マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
半端な気持ちで入ってくるなよ――(今作の)デュエルアカデミアによォ!





第245話 TURN-03 エトワール・サイバー?

 

 

 アカデミアの男子イエロー寮の広場にて、一つのデュエルが決着を見せていた。

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ! 小原!!」

 

『ガッチャだ』

 

「くっ、後1ターン早く動けてたら……」

 

 その対戦カードはお馴染み十代と、イエロー寮で同学年ゆえに交流の機会が増えた小柄な青年、小原。

 

 そうしてソリッドビジョンが消えていく中、デュエルを観戦していた三沢と大原も混ざり、反省会染みた雑談に興じる4名だが――

 

「いやー、危なかったぜー! 最後に攻撃力がドドーンと上がったの凄かったよな、三沢!!」

 

「そうだな、逆境からのコンボは見事だった。だが、どうにも序盤の小原の動きが妙だった気がしたんだが……どういった意図があったんだ?」

 

「…………特にないよ。ただ、緊張しただけ」

 

 三沢からの問いかけを前に、思わず言葉を濁す小原。だが、そんな小原と親交が深い大原が意を決した様子で、友の悩みを打ち明ける。

 

「こ、小原くんは、なんというか、こう……『グワッ!』って来られるの、苦手だから……」

 

「――よ、余計なこと言うな、大原!」

 

「ご、ごめんよ」

 

「余計なことじゃないぜ! 仲間の悩みだろ!」

 

 だが弱みを見せる気恥ずかしさゆえに、少々怒りを見せた小原に晒される大原だったが、十代はその辺りの空気を一切読まずに「グワッ!」と詰め寄った。

 

 同じ学園、同じ寮、同じ年代となれば、悩む相手の姿を見過ごすなど出来よう筈もない。

 

「……そ、そういうのが苦手なんだよ」

 

「メンタリティの問題か。しかしデュエル後半は問題なかったのなら、改善法の方向性は定め易そうだが――どうする、小原? キミが良ければ俺たちも協力するが」

 

「が、頑張ってみようよ、小原くん……!」

 

 やがて気圧され気味な小原を余所に、方向性を整理した三沢から提案され、さらに大原の後押しもあって、小原は前向きな検討を見せる。

 

「…………良いのかよ」

 

「気にすんなって! 代わりに今度、勉強教えてくれれば良いぜ!」

 

『まぁ、ボクの十代にかかれば、このくらいなんてことはないさ』

 

 そんな小原へ、十代が返す言葉など一つしかなかった。

 

 そうして、デュエルの際のメンタル管理の話でワイワイする4名だったが――

 

「遊城くん、少し構いませんか?」

 

「あっ、樺山先生! どうしたんだ?」

 

『敬語』

 

「じゃなくて――どうしたんですか?」

 

「はい、実は遊城くんにお客さんが来ていまして」

 

 イエロー寮の寮長、樺山からのお知らせに、彼らの団欒は一時中断となる。

 

 

 果たして、彼らを訪ねた客人とは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 此処で舞台は変わり、かつてパラディウス社と呼ばれた場所にて、紅蓮の悪魔のしもべこと「シモベ」は膝をつき、主の帰りを出迎えていた。

 

「ようこそお戻りになられました、我が主よ」

 

「長く留守にしてしまい申し訳ありません、シモベ」

 

「いえいえ、貴方様の内の『邪』の高まりを感じます――我らが宿願に偉大なる一歩が踏み出されたとなれば、このシモベ! 我が身を砕くことに何の憂いがありましょう!」

 

――そんなことを言われても困るんですけど。

 

 とはいえ、その主こと神崎は、テンション高めなシモベの言動に内心で困りながらも、目的である「地球にいなかった時期の情報収集」を果たすべく口を開こうとするが、それより先にシモベが語りだす方が早かった。

 

「パラディウス社の方は、完全に表からの撤退は完了しております! 今、この瞬間に消えてなくなったとしても、誰一人気にも留めないでしょうYO!」

 

 そう、神崎が宇宙に飛び出す前からシモベに頼んだ件が、「悪影響が出ないようにパラディウス社ことドーマを緩やかに解体する」こと。

 

――もうそこまで進んでいたのか。いや、それだけ宇宙での活動期間が長かった訳だ。

 

 それが解決されていた事実に、時の流れを感じる神崎は、ひとまず情報の精査に戻れば――

 

「ゼーマンと連絡がつかない件は?」

 

「それに関しては、各陣営の小競り合いに掛かり切りゆえですYO! 折角、担いだ伝説の三騎士とやらも『アレは駄目だ、コレは駄目だ』と口煩くて困りますねー」

 

 シモベが、精霊界のゴタゴタに手古摺るゼーマンにマウントを取る光景を眺め、

 

「で・す・が、報告はワタシめで纏めておりますので、ご安心を!」

 

「助かります。それと一先ず、留守の間の情報を補填したいので其方の方も可能な限りお願いしても?」

 

「お任せを!」

 

