今回のデュエル構成の際に手札の都合がつかなかったため
止む無くチューナーを使用しました
ですがただモンスター効果を使うだけなのでシンクロ召喚はありません
前回のあらすじ
男はいつだって少年の心を忘れないものさ……
観客席のヤロウどもは目を輝かせていました
そして
君たちに最新情報を公開しよう!
噂のABCの出番はもう少し後だ!
逆転をかけ遊戯が呼び出した《磁石の戦士マグネット・バルキリオン》だが、海馬の《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》に突破され、窮地に陥る遊戯。
だがそんな状況でも遊戯は不敵に笑う。
「なら行くぜ! 俺のターン! ドロー!」
しかし今は動けない。
「カードを2枚伏せてターンエンドだ!」
攻め気を見せない遊戯に海馬は失望と怒りをもって檄を飛ばし突き進む。
「どうした遊戯! お前の全力はこんなものか! 俺のターン、ドロー! 俺は《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の効果を使用し1ターンに1度、相手フィールド上のカード1枚をゲームから除外する! 何を伏せたかは知らんが消えてもらうぞ!」
《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の胸部装甲にあるキャノン砲からセットカードに向けてエネルギー弾が発射される。
「そいつはさせないぜ! その効果にチェーンして対象のカードを発動! 罠カード《ダメージ・ダイエット》! それにより俺がこのターン受ける全てのダメージは半分になる!」
絶体絶命の中でも食い下がる遊戯に海馬はデュエリストとしての魂が高ぶるのを感じとる。
「ダメージが減らされるのならば増やすだけのことだ! 俺は墓地に存在する罠カード《スクランブル・ユニオン》を除外し、除外されている自分の機械族・光属性の通常モンスターまたはユニオンモンスター1体を手札に加える。俺は《X-ヘッド・キャノン》を手札に! そして召喚!」
三度現れる合体ロボの主軸モンスターが《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の隣に浮かぶ。
その目は「いつかあんな風に」と《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》を見上げていた。
《X-ヘッド・キャノン》
星4 光属性 機械族
攻1800 守1500
「バトル! まずは《X-ヘッド・キャノン》で遊戯にダイレクトアタックだ!」
《X-ヘッド・キャノン》の両肩のキャノン砲からエネルギー弾が放たれ遊戯を襲う。
迫る攻撃を前に遊戯は目を見開き宣言した。
「この瞬間! 墓地の《クリアクリボー》を除外し効果発動! 相手モンスターの直接攻撃宣言時、自分はデッキから1枚ドロー! そしてそのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚し攻撃対象をそのモンスターに移し替える!」
「ふぅん、精々強力なモンスターを引くことだ……」
引いたカードを海馬が見えるように示し宣言する。
「俺が引いたのは《超戦士の魂》! モンスターカードだ! 攻撃はコイツが代わりに受けるぜ!」
紫色のクリボー《クリアクリボー》が現れ「パカッ」と開くとそこから最強の戦士の鎧を守護する魂が攻撃を遮らんと守備表示で姿を見せる。
《超戦士の魂》
星1 地属性 戦士族
攻0 守0
「だが守備力は0、そのまま蹴散らせ! 《X-ヘッド・キャノン》!」
向きを変えたエネルギー弾が《超戦士の魂》を狙うも――
「まだだぜ海馬! 自分のモンスターが戦闘で破壊される場合、代わりに墓地の《サクリボー》を除外するぜ!」
《超戦士の魂》とエネルギー弾との間に鋭利な手足の爪を持ったクリボー《サクリボー》が割って入る。
そしてその背中の大きな一つ目で代わりに攻撃を受け、「クリィイイ」と断末魔を上げ地面に落ち、ピクピクと体を震わせる――しばらくすると動かなくなった。
「それで防いだつもりか! 《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》で攻撃! この瞬間! 効果発動! このカードが攻撃する時、攻撃対象となるモンスターの表示形式を変更できる! 《超戦士の魂》を攻撃表示に変更!」
「なんだと!」
