前回のあらすじ
響みどりは犠牲になったのだ……
コミック版GXの指パッチン設定への今作なりの解釈……
その犠牲にな……
覚悟を決めた鮫島のデュエルが始まる中、島内でそんなことが起きていることなど知る由もないフォース2年生sこと十代たちは一室に集められ、与えられた課題を熟していた。
「あー、この前の響先生のデュエル凄かったなー」
「なんだ、貴様。藪から棒に……」
「いやさ、なんて言うか上手く言えねぇけど、アレでさ」
「馬鹿者。その不明瞭な部分を言語化する為に、こうしてレポートに纏めとるんだろうが――手を動かせ、手を」
言語野が仕事を放棄したようにペンを宙でぶらつかせる十代へ、レポート用紙にペンをよどみなく走らせる万丈目はピタリと手を止め何時ものように苦言を飛ばすが――
「いやー、なんか今日は筆が乗らなくって……」
「『今日は』ではなく『常に』だろうが」
『こいつは……いつも一言余計だね』
「フフッ、遊城くんは毎回苦心してるものね」
苦笑する明日香の言う通り、「書け」と言われるとヤル気が削げてしまうのが十代スタイル。
こうして「(偽)セブンスターズと教員のデュエルを経た学び」――今回の場合は「相性の悪いデッキとデュエルする際の心得」と言ったところか――のレポート課題は未だ十代だけ白紙である。
「やっぱ、考えが纏まらねぇ! ちょっと今日の授業はパスする! 購買にでも行ってデュエルの相手、探してくるぜ!」
「……全く、一々宣言せずとも授業の出欠は貴様の自由だ。勝手にしろ」
「まぁ、そんな日もあるわよね。佐藤先生には私が言っておくわ」
「いや、必要ないようだ、天上院くん。教諭も戻られたぞ」
『全くタイミングが良いんだか、悪いんだか』
やがて一度大きく伸びをした十代が帰り支度を始める中、席を外していた佐藤の帰還に十代はいつもの調子で敬礼のように指を添える所作を以て立ち去らんとするが――
「ナイスタイミング! 佐藤先生! 悪ぃけど授業はパスするぜ! レポートは明日にでも――」
「遊城くん、座りなさい。今回の授業は欠席不可です」
「えっ?」
普段以上に固い口調の佐藤の声に、十代の動きはピタリと固まった。
「どういうことですか、佐藤教諭? 他のセブンスターズのデュエルの時と同様、レポートを授業中に仕上げる必要性はない筈ですが……」
「万丈目くんの言う通りです。それに今のアカデミアで授業の出欠は生徒の自由の筈でしょう?」
『別にあの門下生が特段に変わり種って訳でもないだろう? コイツ、急にどうしたんだ?』
そう、万丈目たちの言う通り「この歪んだ歴史におけるアカデミア」において授業の離席は完全に生徒の自由である。
レポート課題に関しても別に寮や図書館などで行っても問題ない。というか、参考資料があった方が良いくらいだ。生徒を教室に縛り付ける必要性の方が少ないだろう。
「…………来賓が来られるかもしれないとの連絡を受けました。ですので、貴方たちには今日一日、纏まって行動して貰うことになります」
「俺たちが……?」
「誰、来るんだろ? この感じだと、スッゲー人だよな!」
『3年の胡蝶が
「でも、随分と急な話ね……」
しかし、佐藤から語られた理由に一抹の懸念を覚えつつも一先ず納得を見せる万丈目たち。
だとしても、明日香の言う通り「この手の話」を直前に知らされた事実に一同は疑念を覚えた。
「……それだけのビッグネームという話か?」
「海馬オーナーとか?」
「ありえん。むしろ俺たちを呼び寄せる側だろう」
「じゃあデュエルキング!」
「流石に彼ほどのデュエリストが、プロを差し置いて私たちへ直接訪ねることはしないんじゃないかしら?」
だが、「アカデミア側にも事情があるのだろう」と信頼を担保にして疑念を流そうとする万丈目へ、十代は「急に来る人」への思い当たる節を上げていくが明日香たちの納得には至らない様子。
「なら、ペガサス会長とか!?」
『あり得るね。噂じゃ才能ある子供を探して後継者候補にしてる話もあるくらいだし』
やがて、十代たちは年相応に「客人」への期待感を高めつつ、私語に興じていく。
ただ、凡そ課題の終わりが見える2人に反し、十代のレポート用紙は未だに白紙のままだったことをここに記しておこう。
そんな十代たちを守るべくアカデミアの港にてデュエルに興じる鮫島は、先攻を得たタニヤ……いや、サイバー流が得意とする後攻をあえて渡した姿を警戒気に見やれば――
「私のターン! ドロー! 魔法カード《手札抹殺》! 互いの手札を全て捨て、その枚数分ドロー!」
新たに引いたカードを視界に収め、僅かに目を細めたタニヤはブレードのようなデュエルディスクにカードを差し込む。
「お前を我が故郷に招待してやろう――フィールド魔法《アマゾネスの里》! これにより『アマゾネス』たちの攻守は200ポイントパワーアップ!」
