マインドクラッシュは勘弁な!   作:あぱしー

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前回のあらすじ
スピリッツ・オブ・ファラオ「どうして魔術使うの止めて普通に殴って来る方が強いんですか? どうして……」





第286話 ファラオの遺産

 

 

 

「先攻は余だ! ドロー! 魔法カード《強欲で金満な壺》を発動! エクストラデッキ6枚を裏側で除外し2枚ドロー!」

 

 かくして神崎の後攻で始まったアビドス三世の戦意を折る為のデュエル。

 

 

 だが、当の神崎は手札に揃ったクリボー5兄弟の姿に固まる他ない。選んだデッキである「クリボー大集合デッキ(改)」の尖った仕様である事実を踏まえても、予想外な手札だ。

 

――ふ、複数枚の採用とはいえ、どんな確率!?

 

 神崎の「クリボー大集合デッキ(改)」に5兄弟たちは2枚ずつ採用されており、デッキの総数は限界一杯の60枚。そして初期手札5枚に揃う確率は――などと講釈を垂れたところで、現実は変わらない為、割愛させて貰おう。

 

 別に計算が面倒になった訳ではない。断じてないのだ。

 

――い、いや、だとしても《クリバー》の合体効果は手札にも対応している! アド損になるが《クリバビロン》から分離して5兄弟を並べれば一先ずの盤面は……

 

 そうして、遊戯とのデュエルのような即死級の手札事故ではなかった事実に安堵しつつ神崎は来るべき自分のターンでの立ち回りに頭を回すが――

 

「魔法カード《二量(ダイマー・)合成(シンセシス)》! デッキから『化合獣』1体と《完全燃焼(バーンアウト)》を手札に!!」

 

――か、【化合獣】だと!?

 

 悪趣味な壺がぶっ壊れる中でアビドス三世が発動したカードにより球体状になった元素が機械のアームによって組み合わされて行く光景が広がる中で宣言された内容に神崎は更なる衝撃を受けた。

 

 

 【化合獣】――それらについて語るには、「デュアルモンスター」について語らねばなるまい。

 

 デュアルモンスターとは、手札・フィールド・墓地で通常モンスターとして扱う代わりにフィールドで「もう一度召喚する」「デュアル召喚」が可能であり、その際に「効果モンスターとなる」一風変わったカード群だ。

 

 ただ、こうして説明されると勘の良い方々なら既にお気づきかもしれない。「1ターンに1度しかない通常召喚」を使うくらいなら「最初から効果モンスター召喚すれば良くね?」と。

 

 その通りだ。

 

 本来の想定では「通常モンスターのふんだんなサポートを得つつ、必要に応じて効果を得ていく」的な活躍を期待されていた「デュアル」モンスターたち。

 

 だが、現実は「デュアル召喚しなくても強い効果モンスターがいっぱいいる」中で彼ら(デュアル)に誰が召喚権を割いてくれるのか。

 

 しかも「でもデュアル召喚できれば強いんでしょう?」と聞かれても「……微妙」と言わざるを得ないパワーのなさに加えて、原作でも誰一人として「デュアル召喚したことがない(穂村 尊が使用「は」してくれた)」レベルの不遇枠である。

 

 

 しかし、そんな悲しみを背負った「デュアル」たちを公式は見捨てていなかった。彼らを救済すべく舞い降りた救世主たちこそが【化合獣】。

 

 

 前置きが長くなったが、そのデュアルの救世主たる【化合獣】たちだが――神崎のリアクションで大体察しが付くだろう。

 

 そう、【化合獣】でさえ、デュアルは救えなかった。というか、【化合獣】たちが助けを求めるレベルだった。そして今や公式も(多分)匙を投げている。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 つまり、アビドス三世の代名詞である扱いの難しい《スピリッツ・オブ・ファラオ》の為にパワーのあるカードの助けが必要だと言うのに、同じくパワーのあるカードの助けが必要なカード群が出てきた――今は本末転倒感の溢れる状況である。

 

 

 デュエルに戻ろう。

 

「余は《化合獣オキシン・オックス》を召喚! カードを4枚セットしターンエンドだ!!」

 

 球体状の元素の骨組みを覆う半透明な深緑の体躯を持つ牡牛が緋色の熱の灯る大きな二本角を掲げるようにいなないて見せていた。

 

《化合獣オキシン・オックス》攻撃表示

星2 風属性 獣族

攻 0 守2100

 

 そうして、迫真の牛1頭ポン出しでエンド宣言したアビドス三世。

 

 伏せカードが4枚あるが、攻撃力0の棒立ち――彼の代名詞たる《スピリッツ・オブ・ファラオ》は影も形もない。

 

――か、彼のデッキは《スピリッツ・オブ・ファラオ》を主軸にしていないのか? いや、相性が致命的に悪い訳ではないが……

 

 そんな神崎の心理状態を代弁するならば「相手が目指す先は分かるが、狙いが読めない」と言ったところだろう。

 

 普段ならば原作に登場した面々のデッキは凡そ察しがつくが、特級に使い難い(呪物レベル)《スピリッツ・オブ・ファラオ》を活用したデッキなど神崎には想像できないのだ。

 

 これが唯の素人なら気を揉まずに済むのだが、なんだかんだで原作でも十代を相手に《スピリッツ・オブ・ファラオ》を呼び出し、追い詰めた人物となれば楽観も出来ない。

 

 

 

アビドス三世LP:4000 手札3

《化合獣オキシン・オックス》攻0

伏せ×4

VS

神崎LP:4000 手札5

 

 

 更に、何より神崎の手札で勢揃いのクリボー5兄弟の姿を見れば、「相手の想定外の動きに対応できる」余裕など欠片もなかろう。

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズを経てメインフェイズ1へ」

 

――相手のエースを思えば速攻をかけたいが、アビドス三世は「それ」を許してくれるような相手でもない……何より此方のデッキの特性上、もたつけば死ぬ。

 

 かくして、思案しながら引いたカードはそう悪いものではないが相手のセットカードの多さを思えば、どう考えても不用意な一手は罠の餌食となるだけなのは明白だ。

 

 しかし、今の神崎に手をこまねく余裕はない。

 

「手札1枚を墓地に送り、魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動。デッキからレベル1――《クリバー》を特殊召喚。そして《クリビー》を通常召喚」

 

 ゆえに、地面から芽が出るように這い出た紫の毛玉の《クリバー》が水を払う犬のように身体の土をフルフル払う中、ピンクの毛玉の《クリビー》が飛び散る土に目を覆う。

 

《クリバー》ビー》守備表示 + 攻撃表示

星1 闇属性 悪魔族

攻 300 守 200

 

「だが、余は其方の《ワン・フォー・ワン》に対し、手札の《増殖するG》を発動させて貰った。特殊召喚の際に1枚ドローさせて貰う」

 

「ではバトルフェイズへ。《クリビー》で《化合獣オキシン・オックス》を攻撃」

 

 やがて、5兄弟が揃っていない事実に気づいた《クリビー》だが、《化合獣オキシン・オックス》が攻撃力0と思えない様相で地面を蹴り、突進する姿に驚き毛を逆立てながらビビり散らせば――

 