《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》が腕を一振りすると《超戦士の魂》はたたらを踏み防御姿勢を崩し、攻撃表示を取らされる。
「やれぃっ! 《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》! VWXYZ-アルティメット・デストラクション!!」
《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》の全エネルギーがその手元に集められ、そして今放たれる。
《超戦士の魂》の攻撃力は0、ダイレクトアタックと何ら変わりのない攻撃が襲いかかり遊戯のライフを大きく削り取る。
「ぐあぁっ! だが《ダメージ・ダイエット》によりダメージは半分だ……」
遊戯LP:2700 → 1200
「もはや風前の灯だな……俺はカードを1枚セットし魔法カード《命削りの宝札》を発動!手札が3枚になるようにドロー!」
現れた断頭台に3枚のカードがセットされる。
「今引いた魔法カード《トレード・イン》を発動し手札のレベル8《青眼の白龍》を墓地に送り2枚ドロー。俺はカードをさらに3枚セットしターンエンドだ」
そして《命削りの宝札》の断頭台が落ちる。だが――
「そして《命削りの宝札》の効果により発動ターンのエンドフェイズに、自分の手札を全て墓地へ送るが俺の手札は0――捨てるカードはない。さぁ遊戯! 貴様のターンだ!」
遊戯のライフは半分を切り、海馬のフィールドには強力なモンスターの存在、遊戯の形勢は不利だった――だが逆転の可能性を呼び込む布石は既にある。
「待ちな海馬! そのエンドフェイズに罠カード《裁きの天秤》を発動! その効果で相手フィールドのカードの数が俺の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合に、俺はその差の数だけデッキからドローする!」
神々しいオーラを纏った髭の老人が天秤を手に現れ、天秤に光が灯る。
片方の天秤には遊戯の手札と《裁きの天秤》の3つの光が灯り、
もう片方の天秤には海馬のモンスター2体とフィールド魔法《ユニオン格納庫》、そしてセットされたカード4枚を合計した7つの光が灯る。
「互いのカードの枚数の差は4枚! よって俺は4枚のカードをドロー!」
遊戯の宣言と共に傾きを見せた天秤はそのドローの終わりと共に煙のように消えていった。
「ふぅん、その顔を見る限り良いカードが引き込めたようだな……」
その海馬の言葉のとおり、遊戯は手札に逆転のカードを呼び込んでいた。
「ここからだぜ! 海馬! 俺のターン、ドロー! 相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、コイツは手札から特殊召喚できるぜ! 現れろ! 紅き槍持つ竜騎士! 《暗黒騎士ガイアロード》!!」
空から2本の真紅の突撃槍が地上に突き刺さり、その内の1本に黒い鎧を纏った騎士が着地し、二双の突撃槍を地面から引き抜き構える。
《暗黒騎士ガイアロード》
星7 地属性 戦士族
攻2300 守2100
「だがその程度では
「なら俺はライフを1000払い魔法カード《黒魔術のヴェール》を発動! 墓地から帰還せよ! 魔道の探究者! 《ブラック・マジシャン》!!」
遊戯LP:1200 → 200
遊戯の
やがてそこから遊戯が最も信頼するモンスター――《ブラック・マジシャン》がその黒衣を翻し敵に杖を向けた。
《ブラック・マジシャン》
星7 闇属性 魔法使い族
攻2500 守2100
「やっと現れたか……《クリバンデット》の効果の際に墓地に送っていたようだな! だがそれでどうする気だ?」
「慌てるなよ、海馬。俺は自分フィールドの《ブラック・マジシャン》をリリースして手札から魔法カード《騎士の称号》を発動するぜ!」
《ブラック・マジシャン》の背後に青い盾と交差する武器が浮かび上がり、《ブラック・マジシャン》はそれに向かってバックステップしその盾の中に溶け込むように姿を隠した。
「そして俺の手札・デッキ・墓地から《ブラック・マジシャンズ・ナイト》1体を特殊召喚する! 騎士の称号と共に、戦士の力をその身に宿し現れろ! 《ブラック・マジシャンズ・ナイト》!!」
青い盾がクルクルと回転し、黒い影となる。
そして黒いマントを翻しながら《ブラック・マジシャン》の黒衣の面影を残した鎧を纏った騎士が現れ剣を構える。
《ブラック・マジシャンズ・ナイト》
星7 闇属性 戦士族
攻2500 守2100
「それが《ブラック・マジシャン》の新たな姿か!」
常に先に進む遊戯に海馬は満足げだ。