さすれば周囲は原生林の如きジャングルに覆われ、獣や鳥たちの声が木霊し始めた。
「此処で墓地の《ヴァレルロード
だが、そんなジャングルの中には似合わぬ青き拳銃を模した機械龍が緑のエネルギーウィングを開きながらタニヤの手札から銃弾のブレスを放てば――
「そして、この瞬間《アマゾネスの里》の効果! 『アマゾネス』が破壊された時、1ターンに1度そのレベル以下の同胞をデッキから呼び出すことが出来る!」
「 「 手札の破壊からも可能だと!? 」 」
「長として先陣を切れ! 《アマゾネス
迷宮兄弟が驚く中、タニヤの手札へと消えていく《ヴァレルロード
《アマゾネス
星3 地属性 戦士族
攻1200 守 900
↓
攻1400 守1100
「特殊召喚された
やがて《アマゾネス
その《アマゾネスの格闘戦士》は雑多にまとめた黒髪で首を垂れつつ膝をつき、なにやら手土産を《アマゾネス
《アマゾネスの格闘戦士》攻撃表示
星4 地属性 戦士族
攻1500 守1300
↓
攻1700 守1500
「永続魔法《補給部隊》を発動し、カードを1枚セット――これでターンエンドだ。さぁ、サイバー流の力とやら、見せて貰おうか!」
とはいえ、その手土産は即座にタニヤへパスされたが栓無きことである。
タニヤLP:4000 手札2
《アマゾネスの格闘戦士》攻1700
《アマゾネス
伏せ×1
《補給部隊》
フィールド魔法《アマゾネスの里》
VS
鮫島LP:4000 手札5
「サイバー流はその圧倒的なパワーからなる速攻が強み――あの程度の布陣とは、セブンスターズも所詮は名ばかりの集団か」
そんなタニヤの1ターン目にエクゾ使いの(元)グールズは鼻で嗤うように零す。
なにせ、アカデミアが厳戒態勢を敷く相手が貧弱な下級モンスター2体ばかりでターンを終えたのだ。
「だと良いのだがね」
あの程度の盤面では、サイバー流のパワーファイトを知る者からすれば自殺行為に過ぎない。そして、それは他ならぬジークもよく知るものだったが――
「私のターン! ドロー! 魔法カード《
「【サイバー】ではなく、【マシンナーズ】だと!?」
「ほう、私を相手になりふり構わずと言ったところか?」
「いいえ、私のデッキにはサイバー流の理念が根付いておりますよ」
キャタピラ音とプロペラ音が《アマゾネスの里》たるジャングルに響く光景に驚くエクゾ使いを余所に、タニヤはやや失望を込めて皮肉を送れば、鮫島は即座に否定してみせる。
「速攻魔法《緊急ダイヤ》! デッキよりレベル5以上と4以下の地属性・機械族モンスターを特殊召喚! 現れろ! 《マシンナーズ・ギアフレーム》! そして――」
そうして空のプロペラ音から飛来する2つの人影――否、兵器。
「《サイバー・オーガ》!!」
大地にヒビを入れながら落下したのは、くすんだ鉄色を持つ二本角の一本が欠けた機械仕掛けの鬼。
《サイバー・オーガ》守備表示
星5 地属性 機械族
攻1900 守1200
反面、その同行者は静かにその橙色の装甲で歩を進め、細身の人型ボディで鮫島を守るように膝をついて腕を交差させた。
《マシンナーズ・ギアフレーム》守備表示
星4 地属性 機械族
攻1800 守 0
「それがお前のサイバー流の形か」
「その真価、今お見せしましょう! 魔法カード《アイアンドロー》で2枚ドローし――発動せよ! 魔法カード《パワー・ボンド》!!」
さすればタニヤの挑発に応えるように鮫島のフィールドにて《サイバー・オーガ》の機械音からなる雄たけびを合図に紫電の光の渦が周囲を呑み込み――
「フィールドと手札の《サイバー・オーガ》を融合し、立ち上がれ!!」
その全身を青銅色の装甲が包んで行き、機械の鬼人を鬼神へと昇華させていく。
「――《サイバー・オーガ
やがて、圧倒的な巨躯を得た機械の鬼神こと《サイバー・オーガ
《サイバー・オーガ
星7 地属性 機械族
攻2600 守1900
↓
攻5200
「《パワー・ボンド》による攻撃力倍化で一気に決める気ね!」
「ニャハハ、これってワンターンキルじゃな~い?」
「《補給部隊》と《
ティラ・ムークとピート・コパーマインの声を背に、鮫島が手の平で進軍を示せば、《サイバー・オーガ
「《サイバー・オーガ
駆逐するべき敵の存在に闘争心がエネルギーと化すように《サイバー・オーガ
《サイバー・オーガ
攻5200 → 攻6050
「叩き潰しなさい! 《サイバー・オーガ
やがて地を駆け《アマゾネスの格闘戦士》が振るう拳へ、《サイバー・オーガ
さすれば、拮抗することなく一瞬で叩き潰された《アマゾネスの格闘戦士》が大地を削りながら弾き飛ばされると同時に地がえぐれ、巨大な破壊痕を残す始末。
「これがサイバー流師範代の実力……!」