「させん! 罠カード《完全燃焼(バーンアウト)》を発動! 【化合獣】1体――オキシン・オックスを除外し、デッキから2体の『化合獣』を特殊召喚する!」

 

 《化合獣オキシン・オックス》の身体の内側が真っ赤に燃えたかのような輝きを見せれば、その半透明な外皮より球体状の元素の骨組みがはじけ飛び、2つに分かれて再構成されて行く。

 

「来たれ! 《化合獣ハイドロン・ホーク》! 《化合獣カーボン・クラブ》!!」

 

 そして新たに組み直された骨組みを覆う透明の水色の体躯が覆い、翼を広げる大鷲と、

 

《化合獣ハイドロン・ホーク》攻撃表示

星2 水属性 鳥獣族

攻1400 守 700

 

 同じく組み直された骨組みを半透明の土色のカニの体躯が覆い、銀に輝く大きなハサミを盾のように構える姿となった。

 

《化合獣カーボン・クラブ》守備表示

星2 炎属性 水族

攻 700 守1400

 

「……バトルは続行。《クリビー》で《化合獣ハイドロン・ホーク》を攻撃します」

 

「ならば迎え撃てハイドロン・ホーク! ハイドロフェザー!!」

 

 死地に突っ込まされる羽目になった《クリビー》が神崎へ向き直り文句を上げるが、戦闘中に抗議の声を上げるのに夢中になっていた《クリビー》は背後から迫る《化合獣ハイドロン・ホーク》の姿に気づかなかった

 

 そして「ポカッ」と小気味の良い音を響かせ倒れた《クリビー》の目が覚めたら――

 

神崎LP:4000 → 2900

 

「破壊された《クリビー》の効果――デッキから『クリボー』の名が記された魔法・罠カードを手札に。更に《クリバー》の効果でデッキから2体目の《クリビー》を特殊召喚します」

 

 《クリビー》は、ピンクの毛玉こと《クリビー》マーク2(2体目)になっていた。

 

 《クリバー》から鏡を見せられ、変わり果てた己の姿にアワアワする《クリビー》。

 

《クリビー》守備表示

星1 闇属性 悪魔族

攻 300 守 200

 

「むっ、後続を用意するカードだったか……」

 

「私はバトルフェイズを終了し、ターンエンドです」

 

――此方の手の内が分からないのは相手も同じか。

 

 毛玉共の寸劇を余所にアビドス三世が己のミスに歯嚙みする中、神崎も残りの伏せカードに警戒を強めるが、残りの手札も毛玉な神崎はこれ以上動くことは叶わない。

 

「ならば永続罠《第一の棺》! 其方のエンド時の度に手札・デッキより《第二の棺》を魔法・罠ゾーンに安置する!」

 

 しかし、地響きと共に大地からアビドス三世の代名詞たる土色の長方形の棺がせり出せば、棺が独りでに音を立てて蓋を開き、その棺の内部より新たな黄金に輝く棺が現れた。

 

「フッ、これで次の其方のターンの終わりに、余の最強の魔物(カー)が姿を現すであろう」

 

 かくして、互いのターンが終わり攻防に一段落が付いたデュエルだが、その内実は最新のカードプールを感じさせない程にショボ――緩やかなものだった。

 

 

アビドス三世LP:4000 手札4

《化合獣ハイドロン・ホーク》攻1400

《化合獣カーボン・クラブ》守1400

伏せ×3

《第一の棺》

《第二の棺》

VS

神崎LP:2900 手札4

《クリバー》ビー》守200

 

 

 やがて、《増殖するG》の効果で3枚のドローを獲得できたアビドス三世は意気揚々とドローし――

 

「では余のターンだ! ドロー! カーボン・クラブをデュアル召喚! おっと、デュアル召喚というのはモンスターを再度召喚するこ――」

 

「存じております」

 

「そうであったか。ならばデュアル召喚されたカーボン・クラブの効果! デッキから『デュアル』を墓地に送ることで、デッキの『デュアル』1体を手札に加えさせて貰おう!」

 

 《化合獣カーボン・クラブ》の身体が銀色に硬質化されていけば、ハサミを地面に突き立てる。さすれば間欠泉の噴水が飛び出すとともにアビドス三世の元にカードが舞い込んだ。

 

「ふむ、では魔法カード《一撃必殺!居合いドロー》を発動! 余は手札を1枚捨てることで其方のフィールドのカードの数だけデッキから墓地に送り、1枚ドローする!」

 

「それが《一撃必殺!居合いドロー》であればフィールドの全てのカードを破壊し、その数×2000のダメージを与えられますが――流石に、そう上手くいくでしょうか?」

 

――流石に当たる筈が……

 

 やがて、パチンと刀の(つば)が鳴る音が響き、デュエリストの勝負の流れを引き寄せる力を知る神崎がハラハラしながらフラグ立てで妨害を試みるが――

 

「やはり、教師に化けただけあって其方はカードに詳しいな。だが、余が引いたカードは――……《馬の骨の対価》か。仕方あるまい。《一撃必殺!居合いドロー》の更なる効果により墓地のカード2枚をデッキに戻させて貰うぞ」

 

 アビドス三世の方は神崎のカード知識の量に感心する始末。そして、一筋の風が吹くに終わった事実に一緒になって震えていた《クリバー》と《クリビー》が安堵のため息を零していた。

 

――キーカードの回収用と分かってはいても心臓に悪い。

 

「うーむ、その毛玉たちはバトルで破壊すれば仲間を呼ぶのであったな?」

 

「ええ」

 

「では、こうしよう。罠カード《つり天井》! フィールドに4体以上モンスターがいる時! その全てのモンスターを破壊する!!」

 

――っ!?

 

 だが、安心する《クリバー》と《クリビー》に迫る殺傷能力の高いスパイクの付いた天井が襲い掛かる。

 

 あっちへこっちへ逃げようとする毛玉たちを余所に、落とし穴が開けば――

 

「更にチェーンして罠カード《トラップトラック》も発動だ。余のモンスター1体を破壊し、デッキから通常罠カード1枚――罠カード《激流葬》をセットさせて貰おう」

 

 天啓を得たりと「避難場所だ!」と駆け寄る毛玉たちが見たのは落とし穴の先でアツアツの蟹鍋になっている《化合獣カーボン・クラブ》の姿。

 

 そう、毛玉たちに突き付けられるのは「棘天井にくし刺しにされる」か「鍋の具材」になるかの二択。

 

 

――成程。彼のデッキが読めてきた……

 

 やがて、毛玉2体が迷っている内に棘天井に貫かれて断末魔を上げていた中、神崎の中でアビドス三世のデッキの様相を把握し始める。

 

 

 そう、アビドス三世は八百長されていた過去から「弱い」と誤解されがちだが、デュエルの腕は決して低くはない。

 

 原作でも《第一の棺》の破壊を守るカードをキチンと用意しており、

 

 更には《スピリッツ・オブ・ファラオ》の効果を通してもパワー不足を補う為の《サウザンドエナジー》を採用し、その自壊デメリットも合わせて「的になるモンスターを残さない」ことへ気を配っている。

 