「ああ! そして《ブラック・マジシャンズ・ナイト》が特殊召喚に成功した時、フィールドのカード1枚を破壊する! 《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》には退場してもらうぜ!」
突進と共に放たれた《ブラック・マジシャンズ・ナイト》の剣の刺突は《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》のコアを寸分違わず貫き、その機能を停止させる。
後に残ったのは一見して傷一つない《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》がゆっくりと倒れ伏すさまと、それを背に遊戯の元へ歩みを進める《ブラック・マジシャンズ・ナイト》の姿だった。
「ふぅん、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン》を倒したか……」
大型モンスターが破壊されたにもかかわらず海馬に動揺はない。
「そして俺は《ルイーズ》を召喚!」
青い鎧を纏ったネズミの戦士が盾を構え、剣を天に掲げ己を鼓舞する。
《ルイーズ》
星4 地属性 獣戦士族
攻1200 守1500
「そしてバトルだ! 行けっ! 《ブラック・マジシャンズ・ナイト》! 《X-ヘッド・キャノン》を攻撃! ダーク・オブ・スラッシュ!!」
腰だめに剣を構えた《ブラック・マジシャンズ・ナイト》が《X-ヘッド・キャノン》の砲撃を紙一重で躱しながら近づき、神速の居合により剣が振り抜かれる。
「そうはさせん! リバースカードオープン! 永続罠《蘇りし魂》! その効果により墓地の通常モンスターを守備表示で特殊召喚する! 現れろ! 我が魂! 《青眼の白龍》!」
大地が割れあの世とのゲートが開き、そこから《青眼の白龍》が飛翔し、その翼を広げ立ち塞がる。
《青眼の白龍》
星8 光属性 ドラゴン族
攻3000 守2500
「だが相手フィールドに《暗黒騎士ガイアロード》より攻撃力が高いモンスターが特殊召喚されたことで《暗黒騎士ガイアロード》の攻撃力をターン終了時まで700ポイントアップ!」
《暗黒騎士ガイアロード》は突撃槍の1本を天へと掲げ己が愛馬ならぬ愛龍を呼び、その背に跨った。
《暗黒騎士ガイアロード》
攻2300 → 攻3000
「これで《青眼の白龍》の守備力を上回ったぜ! そして《ブラック・マジシャンズ・ナイト》で《X-ヘッド・キャノン》へ攻撃を続行!」
戦闘の巻き戻しにより遊戯は再度攻撃を宣言し、突如現れた《青眼の白龍》により止まっていた攻撃が再び再開されるが
「甘いぞ遊戯! さらに俺は罠カード《バーストブレス》を発動!」
《青眼の白龍》の口元に光が集まる。
「その効果により俺はドラゴン族である《青眼の白龍》をリリースし、その攻撃力以下の守備力を持つフィールドのモンスターを全て破壊する!」
「全てだと!」
その効果範囲の広さに驚く遊戯。
そして海馬を二度見する《X-ヘッド・キャノン》。
「そうだ! だが俺の《X-ヘッド・キャノン》も破壊されるが……遊戯! 貴様に破壊される位ならば俺の手で引導を渡してやる! 消え去るがいい!」
《青眼の白龍》の全てを賭けたブレスが遊戯のフィールドを焼き払う。
項垂れるマシン、剣を振る魔法剣士、竜に指示を出す暗黒騎士、盾を構える獣戦士の儚い抵抗を《青眼の白龍》のブレスは薙ぎ払う。
そしてすべての力を出し尽くした《青眼の白龍》は光の粒子となって消えていった。
「くっ! なら俺はカードを2枚セットしターンエンドだ!」
呼び出した3体のモンスターで形成を逆転していた遊戯だが、そのアドバンテージは1度の攻防で無に帰した。
その事実に海馬の実力が前回のデュエルの時よりも格段に上がっていることを知り、遊戯は思わず笑みを浮かべる――なぜならそれは海馬が「カードの心」を理解した証。
ゆえに遊戯は嬉しく思う。
だがそんな遊戯の思いを知ってか知らずか海馬の闘志は高められるばかりである。
「俺のターン、ドロー! 俺は魔法カード《復活の福音》を発動! 俺の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を蘇生させる!」
フィールドに白き龍の石像がそびえ立つ。
「俺が呼び戻すのは当然! 《青眼の白龍》! さぁ! 舞い戻り勝利をもたらせ!」
白き龍の石像が光と共に砕け散り、《青眼の白龍》が悠然と翼を広げた。
《青眼の白龍》
星8 光属性 ドラゴン族
攻3000 守2500