 やがて用意された山積みになったあらゆる情報媒体の山を前に、神崎はネオスの目も消えたことで制限する必要のなくなった冥界の王の力で影から目や腕を生やし、

 

――当面の目標は、不動博士探しだな。年代的に近しい5D’sの親世代をベースに探ろう。他は乃亜の手が入ったアカデミアの内情を直接見ておきたいが……定期的に訪れても不審がられない立場を用意しないと。

 

 空白の期間を埋めるように神崎は、情報の海に沈むこととなった。

 

 

 こうしてKCを辞したことによるメリット、デメリットを踏まえ、神崎は新しい道を歩み始める。

 

 

 その先に待ち受ける結末は、果たして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 此処で舞台はデュエルアカデミアに戻り、イエロー寮の玄関にて万丈目がインターホン代わりにイエロー寮の生徒に呼び掛けていた。

 

「誰かいないかー! 遊城 十代に用があって来たー!」

 

「おや、万丈目くん。どうしたんですか?」

 

「これは樺山教諭、今日は突然の来訪すみません。遊城 十代とのデュエルの約束をしていたもので――書類は此方に」

 

 そうして、呼びかけに応じてくれたイエロー寮の寮長たる樺山に、書類を渡しつつ来訪の理由を語る万丈目。

 

 そう、万丈目は入学時に挑戦された十代とのデュエルの約束を果たしに来ていた。

 

 とはいえ、約束と言うには曖昧なものだったが、試験ゆえに手加減されていたとはいえ、クロノスの力の入れようを見れば、十代のデュエルに興味がないと言えば嘘になる。

 

 それゆえの来訪。

 

「はい、確認させて頂きます。ただ――」

 

「おぉー! 万丈目じゃん!! お前()遊びに来たのか!?」

 

 だが、樺山が何かを言うよりも先に、万丈目を見つけた十代が寮の窓から身を乗り出して自己主張する方が早かった。そんな十代のハイテンションな姿に、思わず呆れた視線を向ける万丈目。

 

「お前に挑まれたデュエルを果たしに来ただけだ。準備もようやく終わったからな」

 

「準備? あー、そういや、なんか藤原のヤツも言ってたな……」

 

「藤原? まさか3年の藤原先輩が来ているのか!?」

 

――あの剣帝が、十代にそこまで? 俺には見えなかった何かがこいつにはあるのか……。

 

 しかし、十代から語られた「藤原」の名に、万丈目の緩んだ意識は引き締められる。

 

 

 藤原 優介――学園に4人しかいないオベリスクブルーの枠を大きく超えた階級「フォース」の一人であり、学園最強のカイザー亮に唯一並ぶとも評される生粋の実力者。

 

 そんな相手が、1年の、しかもイエロー生徒の元に態々足を運んだとなれば、十代を測りかねていた万丈目の目は曇っていた何よりの証。

 

「はい、問題ありません。ああ、遊城くん。順番はどうなさいますか?」

 

「なら、藤原との後で! く~! オベリスクブルー2人とデュエルできるなんてワクワクするぜ!!」

 

 かくして、万丈目が内心で戦慄する中、樺山に促されてデュエルの順番を決めた十代は、対戦相手が待つイエロー寮の広場に駆けて行った。

 

 

 

 

 そうして、十代の後を樺山と追った万丈目が、3年の先輩との会合に襟を正す中、待っていたのは――

 

「ボウヤも来ていたのね」

 

「…………藤原か。何故、此処に?」

 

――なんだ、1年の方か。驚かせおって……。

 

 1年のブルー女子の1人――藤原 雪乃が、広場に設置されたベンチに腰掛けていた。

 

 思わぬ「藤原違い」に内心で勘違った己を恥じつつ、肩の力を大きく抜いて社交辞令な話題を放った万丈目に、雪乃は指を口元に当てながら蟲惑的な笑みを浮かべて返すが――

 

「あら? レディの秘密を探ろうだなんて、ボウヤも一皮剥けたじゃない」

 

「悪いが、キミの戯言につき合う気はない」

 

「ふふっ、相変わらず余裕のない子。でも今日はイイ気分だから特別に教えてあ・げ・る」

 

 雪乃が良くも悪くも噂が絶えない相手ゆえか、いちいち飛んでくる誘うような挑発を万丈目は疲れた様子で流していく。反応した方が負けだと。

 

「明日香が妙に気にするボウヤがいるって話を聞いたら――味見したくなっちゃったの」

 

『は?』

 

 だが、此処で雪乃の顔を至近距離から覗き込んだユベルが、キレたナイフのような瞳でにらんでいた――だが、生憎と雪乃に精霊を知覚する力はない為、暖簾に腕押し、ぬかに釘。

 

 ユベルの怒りの三分の一どころか一ミリも、雪乃には届いていない。

 

 

 そんなブルー生徒の物言わぬ闘志をぶつけ合う光景に、場所取りを担当していた三沢は、十代の注目度に舌を巻く。

 

「噂の『アカデミアの女帝』に目をつけられるとは、十代の潜在能力はそれ程か」

 