 その過去と彼のエースカードの使い難さゆえに勘違いされがちだが、アビドス三世はデュエルに対して決して不勉強でもなければ、不誠実でもない一角のデュエリストなのだ。

 

 自分のカード効果すら把握していない面々と同列に語るのは、失礼なくらいである。

 

 

「これで余を遮るものは何もない――魔法カード《トライワイトゾーン》発動! 余の墓地のレベル2以下の通常モンスター3体を特殊召喚!」

 

 そしてデュエルに戻ればクリボーたち諸共盤面を一掃したアビドス三世は大地に手をかざし、同胞たちに呼び掛ければ大地を砕き――

 

「舞い戻れ、余のしもべたちよ!」

 

 空へと飛翔する《化合獣ハイドロン・ホーク》が羽ばたき、

 

《化合獣ハイドロン・ホーク》攻撃表示

星2 水属性 鳥獣族

攻1400 守 700

 

 《化合獣カーボン・クラブ》が土を払ったハサミを掲げ、

 

《化合獣カーボン・クラブ》攻撃表示

星2 炎属性 水族

攻 700 守1400

 

 《化合獣オキシン・オックス》――ではなく、緑のアーマーに身を包んだ風車のような髪型の戦士が獲物のダーツを手の平の風を起こして回転させながら白いマフラーをたなびかせていた。

 

《デュアル・ソルジャー》攻撃表示

星2 風属性 戦士族

攻 500 守 300

 

「バトル! ハイドロン・ホークでダイレクトアタック!」

 

 一番槍として上空より《化合獣ハイドロン・ホーク》が翼を畳んで急降下する中、その行く手に影が飛び出す。

 

「その攻撃宣言時、手札の《クリブー》を墓地に送り効果発動。デッキから《アンクリボー》を手札に加えます」

 

「だとしても攻撃は止まらぬ! 更にダメージ計算時、速攻魔法《スプライト・ガンマ・バースト》発動! レベル2モンスターの攻撃力は1400アップだ!!」

 

 しかし、恐怖からか目をつぶって手札から飛び出した白い毛玉こと《クリブー》の壁は《化合獣ハイドロン・ホーク》の急降下とは全く別の場所で小さな両手を目いっぱい広げるに終わる。

 

 だけなら良かったのだが、グングン加速する《化合獣ハイドロン・ホーク》の風切りによって生じたスパークが散らばれば化合獣たちの体内に眠る元素の力を呼び起こして原始ならぬ元素回帰し、身体が熱を帯びたように赤いオーラで覆われ始めた。

 

《化合獣ハイドロン・ホーク》

攻1400 → 攻2800

 

《化合獣カーボン・クラブ》

攻700 → 攻2100

 

《デュアル・ソルジャー》

攻500 → 攻1900

 

 やがて、一番槍の赤く輝く《化合獣ハイドロン・ホーク》の突撃が神崎のお留守な心の臓に着弾して貫通。結果、潰れた毛玉のような「グリェー!?」っとの汚ぇ断末魔が神崎の心の臓から響いた。

 

 そして、いつの間にか上がっていた謎の土煙が晴れた先には――

 

「残念ですが手札の《クリボー》を墓地に送ることで、戦闘ダメージを0にさせて頂きました」

 

 心臓付近に黒い毛玉こと《クリボー》を配置させ、《化合獣ハイドロン・ホーク》の軌道をズラした五体満足な神崎が健在。いつものである。

 

「ほう、躱したか。だが、残り2体の攻撃を止められねば同じこと! 行くのだ! カーボン・クラブ! 《デュアル・ソルジャー》!!

 

「《化合獣カーボン・クラブ》の攻撃宣言時、手札の《アンクリボー》を捨て効果発動。墓地の《クリビー》を特殊召喚」

 

 しかし、《クリボー》が力尽き消えていく最中に《化合獣カーボン・クラブ》と《デュアル・ソルジャー》が神崎に飛び掛かるが、対する神崎は《アンクリボー》の外した額のアンクを釣り餌に《クリビー》を一本釣り。

 

 次なる肉壁――ゲフンゲフン、頼もしき守護者を用意。

 

《クリビー》守備表示

星1 闇属性 悪魔族

攻 300 守 200

 

『クリビッ!? ク、クリビー!!』

 

「むっ? 《クリバー》ではないのか?」

 

 だが、(多分)自ら囮訳を買って出た尊き《クリビー》のジタバタする姿にアビドス三世は疑問を持った。

 

 なにせ《アンクリボー》で《クリバー》を復活させていれば、破壊された時に仲間を呼ぶ効果も相まって2体のモンスターの攻撃を防ぎ切れるのだから。

 

「ええ、《アンクリボー》の効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に墓地へ送られてしまうので」

 

「…………成程な。《クリバー》を復活させれば余が攻撃を止めれば済む話。だが、これなら《クリビー》を破壊すれば其方のライフにダメージを与えられる」

 

 そう、これは余力に困窮する神崎の苦肉の策だった。

 

 不自由な二択――とは少し違うが、相手の手札かライフのどちらのアドバンテージを取るかと言う話である。

 

『クリッ! クリクリ! クリビッ!』

 

「ならば、余は進もう! カーボン・クラブで《クリビー》を破壊し、《デュアル・ソルジャー》でダイレクトアタックだ!!」

 

『――クリビデブッ!?』

 

 やがて両手を前に突き出し必死になにかを訴えていたようにも見える《クリビー》だったが、《化合獣カーボン・クラブ》のハサミに身体全体を挟まれながら地面へハサミをハンマーされて叩きつけられる最後を辿る。

 

「《クリビー》の効果でデッキから《機雷化》を手札に」

 

「だとしても、《デュアル・ソルジャー》のダイレクトアタックは防げまい!!」

 

 その《クリビー》の誇り高き散り様にデッキも感激のサーチを零す中、《デュアル・ソルジャー》の指先から放たれた風の刃が神崎を切り裂いた。

 

神崎LP:2900 → 1000

 

「バトルを終了し、魔法カード《馬の骨の対価》を発動! 《デュアル・ソルジャー》を墓地に送り2枚ドロー! ふむ、これなら……」

 

 こうして、手痛いダメージを受けた神崎を余所に《デュアル・ソルジャー》がクルリとターンして風の繭に包まれれば、風と共に消えた先から2枚のカードがアビドス三世の元に舞い降りる。

 

「フィールド魔法《アンデットワールド》を発動し、カードを2枚セットしてターンエンドといこう!! ターンの終わりに余のしもべたちの攻撃力は元に戻る」

 

 最後に周囲を腐食の霧が立ち込め、足元にはドクロが転がる不死者たちの楽園を世界に広がらせながらターンを終えた。

 

 

アビドス三世LP:4000 手札2

《化合獣ハイドロン・ホーク》攻2800 → 攻1400

《化合獣カーボン・クラブ》攻2100 → 攻700

伏せ×3

《第一の棺》

《第二の棺》

フィールド魔法《アンデットワールド》

VS

神崎LP:1000 手札4

 

 

 

――《アンデットワールド》ということは、やはり彼のデッキの主軸は《スピリッツ・オブ・ファラオ》であることは確定か。

 

