前回のあらすじ
匿名希望のハノイのリーダー「良き力だ」
キースのフィールドに立ち並ぶ二足の竜《ブローバック・ドラゴン》、黒鉄の魔龍《クラッキング・ドラゴン》、八つ首の機竜《影星軌道兵器ハイドランダー》のマシンモンスターに対し、
闇遊戯は己が相棒たる黒き魔術師の新たな姿、《超魔導剣士-ブラック・パラディン》と、《マジシャン・オブ・ブラックカオス》に加え、その弟子たる《ブラック・マジシャン・ガール》で迎え撃つ。
「俺のターン、ドロー! 一気に行かせて貰うぜ! 魔法カード《儀式の下準備》を発動! デッキから儀式魔法――《カオスの儀式》を手札に加え、そこに記された儀式モンスター《カオス・ソルジャー》をデッキから手札に!」
仮面を張り付けた不気味な黒き鳥の鳴き声が木霊する中、闇遊戯の手に超戦士の鼓動が灯り――
「そして儀式魔法《カオス・フォーム》発動! このカードは墓地の《ブラック・マジシャン》を除外し、儀式素材とすることの出来るカード!」
そしてその灯火に火をつけるのは墓地に眠る己が相棒たる黒き魔術師の力。
「よってこの効果で墓地の《ブラック・マジシャン》として扱う《マジシャン・オブ・カオス》を除外し、更に墓地の《クリボール》を自身の効果で除外! その合計のレベル8のカオスモンスターを儀式召喚する!」
その力が大地より噴き出し、フィールドに混沌の陣を描いていく。
「光と闇の魂は、今ここに混沌を誘い、超戦士を呼び覚ます! カオス・フィールドより降臨せよ! 超戦士! 《カオス・ソルジャー》!!」
やがて混沌の陣――カオス・フィールドより一筋の光が奔り、青き影がこの場に降り立った。
堅牢なる藍の鎧に身を包み、剣を構える姿はまさに「超戦士」の称号が相応しい。
《カオス・ソルジャー》 攻撃表示
星8 地属性 戦士族
攻3000 守2500
「ククク、モンスターを呼びやがったな?」
「……何がおかしい」
「――この瞬間、《クラッキング・ドラゴン》の効果が発動するぜ!」
だが、その超戦士の出現に対し、不敵に笑ったキースの声を合図に《クラッキング・ドラゴン》の身体から伸びる幾重もの棘からスパークが奔り、イカヅチの雨となって闇遊戯に降り注ぐ。
「新たに呼び出されたテメェのモンスター《カオス・ソルジャー》の攻撃力をターンの終わりまでレベル×200ダウンさせ、その数値分のダメージを与える! クラックフォール!!」
「甘いぜ! 手札から《クリアクリボー》を墓地に送り、効果発動! 俺にダメージを与えるモンスターの効果を無効化する! 頼むぜ、《クリアクリボー》!」
が、薄紫の毛玉《クリアクリボー》がその間に割って入り、代わりにイカヅチを受け、電気によって毛を逆立てながら消えていく。これも躱された。
「チッ、これも躱しやがったか! だが、《クラッキング・ドラゴン》は自身以下のレベルを持つモンスターには戦闘破壊されねぇ! テメェのモンスター共じゃ、突破は不可能だってこった!」
「なら、こうするまでだ! 俺のフィールドに《ブラック・マジシャン・ガール》が存在するとき、魔法カード《
そして先程の雷撃のお返しだ、とばかりに《ブラック・マジシャン・ガール》が水色の帽子を押さえつつ、杖を前に突き出して赤みがかった魔力を迸らせ――
「その効果により、相手の表側攻撃表示のモンスターを全て破壊する!!」
「なんだと!?」
「やれ、《ブラック・マジシャン・ガール》!