 試験でのクロノスしかり、1年とはいえブルー生徒が2人――いや、話題にあった明日香を含めれば3人もが注目しているとなれば、驚きもしよう。

 

「なにそれ、カッケー! なぁ、三沢! 俺にはそういうの無いのか!?」

 

「……済まないが、そう言った話は聞かないな」

 

「うーん、そっかー……『ヒーロー使いの十代』、違うな。『エレメンタル十代』、変だな」

 

 しかし、話題の渦中の十代は、その辺りの事情は毛ほども興味がなかった。今はカッコいい通名を探ることに忙しい様子。

 

『ふふん、ボクの十代は、お前みたいな女に興味ないみたいだね』

 

 そんな雪乃――と万丈目が眼中にない十代の様子に、ユベルは機嫌良くにらみ付けを取りやめ、十代を後ろから抱きしめるような位置取りに戻った。

 

 

「……『女帝』か。『帝』の文字の重さを知らぬキミらしい通名だな」

 

「ふふっ、だって『女王(明日香)』の席が埋まっていたんだもの。後釜なんて御免だわ」

 

 だが、三沢の呟きに反応を見せた万丈目の苦言を呈する声にも、雪乃はいたずらっぽく笑い返してみながら――

 

「それに女『王』様(明日香)とお揃いの方が、ボウヤも嬉しいでしょう?」

 

 万丈目の秘めた想いをくすぐって見せる。

 

「……生憎だが、俺はキミと違って恋愛事にうつつを抜かす気はない。俺が目指すべき先は一つだけだ」

 

――兄さんたちの期待を裏切る訳にはいかない。

 

「まだまだお子ちゃまね――恋もデュエルのスパイスよ?」

 

「なー、なー! そろそろ2人で話してないで、早くデュエルしようぜー!」

 

 しかし、その淡い気持ちに蓋をする万丈目の初心さを雪乃は微笑ましそうにクスクスと笑う最中に、痺れを切らした十代の声が響けば――

 

「せっかちは嫌われるわよ、ボウヤ」

 

「悪いけど、俺が好きな相手はこの世で一人だけなもんでね!!」

 

『――十代!! ボクの愛もキミ一人だけのものだよ!!!!』

 

「あら、妬けちゃうわ」

 

 矛先を変えた雪乃の誘いを、ストレートに切って放る十代の恋人への愛の宣言を前に、直ぐ傍に件の相手(ユベル)がいることなど知る由もない雪乃は情熱的に宣言する。

 

「なら内緒で、二人でアツくなれること、し・ま・しょ?」

 

「いいぜ、ならデュエルだ!」

 

「 「 デュエル!! 」 」

 

 

 こうして、やっとこさ幕を開けたブルー生徒とのデュエルに気合十分の十代は手札を満足気に眺めるが――

 

――手札は悪くないぜ!

 

雪乃LP:4000 → 3000

 

「ん? 藤原のライフが?」

 

「ボウヤ、先攻か後攻――好きな方を選びなさい」

 

 唐突に減った相手のライフと共に雪乃から告げられた「ハンデ設定」に十代は過去の一件を思い出して不満顔を見せた。

 

「えっー!? そんなの良いから本気でやろうぜ!」

 

「……遊城くん。書類はちゃんと読まないと駄目ですよ?」

 

「十代。同格以外の寮生とデュエルする場合は、届け出を出す必要があるんだ。その際、ハンディキャップも設定される」

 

 だが、そんな十代へ困ったような樺山を援護するように三沢が説明に回る。それが新体制より変化したデュエル規定。

 

「実力が離れすぎた相手とのデュエルは得るものも多い反面、自信を打ち砕かれる危険もあるからな――他にも、制裁染みたデュエルを行わせない為に教師立ち会いの元で行われるのが原則だ」

 

 それが色ごとのデュエルの制限。

 

 弱者を屠って得られる経験に力はなく、また強者へ無謀に挑んだところで圧倒されるが関の山。

 

 弱者・強者に挑んで得られるものもなくはないが、マウントの取り合いで精神を歪ませるのが大半だろう。

 

 

 それゆえの規則。

 

 

『あの女のライフが減ったのも、そのハンデの影響だね。しかも最初の手札を見た後で先攻・後攻を決められるなんて……この学園は、ボクの十代を随分と舐めているようじゃないか』

 

「ん~? まぁ、いいや。なら、先攻は貰うぜ! ドロー!!」

 

 やがてユベルから、かなりのハンデが設定されてることをかみ砕いて説明された十代は、ハンデの解除を諦めつつドロー。

 

「ボウヤの立派なところ、見せて貰おうかしら?」

 

「早速、行くぜ! 魔法カード《予想GUY》! デッキから来てくれ、クレイマン!!」

 

 そして、いちいち艶っぽい雪乃の挑発をガン無視した十代が繰り出したのは、丸い赤の頭に、灰色の粘土でできた大きな丸みを帯びた身体を持つヒーローが十代を守るように両腕を交差し、膝をついた。

