マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
ユベルとガッチャした






第243話 TURN-179 さよなら十代? 涙の卒業式?

 

 

 最後の最後で、見栄えのいい逆転劇に盛り上がりを見せたアカデミア受験もクロノスの閉会の挨拶にて終わりを迎え、皆が帰路につくべく席を立っていく。

 

 

 やがて、誰もいなくなった会場をぼんやり眺めていた神崎は、ようやく口火を切った。

 

「今後はどうなさるご予定ですか? もしよろしければ私の方からKCへの顔つなぎを――」

 

『精霊界に戻ろうと思う。伝説の三騎士に受けた恩も返したい』

 

『そうだね! 今の十代に僕たちの助けは必要なさそうだし、僕たちは僕たちに出来ることをするよ!』

 

 それはネオスたちの今後の話。だが、彼らは精霊界に戻ることを神崎に告げる。十代の楽しい学園生活に水を差す気はないのだと。

 

 きっと、彼らが肩を並べるのは救世の為に戦う時――なれば、再会は今ではない。

 

「……そうでしたか。なら、なにか困ったことがあればKCを頼られると良いかと」

 

『キミは――いや、そうだな。その時は頼らせて貰うよ』

 

『色々ありがとう、神崎!』

 

 そんなネオスたちへと神崎は、言外に別離の姿勢を示すが、その意思表示を知ってか知らずか、彼らは深く追求はしなかった。

 

「いえ、お気になさらずに」

 

『そういう訳にも――そうだ! このカードを受け取ってよ! 仲間の証さ!』

 

「これは……」

 

『きっとキミの助けになってくれる筈だ!』

 

 だが、そんな中でアクア・ドルフィンから1種のカードを手渡された神崎は、そのカードの内実に思わず問い返すが、ネオスも黙してうなずき肯定を返す。

 

 テキストを見れば確かに「仲間の証」と言うに相応しいだろう。

 

 やがて暫し悩む神崎だが、突き刺さるイルカ面のつぶらな瞳を前に、折れるようにデッキケースに仕舞えば、アクア・ドルフィンはグッと拳を握ってネオスに告げる。

 

『そろそろ行こうか、ネオス!』

 

『そうだな――神崎、ピンチの時はいつでも呼んでくれ! 直ぐに駆けつける!』

 

『そんな時が来ない方が良いんだろうけどね! また会おう、神崎!』

 

「ええ、また」

 

 そして他のネオスペーシアンたちも含めて手を振り、ドームの天井をすり抜けて空へと消えていく姿を見送った神崎。

 

 かくして、長き宇宙の旅路を共にしたネオスペーシアンたちとの束の間の共闘は終わりを告げる。

 

 

 KCを辞し、長き時を失い、門へ代償を払い、ネオスペーシアンたちと離れ、神崎の手に残ったのは1種のカードのみ。

 

 

 だが、神崎の心に落胆もなければ高揚もない。

 

 

 やがて、いつものように張り付けた笑顔で、次の脅威と戦うべく、ゆっくりと歩き始めた神崎。

 

 

 彼の歩みは未だ終わることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 受験会場から、アカデミアの学園に戻るフォースの面々だが、流石に移動続きで疲れが見えたのか各々の部屋で仮眠をとる中、藤原は一人甲板にて手すりに体を預けながら海を眺め、黄昏ていた。

 

 彼の脳裏を過るのは、会場でもずっと寝ていたもけ夫から――

 

 “卒業デュエルの在校生代表よろしく~”

 

 と軽い感じで告げられた件。なお、当のもけ夫は二度寝にかかっている。

 

 だが、栄誉ある在校生代表に選ばれたというのに藤原の表情は優れない。

 

「……オネスト、このデュエルを僕なんかが受けて良いんだろうか?」

 

『マスター……』

 

「あんな事件を起こしてしまった僕が……」

 

 そう、藤原の心に引っかかるのは、過去の咎。

 

 事件の詳細を知らぬもけ夫とて、表向きの理由くらいは知られており、「騙され、利用されただけ」との名目があれど、藤原は「純粋な被害者ではない」のだ。

 

 過程がどうであれ、彼の心の弱さが引き金を引いた現実は決して変わらない

 

 そんな己が相応しい訳がないのだと、もけ夫に突き付けた藤原の言葉にも――

 

 “最後にデュエルしたいのが、キミだったんだ~”

 

 な具合に、返って来たのは「気分」と返す他ない選出理由。

 

 

 確かに藤原も、「自分と同じように精霊が見える」もけ夫へ、シンパシーからか接する回数もフォースの中でも多い方だが、それは「寝ているもけ夫を起こす役目」くらいでしかない。

 

 

 ゆえに、新体制で良くも悪くも注目度が高い卒業デュエルに「ケチ」がついてはいけない、と、藤原は手すりから体を上げ、決心を固めた。

 