やがてその杖から灼熱を思わせる朱色の魔力が炎のように弾けたことで、キースのフィールドは火の海と化す。
「ただでは通してやれねぇな! チェーンして《影星軌道兵器ハイドランダー》の効果を発動! 俺様のデッキの上から3枚墓地に送り、テメェのブラック・パラディンは道連れだ!!」
しかしそんな炎の海を裂きながら八つのレーザーが、迎撃の構えをとった《超魔導剣士-ブラック・パラディン》の薙刀の猛攻を掻い潜り、最後の一筋のレーザーがその胸を貫いた。
「だが、アンタのモンスターには消えて貰うぜ!」
「だとしても、俺様のモンスターが破壊されたことで永続魔法《補給部隊》により1枚ドロー!」
炎の海に崩れ落ちる3体のマシンモンスターだが、その想いは1枚のドローとなってキースに次なる一手を与える。しかしがら空きとなったフィールドを見逃す程、闇遊戯も甘くはない。
「これでアンタのフィールドはがら空きだ――バトル! 《マジシャン・オブ・ブラックカオス》と《カオス・ソルジャー》でダイレクトアタック! カオス・アルテマ・ブレード!!」
やがて混沌の、カオスの力を持ちし、魔術師と超戦士が放つは魔力の刃と、剣気の刃が混じり合い、黒白の斬撃となってキースの身を断ち切らんと放たれた。
この一斉攻撃をキースが受ければどうなるかなど語るまでもないだろう。
「――終わってたまるかよ!! 罠カード《ピンポイントガード》発動! ダイレクトアタックされた時、墓地のレベル4以下のモンスター1体を! 《BM-4ボムスパイダー》を復活させる!」
しかし、その斬撃を主に代わり、一身に受け止めるのは小柄な緑の装甲の機械蜘蛛。2体のカオスモンスターの一撃による衝撃で赤い頭部に大きく亀裂が入るが倒れはしない。
《BM-4ボムスパイダー》 守備表示
星4 闇属性 機械族
攻1400 守2200
「テメェの攻撃はこいつでシャットダウンだ! 罠カード《ピンポイントガード》で呼び出されたカードは、このターン戦闘・効果では破壊されねぇからな!!」
「防いだか――なら俺は魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地の5枚のモンスターをデッキに戻して新たに2枚ドロー!」
強大な一撃の前に、負傷しながらも未だしっかりと八本の足で立つ《BM-4ボムスパイダー》を闇遊戯は視界に映しつつ、だらけた顔が張り付いた壺を粉砕しながら引いたカードを確認し――
「此処で俺は永続魔法《黒の魔導陣》を発動! 発動時にデッキの上から3枚のカードを確認し、《ブラック・マジシャン》と記されたカードがあれば1枚手札に加える!」
その内の1枚のカードを発動させ、フィールドに魔法陣が敷かれる中、遊戯は2枚の手札に手をかける。
「俺は罠カード《マジシャンズ・ナビゲート》を手札に! カードを2枚セットしてターンエンドだ!!」
そして二択を迫るようなセットカードが伏せられ、ターンを終えた。
その2枚は先のターンと同様に二つともブラフなのか、はたまたどちらか片方は罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》なのか――キースの額に僅かに汗がにじむ。
「なら俺様のターン、ドロー!」
だが、そんな畏れを振り切りカードを引いたキースはカッと目を見開いた。
「――来たかっ! 此処で俺様はリバースカード、永続罠《強化蘇生》発動! 墓地のレベル4以下のモンスターのレベル1つと攻守を100上げて特殊召喚!! 復活させるのはコイツだ! 《ハードアームドラゴン》!!」
表皮を剥がれ、肉と骨が剥き出しになった灰と白の四足のドラゴンが身体を丸めるように蹲る。
《ハードアームドラゴン》 攻撃表示
星4 → 星5
地属性 ドラゴン族
攻1500 守 800
↓
攻1600 守 900
「ドラゴン族だと?」
今の今まで、いや、前のデュエルからずっと「機械族」を愛用していたキースのフィールドに現れた「ドラゴン族」モンスターに闇遊戯は僅かに眉をひそめるが、その答えは直ぐに明らかとなる。
「そしてレベルが5となった《ハードアームドラゴン》は永続魔法《アドバンス・フォース》の効果の適用内! こいつを1体リリースして最上級マシンをアドバンス召喚するぜ!」