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) クレイマン》 守備表示

星4 知属性 戦士族

攻800 守2000

 

「此処で魔法カード《融合》! 手札のスパークマンとネクロダークマンで融合召喚! 来てくれ、雷光のヒーロー! ダーク・ブライトマン!!」

 

 さらに、その《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) クレイマン》の隣に、全身を黒のヒーロースーツで包んだ両肩より黄金の翼型のアーマーを伸ばすヒーローが腕組みしつつ降り立つ。

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ダーク・ブライトマン》 攻撃表示

星6 闇属性 戦士族

攻2000 守1000

 

 そして最後にカードを2枚セットし、手札を使い切りながらも悪くない布陣を敷いて十代はターンを終えた。

 

 

十代LP:4000 手札0

モンスター

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) クレイマン》

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ダーク・ブライトマン》

魔法・罠

伏せ×2

VS

雪乃LP:3000 手札5

 

 

「あら、随分早いのね。緊張しているのかしら? なら、私から動いてあげる――私のターン、ドロー!」

 

 十代の布陣に些か物足りなさを見せる雪乃は、メインフェイズ開始時に魔法カード《強欲で金満な壺》でエクストラデッキを6枚除外し、2枚ドロー。

 

「魔法カード《高尚儀式術》発動。手札の通常モンスターを素材にデッキから儀式召喚するわ」

 

 そんな雪乃のデッキカラーは「儀式」。

 

『デッキから儀式召喚? 随分変わった効果だね』

 

「何が来るのか、楽しみだぜ!」

 

「手札のレベル8《ラビードラゴン》を贄に、デッキより降臨なさい、《終焉の王デミス》」

 

 やがて雪乃の背後にて立ち昇った光の柱より歩み出るのは、黒い角が左右から伸びる白骨のマスクで素顔を覆った漆黒の重鎧をまとった人型の悪魔。

 

 その太い両腕でつかんでなお巨大な持ち手の長い大振りの斧を構える姿は「王」の名に恥じぬ威容が見て取れる。

 

《終焉の王デミス》 攻撃表示

星8 闇属性 悪魔族

攻2400 守2000

 

『勿体ぶった割には、微妙なラインの攻撃力だけど……気をつけろ、十代。何かあるよ』

 

「デミスの効果。私のライフを2000払うことで、フィールドの『全て』のカードを破壊するわ――んっ」

 

雪乃LP:3000 → 1000

 

 そうして、ユベルが警戒の色を見せる王の威容を放つ《終焉の王デミス》が斧の柄で地面を突けば大地にヒビが走り、その割れた地面より噴出したマグマと共に巨大な爆発が空間を揺らした。

 

 

 主のライフを糧に放たれた破壊の一撃によって轟々と燃え盛るフィールドには、この地獄を――否、終焉を生み出した《終焉の王デミス》のみ。

 

 

 十代の二体のHEROたちは倒れ伏し、他のカードは1枚たりとも生存してはいない。

 

「これでボウヤは丸裸」

 

『お前もね』

 

「――デミス!?」

 

 それは膝をついて倒れ伏す《終焉の王デミス》も例外ではなかった。

 

「破壊されたダークブライトマンの効果でデミスを破壊したのさ! HEROの闘志は、敗北程度じゃ折れないぜ! これでそっちのフィールドも丸裸だ!」

 

「……イケナイ子」

 

 十代の元で最後の力で顕現していたような幽霊のように薄くなった《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ダーク・ブライトマン》が右手を突き出してイカズチを放った姿勢のまま消えていく。

 

 そんな隣で十代は、破壊された2枚の罠カード《運命の発掘》の効果で、合計4枚のカードをドロー。

 

「でも、せっかちさん――魔法カード《復活の福音》を発動。これで墓地のレベル8ドラゴン族、《ラビードラゴン》が復活するわ」

 

 だが、空っぽになった雪乃のフィールドにウサギ頭にモコモコ毛並みに覆われつつも、山のような圧倒的巨躯を躍らせる四足のドラゴンが降り立ち、翼を広げて咆哮をとどろかせた。

 

《ラビードラゴン》 攻撃表示

星8 光属性 ドラゴン族

攻2950 守2900

 

「さらにこの子も――《クリバンデット》を召喚」

 

 そして、そんな《ラビードラゴン》の足元から、バンダナに眼帯を付けたまん丸な毛玉の悪魔が、ナイフ片手に小さな身体をチョコンと顔を出す。

 

《クリバンデット》 攻撃表示

星3 闇属性 悪魔族

攻1000 守700

 

「さぁ、イケナイ子にはお仕置きよ――バトル! 2体の攻撃を受けなさい!」

 

 かくして並び立った《ラビードラゴン》のブリザードのようなブレスと、《クリバンデット》の投げナイフをまともに受けた十代のライフは大きく削れ、十代もまたソリッドビジョンの迫力を前によろめくが――

 

十代LP:4000 → 50

 

「うぉっ!? くぅー、効いたー! ギリギリだぜ-!」

 

『まぁ、あの女のデッキを見るに、あんまり下級アタッカーはいないみたいなのが幸いしたかな』

 