「では私のターン、ドロー。スタンバイフェイズを経てメインフェイズ1へ――相手フィールドにのみモンスターがいる際、手札から《ドリーム・シャーク》を特殊召喚」

 

 相手のデッキの凡そを掴み始めた神崎が思案交じりにカードを引けば、不死者の世界となった血の池より紫色のサメが身体を腐らせながら這い出した。

 

《ドリーム・シャーク》守備表示

星5 水属性 魚族 → アンデット族

攻 0 守2600

 

――流石に動かない……か。

 

「レベル5モンスター1体をリリースし、魔法カード《ティンクル・ファイブスター》を発動。デッキ・手札・墓地よりクリボー5兄弟を特殊召喚」

 

『 『 『 クリリ~! 』 』 』

 

 そして、判明しているアビドス三世のセットカードへ視線を向ける神崎を余所に星になった《ドリーム・シャーク》が天へと昇った後に大地へ着弾すれば、その星より5色の毛玉ことクリボーたちが勢ぞろい。

 

《クリバー》ビー》ブー》ベー》ボー》守備表示

星1 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻 300 守 200

 

『クリッ~!! クリビッ! クリリッ!』

 

「だが、その《ティンクル・ファイブスター》に対し、余は手札の《増殖するG》を発動させて貰った。これでこのターン其方が特殊召喚する度、1枚ドローさせて貰う」

 

「罠カード《激流葬》の発動はありませんか?」

 

「うむ、発動はせん」

 

 やがて再会を喜ぶ毛玉の兄弟たちの中で唯一怒り心頭の様子の《クリビー》が色々叫んでいると――

 

「なら破壊します。速攻魔法《機雷化》を発動。《クリボー》を全て破壊し、その枚数分だけ相手のカードを破壊します――今回は1体なので、貴方のセットカードの1枚を破壊」

 

『クリビッ!』

 

『クリッ!?』

 

 怒りの訴えでプンスカ動いている《クリビー》の身体にぶつかり唐突に弾き飛ばされた《クリボー》はアビドス三世のセットカードの1枚と接触した瞬間に爆散。

 

『ク、クリリ……クリビッ、クリリッ……!!』

 

――相手の《増殖するG》のドロー加速が怖いが、全体破壊を主にする相手にリソース0はキツい。

 

「《クリベー》を召喚し、バトルフェイズへ」

 

 そうして兄弟たちの爆散した光景に《クリビー》が狼狽え一歩後退る中、その背後に現れた深緑の毛玉こと《クリベー》にぶつかれば――

 

《クリベー》攻撃表示

星1 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻 300 守 200

 

「だが、その攻撃力ではカーボン・クラブにすら勝てぬぞ?」

 

「必要経費ですよ。《クリベー》で《化合獣カーボン・クラブ》を攻撃」

 

 ボヨンボヨンと弾かれた《クリベー》が跳弾し、良い機会だと《化合獣カーボン・クラブ》へと突撃――するも、《化合獣カーボン・クラブ》のハサミのクロスカウンターを受け、ベチンと叩き落とされた。

 

神崎LP:1000 → 600

 

「……よもや其方、手を抜いている訳ではあるまいな?」

 

「いいえ、言ったでしょう? 必要経費だと。《クリベー》が破壊されたことで《クリビー》の効果で《クリボーを呼ぶ笛》を手札に加え、《クリバー》の効果で《クリボー》を特殊召喚」

 

 かくして、先程から自爆特攻ばかりしている神崎へアビドス三世は「最強伝説を流布する為に配下に八百長されていた」過去を思い出して苦言を零すが、神崎は至って真剣である。

 

 そして、倒れた《クリベー》に黒いペンキを塗りつけて《クリボー》に彩った《クリビー》が先程までの行いの証拠隠滅が終わったとばかりに息を吐く。

 

《クリボー》 守備表示

星1 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻 300 守 200

 

「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2へ――《クリバー》の効果。クリボー5兄弟を合体させ、デッキから《クリバビロン》を特殊召喚。その能力は墓地のクリボーの数×300アップ」

 

 やがて、気分を一新してクリボー5兄弟は天高く飛び上がった《クリバー》に集合するように合体。

 

 角の生えた巨大な毛玉こと《クリバビロン》となって、やられっぱなしだった今までに反旗を翻すべく、鋭い犬歯を剥き出しにして威嚇してみせた。

 

《クリバビロン》攻撃表示

星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻1500 守1000

攻4800 守4300

 

「おぉ! これが其方の切り札という訳か!」

 

「ええ、まぁ」

 

――さて、どうする? 《クリバンデット》に合体するか? だが、落ちが悪ければ殆ど無防備になる。《クリバビロン》の攻撃力なら早々に殴り負けることはない筈だが……

 

 とはいえ、神崎のエースのお出ましに目を輝かせるアビドス三世に反し、神崎の心中は《クリバビロン》程に攻め気は出ない。

 

 なにせ、今までのアビドス三世のデュエルを見れば「効果による破壊」を主にしていることは明白だ。単純な攻撃力の高さなど安心材料にはなりえない。

 

「《クリバビロン》の効果。自身を手札に戻し、墓地からクリボー5兄弟を再展開。更に今度は《クリベー》の効果を使い5兄弟をデッキの《クリバンデット》に合体させ召喚します」

 

『バ、バビィッ!?』

 

 ゆえに、一瞬で出番が終わった《クリバビロン》の嘆きを余所に5兄弟へ分離からの別形体へ再合体すれば、盗賊風の装いの毛玉こと《クリバンデット》がアビドス三世へファンサービスするように短剣をシュバッと構えて見せる。

 

《クリバンデット》攻撃表示

星3 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻1000 守 700

 

「なんだ、戻してしまうのか……」

 

「カードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズ時に《クリバンデット》の効果――自身をリリースし、デッキの上から5枚のカードの内の魔法・罠カード1枚を手札に加え、残りを墓地へ送ります」

 

 ただ、地味めなステータスゆえかアビドス三世の反応は芳しくない事実にショックを受けた《クリバンデット》は涙ながらに夕日へ駆けていった。

 

――せめて《クリボーン》を墓地に送りたかったが……まぁ、こんな時もあるか。

 

 そんな中で《クリバンデット》の落とし物のように散らばった墓地に落ちたカードを見つつ神崎は再び思考にふけるが――

 

「では、そのエンド時に余の《第一の棺》の効果が遂に完遂する! デッキより《第三の棺》が安置され、その封印が今! 解かれる!」

 

 その時、棺が動いた。

 

 《第二の棺》の蓋が開き、その内側より露になった水色の淵が彩られた最後の棺の蓋が独りでに開き始め、

 

「降臨せよ! 《スピリッツ・オブ・ファラオ》!!」

 

 ツタンカーメンマスクで顔を隠した王が、死者である濃紫の肌を黄金の鎧で包み現れ、マスクで覆われて窺えぬ瞳の代わりに、左右の肩から顔を出したアヌビスとホルスの瞳が赤く輝いた。

 

《スピリッツ・オブ・ファラオ》攻撃表示

星6 光属性 アンデット族

攻2500 守2000

 

「王の魔物(カー)の力を知れ! 《アンデットワールド》によりアンデット族と化したレベル2以下の通常モンスターたちよ! 今こそ、我が元に集え!!」

 