「やっぱり、亮や吹雪に――」

 

『――Show some guts!』

 

「――ぶっ!?」

 

『マスター!?』

 

 その瞬間、唐突に表れた漆黒の豹戦士の精霊が、気合の入った言葉と共に放たれたビンタを頬に受けた藤原は、そのあまりの衝撃にダメージが足に入り、ガクリと膝を落とす。

 

『マスター! しっかりするんだ!』

 

『――Bye!』

 

 そんな藤原に寄り添ったオネストが相手の目的を探るより前に、漆黒の豹戦士の姿は露と消え、状況が呑み込めずポカンとした表情を浮かべる藤原とオネストが残るばかり。

 

「えっ? えっ!? 今のなに!? パンサーウォリアー!?」

 

『まさか……マスターを元気づけようとした……のか?』

 

 だが、思考の再起動を果たし、華麗に消えた漆黒の精霊を探してキョロキョロする藤原へ、先程までの沈んだ思いは消えていた。というか、ぶっちゃけそれどころじゃなくなっていた。

 

 

 オネストの推察が正しいのかは、ブリザードだけが知っている――かもしれない。

 

 

 空で「胸キュンポイント」なる怪しげなカウントをする親友が幻視された気がするが、生憎と空に浮かんでいるのは雲だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 ネオスたちを見送った神崎は、タイミングよく己を呼びに来た斎王に連れられ、近況報告するべくKCにドナドナされていた。

 

 やがて応接室にてソファに座る神崎の対面にて、モクバと成長して海馬に益々似て来た乃亜が座る中、モクバが怒りのままに追求を始める。

 

「神崎、ようやく見つけたぜい! この数年間、なにやってたんだよ! 連絡一つ届かないのは、ちょっと頂けないぞ!」

 

「すみません、少し電波が届きにくい場所にいたもので」

 

 とはいえ、素直に謝罪する神崎にモクバも気勢が削がれるも、此処で怯む訳にはいかない。

 

 なにせ、神崎は急に辞めて連絡が一切取れなくなった社員なのだ。大義は彼にある。

 

「電波が? どこ行ってたんだよ……まぁ、そこは追及しないでおいてやるぜい。今、どんな仕事してるんだ?」

 

――宇宙から落ちて来たばかりの無職です。とは、言えない空気。

 

 しかし続いたモクバの当然な問いかけにピクリと動きを止める神崎。なにせ、つい先程まで宇宙にいた身だ。そんな頓珍漢な返答では、モクバどころか誰も納得しないだろう。

 

「まだ駆け出しの身ですが、此方を」

 

――まさか神崎と名刺交換することになるとは……人生、分からないぜい。

 

 ゆえに神崎の懐から、差し出された名刺を受け取ったモクバだが――

 

「『人材紹介コーディネーター』? って、なんの仕事なんだ?」

 

「各々が望む人材をダイレクトに紹介する――端的に言ってしまえば、フリーのスカウトマンです」

 

――胡散臭……いや、ダメだ、ダメだ! 思い込みで判断しちゃダメだぜい!

 

 過去のKCの幹部が、凄い胡散臭い仕事をしていた。此処まで活動実態が不透明な職種は中々お目にかかれまい。

 

「ふーん、順調なのか?」

 

「まだ動き出したばかりですので何とも言えません」

 

 そうして、「()()活動していない」ことなど夢にも思わないモクバは近況を問うも、本当に「何とも言えない」神崎が言葉を隠す中、沈黙を守っていた乃亜がモクバのフォローに入る。

 

「モクバ、そう心配することはないよ。人材に目ざとい彼なら問題はないだろうさ」

 

「でもさ! まだ軌道には乗ってないんだろ? なら、それまでは――」

 

「それと副業の方も」

 

 だが、話題が望まぬ方へと流れ始めた為、神崎は懐からくすんだ宝石の原石を一つテーブルにおいた。

 

「副業?」

 

「異能が宿る物品の収集です」

 

「異能の物品?」

 

 そんなくすんだ宝石の原石を前に、疑問符を募らせるモクバ。とはいえ、此方はとびぬけたオーパーツではない。珍しさはあれども魔力(ヘカ)が宿っただけの宝石である。

 

 KC時代に神崎が、ツバインシュタイン博士のモチベーションを高める為にストックしていたものの余りだ。

 

「KCを辞したのは、こういったオーパーツ染みた物品の回収の為でもあるんです」

 

「成程ね。キミがKCを辞したのは、受け取り先が用意できたゆえ……人材紹介業も情報を集める為の方便という訳だ」

 

「はい、凡そは」

 

――何故、そんな話に…………まぁ、いいか。どちらかと言うと、不動博士の捜索が主だとも言えませんし。

 