やがて永続罠《強化蘇生》によって上がったレベルを利用し、《ハードアームドラゴン》が光の粒子となって消えていく中、それらの粒子が再構築されるように機械の巨人へと変貌していく。
「出てきなッ! 深紅の殺戮者! 《デモニック・モーター・
そうして現れるは、悪魔の角染みた鋭利な突起が頭から伸びた赤黒い装甲の機械兵。
その身にて一際分厚い肩口のアーマーから煙を吐き出しつつ、左右の腕に装着された巨大なブレードを威嚇するようにぶつけ鳴らした。
《デモニック・モーター・
星8 闇属性 機械族
攻2800 守2000
「そしてフィールドに残った永続罠《強化蘇生》を魔法カード《マジック・プランター》で墓地に送って2枚ドローさせて貰うぜ!」
その2枚のドローカードをみやったキースは小さく笑みを浮かべる。良い引きだと。
「此処で《BM-4ボムスパイダー》の効果発動! 俺様のフィールドの闇属性・機械族とテメェのフィールドの表側カード1枚を破壊する!」
そうして、そのツキを手放すまいとのキースの声に《BM-4ボムスパイダー》の背面からカートリッジが排出され、その内部に蠢く赤い球体状の爆弾が獲物を探す様にばら撒かれた。
「俺様は《デモニック・モーター・
それらの赤い球体状爆弾は味方を巻き込むほどの巨大な爆発を放つが、威風堂々と佇む《デモニック・モーター・
「成程な、この為の《ハードアームドラゴン》か」
「ハッ、当たりだ! これで《聖なるバリア -ミラーフォース-》の再利用はもう望めねぇぜ!」
対する闇遊戯の永続罠《ミラーフォース・ランチャー》は木端微塵に今度こそ粉砕され、罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》の脅威は後1度。
相手のカードが破壊されたとなれば、キースの今までのデュエルの流れを見れば何が起こるかなど自明の理。
「そしてテメェのカードが破壊されたことでフィールド魔法《
新たなマシンモンスターとして、翼の生えた蛇のような外見の機械の小竜が関節から《クラッキング・ドラゴン》と同様の淡い光を漏らした。
《ジャック・ワイバーン》 攻撃表示
星4 闇属性 機械族
攻1800 守 0
「《ジャック・ワイバーン》の効果! 自軍の他の機械族と自身を除外して墓地から闇属性・機械族を復活させる! 《BM-4ボムスパイダー》と共に除外し、復活させるのは――」
やがて《ジャック・ワイバーン》が《BM-4ボムスパイダー》の身体に巻き付き、小さなスパークと共に爆発が生じ、その煙の中から――
「――《
白銀の土星が宙に浮かぶ拳で煙を消し飛ばしながら現れた。
《
星8 闇属性 機械族
攻2800 守2200
「此処で俺様のモンスターが機械族2体のみになった! よって魔法カード《アイアンドロー》発動! デッキから2枚ドロー!」
こうして盤面を整理したキースが更なるドローを以て、一発逆転の秘策を狙う。
「更に魔法カード《闇の量産工場》を発動して墓地の《振り子刃の拷問機械》と《スロットマシーン
そんな怒涛の手札交換によって得られた1枚のカードをキースはデュエルディスクに叩きつけた。
「さぁ、此処で真打の登場だぜ――魔法カード《オーバー・ロード・フュージョン》発動! 墓地のモンスターを素材に機械族融合モンスターを融合召喚する!」
これが一発逆転のキーカードだとキースが高らかに宣言すれば、その背後に次元の渦が捻じれ始める。
「俺は《ブローバック・ドラゴン》と《リボルバー・ドラゴン》を次元融合!! 全てを撃ち払え! 最凶最悪の機械龍! 《ガトリング・ドラゴン》!!」
そんな次元の渦から棘のついた車輪を走らせるのは頭部がガトリング砲となった禍つの機械魔竜。
長くなった首をユラユラと揺らしながら獲物を物色する姿は何処か狂気的だ。
《ガトリング・ドラゴン》 攻撃表示
星8 闇属性 機械族
攻2600 守1200
「《ガトリング・ドラゴン》の効果! コイントスを3度行い、表の数だけ表側モンスターを破壊する! そしてこの瞬間、墓地の永続罠《
そうしてガトリング砲のカートリッジが回転し、気まぐれな凶弾が今、放たれんとするが、その間にキースの仕込みが牙を剥く。
「2回以上行うコイントスの結果を全て表にする!! イカサマコイン!」
「なにっ!?」
――くっ、《影星軌道兵器ハイドランダー》の効果コストの時に墓地に送られたカードか!