 杖を掲げた《スピリッツ・オブ・ファラオ》の元に集うように――

 

 白い仮面で顔を覆った青き衣をまとうミイラが王へと膝をつき、

 

《王家の守護者》攻撃表示

星2 地属性 アンデット族

攻 900 守 0

 

 《デュアル・ソルジャー》がそよ風と共にターンしながら現れた。

 

《デュアル・ソルジャー》攻撃表示

星2 風属性 戦士族 → アンデット族

攻 500 守 300

 

 

 神崎の攻撃があまりに消極的だったゆえに復活したのは2体だけだったが、それでもモンスターゾーンを一瞬で埋め尽くす光景は圧巻の一言である。

 

 

 ゆえに、アビドス三世は確かめるように言葉を零した。

 

 

「其方は最後まで《スピリッツ・オブ・ファラオ》の眠る棺を破壊しようとはしなかったな」

 

 

「手心を加えた訳ではありませんよ」

 

 

「なに気にしてはおらん。デュエルして分かった――其方は余が使うカードのことを知っていたのであろう? なれば、脅威度の高いカードを破壊するのは理に適っておる」

 

 

 それは「過去の八百長ゆえに《第一の棺》を破壊しに動く相手がいなかった」事実を思い出したもの――ではなく、神崎の知識量ゆえの決断だとアビドス三世は見抜いていた。

 

 

 効果破壊にあまり対応していないクリボーたちにとって、戦闘破壊の頭数を揃える《スピリッツ・オブ・ファラオ》より、全てのモンスターを効果破壊する《激流葬》の対処に手を回すのは当然だ。

 

 

「――だが、今ばかりは過ちだ!」

 

 

 しかし、クワッと力強く目を見開いたアビドス三世はその決断をミスだと断じて見せる。

 

 

 そして、リバースカードに手をかざし、気合の入った声で宣言した。

 

 

「罠カード《エレメンタルバースト》!!」

 

 

「エ、《エレメンタルバースト》だと!?」

 

 

 神崎の思いもよらぬ1枚のカードの名を。

 

 

「やはり、このカードも知っていたか――そう! 余の従える風・水・炎・地の属性を持つ4体のモンスターを贄に其方のフィールドのカードを全て破壊する!!」

 

 そう、アビドス三世の説明した通り罠カード《エレメンタルバースト》は「相手フィールドの全てのカードを破壊する」超強力な効果を有している。

 

 だが、先程から神崎が驚きより帰還できていないように「自分のモンスターを4体も失う」ハイリスク――否、ハイデメリットなカードなのだ。

 

 

 つまり、アビドス三世のデッキは――

 

 扱いに難しい《スピリッツ・オブ・ファラオ》を

 

 扱いに難のある【化合獣】でサポートし、

 

 ハイデメリット・ハイリターンな《エレメンタルバースト》でコンボするデッキ。

 

 

「世界広しといえども、エンド時に4体ものモンスターを呼び出せるカードは余の《スピリッツ・オブ・ファラオ》をおいて他にはない!!」

 

 相手のエンドフェイズ時に《エレメンタルバースト》を通そうと思えば、本来ならば相手の攻撃・効果を全て避け切らなければならない!!

 

 だが!! しかし!!

 

 (下準備を終えた)《スピリッツ・オブ・ファラオ》ならば棺を守るだけで可能!!

 

 まさに唯一無二!!

 

「そして、其方がこのターンに伏せたカードは余のターンが来るまで発動できん以上、其方はガラ空きのフィールドを晒す他ない!!」

 

 なにより、相手が次のターンの為に如何なる罠カードを伏せていたとしても!!

 

 (基本的に) 罠 カ ー ド は 伏 せ た タ ー ン に 発 動 で き な い ! !

 

 そう! まさに! これは!!

 

「これぞ余の究極コンボ――エンド(エレメンタル)バースト!!」

 

――エンドサイクみたいな勢いでトンでもないこと言い出してる!?

 

 

 初心者デュエリストが通る初期テクニック「エンドサイク(発動不可時に破壊)」を究極発展させたコンボ!

 

 

 それこそが! このエンド(エレメンタル)バースト!! 相手は死ぬ(負ける)!!

 

 

「受けるが良い!! 余の渾身の一撃! エンド! バーストォ!!」

 

 かくして、4体の【化合獣】(内1体はミイラ)が4つのエレメントの力となって《スピリッツ・オブ・ファラオ》の剣に宿り、天上に構えられた後に振るわれる。

 

 その剣撃が大地を巻き込みながら着火することで溶岩と化し、鉄砲水の如きマグマの水流が嵐の如く神崎のフィールド全てを呑み込むように荒れ狂い蹂躙跋扈(じゅうりんばっこ)

 

 

 その結果、神崎のフィールドのリバースカードが「1枚のみ」破壊された。

 

 そんな究極のアド損コンボにより、たった1枚のリバースカードを失った神崎は驚きから立ち直りつつ、状況を鑑みる。

 

――いや、一応は理に適っているのか!?

 

 なにせ、そもそも通常モンスター4体を並べたところで、シンクロすらない時代ではアタッカーが精々である。

 

 更にアビドス三世が《トライワイトゾーン》を使用していた時点で「棺が完遂しても《トライワイトゾーン》を発動されたと思えば良い」と神崎も判断しており、

 

 《つり天井》や《激流葬》などの強力なパワーを持つカードにばかり警戒をしていた点は否めない。

 

 まさに、そんな心理的な隙をついたアビドス三世の一手。

 

――って、それどころじゃない! 頼みの綱の《クリボーを呼ぶ笛》が破壊されたのが痛いが立て直しは……

 

「まだだ! 罠カード《ブービートラップE》発動! 余の手札を1枚捨てることで墓地の永続罠1枚をセット! そしてセットしたカードはこのターンに発動可能となる!」

 

「まさかッ!?」

 

 だが、驚きから立ち直りつつある神崎を揺さぶるゴゴゴと地揺れが起きれば――

 

「そのまさかだ! 再び起動せよ! 永続罠《第一の棺》!! その効果により《第二の棺》が安置される!!」

 

 大地より封印されし王の眠る棺が、その王たる《スピリッツ・オブ・ファラオ》の背後に現れた。

 

 そして突き付けられる《エレメンタルバースト》の幻影。

 

――バ、バカな2体目を狙っ……いや、今の相手に伏せカードはない! ならば、これは除去への誘導!!