 やがて語られた説明に深読みした乃亜へ、営業スマイルで誤魔化して返す神崎を余所に、くすんだ宝石の原石を手に取ったモクバが先を促した。

 

「なら俺たちの方で、買い取れば良いのか?」

 

「ええ、そうして頂けると助かります――値段は此方に」

 

「ふむ…………安くないかな?」

 

「お、買い得だぜい……」

 

「『安い』と感じるくらいが丁度良いかと。下手に高額にすると奪い合いになりかねませんし――『厄介払いができた』と思われるくらいが良い」

 

 とはいえ、此方は「方便」である為、利益は一切考えられていない。むしろ「儲かる」とか思われる方が面倒なタイプだ。

 

「うーん、俺にはその辺(オカルト)のことはよく分かんないぜい」

 

「変に欲を出さない方が良いだけさ。これは……かなり前にペガサス会長に依頼されて捜索した宝石に似ているね」

 

 そうして、まじまじとくすんだ宝石の原石を眺めるモクバに乃亜が世間話代わりに呟けば、神崎の心は大きく揺れた。

 

――!? 宝玉獣!? これ、8体目の宝玉獣なの!?

 

「そうなのか。じゃあ、セラ――あっちでチラチラ様子見してるツバインシュタイン博士に持って行ってやってくれ」

 

「分かったわ」

 

――……落ち着こう。調査結果を待てば済む話。仮に1体増えてもヨハンの元に行くだけ。大した問題じゃない。

 

 やがて、モクバの元に控えていたセラが、くすんだ宝石の原石を隠れて様子を伺っていたツバインシュタイン博士に渡し、テンションがアクセルシンクロしたお爺さんがダッシュして研究室に駆けていく光景を前に、神崎の動揺は収まっていく。

 

「神崎、隠れ蓑の人材紹介の方だが、目ぼしい人材がいればKCに――」

 

「――神崎くぅん! KCと取引したいとの話は本当ですかァ!?」

 

「その声は……大瀧さんですか?」

 

――ペンギン!?

 

 そうして、乃亜が仕事の話に戻ろうとした瞬間に、《ペンギン・ナイトメア》の人こと大瀧の声を響かせるペンギンの着ぐるみを着た不審者が乱入。

 

「グフフ、気づきましたか。このペンギンスーツに! 日々、ペンギンちゃんの素晴らしさを世に広める為に私がたどり着いた境地が、これ!!」

 

 内心で驚く神崎を余所に、《ペンギン・ナイトメア》の人こと大瀧は熱く語る。

 

「――私自身がペンギンちゃんになることです!!」

 

 でも、なに言っているのか分からない。

 

「むさいおっさんにアレコレ言われるよりも、愛らしいペンギンちゃんに言われる方がノン・ストレス!! これぞ世界に癒しをもたらす究極の計画!! そう!」

 

 だが、説明を聞けば多少の納得は見える。人は、相手の外見によって受ける印象を大きく変える生き物だ。なら、外見を「ストレス性の低いもの」に固定するのはある意味、理にかなっているのかもしれない。

 

「――人類ペンギンちゃん化計画!!」

 

――じ、人類ペンギンちゃん化計画!?

 

「やはり戻って来る気になったか、神崎!! 裏事はお前がおらんと少々頼りな――」

 

 こうして、わちゃわちゃするペンギンの着ぐるみおじさんに続いた《機械軍曹》の人こと大田の更なる乱入を皮切りに、怒涛のおっさんウェーブが発生するが、今は目をつむることにしよう。

 

 

 なにせ、華もへったくれもない絵面なのだから。

 

 

 

 

 

 

 そうして、月日は流れ――

 

 デュエルアカデミアにて、「新入生」という新しい風が吹き込む前の最後の大仕事こと「卒業デュエル」が幕を開いていた。

 

 卒業生代表である「茂木 もけ夫」の相手を務めるのは、勿論在校生代表「藤原 雄介」である。

 

 だが、生徒・教師・来賓含めた関係者が固唾を飲んで見守るデュエルの内容は――

 

 

もけ夫LP:2400 手札4

モンスター

《キング・もけもけ》

雲魔物(クラウディアン)-キロスタス》

雲魔物(クラウディアン)-アルトス》

魔法・罠

伏せ×2

《怒れるもけもけ》

雲魔物(クラウディアン)スコール(・スコール)

フィールド魔法《天空の聖域》

VS

藤原LP:1800 手札2

モンスター

《ライトレイギア・フリード》

《ガーディアン・オブ・オーダー》

《魔道騎士ガイア》

魔法・罠

伏せ×2

 

 

 一見すれば互角のように思えるも、ターンプレイヤーであるもけ夫は己の有利を示すように迷いなくデュエルをこなしていた。

 