「バトル! ブルーアイズでダイレクトアタック! 滅びのバーストストリイイイム!!」
白き滅びのブレスが《青眼の白龍》の口元に収束し遊戯に向かって放たれる。だが――
「そうはさせないぜ! その攻撃時にリバースカードオープン! 罠カード《聖なるバリア -ミラーフォース-》!」
《青眼の白龍》のブレスは鏡のような障壁に遮られ、鏡返しのように《青眼の白龍》の元へと弾き返された。
「これで海馬! お前の攻撃表示のブルーアイズは破壊されるぜ!」
そして自身のブレスを受けた《青眼の白龍》の身体はひび割れ、そのひびが全身に広がってゆき砕けた。
だがそこにあるのは変わらぬ《青眼の白龍》の姿。
「なんだとっ!」
驚愕を露わにする遊戯に海馬は得意げに語る。
「俺は墓地の《復活の福音》のさらなる効果を発動させてもらった……俺のドラゴン族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外する効果をな!」
《青眼の白龍》を守った白き龍の石像は破片となって崩れ落ちていた。
「くっ! 破壊できたのは石像の方だったのか!」
「その通りだ! よって俺のブルーアイズは無傷! 攻撃を続行だ!」
悠然と空を飛ぶ《青眼の白龍》は再びブレスの一撃を遊戯に向けて放ち焼き払う。
この攻撃が通れば遊戯のライフは0となるが――
「なら俺は罠カード《ガード・ブロック》を発動し戦闘ダメージを0にしカードを1枚ドローする!」
遊戯のデッキから放たれた裏側のカードが《青眼の白龍》のブレスを受けきり、そのブレスの勢いのまま遊戯の手札となった。
「辛うじて防いだようだな……だが、いつまでも防げると思わんことだ――ターンエンド」
ジワジワとアドバンテージを奪われ追い詰められていく遊戯。
「俺のターン! ドロー! クッ……俺はメインフェイズ1の開始時に魔法カード《貪欲で無欲な壺》を発動するぜ……」
遊戯のフィールドに2つの顔が張り付いた壺が現れる。
その2つの顔は一方が欲に塗れた顔が張り付き、もう一方は悟りを開いたような顔が張り付いていた。
「その効果により俺の墓地の異なる種族のモンスター3体をデッキに戻してシャッフルし、デッキからカードを2枚ドローする」
壺の欲に塗れた顔が大きく口を開ける。
「俺は獣戦士族の《ルイーズ》、戦士族の《暗黒騎士ガイアロード》、悪魔族の《冥府の使者ゴーズ》をデッキに戻し2枚ドロー!」
壺の欲に塗れた顔は3枚のカードを平らげ遊戯に新たなカード2枚を壺の頭から射出した。
「ふぅん、手札を増やしたか……それでどう攻めるつもりだ?」
遊戯の次の手を待つ海馬を余所に壺が回転し、悟りを開いたような顔が遊戯の方を向いた。
そしてそこから光を放ち遊戯に照射する――戒めの光を。
「いや、このカードを発動したターン、俺はバトルフェイズを行えない」
「どうやら俺のブルーアイズを前に守りを固めるので精一杯のようだな!」
海馬の挑発の言葉にも遊戯は言い返すことはできない。
――今は耐えるしかない……
「俺は魔法カード《黙する死者》を発動し墓地の通常モンスターを守備表示で特殊召喚するぜ! 剣を置き舞い戻れ! 《ブラック・マジシャン》!!」
墓地から飛び出した巨大な握りこぶしから《ブラック・マジシャン》が現れ、先程の剣を仕舞い杖に持ち替え遊戯を守るべく防御の姿勢をとる。
《ブラック・マジシャン》
星7 闇属性 魔法使い族
攻2500 守2100
「俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ……」
守勢に回った遊戯と《ブラック・マジシャン》の姿に近づく勝利を感じ取り海馬の闘争本能は最大にまで高められ、その衝動のままにカードを引く。
「俺のタァーーン! ドロォーーッ! 俺は魔法カード《マジック・プランター》を発動! 俺のフィールドに残った永続罠《蘇りし魂》を墓地に送り2枚ドロー!」
フィールドに残っていた《蘇りし魂》が地面にズブズブと沈んでいき、そして一つの芽がでた――その芽は2枚のカードでできている。
「さらにセットしておいた魔法カード《手札抹殺》を発動! 互いに手札を全て捨て、捨てた枚数だけドローする! だが遊戯! 貴様の手札は0! よってこの効果は俺にのみ適用される! 2枚捨て2枚ドロー!」
そして捨てられた海馬の手札が光を放つ。
「この瞬間! 墓地に送られた《
墓地に送られた2つの白い石が砕けそこから半透明の《青眼の白龍》がそれぞれ1体ずつ現れ海馬の手札に飛び立つ。
海馬のフィールドと手札の《青眼の白龍》は合計で3体――来るぞ! 遊戯!