「ふふっ、元気なボウヤね」

 

 未だに闘志の陰りを見せぬ十代の姿をクスクス笑いながら、雪乃はカードを3枚セットしてターンを終え、《クリバンデット》の効果でデッキの上の5枚の中から儀式魔法《高等儀式術》を手札に加えてターンを終えた。

 

 

十代LP:50 手札4

モンスター

なし

魔法・罠

なし

VS

雪乃LP:1000 手札1

モンスター

《ラビードラゴン》

魔法・罠

伏せ×3

 

 

 そうして十代のターンになったが、ライフは驚きの50――かすり傷でも通せば、その瞬間にゲームエンドとなるが、そんなことを恐れることなくカードを引く十代。

 

「俺のターン、ドロー! 墓地のネクロダークマンの効果! 1度だけ手札のレベル5以上のHEROを生贄なしで召喚できる! 俺が呼ぶのはコイツだ! エッジマン!!」

 

 そして繰り出されるは、黄金のアーマーで全身を包んだ光輝くヒーロー。

 

 そのアーマーの背中部分から機械翼を広げ、両腕からブレードを伸ばして闘志に満ちた意思を見せるが――

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》 攻撃表示

星7 地属性 戦士族

攻2600 守1800

 

「あら立派な子(高レベルモンスター)――だけど残念。攻撃力が少し物足りないわ」

 

「へへっ、攻撃力だけがデュエルの全てじゃないぜ!」

 

 雪乃の言う通り、《ラビードラゴン》を倒すには少々力不足だ。

 

 だが、それでも十代は強気な笑みを浮かべて、魔法カード《融合回収(フュージョン・リカバリー)》で墓地の《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ネクロダークマン》と魔法カード《融合》を回収し――

 

「魔法カード《融合》! 今度は手札のネクロダークマンとワイルドマンで融合召喚! ネクロイドシャーマン!!」

 

 新たな融合HERO――浅黒い筋肉質な上半身をしめ縄で決めたどこか歌舞伎役者を思わせる姿のヒーローが、赤く長い髪を躍らせるように大きく揺らした後、錫杖を肩で担いで〆のポーズを取った。

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ネクロイド・シャーマン》 攻撃表示

星6 闇属性 戦士族

攻1900 守1800

 

「ネクロイド・シャーマンの効果! 相手モンスターを破壊し、墓地のモンスターと入れ替える! ダーク・シャドウ・ストライク!!」

 

 やがて、《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ネクロイド・シャーマン》が歌舞伎の見得を切るような足踏みすれば、錫杖から隅の蛇たちが放たれ《ラビードラゴン》を覆っていく。

 

「オイタはダ・メ・よ――罠カード《スキル・プリズナー》発動。これで私の《ラビードラゴン》はボウヤのモンスター効果を受けないわ」

 

 だが、《ラビードラゴン》が咆哮と共にその巨躯を揺らせば、墨の蛇はあっけなく砕け散り、十代の目算を外す結果となった。

 

『……流石に青い制服なだけはあるか』

 

「なら、こうだ! 魔法カード《H(エイチ)-ヒートハート》! エッジマンの攻撃力をこのターン500アップ!!」

 

 しかし、十代が心配気なユベルを安心させるように次なる一手を打てば、熱き正義の心の力が宿った《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》の黄金の身体が熱を帯びるようなオーラに包まれ――

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》

攻2600 → 攻3100

 

「バトル! エッジマン! 《ラビードラゴン》をぶっ飛ばせ! パワー・エッジ・アタック!」

 

 背中の機械翼を広げた《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》は、二対のブレードが伸びる左右の腕を突き出し、《ラビードラゴン》へ突撃。

 

《ラビードラゴン》の口から放たれる氷のブレスを切り裂いて突き進み、《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》の両腕の一撃が頭部に直撃したと同時に、逃げ場を失った竜のブレスが爆散した。

 

「続いて、ネクロイド・シャーマンで――あれ?」

 

「焦っちゃだぁー・めっ――墓地の魔法カード《復活の福音》を身代わりにさせて貰ったわ」

 

 だが、その爆炎が晴れた先には無傷の《ラビードラゴン》が――その巨躯を覆っていた氷の膜がはがれていくも、雪乃を守るように立ちはだかる姿に《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ネクロイド・シャーマン》は構えた錫杖を下ろす他ない。

 

雪乃LP:1000 → 850

 

「うーん、攻めきれなかったかー」

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》

攻3100 → 攻2600

 

 そうして、相手の盤面を崩しきれなかった十代はカードを1枚セットしてターンを終えれば、《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》の内より《H(エイチ)-ヒートハート》の力が失われ、熱を帯びていた黄金の身体は常の状態へと戻っていった。

 

 

十代LP:50 手札0

モンスター

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) エッジマン》

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) ネクロイド・シャーマン》

魔法・罠

伏せ×1

VS

雪乃LP:850 手札1

モンスター

《ラビードラゴン》

魔法・罠

伏せ×2

 

 

 こうして互いが1度ずつバトルを終えた光景に、観客をしていたイエロー生3名の1人、小原は十代の劣勢に消沈した様子を見せる。

 

「流石にブルー相手じゃキツかったか」

 

「み、見てるこっちが緊張してきたよ……」

 

「だが、互いのライフは秒読みだ。次の一手をどちらが先に通すか……万丈目はどうみる?」

 

 やがて、小原の不安が伝播した大原が大柄な身体でオロオロする姿に、三沢が万丈目に話題を振るが――

 

「まだ何とも言えん」

 

――遊城 十代のデュエル……今のところはクロノス教諭が僅かでも本腰を入れる理由は見えない。アイツの何がクロノス教諭を駆り立てた?