気まぐれな勝利の女神を強引に振り向かせるが如き荒業によって《ガトリング・ドラゴン》の三つ首の砲塔が――
「当然3つとも表! 消え失せな! ガトリング・キャノン・ショット!!」
火を噴いた。
三つ首のそれぞれのガトリング砲からばら撒かれる弾丸は壁のように隙間なく闇遊戯のフィールドを蹂躙し、《カオス・ソルジャー》の盾を砕き、《マジシャン・オブ・ブラックカオス》の杖を砕き、《ブラック・マジシャン・ガール》の身を撃ち抜いた。
そして闇遊戯の3体のしもべが破壊され、モンスターの消えた相手フィールドを視界に収めたキースは獰猛に笑みを浮かべる。
――開けたぜ……!
相手を守るモンスターもなく、厄介な罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》に対抗するカードも《影星軌道兵器ハイドランダー》の墓地送りのカードが揃えてくれた。
「俺は《デモニック・モーター・
ゆえにその好機を逃さぬと、キースの張った声に《デモニック・モーター・
《デモニック・モーター・
攻2800 → 攻3800
「さらに《
キースLP:1100 → 100
《
《
攻2800 → 攻3800
「バトル! 《デモニック・モーター・
――さぁ、存分に《聖なるバリア -ミラーフォース-》を発動してきな!
そうして深紅のマシーンの凶刃が相手の罠など物ともせずに闇遊戯へと振り下ろされた。
「そいつは通さないぜ! 俺はそのダイレクトアタック時に墓地の《クリアクリボー》を除外し、効果発動! デッキから1枚ドローし、それがモンスターカードならそいつとバトルさせる!!」
「へッ、テメェもギャンブルってか?」
――《聖なるバリア -ミラーフォース-》を発動しない!?
だが、キースの内心の動揺と共に、その凶刃が紫色の毛玉を両断するに終わり、切り裂かれた毛玉《クリアクリボー》の中からキースの挑発を受けて現れるのは――
「……ドロー!! 俺が引いたのは――《チョコ・マジシャン・ガール》!!」
とんがり帽子に翼のついた青い魔法少女風の衣装を纏ったマジシャンの少女が水色の長髪をたなびかせ、闇遊戯を守るように立ちはだかった。
《チョコ・マジシャン・ガール》 守備表示
星4 水属性 魔法使い族
攻1600 守1000
「だが、パワーは《デモニック・モーター・
しかし、レベル4相応のステータスなど《デモニック・モーター・
「そいつはどうかな? 攻撃対象にされた《チョコ・マジシャン・ガール》の効果発動! 1ターンに1度、攻撃モンスターの攻撃力を半減させ、墓地から魔法使い族を復活させてバトルさせる!」
筈だったが、そのブレードは《チョコ・マジシャン・ガール》が杖を振れば、あらぬ方向へと向けられ、強引に方向転換させられた影響か、《デモニック・モーター・
《デモニック・モーター・
攻3800 → 攻1900
「《デモニック・モーター・
そしてそのブレードが向かった先には前のターン《ガトリング・ドラゴン》に敗れた水色の軽装の法衣に身を包んだ《ブラック・マジシャン・ガール》が膝をついていた。
《ブラック・マジシャン・ガール》 守備表示
星6 闇属性 魔法使い族
攻2000 守1700
――チッ、攻撃表示じゃ呼んでくれねぇか。それに《聖なるバリア -ミラーフォース-》も使う様子がねぇ。
現在、キースのライフは僅か100。
なれば、闇遊戯が《クリアクリボー》の強制的に戦闘させる能力で反射ダメージを狙うとキースは読んでいただけに、相手が守りに入った姿勢に内心で舌を打つ。