眼前の圧倒的パワーの権化を前にエクゾ使いは感嘆の声を漏らす他ない。なにせ、その余波が生み出すダメージはタニヤの初期ライフ4000を一瞬で削り切る。
サイバー流の力を知っていたエクゾ使いでさえ、立ち上がりに一瞬ばかり見せた僅かな隙へ、これだけの一撃をこともなげに叩き込んでくる光景を直に見れば言葉を失う他ない。
そして、それはタニヤも同意見だった。
「悪くない一撃だった」
ゆえに掛け値なしの純粋な賛辞を贈る。
タニヤLP:4000
「ニャハハ……ハァ!?」
「無傷……ですって!?」
「《アマゾネスの格闘戦士》がバトルで受ける私へのダメージは0になる」
ボロボロになりながらも破砕痕をタニヤの僅か手前で止めて見せた《アマゾネスの格闘戦士》の姿にピート・コパーマインとティラ・ムークが驚愕に目を見開く中、周囲の木々がざわめいた。
「更にフィールドの格闘戦士が破壊されたことで、永続魔法《補給部隊》とフィールド魔法《アマゾネスの里》の効果を発動させて貰うぞ!」
さすれば、同胞の仇討とばかりに木々の隙間より1つの影がフィールドへと飛び出す。
「カードを1枚ドローし、デッキより新たな同胞、《アマゾネスの剣士》を特殊召喚!!」
それは逆立った赤髪を持つ最低限の防御以外を捨て去った軽装の剣士。だが、抜き放たれた長剣さばきを見れば、半端な防御など必要としない理由が見て取れた。
《アマゾネスの剣士》攻撃表示
星4 地属性 戦士族
攻1500 守1600
↓
攻1700 守1800
「そしてお前は魔法カード《アイアンドロー》の効果により、これ以上の特殊召喚はできない――が、どう動く?」
「…………カードを2枚セットしてターンエンドです」
「ふん、終いのようだな。ターンの終わりに《パワー・ボンド》のデメリットダメージを受けて貰おう」
「くっ……!」
鮫島LP:4000 → 1400
かくして、タニヤの挑発へターンを終えることしか出来ない鮫島が《サイバー・オーガ
「これは不用意な攻めだったのではないか、兄者?」
「いや、出方の分からぬ相手とはいえ、かのような好機を見過ごしては勝てるものも勝てぬだろう」
「ひ、必要な損失だったということでしょうか?」
「さて、少年。キミはどう見る?」
「先の攻防にチャンスも何も介在していないかと。恐らく、彼女のデッキに明確なエースは存在していないでしょうから」
「ふむ」
――流石はオカルト課の隠し玉。その程度のことは見切ってくるか。
やがて北森の予想を余所にジークがアモンを推し量るように問いかけるが、空をたゆたう雲のように手ごたえのない返答にジークは評価を一先ず保留せざるを得ない。
タニヤLP:4000 手札3
《アマゾネスの剣士》攻1700
《アマゾネス
伏せ×1
《補給部隊》
フィールド魔法《アマゾネスの里》
VS
鮫島LP:1400 手札0
《サイバー・オーガ
《マシンナーズ・ギアフレーム》守0
伏せ×2
《
《補給部隊》
――フッ、前のターン《アマゾネスの格闘戦士》以外を召喚していれば今の攻防で終わっていたな……面白い。だが!
「その程度で私は止まらんぞ! 私のターン! ドロー! 魔法カード《トレード・イン》! 手札のレベル8《ヴァレルロード
「くっ……! また
「これでヤツは再びデッキの全てのアマゾネスへアクセスが可能になった……」
「当然、墓地の
エクゾ使いとジークの懸念通りに、墓地の《ヴァレルロード
「2体目の
今度は守りではなく、攻めの姿勢を見せるように槍を構える2体目の《アマゾネス
《アマゾネス
星3 地属性 戦士族
攻1200 守 900
↓
攻1400 守1100
「バトルだ!!」
「お待ちを! メインフェイズ終了時に墓地の罠カード《ハイレート・ドロー》の効果! 私のフィールドの《マシンナーズ・ギアフレーム》を破壊し、フィールドにセット!」
だが、敵陣へと攻め込まんとするアマゾネスたちへ鮫島は待ったをかければ、《マシンナーズ・ギアフレーム》が唐突に爆散。
「そして永続魔法《補給部隊》で1枚ドローです!」
「勘を働かせたようだが無駄だ! 《アマゾネスの剣士》で《サイバー・オーガ
唐突に爆発四散した《マシンナーズ・ギアフレーム》の残骸を前に2体の《アマゾネス
「 「 攻撃力の劣るモンスターで攻撃だと!? 」 」
「《アマゾネスの剣士》が受ける戦闘ダメージはお前が受ける!」
「ッ!? ダブルリバースカード、オープン!! 罠カード《
しかし、その無謀な攻撃の真意を知った鮫島はリバースカードへ手をかざした。
「まずは罠カード《メタバース》により、私はデッキからフィールド魔法《遠心分離フィールド》を発動!!」
「チッ、新たなフィールド魔法の発動により《アマゾネスの里》は破壊され、アマゾネスたちの攻守は200ダウンだ……」
さすれば周囲のジャングルを呑み込むように黒を始めとした複数の彩色の渦の如き力の流れが満ち始めた。