 

 そう、今や神崎の脳裏に新たな真理が刻み付けられた。

 

 《スピリッツ・オブ・ファラオ》の降臨 = 《エレメンタルバースト》の襲来、だ。

 

 とはいえ、そんなに都合よく《エレメンタルバースト》が伏せられている可能性は低い方であり、どう見ても見え透いた誘導。

 

 だが、今しがた受けた手痛い一撃が神崎の脳裏を過る。

 

 

 トータルで見れば他の伏せカードの方が厄介なことは明白な筈なのに――棺を無視できない。

 

 気軽に除去をガンガン飛ばせるデッキなら気にならないだろうが、神崎のデッキはクリボー軍団だ。さほど除去能力に秀でている訳ではないのだから。

 

 

アビドス三世LP:4000 手札4

《ファラオ》攻2500

《第一の棺》

《第二の棺》

フィールド魔法《アンデットワールド》

VS

神崎LP:600 手札2

 

 

「この勝負、貰った! 余のターン! ドロー!! 魔法カード《強欲で金満な壺》を発動し、2枚ドロー!」

 

 やがて、神崎の虚を思いっきり突けたアビドス三世が勝負の波に乗るようにドローと共に壺をぶっ壊してカードを引けば――

 

「そして魔法カード《トライワイトゾーン》を発動! 墓地より三度舞い戻れ、余のしもべたちよ!!」

 

 残りライフ600の神崎を前にアビドス三世は一切手抜かりなく先程《エレメンタルバースト》した仲間たちを招集。

 

《王家の守護者》攻撃表示

星2 地属性 アンデット族

攻 900 守 0

 

《化合獣ハイドロン・ホーク》攻撃表示

星2 水属性 鳥獣族 → アンデット族

攻1400 守 700

 

《化合獣カーボン・クラブ》攻撃表示

星2 炎属性 水族 → アンデット族

攻 700 守1400

 

 なに? 1体足りない? そんなことはない。

 

「此処で《化合獣ハイドロン・ホーク》をデュアル召喚し、効果発動! 手札1枚を墓地に送り、デュアル1体を復活させる! 甦れ、《デュアル・ソルジャー》!!」

 

 《化合獣ハイドロン・ホーク》が澄んだ水の身体の内部で元素を構築し始めれば、《化合獣ハイドロン・ホーク》の生命の源たる水の身体より《デュアル・ソルジャー》が水飛沫を上げながら現れる。

 

《デュアル・ソルジャー》攻撃表示

星2 風属性 戦士族 → アンデット族

攻 500 守 300

 

――くっ、また《エレメンタルバースト》の条件が揃った!? い、いや、冷静になれ。普通に考えて、3積みするようなカードじゃない……が、それよりも総攻撃を防ぐ方が先決。

 

 そして、神崎の懸念通り再び《エレメンタルバースト》の準備が一瞬で整う。

 

 そう、自分のターンは《トライワイトゾーン》で、相手のターンは《スピリッツ・オブ・ファラオ》で――《エレメンタルバースト》の使い分けも完璧だ。

 

 だが、今や盤面が空っぽな神崎へは不要の話。

 

「墓地の速攻魔法《スプライト・ガンマ・バースト》を除外し、余の1体のレベル2――《化合獣カーボン・クラブ》の攻撃力を1400パワーアップ!」

 

 最初のバトルの焼き増しのようにスパークが渦巻けば《化合獣カーボン・クラブ》の身体へ熱エネルギーとして循環し、そのパワーを3倍にまで引き上げる。

 

《化合獣カーボン・クラブ》

攻700 → 攻2100

 

「更に墓地の《二量(ダイマー・)合成(シンセシス)》を除外し効果発動! デュアル召喚された《化合獣ハイドロン・ホーク》の攻撃力を0とし、その元々の攻撃力を余の《スピリッツ・オブ・ファラオ》へ! 力を合わせよ!」

 

 《化合獣ハイドロン・ホーク》の身体が水へと崩れ《スピリッツ・オブ・ファラオ》の剣に宿れば、その刀身は澄んだ深い青の輝きを見せ――

 

《スピリッツ・オブ・ファラオ》攻撃表示

攻2500 → 攻3900

 

「これで其方は《クリバビロン》以外では《スピリッツ・オブ・ファラオ》の攻撃を易々とは止められまい!!」

 

 アビドス三世の闘志に従い《スピリッツ・オブ・ファラオ》は剣を横なぎに構えて進軍。

 

「バトルだ! 《スピリッツ・オブ・ファラオ》でダイレクトアタック!! 王の一撃!!」

 

「その攻撃宣言時、墓地の《クリアクリボー》を除外し効果発動! 私は1枚ドローし、それがモンスターであれば特殊召喚して攻撃モンスターとバトルさせる!」

 

 しかし、神崎は最後の頼みとばかりに墓地より紫の毛玉こと《クリアクリボー》を繰り出す他ない。

 

 デッキの中にモンスターは多く残っているとはいえ、残り4体のモンスターの攻撃を凌げる代物となれば決して多くはない分の悪い賭けだ。

 

 だが、アビドス三世は断じて見せる。

 

「ほう、運否天賦――という訳ではなさそうだ。其方なら引いてくるであろう!」

 

「だと良いのですがね! ドロー!!」

 

 そう、デュエルを通じて神崎のひととなりを凡そ感じ取ったアビドス三世には確信に近いものがあった。

 

 自分と同じように扱い難かろうが「好きなカードでデュエルしたい」思いを貫かんとする相手なら、と。

 

「引いたカードは……《ハネクリボー》! モンスターカード!!」

 

 そして、《スピリッツ・オブ・ファラオ》の剣に切り裂かれた《クリアクリボー》の中から出たのは天使の翼を持つ毛玉もと《ハネクリボー》。

 

 しかし、振り切られた筈の剣筋より遅れて飛来した水流の刃に即座に《ハネクリボー》は両断される。

 

《ハネクリボー》守備表示

星1 光属性 天使族 → アンデット族

攻 300 守 200

 

「だが、余の《スピリッツ・オブ・ファラオ》には届かん! 余のしもべたちの追撃で終わりだ!!」

 

 結果、残りの王の家臣たちが神崎へとトドメを刺すべく進軍する足を止めるには至らない。

 

『クリィー!!』

 

「いいえ! 《ハネクリボー》が破壊されたターンに私は戦闘ダメージを受けない!」

 

 かと思いきや《ハネクリボー》の最後の祈りが光の結界となって、王の家臣たちの追撃を防いだ事実にアビドス三世は楽し気に笑みを浮かべて見せる。

 

「なっ!? よもや余のエンドバーストを受けて、此処まで凌ぐ手があったとは……面白い! 余はカードを3枚セットしてターンエンドだ!」

 

 

アビドス三世LP:4000 手札1

《ファラオ》攻3900 → 攻2500

《王家の守護者》攻900

《化合獣ハイドロン・ホーク》攻0 → 攻1400

《化合獣カーボン・クラブ》攻2100 → 攻700

《デュアル・ソルジャー》攻500

伏せ×3

《第一の棺》

《第ニの棺》

フィールド魔法《アンデットワールド》

VS

神崎LP:600 手札2

 

 

 辛くも絶体絶命のピンチを切り抜けた神崎だが、状況はあまり改善してない。

 

 なにせ、既にアビドス三世は《エレメンタルバースト》の準備を整えており、3枚のセットカードの中に潜ませている可能性すらある。

 

 そして何より、それらを躱すことに成功しても《スピリッツ・オブ・ファラオ》のお替りがチラついている現状。

 

 粘り強さが持ち味の筈のクリボーたちだというのに、今や長期戦は不利。

 

――ふぅ、ギリギリなんとかなった……が、多分次は防げないな。

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズを経――ッ!? ……経てメインフェイズ1へ」

 

 しかし、ドローしたカードに一瞬動揺した神崎には突破口があった。それこそが《クリバビロン》による圧倒的な攻撃力。

 