未だ闇遊戯のライフには一切のダメージがないというのに、一ミリたりとも油断や慢心などしてくれない。
何処までも眼前の相手には隙が無かった。だが、なればこじ開ければ良いだけだとキースは攻撃を再開する。
「だが守備力は1700! ダウンした《デモニック・モーター・
「だったら、墓地の《サクリボー》を除外して身代わりにするぜ!」
しかし《デモニック・モーター・Ω》が切り裂いたのはまたしても毛玉。今度は背中にウジャトの瞳がついた《サクリボー》。
《チョコ・マジシャン・ガール》が安堵したように胸に手を当て息を吐く。
「ならその小娘共には《ガトリング・ドラゴン》と《
「そうはさせないぜ! 墓地から罠カード《仁王立ち》を除外! アンタはこのターン俺が選択したモンスターにしか攻撃できない! 俺は《チョコ・マジシャン・ガール》を選択!!」
だが、ガトリング砲の銃口と巨大な拳を前に届いた闇遊戯からの宣告に一瞬固まる《チョコ・マジシャン・ガール》だが、すぐさま顔を引き締め、《ブラック・マジシャン・ガール》を守るように杖を盾のように横に構え、前に出る。
「ソイツを蹴散らしな、サターン!
そんな膝が笑うように震える《チョコ・マジシャン・ガール》に《
――仕留め損ねたか……だが、勝負は此処からだ!
「チッ、絶好の機会を逃しちまったな……俺様は魔法カード《アドバンス・ドロー》発動! 自軍のレベル8以上のカード――《デモニック・モーター・
砲撃の際の揺れが残る中、これ以上の追撃が叶わないキースは次のターンをより盤石なものとするべく1枚のカードを発動すれば、攻撃力の下がった《デモニック・モーター・Ω》が溶けるように消えていき――
「そして速攻魔法《大欲な壺》で除外された3枚のモンスターをデッキに戻して1枚ドロー! 更に魔法カード《貪欲な壺》で墓地の5枚のモンスターをデッキに戻し2枚ドロー!」
そんな2枚のドローは二つの欲に塗れた趣味の悪い壺を呼び、それらの壺も爆散してキースの手札を潤していく。
「カードを3枚セットしてターンエンドだ!! そしてターンの終わりに《
ターンを終えたキースの待ちの姿勢に《
《
攻3800 → 攻2800
――まだまだ長丁場の道半ばってところか。
「待って貰うぜ! そのエンド時に罠カード《マジシャンズ・ナビゲート》発動! 俺は手札から《ブラック・マジシャン》を特殊召喚し、さらにデッキからレベル7以下の魔法使い族――《マジシャンズ・ソウルズ》を特殊召喚!」
だが、そんなキースを狙いすましたかのように、闇遊戯の相棒たる黒き魔術師が再びフィールドに馳せ参じた。
《ブラック・マジシャン》 攻撃表示
星7 闇属性 魔法使い族
攻2500 守2100
更にフィールドの《ブラック・マジシャン》と《ブラック・マジシャン・ガール》に合わせるように、師弟で背中合わせに立った霊体と思しき半透明な姿をした魔術師もそれに続く。
《マジシャンズ・ソウルズ》 守備表示
星1 闇属性 魔法使い族
攻 0 守 0
「そして《ブラック・マジシャン》が特殊召喚されたことで、永続魔法《黒の魔導陣》の効果発動! アンタのフィールドのカード1枚を除外させて貰うぜ! 永続魔法《アドバンス・フォース》を除外!!」
やがて《ブラック・マジシャン》が前のターンより敷かれていた魔法陣こと永続魔法《黒の魔導陣》を杖でコツンと小突けば、陣から怪しき光が噴出し、光が収まった先には今の今までキースの展開を助けてきた軍事基地の一部が地面諸共抉られるように消失していた。