「《雲魔物(クラウディアン)-アルトス》の効果~、フォッグカウンターを3つ取り除いてキミの手札1枚をランダムに捨てちゃうよ~、どれにしよっかな~」

 

 卵色な卵のような雲の形をした魔物――《雲魔物(クラウディアン)-アルトス》の口からこぼれた泡のような雲が藤原の手札を覆っていき――

 

「右端」

 

『――マ、マスター!!』

 

「《オネスト》が!?」

 

「次は《雲魔物(クラウディアン)-キロスタス》の効果~、フォッグカウンター2つを取り除いて~モンスターを破壊しちゃう~《キング・もけもけ》を破壊だ~」

 

 藤原の相棒を墓地送りにしつつ、薄い桃色のどこか丸っこい猫にも見える雲の魔物こと《雲魔物(クラウディアン)-キロスタス》が、凄いデカいはんぺんのような天使《キング・もけもけ》に体当たりすれば、その巨体にそぐわぬ脆さで砕け散る《キング・もけもけ》。

 

「でもでも、フィールドを離れた《キング・もけもけ》の効果で3体の《もけもけ》たちが復~活~」

 

『もけっ!』

 

『もけけっ!』

 

『もけーっ!』

 

 だが、砕けた《キング・もけもけ》の破片は、小さなはんぺんっぽい天使《もけもけ》たちとなって、もけ夫のフィールドに降り立った。

 

《もけもけ》×3 攻撃表示

星1 光属性 天使族

攻300 守200

 

「魔法カード《デルタ・アタッカー》発動~、これで同名通常モンスターたち――《もけもけ》の3体でダイレクトアタックできちゃう~」

 

「させません! 《ライトレイギア・フリード》の効果! 1ターンに1度、墓地の光属性を除外し、魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する!」

 

 そして藤原をしとめるカードが発動されるも、それは白と黄金の鎧に身を包んだ《ライトレイギア・フリード》が持つ大盾から発せられた光に貫かれ、不発。

 

「じゃあこっち~、罠カード《大番狂わせ》~、《もけもけ》を墓地に送って、レベル7以上のモンスターを全て手札にばいば~い」

 

 だが、主の邪魔をした相手に怒ったように《もけもけ》の1体が赤く染まってその身を爆発させれば、それにより生じた爆風によって藤原の《ライトレイギア・フリード》が、

 

 白き装甲に覆われ、黄金の輝きを迸らせる機械の戦士、《ガーディアン・オブ・オーダー》が、

 

 兜をつけた赤毛の馬にまたがる紫色のマントに二つの突撃槍を持つ《魔道騎士ガイア》が、

 

 それら3体の戦士たちが、抵抗虚しく空へと舞い上がり藤原の手札に収まった。

 

「くっ!? こっちが本命……!!」

 

――普段はゆるーい人だけど、デュエルの実力は本物だ……! でも! いや、だからこそ! 他でもない僕が!

 

『マスター、来るよ!!』

 

「キロスタスを守備表示に変更~、でも守備表示になったキロスタスは破壊されちゃうよ~」

 

 やがて迷いの中で決意を固める藤原へ、《雲魔物(クラウディアン)-キロスタス》の雲の体が崩れていく光景にオネストが藤原に激を飛ばす。

 

雲魔物(クラウディアン)-キロスタス》 攻撃表示 → 守備表示 → 自壊

星4 水属性 天使族

攻900 → 守 0

 

『天使族が破壊された! 永続魔法《怒れるもけもけ》の効果が!』

 

「正~解、《もけもけ》たちがパワーアップ~」

 

『もけもけーッ!!』

 

 なにせ、もけ夫の必勝パターンに入ったことを示すように《もけもけ》たちが、その身を真っ赤に染めて、頭の「?」を「!」にしながら、やる気に満ちた声を響かせていた。

 

《もけもけ》×2

攻300 → 攻3000

 

「バトル~、行っけ~《もけもけ》たち~!」

 

『もけけー!!』

 

 そうして、ピューと可愛らしい感じに突っ込んでくる《もけもけ》だが、その力は白き竜すら相打つ強靭タックル。残りライフ1800の藤原が受ければ即死であろう。

 

「罠カード《敵襲警報-イエローアラート-》! 手札のモンスターを特殊召喚して、攻撃を受けます!来いッ! 《ガーディアン・オブ・オーダー》!!」

 

 ゆえに《ガーディアン・オブ・オーダー》が腕を交差しつつ現れ、その背より細い線状の四対の機械翼を広げるが――

 

《ガーディアン・オブ・オーダー》 攻撃表示

星8 光属性 戦士族

攻2500 守2000

 

「攻撃続行~!」

 

「罠カード《光の召集》! 僕の手札をすべて捨て、同数の光属性を手札に! 戻ってこい、《オネスト》!!」

 