 一発デカいのを叩きこむことが出来れば、どんな窮地からでも勝利をもぎ取れるまさに一発逆転パンチとも言える代物だ。

 

 粘りに粘って、超火力で殴り勝つ――これこそが彼のNewクリボーデッキの持ち味。

 

「魔法カード《隣の芝刈り》を発動。相手のデッキの枚数と同じになるように私はデッキからカードを墓地に送ります」

 

「さしずめ、これで《クリバビロン》の攻撃力を更に高めようという魂胆か」

 

「なにかありますか?」

 

「……? なんの話だ?」

 

 やがて、相手の伏せカードを削るジャブ代わりにカードを発動させた神崎だが、動かぬアビドス三世へ不思議そうに問いかければ、アビドス三世側も首を傾げる始末。

 

 ゆえに、分かり易くOCGよろしくの宣言を行えば――

 

「リバースカードなどの発動はありますか?」

 

「いや、ない。気にせずデュエルを続けてくれ」

 

「では《隣の芝刈り》の効果を適用させて頂きます」

 

――イヤッホオオオォォオオオォオウッッ!!!!

 

 朗報、《隣の芝刈り》――無事に通る(発動を邪魔されない)

 

 しかも、今のアビドス三世のデッキ枚数は10枚程度――神崎のデッキから数十枚のカードが墓地に送られていく光景は圧巻の一言。

 

 神崎の内心のテンションから窺えるように脳から変な成分がドバドバ出ても何らおかしくはない。

 

 今、神崎のデッキは真の力を発揮しようとしていた。

 

「墓地に送られた《古衛兵アギド》の効果、お互いのデッキから5枚のカードを墓地に送ります」

 

 更に《古衛兵アギド》のハサミが両者のデッキを切り裂いたことで、もはやデッキ破壊での勝利さえ可能なのではないかと思わせるくらいにデッキが削れた両者。

 

 しかし、なにより――

 

「手札の《クリバビロン》の効果。相手より墓地のモンスターが多い時、手札から特殊召喚」

 

『グリバビィイイィイィヤッホオオオォォオオオォオウッッ!!!!』

 

 身体から溢れんばかりの力の高まりを感じる《クリバビロン》の雄たけびが示すように、今デッキの全てのクリボーたちが墓地にいる。

 

 そう、(クリボーの)(ソウル)エナジーMAXだ。

 

《クリバビロン》攻撃表示

星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻1500 守1000

攻8100 守7600

 

「こ、攻撃力8000オーバーだと!?」

 

「バトルフェイズへ。《クリバビロン》で《スピリッツ・オブ・ファラオ》を攻撃」

 

『グリバビィイイイィイイヤァァァアァアアァアハァァァァァアッッ!!!』

 

 そうして溢れんばかりのエネルギーにより超巨大化した《クリバビロン》は先程の溜まり溜まったフラストレーションを発散するように《スピリッツ・オブ・ファラオ》に飛び掛かった。

 

 

 と、同時に天井に頭をぶつけた。

 

 途端に落下する天井。そう、これは――

 

「させん! 罠カード《つり天井》!! 《クリバビロン》には道連れになって貰おう!!」

 

 棘つき天井こと《つり天井》、再び。

 

「墓地の罠カード《Vivid(ビビッド) Tail(テール)》の効果、自分フィールドのモンスター1体を手札に戻し、墓地の自身をフィールドにセットします」

 

『バビビィッ!!』

 

「なっ!?」

 

 しかし、親切な運び屋がトランポリンを斜めセットしてくれた光景を見た《クリバビロン》は着地後に、すぐさまトランポリンに飛び乗り神崎の手札へ跳躍。

 

「これで《つり天井》が破壊するのは貴方のモンスターのみ」

 

「くっ……だとしても、其方の攻勢を挫けたのなら安いモノだ!」

 

 巨体となった《クリバビロン》が神崎の手札へ収まる最中、王の軍勢は1人残らず《つり天井》の餌食となり、罠士罠に嵌る結末を辿った。

 

「墓地の罠カード《もののけの巣くう祠》を除外し、墓地のアンデット族1体――《劫火の槍術士 ゴースト・ランサー》を効果を無効にして特殊召喚」

 

 そして、今度はアビドス三世のフィールドがガラ空きになった隙に、風化しボロ切れとなった戦装束に身を纏うゾンビの槍兵が敵将の首を求めて現れ――

 

《劫火の槍術士 ゴースト・ランサー》攻撃表示

星5 闇属性 アンデット族

攻2000 守 0

 

 

「ゴースト・ランサーでダイレクトアタック」

 

「くぅうぅッ!?」

 

 王の首を求めた《劫火の槍術士 ゴースト・ランサー》の突撃交じりに槍の一突きがアビドス三世に 届 い て し ま っ た 。

 

アビドス三世LP:4000 → 2000

 

――ッ!? 墓地の罠カード《完全燃焼(バーンアウト)》の効果を使わない!? まさか……!

 

「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2へ――魔法カード《ティンクル・ファイブスター》を発動。ゴースト・ランサーをリリースし、クリボー5兄弟を特殊召喚」

 

 攻撃が通ってしまった事実に最悪の可能性が脳裏を過る神崎だが、《劫火の槍術士 ゴースト・ランサー》の身体が内部爆発し、5つの星が散らばらせクリボー5兄弟を呼び寄せていた。

 

《クリボー》守備表示

星1 闇属性 悪魔族 → アンデット族

 

「《クリバー》の効果で5兄弟を《クリバビロン》に再合体。これでターンエンドです」

 

 とはいえ、クリボー5兄弟たちは大急ぎで一か所に固まり、煙と共に《クリバビロン》へと合体したことを眺める神崎は、己の懸念が外れていることを祈ってターンを終える他ない。

 

《クリバビロン》攻撃表示

星5 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻1500 守1000

攻8100 守7600

 

「だが、其方のエンド時に罠カード《貪欲な瓶》を発動! 墓地の5枚のカードをデッキに戻し、1枚ドローする!」

 

 そして、欲深い壺が王の魂を輪廻の輪に乗せた後、使命を果たして砕け散れば――

 

「さぁ! 今、この時! 《第一の棺》の効果により再び三つの棺が揃う! 再臨せよ!王たる余の魂! 《スピリッツ・オブ・ファラオ》!!」

 

 開きに開いた3つ目の棺より、伝説の王が輪廻転生を経て帰還を果たす。

 

《スピリッツ・オブ・ファラオ》攻撃表示

星6 光属性 アンデット族

攻2500 守2000

 

 

「さぁ、今こそ王の力を見せるのだ! 《スピリッツ・オブ・ファラオ》の効果により墓地のレベル2以下の通常モンスターを可能な限り――」

 

「墓地の《剣神官ムドラ》を除外し、貴方の墓地のデュアルモンスター3体をデッキに戻します」

 

「っ!? だとしても、《王家の守護者》は()せ参じる!」

 

 そして、4体の仲間たちが帰還せんとする中、その背後より迫る黄金の仮面をつけた戦士こと《剣神官ムドラ》のメリケンサックの刃で背中を切られた仲間たち。

 