「3体のブルーアイズが……」
「行くぞっ! 遊戯! 最後のセットカード《融合》を発動し3体のブルーアイズで融合召喚! 美しき白き龍よ! その魂交わらせ更なる力をここに示せ! 《
3体の《青眼の白龍》が混じり合い、3つ首の新たな姿を見せ、
《青眼の究極竜》
星12 光属性 ドラゴン族
攻4500 守3800
「ゆくがいい! 《青眼の究極竜》! 《ブラック・マジシャン》を粉砕しろ! アルティメット・バァーストッ!!」
その巨体から放たれる3つの滅びのブレスが一つの長大なものとなり《ブラック・マジシャン》に迫る。
だが3枚のセットカードの存在から、この攻撃がすんなりと通ると海馬は思わない。
「そうはさせないぜ! その攻撃宣言時、罠カード《
フィールドに現れた『?』のマークが円を描くように並んでいる2つの赤い大筒。
《ブラック・マジシャン》が指示した大筒の一つを《青眼の究極竜》のブレスが通り、もう一方の大筒からブレスが放たれる――筈だった。
「そうはさせん! 俺はそのカードにチェーンして手札から速攻魔法《融合解除》発動! 効果は貴様も知ってのとおりだ! 《青眼の究極竜》の融合を解除し墓地の融合素材モンスターである3体の《青眼の白龍》を特殊召喚する! 元の姿に戻るがいい、我が魂のカード達よ!」
《青眼の究極竜》の姿が歪み、その3つの首がそれぞれ別方向に飛び立ち3体の《青眼の白龍》となり空を舞う。
《青眼の白龍》×3
星8 光属性 ドラゴン族
攻3000 守2500
「これで貴様の《魔法の筒》は対象を失い効果は不発に終わる……」
海馬に杖を向け《魔法の筒》の狙いをつけていた《ブラック・マジシャン》。
その背後に佇む2つの大筒は煙のように消え、《ブラック・マジシャン》は悔しげに膝をついた。
遊戯の放った逆転の一手を躱した海馬は追撃を放つ。
「さぁ3体のブルーアイズの攻撃を喰らうがいい! まずは守備表示の《ブラック・マジシャン》を攻撃! 滅びのバーストストリイイイム!!」
《青眼の白龍》のブレスの一撃を《ブラック・マジシャン》は魔法障壁を張り防ごうとするも、その障壁は容易く砕け散り滅びのブレスにその身は焼かれた。
「これで貴様に壁となるモンスターはいない! 2体目のブルーアイズのダイレクトアタックで終わりだ! 連撃のバーストストリイイイム!!」
2体目の《青眼の白龍》の一撃が遊戯に直接襲い掛かる。
遊戯のライフは僅かに200、この攻撃が通ればライフは0となる。
そして攻撃が遊戯を直撃し、その間に遊戯が何らかのカードを発動させなかったのも相まって海馬は勝利を確信した。
「俺の勝ちだ……」
ブレスによる土煙が晴れた先には――
「そいつはどうかな!」
遊戯LP:200 → 1200
「なんだとっ!」
なぜか遊戯のライフが回復していた。それは――
「俺はこのカードを発動していたのさ! 罠カード《体力増強剤スーパーZ》をな!」
遊戯の場に『Z』と『4000』の文字が書かれたビンが現れており、悪魔を模したコルクが開いている。
「このカードにより自分が2000以上の戦闘ダメージを受ける場合、そのダメージ計算時に自分のライフポイントを4000回復するのさ!」
海馬は発動されたカードの効果を知り遊戯がブルーアイズの攻撃を受け切ったカラクリを知る。
「ブルーアイズの攻撃力は3000……そのダメージを受ける前にライフを回復させたというわけか!」
つまり、遊戯のライフポイントは《体力増強剤スーパーZ》の回復を挟み、
遊戯LP:200 → 4200 → 1200 と変動したのである。
「ならば3体目のブルーアイズで攻撃するまでだ!」
攻撃姿勢を見せる3体目の《青眼の白龍》。