「手札から速攻魔法《突撃指令》発動~、《もけもけ》1体をリリースして、《ガーディアン・オブ・オーダー》を破壊するね~」

 

 ポスンと《ガーディアン・オブ・オーダー》にしがみ付いた《もけもけ》は、仲間の《もけもけ》に敬礼した後、爆散した。

 

「くっ……!」

 

『僕の力は、光属性モンスターあってのこと……!』

 

 こうして爆炎の中に倒れた《ガーディアン・オブ・オーダー》。如何に戦闘において強力な効果を持つ《オネスト》であっても効果破壊されれば、その力は活用できない。

 

「最後の《もけもけ》でダイレクトアタック~! 罠カード《義賊の極意書》を発動しとくよ~」

 

『もけけけけけ!!』

 

 こうして全ての伏せカードを使い切り、正真正銘がら空きになった藤原に、最後に残った《もけもけ》の怒りの怪音波を響かせた。

 

「ダメージを軽減しても、罠カード《義賊の極意書》の効果で~キミの手札を2枚捨てちゃう~」

 

 とはいえ、もけ夫もこれで藤原が終わるとは思っていない。ゆえに、藤原に残る最後の希望であろう残り3枚の手札を狩りに行く。

 

「……手札から捨てた《アルカナフォースXIV(フォーティーン)TEMPERANCE(テンパランス)》の効果で、僕のダメージは0です」

 

「ふ~ん、罠カード《光の召集》の時か~、アルトスで攻撃しておしまいかな~」

 

 だが、どこか女性の怨霊にも見える歪な天使の灰の巨大な両腕に守られた藤原に、仕方なく《雲魔物(クラウディアン)-アルトス》に固めた雲を投げさせダメージを与えた後――

 

藤原LP:1800 → 500

 

 墓地の魔法カード《雲魔物の(クラウディアン・)雲核(エアロゾル)》の効果により墓地の『雲魔物(クラウディアン)』と自身を除外して、デッキから《雲魔物(クラウディアン)-タービュランス》を手札に加えたもけ夫は、カードを2枚セットしてターンを終えた。

 

『もけ~』

 

《もけもけ》

攻3000 → 攻300

 

 そんなターンの終わりと共に、赤く染まっていた最後の《もけもけ》の体も白さを取り戻していく。

 

 

もけ夫LP:2400 手札3

モンスター

《もけもけ》

雲魔物(クラウディアン)-アルトス》

魔法・罠

伏せ×2

《怒れるもけもけ》

雲魔物(クラウディアン)スコール(・スコール)

フィールド魔法《天空の聖域》

VS

藤原LP:500 手札2

モンスター

なし

魔法・罠

なし

 

 

 まるで均衡が崩れたことを示すようなもけ夫のターンエンドを前に、デュエル場に一番近い席に座る亮、吹雪、小日向のフォース生の中から、思わず吹雪が呟いた。

 

「罠カード《義賊の極意書》か……もけ夫先輩、普段と変わらなそうに見えたけど――卒業デュエルに、やる気タップリじゃないか」

 

 それは徹底して藤原の《オネスト》を封じるもけ夫のデュエルを見たゆえ。勝ち負けに頓着しないタイプのもけ夫にしては珍しい光景だと。

 

 そして、それには亮も同意見だった。なにせ、もはや藤原に残るのは――

 

「これで優介に残ったのは、手札の《ライトレイギア・フリード》と《オネスト》のみ。特殊召喚自体に問題はないが……」

 

「どっちが勝つにしても、このターンで決まりでしょ。よしんば相手の盤面を荒らせても、《タービュランス》で《怒れるもけもけ》までの材料は揃ってるんだし」

 

――それに明らかに何か仕掛けてる。あの先輩、普段すっ呆けてる癖にデュエルには抜け目ないのよね。

 

 説明を引き継ぐような小日向の発言が全てを物語っていた。

 

 今の藤原に残る手では、そこまで強固な攻めも守りも組み立てられない。仮に相手の布陣を崩せても、もけ夫の立て直しの準備が整っている以上、焼け石に水。

 

 まさに文字通り、藤原の最後のチャンスというべきラストターン。

 

「かもしれない。だが俺には、どうにもこのデュエル――優介らしさがないように思える」

 

――迷っているのか、優介。このデュエルで先輩へ伝えるべき己を。

 

 そんな最終局面を前に亮の瞳が見定めるはデュエルではなく、その内――互いの心の問題。

 

 学園の在り方を大きく変えた事件の引き金を引いたもの。

 

 新体制の最初の卒業生たちの代表者。

 

 只人に見えぬもの(精霊)が見える二人。

 

 

 この卒業のデュエルには、多くの意味が介在している。

 

 

 しかし、そのいずれかにも部外者である亮には、友を信じて見守る他ない。

 

「でも、ボクには分かるよ――優介は諦めてない」

 