「そして罠カード《
続いて内部から大爆発を起こし木っ端微塵となった燃え盛る《サイバー・オーガ
「――《マシンナーズ・カーネル》!!」
再びの爆発にビクリと肩を跳ねさせた《アマゾネス
左腕のプラズマキャノン砲に電磁波をチャージさせながら、右腕の巨大なチェーンソーを唸らせる姿は、何処か馬の足を持つ人馬一体のケンタウロスを思わせる。
《マシンナーズ・カーネル》攻撃表示
星10 地属性 機械族
攻3000 守2500
「サイバー流の象徴を捨ててでもダメージを減らしにかかったか!」
「早合点は止して貰いましょう! 此処でフィールド魔法《遠心分離フィールド》の効果! 融合モンスターが破壊された時、そこに記された素材となるモンスターを復活させる!」
だが、此処で周囲の流れる力の波が《マシンナーズ・カーネル》の背後の残骸に流れれば、そこより1つの影が跳躍。
「再び立ち上がれ! 《サイバー・オーガ》!!」
そうして地面に亀裂を生みながら着地するのは鮫島の象徴たる《サイバー・オーガ》の姿。
《サイバー・オーガ》攻撃表示
星5 地属性 機械族
攻1900 守1200
「更に永続魔法《
「見え透いた誘いか……だが、乗ってやろう! 《アマゾネスの剣士》で《マシンナーズ・カーネル》に攻撃!!」
反射ダメージを与える《アマゾネスの剣士》を前に、2500の守備力ではなく、3000の攻撃力を晒した鮫島へ、タニヤは攻撃を続行させる。
さすれば、空中で身をひるがえした《アマゾネスの剣士》がその呪いの剣を新たな獲物に向ける中、《マシンナーズ・カーネル》は腕に唸るチェーンソーを駆動させ――
「《マシンナーズ・カーネル》の効果! 私の機械族1体を破壊し、その攻撃力以下の相手モンスター全てを破壊する!」
その武装で己を貫いて見せる《マシンナーズ・カーネル》。
「その身を賭して戦線を開け、《マシンナーズ・カーネル》を破壊!!」
「ニャハ、お姉さんのアマゾネスの攻撃力はぜ~んぶ3000以下!」
「これで面倒な奴は一層できるわ!」
結果、ティラ・ムークたちの宣言通り、再び爆散した《マシンナーズ・カーネル》が生んだ爆風は向かっていた《アマゾネスの剣士》を呑み込み、互いに手を取り合ってアワアワする《アマゾネス
「くぅっ……!? 我が戦士たちが……!! だが、同胞の破壊により永続魔法《補給部隊》によって1枚ドローだ!」
「 「 よし、躱したぞ! 」 」
かくして、からくも《アマゾネスの剣士》の凶悪な効果をいなして見せた事実に勝負の流れを引き込んだことを感じる迷宮兄弟だが、タニヤは更にその先を行く。
「だが、浅い!! 永続罠《アマゾネスの急襲》! バトルフェイズに手札のアマゾネス1体の攻撃力をこのターン500アップさせ特殊召喚!!」
ジャングルの中より現れるのは2体目の《アマゾネスの剣士》。呪いの剣ではなく、己の剣技で倒さんと気合の入った声を張り、剣を構え――
《アマゾネスの剣士》攻撃表示
星4 地属性 戦士族
攻1500 → 攻2000
「そしてバトルフェイズに特殊召喚された2体目の《アマゾネスの剣士》には攻撃権が残っている! 行け! 《アマゾネスの剣士》!!」
鮫島の元に最後に残った《サイバー・オーガ》を斬り伏せるべく、《アマゾネスの剣士》は剣を振りかぶり疾走。
「 「 しかし、ダメージはたった100! 」 」
「だが、『アマゾネス』とバトルしたモンスターは永続罠《アマゾネスの急襲》により除外が可能だ!」
「融合素材を削りに来たか――が、浅いな」
さすれば迎え撃たんと拳を振り上げる《サイバー・オーガ》へジャングルの中からアマゾネスの仲間たちが弓や縄を構えて奈落ことジャングルの奥深くへの片道切符を用意し始めるが――
「その攻撃宣言時、手札の《サイバー・オーガ》を捨て効果を発動! そのバトルを終了させ、次のターンの終わりまで攻撃力を2000ポイントパワーアップ!!」
「チィッ!」
ジークの呟きに呼応するように鮫島の手札から機械音のいななきが不協和音のように響けば、思わず頭を押さえうずくまったアマゾネスたちの戦意が削がれ動きが止まる。
だが、その不協和音は《サイバー・オーガ》たちにとって同胞からのエール。ゆえに、その身にマシンながらに活力を漲らせた。
《サイバー・オーガ》
攻1900 → 攻3900
「これも防いでくるか……魔法カード《戦士の生還》を発動し、墓地の戦士族1体を手札に――カードを2枚セットしてターンエンドだ!」
タニヤLP:4000 手札3
《アマゾネスの剣士》攻2000 → 攻1500
伏せ×1
《アマゾネスの急襲》
《補給部隊》
VS
鮫島LP:1400 手札1
《サイバー・オーガ》攻3900
伏せ×1
《
《補給部隊》
フィールド魔法《遠心分離フィールド》