「くっ、そいつにそんな効果があったとはな……だが、既に俺様のマシンモンスターは十分に展開し終えてる――大した損害じゃねぇ」
キースのその言葉には若干の強がりも含まれているが、現実問題として既に最上級モンスター2体が存在し、要であるフィールド魔法《
「……なら俺のターンだ、ドロー! カードを1枚セットし、《マジシャンズ・ソウルズ》の効果! 俺の魔法・罠ゾーンのカードを2枚まで墓地に送り、その分ドローする!」
《マジシャンズ・ソウルズ》がその身にエクストプラズムと化した2枚のセットカードを両の手に収めていき――
「俺は今セットした儀式魔法《カオスの儀式》と罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》を墓地に送って2枚ドローだ!」
「ミラーフォースを捨てやがったか……」
その光は闇遊戯の手札へと舞い込んだ。だが、強力な効果を持つ罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》を墓地に送ってまでのドローにキースの警戒は加速する。
「更に装備魔法《ワンダー・ワンド》を《マジシャンズ・ソウルズ》に装備し、その《ワンダー・ワンド》の効果で装備対象を墓地に送って2枚ドロー!」
だが当の《マジシャンズ・ソウルズ》は先端に丸い緑の宝石の付いた杖、《ワンダー・ワンド》の元に煙のように吸い込まれて行き、闇遊戯の手元に返るように消えていった。
これにて一気に補充された闇遊戯の手札。その枚数を考えれば、何が出てきてもおかしくはない。
「手札は切らさねぇか――だが、今の《ブラック・マジシャン》共じゃ、俺様の布陣を突破するには力不足だぜ? どうするよ」
「こうするのさ! 俺は魔法カード《
ゆえに何処か挑発するようなキースの声に応えるように闇遊戯がカードを発動させ、《ブラック・マジシャン》の背後に数え切れぬ程のナイフが虚空より現れ続ける。その狙う先は一つ。
「俺が破壊するのは――《
相手によって破壊された際に互いに2800のダメージを与える《
「チィッ! リバースカード発動! 永続罠《連撃の帝王》! その効果で俺様はこの瞬間にアドバンス召喚する!」
――《デモニック・モーター・
降り注ぐナイフの雨に《ハードアームドドラゴン》の力により「効果破壊されない」《デモニック・モーター・
「《
やがて着弾寸前のナイフの雨に対し、最上級マシンモンスター2体のパーツが先んじて弾け飛び、新たに再構築されるキースのフェイバリットカードたる《リボルバー・ドラゴン》が頭と両手の銃口でナイフの雨を躱すように現れた。
《リボルバー・ドラゴン》 攻撃表示
星7 闇属性 機械族
攻2600 守2200
こうして間一髪で危機を脱したキースだが、その胸中には不穏な影が残る。
――墓地の罠カード《マジシャンズ・ナビゲート》の効果をなぜ使わねぇ。温存する腹積もりか? それとも俺様の残り2枚のセットカードを警戒しているのか……チッ、読めねぇ。
闇遊戯VSパンドラの試合の決定打になった情報を得ていただけに腑に落ちない。
なにせキースの発動した永続罠《帝王の連撃》を闇遊戯が墓地の《マジシャンズ・ナビゲート》の効果で無効化していれば、《
そうすれば、残りライフが100しかないキースは一溜まりもないだろう。
だが、闇遊戯はそれをしなかった。
――くっ、読めねぇ。ヤツの考えが……思考が……!