――見せてやれ、優介。新しいキミの姿を。

 

 だが、そんな中で吹雪だけは欠片も心配していない瞳で藤原の背だけを見つめていた。

 

 

 

 

 

 そんな周囲の観客も併せて多くの視線にさらされる中、ドローした藤原の3枚となった手札から――

 

「墓地に光属性が5種類存在する時! このカードは特殊召喚できる! 光を従え、降り立て! 《ライトレイギア・フリード》!!」

 

 再び舞い降りる白と黄金に覆われた鎧を纏いし光の戦士が、白き大盾と重厚な大剣を構えて降り立った。

 

《ライトレイギア・フリード》 攻撃表示

星8 光属性 戦士族

攻2800 守2200

 

「さらに攻撃力が1900に下がる代わりに、このカードはリリースなしで召喚できる! 《疾走の暗黒騎士ガイア》召喚!!」

 

 そして三本角の兜をつけた黄のたてがみをゆらす紫色の馬に乗る二双の突撃槍を携えた騎士が駆けつけ――

 

《疾走の暗黒騎士ガイア》 攻撃表示

星7 光属性 戦士族

攻2300 守2100

攻1900

 

 さらに墓地の魔法カード《沈黙の剣》を除外し、デッキから『サイレント』モンスターを手札に加えた藤原は――

 

「戦士族である《疾走の暗黒騎士ガイア》をリリースし、《沈黙の剣士-サイレント・ソードマン》を特殊召喚!!」

 

 天より《疾走の暗黒騎士ガイア》を光が包み、新たな戦士へとその身を変容させる。

 

 そして降り立つのは、銀のベルトが光る深青のバトルコートに身を包んだ大剣を操る戦士。

 

《沈黙の剣士-サイレント・ソードマン》 攻撃表示

星4 光属性 戦士族

攻1000 守1000

 

「あれ~、キミのデッキでは見たことないカードだ~」

 

「バトル! 《ライトレイギア・フリード》で《もけもけ》を攻撃!! ライトバニッシャー!!」

 

 そして《ライトレイギア・フリード》の大剣が、先行して振り降ろされる。相手の《もけもけ》の小ささが、大剣の巨大さをより引き立てていた。

 

「罠カード《光子化(フォトナイズ)》発動~、その攻撃を無効にして、相手の攻撃力分の――」

 

「通さない! 《ライトレイギア・フリード》の効果! 墓地の光属性を除外して罠カード《光子化(フォトナイズ)》を無効!!」

 

 しかし、その大剣を前に光輝く《もけもけ》の体が――《ライトレイギア・フリード》の大盾に吸い込まれて消えていく。

 

「なら、チェーンして罠カード《ジャスティブレイク》発動~、攻撃表示の通常モンスター以外は、ばいばい~」

 

 だが、途端に《もけもけ》が小さな手を天に掲げれば、空の《天空の聖域》に浮かぶ城からイカヅチがフィールド全土に降り注ぐこととなる。

 

 

 力をいたずらに振るうもの(効果モンスター)をいさめる神の裁きは、藤原の《ライトレイギア・フリード》や《沈黙の剣士-サイレント・ソードマン》だけにとどまらず、《雲魔物(クラウディアン)-アルトス》すらも消し飛ばし爆炎を上げた。

 

「効果モンスターの《雲魔物(クラウディアン)-アルトス》も破壊されちゃうけど~、天使族が破壊されたから、《怒れるもけもけ》で怒っちゃえ~」

 

 そんな唐突な同胞(天使族)の死に、《もけもけ》は怒りを見せる。

 

「あれれ~?」

 

 かに思われたが、その体は真っ白で。表情もゆるーいままだ。

 

 だが、そんな《もけもけ》を目指し、爆炎を突っ切った《沈黙の剣士-サイレント・ソードマン》が――いや、より強さを磨きレベルアップした、沈黙の戦士となって手にした二回り以上大きくなった大剣を振りかぶった。

 

《サイレント・ソードマン LV(レベル)7》 攻撃表示

星7 光属性 戦士族

攻2800 守1000

 

「サイレント・ソードマンの効果か」

 

『そうだ! フィールドの全ての魔法カードが無効になれば! キミの《もけもけ》たちも()()()()!!』

 

「これで最後です! もけ夫先輩!! 行け、サイレントソードマン! 沈黙の剣!!」

 

 やがて、オネストの力説と共に《サイレント・ソードマン LV(レベル)7》の大剣が《もけもけ》に振り下ろされる光景を前に、もけ夫は力なく言葉をこぼす他ない。

 

「う~ん、負けちゃったか~」

 

『もけー』

 

 なにせ、《サイレント・ソードマン LV(レベル)7》の効果により、永続魔法《怒れるもけもけ》によるパワーアップもなく、

 