かくして綱渡りながらもタニヤの猛攻を躱し切った鮫島の姿へジークは呆れたように息を吐く。
「全く、少しはマシになったかと思えばヒヤヒヤさせてくれる」
「うーん、《アマゾネスの急襲》の除外が厄介ですね……」
「然り、除外されれば分離合体のループが途絶えてしまうな、兄者」
「うむ、だが鮫島殿のデッキの瞬間火力を思えば、相手とて《アマゾネスの剣士》か《アマゾネスの格闘戦士》以外の【アマゾネス】では攻勢には出れまい」
なにせ北森の言葉を引き継いだ迷宮弟の言う通り、鮫島のデッキにとって除外はかなりの痛手だ。
多少はカバーする術があるとはいえ、バトルの度に片っ端から除外されては厳しいものがある。
「…………除外を狙う攻撃自体が既にリスクなのか」
とはいえ、迷宮兄の発言の意図を遅ればせながらにエクゾ使いが察したように、除外を狙うには戦闘破壊される以上【アマゾネス】たちも頭数がいる。
だが、ダメージを
「まぁ、私たちのデッキなら関係ないわ。彼が負けても特に問題はなさそうね」
「じゃあ、次は誰がデュエルする~?」
ただ、ティラ・ムークが肩をすくめるように「数と質」を誇る7人衆(8人)がいれば問題ない。
なにせ相手のデュエルスタイルもデッキの中身も凡そ割れた。その点において鮫島は理想的な一番手だったと言えよう。
ゆえに、ピート・コパーマインは志願者を募るように手を上げていた。
だが、かつては果たせなかった「生徒を守る」との使命に燃える鮫島は言外に「負けても良いぞ」と告げられようとも勝負を投げる筈もない。
「私のターン! ドロー!」
――相手はコンボの要となるフィールド魔法を失っている……攻めるなら今が好機!
ゆえに、相手が態度程に余裕がある訳ではないことを察した鮫島は勝負に出るべく手札の1枚のカードに手をかけた。
「速攻魔法《エターナル・サイバー》! 墓地より機械族の『サイバー』融合モンスター1体――《サイバー・オーガ
サイバーチックな異空間より飛翔するように跳躍して現れた《サイバー・オーガ
《サイバー・オーガ
星7 地属性 機械族
攻2600 守1900
「《マシンナーズ・ギアフレーム》を通常召喚! 効果により『マシンナーズ』モンスターを手札に!」
だが、その隣に《ギアフレーム》が膝をついた途端――
《マシンナーズ・ギアフレーム》攻撃表示
星4 地属性 機械族
攻1800 守 0
「此処で罠カード《ハイレート・ドロー》! 私のフィールドのモンスターを破壊し、2体につき1枚ドローします! 《サイバー・オーガ
墓地こと冥府より伸びた腕が2体の機械たちを捕らえ、奈落の底へと引きずり込んだ。
「たった1枚のドローの為に復活させたエースを捨てるのか!?」
――いや、これは……
エクゾ使いの困惑する叫びを余所に瞳を鋭く細めたタニヤの視線の先ではカードをドローせんとする鮫島の姿。
「更に永続魔法《補給部隊》により1枚ドローし、フィールド魔法《遠心分離フィールド》の効果により、《サイバー・オーガ》が復活!!」
その鮫島の元に奈落に引きずり込まれる寸前で追加装甲をパージした《サイバー・オーガ
2体目の《サイバー・オーガ》攻撃表示
星5 地属性 機械族
攻1900 守1200
だけに留まらず、大地を砕くかのような起動音が響けば――
「更に地属性・機械族が破壊されたことで墓地の《マシンナーズ・カーネル》が再起動!!」
左腕のプラズマキャノン砲を地中から放ち、地下深くの冥府より土砂を消し飛ばしながら開いた地上への道を四脚のキャタピラで駆け抜けた《マシンナーズ・カーネル》の姿が再臨。
《マシンナーズ・カーネル》攻撃表示
星10 地属性 機械族
攻3000 守2500
「此処で魔法カード《融合派兵》! 《サイバー・オーガ
そしてフィールドに揃った3体目の《サイバー・オーガ》が同胞たちと獲物へ威嚇するように機械の牙をガチガチと鳴らし合う中――
3体目の《サイバー・オーガ》攻撃表示
星5 地属性 機械族
攻1900 守1200
「バトル!! 行けッ! 《サイバー・オーガ》! 《アマゾネスの剣士》を攻撃! エボリューション・ハンマー!!」
鮫島の声に解き放たれたかのように1体目の《サイバー・オーガ》が《アマゾネスの剣士》に飛び掛かり、相手の剣もろとも鋼の腕を叩きつけ粉砕。
「だが《アマゾネスの剣士》が受けるダメージはお前が受ける!」
「くっ、承知の上です!」
しかし、砕けた《アマゾネスの剣》の剣先は怨霊よろしく鮫島の元へ飛来するだけに留まらず――
鮫島LP:1400 → 1000
「それだけではない! 永続魔法《補給部隊》で1枚ドローし、更に永続罠《アマゾネスの急襲》により《サイバー・オーガ》を除外!!」
アマゾネスの報復の弓が《サイバー・オーガ》を貫き、投げ込まれる縄がその機械の身をジャングルの奥底へと引きずり込んでゆく。