一応、キースとて防ぐ手立てがなかった訳ではないが、それ以上に
そんな何らかの致命的なズレを感じるキースを余所に闇遊戯は腕を突き出しながら1枚のカードをかざす。
「俺は魔法カード《黒魔術の秘儀》を発動! フィールドの師弟を融合する! 俺は《ブラック・マジシャン》と《ブラック・マジシャン・ガール》を融合!」
さすれば《ブラック・マジシャン》と《ブラック・マジシャン・ガール》が互いの杖を交錯させるように天に掲げ、空へと魔法陣を描き、その周囲を魔力の渦が覆っていく。
やがて空に蠢く魔力の渦が魔術師の師弟へと降り注ぎ、その身を覆っていき――
「融合召喚! 並び立つ師弟の絆! 《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》!!」
魔力の渦が晴れた先には、新たな力を示すように師弟の法衣に魔力のラインが流れ、より力強く、より洗練され、より輝きを増した魔力によって伸びた長髪が黄金に輝く。
そうして並び立つ二人の魔術師は、まさに師弟一体の姿。
《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》 攻撃表示
星8 闇属性 魔法使い族
攻2800 守2300
「此処で永続魔法《補給部隊》を発動! そして魔法・罠カードの発動に対し、《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》の効果が発動! 俺はデッキからカードを1枚ドローし、魔法・罠カードならセットできる! 俺は引いたカードをセット!」
そんな師弟が杖を大地に向ければ、フィールドに1枚のカードが浮かび上がり――
「さぁ、行くぜ! バトルだ! 《リボルバー・ドラゴン》を攻撃!」
その後、魔術師の師弟は互いに交差させた杖を《リボルバー・ドラゴン》へと向けると、黒と赤の魔力が混じり合うことで巨大な球体状と化した後、砲弾の如き勢いで射出された。
《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》と《リボルバー・ドラゴン》の攻撃力の差は僅か200。
たった、その僅かな差がキースの残った100のライフを削り切る絶対的な「差」だ。
――だが勝負を焦ったな!
しかし、その「差」を覆してきたからこそ、キースは――「キース・ハワード」は「全米チャンプ」なのだ。
「俺様のダメージステップ時に2枚のリバースカードを発動するぜ! 速攻魔法《リミッター解除》!!」
彼の相棒たる《リボルバー・ドラゴン》もそんなキースの意思に呼応するように3つの銃口を魔術師の師弟が放った魔力弾へと向ける。
「ダメージステップ時に発動されたこいつはテメェの墓地の罠カード《マジシャンズ・ナビゲート》じゃ無効化できねぇ! よって俺様の機械族――《リボルバー・ドラゴン》の攻撃力は2倍×2の4倍に!!」
そして脚部から飛び出たスパイクが地面を掴むように貫き、シリンダーの回転と共に弾丸が装填され、銃身の限界など考慮に入れないような勢いで撃鉄が解き放たれ――
《リボルバー・ドラゴン》
攻2600 → 攻5200 → 攻10400
「土手っ腹に風穴開けてやりな! ガン・キャノン・ショット!!」
1万オーバーの威力となった3つの弾丸が轟音と共に今、放たれた。
そんなでたらめな威力の一撃ならぬ三撃が空気を切り裂きながら闇遊戯の全てを貫かんと迫る。
「これが! 俺様の! 渾身の一撃よォ!!」
やがて螺旋を描くように奔る3つの弾丸は《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》の魔力弾を撃ち砕き、その先の術者たちすら打ち抜いた。
《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》の身体がガラスの砕けるような音と共に消えていく。
この銃弾がデュエルの決着の瞬間となった。
「酷い試合だな」
そんな闇遊戯とキースの魂のぶつかり合いへ憐れむような声を落とすのは会場の壁際に背中を預ける神崎。
会場中が熱気に包まれる光景を何処か冷めた視線で見下ろしながら、神崎は独り言を続ける。
「キミもそう思うだろう?」
否、独り言ではない。それらの発言は全て己の少し離れた右隣りで静かに立つ者への挨拶代わりの世間話。
そんな神崎と距離を取るように佇む沈黙を守るは招かれざる客人。こんなお祭り騒ぎの場所には似つかわない存在。
「――シャーディー」
神崎にそう呼ばれた、頭にターバンを巻いた白いローブの褐色肌の男は神崎の声に何も返さない。その瞳は闇遊戯を捉えたまま動くことはない。
ただ、その瞳の相手を見定めるような達観した色が何処か印象的だった。
彼の手の内に怪しく光る黄金のアンク――千年錠が怪しく光る。
時代は並んだだけ融合