 ダメージを防いでいたフィールド魔法《天空の聖域》も無力化された以上、《もけもけ》に打つ手はない。

 

 

 

 

「――ダメージ計算前に手札から《オネスト》を発動だよ~」

 

『もけけけけけけ!』

 

 ゆえに、最後までデュエルを続ける選択をしたもけ夫に後押しされた《もけもけ》は、その背の天使の翼を巨大化させながら《サイレント・ソードマン LV(レベル)7》の大剣に頭突きを敢行。

 

《もけもけ》

攻300 → 攻3000

 

「僕もその後に《オネスト》を発動します!」

 

 だが、大剣を《もけもけ》が一瞬押し返すも、《オネスト》の翼を得た《サイレント・ソードマン LV(レベル)7》の大剣が光の剣と化したことで弾き飛ばされ――

 

《サイレント・ソードマン LV(レベル)7》

攻2700 → 攻5700

 

 ボヨンボヨン地面をバウンドした《もけもけ》を体で受け止めたもけ夫のライフは削られることとなる。

 

「でも、すっごく楽しかったよ~」

 

 そんな気の抜けたもけ夫の声が、藤原には妙に印象的だった。

 

もけ夫LP:2400 → 0

 

 

 

 

 

 やがて周囲の歓声が轟く中、腰を落として座ったもけ夫の姿を前に、藤原は手を差し出しつつ問わずにはいられなかった。

 

「最後に聞かせてください、もけ夫先輩。どうして、あのターン――」

 

「――卒業おめでとうございます、先輩!」

 

「――うわっ!? 急にビックリするじゃないか、亮!?」

 

 だが、その問いは二人のデュエルを称えるように、もけ夫の脇を持って掲げた亮の乱入によって矛先がそれることとなる。

 

 そうして亮に持ち上げられたもけ夫の手が観客の声援に応えるように揺れる中、精霊の《もけもけ》もオネストの胸に飛び込み涙をこぼす。

 

『もけもけー!』

 

『キミともお別れだね……寂しくなるよ』

 

「あの、僕の話を――って、うつむいてる……ひょっとして泣いているんですか?」

 

 しかし、亮に抱えられたもけ夫の正面に陣取った藤原が再度問いかけるも、当のもけ夫はうつむいたまま、涙をこらえるように言葉を返さない。

 

「別れに涙はつきものさ! 二人の青春――胸キュンポイント10点だ!!」

 

「一々煩いわね、アンタたちは……ん?」

 

 そんな様子を察知した吹雪が涙ながらに親指を立てつつ合流し、遅れて追いついた呆れ気味な声を漏らす小日向が、何かに気づいたようにもけ夫の両頬を掴んだ。

 

 

 

 

「……寝てるわね」

 

 

 寝てた。

 

 

「――このタイミングで!?」

 

「先輩は良い意味でブレないからな」

 

「それでこそ、もけ夫先輩だよ!!」

 

 そう、この場の誰よりも最初に「あっ、アレ寝てるわ」と理解(リスペクト)したゆえに亮は、もけ夫を持ち上げたのだ。来賓の面々へ「寝てません! 寝てませんから!!」と言わんばかりに。

 

 

 こうして、最後の最後に電池切れのように大衆の中でグースカ眠るもけ夫を持ち上げる亮と共に、藤原が手を振り観客の声援に応える――真相を知る面々からは何とも様にならない形で、卒業デュエルは幕を閉じた。

 

 

 だが、笑いと拍手に溢れた会場の楽し気な雰囲気こそが、新体制の最初の卒業生の肩の荷を下ろしてくれるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 またまた月日は流れ――

 

 太平洋の孤島に設置されたデュエルアカデミアに向けて、入学試験を突破した新入生たちは()()を満喫していた。

 

 

 そうして甲板にて海の景色を眺めていた十代は、遠方にポツンと小さく見えた孤島の姿に隠し切れぬ高揚を表すように両腕を掲げて叫ぶ。

 

「ついに来たぜ、デュエルアカデミア~!!」

 

『制服、似合ってるじゃないか』

 

「だろ! でも、俺は赤の方が好きなんだけどな……まぁ、いいや!」

 

『インナーの色だけでも変えてみるかい?』

 

 そんな()()()()()を着た十代の傍で宙に浮かぶユベルは、愛しい人との何気ない会話を楽しんでいたが――

 

「此処にいたのか、1番くん」

 

『チッ、ボクと十代の時間の邪魔を……まぁ、いいさ。寮の自室なら二人っきりだ』

 

 十代の声を聞きつけた黄色い制服を着た三沢の接近に舌打ちしつつも、十代に目配せして会話を打ち切った。

 

「おや、1人だったか――話し声が聞こえたと思ったんだが……」

 

「おっ、2番! 話し声はえーと、あれだよ、あれ」

 