「だとしても、これで貴方を守る戦士はいない! 2体目の《サイバー・オーガ》でダイレクトアタック!!」
「忘れたのか! 永続罠《アマゾネスの急襲》の効果! 手札から《アマゾネスの剣士》の攻撃力をこのターン500アップさせ特殊召喚だ!」
やがて無防備になったタニヤへ新たな《サイバー・オーガ》が牙を剥くが、その進路を塞ぐように周囲のジャングルから《アマゾネスの剣士》が飛び出し、剣を突き立てんとした。
《アマゾネスの剣士》攻撃表示
星4 地属性 戦士族
攻1500 守1600
「させません! 《マシンナーズ・カーネル》の効果! 自身を破壊し、その攻撃力以下の《アマゾネスの剣士》を破壊!!」
「チィッ!」
だが、その剣は《サイバー・オーガ》を貫くことはなく、身体で受け止めた《マシンナーズ・カーネル》が全身で《アマゾネスの剣士》を拘束し、数秒の点滅と共に自爆。
「《サイバー・オーガ》のダイレクトアタックを受けて貰います!!」
「――ぐぅおぉおぉッ!!」
そうして、自爆の爆風に乗って天高く跳躍した《サイバー・オーガ》の拳がこのデュエル中に初めてタニヤを捉え、その身に叩き込まれた。
タニヤLP:4000 → 2100
「止めです! 攻撃力の上がった《サイバー・オーガ》でダイレクトアタック! エボリューション・メガ・ハンマー!!」
更に畳みかけるように機能を限界解放し、真っ赤なオーラを纏った最後の《サイバー・オーガ》が放熱を利用し、灼熱と化した拳を振りかぶり大地へ放ち粉砕。
その破壊の奔流は熱線の如き指向性を持ってタニヤへ迫り、その身を衝撃と炎熱が襲った。
タニヤLP:2100 → 1200
だが、届かない。
「なっ!?」
「残念だが罠カード《奇策》を発動させて貰った。これにより手札から墓地に送った
驚く鮫島へリバースカードに手をかざしていたタニヤがフィールドへ視線を向ければ、最後の一撃を放った《サイバー・オーガ》の腕は巨大な弾丸によって抉れたように削がれた痕が見える。
《サイバー・オーガ》
攻3900 → 攻900
「くっ、あの男また仕留めきれなかったぞ……」
「見事な攻防だった。流石はかのカイザーの師だと賞賛を贈らせて貰おう……しかし、私とて倒れられぬ理由がある」
我が事のように歯嚙みするエクゾ使いを余所に、タニヤは鮫島へと賞賛の言葉と共に己の心の内を僅かに吐露すれば、鮫島もデュエルを通じて薄々察していたのか深く言及することなく告げた。
「ならば申し訳ありませんが、押し通させて貰いましょう」
「……なんだと?」
「――速攻魔法《瞬間融合》!! フィールドの《サイバー・オーガ》2体で融合召喚!!」
「このタイミングで融合召喚だと!?」
さすれば、鮫島の背後で光の渦が逆巻き、2体の《サイバー・オーガ》たちを呑み込んで行き――
「三度、再臨せよ!! 我が象徴!! 《サイバー・オーガ
この土壇場で現れるのは鮫島のフェイバリットエースたる《サイバー・オーガ
再臨の雄たけびを上げる姿は何処か歓喜の色が見えた。
《サイバー・オーガ
星7 地属性 機械族
攻2600 守1900
「今度こそ終わりです! 《サイバー・オーガ
「……見事だ」
やがて己の拳同士をぶつけ合わせて轟音を響かせながら《サイバー・オーガ
その断頭台かのような拳を前に、タニヤが静かに瞳を閉じて呟いた姿を合図に《サイバー・オーガ
振り下ろされた。
「だが、言った筈だ――私にも負けられん理由がある!!」
と、同時にタニヤは強く瞳を見開く。
「永続罠《アマゾネスの意地》!! 墓地の『アマゾネス』1体を特殊召喚! 甦れ! 《アマゾネスの剣士》!!」
さすれば、タニヤの闘志に呼応するかのように《アマゾネスの剣士》が現れ、《サイバー・オーガ
《アマゾネスの剣士》攻撃表示
星4 地属性 戦士族
攻1500 守1600
「――ッ!?」
「……ふっ、その様子では品切れのようだな」
大地が《サイバー・オーガ
「くっ、カードを1枚セットしてターンエンドです……」
「このエンド時に速攻魔法《瞬間融合》により融合されたお前の《サイバー・オーガ
「ですがフィールド魔法《遠心分離フィールド》と永続魔法《
やがてタニヤの宣言通り、無茶な融合をしたツケが《サイバー・オーガ
だが、その残骸から外装パーツを身代わりに生き残った《サイバー・オーガ》が鮫島を守るように立ちはだかった。
《サイバー・オーガ》攻撃表示
星5 地属性 機械族
攻1900 守1200
タニヤLP:1200 手札2
《アマゾネスの剣士》攻1500
伏せ×1
《アマゾネスの意地》
《アマゾネスの急襲》
《補給部隊》
VS
鮫島LP:1000 手札2
《サイバー・オーガ》攻1900
伏せ×1
《
《補給部隊》