「そうはいかないぜ! もう1枚のリバースカードオープン! 罠カード《痛恨の訴え》を発動! 相手モンスターの直接攻撃によって戦闘ダメージを受けた時に相手フィールド上に表側表示で存在する守備力が一番高いモンスター1体のコントロールを次の自分のエンドフェイズ時まで得るぜ!」
だが海馬のフィールドにいるのは同名モンスター3体、当然守備力もすべて同じ。
海馬の苛立ちは高まるばかりだ。
「俺のフィールドにはブルーアイズが3体のみ……クッ!」
「俺はまだ攻撃宣言していない《青眼の白龍》のコントロールを得るぜ! だが安心しな海馬、この効果を受けたモンスターの効果は無効化され、攻撃宣言できない」
そんなことは今の海馬にとってなんの慰めにもならなかった。
「おのれ……よくも俺のブルーアイズを……だが貴様の手札は0、次のターンブルーアイズが戻ってきた時には目にもの見せてくれる! カードを1枚セットしターンエンドだ!」
自身の魂のカードを奪われ怒りに燃える海馬。
だが海馬の言うとおり遊戯の手札は0、前回のデュエルのように『エクゾディア』を揃えることもできない。このドローに全てがかかっていた。
だが遊戯に恐れはない。布石は十分に散りばめられているのだから。
「俺のラストターン……ドロー!」
そしてデッキも遊戯に応えた。
「まずは手札から魔法カード《貪欲な壺》を発動! 墓地の《電磁石の戦士β》、《クリバンデット》、《磁石の戦士α》、《磁石の戦士β》、《磁石の戦士γ》の5体をデッキに戻してシャッフル! そして2枚ドロー!」
欲に塗れた人の顔そのままの壺が5枚のカードをその口に平らげる。
しばらくすると壺の顔が苦しみだし木端微塵に砕け中から2枚のカードが遊戯の手元に引き寄せられた。
「そして墓地の罠カード《妖怪のいたずら》を除外しフィールド上の表側表示のモンスター1体のレベルをエンドフェイズ時まで1つ下げるぜ!」
「《クリバンデット》のときのカードか……だが俺のブルーアイズのレベルを下げてどうするつもりだ?」
遊戯が無意味なプレイングをするわけがないと海馬はその真意を計る。
「何勘違いしているんだ? 俺が選ぶのは俺のフィールドにいるブルーアイズだ!」
「なんだとっ!」
突如として墓地から着物を着た人に化けた妖怪が現れる。
突然の事態に《青眼の白龍》は驚きのあまり目を回す。
そして目を回している《青眼の白龍》にしめしめと近づいた着物姿の妖怪は《青眼の白龍》の頭の上でピヨピヨ回る星を一つその袖にしまい煙のようにその姿をくらませた。
《青眼の白龍》
星8 → 星7
「さらに墓地の《超戦士の魂》を除外しデッキから《開闢の騎士》を手札に加える!」
墓地の《超戦士の魂》が脈動し、デッキから黒い鎧の少年騎士を遊戯の手札に導く。
「最後に俺は魔法カード《儀式の下準備》を発動! デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにそのカードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選び、それら2枚のカードを手札に加える!」
黄色い2枚の仮面を左右の顔半分に付けた黒い鳥《儀式の供物》が2枚のカードを咥え遊戯の肩に留まった。
「俺が選ぶのは《カオスの儀式》とそこに記された《カオス・ソルジャー》!」
遊戯が奪った《青眼の白龍》は攻撃できない、そして儀式召喚にはリリースが必要である。
その2つの事実から海馬は己の魂のカードの行く末を悟る。
「まさか俺のブルーアイズを!」
「その『まさか』さ! これで準備は整ったぜ! 俺は儀式魔法《カオスの儀式》を発動! レベルの合計が8以上になるようカードをリリースし儀式召喚を行うぜ!」