 だが、先程の十代の「明らかに一人言ではなかった言葉」に三沢は「いた筈の相手」を探すが、精霊であるユベルが見えぬ身では徒労であろう。

 

 とはいえ、「精霊の存在を安易に明かしてはならない」と教わった十代は、誤魔化す為の言葉探しに四苦八苦している様子。

 

『電話』

 

「そう! 電話! 電話してたんだ!!」

 

「そうだったのか。それはお邪魔してしまったようだな。席を外そう」

 

「あー、いや、いいよ。丁度終わったところだし、悪い」

 

『船内だと人の目も多いから、今日は仕方がないね』

 

 やがてユベルからの助言により、三沢の矛先を何とか躱せた十代は、手でユベルに小さく礼をしつつ、席を外そうとしている三沢を呼び止め、学徒同士のやり取りに移れば――

 

「此方こそタイミングが悪かった。俺は三沢(みさわ) 大地(だいち)――同じ寮のよしみだ、気軽に『大地(だいち)』で構わない」

 

「なら三沢って呼ばせて貰うぜ! 俺は『遊城(ゆうき) 十代(じゅうだい)』!」

 

「……すまない、流石に不躾過ぎたな。忘れてくれ」

 

 だが、自己紹介の段階でつまづいた三沢。「1番くん」「2番くん」と茶化して呼び合う程度の親交があるかと判断したのだろう。あながち間違いではない。

 

 ただ、一つ問題があった。

 

「そんなつもりじゃ……あー、こう俺にも事情があってさ」

 

「……? ……!! あぁ、成程。さっきの電話はガールフレンド(恋人)か。随分とやきもち焼きのようだ。馬に蹴られぬように気を付けよう」

 

 やがて、上手く言い出せぬ照れの入った十代の態度に、聡明な三沢は当たりを引き当てる。

 

 そう、重すぎる愛の使者(ユベル)の存在。

 

 友人の名前呼びにすらチェックが入る程に嫉妬――もとい、やきもちを焼く相手となれば、納得せざるを得まい。

 

「へへっ、まぁ、そこが可愛いところでもあるんだけどさ」

 

『十代……!!』

 

「なら、互いの呼び方は()()()()に任せるよ。ガールフレンドの方と相談してくれ」

 

 そうして惚気て見せる十代の背後からユベルにハグされていることなど知る由もない三沢が、嫉妬されぬように無難な呼び方で十代を呼ぶが――

 

「じゃあ代わりって訳じゃないけど俺のことは『十代』で構わないぜ! なっ!」

 

『……まぁ、こいつなら良いんじゃないか?』

 

 初見で十代に恋人がいることを見抜き、仲を祝福し、お邪魔虫にならぬ確約までした三沢は無事、ユベルのチェックを乗り越えた様子。

 

 

 やがて十代と三沢が、友好の握手を交わす中、直に学園への到着する旨を知らせる汽笛が鳴り響く。

 

「そろそろ到着するようだな」

 

「なら三沢! 着いたら学園、探検しようぜ!!」

 

『キミは相変わらず「それ」が好きだねぇ……』

 

 かくして、早速友人を一人得た十代は、ユベルと共にアカデミアの生活に胸を踊らせる。

 

 

 広大な孤島は、きっと新たな出会いとワクワクに満ちていることだろう。

 

 

 






???「僕は、これ程までに誰かを憎いと思ったことは……ないっス!」


理由をつけてレッド寮を目指すより、
「十代の友人にでもなって学力を上方修正して、ラーイエローに上げた方が早くね?」
と思う今日この頃。

初期クロノス先生の嫌がらせも消えますし(初期万丈目の件も含めて大半の問題が解決する気が)


Q:レッド生は?

A:船内での自由行動禁止。



~今作の藤原(ノーマル)のデッキ~

アニメ版の《オネスト》の効果対象が「レベル7以上の戦士族」な為、

OCG版とのかみ合いから「レベル7以上の光属性・戦士族」デッキに。

構築は、妥協召喚or展開持ちが多い以外は、凄い普通。
精々が《ライトレイギア・フリード》の召喚条件の為に「光属性の種類」をバラけさせているくらいか。

戦法も、サイレント・ソードマンや《ライトレイギア・フリード》で魔法・罠を疑似ロックしつつ殴る。
ロックビート――凄い普通。

ダークネス化してた頃より、素の方が「個をなくし!」てない?(酷)


~今作のもけ夫デッキ~
よくある《もけもけ》と下級『雲魔物(クラウディアン)』の混合デッキ。結構、普通。

《怒れるもけもけ》で突破できない部分を下級『雲魔物(クラウディアン)』たちがフォローしてくれる。

でも『雲魔物(クラウディアン)』たちが守備表示になって自滅して怒る《もけもけ》くんさぁ(おい)



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