フィールド魔法《遠心分離フィールド》
「これでも崩れんか」
――凡そ全ての力を出し切った上で、《サイバー・オーガ》の攻撃無効の構えを残せるとは……この男とは、もっと違う形で雌雄を決し――いや……
そうして、己のライフをエサに無理やりリソースを吐かせたタニヤだが、己の視界に映る鮫島と彼のフェイバリットたる《サイバー・オーガ》が並ぶ姿を前に胸中でひとりごちる。
今は戦士としての誇りは捨てた身だ、と。
「私のターン、ドロー! 速攻魔法《アマゾネス
さすればアマゾネスの同胞の声が周囲に木霊すれば、辺りを覆っていた渦のような力の波はうっそうと生い茂るジャングルに浸食されていき――
「新たなフィールド魔法の発動により、お前のフィールド魔法《遠心分離フィールド》は破壊される!!」
「……フィールドの張り合いはサーチの多い相手が上手か」
「そして《アマゾネス
ジークの呟きを余所に、三度現れる《アマゾネス
《アマゾネス
星3 地属性 戦士族
攻1200 守 900
↓
攻1400 守1100
「攻撃力2000以下のモンスターが呼び出された際、その同名カード全てを手札・デッキから破壊する!」
「 「 っ!? 《アマゾネスの里》はデッキからの破壊も対応しているのか!? 」 」
「ですが
「残念だが《アマゾネス
やがて、王女という名の仮の姿を脱ぎ去り、正式な長の証たる大剣を手に新たな女王への即位を宣言。
《アマゾネス
「 「 な、なんだと!? 」 」
「よってデッキのレベル6! 《アマゾネス
さすれば驚く迷宮兄弟たちを余所に、ジャングルの中より《アマゾネスの剣士》が新たな女王に忠誠を誓うように膝をついて現れた。
《アマゾネスの剣士》攻撃表示
星4 地属性 戦士族
攻1500 守1500
↓
攻1700 守1800
と、同時に遠方にて轟音が響くと共に「実際に」大地が揺れ動く。
「ッ!?」
そんな唐突な地震と思しき揺れに対し、一同は音の発生源を見れば――
「 「 なにごとか!? 」 」
「い、隕石……でしょうか?」
「アレ、ヤバいんじゃな~い?」
「……ちょっと私たち、このまま待機したままで良いの?」
アカデミアの本校舎の屋上が煙を上げる光景が広がる中、各々が状況判断に苦心する。
そうして、「なんらかの飛来物が本校舎に直撃した」事実を把握し始めた一同の意見を代弁するようにティラ・ムークがチラと校舎の一部分とジークへと視線を彷徨わせた。
「―― B 3 ・ 5 N ! !」
途端に、タニヤは島中に響く程の声量でなんらかの暗号めいた言葉を飛ばせば――
「っ! コブラ! 私だ! ターゲットの場所が――」
「お答えください……これは一体なんの真似ですか!!」
その意図をすぐさま察したジークが通信機へ叫ぶ中、鮫島はタニヤの
「そちらを気にしている余裕があるのか? バトル!!」
だが、タニヤの返答はデュエルの続行だった。
ところ変わって、隕石もかくやな飛来物を受けたアカデミアの本校舎内では小さな混乱状態にあった。
「うぉっ!? 地震か!?」
「―― B 3 ・ 5 N ! !」
『なんてデカい声だ……外に随分と騒がしい奴がいるみたいじゃないか』
そして十代たちもまた、中々に揺れる教室の中でマニュアル通りに机の下に隠れ始めるが、その耳に「パリン」と窓ガラスの割れる音が届く。
その音に窓側へと視線を向けた一同の視界に移るのは窓一面に張り付く大量の黒い影。
「きゃっ!?」
「なんだ、これは!?」
「コウモリの群れ!?」
そして黒い影こと、コウモリの大軍が割れた窓を広げながら教室内に殺到し、彼らの視界と平常心を奪い始めた。
やがて、コウモリの大軍たちから歓喜に満ちた声が零れる。
「いタ」
「ゆウ城」
「十ダい」
「サぁ」
さすれば、コウモリたちが一纏めになり始め、その姿を女性へと形作り始めれば――
「――闇のゲームを始めましょうか!!」
「起動」
腕を突き出した佐藤の声を合図に、カミューラとの闇のデュエルが幕を開けた。
その手の平に歪な鍵が怪しい輝きを放つ。
そんな波乱の気配の数十秒後ほどの時刻、校内放送で「生徒たちは教室に避難・待機。教職員の指示に従うように」と音声がアカデミア全域に流れる中、霧のように漂う闇色の壁に拳を叩きつけた牛尾は苛立ちの声を上げる。
「クソッ! やられた!!」
タニヤが囮なのは分かり切っていた。
だからこそ、8名ぽっちにデュエルを任せ、残りの大多数の人員すべては襲来するであろうカミューラへの警戒に当たっていた上での
自分たちの無力さに苛立ちもしよう。
とはいえ、遥か上空からの謎の球体状の飛来物の着弾と、その飛来物より飛び出したコウモリの群れの移動、そして眼前の闇のデュエルの開始――この間、僅か数秒の出来事である。
一般論で語れば、常識的な対応で防げるとは思えない。