フィールドに炎が燃え立つ2つの壺が現れ、その間に盾と2つの剣が交差された祭壇が立つ。
「手札のレベル4の《開闢の騎士》とフィールドのレベル7となった《青眼の白龍》をリリースし儀式召喚! ひとつの魂は光を誘い、ひとつの魂は闇を導く! そして
白き龍と黒き騎士、それぞれが光と闇となり一体化し『
その超戦士の力を得て現れるは――藍色の鎧に身を包んだ最強の剣士。
《カオス・ソルジャー》
星8 地属性 戦士族
攻3000 守2500
「ブルーアイズと同じ能力だとっ!」
「それだけじゃないぜ! 《開闢の騎士》を素材に儀式召喚した《カオス・ソルジャー》の効果発動! 1ターンに1度、相手モンスター1体を除外する!」
その効果を聞き海馬は遊戯が《青眼の白龍》のレベルを下げた理由にたどり着く。
「ブルーアイズのレベルを下げたのはこのためか!」
儀式召喚の際には対応する儀式モンスターのレベル分モンスターをリリースしなければならないが、リリースが足りている状態で余分にリリースするモンスターを増やすことはできない。
今回の《開闢の騎士》をリリースしたい状況だが、そのままの《青眼の白龍》のレベルは8、よって《カオス・ソルジャー》の儀式召喚にリリースが足りてしまうため使用できない。
ゆえに《青眼の白龍》のレベルを下げたのである。
「そういうことさ! やれっ! 《カオス・ソルジャー》! 次元斬!!」
《カオス・ソルジャー》は剣を振るい斬撃を飛ばす。
その斬撃を《青眼の白龍》は急旋回しかわすも外れた斬撃は次元を切り裂き、《青眼の白龍》は切り裂かれた次元の彼方へと吸い込まれた。
2体の《青眼の白龍》を失い残り1体となった《青眼の白龍》。
「だが攻撃力は互角! そのままでは俺のブルーアイズと相打つのが限界だ!」
「だったら確かめてやるぜ! 行くぜ! バトルだ! 《カオス・ソルジャー》で《青眼の白龍》を攻撃! カオス・ブレードッ!!」
「ならば迎え撃て! ブルーアイズ! 滅びのバーストストリイイイム!!」
《青眼の白龍》のブレスと《カオス・ソルジャー》の剣が衝突し、周囲に衝撃波となって吹きすさぶ。
だが《カオス・ソルジャー》の剣に光が溢れる。
「俺はこの瞬間! 手札の《混沌の使者》の効果を発動! バトルフェイズにこのカードを手札から捨て、俺のフィールドの『カオス・ソルジャー』モンスターまたは『暗黒騎士ガイア』モンスターの攻撃力はターン終了時まで1500アップする!」
その光は《カオス・ソルジャー》の背後に佇む《カオス・ソルジャー》の鎧と似て非なる鎧を纏った少年剣士――《混沌の使者》が己の
《カオス・ソルジャー》
攻3000 → 攻4500
2人の剣士の
だが突如として《青眼の白龍》の身体から炎が噴出された。
「甘いぞ遊戯! 俺のブルーアイズのパワーを超えるために貴様がパワーを上げることなどお見通しだ! ゆえにこのカードを発動していた! 罠カード《燃える闘志》!」
《青眼の白龍》から噴出された炎はその白き龍の身体に散りばめられる。
「そして発動後、ブルーアイズに装備! そして遊戯! お前のフィールドに元々の攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスターがいる時! 《燃える闘志》の効果で俺のブルーアイズの攻撃力はダメージステップの間、元々の攻撃力の倍になる!」
その海馬の闘志に呼応した《燃える闘志》はその炎で《青眼の白龍》を不死鳥の如く彩った。
《青眼の白龍》
攻3000 → 攻6000
「これで貴様に残された手はない! やれブルーアイズ! 獄炎のバーストストリイイイム!!」
そして滅びのブレスが真っ赤に燃え滾り《カオス・ソルジャー》を襲い、その剣を押し返し後退させる――その剣は長くは持ちそうにない。