 

 今の万丈目には、クロノスが十代から何を感じ取り、試験の範囲を逸脱したデュエルに踏み切ったのか測りかねていた。

 

 

 

 

 

 そんな観客たちの様子から、デュエルの様子に戻れば――

 

「このスリル、癖になりそう――私のターン、ドロー」

 

 ハンデありきとはいえ、己に食らいつく十代を前に雪乃は愉し気にカードをドロー。

 

 そして魔法カード《強欲で金満な壺》により2枚ドローした雪乃は、伏せていた速攻魔法《神秘の中華鍋》を発動し、フィールドに唯一残る《ラビードラゴン》を生贄に攻撃力分のライフを回復。

 

雪乃LP:850 → 3800

 

「儀式魔法《高等儀式術》を発動よ――今度はデッキの通常モンスターを贄に、手札から儀式召喚するわ」

 

 《ラビードラゴン》が消え、空になった雪乃のフィールドに魔法陣が広がれば、現れる影はただ一つ。

 

「デッキからレベル8――2体目の《ラビードラゴン》を墓地に送り、再び終焉をもたらしなさい! 《終焉の王デミス》!!」

 

 終わりを告げる漆黒の重鎧の悪魔《終焉の王デミス》が、その全身から瘴気を噴出しながら大地より這い出るように出現した。

 

《終焉の王デミス》 攻撃表示

星8 闇属性 悪魔族

攻2400 守2000

 

「此処で魔法カード《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)》――墓地の通常モンスター2体を除外して、ドラゴン族を融合召喚!」

 

『あの女の墓地には、2体の《ラビードラゴン》がいる……!』

 

「終焉の眷属たる始まりの竜! 《始祖竜ワイアーム》!」

 

 更に、そんな《終焉の王デミス》の傍で竜に似せた縁の鏡が砕け散れば、その鏡の乱反射の光の中より、蛇のような長い身体を持つ全身に棘の並ぶ巨大な紺の甲殻の竜が巨大な翼を広げながら舞い降りた。

 

《始祖竜ワイアーム》 攻撃表示

星9 闇属性 ドラゴン族

攻2700 守2000

 

「此処で《終焉の王デミス》の効果! ライフを2000払いフィールドのすべてに滅びを与えるわ! ワールド・エンド!」

 

「自分のモンスターごと!?」

 

 そして、此処にきて《終焉の王デミス》が再び斧を大地に叩きつけ、破滅の力を振るえば、フィールドの全てを飲み込む力の奔流が互いのフィールドを覆い――

 

雪乃LP:3800 → 1800

 

 

 残るは《終焉の王デミス》――だけでなく、従属たる竜《始祖竜ワイアーム》。

 

 

 更に先程まで影も形も見当たらなかった《ラビードラゴン》が雪乃の元に集っていた。

 

《ラビードラゴン》 攻撃表示

星8 光属性 ドラゴン族

攻2950 守2900

 

「うぉっ!? 《始祖竜ワイアーム》が無事なだけじゃなくて、《ラビードラゴン》まで!?」

 

「《始祖竜ワイアーム》はモンスターの効果を受けない硬い子――さらに永続罠《竜魂の城》が破壊されたことで、除外されたドラゴン族《ラビードラゴン》は特殊召喚されたのよ」

 

 そんな現実に驚く十代を、雪乃の視界に丁度、右手で包み込める形で右腕を突き出した雪乃の所作が示すように、まさに十代はまな板の上の鯉。

 

 頼みのセットカードも破壊された十代に打つ手はない。

 

「これでボウヤを守るヒーローたちはいないわ――終わりね」

 

「そいつはどうかな?」

 

『クリリ~!』

 

 だが、十代の近くで先の破壊の奔流のせいか目を回す《ハネクリボー》のソリッドビジョンが雪乃の視界に映れば――

 

「そのカードは確か試験の時の……!」

 

「そう! お前のデミスは、速攻魔法《クリボーを呼ぶ笛》で特殊召喚した《ハネクリボー》も破壊したのさ!」

 

『これで、このターン十代に戦闘ダメージはない。新入りの割によくやったじゃないか』

 

 クロノスとの試験の時と同様に、このターン十代を仕留めることは叶わない事実が雪乃に突き付けられる。

 

『クリィ……!』

 