だが、倫理委員会として生徒たちとかなりの交流があった牛尾からすれば、とても割り切れはしなかったゆえ、苛立ちが収まらぬまま己の背後へ声を張る。
「おい、『これ』どうにかなんねぇのか!!」
『無茶を言うな。闇のゲームに干渉することは不可能――だからこそ、遥か古来より神聖視されているのが分からないか?』
しかし、牛尾預かりとなっているサイコ・ショッカーは呆れた様子でため息を吐いて見せた。
そんな生徒を生贄に顕現しようとした精霊なだけあって、あまり人命に頓着しない姿が更に牛尾の苛立ちを募らせる。
「チッ、幻魔の復活を止めに来た割には頼りにならねぇな……」
『我が完全なる顕現を保留しておいてよく言う……大体、情報はくれてやったではないか』
ゆえに飛び出た牛尾の喧嘩腰の物言いに流石にカチンと頭に来たのかサイコ・ショッカーも強い口調で自業自得だと反論してみせる。
『初めから幻魔の制御のキーである少年を誰も寄り付かぬ場所へ隔離しておけば良かった話だろうに』
「お前こそ無茶言うんじゃねぇよ! ガキ閉じ込めとくなんざ許される訳ねぇだろうが!」
なにせ、相手の狙いは分かり切っており、更には「十代がアカデミアにいなければカミューラの計画は詰む」ことも明白だったのだ。
とはいえ、牛尾の言う通りそんな非人道的行為を人間社会は許容しない。
仮に許容させようにも「ある程度の情報を開示」しなければならず、「幻魔の力」なんてものが世に知れれば馬鹿なことを考える人間が増える事実も、また明白だった。
「それに自暴自棄になった敵さんが『十代をおびき出す為だ』って、アカデミアで暴れられても困んだよ!」
『その程度は必要な犠牲だろう? あの男も「そう」言ってお前を担保にしたではないか』
「口の減らねぇ野郎だな……!!」
そして何より牛尾視点では、神崎ですら足取りを追い切れなかったカミューラが何をしでかすか分からない現実が、「カミューラの行動を誘導する為」に悪く言えば「十代を囮にする」ような作戦を許容せざるを得ない状況に陥っている。
そうして今まで無自覚に溜まりに溜まっていたやり切れぬ感情が牛尾から平静さを欠けさせる中、KCから(偽)事務員として出向していたギースの冷静な声が響いた。
「其処までにしておけ。今、内部へ我々が出来ることはない以上、コブラへ連絡してオブライエン氏を筆頭に人員を纏めさせろ、周囲を固めるぞ」
『随分と消極的だな……あのヴァンパイアが遊城 十代を倒し、幻魔の力を手にすれば貴様ら程度が幾らいようとも物の数ではないぞ』
やがて、ギースが闇色の霧状の壁から手を放しながら告げた指示に、サイコ・ショッカーは最悪の状況を想定するべきと言外に述べるが、ギースは否を突きつける。
「それはありえん。中には佐藤がいる」
それはある種の信頼の証――ではなく、ギースの中では不変の事実であるような物言い。
『……あの教員、それ程の実力者なのか?』
「『腕は立つ』ってのは聞いてますけど……あのヴァンパイア女、最低でも神崎さんを出し抜いたヤツっすよ? 大丈夫なんすか」
しかし、流石の牛尾もかつての上司へ苦言を呈する。
なにせ、「カミューラが此処にいる」現実は「神崎を倒した」もしくは「神崎から逃げ切った」ことを意味している。牛尾視点では「それ」は軽く扱えない事実だ。
佐藤の実力は牛尾も知ってはいたが、ギースが此処まで断言できる程の判断材料とは思えない。
「勝つよ、あいつは」
だが、それでもギースは言葉短くそう零した。
かつての恩人が求めた姿を幻視して。
なりふり構わなくなったセブンスターズの残党(なお原因)
iloveu.exe様より支援絵を頂きました! 超嬉しい!(語彙消失)
https://img.syosetu.org/img/user/405051/118680.png
謎のデュエリストこと、アクターのイラストでございます。
これはディアバウンドを殴り飛ばせますわ……
~今作のタニヤのデッキ~
《アマゾネスの里》のリクルート効果の条件である「アマゾネスの破壊」が手札・デッキも対応している点を活用したデッキ。
【アマゾネス】は大体レベル4なので《ヴァレルロード
とはいえ、それ以外に特筆した点はなく、魔法・罠で下級をサポートしてぶん殴っていくオーソドックスなデッキ。
ただ、《アマゾネス
~今作の鮫島のデッキ~
彼の象徴たる《サイバー・オーガ》、《サイバー・オーガ
《遠心分離フィールド》、《
自分のターンは《サイバー・オーガ
相手ターンは《サイバー・オーガ》の攻撃無効+強化で回避 → 次のターンのフィニッシャーへ
――と、原作っぽい攻防ができるのが売り。
上記のコンボパーツは全てサーチが可能なので、意外と戦える。
ただ、時折「これ《マシンナーズ・カーネル》に特化した方が強いんじゃ……」などと脳裏に過るのは内緒。