 それにより、王こと《スピリッツ・オブ・ファラオ》の元に馳せ参じれたのは《王家の守護者》ただ1人。

 

《王家の守護者》攻撃表示

星2 地属性 アンデット族

攻 900 守 0

 

 かくして、相手のコンボの一角を崩した神崎だが、その胸中には言い得ぬ淀みが残る。なにせ、此方の選択ではもう一つの懸念事項を払えない。

 

――これで……良かったか? いや、《貪欲な瓶》で戻した《トライワイトゾーン》を引かれた際の可能性を潰すべき……だ。《宿神像ケルドウ》も墓地に落ちていれば……

 

「これで《エレメンタルバースト》のコストは賄えませんが……」

 

「ふっ、それはどうかな?」

 

「……やはりですか」

 

「ほう、気付いていたか。だが、手遅れだ! 罠カード《闇よりの罠》! 己のライフが3000以下の時、ライフを1000払い余の墓地の罠カード1枚を除外! 除外したカードと同じ効果を得る!」

 

 地中の底より何時の間にやら蓄積されていたエネルギーが逃げ場を求めるように大地をひび割れさせ、今か今かと解放の瞬間を待ちわびるように地揺れを起こせば――

 

アビドス三世LP:2000 → 1000

 

――踏み倒しギミックまで入ってるって、デッキ構築どうなってんだよ!?

 

 そして、神崎の懸念していたカードが伏せられていた事実に、相手のデッキの闇鍋っぷりへ内心で叫ぶが、今の神崎のデッキも似たようなものなので「お前が言うな」案件であろう。

 

「余が除外した罠カードは当然――《エレメンタルバースト》!!」

 

『クリバビ! バビバ!』

 

 やがて、ヤバげな気配を感じ取りピョンピョンと跳ねる仕草でトランポリンこと《Vivid(ビビッド) Tail(テール)》を要求する《クリバビロン》だが、残念ながら無理である。

 

――くっ、このターン伏せられた《Vivid(ビビッド) Tail(テール)》は当然、発動できない!

 

「再び受けよ! 余のエンドバーストを!!」

 

『バ、バビィイイイィイイイッ!!』

 

 かくして、《スピリッツ・オブ・ファラオ》が大地を剣で切り払うことで指向性を得た地中に眠っていたエネルギーは自然の猛威を振るう剣撃と化し襲い掛かる。

 

 その大自然の暴虐が過ぎ去れば、神崎のフィールドは再びスッカラカンになるのであった。

 

 

アビドス三世LP:1000 手札2

《ファラオ》攻2500

《王家の守護者》攻900

フィールド魔法《アンデットワールド》

VS

神崎LP:600 手札1

 

 

「これで其方のフィールドは再び更地!! 余のターン、ドロー!! 余は魔法カード《手札抹殺》を発動し、互いに手札を全て捨てその枚数分ドロー!」

 

 当然、この千載一遇の機会を逃すアビドス三世ではない。手早く手札交換を済ませた後、《スピリッツ・オブ・ファラオ》へ進軍を宣言してみせる。

 

「バトル!! 今、止めを刺そう! 《スピリッツ・オブ・ファラオ》でダイレクトアタックだ!!」

 

「その攻撃宣言時、墓地の《クリボーン》を除外して効果発動。墓地の『クリボー』たちを任意の数だけ特殊召喚」

 

『 『 『 クリリー!! 』 』 』

 

 だが、墓地リソースの確保できたクリボー達の粘り強さは伊達ではない。

 

 《スピリッツ・オブ・ファラオ》の前にクリボー5兄弟が立ち塞がり、その行く手を完全にシャットアウト。

 

《クリバー》ビー》ブー》ベー》ボー》

星1 闇属性 悪魔族 → アンデット族

攻 300 守 200

 

 しかし、その瞬間《スピリッツ・オブ・ファラオ》は己の剣を大地に突き刺し、身体ごと剣を捻じるような構えを見せた。

 

「ならば《スピリッツ・オブ・ファラオ》で追撃を続け――ライフを半分払い墓地の罠カード《トランザクション・ロールバック》を除外し効果発動! 余の墓地より罠カードを除外し、その効果を得る!!」

 

「なっ!?」

 

 途端に大地より噴出せんとする大自然の爆発的なエネルギーの奔流の気配がフィールドに漂う。

 

アビドス三世LP:1000 → 500

 

「三度受けるが良い! 余の必殺のエンドバーストを!!」

 

『 『 『 ク、クリリィイイィイィッ!? 』 』 』

 

「くっ、先程の魔法カード《手札抹殺》の時に墓地へ……!」

 

 やがて《スピリッツ・オブ・ファラオ》が大地より剣を引き抜くように振り払えば、大地より鉄砲水のようなマグマの奔流が嵐のように放たれ、クリボー5兄弟たちを一瞬にして呑み込んで行く。

 

「それだけではない! 既に余の『攻撃宣言』は『終了している』! 今度は其方のクリボーたちが割り込むことは叶わん!!」

 

 そして、三度ガラ空きとなった神崎に上段に剣を構えた《スピリッツ・オブ・ファラオ》が迫り――

 

「行けッ! 《スピリッツ・オブ・ファラオ》!!!」

 

 《スピリッツ・オブ・ファラオ》の一刀が神崎を切り裂いた。

 

 







今日の最強カードは《スピリッツ・オブ・ファラオ》!

相手のエンドフェイズ時に4体のモンスターを呼び出せる唯一無二の効果を持っているぜ!

相手の状況(妨害以外)に左右されないのは1万種類を超えるカードの中で(多分)コイツだけさ!







~今作のアビドス三世のデッキ~

彼のエースである《スピリッツ・オブ・ファラオ》を主軸――にしたのだが、
普通に使うと《トライワイトゾーン》の実質劣化なので
「《スピリッツ・オブ・ファラオ》でなければならない」構築を目指した。

結果、相手のエンド時に4体並べられる点に着目し、「エンドサイク」ならぬ
「エンド(エレメンタル)バースト」により盤面ガラ空きの相手に(ファラオ)パンチをぶちかますデッキに。

とはいえ、効果の関係上「ステータスに不安の残る通常レベル2以下」が多いデッキゆえに、盤面は《激流葬》などのパワーカードで強引に流していく他ない。

反面、相手からすれば「棺より脅威度の高い伏せを除去した方が良い」状況になる為、間接的に3種の棺を守れる――と良いな。

化合獣の採用は、コンボパーツ(+そのサーチ)にデッキリソースが偏っている関係上、墓地の用意が「《二量(ダイマー・)合成(シンセシス)》→《完全燃焼(バーンアウト)》」の一手で済むゆえ。
+《激流葬》後の自軍のガラ空きのフォローも出来るのが頼もしい(なお)

だが、「地属性レベル2以下のデュアルがいない」のが今デッキのノイズになっている。
それゆえ《王家の守護者》は気合で墓地に送る他ない。闇属性の《ファラオのしもべ》は犠牲になったのだ……


ただ、作中のように効果コピーで条件踏み倒し《エレメンタルバースト》する方がお手軽なのは密に、密に。
(まぁ、正規で素打ちが狙えるのも若干の強みにはなりえますが)

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