だが《カオス・ソルジャー》のアイコンタクトにより《混沌の使者》が宙を舞い《青眼の白龍》に剣を突き立てた。
「その程度の攻撃で俺のブルーアイズは止まらん!」
しかし《青眼の白龍》に突き立てられた《混沌の使者》の剣が赤く光り《青眼の白龍》を包む炎を鎮め霧散させた。
《青眼の白龍》
攻6000 → 攻3000
「なんだとっ! 一体なにが……まさかっ!」
《青眼の白龍》の倍化した攻撃力が戻ったことに疑問を持った海馬だがすぐさま一つの可能性に行きつく。
「そのまさかさ! 俺が発動した《混沌の使者》のさらなる効果! この効果を受けたモンスターと戦闘する相手モンスターの攻撃力をダメージ計算時のみ元々の攻撃力に戻す!」
「クッ! 俺の《燃える闘志》の効果を打ち消したのか!」
「そのとおりだぜ、海馬! さあ、突き進め! 《カオス・ソルジャー》! アルティメット・カオス・ブレードッ!!」
《青眼の白龍》のブレスが通常のモノに戻ったことで《カオス・ソルジャー》はそのブレスを切り裂き、返す剣で《青眼の白龍》を一刀両断した。
《青眼の白龍》は切られたことに気付かずその身を2つに分ける。
海馬LP:3300 → 1800
「グッ! だがまだだっ! まだ俺のライフは――」
ライフが残っている限り、デュエルは続けられる。
海馬は次のターンのドローで逆転の一手を打とうと考えるが――
「いやこれで終わりだ! 《開闢の騎士》を素材に儀式召喚した《カオスソルジャー》のもう一つの効果発動! 戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、もう1度だけ続けて攻撃できる! 止めだ! 《カオス・ソルジャー》! 海馬にダイレクトアタック!!」
《カオス・ソルジャー》は深く腰を落とし剣の切っ先を相手に向け、その剣の上に右手を軽く添えた構えを取り、海馬との間合いを一瞬で詰めてその心臓を貫き海馬の残りのライフを打ち抜いた。
海馬LP:1800 → 0
「俺の、負け……だと……!?」
呆然と信じられない風に呟く海馬に無情にもMr.クロケッツの宣言が告げられた。
「そこまで! 準決勝第2試合、勝者武藤遊戯!」
じいちゃんブルーアイズ「遊戯はやらせんぞい!」
元爺ちゃんのブルーアイズは孫に甘い。
「分かり難いかも」との声を頂いたので
デュエルをあまり知らない人に向けての「儀式召喚」講座
~今回のデュエルで《青眼の白龍》のレベルを下げたわけ~
《カオスの儀式》の条件はレベル8以上なんだから
レベル8の《青眼の白龍》とレベル4の《開闢の騎士》で8+4=12で8以上!
これで《カオスの儀式》の条件が満たせる! となりそうですが
遊戯王OCGのルールでは
・儀式召喚する際、リリース1体でレベルを満たせる場合は、
他に「余分なリリースはできない」と、なっています。
今回のデュエルを例にとると
・《カオスの儀式》の儀式召喚にレベル8以上が必要
→レベル8の《青眼の白龍》だけでリリースが「足りる」
・そしてこれ以上は「余分なリリース」となるため
レベル4の《開闢の騎士》を追加でリリースする事はできない。
ですが今回の遊戯は《開闢の騎士》をリリースして儀式召喚を行いたかったために
《妖怪のいたずら》の効果で《青眼の白龍》レベルを8から7に下げることで
・《カオスの儀式》の儀式召喚にレベル8以上が必要
→レベル7となった《青眼の白龍》だけではリリースが「足りない」
・ゆえに「余分なリリース」ではなくなったために
レベル4の《開闢の騎士》を追加でリリースすることが可能になる
となります
分かりやすく説明できたでしょうか?
しかし今の作者にはこれが限界です……