『しかも、あの女の手札は0だ――だけど、十代。キミのライフも余裕はないよ』

 

 やがて、ユベルにピンと指で突かれるハネクリボーがくすぐったそうに身をよじらせる精霊同士のやり取りなど見えない雪乃は、己の手札が0である以上ターンを終えるしかなかった。

 

十代LP:50 手札0

VS

雪乃LP:1800 手札0

モンスター

《終焉の王デミス》

《始祖竜ワイアーム》

《ラビードラゴン》

 

 

 そうして千載一遇の機会を逃した雪乃へ、観客の万丈目は厳しい評価を零すが――

 

「デミスの効果を過信したな。あのまま攻撃していれば勝てていたものの」

 

「それは結果論じゃないか、万丈目? 十代のセットカードが《魔法の筒(マジック・シリンダー)》のような逆転のカードであった可能性もある以上、彼女の決断も間違いではなかった筈だ」

 

 擁護に回った三沢の言うように十代のセットカードが未知だった以上、万全を期す為に《終焉の王デミス》の効果で破壊するのは、間違った選択ではない。

 

「そんなものは、速攻魔法《神秘の中華鍋》を温存して躱せば良かっただけの話だ。《ラビードラゴン》で先行し、その後で展開した方がリスクは低い」

 

 しかし、それでも万丈目の評は辛口だった。相手の伏せカードを躱す術もあった以上、無理にそのターンで決める必要性は薄い。

 

「仮に伏せカードで凌がれたとしても、相手の手札は0だ。逆転の芽は限りなく低い――なら、デミスは温存しておくべきだった」

 

 なにせ、今の十代の手札は0――通常ドローして1枚に増えたところで、できるのは壁1枚を用意する程度だ。そこからドロー合戦になれば、盤面を維持できていた雪乃の独壇場となりうるのだから。

 

 

 だが、そんな中、小原は困った様子で呟いた。

 

「そうか、万丈目は知らないのか」

 

「何が言いたい、小原」

 

「う、うん、そうだよね、小原くんの言う通りだ。ど、土壇場の遊城くんは――」

 

 そう、大原が引き継いだように、入学してから十代と結構な回数をデュエルした面々は知っている。

 

「 「 「 強いぞ 」 」 」

 

 こういったギリギリの状況の十代のドローは奇跡を呼ぶのだと。

 

 

 

 

 かくしてデュエルに戻れば――

 

「フィニッシュし損ねたけど、ボウヤにはフィールドどころか手札すらないわ――残念だけど、期待外れね」

 

「へへっ、それはどうかな?」

 

「あら、逆転の秘策でもあるのかしら?」

 

 大型モンスター3体を従える雪乃を前に、フィールド・手札共にカード0で楽し気に笑う十代の様子を、空元気だと雪乃は呆れ気味に肩をすくめて見せる。

 

 

「いいや、今の俺には何もない! でも、このドローでそんな世界がガラリと変わるかもしれない――そう思うとワクワクしないか!?」

 

「ふふっ、本当に面白いボウヤね。だけど、達者なのがお口だけじゃあ意味はないのよ」

 

 しかし、逆境に立たされてもなおデュエルは楽しいのだと十代は語るが、雪乃の言うように、大きな口を叩いたところで負けてしまえば、ただの負け犬の遠吠え。

 

「なら、口だけじゃないってところを見せてやるぜ! ドロー!」

 

 だが、突き付けられた現実を前に十代のラストドローが輝けば――

 

「来た来た来たァ!! 手札が自身だけの時! こいつは特殊召喚できるぜ! 来いッ! バブルマン!!」

 

 十代の元に白いマントを揺らして降り立つのは、水の入ったタンクを2つ背負った深い青のヒーロースーツに水色のアーマーを身に付けたヒーロー。

 

 しかし、そのステータスはお世辞にも高いとは言えない。

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) バブルマン》 守備表示

星4 水属性 戦士族

攻800 守1200

 

「守備力1200?」

 

「バブルマンを特殊召喚した時! 俺のフィールドに自身以外のカードがなければ、俺は2枚ドローできる!!」

 

「だとしても、ボウヤお得意の融合HEROを都合よく呼び出せるかしら?」

 

 壁モンスターを呼んだだけと思いきや、2枚の手札を補充した十代。だが、あしらうような雪乃の発言が、変わらぬ現実を物語っている。

 

 なにせ、十代の主戦法「融合召喚」の手札消費の荒さを考えれば、2枚の手札は決して心強いものではない。

 

「2枚ドロー!! まだまだァ!! 魔法カード《HEROの遺産》! 墓地のHERO融合体を2体デッキに戻し、3枚ドローだ!!」

 

「此処に来て、連続ドローですって!?」

 

 だが、此処にきて一気に3枚のカードをドローした十代の姿は、流石の雪乃も無視できなかった。

 

「そして三度発動だ! 魔法カード《融合》! 手札のフェザーマンと、フィールドのバブルマンで融合召喚!!」

 

 そして4枚に増えた手札から繰り出される十代の勝利を釣り上げるヒーローは――

 

