEROデッキ」
変わったところはコントロールを奪うカードを多数採用している程度。
奪ったモンスターを融合素材にして《超融合》ごっこするもよし、
《ヒーローマスク》被せてジ・アースの効果で「
これでジ・アースも相手疑似除去+打点強化が出来て、要らない子扱いされない筈! ……筈!(おい)
ただし、「相手のモンスター奪い利用する姿ってHERO的にどうよ?」という真理的な問題を抱えている。
~今作の孔雀舞のデッキNEWバージョン~
かなり普通のハーピィデッキ。一応、《ハーピィ・レディ三姉妹》を主軸にしているのが特色と言えなくもない。
しかし《
えっ? アマゾネス? タニヤ+タイラー姉妹に任せておくのです(目そらし)
~今作の闇のプレイヤーキラーのデッキ~
原作では悪魔族デッキだったにも拘わらず、OCGの際にアンデット族のサポート効果がぶっこまれた《闇晦ましの城》を介護――もとい、全力でサポートするデッキ。
闇のプレイヤーキラーの使用カードが攻撃力2000以下のレベル5の悪魔族だけな為、《ヘルウェイ・パトロール》から《トランスターン》しつつ、《ヘルウェイ・パトロール》の墓地効果で――が主な流れ。
リバースモンスターである《闇晦ましの城》をサポートできる《ティンダングル・エンジェル》がレベル4の悪魔族なのも頼もしい。
更に原作にて《闇晦ましの城》に一切関係のないゴースト骨塚が使用した《ゴースト王-パンプキング-》もOCG化の際に何故か《闇晦ましの城》とコンボ効果が生まれた為、投入されている。
魔法カード《
――と、此処まで色々上げたが、完成する布陣が「強化により攻撃力1900~2600くらいになった(特に効果もない)モンスターが並んだらラッキー」程度なので、悲しい程に非力。
有力どころが多い、闇属性サポートがあれどキツイぜ!
火力の高いバニラ並べる方がよっぽど建設的だ!(´;ω;`)ブワッ