「――立ちはだかる大波を打ち据えろ! セイラーマン!!」

 

 フィールドの《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) バブルマン》の水の力と、手札の風のヒーローの力を併せ持つ、嵐、荒波なんでもござれな海の男の化身たるヒーロー。

 

 青いバイザーで黒の長髪を逆立て、水色の体表の両腕にそれぞれ巻いた鎖から伸びる二対のイカリをぶつけ合わせ、小気味いい音を響かせた。

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) セイラーマン》 攻撃表示

星5 水属性 戦士族

攻1400 守1000

 

「更に魔法カード《一騎加勢》発動! セイラーマンの攻撃力をこのターン1500アップだ!!」

 

 やがて己を鼓舞する雄叫びを《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) セイラーマン》が上げれば、その両腕の筋肉が力強さを増し――

 

E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) セイラーマン》

攻1400 → 攻2900

 

「でも、私の子たちを攻撃したところで、ライフを削り切るには少し足りないわ!!」

 

 雪乃に両腕のイカリを掲げる《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) セイラーマン》だが、その攻撃力では雪乃のどのモンスターを攻撃したところで、そのライフを削り切るには至らない。

 

「言ったろ? 攻撃力だけがデュエルじゃないって!!」

 

 だが、十代と《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) セイラーマン》が狙う獲物はモンスターではない――勝利だ。

 

「俺がカードをセットしている時、セイラーマンはダイレクトアタック出来る!」

 

「直接、私を!?」

 

「バトルだ! セイラーマン! アンカー・ナックル!!」

 

 そうして、最後の手札を十代が伏せた瞬間に、《E・(エレメンタル)HERO(・ヒーロー) セイラーマン》によって大地に打ち込まれた二つのイカリは海中を潜るように地中を進み――

 

「そんな――」

 

 《終焉の王デミス》や二体のドラゴンたちの背後の隙を縫って飛び出した二対のイカリが、雪乃を貫いた。

 

 

雪乃LP:1800 → 0

 

 

 

 かくして、アカデミアのエリートの証たるオベリスクブルー生とのデュエルをなんとか終えた十代。

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ! 次はハンデなしでやろうな!」

 

『ガッチャだ。お前も、そこそこやるじゃないか――まぁ、ボクの十代には遠く及ばないけどね』

 

――ふふっ、楽しい学園生活になりそうね。

 

 

 そんな彼らの縁は、少しずつ――だが、確実にその輪となって広がっていく。

 

 

 この先、一体どんな波乱が待ち受けているか、それは文字通り誰にも分からない。

 

「次は万丈目の番なー!」

 

 だが、今はワクワクに満ち溢れた十代の笑顔を見れば、その未来が明るいものだと言うことだけは断言できよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな十代たちのデュエルが終わる頃、パラディウス社だった場所にて――

 

「今のアカデミアは、公開試験をしているのか――随分とオープンになっているんだな」

 

――これなら、そこまで大それた立ち位置は必要ないか。人探しに専念できそうだ。

 

 今、抜け落ちた情報を補填した一つの黒い影(神崎)が動き出そうとしていた。

 

 

 

 






明日香「えっ?」

エトワール・サイバー「えっ?」


Q:???「明日香さんを差し置いて何やってんスか!!」

A:明日香が自発的に十代の元に向かう構図が不自然だったので、友人の縁が生じたアクティブな雪乃に白羽の矢が立ちました。

原作の明日香も、普通にデュエルを提案すればホイホイ了承する十代を相手に、
物凄い遠回りなことをして、デュエルの舞台を整えていましたし


Q:ブルー生徒がイエロー生徒にデュエルを挑むのって、申請・ハンデ・教師の立ち合いがいるの? 邪魔臭くね?

A:「デュエルでトラウマ」が普通にある世界なので、雑魚狩りする人を減らす為の処置です。

教師が立ち会うことで、罵詈雑言の類も抑制もされます。「デュエルは鬱憤を晴らす道具じゃねぇ!」――エエ言葉や(かっとビング感)

後、ハンデ戦により、勝ちでも負けでも「言い訳」が出来る為、心的ダメージを減らす目的もあったりします。
なにせ、親御さんから預かった大切なお子さんたちですからね(なお悪童には容赦しない校長)





~今作の雪乃のデッキ~
ポピュラーな所謂『デミス通常ドラゴン』

レベル8通常ドラゴンを素材に《終焉の王デミス》を呼び、ぶっぱ後の蘇生普段豊富な通常ドラゴン復活で「オラァ!!」するデッキ。ライフ4000環境は心地よいですなー!


《終焉の王デミス》の破壊効果もへっちゃらな《始祖竜ワイアーム》はズッ友だよ!!

《ラビードラゴン》は《復活の福音》でフィールドで踏ん張ったり、《竜魂の城》で異次元から駆けつけてくれる。マブダチだぜ!!

《デビルドーザー》とは違うのだよ、《デビルドーザー》とは!


進化系のデミス+ルイン一式? 知らんな。




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